JP2000237812A - ルーパ多変数制御装置 - Google Patents

ルーパ多変数制御装置

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JP2000237812A
JP2000237812A JP11041126A JP4112699A JP2000237812A JP 2000237812 A JP2000237812 A JP 2000237812A JP 11041126 A JP11041126 A JP 11041126A JP 4112699 A JP4112699 A JP 4112699A JP 2000237812 A JP2000237812 A JP 2000237812A
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Hiroyuki Imanari
成 宏 幸 今
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ルーパの立上げ制御を実施した後、直接多変
数制御に移行することを可能にするルーパ多変数制御装
置を提供する。 【解決手段】 タンデム圧延機の各スタンド間に配置さ
れたルーパの高さとこのルーパが配置されたスタンド間
の圧延材張力の干渉系を多変数系とし、圧延材張力とル
ーパ高さを制御するに当たり、圧延主電動機速度制御手
段は速度指令値に追従するように圧延主電動機の速度を
制御する一方、設定手段が圧延材の張力指令値及びルー
パ高さ指令値等を設定すると、制御演算手段がこれらの
指令値に追従させるように、ルーパ立上げ制御における
ルーパアクチュエータに対する操作指令値と、圧延主電
動機速度制御手段に対する速度補正値及びルーパアクチ
ュエータに供給するエネルギー量を演算し、ルーパ駆動
手段がルーパを待機位置から立上げてルーパが圧延材に
タッチするまでルーパ立上げ制御を実行し、ルーパが圧
延材にタッチした時点で定常部制御に切替える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンデム圧延機の
各スタンド間に配置されたルーパの高さとこのルーパが
配置されたスタンド間の圧延材張力を張力指令値に追従
させ、ルーパの高さを高さ指令値に追従させるルーパ多
変数制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延や冷間圧延における最終製品の
評価基準の一部に板厚及び板幅がある。このうち、板厚
に対して自動板厚制御が行われ、板幅に対して自動板幅
制御が行われる。一方、圧延中の材料にかかる張力は板
厚や板幅に影響を及ぼすため、張力制御が行われてい
る。
【0003】特に、熱間圧延における圧延材料は加熱処
理されて高温となり圧延材料の変形抵抗が小さくなって
おり、張力が大きいと材料の破断を起こしやすくなる。
この破断を防止するために張力を小さく設定すると外乱
や誤設定により無張力の状態になることがあり、その状
態が長く続くと圧延機スタンド間での大きなループの発
生となって事故を引き起こすことがある。そこで、熱間
圧延機では特にルーパ装置が設けられ、このルーパ装置
によって張力制御が行われ、また、材料の通板性を良く
する観点からルーパの高さ制御が行われる。
【0004】かかる圧延材張力及びルーパ高さ制御装置
において、圧延材張力からルーパ高さへの干渉と圧延主
電動機の回転速度から張力への干渉とがある。従来から
の張力制御には、それらの干渉を抑えることなくPID
制御によりルーパ高さをフィードバック制御し、圧延材
の張力はオープンループで張力目標値となるようなトル
クを設定する方法がある(以下、この制御を従来PID
制御と言う)。また、ルーパと圧延材張力の干渉系を多
変数系としてとらえ、多変数制御理論を適用する方法な
どがあり、それぞれ実機に適用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来PID制
御では、張力検出器がなくても、張力を維持するような
トルクをルーパアクチュエータに与えることによって、
ある程度圧延材の張力を制御できるが、オープンループ
であり、厳密な制御は期し難かった。また、圧延材張力
とルーパの相互干渉を抑える働きがないため速応性や安
