JP4364509B2 - 連続圧延機の制御装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
この発明は鋼板等の圧延を行う連続圧延機の制御装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
連続圧延設備には、連続的に配置された複数の圧延スタンドごとにロールを回転させてストリップ(被圧延材)を搬送しつつ圧延する連続圧延機が備わっている。こうした圧延を行う連続圧延機は、各圧延スタンド間にルーパと呼ばれる搬送形状規制機構が配置してあり、ストリップがスタンド間で一定の長さのループ(曲線)を保って所要の張力を維持するよう制御し、ストリップの板厚や板幅の品質確保ならびに安定操業を図るようにしている。
【0003】
第1図は連続圧延機の要部の概略構成図であり、第2図は「H∞制御の実プラントへの応用」(計測自動制御学会)p.70〜p.73に記載の第1の従来技術を用いた連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。第1図において、1は連続圧延機、21は被圧延材であるストリップ、22は前段圧延スタンド、23は後段圧延スタンド、24はミルモータ、25はルーパ、26はルーパモータ、27はストリップ21の張力を検出する張力検出器、28はルーパ25の回転角度および回転速度を検出するルーパ角度検出器である。なお、第1図に示す制御装置は、適用技術の内容、すなわち従来技術かこの発明の実施の形態かによって構成が異なるため、符号を付さない一般的な表記としてある。また、張力検出器27やルーパ角度検出器28は、視認のしやすさに配慮して連続圧延機1を示す点線内に図示したが、実体分類上は制御装置の構成要素に含めるものとする。第2図において、20は、第1の従来技術を用いた制御装置、2はミル速度制御器、3はルーパトルク制御器、5は張力設定トルク演算器、6はルーパ角度制御器である。
【0004】
次に動作について説明する。
連続圧延機1は、各圧延スタンド22,23ここでは前段圧延スタンド22においてロールで圧下を行いながらミルモータ24でロールを回転駆動し、ストリップ21を送り出すことにより圧延を行う。また、圧延スタンド22,23間にはルーパモータ26が駆動するルーパ25とその付帯機構が配置してあり、ミルモータ24により搬送駆動されるストリップ21にルーパ25を当接させて搬送形状を規制する。一方、制御装置20は、ミル速度制御器2がミルモータ24の速度をミル速度指令vrに一致させるよう制御し、ルーパトルク制御器3がルーパモータ26のトルクをトルク指令qrに一致させるよう制御する。すなわち、制御装置20は、ミル速度指令vrおよびルーパトルク指令qrを適切に演算し、ストリップ21に一定の張力を与えつつ、ストリップ21が圧延スタンド間で一定のループ(曲線)を構成するよう、すなわちルーパ25の角度が一定になるよう制御する。
【0005】
なお、上記説明では圧延スタンド22,23間のストリップ21の張力σおよびルーパ25の角度θを制御するために前段圧延スタンド22のミル速度を制御する構成を例にとったが、ミル速度の制御対象は前段圧延スタンド22に限定されず、後段圧延スタンド23でもよい。
【0006】
ところで、制御装置20に適用された第1の従来技術は、古くから最も一般的に用いられている方式であり、特別優れた張力制御性能を有するとは言えないが、制御方式が単純で簡単に利用できる方式と言える。この制御装置20へは、外部から張力指令σrとルーパ角度指令θrが入力され、かつまたルーパ角度検出器28が検出するルーパ角度θが入力される。張力設定トルク演算器5は、張力指令σrに基づき、定常的にストリップ21の張力σを張力指令σrに一致させた状態で、ルーパ25がストリップ21を支えるためのルーパモータ26のトルクをフィードフォワード的に演算し、張力設定トルクqsとして出力する。張力設定トルクqsはトルク指令qrとしてルーパトルク制御器3に入力され、ルーパトルク制御器3がルーパモータ26のトルクをトルク指令qrに一致させるよう制御する。ルーパ角度制御器6は、ルーパ角度指令θrとルーパ角度θの差である角度偏差θeを入力し、角度偏差θeに角度比例ゲインCpを乗じた信号と、角度偏差θeを積分して角度積分ゲインCiを乗じた信号との和信号を演算する。すなわち、ルーパ角度θが定常偏差を持たないようにPI(比例積分)演算を行い、ミル速度指令vrとして出力する。ミル速度制御器2は、ミル速度指令vrにミル速度を一致させるよう制御する。
【0007】
このように、制御装置20は、張力指令σeに一致する張力σのストリップ21を定常的にルーパ25によって釣り合って支えるような張力設定トルクqsを発生し、なおかつ、前段圧延スタンド22や後段圧延スタンド23における圧下の変動などによって生じるストリップ21の速度の変動に対して、ルーパ角度θをルーパ角度指令θrに一致させるよう、すなわち前段圧延スタンド22と後段圧延スタンド23のスタンド間でループの長さが一定になるようミル速度指令vrを修正する。かくして、ルーパ角度θと張力σは、それぞれルーパ角度指令θrと張力指令σrを目標値として制御される。更にまた、この方式の制御装置20は張力検出器27を必ずしも必要とせず、しかもフィードバック制御はルーパ角度制御器6のみで行うため、ルーパ角度制御器6を基幹とする1ループ制御系に簡単な調整を施すだけで操業を継続できるという特徴がある。
【0008】
しかしながら、制御系の単純さと制御性能の質は相反する場合が多く、連続圧延機1の特性が基本的にはストリップ21の弾性とルーパ25の慣性とからなるバネ慣性系の共振特性によって支配されているため、張力σをフィードバック制御しない構成の従来の制御装置20は、ルーパ角度制御器6のゲインを高くすると制御系が不安定になってしまい、張力σおよび角度θを高精度に制御することが困難であるという問題があった。
【0009】
次に、第3図に「H∞制御の実プラントへの応用」(計測自動制御学会)p.77〜p.79に記載の第2の従来技術を用いた連続圧延機の制御装置の構成を示す。制御対象である連続圧延機1の構成は、第1図に示した通りである。30は第2の従来技術を適用した制御装置、201はルーパ角度制御器、202は張力制御器、203は係数器H12,H21を有する非干渉制御器、204はルーパ速度制御器である。この第2の従来技術は非干渉制御に特徴があり、第1の従来技術との大きな相違点は、張力検出器27が検出する張力σに基づいてミルモータ24が張力σを、またルーパモータ26がルーパ角度θをそれぞれ分担して制御する点にある。
【0010】
次に、制御装置30の動作について説明する。まず、ルーパ角度指令θrとルーパ角度θの偏差であるルーパ角度偏差θeを入力とするルーパ角度制御器201が、ルーパ角度θが定常偏差を持たないようにPI演算を行った信号を出力する。一方、張力指令σrと張力σの偏差である張力偏差σeを入力とする張力制御器202が、張力σが定常偏差を持たないようにPI演算を行った信号を出力する。非干渉制御器203は、張力制御器202の出力を−1倍した信号と係数器H12にてルーパ角度制御器201の出力に定数h12を乗じた信号との和信号を、ミル速度指令vrとしてミル速度制御器2に入力するとともに、ルーパ角度制御器201の出力と係数器H21にて張力制御器202の出力に定数h21を乗じた信号との和信号を、ルーパ速度指令ωrとしてルーパ速度制御器204に入力する。ルーパ速度制御器204は、ルーパ角度検出器28が検出したルーパ速度ωをルーパ速度指令ωrに一致させるよう、ルーパトルク指令qrを演算してルーパトルク制御器3に入力し、ルーパトルク制御器3はルーパモータ26の発生トルクをルーパトルク指令qrに一致させるよう制御する。
【0011】
ここで、前記のルーパ速度制御器204は、ルーパ角度制御器201や張力制御器202や非干渉制御器203とは別の計算機でもって構成され、通常はルーパトルク制御器3と同様にモータドライブ装置内の計算機で構成される。しかも、このモータドライブ装置内の計算機による演算は、ルーパ角度制御器201や張力制御器202あるいは非干渉制御器203における演算よりも高速のサンプリング周期をもって行われる。このルーパ速度制御器204は、ルーパモータ26に対して外部から定常的なトルクが加わってもルーパ速度ωがルーパ速度指令ωrに一致するよう、積分フィードバックを含む制御を行い、例えばルーパ速度指令ωrとルーパ速度ωとの偏差を入力としたPI演算によりルーパ速度指令qrを演算する。
【0012】
第2の従来技術を用いた制御装置30は、張力σをミルモータ24で、ルーパ角度θをルーパモータ26で制御する構成であり、張力σの定常値およびルーパ角度θの定常値をそれぞれミルモータ24およびルーパモータ26で制御するように動作する。したがって、PI演算を行う張力制御器202の動作によって張力偏差σeを積分した信号成分がミル速度指令vrに加算され、またルーパ角度制御器201およびルーパ速度制御器204の動作によりルーパ角度偏差θeを積分した信号成分がルーパトルク指令qrに加算される点に特徴がある。ただし、仮にルーパ角度制御器201がPI演算でなく比例演算しか行わない場合でも、ルーパ速度制御器204がPI演算を行えば、ルーパ角度偏差θeの比例成分がルーパ速度指令ωrに加わり、更にルーパ速度指令ωrがルーパ速度制御器204のPI演算で積分された成分がルーパトルク指令qrに加算されるため、ルーパ角度偏差θeを積分した信号成分がルーパトルク指令qrに加算され、ルーパ角度θの定常値をルーパモータ26で制御する動作原理に変わりはない。
【0013】
