JPH08225874A - 自動車構造部材用アルミニウム合金押出材とその製造方法 - Google Patents
自動車構造部材用アルミニウム合金押出材とその製造方法Info
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- JPH08225874A JPH08225874A JP4921795A JP4921795A JPH08225874A JP H08225874 A JPH08225874 A JP H08225874A JP 4921795 A JP4921795 A JP 4921795A JP 4921795 A JP4921795 A JP 4921795A JP H08225874 A JPH08225874 A JP H08225874A
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- aluminum alloy
- alloy
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 Ｓｉ： 0.5〜2.5 wt％、Ｆｅ： 0.2〜1.0 wt
％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt％、Ｃ
ｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5 wt％を含有し、
残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなることを特徴とす
る自動車構造部材用アルミニウム合金押出材。 【効果】 自動車の熱交換器（エアコン、ラジエータ
ー）等に使用される材料をリサイクルして展伸材（押出
材）に展開することによるコスト低減を果たすと共に中
強度アルミニウム合金として代表的なＪＩＳ６０６１合
金と同等又はそれ以上の強度を得ることができるもので
ある。さらに成形性、金属組織、耐応力腐食割れ性、耐
食性及び表面処理性等の諸特性の改善により従来にない
工業的な効果を奏する。
％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt％、Ｃ
ｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5 wt％を含有し、
残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなることを特徴とす
る自動車構造部材用アルミニウム合金押出材。 【効果】 自動車の熱交換器（エアコン、ラジエータ
ー）等に使用される材料をリサイクルして展伸材（押出
材）に展開することによるコスト低減を果たすと共に中
強度アルミニウム合金として代表的なＪＩＳ６０６１合
金と同等又はそれ以上の強度を得ることができるもので
ある。さらに成形性、金属組織、耐応力腐食割れ性、耐
食性及び表面処理性等の諸特性の改善により従来にない
工業的な効果を奏する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は薄肉及び複雑断面形状を
有する自動車構造部材用の押出性、強度、成形性及び表
面処理性に優れたアルミニウム合金押出材及びその製造
方法に関するものであり、詳しくは自動車部品のホロ
ー、ソリッドステップ形状、ルーフレール及びサンルー
フ等に代表される各種部材に使用されるアルミニウム合
金押出材で押出性、強度、耐蝕性及び表面処理性が優
れ、並びに押出材が繊維組織であることを要求されるア
ルミニウム合金押出材とその製造方法に関するものであ
る。
有する自動車構造部材用の押出性、強度、成形性及び表
面処理性に優れたアルミニウム合金押出材及びその製造
方法に関するものであり、詳しくは自動車部品のホロ
ー、ソリッドステップ形状、ルーフレール及びサンルー
フ等に代表される各種部材に使用されるアルミニウム合
金押出材で押出性、強度、耐蝕性及び表面処理性が優
れ、並びに押出材が繊維組織であることを要求されるア
ルミニウム合金押出材とその製造方法に関するものであ
る。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
地球環境に対する配慮からアルミニウム材料のリサイク
ル要求が高まっている。アルミニウムは種々の合金を用
いて圧延材、押出材、鋳鍛造材の製造を行っているが、
それに伴って発生する屑は原料として再利用される。し
かし自動車のアルミニウム合金製熱交換器（エアコン、
ラジエーター）等に使用される材料はアルミニウム合金
芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材をクラッ