定性に欠けていた。そこで、最近では多変数制御が多く
用いられている。
【0006】多変数制御による方法では、操作端として
圧延主電動機とルーパとを協調させて使用するように制
御ゲインを設計することができる。その一つに、例え
ば、LQ(Linear Quadratic)制御方式があり、この制
御では下記(1)式に示す評価関数Jの重み行列Q,R
と、実際のプロセスの応答との因果律を見出すのが難し
く、制御系全体の適当な応答を実現するQ,Rを試行錯
誤しながら見付け、制御ゲインを決定することが一般的
である。
【0007】
【数1】 ここで、xは制御対象プロセスの状態量、uはコントロ
ーラが制御対象プロセスに与える操作量であり、xT
xの転置、uT はuの転置を表す。
【0008】他の制御方式として、ILQ(Inverse Li
near Quadratic)制御がある。これは最適性の条件を満
たしつつ、入出力を非干渉化する前提を適用すれば制御
ゲインが数値ではなく数式で求められ、上記重み行列Q
とRの試行錯誤をしなくとも所望の応答を指定できる利
点がある。
【0009】一方、多変数制御を実施する場合でも、ル
ーパを立上げて多変数制御に移行する時に、従来PID
制御を実施し、張力を安定化させる必要があった。この
理由は、張力検出機構がルーパに取り付けられており、
ルーパが圧延材にタッチするときに衝撃を受け、張力を
正確に測定できないため、検出した張力を使用しない方
式である従来PID制御を用いていたためである。
【0010】図6に、立上げ制御の後、一旦従来PID
制御方式に移行し、その後多変数制御を実施する場合の
トルク指令値の変化を示す。このように、検出した張力
を使用しない従来方式では、従来PID制御が間に入る
ため、張力制御性が悪かった。そこで、早期に多変数制
御に移行すれば、張力制御性の悪化を招くことが少なく
なるという観点から、図7に示すように、立上げ制御完
了時に、多変数制御に移行することが望まれていた。
【0011】さらに、従来PID制御方式を省略すれ
ば、この制御方式をハードウェアにインストールした
り、機能の試験をする必要がなく、また、現地での調整
をする必要がなくなるという利点もある。
【0012】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたもので、第1の目的はルーパの立上げ制御を実施
した後、従来PID制御を経ずに多変数制御に移行する
ことを可能にするルーパ多変数制御装置を提供するにあ
る。
【0013】本発明の第2の目的は従来PID制御の計
算機やハードウェアへのインストール等を不要化し得る
ルーパ多変数制御装置を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
タンデム圧延機の各スタンド間に配置されたルーパの高
さとこのルーパが配置されたスタンド間の圧延材張力を
張力指令値に追従させ、ルーパの高さをルーパ高さ指令
値に追従させるルーパ多変数制御装置において、パスス
ケジュール及び圧延条件に従って設定された速度指令値
に追従するように圧延主電動機の速度を制御する圧延主
電動機速度制御手段と、パススケジュール及び圧延条件
に従って、圧延材の張力指令値及びルーパ高さ指令値を
含む多変数制御演算に必要な定数を設定する設定手段
と、圧延材の張力を検出する張力検出手段と、ルーパ高
さを検出するルーパ高さ検出手段と、ルーパを動作させ
るルーパアクチュエータにエネルギーを供給してルーパ
に所望の動作を行わせるルーパアクチュエータと、ルー
パ立上げ制御におけるルーパアクチュエータに対する操
作指令値と設定手段の設定値、張力検出手段によって検
出された圧延材の張力及びルーパ高さ検出手段によって
検出されたルーパ高さに基づいて、ルーパ高さと圧延材
張力の干渉系を多変数系とし、多変数制御理論を適用し
て定常部制御における圧延主電動機速度制御手段に対す
る速度補正値及びルーパアクチュエータに供給するエネ
ルギー量を演算する制御演算手段と、制御演算手段の操
作指令値に従って、ルーパを待機位置から立上げてルー
パが圧延材にタッチするまでルーパ立上げ制御を実行
し、ルーパが圧延材にタッチした時点で定常部制御に切
替えるルーパ駆動手段と、を備えたことを特徴とするも
のである。