また、ミルモータ24による張力σの制御とルーパモータ26によるルーパ角度θの制御が互いに干渉するのを避けるため非干渉制御器203を用いているが、上述の説明のように張力偏差σeを積分した信号成分がミル速度指令vrに加算され、ルーパ角度偏差θeを積分した信号成分がルーパトルク指令qrに加算されることで、張力σの定常値をミルモータ24で制御し、ルーパ角度θの定常値をルーパモータ26で制御する動作原理に変わり無いことも明らかである。
【0014】
第2の従来技術を適用した制御装置30は上述のように動作するため、圧延スタンド間におけるストリップ21のループの長さに関係なくルーパ角度θの定常値をルーパモータ26で制御するように動作する。したがって、ルーパ角度制御器201と張力制御器202の両方の比例ゲインおよび積分ゲインを一度に適切に設定しない場合は、ストリップ21からルーパ25が離間してしまう可能性があり、特に操業を開始する際の調整が難しいという問題があった。
【0015】
また、非干渉制御器203を用いているとは言え、張力σの制御とルーパ角度θの制御を完全に非干渉化することは不可能であり、特に張力制御器202およびルーパ角度制御器201の制御ゲインが小さい場合は、張力σの制御とルーパ角度θの制御が互いに干渉して制御系が不安定になることがあり、こうした問題を視野に入れた制御系の調整が難しいという問題もあった。更に、張力制御器202およびルーパ角度制御器201の制御ゲインを十分に大きくした場合は、ルーパ角度制御器201の動作によりルーパ角度θを固定するよう動作するため、張力σの制御はミルモータ24だけで行うようになってしまい、張力σの制御にルーパ25が積極活用できないことで張力制御精度を高めることができないという問題があった。
【0016】
次に、第4図に電気学会論文誌C,Vol.116,No.10,pp.1111〜pp.1118および特開平8−155522号公報に記載の第3の従来技術を適用した制御装置の構成を示す。第4図において、第2図と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。40は、第3の従来技術を適用した制御装置、205は多変数比例制御器である。この第3の従来技術は、第1の従来技術に多変数比例制御器205を加えたものである。
【0017】
次に制御装置40の動作を説明する。まず前記第1の従来技術を用いた制御装置20と同様、ルーパ角度制御器6はルーパ角度偏差θeを入力しPI演算を行った信号を出力し、また張力設定トルク演算器5は張力指令σrに基づいて張力設定トルクqsを演算する。多変数比例制御器205は、張力指令σrを基準とした張力σの変動分である変動張力Δσとルーパ速度ωを入力し、変動張力Δσに設定した定数h22を乗じた信号とルーパ速度ωに設定した定数h21を乗じた信号との和信号vhと、変動張力Δσに設定した定数h12を乗じた信号とルーパ速度ωに設定した定数h11を乗じた信号との和信号qhを出力する。次に、ルーパ角度制御器6の出力と多変数比例制御器205の出力vhを−1倍した信号の和信号をミル速度指令vrとしてミル速度制御器2に入力し、張力設定トルクqsと多変数比例制御器205の出力qhを−1倍した信号の和信号をルーパトルク指令qrとしてルーパトルク制御器3に入力する。
【0018】
ここで、制御装置40では、張力σからルーパトルクqrへの比例ゲインは上述のようにh12であるが、比例ゲインh12の決定は、ルーパ角度制御器6を動作させずに多変数比例制御器205を動作させたときに、ルーパ角度θが無限大に発散しないよう、すなわち連続圧延機1におけるストリップ21の張力σの変動がルーパ25に与えるトルクの変動を相殺することを条件に行われる。したがって、h12は負符号であり、張力σの増大に伴ってルーパトルク指令qrを増大させる方向に作用する。この比例ゲインh12は、その効果により張力σの変動に対するよりもルーパ角度θの変動が小さくなるように設定される。
【0019】
ブロック構成からも明らかなように、制御装置40は、最も簡単に圧延設備を操業できる第1の従来技術すなわちルーパ角度制御器6による1ループ制御に、4つの比例ゲイン要素からなる多変数比例制御器205を追加しただけの構造である。このため、ルーパ角度制御器6による1ループ制御を踏まえ、ゲインを一つずつ追加して調整すれば良く、第2の従来技術に比べると調整が簡単であることは評価できる。
【0020】
しかしながら、上述の演算の全てを同一のサンプリング周期でもって演算すると、演算に時間がかかってしまってサンプリング周期が長く(通常は数10msec)なってしまう。また、サンプリング周期が長くなることは無駄時間が無視できなくなることを意味し、制御系全体の応答性が鈍ってしまう分だけ、張力σの制御精度を十分に高くできないという問題がある。また、張力σからルーパトルク指令qrまでの比例ゲインh12を、張力σが増大するとルーパトルク指令qrが増大する方向の符号に選択してあるため、張力σの変動に対してルーパ角度θをなるべく変動させないよう動作させることになる。その結果、張力σの変動を抑制する制御にルーパ25が積極活用できず、ミルモータ24だけで張力σの制御を行おうとするために、張力σの制御精度に限界が生じてしまい、十分に精度を向上させるのが難しいという問題があった。
【0021】
このように、第1ないし第3の従来技術は、制御系の調整が難しかったり、あるいはまた調整が簡単でも制御精度を十分に向上させるのが困難であるという問題があった。
【0022】
この発明は、上述のような問題を解決するためのものであり、簡単な調整で高精度の張力制御を実現することを目的とする。
【0023】
【発明の開示】
この発明に係る連続圧延機の制御装置は、ミルモータにより搬送駆動される被圧延材にルーパモータが回転駆動するルーパを当接させて搬送形状を規制し連続的に圧延を行う連続圧延機に適用され、トルク指令を与えられて前記ルーパモータをトルク制御するルーパトルク制御器と、ミル速度指令を与えられて前記ミルモータを速度制御するミル速度制御器とを備える連続圧延機の制御装置において、外部入力されたルーパ角度指令に対するルーパ角度の偏差であるルーパ角度偏差に制御演算を施し、演算結果をミル速度指令として前記ミル速度制御器に与えるルーパ角度制御器と、該ルーパ角度制御器よりも高速の演算速度をもって動作し、外部入力されたルーパ速度指令に対するルーパ速度の偏差であるルーパ速度偏差に制御演算を施し、演算結果を前記ルーパ角度制御器の出力とは一切無関係なトルク指令として前記ルーパトルク制御器に与えるルーパ速度制御器とを備えるものである。
【0024】
このことによって、ルーパ速度制御器がルーパ速度偏差に制御演算を施して得た演算結果がルーパ角度制御器の出力とは一切無関係なトルク指令としてルーパトルク制御器に与えられ、ルーパ速度制御器が出力するトルク指令中にルーパ角度偏差を積分した成分が含まれないために、ルーパ角度の定常値を張力の定常値とは別個に制御することはなく、これによりルーパ角度制御器による1ループ制御を基本とした簡単な調整で高精度な制御が可能であり、更にまたルーパ速度の変動に対しては、ルーパ速度制御器がルーパ角度制御器よりも高速の演算速度をもって補償するため、演算周期の長さに起因する制御系の無駄時間を小さく抑え、十分な即応性をもってルーパモータを速度制御し、被圧延材の張力制御とルーパ角度制御ならびにルーパ速度制御の品質を大幅に向上させることができる効果がある。
【0025】
この発明に係る連続圧延機の制御装置は、ルーパ速度制御器が、前記ルーパ速度偏差を比例倍し、被圧延材の張力目標値である張力指令に基づき演算したルーパトルク指令に加算するルーパ速度比例制御器を備えるものである。
【0026】
このことによって、ルーパ速度比例制御器の比例ゲインを大きくすることが、ルーパ速度の変動をルーパトルク指令によって比例補償することを意味し、ルーパおよびルーパモータに対して外部から加わるトルクの変化に対するルーパ速度の変動が抑制され、またルーパ速度制御器におけるルーパ速度のフィードバック制御が比例制御であり、時間項を含む積分制御とは無縁であるため、張力偏差が0でない限りルーパ速度が0になって静止することはなく、したがってルーパ速度制御器が積分制御も行う場合に比べてルーパ角度の変動を抑制し過ぎることはなく、ルーパを被圧延材から離間させてしまって実質的な制御不能期間を生み出す懸念は殆どないので、品質の高い安定操業が可能であるという効果がある。
【0027】
この発明に係る連続圧延機の制御装置は、張力指令に対する張力の偏差である張力偏差を比例倍し、前記ルーパ速度指令に加算する張力交差比例制御器を備えるものである。
【0028】
このことによって、張力交差比例制御器が張力の増大に対してルーパトルク指令を減少させるよう演算し、張力の変動に対してルーパを早い応答でかつ積極的に動かして補償することができ、ルーパ速度制御器を用いない従来技術と比較したときに、張力に対するルーパ角度の変動方向に関しては同じであるが、ルーパ速度制御器によりルーパが恰も慣性を小さくしたかのごとく素早く動かされる分だけ、張力の変動を大幅に抑制することができ、更にまたルーパ角度の変動幅に関しても、ルーパ角度制御器の動作により押さえられるので、大きくなり過ぎることはなく、また張力の変動に対するルーパ速度の応答が速くなるので、ルーパ角度制御器の応答性を高く設定することが可能になり、制御系全体の応答性を高め、ルーパ角度制御と張力制御の精度を向上させ安定操業を確固たるものにできる効果がある。
【0029】
この発明の連続圧延機の制御装置は、前記張力指令に対する張力の偏差である張力偏差を比例倍し、前記ミル速度指令への減算入力とする張力比例制御器を備えるものである。
【0030】