ドした合わせ材である為、その含有成分が特殊であり展
伸材としては再利用することができず、鋳物用の２次合
金原料として再利用するのが一般的であった。
地球環境に対する配慮からアルミニウム材料のリサイク
ル要求が高まっている。アルミニウムは種々の合金を用
いて圧延材、押出材、鋳鍛造材の製造を行っているが、
それに伴って発生する屑は原料として再利用される。し
かし自動車のアルミニウム合金製熱交換器（エアコン、
ラジエーター）等に使用される材料はアルミニウム合金
芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材をクラッ
ドした合わせ材である為、その含有成分が特殊であり展
伸材としては再利用することができず、鋳物用の２次合
金原料として再利用するのが一般的であった。
【０００３】一方、上記自動車の各種部材として使用さ
れている中強度のアルミニウム合金としては従来よりＪ
ＩＳ６０６１合金（Ａｌ− 0.7wt％Ｓｉ−0.21wt％Ｆｅ
−0.25wt％Ｃｕ− 1.0wt％Ｍｇ− 0.2wt％Ｃｒ合金）が
代表的な合金であるが、このＪＩＳ６０６１合金の強度
は耐力で 240〜280 Ｎ／mm2 程度であり、さらに強度の
高い合金が臨まれている。加えてＪＩＳ６０６１合金は
金属組織、成形性、耐応力腐食割れ性（耐ＳＣＣ性）、
耐蝕性及び表面処理性等の諸特性の改良が望まれてい
る。
れている中強度のアルミニウム合金としては従来よりＪ
ＩＳ６０６１合金（Ａｌ− 0.7wt％Ｓｉ−0.21wt％Ｆｅ
−0.25wt％Ｃｕ− 1.0wt％Ｍｇ− 0.2wt％Ｃｒ合金）が
代表的な合金であるが、このＪＩＳ６０６１合金の強度
は耐力で 240〜280 Ｎ／mm2 程度であり、さらに強度の
高い合金が臨まれている。加えてＪＩＳ６０６１合金は
金属組織、成形性、耐応力腐食割れ性（耐ＳＣＣ性）、
耐蝕性及び表面処理性等の諸特性の改良が望まれてい
る。
【０００４】
【課題を解決するための手段】そこで本発明では上記自
動車用熱交換器に使用されているアルミニウム合金を有
効にリサイクルする方法を検討した結果、これらアルミ
ニウム合金材料を展伸材に展開することにより上記代表
的な構造材であるＪＩＳ６０６１合金に匹敵もしくはそ
れに勝る諸特性を有する合金が得られることを知見して
本発明を完成させた。
動車用熱交換器に使用されているアルミニウム合金を有
効にリサイクルする方法を検討した結果、これらアルミ
ニウム合金材料を展伸材に展開することにより上記代表
的な構造材であるＪＩＳ６０６１合金に匹敵もしくはそ
れに勝る諸特性を有する合金が得られることを知見して
本発明を完成させた。
【０００５】即ち本発明の自動車構造部材用アルミニウ
ム合金押出材は、Ｓｉ： 0.5〜2.5wt％、Ｆｅ： 0.2〜
1.0 wt％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt
％、Ｃｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5 wt％を含
有し、残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなるものであ
る。
ム合金押出材は、Ｓｉ： 0.5〜2.5wt％、Ｆｅ： 0.2〜
1.0 wt％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt
％、Ｃｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5 wt％を含
有し、残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなるものであ
る。
【０００６】また本発明の上記アルミニウム合金押出材
の製造方法は、Ｓｉ： 0.5〜2.5 wt％、Ｆｅ： 0.2〜1.
00wt％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt
％、Ｃｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5 wt％を含
有し、残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなるアルミニ
ウム合金鋳塊を、 420〜580 ℃で２〜24時間の均質化処
理をした後 420〜550 ℃で熱間押出を行ってプレス焼入
を施し、しかる後人工時効処理として 100〜200 ℃で２
〜24時間の熱処理を行うことを特徴とするものである。
この時原料としてアルミニウム製自動車用熱交換器を製
造する際の材料の加工屑を用いるのは製造コスト上有効
である。
の製造方法は、Ｓｉ： 0.5〜2.5 wt％、Ｆｅ： 0.2〜1.
