JP2899459B2 - ルーパ多変数制御装置 - Google Patents

ルーパ多変数制御装置

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JP2899459B2
JP2899459B2 JP3293211A JP29321191A JP2899459B2 JP 2899459 B2 JP2899459 B2 JP 2899459B2 JP 3293211 A JP3293211 A JP 3293211A JP 29321191 A JP29321191 A JP 29321191A JP 2899459 B2 JP2899459 B2 JP 2899459B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、タンデム圧延機の各
スタンド間に配置されたルーパの高さと、圧延材のスタ
ンド間張力とを制御するルーパ多変数制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延や冷間圧延による最終製品の評
価基準の一部に板厚および板幅がある。このうち、板厚
に対して自動板厚制御が行われ、板幅に対して自動板幅
制御が行われる。一方、圧延中の材料にかかる張力は板
厚や板幅に影響を及ぼすので、張力をある値に保つ制御
も行われる。
【0003】特に、熱間圧延における圧延材は加熱処理
によって高温となり、変形抵抗も小さくなっているた
め、張力が大きいと破断を起こしやすくなる。この破断
を防止するべく無張力状態にすると、その状態が続いた
ときに圧延スタンド間で大きなループとなって事故を引
き起こすことがある。そこで、熱間圧延機ではとくにル
ーパ装置が設けられ、このルーパ装置によって張力制御
と、圧延材の通板性を良くする観点からのルーパ高さ制
御とが行われる。
【0004】かかる圧延材張力およびルーパ高さの制御
においては、圧延材張力からルーパ高さへの干渉と、ル
ーパ駆動電動機の回転速度から圧延材張力への干渉とが
ある。従来からの張力制御には、これらの干渉を抑える
ことなくPID制御により圧延材張力およびルーパ高さ
をそれぞれ制御する方法と、これらの干渉を抑えるよう
な非干渉化補償装置を付加して圧延材張力とルーパ高さ
とを独立に制御する非干渉制御方法と、ルーパの高さと
圧延材張力との干渉系を多変数系としてとらえ、最適制
御(Linear Quadratic)理論を適用する方法等があ
り、それぞれ実機に適用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の張力制
御方法のうち、PID制御による方法は、圧延材張力と
ルーパ高さとの相互干渉を抑える働きがないため、即応
性や安定性に欠けていた。そこで、最近では非干渉制御
方法や最適制御方法が多く用いられている。
【0006】このうち、非干渉制御方法では、クロスコ
ントローラ等の非干渉化のための補償装置を実現するた
め、一例として、計算機上に非干渉化の伝達関数を実現
している。この伝達関数は一般に高次になるため、実際
のプラントとモデルとが不一致になりやすく、計算機上
での演算精度に問題を生じることがあった。また、ルー
パ本来の機能として、ルーパが動いて張力の変動を抑え
る張力制御の一部を担うべきであるが、非干渉化により
ルーパ高さが一定に制御されるため、ルーパの働きが十
分に活かされなかった。
【0007】これに対して、最適制御理論による方法
は、操作端として圧延機駆動用の主電動機とルーパとを
協調させて使用するように制御ゲインを設計することが
できる。この最適制御では下記(1) 式に示す評価関数J
の重み行列Q,Rと、実際のプロセスの応答との因果律
を見出だすのが難しく、制御系全体の適当な応答を実現
するQ,Rを試行錯誤しながら見付けて制御ゲインを決
定するのが一般的である。
【0008】
【数1】 ここで、xは制御対象プロセスの状態量、uはコントロ
ーラが制御対象プロセスに与える操作量であり、xT
xの転値、uT はuの転値を表す。
【0009】このように、最適制御理論による方法は試
行錯誤を繰返すため、制御系の設計やプラントの調整に
多くの時間が必要であった。また、この最適制御理論に
よる方法は解析的に解けないリカッチ方程式を数値的に
解く必要があることから、変数を含んだ最適制御ゲイン
の一般式が求められないことがあった。
【0010】一般式を求めないで済む、例えば、ゲイン