【0015】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
ルーパ多変数制御装置において、油圧シリンダ、油圧モ
ータ、空気圧シリンダ等を油空圧シリンダとし、ルーパ
アクチュエータは電動機及び油空圧シリンダのいずれか
一つを用いたことを特徴とするものである。
【0016】請求項3に係る発明は、請求項2に記載の
ルーパ多変数制御装置において、ルーパアクチュエータ
として電動機を用いたとき、張力検出手段は電動機が発
生するトルクから加減速トルクを除去したトルクを用い
て圧延材張力を演算することを特徴とするものである。
【0017】請求項4に係る発明は、請求項2に記載の
ルーパ多変数制御装置において、ルーパアクチュエータ
として油空圧アクチュエータを用いたとき、張力検出手
段は油空圧アクチュエータが発生する圧力から加減速に
要する圧力を除去した圧力を用いて圧延材張力を演算す
ることを特徴とするものである。
【0018】請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の
いずれかに記載のルーパ多変数制御装置において、立上
げ制御から定常部制御に移行する判断基準として、ルー
パ高さ又は立上げ制御実施時間又は立上げ制御により圧
延材に発生する張力を用いることを特徴とするものであ
る。
【0019】請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の
いずれかに記載のルーパ多変数制御装置において、制御
演算手段に加えられる張力の検出値は、張力フィルタリ
ング手段でフィルタをかけた後の張力演算値を用い、張
力フィルタリング手段では、立上げ制御実施時に検出さ
れる張力に長時定数のフィルタをかけ、定常部制御実施
時には短時定数のフィルタををかけることを特徴とする
ものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す好適な
実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係
るルーパ多変数制御装置の第1の実施形態の構成を、制
御対象と併せて示したブロック図である。同図におい
て、圧延材1は上流側スタンド圧延機2及び下流側スタ
ンド圧延機3の順で圧延される。ここで、タンデム圧延
機の全スタンド数をnとすると、n=5〜7が一般的で
ある。以下に示すルーパ及びこれに関連する装置は各ス
タンド間に設けられるが、上流側スタンド圧延機2と下
流側スタンド圧延機3の2スタンド間の状態を考察すれ
ば容易に他のスタンドにも拡張できるので、ここでは2
スタンド間のみを考えることとする。
【0021】いま、これら2スタンド間に、ルーパアク
チュエータとしてのルーパ電動機4によって駆動される
ルーパ7が設けられる。そのルーパロールが圧延材1か
ら受ける力を検出するために力検出器5が設けられ、ル
ーパアームの角度に換算されるルーパ高さを検出するた
めにルーパ角度検出装置6が設けられ、さらに、ルーパ
電動機4には回転速度検出器8が結合されている。
【0022】ルーパ電動機4を駆動するためにルーパ駆
動手段14が設けられている。このルーパ駆動手段14
は、パススケジュール及び圧延条件に基づいて演算され
た回転速度指令値と回転速度検出器8によって検出され
た実際のルーパ電動機回転速度との偏差を小さくするよ
うなトルク指令値を演算する速度制御器13と、ルーパ
7をその待機位置から持ち上げるための立上げトルク指
令値を一方入力、速度制御器13で演算されたトルク指
令値を他方入力とし、ルーパ7が圧延材1にタッチする
まで立上げトルク指令値を出力し、ルーパ7が圧延材1
にタッチして以降速度制御器13で演算されたトルク指
令値を切替えて出力する切替スイッチ12と、この切替
スイッチ12から出力されたトルク指令値に従ってルー
パ電動機4の電流を制御するトルク制御器9とで構成さ
れている。
【0023】張力演算手段15はトルク制御器9によっ
て制御される電動機電流に一定の定数を乗じたものとし
て計算でき、電動機電流と等価のトルクと、力検出器5
で検出された力とに基づいて、圧延材1に発生する実際
の張力を演算し、張力演算値を出力するものである。
【0024】一方、図示省略の設定計算装置がパススケ