このことによって、張力比例制御器の比例ゲインに応じて、張力変動をミル速度指令でもって比例補償することができ、この比例補償の結果として張力変動が抑制されることで制御系の振動減衰効果が高まり、安定操業を更に確固たるものにできる効果がある。
【0031】
この発明の連続圧延機の制御装置は、張力比例制御器が、前記ルーパ角度制御器よりも高速の演算速度をもって動作する計算機からなるものである。
【0032】
このことによって、制御系全体で最も内側の制御ループの支配要因のうち、ルーパ速度制御器の外に張力比例制御器も高速演算動作させることができ、最も速い応答が要求される制御系全体で最も内側の制御ループが高速化することで、制御系全体の応答を更に高速化し、演算周期の長さに起因する制御系の無駄時間を小さく抑え、十分な即応性をもってルーパモータを速度制御することで、制御系全体の制御品質を向上できる効果がある。
【0033】
この発明の連続圧延機の制御装置は、張力指令に対する張力の偏差である張力偏差に積分演算を施し、演算結果を張力設定トルクに加算する張力積分制御器を備えるものである。
【0034】
このことによって、検出演算誤差等が原因で張力設定トルク演算器で演算した張力設定トルクによって定常的に釣り合う張力と張力検出器で検出した張力の定常値との間に定常的にオフセット誤差が生ずるような場合でも、張力積分制御器の積分演算動作により定常的なオフセット誤差の発生を断つことができ、より精度の高い張力制御が可能であり、しかも張力偏差の積分値をミル速度指令には加算せず、ルーパトルク指令にだけ加算する構成であるから、ルーパ角度偏差の積分成分をルーパトルク指令に加算する制御ループを追加する必要がなく、更にまたオフセット誤差に対する補正には即応性は要求されないので張力積分ゲインは小さな値でよく、したがって張力積分制御器を設けたことで制御系全体の動特性が劣化する懸念は無用であり、制御ループ数の最小限の追加でもって張力制御性能を高め、操業の安定性と品質を高めることができる効果がある。
【0035】
この発明の連続圧延機の制御装置は、ルーパ速度制御器が、前記外部入力されるルーパ速度指令を零に固定されており、前記ルーパ速度に負の定数を乗算した値をトルク指令として前記ルーパトルク制御器に設定するものである。
【0036】
このことによって、ルーパ速度制御器が、張力偏差に応じたルーパ速度指令を受けず、張力に関係なくルーパ速度指令を0に置き換えた形で制御動作を行い、最も内側に相当する制御ループはルーパ速度をルーパトルク指令にフィードバックする制御ループだけであり、また張力をミル速度指令にフィードバックする制御ループが無くてもよいので、高速応答性は多少劣るものの、ルーパ角度制御器よりも高速演算動作を行うことで素早く偏差に対応し、制御系全体の応答を高速にし、張力の制御精度を向上させることができる効果がある。
【0037】
この発明の連続圧延機の制御装置は、前記ルーパ速度を比例倍し、前記ミル速度指令への減算入力とするルーパ速度交差比例制御器を備えるものである。
【0038】
このことによって、ルーパ角度の変動を更に小さくすることが望まれる場合に、調整ゲインが増える分だけ調整の難しさは増すが、ルーパを張力制御に積極的に用いる効果を弱め、ルーパ角度の変動を更に小さくし、聴力制御にミルモータとルーパモータを用いる比率を調整して最適な制御を実現できる効果がある。
【0039】
この発明の連続圧延機の制御装置は、前記ルーパ角度制御器の入力であるルーバ角度偏差を比例倍し、前記ルーパ速度制御器の入力であるルーパ速度指令に加算するルーパ角度比例制御器を備えるものである。
【0040】
このことによって、ルーパ角度比例ゲインを小さな適値に設定した場合は、張力偏差の応答が一旦負に大きく振れた後、正に振れさせることなく整定に至らしめることができ、これにより過渡変動抑制型の張力制御が実現され、しかもルーパ角度偏差を積分した信号成分を加算するのではないので、あくまで張力の定常値が必ずルーパ角度の定常値に影響を与えることに変わりはなく、ルーパ角度の定常値と張力の定常値を別個に制御することがないため、ルーパ角度制御器を基幹とする1ループ制御系に補助的に比例制御ループを1つずつ追加していく簡単な調整を施すことで、張力の制御精度を向上させることが可能である。
【0041】
この発明の連続圧延機の制御装置は、ルーパ速度制御器が、前記ルーパ速度偏差をルーパ速度ゲインだけ比例倍するルーパ速度比例制御器を備えており、該ルーパ速度比例制御器へは被圧延材の張力目標値である張力指令に基づき演算した張力設定トルクを前記ルーパ速度ゲインで除算して得た値を含むルーパ速度指令を与えるものである。
【0042】
このことによって、ルーパ速度比例制御器の出力段において被圧延材の張力目標値である張力指令を加算せず、ルーパ速度制御器の前段側で張力指令をルーパ速度ゲインで除算して得た値を含むルーパ速度指令を与えることで、実質的にはルーパ速度ゲインとその逆数が相殺しあってゲインが1の張力指令がルーパ速度比例制御器の出力に加算されることになり、加算処理動作を一つ減らしたルーパ速度制御器の処理速度の高速化に寄与でき、しかもルーパ速度制御器は比例制御しか行わないので、ルーパ角度の変動を抑制し過ぎることはなく、またルーパ速度制御器が時間関数の演算を行わないので、定常的なルーパトルク指令を外部から設定するのが容易である。
【0043】
この発明の連続圧延機の制御装置は、ルーパ速度制御器が、前記ルーパ速度偏差を比例積分演算し、被圧延材の張力目標値である張力指令に基づき演算したルーパトルク指令に加算するルーパ速度比例積分制御器を備えるものである。
【0044】
このことによって、ルーパ速度制御器が比例動作に加えて積分動作を行い、これによりルーパトルク指令に張力偏差を積分した値が含まれ、ルーパトルク指令の定常値を張力に定常偏差が生じないような値に設定することができる。
【0045】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
第5図は、この発明の実施の形態1である連続圧延機の制御装置のブロック構成を示すものである。同図において、1は要部を概略図示した連続圧延機、2はミル速度制御器、3はルーパトルク制御器、4は低速演算部、5は張力設定トルク演算器、6はルーパ角度制御器、9はルーパ速度制御器、10はルーパ速度比例制御器、11は張力比例制御器、12は張力交差比例制御器、50は制御装置である。なお、第1図において、前述したように、張力検出器27やルーパ角度検出器28は制御装置50の構成要素である。
【0046】
次に動作を説明する。
まず、連続圧延機1の動作であるが、第1図を参照して説明すると、通常の連続圧延設備では複数台(通常は6、7台)の圧延スタンドを連続的に配置して圧延を行うが、以下の説明では連続圧延機1の一対の圧延スタンド間の動作に絞って説明する。各圧延スタンド(前段圧延スタンド22)はロールで圧下を行いながらミルモータ24でロールを回転駆動させ、ストリップ21を送り出すことにより圧延を行う。また、圧延スタンド間にルーパモータ26によって駆動するルーパ25とその付帯機構が配置されている。また、ミル速度制御器2によりミルモータ24の速度がミル速度指令vrに一致するように制御し、ルーパトルク制御器3によりルーパモータ26のトルクがトルク指令qrに一致するように制御している。制御装置50は、ミル速度指令vrおよびルーパトルク指令qrを適切に演算し、ストリップ21が一定の張力を保ち、なおかつストリップ21がスタンド間で一定のループ(曲線)を維持するよう、すなわちルーパ25の角度が一定になるよう制御する。
【0047】
まず、第5図に示した低速演算部4の動作について説明する。低速演算部4は、外部から張力指令σrとルーパ角度指令θrを入力するとともに、第1図に示した張力検出器27で検出したストリップ21の張力σとルーパ角度検出器28で検出したルーパ角度θを入力する。なお、張力検出器27は、例えばルーパ25の先端に取り付けたロードセルにより構成されるが、ルーパモータ26の駆動電流に基づいて張力σを検出することもでき、その場合は駆動電流検出器が張力検出器27を構成する。低速演算部4の内部では、張力設定トルク演算器5が張力指令σrに基づいて動作し、定常的にストリップ21の張力σを張力指令σrに一致させた状態で、ルーパ25によってストリップ21を支えるためのルーパモータ26のトルクをフィードフォワード的に演算し、張力設定トルクqsとして出力する。一方、ルーパ角度制御器6は、ルーパ角度指令θrとルーパ角度θの偏差である角度偏差θeを入力し、角度偏差θeに角度比例ゲインCpを乗じた信号と、角度偏差θeを積分して角度積分ゲインCiを乗じた信号との和信号を出力し、すなわちPI(比例積分)演算を行う。張力比例制御器11は、張力指令σrと張力σの偏差である張力偏差σeに張力比例ゲインCvσを乗じた信号を出力する。また、張力交差比例制御器12は、前記の張力偏差σeに張力交差比例ゲインCωσを乗じた信号を出力する。なお、角度比例ゲインCp、角度積分ゲインCi、張力比例ゲインCvσ、張力交差比例ゲインCωσは、それぞれ所定の定数が設定される。
【0048】
ここで、低速演算部4は、ルーパ角度制御器6の出力と張力比例制御器11の出力に−1を乗じた信号との和信号をミル速度指令vrとし、張力交差比例制御器12の出力をルーパ速度指令ωrとし、張力設定トルクqsをフィードフォワードトルクqfとする。さらに、低速演算部4は前記のフィードフォワードトルクqfとルーパ速度指令ωrとを出力してルーパ速度制御器9に入力するとともに、ミル速度指令vrを出力してミル速度制御器2に入力する。
【0049】
なお、低速演算部4が出力するミル速度指令vrは、前述の演算方法に限定されず、後段圧延スタンド23におけるミルモータの速度やロールの圧下に応じてフィードフォワード的に演算したフィードフォワード速度vfを加算するようにしてもよい。