テーブルを用いる方法では、予め圧延材料の性質や圧延
条件に合わせた制御ゲインを求めてゲインテーブルを作
成しておき、制御ゲイン使用時にこのテーブルを参照す
るのが一般的である。従って、このゲインテーブルの値
の決定とその維持・管理に多くの手間と時間がかかるこ
とになる。
【0011】また、ゲインテーブルに全ての場合につい
て制御ゲインを記述することは不可能に近く、ゲインテ
ーブルに存在しない圧延条件ではこの圧延条件と類似す
るゲインテーブルを利用して近似した制御ゲインを決定
せざるを得ないため、制御性能の低下も考えられた。
【0012】この発明は上記の問題点を解決するために
なされたもので、タンデム圧延機の各スタンド間に配置
されたルーパの高さおよび圧延材のスタンド間張力の干
渉系を多変数系として制御する場合、ルーパおよび圧延
材張力の最適制御を可能にするルーパ多変数制御装置を
得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め定められ
た制御ゲインを用いて圧延材張力からルーパ高さへの干
渉およびルーパ駆動電動機の回転速度から圧延材張力へ
の干渉を小さくしながら、前記圧延材張力を張力指令値
に追従させる圧延機駆動用の主電動機の回転速度指令値
と前記ルーパの高さをルーパ高さ指令値に追随させるル
ーパ駆動用電動機の電流指令値とを演算する制御演算手
段を備えたルーパ多変数制御装置において、前記圧延材
の張力指令値、前記ルーパ高さの指令値、制御対象プロ
セスのモデルを表現する変数、前記スタンド間張力と前
記ルーパの高さの応答を指定するための変数、および、
前記スタンド間張力と前記ルーパ高さの応答を調整する
ための変数をそれぞれ設定する設定手段と、この設定手
段で設定された設定値を所定の制御ゲイン計算式に代入
して、前記制御演算手段で用いる制御ゲインを数値とし
て求める制御ゲイン演算手段とを備え、前記制御演算手
段が前記制御ゲイン演算手段で演算された制御ゲインを
用いて前記圧延機駆動用の主電動機の回転速度指令値と
前記ルーパ駆動用電動機の電流指令値とを演算するもの
である。
【0014】好ましくは、圧延材張力が張力指令値の前
後一定の範囲から外れたとき、前記制御ゲイン演算手段
によって演算された圧延材張力からルーパ高さへの干渉
を抑える制御ゲインを、干渉を促す制御ゲインに切換え
る制御ゲイン切換手段を備える。
【0015】
【作用】この発明においては、それぞれ設定された制御
対象プロセスのモデルを表現する変数、スタンド間張力
とルーパの高さの応答を指定するための変数、および、
スタンド間張力と前記ルーパ高さの応答を調整するため
の変数を所定の制御ゲイン計算式に代入して制御ゲイン
を数値として求め、制御演算手段がこの数値を用いて圧
延機駆動用の主電動機の回転速度指令値とルーパ駆動用
電動機の電流指令値とを演算するため、圧延材料の状態
や操業条件の変化に対してリカッチ方程式を数値的に解
いたり、あるいは、ゲインテーブルを用いたりする必要
性がなくなり、これによってルーパおよび圧延材張力を
最適に制御することができる。
【0016】また、圧延材張力が張力指令値の前後一定
の範囲から外れたとき、圧延材張力からルーパ高さへの
干渉を抑える制御ゲインを、干渉を促す制御ゲインに切
換えるようにしたので、張力が異常な値を示した場合で
もルーパ本来の機能によって良好に対処できる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例によって詳
細に説明する。図1はこの発明の一実施例の構成を示す
ブロック図である。同図において、圧延材1は第iスタ
ンド圧延機2および第i+1スタンド圧延機3の順で圧
延される。タンデム圧延機の全スタンド数をnとする
と、n=5〜7が一般的である。以下に示すルーパ等の
装置は各スタンド間に設置されるが、第iスタンドおよ
び第i+1スタンド間の状態を考察すれば容易に他のス
タンドにも拡張できるので、ここでは2スタンド間のみ
を考える。なお、iは1≦i≦n−1の範囲である。
【0018】この第iスタンドおよび第i+1スタンド
間にルーパ4が設けられているとき、ルーパロールの受
ける圧延材1の張力が張力検出装置5で検出され、ルー
パアームの角度に換算されるルーパの高さがルーパ高さ
検出装置6で検出されるようになっている。このルーパ
を駆動するルーパ駆動用電動機(以下、ルーパ電動機と
言う)7には図示省略の電流検出器が付加され、ルーパ