00wt％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt
％、Ｃｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5 wt％を含
有し、残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなるアルミニ
ウム合金鋳塊を、 420〜580 ℃で２〜24時間の均質化処
理をした後 420〜550 ℃で熱間押出を行ってプレス焼入
を施し、しかる後人工時効処理として 100〜200 ℃で２
〜24時間の熱処理を行うことを特徴とするものである。
この時原料としてアルミニウム製自動車用熱交換器を製
造する際の材料の加工屑を用いるのは製造コスト上有効
である。
【０００７】
【作用】ここで本発明における合金成分の作用効果及び
含有量の限定理由を説明する。ＳｉはＭｇと共存するこ
とにより析出物を形成して強度向上に寄与する元素であ
る。しかしながら 0.5wt％未満では強度向上の効果が充
分に得られず、一方2.5 wt％を越えて含有させても強度
向上の効果は飽和し、成形性、押出加工性及び生産性も
劣化する。従って本発明ではＳｉ量の含有量を 0.5〜2.
5 wt％と限定した。
含有量の限定理由を説明する。ＳｉはＭｇと共存するこ
とにより析出物を形成して強度向上に寄与する元素であ
る。しかしながら 0.5wt％未満では強度向上の効果が充
分に得られず、一方2.5 wt％を越えて含有させても強度
向上の効果は飽和し、成形性、押出加工性及び生産性も
劣化する。従って本発明ではＳｉ量の含有量を 0.5〜2.
5 wt％と限定した。
【０００８】Ｆｅは靭性、機械的性質を向上する効果が
あるが、 0.2wt％未満では強度及び靭性向上の効果が充
分に得られず、一方 1.0wt％を越えて含有させても強度
向上の効果は飽和し、成形性、耐食性及び押出加工性も
劣化する。従って本発明ではＦｅ量の含有量を 0.2〜1.
0 wt％と限定した。
あるが、 0.2wt％未満では強度及び靭性向上の効果が充
分に得られず、一方 1.0wt％を越えて含有させても強度
向上の効果は飽和し、成形性、耐食性及び押出加工性も
劣化する。従って本発明ではＦｅ量の含有量を 0.2〜1.
0 wt％と限定した。
【０００９】Ｚｎは機械的性質を向上する効果がある。
その含有量が0.45wt％未満では効果がなく、一方 1.5wt
％を越えて含まれると耐ＳＣＣ性、成形性及び押出加工
性が劣化し、生産性も低下する。従って本発明ではＺｎ
の含有量を0.45〜1.5 wt％と限定した。
その含有量が0.45wt％未満では効果がなく、一方 1.5wt
％を越えて含まれると耐ＳＣＣ性、成形性及び押出加工
性が劣化し、生産性も低下する。従って本発明ではＺｎ
の含有量を0.45〜1.5 wt％と限定した。
【００１０】Ｍｇも機械的性質を向上する元素である
が、その含有量が 0.1wt％未満ではその効果が少なく、
一方 1.0wt％を越えて含まれると耐ＳＣＣ性、成形性、
押出加工性及び生産性が劣化する。従って本発明ではＭ
ｇの含有量を 0.1〜1.0 wt％と限定した。
が、その含有量が 0.1wt％未満ではその効果が少なく、
一方 1.0wt％を越えて含まれると耐ＳＣＣ性、成形性、
押出加工性及び生産性が劣化する。従って本発明ではＭ
ｇの含有量を 0.1〜1.0 wt％と限定した。
【００１１】Ｃｕは機械的性質を向上すると共に、耐Ｓ
ＣＣ性を向上する効果がある。その含有量が0.05wt％未
満ではその効果がなく、一方 1.0wt％を越えて含まれる