ジュール及び圧延条件に従って、マスフローバランスを
保つように各スタンドの圧延主電動機(以下、主機とも
言う)10の速度を演算し、それぞれに対する速度指令
値を出力する。このうち、上流側スタンド圧延機2に対
する速度指令値に従って、圧延主電動機速度制御手段1
1は上流側スタンド圧延主電動機10の速度を制御する
ようになっている。
【0025】また、設定計算装置のパススケジュール及
び圧延条件、並びに速度指令値に基づいて、圧延材の張
力指令値、ルーパ高さの指令値を含むルーパ多変数制御
に必要な値を設定するための設定手段17が設けられて
いる。そして、制御演算手段16が、設定手段17で設
定された設定値、ルーパ角度検出装置6で検出されたル
ーパアームの角度実績値及び張力演算手段15で演算さ
れた張力演算値に基づいて、ルーパ電動機4に対する回
転速度指令値と、待機位置からルーパ7を持ち上げる場
合の立上げトルク指令値と、圧延主電動機速度制御手段
11に加えられる速度指令値を補正するための速度補正
値とを演算し、このうち、回転速度指令値を速度制御器
13に加え、立上げトルク指令値を切替スイッチ12の
一方入力とし、速度補正値を圧延主電動機速度制御手段
11に加える構成になっている。
【0026】上記のように構成された本実施形態の動作
について以下に説明する。先ず、設定計算装置の速度指
令値に従って圧延主電動機速度制御手段11は上流側ス
タンド圧延主電動機10の速度を制御する。下流側スタ
ンド圧延機3においても同様な圧延主電動機の速度制御
が行われる。また、設定手段17は設定計算装置のパス
スケジュール及び圧延条件、並びに速度指令値に基づい
て圧延材の張力指令値、ルーパ高さの指令値を含むルー
パ多変数制御に必要な値を設定する。そして、通板操作
により圧延材1が下流側スタンド圧延機3に噛込まれた
ことを、図示省略の荷重検出器が検出すると、制御演算
手段16はルーパ7を立上げるために必要な立上げトル
ク指令値、すなわち、立上げ時のトルク指令値を演算
し、ルーパ駆動手段14を構成する切替スイッチ12に
加える。切替スイッチ12はルーパロールが圧延材1に
タッチするまで、立上げ時のトルク指令値をトルク制御
器9に加え、ルーパロールが圧延材1にタッチした後は
速度制御器13で演算されたトルク指令値をトルク制御
器9に加える。なお、圧延材1に対するルーパロールの
タッチは、ルーパ7の立上げ制御がうまくいっているこ
とを前提に、ルーパ高さが一定値以上になったり、立上
げ制御の開始から一定時間を経過した時点としたり、ル
ーパロールが圧延材1にタッチした瞬間に発生する張力
に起因する力検出器5の出力の変化時点としたりするこ
とができる。
【0027】ルーパの立上げ時を含めてルーパの高さが
ルーパ角度検出装置6で検出され、制御演算手段16に
加えられる。また、ルーパロールが圧延材1にタッチす
ると、このルーパロールが受ける圧延材1からの力が力
検出器5で検出される。このとき、張力演算手段15は
力検出器5で検出された力から、圧延材重量やルーパロ
ール自体の重量などを差し引き、圧延材張力を演算す
る。また、張力演算手段15ではトルク制御器9によっ
て制御される電動機電流と等価のトルクから、圧延材重
量やルーパ自体の重量によるトルク分を差し引き、圧延
材の張力を演算する。張力演算手段15で演算した張力
を制御演算手段16に加える。張力演算の方法は、例え
ば、特開平8−238513号公報に記載されている。
力検出器5は、圧延材の力を直接受けたり、冷却水が入
り込んだりするため、故障しやすいが、比較的正確に測
定できる。
【0028】ここで、制御演算手段16は設定手段17
で設定された圧延材の張力指令値、ルーパ高さの指令値
を含む設定値、張力演算手段15で演算された圧延材の
張力及びルーパ角度検出装置6で検出されたルーパ高さ
を入力として、多変数制御理論に従って、ルーパ電動機
4に対する回転速度指令値を速度制御器13に加え、上
流側スタンド圧延主電動機10に対する速度補正値を度
制御手段11に加える。速度制御器13は制御演算手段
16で演算された回転速度指令値と回転速度検出器8に
よって検出された実際のルーパ電動機回転速度との偏差
を小さくするようなトルク指令値、すなわち、定常部制
御時のトルク指令値を演算して切替スイッチ12に加え