電動機電流制御装置8が電流検出値と電流指令値との偏
差を小さくするようにルーパ駆動用電動機7の電流を制
御する。
【0019】一方、第iスタンド主電動機(以下、主電
動機を主機という)10の速度を制御するための主機速度
制御装置11は、主機速度検出装置9による回転速度検出
値と回転速度指令値との偏差を小さくするように第iス
タンド主機10の電流を制御する。
【0020】上述したルーパ電動機7の電流指令値およ
び第iスタンド主機10の回転速度指令値は制御演算手段
12で演算される。この場合、設定手段51によって圧延材
の張力指令値、ルーパ高さの指令値、制御対象プロセス
のモデルを表現する変数、スタンド間張力とルーパの高
さの応答を指定するための変数、および、スタンド間張
力と前記ルーパ高さの応答を調整するための変数をそれ
ぞれ設定すると、制御ゲイン演算手段52が設定された各
変数を所定の制御ゲイン計算式に代入して、制御演算手
段12で用いる制御ゲインを数値として求める。また、張
力検出装置5で検出された圧延材張力が設定手段51で設
定された張力指令値の前後一定の範囲から外れた場合、
張力変化からルーパ高さへの干渉を抑える制御ゲイン
を、逆に干渉を促す制御ゲインに切換える制御ゲイン切
換手段53を備えている。
【0021】図2は図1で示した制御系のうち、設定手
段51および制御ゲイン演算手段52を除いたものに対応す
るブロック図である。この図2における14〜25が制御対
象プロセスであり、図1における1〜11に相当する。こ
のうち、14は主機速度制御系であり、図1中の主機速度
検出装置9、第iスタンド主機10、主機速度制御装置11
を一つのブロックとして表したものである。15は主機速
度から圧延材速度への影響係数、16は張力発生プロセス
における張力発生プロセスゲイン、17は張力発生プロセ
スにおける積分器である。18は張力発生プロセスにおけ
るフィードバックゲインであり、張力発生プロセスゲイ
ン16、張力発生プロセス積分器17および張力発生プロセ
スフィードバックゲイン18が張力発生機構をモデル化し
たものになっている。
【0022】また、19はルーパ電動機の回転速度から圧
延材速度への影響係数、20は張力からルーパ電動機トル
クへの影響係数である。21はルーパ高さからルーパ電動
機トルクへのゲイン、22はルーパ電動機トルク定数であ
る。23はルーパ電動機におけるトルクから回転速度への
伝達関数、24はルーパダンピング係数、25はルーパ電動
機の回転速度からルーパ高さへの伝達関数である。ここ
で、ルーパ電動機の電流制御においては、電流制御の応
答が他の応答に比べて十分に速いので、ルーパ電動機の
電流はその指令値に等しいとして、図2に示すようにΔ
LREF=ΔiL としている。従って、図1における電流
制御系の応答は考慮していない。
【0023】さらに、図2における26〜36が図1の制御
演算手段12に相当する部分であり、26〜29は積分制御
器、30は張力制御系応答の調整係数、31はルーパ高さ制
御系応答の調整係数であり、32〜36はフィードバック制
御器である。53は積分制御器27に係わり、詳細を後述す
る制御ゲイン切換手段である。
【0024】図2における14〜26の制御対象プロセスモ
デルを状態方程式で表すと次の(2),(3) 式のようにな
る。
【0025】
【数2】
【0026】
【数3】 ここで、各記号の前に付加したΔはその記号の微小変化
を表し、さらに、各記号の上に付加した・は時間微分を
表す。従って、
【0027】
【数4】 である。
【0028】いま、Tは転置を表すこととし、 状態ベクトルx=[Δtf ΔωL Δθ Δvr
T 出力ベクトルy=[Δtf Δθ]T 入力ベクトルu=[ΔVrREF ΔiLREFT として状態方程式を表すと下記(4) 式となる。
【0029】
【数5】 なお、(4) 式中のA,B,Cはそれぞれ下記行列を表す
ものとする。
【0030】
【数6】 ただし、状態方程式中の各変数は次のことを意味してい
る。 gr :ルーパとルーパ電動機との間のギヤ比 J :ルーパ電動機慣性能率 K10:張力フィードバック係数 E :圧延材のヤング率 L :スタンド間距離 Tf :前方張力 Vr :主機速度 Z :ルーパダンピング係数 α2 :主機速度から圧延材速度への影響係数 θ :ルーパ高さ(角度で表す) φ :ルーパ電動機トルク定数 iL :ルーパ電動機電流 ωL :ルーパ回転速度 Tv :主機速度制御系時定数 F1 :ルーパ高さからルーパ駆動トルクへのゲイン (圧延材の重量、ルーパ自重分による負荷トルク) F2 :ルーパ回転速度から圧延材速度への影響係数 F3 :張力からルーパ電動機トルクへの影響係数 添字REF :その記号の指令値 である。