と耐食性に害を及ぼす。従って本発明ではＣｕ含有量を
0.05〜1.0 wt％と限定した。
ＣＣ性を向上する効果がある。その含有量が0.05wt％未
満ではその効果がなく、一方 1.0wt％を越えて含まれる
と耐食性に害を及ぼす。従って本発明ではＣｕ含有量を
0.05〜1.0 wt％と限定した。
【００１２】Ｍｎは合金中の再結晶粒の粗大化を抑制
し、結晶粒を繊維状組織として組織の安定化を図るとと
もにアルミニウム素地中に微細に分散した繊維状組織の
再結晶化を防止して組織を安定化し、曲げ加工等の成形
加工後の押出材の表面にオレンジピール状の肌荒れが発
生するのを防ぐ効果がある。その含有量が 0.4wt％未満
ではその効果が少なく、逆に 1.5wt％を越えて含まれる
とその効果が飽和するばかりか粗大な金属間化合物を生
成したり、焼き入れ感受性が増大したりするほかに、強
度及び押出加工性にも悪影響を及ぼす。従って本発明で
はＭｎの含有量を0.4 〜1.5 wt％と限定した。
し、結晶粒を繊維状組織として組織の安定化を図るとと
もにアルミニウム素地中に微細に分散した繊維状組織の
再結晶化を防止して組織を安定化し、曲げ加工等の成形
加工後の押出材の表面にオレンジピール状の肌荒れが発
生するのを防ぐ効果がある。その含有量が 0.4wt％未満
ではその効果が少なく、逆に 1.5wt％を越えて含まれる
とその効果が飽和するばかりか粗大な金属間化合物を生
成したり、焼き入れ感受性が増大したりするほかに、強
度及び押出加工性にも悪影響を及ぼす。従って本発明で
はＭｎの含有量を0.4 〜1.5 wt％と限定した。
【００１３】また、Ｔｉ、Ｎｉ、Ｂ等の不純物について
はそれぞれが0.05wt％以下、かつ合計で0.15wt％以下で
あれば本発明の効果に悪影響を及ぼさないので含有して
も差し支えない。
はそれぞれが0.05wt％以下、かつ合計で0.15wt％以下で
あれば本発明の効果に悪影響を及ぼさないので含有して
も差し支えない。
【００１４】次に本発明合金押出材の製造方法について
説明する。本発明は、前記の組成の合金を用いて、製造
の各段階での温度条件や処理時間条件を限定することに
より所期の目的を達成するものである。次にこの製造条
件について説明する。
説明する。本発明は、前記の組成の合金を用いて、製造
の各段階での温度条件や処理時間条件を限定することに
より所期の目的を達成するものである。次にこの製造条
件について説明する。
【００１５】まず、前記組成の合金の鋳塊に均質化処理
を施す。この均質化処理はＦｅ、Ｍｎ、Ｃｒ等の化合物
を微細均一に分散させるために比較的高温で行う。ただ
し580℃を越える温度や24時間を越えて処理すると、析
出物が粗大化して押出性、焼入感受性等の特性が悪化す
る。一方、 420℃未満や２時間未満の処理では均質化が
不充分である。従って本発明において均質化処理は 420
〜580 ℃×２〜24時間の条件で行う。
を施す。この均質化処理はＦｅ、Ｍｎ、Ｃｒ等の化合物
を微細均一に分散させるために比較的高温で行う。ただ
し580℃を越える温度や24時間を越えて処理すると、析
出物が粗大化して押出性、焼入感受性等の特性が悪化す
る。一方、 420℃未満や２時間未満の処理では均質化が
不充分である。従って本発明において均質化処理は 420
〜580 ℃×２〜24時間の条件で行う。
【００１６】次に鋳塊を押出温度まで加熱して熱間押出
加工を行い、その後にプレス焼入（例えばファン空冷、
ミスト冷却、水冷）を行う。なおプレス焼入とは、熱間
押出温度を利用して溶体化熱処理がなされ、押出形材が