【0050】
ここで、上記で動作を説明した低速演算部4の演算は、具体的には計算機によって実現されるものであり、全て同じサンプリング周期で演算してよく、従来の連続圧延機の制御装置20,30,40等と同様、数10msec程度のサンプリング周期で演算を行うものである。また、低速演算部4は、通常、ミル速度制御器2やルーパトルク制御器3とは別の計算機で実現される。
【0051】
次に、ルーパ速度制御器9の動作について説明する。ルーパ速度制御器9は、低速演算部4が出力したフィードフォワードトルクqfとルーパ速度指令ωrを入力し、ルーパ角度検出器28で検出したルーパ速度ωに基づき、ルーパ速度指令ωrとルーパ速度ωとの偏差であるルーパ速度偏差ωeにルーパ速度比例制御器10においてルーパ速度比例ゲインCqωを乗じた信号と、フィードフォワードトルクqfとの和信号をルーパトルク指令qrとして出力し、ルーパトルク指令qrをルーパトルク制御器3に入力する。なお、ルーパ速度比例ゲインCqωには所定の定数が設定される。
【0052】
上述のルーパ速度制御器9は、他の制御器と同様に計算機で実現されるが、ここでは低速演算部4よりも高速のサンプリング処理により演算を行う計算機を用いて構成してある。一般に、通常のモータードライブ装置はトルク制御器と共に高速サンプリング(サンプリング周期は数msec程度)処理に基づくPI制御などを行う速度演算器で構成されている場合が多い。このため、モータドライブ装置に備わった速度制御器を上述のルーパ速度制御器9のように構成することで、ルーパ速度制御器9の演算を低速演算部4よりも高速のサンプリング処理で演算することは簡単に可能である。
【0053】
また、通常のモータドライブ装置に備えられている速度制御器では、モータに対して外部から定常的な負荷トルクが加わっても速度指令に対してモータの速度が定常偏差を持たないよう、速度PI制御など積分を用いたフィードバック制御を行い、定常的な負荷トルクを自動的に補償するように構成されている。そのため、定常的なモータトルクは速度制御器の外部からは直接的に設定できない構成となっている。そこで、この実施の形態1では、第5図に示したように、ルーパ速度制御器9に積分制御動作を行わせず、ルーパ速度の比例制御とともに張力設定トルクqsをルーパトルク指令qrにフィードフォワードするような構成としてある。かくして、定常状態ではルーパ速度ωが0で張力偏差σeが0であるよう制御され、ルーパモータ26のトルクが張力設定トルクqsに一致するよう、張力設定トルクqsを低速演算部4すなわちルーパ速度制御器9の外部から直接的に設定できるようになる。また、張力設定トルク演算器5がフィードフォワード的に演算した張力設定トルクqsによって釣り合う定常的な張力σと張力検出器27で検出した張力σの定常値との間に誤差を生じない場合は、ルーパモータ26のトルクを定常的に張力設定トルクqsに一致させることにより、張力偏差σeは定常的に0になる。したがって、張力σの定常値は第1の従来技術と同様に張力設定トルクqsで簡単に設定することができ、同時にまたルーパ速度ωの変動に対しては、ルーパ速度制御器9が高速サンプリング処理により補償するため、サンプリング周期の長さに起因する制御系の無駄時間を小さく抑えることができ、かくして十分な即応性をもってルーパ速度ωの変化を制御することができる。
【0054】
次に、この実施の形態1における制御ゲインの定数設定方法および得られる効果について詳細に説明する。そのためにまず、連続圧延機1の特性について説明する。ここで、ミル速度制御器2およびルーパトルク制御器3は、それぞれミルモータ24の速度およびルーパモータ26のトルクをそれぞれミル速度指令vrおよびルーパトルク指令qrに可及的速やかに一致させるよう制御するものであり、また十分速く制御されるならば、張力σおよびルーパ角度θの制御特性には関与しなくなるため、ここでは理想的に十分速く制御されているものとして説明する。
【0055】
まず、ストリップ21における張力σの発生原理から、ストリップ21の弾性的な伸びの長さに対してヤング率等で決まる弾性係数eを乗じた張力σが発生する。したがって、前段圧延スタンド22で送り出されるストリップ21の速度を出側板速度vsと表すと、ストリップ21の弾性的な伸びは出側板速度vsの減少の積分に比例して増大する。また、ルーパ角度θの増大に対してストリップ21のループの長さは係数Klθに比例して増大し、弾性的な伸びの長さも増大する。更に、前述の出側板速度vsはミル速度(ロールの周速度)に応じて変化するが、圧延を行っているため、出側板速度vsはミル速度(ロールの周速度)よりも更に先進率と呼ばれる係数分だけ速くなり、その先進率はストリップ21の張力σの増大に対して係数Kvσに比例して増大する。また、前述の先進率は温度変化や圧延圧下の変動にも起因して変動するため、この変動が板速度外乱vdとして表される。また、張力σの増大はルーパ25に対してルーパ角度θを小さくする方向のトルクとして作用する(係数をKqσとする)。また、ルーパトルク指令qrに応じて発生したルーパモータ26のトルクがルーパ25に加わり、更にストリップ21の重量変化やルーパ25の軸の摩擦などがルーパトルク外乱qdとして作用する。ルーパ25の慣性をJとすると、ルーパ25に加わったトルクに対して1/Jに比例してルーパ25の加速度が発生し、その加速度が積分されてルーパ速度ωになり、更にルーパ速度ωが積分されてルーパ角度θになる。以上の特性をまとめると、連続圧延機1の伝達特性は第6図の伝達ブロック図で表され、同図から次の式(1)〜式(3)の状態方程式が得られる。
dσ/dt=−a11・σ+a12・ω+b1・vd−b1・vr
・・・・(1)
dω/dt=−a21・σ +b2・qd+b2・qr
・・・・(2)
dθ/dt= ω
・・・・(3)
ただし、上式における各係数は以下の式(4)〜式(8)である。
a11=e・Kvσ ・・・・(4)
a12=e・Klθ ・・・・(5)
a21=Kqσ/J ・・・・(6)
b1=e ・・・・(7)
b2=1/J ・・・・(8)
ここで、板速度外乱vdは前述のようにストリップ21の温度変化や圧延圧下の変動に伴って必然的に変動し、張力σやルーパ角度θを変動させる外乱となる。一方、ルーパトルク外乱qdはルーパ角度θが変動しなければ大きくは変動しないため、張力σおよびルーパ角度θの変動要因の最たるものは板速度外乱vdである。
【0056】
ここで、上記の式(1)〜式(3)で表される連続圧延機1の特性方程式(伝達関数の分母多項式)は次の式(9)で表される。
p(s)=s3+a11・s2+a12・a21・s
・・・・(9)
ただし、sはラプラス演算子で、上記および以下の説明における特性方程式は、sの最高次の係数が1になるように正規化して取り扱う。
【0057】
ところで、上式(9)のような特性多項式は、様々な外乱に対する制御系の状態変数の収束特性を表し、また特性多項式のsに関する根(特性多項式=0としたときのs)を極と呼び、極の複素平面上における位置関係が、制御系の特性を表すことが一般に良く知られている。また、特性多項式の係数の比が、例えば「PID制御」(朝倉書店),p.13〜p.15に記載の二項係数標準形やバターワース標準形、あるいは電気学会論文誌Vol.120−D,No.4,pp.609に記載の係数図法の標準形などの特定の関係にある場合には、制御系が振動的にならずに安定で、良好な制御特性を持つことが知られている。上記の式(9)の連続圧延機の特性多項式は、sの0次の項(定数項)の係数は0になっている。これは、連続圧延機1が無定位系と呼ばれる特性であって、何らかの外乱に対してある変数が定常的に無限大まで発散することを示している。具体的には、何も制御を加えない場合には何らかの外乱に対してルーパ角度θが発散してしまう現象を露呈する。また、式(9)の連続圧延機1の特性多項式は通常、sの2次の係数がsの1次の係数に対する良好な比の関係よりも小さく、その結果、極は虚部の大きい複素数となり、連続圧延機1が振動的な振る舞いを見せる。
【0058】
次に、上記のような連続圧延機1に対して、上述の動作を行う第5図の制御装置50を用いた場合の制御系の特性について説明する。閉ループの特性多項式は次の式(10)で表される。
p(s)=s4+k3・s3+k2・s2+k1・s+k0
・・・・(10)
【0059】
ただし、上記の式(10)の係数kn(n=0,1,2,3)は次式(11)〜(14)で表される。
k3=a11+b1・Cvσ+b2・Cqω
・・・・(11)
k2=(a11+b1・Cvσ)b2・Cqω
+(a21+b2・Cqω・Cωσ)a12
・・・・(12)
k1=a21・b1・Cp ・・・・(13)
k0=a21・b1・Ci ・・・・(14)
ただし、上記の式(11)〜式(14)においてaおよびbで始まる記号は式(4)〜式(8)に示したとおり、連続圧延機1の物理特性で決まる値であり、Cで始まる記号が制御装置の設定ゲインである。
【0060】
上記の式(10)〜式(14)より、張力比例制御ゲインCvσおよびルーパ速度比例ゲインCqωにより式(10)の特性多項式におけるsの3乗の係数k3を、また張力交差比例ゲインCωσによりsの2乗の係数k2を、ルーパ角度制御器6の角度比例ゲインCpおよび角度積分ゲインCiによりそれぞれsの1乗、sの0乗(定数項)の係数k1、k0を独立に設定することができる。すなわち、式(10)の特性多項式の係数は全て独立に設定することができ、極の配置を任意に設定することができる。したがって、特性多項式の係数の比や極を良好な関係にあるよう設定することで、第5図に示した比較的構成の簡単な制御装置50でもって最適な制御を実現できることが分かる。
【0061】