【0031】図1の制御演算手段12に相当する図2にお
ける26〜36の各制御ゲインは以下のように決定する。
【0032】先ず、基本的にはILQ(Inverse Linear
Quadratic)法を用いて決定する。ILQ法とは、最適
制御問題を逆問題の観点から解いたもので、例えば、シ
ステム制御情報学会論文誌の「ILQ最適サーボ系設計
法の一般化」藤井隆雄、下村卓、Vol.1,NO. 6,1988
に記載されている。
【0033】上記(2),(3) 式を用いた制御対象プロセス
のモデルを用いることにより、非干渉化することを前提
にして26〜29,32〜36の制御ゲインは次のように数式で
表すことができる。 26:KIO(1,1)=−4L・ωTC 2 ・Tv /(α2 ・E) …(5) 27:KIO(2,1)=0 …(6) 28:KIO(1,2)=4gr ・F2 ・ωHC 2 ・Tv /α2 …(7) 29:KIO(2,2)=4gr ・J・ωHC 2 /φ …(8) 32:KF0(1,4)=Tv …(9) 33:KF0(1,1)=Tv ・(E・K10−4L・ωTC)/(α2 ・E)…(10) 34:KF0(1,3)=4gr ・F2 ・Tv ・ωHC/α2 …(11) 35:KF0(2,3)=4gr ・J・ωHC/φ …(12) 36:KF0(2,2)=J/φ …(13) ここで、 ωTC:張力制御系の応答の遮断周波数 (rad/s) ωHC:ルーパ高さ制御系の応答の遮断周波数(rad/s) であり、それぞれ所望の値を指定する。
【0034】また、KF0(i,j)は状態ベクトルxの
j番目の要素x(j)から入力ベクトルuのi番目の要
素u(i)へのフィードバックゲインを表し、K
IO(i,k)は指令値と出力ベクトルの各要素との偏差
(k=1ならΔtfREF−Δtf 、k=2ならΔθREF
Δθ)から入力ベクトルuのi番目の要素u(i)への
積分ゲインを表す。なお、KF0(1,2)、KF0(2,
1)、KF0(2,4)、KF0は0となり記載を省略し
た。
【0035】(5) 〜(13)式までの制御ゲインは対象プロ
セスモデルの変数と指定する応答の変数の数式で表現さ
れている。
【0036】調整係数であるσ1 は張力制御系が所望の
応答となるように、またσ2 はルーパ高さ制御系が所望
の応答になるように決める。一般にσ1 ,σ2 を大きな
値に設定すると速い応答が得られるが、操作量である主
機速度指令値やルーパ電動機電流指令値も大きな値とな
るので、あまり大きな値は実現できないことになる。
【0037】上記(5) 〜(13)式中の変数Tv ,α2
E,L,K10,φ,J,gr ,F2 が制御対象プロセス
のモデルを表現する変数として、ωTCおよびωHCが張力
とルーパ高さの応答を指定するための変数として、さら
に、図1中のσ1 ,σ2 が張力とルーパ高さの応答を調
整するための変数としてそれぞれ設定手段51に設定され
ている。制御ゲイン演算手段52はこれら設定値を(5) 〜
(13)式に代入してブロック26〜29および32〜36の制御ゲ
インを演算し、設定値σ1 ,σ2 と合わせて数値として
制御演算手段12に渡す。
【0038】図3(a),(b) に上記(5) 〜(13)式を使用し
た制御系のシミュレーション結果を示す。これは7スタ
ンドの熱間圧延機を模擬したものである。図3におい
て、a,b,・・・,fはそれぞれ第1−2スタンド間
張力、第2−3スタンド間張力,・・・第6−7スタン
ド間張力を表し、g,h,・・・,lはそれぞれ第1−
2スタンド間ルーパ高さ、第2−3スタンド間ルーパ高
さ,・・・第6−7スタンド間ルーパ高さを表してい
る。このシミュレーションにおける対象プロセスとして
は、図2に示す14から25までの簡易化されたモデルでは
なく、ロール間隙の圧延現象、張力発生プロセス等を非
線形プロセスとして記述している。熱間圧延時に加わる
スキッドマークやロール偏芯等の外乱、主機制御系やル
ーパ制御器、自動板厚制御系を細かく記述しており、現
実の圧延を高い精度で模擬している。このシミュレーシ
ョンの結果から、(5) 〜(13)式を使用した場合の制御系