高温のうちに押出直後に水冷、空冷等により焼入を行う
ことをいう。押出温度については押出加工が困難な押出
比の大きい薄肉の中空形材も加工できるように 420〜55
0 ℃の範囲で押出を行う。従来合金ではこの温度条件で
押出加工すると、再結晶が進行し、粗大な再結晶粒が生
成するため耐ＳＣＣ性が著しく低下し、また粗大な金属
間化合物が生成するため、押出加工性、成形性、耐食性
等が悪化する。しかしながら本発明に係わる組成の合金
においては、含有Ｍｎが再結晶粒のない繊維状組織にす
ると共にこの組織を微細に分散させることにより再結晶
の進行を抑制し、また、Ｆｅ、Ｓｉの含有量を限定した
ことにより粗大金属間化合物の生成を抑え、さらにＣｕ
の含有で耐ＳＣＣ性が大幅に向上することにより、押出
加工を可能としている。
加工を行い、その後にプレス焼入（例えばファン空冷、
ミスト冷却、水冷）を行う。なおプレス焼入とは、熱間
押出温度を利用して溶体化熱処理がなされ、押出形材が
高温のうちに押出直後に水冷、空冷等により焼入を行う
ことをいう。押出温度については押出加工が困難な押出
比の大きい薄肉の中空形材も加工できるように 420〜55
0 ℃の範囲で押出を行う。従来合金ではこの温度条件で
押出加工すると、再結晶が進行し、粗大な再結晶粒が生
成するため耐ＳＣＣ性が著しく低下し、また粗大な金属
間化合物が生成するため、押出加工性、成形性、耐食性
等が悪化する。しかしながら本発明に係わる組成の合金
においては、含有Ｍｎが再結晶粒のない繊維状組織にす
ると共にこの組織を微細に分散させることにより再結晶
の進行を抑制し、また、Ｆｅ、Ｓｉの含有量を限定した
ことにより粗大金属間化合物の生成を抑え、さらにＣｕ
の含有で耐ＳＣＣ性が大幅に向上することにより、押出
加工を可能としている。
【００１７】そして、高温で押出加工した材料に対する
プレス焼入は生産性を向上する上で大きなポイントとな
る。一般的に合金の焼入感受性は冷却速度を規定する
が、急冷による強度アップが一般的である。一方、本発
明合金は、ファン空冷等の押出時の冷却速度が遅く、熱
的歪みによる断面形状変化を小さく抑え、高速押出を可
能にする冷却方法と、水冷等の冷却速度が速く、従来合
金並の強度を得る冷却方法のどちらにも適応可能な合金
である。つまり焼入感受性が鈍感であるため種々のプレ
ス焼入（ファン空冷、ミスト冷却、水冷等）が可能とな
る。尚このプレス焼入に代えて別途通常の溶体化処理焼
入を施してもよいのはもちろんである。これらいずれの
場合もその後の人工時効処理により強度が大幅に上昇す
る。
プレス焼入は生産性を向上する上で大きなポイントとな
る。一般的に合金の焼入感受性は冷却速度を規定する
が、急冷による強度アップが一般的である。一方、本発
明合金は、ファン空冷等の押出時の冷却速度が遅く、熱
的歪みによる断面形状変化を小さく抑え、高速押出を可
能にする冷却方法と、水冷等の冷却速度が速く、従来合
金並の強度を得る冷却方法のどちらにも適応可能な合金
である。つまり焼入感受性が鈍感であるため種々のプレ
ス焼入（ファン空冷、ミスト冷却、水冷等）が可能とな
る。尚このプレス焼入に代えて別途通常の溶体化処理焼
入を施してもよいのはもちろんである。これらいずれの
場合もその後の人工時効処理により強度が大幅に上昇す
る。
【００１８】ただし、 550℃を越える温度で押出加工を
行うと、再結晶や粗大金属間化合物の生成が進行し、各
特性が劣化する。従って本発明においては、押出加工の
温度は 420〜550 ℃の温度範囲に限定した。
行うと、再結晶や粗大金属間化合物の生成が進行し、各
特性が劣化する。従って本発明においては、押出加工の