次に、特性多項式が上記の式(10)で表されるとき、線形状態変換を行うことにより制御系の閉ループ構造は第7図に示すように積分特性のカスケード構造で表すことができる。ただし、第7図においては入出力は省略してある。第7図に示したようなカスケード構造の制御系において安定な制御特性を達成するためには、例えばモータ制御における速度制御と位置制御の関係のように、外側(モータ制御における位置制御)の制御ループの応答性よりも内側(モータ制御における速度制御)の制御ループの応答性の方をより高速に設定する必要があることが広く知られている。ここで、上記で説明した特性多項式の係数の比が良好な関係にある場合というのは、第7図に示したカスケード構造に当てはめたときに、内側の制御ループの応答性を外側の制御ループの応答性よりも数倍高速に設定することに外ならない。
【0062】
また、制御系全体の応答性を高速化するためには、特性多項式の係数の比を良好な関係に保ったまま、すなわち内側の制御ループの応答性を外側の制御ループの応答性よりも数倍高速な関係に保ったまま、制御ループ全体の応答性を高めればよい。したがって、最も内側の制御ループが最も速く応答できるように構成することにより、応答性を最大限高速化させた制御系を実現することが可能になる。第5図に示した実施の形態1の制御系における最も内側の制御ループは、式(11)の関係から、ゲインがCvσである張力比例制御器11と、ゲインがCqωであるルーパ速度比例制御器10の制御ループに相当し、制御系全体の応答を安定で高速に実現するには、この最も内側の制御ループに最大の高速応答性を与えるとよいことが分かる。
【0063】
したがって、最も内側に相当する制御ループ、すなわち最大の高速応答性が必要とされる制御ループの一つであるルーパ速度比例制御器10の制御ループを、ルーパ速度制御器9において高速のサンプリング周期でもって演算させることで、サンプリングに起因した無駄時間を小さくして高速な応答を実現することが可能になる。かくして、第5図に示した制御系全体の応答を高速化することができる。
【0064】
次に、第5図に示した連続圧延機の制御装置50の各制御ループの性質について更に物理的観点から述べる。第5図に示す制御系においてルーパ速度比例制御器10、張力比例制御器11、張力交差比例制御器12のゲインを0にした場合、第1の従来技術と全く同じ制御系になる。すなわち、フィードバック制御はルーパ角度制御器6だけで行われる結果、応答が遅くなるという制約は受けるものの、簡単に制御できることは前述した通りである。そこで、この最も簡単な第1の従来技術から見たときに、張力比例制御器11を追加してゲインCvσを大きくすることは、張力変動をミル速度指令vrでもって比例補償することであり、この比例補償の結果として張力変動が抑制され、同時にまた制御系の振動減衰効果が高まることは容易に了解される。
【0065】
一方また、ルーパ速度比例制御器10を追加してゲインCqωを大きくすることは、ルーパ速度ωの変動をルーパトルク指令qrで比例補償することを意味し、ルーパ25およびルーパモータ26に対して外部から加わるトルクの変化に対するルーパ速度ωの変動は抑制される。この実施の形態1では、ルーパ速度制御器9におけるルーパ速度ωのフィードバックは比例制御を行い、積分制御は行わない構成を採用しているため、張力偏差σeが0でない限りルーパ速度ωが0になって静止することはなく、ルーパ速度制御器9が積分制御も行う場合に比べてルーパ角度θの変動を抑制し過ぎることはなく、ルーパ25をストリップ21から離間させてしまう懸念は殆どない。
【0066】
また、張力交差比例制御器12を追加してゲインCωσを大きくすることは、張力σの変動に対してルーパ25を積極的に動かして張力σを補償することを意味する。この張力交差比例制御器12による効果は、ルーパ速度制御器9を用いない第1の従来技術と比較したときに、張力σに対するルーパ角度θの変動方向に関しては同じであるが、ルーパ25がルーパ速度制御器9により素早く動かされる分だけ、張力σの変動を更に小さくすることが可能である。すなわち、ルーパ25の慣性を小さくするのと同様な効果をもたらす。なお、張力交差比例制御器12のゲインCωσの符号は当然ながら正であり、またルーパ速度比例制御器10のゲインCqωの符号も正であるので、張力σの増大に対してルーパトルク指令qrを減少させる方向に作用する。また、ルーパ角度θの変動幅に関しては、ルーパ角度制御器6が上記のような張力σの制御よりも低い周波数でミル速度指令vrを変更して補償するので、ルーパ角度θの変動が大きくなり過ぎることはなく、また張力交差比例制御器12の動作により張力σの変動に対するルーパ速度ωの応答が速くなるので、ルーパ角度制御器6の応答性を高く設定することが可能になり、結果的には制御装置全体の応答性を高め、ルーパ角度θの変動も抑制することに結実する。
【0067】
以上のように、本実施の形態は、最も簡単な制御方式である第1の従来技術と比較したときに、張力比例制御器11、張力交差比例制御器12、ルーパ速度制御器9におけるルーパ速度比例制御器10の3つの比例制御ループを追加するだけの簡単な構造でありながら、しかも3つの比例制御ループが互いに独立に調整できるので、個々の比例制御ループを一つずつ追加する簡単な調整をもって徐々に制御系全体の応答性を完成域にまで高めることができ、しかもルーパ角度制御器9が出力するトルク指令qr中にルーパ角度偏差θeを積分した成分が含まれないために、ルーパ角度θの定常値を張力σの定常値とは別個に制御することはなく、ルーパ角度制御器6による1ループ制御を基本とした簡単な調整で高精度な制御を実現することができる。
【0068】
このように、第1の従来技術の1ループ制御に触発され、比例制御ゲインを1つずつ設定しながら簡単な調整の追加で高精度の制御系を実現できたことの背景には、下記の3点が挙げられる。まず第1は、ルーパ角度偏差θeの積分成分をルーパトルク指令qrに加えず、かつまた張力偏差σeの積分成分をミル速度指令vrに加えないようにしたことで、張力σの定常値とルーパ角度θの定常値を別個に制御せず、張力偏差σeの定常値が必ずルーパ角度θの定常値に影響を与える構成を採用した点である。第2に、張力設定トルクqsによって張力σの定常値をフィードフォワード的に設定するとともに、ルーパ角度制御器6の作用によってルーパ角度θの定常値を制御する構成を採用した点である。第3は、ルーパ速度制御器9の構成を比例制御にして積分制御を行わないようにし、張力σの変動に対してルーパ角度θの変動を抑制し過ぎない構成を採用した点である。
【0069】
第8図は、本実施の形態における連続圧延機の制御装置50を用い、ステップ的な板速度外乱vdが加わった場合のシミュレーション結果を示すものである。なお、同図に示したシミュレーションでは、モデル化誤差を考慮し、特にミル速度指令vrから出側板速度vsまでの伝達特性における遅れを考慮している。また、第8図には比較のために第2の従来技術を用いた場合の応答も併せ示してある。同図から明らかなように、第2の従来技術ではルーパ角度θの変動を抑制してミルモータ26でのみ張力σを制御しようと試みた結果、上述のモデル化誤差の影響で安定性が劣化して振動的になったが、この実施の形態1では、ルーパ角度θをより速く積極的に動かして張力σの制御が行えることで、安定性が向上し、張力σの変動が低減されていることが分かる。
【0070】
なお、この実施の形態1では、張力設定トルクqsをそのままフィードフォワードトルクqfとし、張力交差比例制御器12の出力をルーパ速度指令ωrとしてルーパ速度制御器9に入力する構成としたが、ルーパ速度指令ωrを常に0とし、張力設定トルクqsと張力交差比例制御器12の出力にルーパ速度比例ゲインCqωを乗じた信号の和をフィードフォワードトルクqfとする構成とすることもでき、その場合も全く等価な動作をすることは言うまでもない。
【0071】
この実施の形態1は以上のように構成されており、ルーパ角度偏差をPI演算した信号をミル速度指令vrに加算し、ルーパ角度偏差θeの積分成分をルーパトルク指令qrに加算しないようにし、更に複数の比例制御ループを追加する構成としたので、最も簡単な方式である第1の従来技術、すなわちルーパ角度制御器6による1ループ制御を基本とした簡単な調整で高精度の制御を実現することができる。
【0072】
更に、最も高速な応答が必要とされる制御ループにおいて、ルーパ速度ωの比例成分をルーパトルク指令qrに加算する演算をルーパ速度制御器9が高速サンプリング処理にて実行する構成としたことで、最高速の応答性が要求される制御ループの応答を高速にすることができ、その結果制御系全体の応答を高速にすることができる。
【0073】
更に、ルーパ速度制御器9をルーパ速度指令ωrとルーパ速度ωの偏差を比例倍した信号と張力設定トルクqsとを加算した信号をルーパトルク指令qrとする構成としたことにより、ルーパ速度制御器9の外部からルーパトルク指令qrの定常値を直接的に設定でき、第1の従来技術と同様に簡単な制御器の構成および調整が可能である。また、ルーパ速度制御器9は積分制御を行わないため、ルーパ角度θの変動を抑制し過ぎることはなく、簡単な調整が可能である。
【0074】
更に、張力交差比例制御器12のゲインCωσを正にし、張力σの増大(減少)に対してルーパトルク指令qrを減少(増大)させる方向に働かせたことにより、張力σの増大(減少)に対するルーパ速度ωの応答を、ルーパ速度制御器9におけるルーパ速度比例制御器10のゲインCqωが0の場合よりも速く、また張力交差比例制御器12のゲインCωσが0のときよりも大きく動かし、すなわち張力σの変動に対してルーパ25を積極的に速く動かして補償することにより、張力σの変動をより小さく抑制することができる。
【0075】
実施の形態2.