の性能は良好であることが確認できる。
【0039】ところで、この張力制御系とルーパ高さ制
御系はほぼ完全に非干渉化されており、ルーパの機能の
一つである張力制御にルーパがほとんど働かないことが
わかる。このため、大きな外乱が加わって張力が張力指
令値を大きく外れた場合でもルーパはほとんど働くこと
なく、主機の操作によってのみ張力を制御することとな
る。
【0040】しかるに、実際の圧延では、張力が小さく
なってスタンド間にループが発生して事故を起こす原因
となったり、また、張力が大きくなりすぎて圧延材の破
断を起こしたりすることがあり、これらの事故を極力回
避しなければならない。そこで、張力が張力指令値から
大きく外れた場合、例えば、張力基準値から見て正方向
および負方向にそれぞれ設定した制限値を超えた場合、
ルーパを強制的に動かして早く張力指令値に近づける機
能を、図2における制御ゲイン切換手段53よって実現し
ている。制御ゲイン切換手段53の機能を、制御ゲインの
決定方法と制御ゲインの切換タイミングとに分けて以下
に説明する。
【0041】最初に制御ゲインの決定方法について述べ
る。図2において、張力指令値ΔtfREFと張力Δtf
の偏差が大きくなったときにルーパを動かすには、積分
制御器27の制御ゲインを適切に設定すればよい。図4は
図2の積分制御器27における制御ゲインKIO(2,1)
を決定する方法に関わる図である。図2において張力指
令値ΔtfREFから積分制御器27、調整係数31、ルーパ電
動機トルク定数22、ルーパは電動機の伝達関数23,24、
ルーパ回転速度から圧延材速度への影響係数19を通っ
て、張力発生プロセスを経て張力Δtf まで至るルート
を抜き出すと図4に示すブロック図となる。図4におい
て、図2中の張力発生プロセスを構成する16,17,18の
三つのブロックを一つにまとめると、ブロック38に示す
伝達関数となる。
【0042】図4の閉ループ全体の応答をωCLT (rad/
s )となるようにKIO21を決める。 KIO21=ωCLT ・K10・Z/(σ2 ・F2 ) …(14) KIO(2,1)はKIO21をそのまま用いずに調整ゲイン
σ3 (σ3 >0)を導入し、次の(15)式を用いる。 KIO(2,1)=σ3 ・KIO21 …(15) また、ωCLT は図2では無視したが実際のプロセスは存
在するルーパ電流制御系の応答を表す遮断周波数ωCL
1/3 から1/4 程度に設定する。
【0043】次に、制御ゲインの切換タイミングについ
て述べる。図5(a),(b),(c) は制御ゲインKIO(2,
1)の切換タイミングに関わる説明図である。このうち
図5(a) は張力が何らかの外乱により張力指令値を大き
く下回った場合の一例を示している。圧延機運転上の種
々の条件を考慮して張力のある制限値tfLMTを設定し、
張力tf が制限値tfLMTを下回った場合、過少張力と判
断し、制御ゲインKIO(2,1)を0から(15)式による
σ3 ・KIO21に切換える。ただし、検出張力には測定ノ
イズが加わり瞬時あるいはごく短時間ではあるが制限値
fLMTを下回ることもあり、時刻t1 から時刻t2 まで
f <tfLMTという状態を持続した場合に過少張力と判
断する。図5(c) に制御ゲインKIO(2,1)の切換タ
イミングを示す。これを数式で示すと下記のようにな
る。
【0044】 KIO(2,1)=σ3 ・KIO21(過少張力時) KIO(2,1)=0 (過少張力時以外) 図5(b) に示すように時刻t2 から制御ゲインを切換え
ることによりルーパ高さは上昇し、それによって張力は
この方法を採用しない場合よりも早く回復する。張力t
f <tfLMTとなった時点t3 において過少張力の状態か
ら回避したと判断し、図5(c) のt3 のタイミングで制
御ゲインKIO(2,1)をσ3・KIO21から0に切換え
る。
【0045】時刻t3 でのルーパ高さをθ3 とすると、
θ3 からθREF へ急激にルーパ高さを変化させようとす
ると、それが張力への外乱となるため、時刻t3 におい
てはルーパ高さ指令値をθ3 とし、ルーパ高さ指令値を
あるレートをもってθ3からθREF へ戻していく。
【0046】上記実施例では過少張力と判断する期間は
制御ゲインKIO(2,1)を0としているが、(15)式右
辺のσ3 をσ4 (σ4 はσ3 より十分小さな値)とした