温度は 420〜550 ℃の温度範囲に限定した。
【００１９】プレス焼入後常温まで冷却された押出材に
人工時効処理を施すが、人工時効処理は 100〜200 ℃で
２〜24時間の条件で行う。ここで、 200℃を越える温度
で処理を行うと粗大金属間化合物が析出し、成形性、耐
食性を劣化する。一方、 100℃未満の温度で処理を行う
と析出物の成長が不充分となり、強度が不足する。さら
に生産性を考慮して、本発明においては２〜24時間の条
件で行うことにする。
人工時効処理を施すが、人工時効処理は 100〜200 ℃で
２〜24時間の条件で行う。ここで、 200℃を越える温度
で処理を行うと粗大金属間化合物が析出し、成形性、耐
食性を劣化する。一方、 100℃未満の温度で処理を行う
と析出物の成長が不充分となり、強度が不足する。さら
に生産性を考慮して、本発明においては２〜24時間の条
件で行うことにする。
【００２０】上記本発明の製造方法で使用する原材料と
しては、コスト低減の点から自動車のアルミニウム合金
製熱交換器を製造する際に発生する屑を用い、これらを
溶解して上記組成の合金溶湯を得るのが良い。なお該溶
湯の合金組成が上記組成範囲の下限に満たない場合は不
足元素を添加して溶湯の合金組成を調整すればよい。
しては、コスト低減の点から自動車のアルミニウム合金
製熱交換器を製造する際に発生する屑を用い、これらを
溶解して上記組成の合金溶湯を得るのが良い。なお該溶
湯の合金組成が上記組成範囲の下限に満たない場合は不
足元素を添加して溶湯の合金組成を調整すればよい。
【００２１】以上説明したように、本発明により得られ
るアルミニウム合金押出材は、自動車用熱交換器（エア
コン、ラジエーター）等に使用される材料を原料として
押出材に展開することによるコスト低減と中強度アルミ
ニウム合金として代表的なＪＩＳ６０６１合金と同等さ
らにそれ以上の性能と金属組織を有するために成形性や
表面処理性に優れる。これにより本発明合金及び製造方
法により得られる自動車構造部材用アルミニウム合金押
出材は強度、成形性、金属組織、耐食性、耐ＳＣＣ性及
び表面処理性に優れる材料である。
るアルミニウム合金押出材は、自動車用熱交換器（エア
コン、ラジエーター）等に使用される材料を原料として
押出材に展開することによるコスト低減と中強度アルミ
ニウム合金として代表的なＪＩＳ６０６１合金と同等さ
らにそれ以上の性能と金属組織を有するために成形性や
表面処理性に優れる。これにより本発明合金及び製造方
法により得られる自動車構造部材用アルミニウム合金押
出材は強度、成形性、金属組織、耐食性、耐ＳＣＣ性及
び表面処理性に優れる材料である。
【００２２】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明する。表
１に示す組成の本発明例（Ｎo.１〜４）、比較例（Ｎo.
５〜８）、従来例（Ｎo.９〜11）の合金をそれぞれＤＣ
鋳造によりφ219mm の押出用鋳塊に鋳造し、均質化処理
をそれぞれ表１に示す条件で行った。その後、表１に示
す押出温度までそれぞれ再加熱し、日の字型中空形状
（中空外周部肉厚 2.0mm、中柱部肉厚1.5mm)のダイスで
熱間押出加工し、プレス焼入を施した。このプレス焼入
は表１に示すごとく熱間押出直後に水冷による焼入、ま
たはファン空冷による焼入を行った。その後表１に示す
条件で人工時効処理を行った。なお表１の本発明例Ｎo.
１〜４の合金は、いずれもアルミニウム製熱交換器の製
造段階で加工屑として出される材料を用いた。
１に示す組成の本発明例（Ｎo.１〜４）、比較例（Ｎo.