第9図は、この発明の実施の形態2である連続圧延機の制御装置のブロック構成を示すものである。同図において、第5図と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。90は制御装置、101は低速演算部、102はルーパ速度交差比例制御器である。なお、連続圧延機の構成は第1図に示した通りである。以下に詳説するように、この実施の形態2では、第1の従来技術と同様、実施の形態1において使用した張力検出器27を備えない構成を採用しているが、相応の制御成果を挙げ得る点に特徴がある。
【0076】
実施の形態2の動作について説明する。
低速演算部101は、外部から張力指令σrとルーパ角度指令θrを入力し、またルーパ角度検出器28で検出したルーパ角度θとルーパ速度ωを入力する。また、実施の形態1と全く同様に張力設定トルクqsを演算してフィードフォワードトルクqfとして出力する。また、ルーパ角度制御器6も実施の形態1と全く同様にPI演算を行った信号を出力する。ルーパ速度交差比例制御器102は、ルーパ速度ωに設定したルーパ速度交差比例ゲインCvωを乗じた信号を出力する。また、低速演算部101は、ルーパ角度制御器6の出力とルーパ速度交差比例制御器102の出力に−1を乗じた信号の和信号をミル速度指令vrとして出力し、ミル速度制御器2に入力する。また、ルーパ速度制御器9は、上述のフィードフォワードトルクqfを入力し、またルーパ速度指令ωrとして常に0を入力する。ルーパ速度制御器9の動作は実施の形態1と同様であり、低速演算部101よりも高速のサンプリング周期でもって演算を行うものである。
【0077】
この実施の形態2では上記動作を行うので、実施の形態1の説明における式(1)〜式(3)で表される連続圧延機1の伝達特性を含む閉ループの特性多項式は、式(10)と同じ形である次式(15)で表され、またその係数は以下の式(16)〜式(19)で表される。
p(s)=s4+k3・s3+k2・s2+k1・s+k0
・・・・(15)
k3=a11+b2・Cqω ・・・・(16)
k2=(a12+b1・Cvω)a21 ・・・・(17)
k1=a21・b1・Cp ・・・・(18)
k0=a21・b1・Ci ・・・・(19)
なお、上記の式(16)〜式(19)においてaおよびbで始まる記号は実施の形態1の説明における式(4)〜式(8)に示したとおり、連続圧延機1の物理特性で決まる値であり、Cで始まる記号が制御装置の設定ゲインである。
【0078】
上記の式(15)〜式(19)から、ルーパ速度比例ゲインCqωにより式(15)の特性多項式におけるsの3乗の係数k3を、またルーパ速度交差比例ゲインCvωによりsの2乗の係数k2を、ルーパ角度制御器6の角度比例ゲインCpおよび角度積分ゲインCiによりそれぞれsの1乗、sの0乗(定数項)の係数k1,k0を独立に設定できることが分かる。すなわち、式(15)の特性多項式の係数は全て独立に設定でき、極の配置を任意に設定することができる。更に、特性多項式の係数の比や極の配置が良好な関係にあるように設定できることで、第9図に示した簡単な制御装置90でもって最適な制御を実現できることも了解される。
【0079】
また、実施の形態1と同様にルーパ速度制御器9におけるルーパ速度比例制御器10の演算を低速演算部101よりも高速のサンプリング周期でもって演算するため、ゲインがCqωであるルーパ速度比例制御器10の応答を高速に設定することが可能であり、またこの制御ループが実施の形態1で説明したような最も内側の制御ループに相当するため、制御系全体の応答を高速にし、張力の制御精度を向上させることが可能である。
【0080】
また、実施の形態1の説明と同様に、操業を行うために最も簡単な制御方式である第1の従来技術であるルーパ角度制御器6による1ループ制御に、比例制御ループを1つづつ追加して調整していくという簡単な調整を施すことで、張力の制御精度を向上させることが可能である。
【0081】
ここで、この実施の形態2を実施の形態1と比較すると、式(15)の特性多項式のsの3乗の係数k3を変更する前述の最も内側に相当する制御ループが、ルーパ速度ωをルーパトルク指令qrにフィードバックする制御ループだけであり、実施の形態1のように張力σをミル速度指令vrにフィードバックする制御ループが無いため、実施の形態2の方を実施の形態1よりも高速応答させることはできない。また、式(15)の特性多項式のsの2乗の係数k2を変更する制御ループとして、実施の形態1では張力交差比例制御器12の効果により張力σの変動に対して積極的にルーパ25を動かして補償をしていたのに対し、この実施の形態2では逆にルーパ速度交差比例制御器102の効果によりルーパ速度ωの変動をミル速度指令vrを用いて減衰させるよう動作する。すなわち、この実施の形態2はルーパ25を張力制御に積極活用しておらず、実施の形態1と比較した場合は、張力σの制御精度の向上効果は薄いと言える。
【0082】
以上のように、この実施の形態2では、実施の形態1よりも張力σの制御精度を向上はしないものの、張力検出器27を用いないより簡単な制御方式に則り、簡単な調整により第1の従来技術よりも高精度の張力制御が実現できる。また、サンプリング周期の速いルーパ速度制御器9を用いているため、制御系全体の応答を高速にすることができ、高精度の張力制御を実現することができる。なお、ルーパ速度交差比例制御器102は、前記実施の形態1に示した制御装置50の低速演算部4に追加することもできる。特に、ルーパ角度θの変動を更に小さくすることが望まれる場合に、調整ゲインCvωが増える分だけ調整の難しさは増すが、ルーパ速度交差比例制御器102を併用することで、ルーパ25を張力制御に積極的に用いる効果を弱め、ルーパ角度θの変動を更に小さくし、聴力制御にミルモータ24とルーパモータ26を用いる比率を調整して最適な制御を実現することができる。
【0083】
実施の形態3.