場合の値を用いてもよい。すなわち、次のようにする。 KIO(2,1)=σ3 ・KIO21(過少張力時) KIO(2,1)=σ4 ・KIO21(過少張力時以外) また、上記実施例では張力が張力指令値を大きく下回っ
た場合について述べたが、張力が張力指令値を大きく上
回った場合、すなわち、過大張力の場合も同様に処理す
る。
【0047】以上、本発明を具体的な実施例によって説
明したが、圧延機が4重で、ルーパ駆動方式が電動機を
用いる場合に限らず、これ以外の構成の圧延機にも適用
できることは明らかである。
【0048】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、熱
間圧延機におけるルーパと張力の制御を行う場合、制御
ゲインをプロセスの変数や指定応答を表す変数を用いて
演算することにより、圧延材の状態や操業条件に対して
最適なルーパ高さ、および張力を制御することが可能と
なり、安定な操業に寄与できる。
【0049】また、本発明によれば、従来方式によるゲ
インテーブルを持つ必要がないため、そのテーブルの維
持・管理に要する労力も低減される。
【0050】さらに、非干渉化することの短所を取り除
くことにより、張力が異常値を示した場合にも適切に対
処でき、これも安定な操業に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成を、圧延系統と合
わせて示した図。
【図2】本発明の一実施例の詳細な構成を示すブロック
図。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明するために、張
力およびルーパ角度と時間との関係を示した線図。
【図4】本発明の一実施例の制御ゲイン決定方法を説明
する説明図。
【図5】本発明の一実施例の制御ゲインの切換えタイミ
ングを説明するための説明図。
【符号の説明】
1 圧延材 2 第iスタンド圧延機 3 第i+1スタンド圧延機 4 ルーパ 5 張力検出装置 6 ルーパ高さ検出装置 7 ルーパ駆動用電動機 8 ルーパ電動機電流制御装置 9 主機速度検出装置 10 第iスタンド圧延機駆動用主電動機 13 制御演算手段 51 設定手段 52 制御ゲイン演算手段 53 制御ゲイン切換手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−282718(JP,A) 特開 平2−211906(JP,A) 特開 昭62−118911(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 37/48 - 37/52

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンデム圧延機のスタンド間に配置された
    ルーパの高さとこのルーパが配置されたスタンド間の圧
    延材張力との干渉系を多変数系として、予め定められた
    制御ゲインを用いて圧延材張力からルーパ高さへの干渉
    およびルーパ駆動電動機の回転速度から圧延材張力への
    干渉を小さくしながら、前記圧延材張力を張力指令値に
    追従させる圧延機駆動用の主電動機の回転速度指令値と
    前記ルーパの高さをルーパ高さ指令値に追随させるルー
    パ駆動用電動機の電流指令値とを演算する制御演算手段
    を備え、演算された前記各回転速度指令値によって前記
    圧延機駆動用の主電動機およびルーパ駆動用電動機を制
    御するルーパ多変数制御装置において、 前記圧延材の張力指令値、前記ルーパ高さの指令値、制
    御対象プロセスのモデルを表現する変数、前記スタンド
    間張力と前記ルーパの高さの応答を指定するための変
    数、および、前記スタンド間張力と前記ルーパ高さの応
    答を調整するための変数をそれぞれ設定する設定手段
    と、 この設定手段で設定された設定値を所定の制御ゲイン計
    算式に代入して、前記制御演算手段で用いる制御ゲイン
    を数値として求める制御ゲイン演算手段と、前記圧延材張力が張力指令値の前後一定の範囲から外れ
    たとき、前記制御ゲイン演算手段によって演算された圧
    延材張力からルーパ高さへの干渉を抑える制御ゲイン
    を、干渉を促す制御ゲインに切換える制御ゲイン切換手
    段と、 を備えた ことを特徴とするルーパ多変数制御装置。
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