５〜８）、従来例（Ｎo.９〜11）の合金をそれぞれＤＣ
鋳造によりφ219mm の押出用鋳塊に鋳造し、均質化処理
をそれぞれ表１に示す条件で行った。その後、表１に示
す押出温度までそれぞれ再加熱し、日の字型中空形状
（中空外周部肉厚 2.0mm、中柱部肉厚1.5mm)のダイスで
熱間押出加工し、プレス焼入を施した。このプレス焼入
は表１に示すごとく熱間押出直後に水冷による焼入、ま
たはファン空冷による焼入を行った。その後表１に示す
条件で人工時効処理を行った。なお表１の本発明例Ｎo.
１〜４の合金は、いずれもアルミニウム製熱交換器の製
造段階で加工屑として出される材料を用いた。
【００２３】
【表１】
【００２４】上記の工程で加工した押出材について、機
械的性質、金属組織（再結晶の有無）、成形性、耐ＳＣ
Ｃ性、耐食性、及び表面処理性を調べた。機械的性質は
ＪＩＳ５号引張試験片を押出長手方向から採取し、引張
試験を行い、引張強さ、耐力、伸びにより評価した。成
形性は、日の字型中空形材をドローベンダーにより曲率
半径 200mmに曲げ加工し、その変形能、加工の可否につ
いて総合的に評価し、○は曲げ良好、△はしわ・変形
大、×は曲げ不能で表した。金属組織については押出材
断面の表層、内部について組織観察した。耐ＳＣＣ性は
試験片に素材耐力の25％の負荷荷重を加え塩水噴霧内で
500時間内でＳＣＣ割れについて評価しＪＩＳ６０６１
合金（従来例Ｎo.９）と比べて相対評価で○は良好、△
は同等、×は不良で評価した。耐食性は塩水噴霧試験で
500時間経過後の腐食減少量（mg）で評価した。表面処
理性はＪＩＳ６０６１合金相当条件の硫酸アルマイトを
行い、付着量及び色差についてＪＩＳ６０６１と比べて
相対評価し、○は良好、△は同等、×は不良で評価し
た。これらの結果を表２に示した。
械的性質、金属組織（再結晶の有無）、成形性、耐ＳＣ
Ｃ性、耐食性、及び表面処理性を調べた。機械的性質は
ＪＩＳ５号引張試験片を押出長手方向から採取し、引張
試験を行い、引張強さ、耐力、伸びにより評価した。成
形性は、日の字型中空形材をドローベンダーにより曲率
半径 200mmに曲げ加工し、その変形能、加工の可否につ
いて総合的に評価し、○は曲げ良好、△はしわ・変形
大、×は曲げ不能で表した。金属組織については押出材
断面の表層、内部について組織観察した。耐ＳＣＣ性は
試験片に素材耐力の25％の負荷荷重を加え塩水噴霧内で
500時間内でＳＣＣ割れについて評価しＪＩＳ６０６１
合金（従来例Ｎo.９）と比べて相対評価で○は良好、△
は同等、×は不良で評価した。耐食性は塩水噴霧試験で
500時間経過後の腐食減少量（mg）で評価した。表面処
理性はＪＩＳ６０６１合金相当条件の硫酸アルマイトを
行い、付着量及び色差についてＪＩＳ６０６１と比べて
相対評価し、○は良好、△は同等、×は不良で評価し
た。これらの結果を表２に示した。
【００２５】
【表２】
【００２６】表２から明らかなように本発明例Ｎo.１〜
４は比較例Ｎo.５〜８や従来例Ｎo.９〜11と比べ強度、
成形性、金属組織、耐ＳＣＣ性、耐食性及び表面処理性
についてＪＩＳ６０６１合金と同等又はそれ以上に優れ
る材料であることが明確である。
４は比較例Ｎo.５〜８や従来例Ｎo.９〜11と比べ強度、
成形性、金属組織、耐ＳＣＣ性、耐食性及び表面処理性
についてＪＩＳ６０６１合金と同等又はそれ以上に優れ
る材料であることが明確である。
【００２７】
【発明の効果】このように本発明は薄肉及び複雑断面の
自動車部品のホロー、ソリッドステップ形材、ルーフレ
ール及びムーンルーフに代表されるアルミニウム合金押
出材を製造する際に、自動車の熱交換器（エアコン、ラ
ジエーター）等に使用される材料をリサイクルして展伸
材（押出材）に展開することによるコスト低減を果たす
と共に中強度アルミニウム合金として代表的なＪＩＳ６
０６１合金と同等又はそれ以上の強度を得ることができ
るものである。さらに成形性、金属組織、耐応力腐食割
れ性、耐食性及び表面処理性等の諸特性の改善により従
来にない工業的な効果を奏する。
自動車部品のホロー、ソリッドステップ形材、ルーフレ
ール及びムーンルーフに代表されるアルミニウム合金押
出材を製造する際に、自動車の熱交換器（エアコン、ラ
ジエーター）等に使用される材料をリサイクルして展伸
材（押出材）に展開することによるコスト低減を果たす
と共に中強度アルミニウム合金として代表的なＪＩＳ６
０６１合金と同等又はそれ以上の強度を得ることができ