第10図はこの発明の実施の形態3である連続圧延機の制御装置のブロック構成を示すものである。同図において、第5図と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。100は制御装置、111は低速演算部、112は張力積分制御器である。また、連続圧延機1の構成は実施の形態1と同じであり、第1図に示した通りである。なお、実施の形態1の説明では、張力設定トルク演算器5で演算した張力設定トルクqsと定常的に釣り合う張力σの値と張力検出器27で検出した張力σの定常的な検出値との間にオフセット誤差を持たない場合を例にとったが、ルーパ25の先端に取り付けたロードセルを張力検出器27に用いる場合などに、張力設定トルク演算器5の演算誤差あるいは張力検出器27の検出演算誤差に起因して上述のオフセット誤差を持つ場合があり、このような場合には、実施の形態1では張力指令σrと張力検出器27で検出した張力σの間に定常誤差を持つことになる。この実施の形態3は、このような場合に張力検出器27で検出した張力σと張力指令σrとの定常誤差を無くすためのものである。
【0084】
次に動作について説明する。
低速演算部111は、実施の形態1における低速演算部4と同様に張力指令σr、角度指令θr、張力σおよびルーパ角度θを入力し、実施の形態1と同様の演算によりミル速度指令vrを出力してミル速度制御器2に入力する。また、実施の形態1と同様の演算により張力設定トルクqsとルーパ速度指令ωrを演算する。
【0085】
張力積分制御器112は、張力指令σrと張力σの偏差である張力偏差σeに設定した張力積分ゲインCσiを乗じて積分した信号を出力する。低速演算部111は、張力設定トルクqsと張力積分制御器112の出力との和信号をフィードフォワードトルクqfとし、フィードフォワードトルクqfと前述のルーパ速度指令ωrを出力してルーパ速度制御器9に入力する。ルーパ速度制御器9の動作は実施の形態1と全く同様である。
【0086】
以上の動作により、この実施の形態3では、上述のような張力設定トルク演算部5で演算した張力設定トルクqsと張力検出器27で検出した張力σの間にオフセット誤差が有っても、張力指令σrと張力σの偏差を積分して、定常偏差が無くなるようにフィードフォワードトルクqfの補正を行う。また、上述のオフセット誤差に対する補正は、実施の形態1で説明した板速度外乱vdに対する補償と異なり、定常的に一定の値を補正すればよいため、ゆっくりと補正すればよい。したがって、張力積分ゲインCσiは小さな値でよく、制御系の動特性は実施の形態1と殆ど変わりのないものにできる。また、実施の形態1と同様に制御ループを一つずつ追加していく簡単な調整で良好な制御特性を達成できることは言うまでもない。
【0087】
ここで、張力指令σrと張力σとの定常誤差を無くすため、第10図に示したような張力積分制御器112を追加するのでなく、例えば張力偏差σeの積分成分をミル速度指令vrに加算する制御ループを追加した場合を想定すると、定常的にミル速度指令vrにルーパ角度θとは無関係に補正するように動作するため、ルーパ角度θがルーパ角度指令θrに対して定常誤差を持つという問題が生じる。このような問題を生じさせないためには、張力偏差σeの積分成分をミル速度指令vrに加算すると同時にルーパ角度偏差θeを積分した成分をルーパトルク指令qrに加算する必要があり、制御ループの数が増えるばかりでなく、第2の従来技術で説明したような張力σの制御とルーパ角度θの制御の干渉に基づく不安定現象などの問題が発生しやすくなり、制御系の調整が難しくなってしまう。したがって、この実施の形態3で説明したように、張力偏差σeを積分した信号をミル速度指令vrには加算せずにルーパトルク指令qrにだけ加算する制御ループを追加することで、ルーパ角度偏差θeの積分成分をルーパトルク指令qrに加算する制御ループを追加する必要がなくなり、簡単に張力σの定常偏差を無くすことができる。ただし、このように簡単に張力σの定常偏差を無くす効果については、ルーパ速度制御器9のサンプリング周期を高速にしていることとは無関係であり、ルーパ速度制御器9と同じ演算を低速演算部111の中で遅いサンプリング周期でもって演算しても同様の効果を有する。
【0088】
また、この実施の形態3では張力指令σrに基づいて張力設定トルク演算器5で演算した張力設定トルクqsをフィードフォワードトルクqfに加算するように構成しているが、フィードフォワードトルクqfの定常値は張力積分制御器112にて補償されるため、特に張力設定トルクqsを演算してフィードフォワードトルクqfに加算しなくとも定常的には同様の制御動作を実現することが可能である。
【0089】
以上のように、この実施の形態3では、張力設定トルク演算部5における張力設定トルクqsの演算がオフセット誤差を持った場合にも張力指令σrと張力σの定常偏差が無く、また実施の形態1と同様に簡単な調整で張力σの高精度の張力制御を実現することができる。
【0090】
実施の形態4.
第11図はこの発明の実施の形態4である連続圧延機の制御装置のブロック構成を示すものである。同図において、第5図と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。また連続圧延機1の構成は実施の形態1と同じであり、第1図に示した通りである。110は制御装置、121は低速演算部、122は高速演算部、123は張力比例制御器である。この実施の形態4は実施の形態1の低速演算部4における張力比例制御器11の演算を、高速サンプリング処理で行うように変更したものである。
【0091】
次に、実施の形態4の動作について説明する。
まず、低速演算部121の動作について説明する。低速演算部121は、実施の形態1における低速演算部4と同様に張力指令σr、角度指令θr、張力σおよびルーパ角度θを入力する。また、フィードフォワードトルクqfとルーパ速度指令ωrを実施の形態1と同様の演算により出力し、ルーパ速度制御器9に入力する。また、低速演算部121は実施の形態1と同じ動作をするルーパ角度制御器6の出力をそのまま出力する。
【0092】
高速演算部122は、張力指令σrと張力σおよび低速演算部121で演算したルーパ角度制御器6の出力を入力する。また、高速演算部122の内部において、張力比例制御器123は張力指令σrと張力σの偏差である張力偏差σeに張力比例ゲインCvσを乗じた信号を出力し、高速演算部122はルーパ角度制御器6の出力と張力比例制御器123の出力に−1を乗じた信号の和をルーパ速度指令vrとして出力し、前記のルーパ速度指令vrをミル速度制御器2に入力する。ここで、高速演算部122は低速演算部121よりも高速のサンプリング周期でもって演算を行うものである。なお、その実現は低速演算部121と同一の計算機で複数のサンプリング周期でもって演算するようにしてもよく、あるいはまた低速演算部121とは別の計算機で演算するように構成しても良い。
【0093】
この実施の形態4は以上のように動作することにより、連続時間系で考えると実施の形態1と全く同じ演算を行うため、閉ループ系の特性多項式は実施の形態1と同じ式(10)〜式(14)で表される。また実施の形態1の説明で述べたように、ルーパ速度制御器9の中のルーパ速度比例制御器10の比例ゲインCqωと張力比例制御器123の比例ゲインCvσとが、式(10)の特性多項式におけるsの3乗の係数を変更している。また、この制御ループが制御系における最も内側の制御ループに相当し、安定に制御系全体の応答を速くするためには最も速い応答を要求される。したがって、実施の形態1ではルーパ速度制御器9の演算のみ高速のサンプリングで演算を行っていたが、この実施の形態4のように張力比例制御器123の演算を高速演算部122において低速演算部121よりも高速のサンプリング周期で演算することにより、制御系全体の応答を実施の形態1よりも更に高速に実現することが可能になる。
【0094】
実施の形態4は以上のように動作するので、実施の形態1と全く同様に簡単な制御系の調整をもって、実施の形態1よりも更に制御系の応答を高速に実現でき、更に高精度の張力制御を実現することができる。
【0095】
実施の形態5.
第12図はこの発明の実施の形態5である連続圧延機の制御装置のブロック構成を示すものである。同図において、第5図と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。連続圧延機1は実施の形態1と同じであり、その構成は第1図に示した通りである。120は制御装置、125はルーパ角度制御器6の入力であるルーバ角度偏差θeにゲインCωθを乗算するルーパ角度比例制御器、126はルーパ角度比例制御器125の出力を張力交差比例制御器12の出力に加算し、ルーパ速度指令ωrとしてルーパ速度制御器9に入力する加算器である。
【0096】
次に、実施の形態5の動作について説明する。
ルーパ角度比例制御器125は、ルーバ角度偏差θeにゲインCωθを乗算した信号Cωθ・θeを加算器126に入力する。加算器126は、ルーパ角度比例制御器125からの信号Cωθ・θeを張力交差比例制御器12の出力Cωσ・σeに加算し、和信号Cωθ・θe+Cωσ・σeをルーパ速度指令ωrとしてルーパ速度制御器9に入力する。このため、ルーパ速度制御器9が出力するルーパトルク指令qrは、
【0097】
qr=qs+Cqω(Cωθ・θe+Cωσ・σe−ω)
・・・・(20)
となる。この式からも分かるように、ルーパトルク指令qrに対してルーパ角度偏差θeを比例倍した信号成分を加算したことで、ルーパ角度比例制御器125のゲイン調整といった手間は増えるが、ルーパ角度比例制御器125のゲインCωθを適切に設定しさえすれば、例えば第8図に示したシミュレーション条件下において張力偏差σeを正に振れさせないような制御が可能である。
【0098】
具体的には、ルーパ角度比例制御器125のゲインCωθが過大である場合は、張力σの変動に対してルーパ角度θの動きが抑制され過ぎてしまって張力制御精度は劣化するが、ゲインCωθを小さな適値に設定した場合は、張力偏差σeが0のままでもゲインCωθがルーパトルク指令qrに影響を及ぼし、ルーパ角度偏差θeを0に収束させることができる。その結果、実施の形態1に示した第8図の過渡応答波形では、張力偏差σeの応答が一旦負に大きく振れた後、正に小さく振れることでルーパ角度偏差θeを0に収束させていたのとは対照的に、張力偏差σeを正に振れさせることなく整定に至らしめる過渡変動抑制型の制御が実現される。
【0099】
以上のように、この実施の形態5では、ルーパ角度比例制御器125のゲイン設定如何で張力制御精度を改善することができ、しかもルーパ角度偏差θeを積分した信号成分を加算するのではないので、あくまで張力σの定常値が必ずルーパ角度θの定常値に影響を与えることに変わりはなく、ルーパ角度θの定常値と張力σの定常値を別個に制御することがないため、ルーパ角度制御器6を基幹とする1ループ制御系に補助的に比例制御ループを1つずつ追加していく簡単な調整を施すことで、張力の制御精度を向上させることが可能である。
【0100】
実施の形態6.