る。なお、制御演算手段16で演算される多変数制御方
式については、例えば、特開平5ー337529号公報
に開示されている。
【0029】これによって、図7を用いて説明したよう
に、ルーパ7を待機位置からルーパロールが圧延材1に
タッチするまで立上げ制御が実行され、ルーパロールが
圧延材1にタッチした以降の定常部制御時に、ルーパ高
さと圧延材張力とを多変数とみなして制御する多変数制
御に切替えられる。
【0030】なお、上記実施形態ではルーパロールが圧
延材1にタッチした時点で立上げ制御からルーパ多変数
制御に切替えている。このように、ルーパロールが圧延
材1にタッチしたことを条件にすることは、張力を正常
に検出するという観点で望ましいが、仮に、ルーパロー
ルが圧延材1にタッチしていない状態で切替えたとして
も、そのときは張力検出値がゼロであるため、張力を発
生する方向、すなわち圧延材を引っ張る方向に圧延機が
速度制御されるため、立上げの精度が幾分低い場合でも
一定時間の経過を条件にしても良いと言える。
【0031】因みに、従来PID制御の場合、張力制御
はオープンループであるため、ルーパ角度が低くて圧延
材1にタッチしていない場合、過張力状態と見做して緩
め方向に圧延機の速度が制御される。そうすると圧延ス
タンド間に圧延材のループが発生して、下流側スタンド
への3枚同時噛込み等の事故が発生し、圧延不能に陥る
場合が有った。そのために、従来PID制御から多変数
制御への切替えは、PID制御によって張力がある範囲
に制御され、かつ、ルーパ角度がある範囲に入ってから
安定さを重視して切替えていたと言える。本実施形態に
よれば、張力やルーパ角度が必ずしもある範囲に入って
いない状態でも切替えに支障を生じることはない。
【0032】かくして、第1の実施形態によれば、ルー
パの立上げ制御を実施した後、従来PID制御を経ずに
多変数制御に移行することが可能になる。また、従来P
ID制御の計算機やハードウェアへのインストール等を
不要化することができる。
【0033】ところで、図1に示した第1の実施形態は
ルーパアクチュエータが電動機である場合について説明
したが、電動機の代わりに油圧シリンダ、油圧モータ、
空気圧シリンダ等の油空圧アクチュエータでもルーパの
駆動は可能である。
【0034】図2はルーパアクチュエータとしてこれら
の油空圧アクチュエータを用いた第2の実施形態の構成
を、制御対象と併せて示したブロック図であり、図中、
図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省
略する。図中、油空圧制御器18は、具体的には油圧シ
リンダ、油圧モータ、空気圧シリンダ等である。この場
合、圧力検出器19で油空圧制御器18にかかる圧力を
検出し、トルク制御器20の内部でルーパにかかるトル
クに変換して、所望のトルクになるように圧力制御を行
っている。トルク制御器20の中には、図示していない
サーボ弁等が配置され、油や空気を油空圧制御器18に
供給し、駆動源としている。
【0035】電動機の場合と同様に、制御演算手段16
で演算される立上げトルクの演算方法及び多変数制御方
式については、特開平8−150408号公報にそれぞ
れ開示されている。
【0036】なお、図1に示したルーパ電動機のトルク
や図2に示した油空圧アクチュエータの圧力を用いる場
合、センサが故障し難いという利点はあるが、加減速に
要するトルクあるいは加減速に要する圧力を差引いて、
負荷トルクを演算する必要があるため、精度としては落
ちることになる。そこで、例えば、力検出器5に設けら
れる圧力検出器を補完的に使用すると良い。
【0037】かくして、第2の実施形態においても、ル
ーパの立上げ制御を実施した後、従来PID制御を経ず
に多変数制御に移行することが可能になる。また、従来
PID制御の計算機やハードウェアへのインストール等
を不要化することができる。
【0038】図3は本発明に係るルーパ多変数制御装置
の第3の実施形態の構成を、制御対象と併せて示したブ
ロック図である。図中、図1と同一の要素には同一の符
号を付してその説明を省略する。この実施形態は張力演
算手段15と制御演算手段16との間に張力フィルタリ
ング手段21を付加した点が図1と構成上異なってい
る。