るものである。さらに成形性、金属組織、耐応力腐食割
れ性、耐食性及び表面処理性等の諸特性の改善により従
来にない工業的な効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末田 研 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内
Claims (3)
- 【請求項１】 Ｓｉ： 0.5〜2.5 wt％、Ｆｅ： 0.2〜1.
0 wt％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt
％、Ｃｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5wt％を含
有し、残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなることを特
徴とする自動車構造部材用アルミニウム合金押出材。 - 【請求項２】 Ｓｉ： 0.5〜2.5 wt％、Ｆｅ： 0.2〜1.
0 wt％、Ｚｎ：0.45〜1.5 wt％、Ｍｇ： 0.1〜1.0 wt
％、Ｃｕ：0.05〜1.0 wt％、Ｍｎ： 0.4〜1.5wt％を含
有し、残部がＡｌ及び不可避的不純物よりなるアルミニ
ウム合金鋳塊を、 420〜580 ℃で２〜24時間の均質化処
理をした後 420〜550 ℃で熱間押出を行ってプレス焼入
を施し、しかる後、人工時効処理として 100〜200 ℃で
２〜24時間の熱処理を行うことを特徴とする自動車構造
部材用アルミニウム合金押出材の製造方法。 - 【請求項３】 原料としてアルミニウム合金製自動車用
熱交換器を製造する際の材料の加工屑を用いる請求項２
記載の自動車構造部材用アルミニウム合金押出材の製造
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4921795A JPH08225874A (ja) | 1995-02-14 | 1995-02-14 | 自動車構造部材用アルミニウム合金押出材とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4921795A JPH08225874A (ja) | 1995-02-14 | 1995-02-14 | 自動車構造部材用アルミニウム合金押出材とその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08225874A true JPH08225874A (ja) | 1996-09-03 |
Family
ID=12824793
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4921795A Pending JPH08225874A (ja) | 1995-02-14 | 1995-02-14 | 自動車構造部材用アルミニウム合金押出材とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08225874A (ja) |
Cited By (14)
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| KR100732195B1 (ko) * | 2005-02-15 | 2007-06-27 | 주식회사동양강철 | 성형성이 우수한 압출용 고강도 알루미늄 합금 |
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| WO2023054022A1 (ja) * | 2021-09-28 | 2023-04-06 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金押出管、その製造方法及び熱交換器用配管部材 |
-
1995
- 1995-02-14 JP JP4921795A patent/JPH08225874A/ja active Pending
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| JP2023048805A (ja) * | 2021-09-28 | 2023-04-07 | 株式会社Uacj | 配管コネクタ用アルミニウム合金押出材、その製造方法及び配管コネクタ |
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