第13図はこの発明の実施の形態6である連続圧延機の制御装置のブロック構成を示すものである。同図において、第5図と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。連続圧延機1は実施の形態1と同じであり、その構成は第1図に示した通りである。130は制御装置、131は、張力設定トルク演算器5が出力する張力設定トルクqsにルーパ速度比例制御器10のゲインCqωの逆数1/Cqωを乗算する乗算器、132は乗算器131の出力を張力交差比例制御器12の出力に加算し、ルーパ速度指令ωrとしてルーパ速度制御器9に入力する加算器である。なお、この実施の形態6では、ルーパ速度制御器6の出力段に設けてあった加算器は廃止されており、ルーパ速度比例制御器10の出力が直接ルーパトルク制御器3に供給される。
【0101】
次に実施の形態6の動作について説明する。
張力設定トルク演算器5が出力する張力設定トルクqsは、乗算器131においてルーパ速度比例制御器10のゲインCqωの逆数1/Cqωを乗算され加算器132に入力される。加算器132は、乗算器131の出力を張力交差比例制御器12の出力に加算し、ルーパ速度指令ωrとしてルーパ速度制御器9に入力する。乗算器131においてゲインCqωの逆数1/Cqωを乗算された張力設定トルクqsは、ルーパ速度制御器9内でルーパ速度比例制御器10によりゲインCqωを乗算されるため、結局は実施の形態1と同じくルーパ速度比例制御器10の後段においてゲイン1で加算したのと等価である。
【0102】
以上のように、この実施の形態6では、ルーパ速度制御器9が比例制御しか行わない構成であるから、ルーパ角度θの変動を抑制し過ぎることはなく、ルーパ速度制御器9が時間関数の演算を行わないため定常的なルーパトルク指令qrを外部から設定するのが容易になる。ただし、制御装置130は、低速演算部4において張力設定トルクqsをルーパ速度比例ゲインCqωで除算した信号と張力交差比例制御器12の出力とを加算する必要があるため、低速演算部4側での演算の煩雑さは増える。しかしながら、ルーパ速度制御器9の前段側で張力指令qsをルーパ速度ゲインCqωで除算して得た値を含むルーパ速度指令を与えることで、実質的にはルーパ速度ゲインCqωとその逆数1/Cqωが相殺しあってゲインが1の張力指令がルーパ速度比例制御器10の出力に加算されることになり、加算処理動作を一つ減らしたルーパ速度制御器9の処理速度の高速化に寄与する。なお、定常的にはルーパ速度指令ωrとルーパ速度ωが大きく異なる値をとるために、制御系の動作を直感的に把握しにくくなる点は割り引いて考える必要がある。
【0103】
実施の形態7.
第14図はこの発明の実施の形態7である連続圧延機の制御装置のブロック構成を示すものである。同図において、第5図と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。連続圧延機1は実施の形態1と同じであり、その構成は第1図に示した通りである。140は制御装置、141はPI(比例積分)動作を行うルーパ速度比例積分制御器である。この実施の形態7は、実施の形態1に示したルーパ速度比例制御器10をルーパ速度比例積分制御器141に置き換えた点に特徴がある。
【0104】
次に実施の形態7の動作について説明する。
ルーパ速度制御器9内のルーパ速度比例積分制御器141は、比例ゲインCqωと積分ゲインCωiを有しており、張力交差比例制御器12が出力するルーパ速度指令ωrとルーパ速度ωとの偏差にPI(比例積分)演算を施し、演算結果とフィードフォワードトルクqfとの和信号をルーパトルク指令qrとして出力する。すなわち、
qr={Cqω+(Cωi/s)}(ωr−ω)+qf
=Cqω(ωr−ω)+Cωi/s(ωr−ω)+qf
=Cqω(Cωσ・σe−ω)
+Cωi/s(Cωσ・σe−ω)+qf
・・・・(21)
となる。このため、ルーパトルク指令qrにはルーパ速度ωを比例積分演算した信号成分が含まれることになるが、ルーパ速度ωの時間積分値すなわちω/sはルーパ角度θであって、ルーパトルク指令qrにルーパ角度偏差θeを積分した値が含まれることはあり得ない。
【0105】
以上のように、この実施の形態7では、積分ゲインCωiが小さい場合は、実施の形態5と同様な効果を有する。また、張力交差比例制御器12とルーパ速度制御器9の積分動作との効果により、ルーパトルク指令qrに張力偏差σeを積分した値が含まれるため、ルーパトルク指令qrの定常値は、実施の形態5と同様、張力σに定常偏差が生じないような値に設定される。ただし、ルーパ速度制御器9の積分ゲインCωiを大きく設定し過ぎると、制御系に対しルーパ角度θの変動を抑制し過ぎるという悪影響を及ぼす恐れがあり、また張力偏差σeを積分した成分をルーパトルク指令qrに加算するためのゲインとルーパ速度ωの積分すなわちルーパ角度θを比例倍した信号をルーパトルク指令qrに加算するためのゲインの両方を、ルーパ速度制御器9の積分ゲインCωiで設定する構成であるため、最適なゲイン設定が難しいといった問題があることも理解しておくべきである。
【0106】
【産業上の利用可能性】
以上のように、この発明に係る連続圧延機の制御装置は、被圧延材のの材料張力とルーパ角度を共に良好に制御し、品質確保と安定操業を図る圧延設備に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 連続圧延機の要部を示す概略構成図である。
【図2】 第1の従来技術を用いた連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図3】 第2の従来技術を用いた連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図4】 第3の従来技術を用いた連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態1の連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図6】 第1図に示した連続圧延機の伝達特性を示す伝達ブロック図である。
【図7】 第5図に示した制御系の閉ループ構造を積分特性のカスケード構造として示す伝達ブロック図である。
【図8】 第5図に示した連続圧延機の制御装置にステップ的な外乱を与えたときの過渡応答を時間経過に沿って示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態2の連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図10】 この発明の実施の形態3の連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図11】 この発明の実施の形態4の連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図12】 この発明の実施の形態5の連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図13】 この発明の実施の形態6の連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
【図14】 この発明の実施の形態7の連続圧延機の制御装置のブロック構成図である。
Claims (11)
- ミルモータにより搬送駆動される被圧延材にルーパモータが回転駆動するルーパを当接させて搬送形状を規制し連続的に圧延を行う連続圧延機に適用され、トルク指令を与えられて前記ルーパモータをトルク制御するルーパトルク制御器と、ミル速度指令を与えられて前記ミルモータを速度制御するミル速度制御器とを備える連続圧延機の制御装置において、外部入力されたルーパ角度指令に対するルーパ角度の偏差であるルーパ角度偏差に制御演算を施し、演算結果をミル速度指令として前記ミル速度制御器に与えるルーパ角度制御器と、該ルーパ角度制御器よりも高速の演算速度をもって動作し、外部入力されたルーパ速度指令に対するルーパ速度の偏差であるルーパ速度偏差に制御演算を施し、演算結果を前記ルーパ角度制御器の出力とは一切無関係なトルク指令として前記ルーパトルク制御器に与えるルーパ速度制御器とを備える連続圧延機の制御装置。
- ルーパ速度制御器は、前記ルーパ速度偏差を比例倍し、被圧延材の張力目標値である張力指令に基づき演算したルーパトルク指令に加算するルーパ速度比例制御器を備える請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- 張力指令に対する張力の偏差である張力偏差を比例倍し前記ルーパ速度指令とする張力交差比例制御器を備える請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- 前記張力指令に対する張力の偏差である張力偏差を比例倍し、前記ミル速度指令への減算入力とする張力比例制御器を備える請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- 張力比例制御器は、前記ルーパ角度制御器よりも高速の演算速度をもって動作する計算機からなる請求項4記載の連続圧延機の制御装置。
- 張力指令に対する張力の偏差である張力偏差に積分演算を施し、演算結果を張力設定トルクに加算する張力積分制御器を備える請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- ルーパ速度制御器は、前記外部入力されるルーパ速度指令を零に固定されており、前記ルーパ速度に負の定数を乗算した値をトルク指令として前記ルーパトルク制御器に設定することを特徴とする請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- 前記ルーパ速度を比例倍し、前記ミル速度指令への減算入力とするルーパ速度交差比例制御器を備える請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- 前記ルーパ角度制御器の入力であるルーバ角度偏差を比例倍し、前記ルーパ速度制御器の入力であるルーパ速度指令に加算するルーパ角度比例制御器を備えることを特徴とする請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- ルーパ速度制御器は、前記ルーパ速度偏差をルーパ速度ゲインだけ比例倍するルーパ速度比例制御器を備えており、該ルーパ速度比例制御器へは被圧延材の張力目標値である張力指令に基づいて演算した張力設定トルクを前記ルーパ速度ゲインで除算して得た値を含むルーパ速度指令を与えることを特徴とする請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
- ルーパ速度制御器は、前記ルーパ速度偏差を比例積分演算し、被圧延材の張力目標値である張力指令に基づき演算したルーパトルク指令に加算するルーパ速度比例積分制御器を備える請求項1記載の連続圧延機の制御装置。
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