【0039】前述したルーパ立上げ制御からルーパ多変
数制御に切替えるに当たり、ルーパが圧延材にタッチす
るときの衝撃により、張力演算手段15の張力演算値に
多種類のノイズが含まれる。従って、このノイズ成分を
除去して張力分のみを選び出す必要がある。図3に示す
張力フィルタリング手段21はこれらのノイズを除去す
るためのもので、図2に示すように、ルーパを油空圧ア
クチュエータで駆動する装置にも適用可能である。
【0040】張力フィルタリング手段21は、その詳細
を図4に示すように、異なるノイズ除去能力を有する長
時定数フィルタ22と短時定数フィルタ23とを備え、
張力演算値をこれらのフィルタに共通に加え、切替えス
イッチ24によってその出力を選択する構成になってい
る。
【0041】図5はこれらのフィルタを切替えて使用す
る例を、トルク指令値、主機速度補正値、ルーパ角度圧
延材張力と関連付けて示したタイムチャートである。こ
こで、圧延材が時刻t0 にて下流側スタンド圧延機3に
噛込まれるものとし、トルク指令値は、同図(a)に示
すように、時刻t2 にて立上げ制御によるトルク指令値
から多変数制御によるトルク指令値に切替えられる。従
って、主機速度補正値は時刻t2 以降、圧延主電動機速
度制御手段11に加えられる。ルーパ角度は、同図
(c)に示すように、時刻t0 から僅かの時間遅れをも
って増大し、時刻t1 (<t2 )にて圧延材にタッチし
たとすると、圧延材張力の演算値には、同図(d)に示
すように、時刻t1 から暫くの間、周波数が高く、振幅
の大きいノイズ成分が重畳する。図4に示した切替えス
イッチ24はノイズの多い期間、すなわち、時刻t0
ら時刻t3 (>t2 )まで長時定数フィルタ22の出力
を選択して、ノイズの振幅を小さくする。しかし、フィ
ルタでは一般に、振幅を小さくするに連れて入力信号に
対する出力信号の遅れが大きくなり、その信号を制御に
使うと不安定になりやすい。そこで、多変数制御に移行
して後のノイズ成分が少なくなる時刻t3 以降、切替え
スイッチ24は短時定数フィルタ23の出力を選択する
ように長時定数フィルタ22から短時定数フィルタ23
へ切替える。この状態を同図(e)に示す。
【0042】このようにして、ルーパが圧延材にタッチ
するときの衝撃に伴うノイズ成分の大部分を除去した張
力演算値を制御演算手段16に加えることができるた
め、第1又は第2の実施形態と同様に、ルーパの立上げ
制御を実施した後、従来PID制御を経ずに多変数制御
に移行することが可能になり、また、従来PID制御の
計算機やハードウェアへのインストール等を不要化する
ことができる他、これらの実施形態よりも制御精度を格
段に高めることができるという効果も得られる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本
発明によれば、立上げ制御から多変数制御への移行時
に、従来PID制御を省略することができ、このため、
従来PID制御の計算機やハードウェアへのインストー
ル、機能試験、現地調整が不要になる。また、ルーパ立
上げ時、ルーパが十分に上昇しないときに不安定となる
従来PID制御の欠点を克服できる。さらに、多変数制
御への早期移行が可能となり、圧延材の全長に亘っての
良好な張力制御が可能となり、高品質、安定操業に寄与
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るルーパ多変数制御装置の第1の実
施形態の構成を、制御対象と併せて示したブロック図。
【図2】本発明に係るルーパ多変数制御装置の第2の実
施形態の構成を、制御対象と併せて示したブロック図。
【図3】本発明に係るルーパ多変数制御装置の第3の実
施形態の構成を、制御対象と併せて示したブロック図。
【図4】図3に示す第3の実施形態を構成する張力フィ
ルタリング手段の詳細な構成を示すブロック図。
【図5】図3に示す第3の実施形態の動作を説明するた
めに、トルク指令値、主機速度指令値、ルーパ角度、圧
延材張力及び使用フィルタと時間との関係を示した線
図。
【図6】従来のルーパ多変数制御装置の制御例を説明す
るために、トルク指令値と時間との関係を示した線図。
【図7】本発明の目的とするルーパ多変数制御装置の制
御例を説明するために、トルク指令値と時間との関係を
示した線図。
【符号の説明】
1 圧延材 2 上流側スタンド圧延機 3 下流側スタンド圧延機 4 ルーパ電動機 5 力検出器 6 ルーパ角度検出装置 7 ルーパ 8 回転速度検出器 10 上流側スタンド圧延主電動機 11 圧延主電動機速度制御手段 14 ルーパ駆動手段 15 張力演算手段 16 制御演算手段 17 設定手段 18 油空圧制御器 19 圧力検出器 21 張力フィルタリング手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンデム圧延機の各スタンド間に配置され
    たルーパの高さとこのルーパが配置されたスタンド間の
    圧延材張力を張力指令値に追従させ、ルーパの高さをル
    ーパ高さ指令値に追従させるルーパ多変数制御装置にお
    いて、 パススケジュール及び圧延条件に従って設定された速度
    指令値に追従するように圧延主電動機の速度を制御する
    圧延主電動機速度制御手段と、 パススケジュール及び圧延条件に従って、圧延材の張力
    指令値及びルーパ高さ指令値を含む多変数制御演算に必
    要な定数を設定する設定手段と、 圧延材の張力を検出する張力検出手段と、 ルーパ高さを検出するルーパ高さ検出手段と、 ルーパを動作させるルーパアクチュエータにエネルギー
    を供給してルーパに所望の動作を行わせるルーパアクチ
    ュエータと、 ルーパ立上げ制御における前記ルーパアクチュエータに
    対する操作指令値と前記設定手段の設定値、前記張力検
    出手段によって検出された圧延材の張力及び前記ルーパ
    高さ検出手段によって検出されたルーパ高さに基づい
    て、ルーパ高さと圧延材張力の干渉系を多変数系とし、
    多変数制御理論を適用して定常部制御における前記圧延
    主電動機速度制御手段に対する速度補正値及び前記ルー
    パアクチュエータに供給するエネルギー量を演算する制
    御演算手段と、 前記制御演算手段の操作指令値に従って、ルーパを待機
    位置から立上げてルーパが圧延材にタッチするまでルー
    パ立上げ制御を実行し、ルーパが圧延材にタッチした時
    点で定常部制御に切替えるルーパ駆動手段と、 を備えたことを特徴とするルーパ多変数制御装置。
  2. 【請求項2】油圧シリンダ、油圧モータ、空気圧シリン
    ダ等を油空圧シリンダとし、前記ルーパアクチュエータ
    は電動機及び油空圧シリンダのいずれか一つを用いたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のルーパ多変数制御装
    置。
  3. 【請求項3】ルーパアクチュエータとして電動機を用い
    たとき、前記張力検出手段は電動機が発生するトルクか
    ら加減速トルクを除去したトルクを用いて圧延材張力を
    演算することを特徴とする請求項2に記載のルーパ多変
    数制御装置。
  4. 【請求項4】ルーパアクチュエータとして油空圧アクチ
    ュエータを用いたとき、前記張力検出手段は前記油空圧
    アクチュエータが発生する圧力から加減速に要する圧力
    を除去した圧力を用いて圧延材張力を演算することを特
    徴とする請求項2に記載のルーパ多変数制御装置。
  5. 【請求項5】前記立上げ制御から定常部制御に移行する
    判断基準として、ルーパ高さ又は立上げ制御実施時間又
    は立上げ制御により圧延材に発生する張力を用いること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のルーパ
    多変数制御装置。
  6. 【請求項6】前記制御演算手段に加えられる張力の検出
    値は、張力フィルタリング手段でフィルタをかけた後の
    張力演算値を用い、前記張力フィルタリング手段では、
    立上げ制御実施時に検出される張力に長時定数のフィル
    タをかけ、定常部制御実施時には短時定数のフィルタを
    をかけることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載のルーパ多変数制御装置。
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