JP3132340B2 - 熱間連続式圧延機の制御方法 - Google Patents

熱間連続式圧延機の制御方法

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JP3132340B2 JP07155705A JP15570595A JP3132340B2 JP 3132340 B2 JP3132340 B2 JP 3132340B2 JP 07155705 A JP07155705 A JP 07155705A JP 15570595 A JP15570595 A JP 15570595A JP 3132340 B2 JP3132340 B2 JP 3132340B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間連続式圧延機の板
厚、スタンド間張力及びルーパ角度の制御方法に関し、
特に圧下位置制御装置、ミル速度制御装置及びルーパの
トルク制御装置を用いて、ルーパ角度、スタンド間張
力、スタンド出側板厚を所望の目標値に制御する熱間連
続式圧延機の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間連続式圧延機においては、板厚とス
タンド間張力、スタンド間張力とルーパ角度は相互干渉
系となっていることは既に知られており、これらの相互
干渉により製品の寸法精度が悪くなるという問題があ
る。従来の、前記相互干渉による問題を解決する方法と
して、特開昭49-28557号公報には全スタンドをまとめて
一つの圧延現象として取り扱い、連続式圧延機の制御系
を最適レギュレータ問題の解として構成する方法が開示
されている。また、特開昭63ー188416 号公報には2スタ
ンド間を基本として、圧延現象について制御系を最適レ
ギュレータ問題の解として構成し、3スタンド以上に拡
張する場合には状態方程式の次数を増やすことにより適
用する方法が開示されている。また、特開平2ー211906号
公報には各スタンド及びルーパに対して独立的に配設さ
れた板厚制御系、スタンド間張力制御系及びルーパ角度
制御系を線形状態方程式で表し、圧延現象モデルと前記
制御系の線形状態方程式を連立させて、一つの多変数制
御系として最適レギュレータ問題の解として構成する方
法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭49-28557号公報では、全スタンドをまとめて一つの
圧延現象として取り扱っているため、状態方程式の次数
が非常に大きくなり、最適レギュレータ問題として取り
扱う場合は、一般にQ、Rマトリクスと呼ばれる重みマ
トリクスの調整が非常に困難になるという問題がある。
また、前記特開昭63-188416 号公報では、複数スタンド
において最適レギュレータを構成する場合、前記特開昭
49-28557号公報と同様の問題が存在する。また、前記特
開平2-211906号公報では、各スタンド及びルーパに対し
て独立的に配設された板厚制御系、スタンド間張力制御
系及びルーパ角度制御系に対して、最適レギュレータに
よるフィードバックを行うため、各アクチュエータの能
力をフルに生かしきることができないという問題点の他
に、前記特開昭49ー28557号公報や特開昭63-188416 号公
報と同様に次数の問題が存在する。
【0004】ところで、文献1(藤崎、池田著「2自由
度積分型最適サーボ形の構成」、計測自動制御学会論文
集、27巻、8 号、pp.907〜914 )に述べられているよう
に、2自由度制御系の立場から考えれば参照入力に対す
る追従特性と制御対象のモデル化誤差や定値外乱に対す
る制御特性は独立に設計すべきものであるが、最適レギ
ュレータ、あるいは積分型最適レギュレータによる、前
記特開昭49ー28557号公報、特開昭63-188416 号公報、特
開平2ー211906号公報のいずれにおいても、追従誤差に関
する最適サーボ系とは呼べない構成になっており、参照
値に対する追従特性については考慮されていない。この
ため参照値(例えば目標板厚)を圧延中に変更した際の
出力値の応答が必ずしも望ましいものとならないといっ
た問題点が存在する。
【0005】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、板厚、スタンド間張力、ル
ーパ角度の相互干渉を抑制しつつ、板厚、スタンド間張
力、ルーパ角度を参照値に応答性良く追従させ、かつ制
御系の設計及び調整が容易にできる制御装置を用いて制
御する熱間連続式圧延機の制御方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱間連続式
圧延機の制御方法は、熱間連続式圧延機のスタンド間に
配置されたルーパのトルク制御装置、各スタンドに配置
されたミル速度制御装置及び圧下位置制御装置を用い
て、出側板厚及びルーパ角度及びスタンド間張力を所望
値に制御する方法において、出側板厚偏差、ルーパ角度
偏差、ルーパ角速度偏差、スタンド間張力偏差、スタン
ド間板速度差偏差及びルーパトルク偏差を状態変数と
し、出側スタンド圧下位置偏差指示値、ルーパトルク偏
差指示値及び入側スタンドまたは出側スタンドのミル速
度偏差指示値を操作変数とする状態方程式を設定すると
ともに、出側スタンド入側板厚偏差と、入側スタンド出
側板速度のうち入側スタンドの先進率変化分による出側
板速度摂動とを外乱とし、前記出側板厚偏差、ルーパ角
度偏差及びスタンド間張力偏差を出力変数とする出力方
程式を設定し、出側板厚偏差目標値、ルーパ角度偏差目
標値及びスタンド間張力偏差目標値を参照値変数とし、
定値外乱及びモデル化誤差に対する制御特性と、参照入
力に対する追従特性を独立して設計できる多変数制御理
論により得られる制御装置により、出側スタンド圧下位
置、ルーパトルク及び入側スタンドまたは出側スタンド
のミル速度を同時に操作することを特徴とするものであ
る。すなわち、本発明は、熱間連続式圧延機のルーパト
ルク制御装置、ミル速度制御装置及び圧下位置制御装置
を用いて、ルーパ角度、出側板厚及びスタンド間張力を
参照値に追従させるよう制御を行うに際して、1ルーパ
付き1スタンドの圧延モデルにおいて、当該スタンドの
出側板厚偏差、ルーパ角度偏差、ルーパ角速度偏差、ス
タンド間張力偏差、スタンド間板速度差偏差及びルーパ
トルク偏差を状態変数とする状態方程式を設定する。こ
のとき当該スタンドの入側板厚偏差と、入側スタンドの
出側板速度のうち先進率変化分による変動(摂動)を外
乱として取り扱い、前記状態方程式から除外することに
より、状態変数の次数を減らし、また、隣接する1ルー
パ付き1スタンドに対して状態変数が干渉しないことか
ら、複数の1ルーパ付き1スタンドに適用する際に、そ
れぞれの1ルーパ付き1スタンドに対して制御装置を独
立して実装することにより状態変数の次数の拡大を行う
必要がない。また、出側スタンド出側板厚偏差、ルーパ
角度偏差及びスタンド間張力偏差を出力変数とし、出側
スタンド圧下位置偏差指示値、ルーパトルク偏差指示値
及び入側スタンドまたは出側スタンドのミル速度偏差指
示値を操作変数とし、さらに出側スタンドの出側板厚偏
差目標値、ルーパ角度偏差目標値及びスタンド間張力偏
差目標値を参照値変数として、モデル化誤差や定値外乱
に対する制御特性と、参照入力に対する追従特性に対し
て明確な設計指針を持てる多変数制御理論(例えば、前
記文献1の2自由度型最適サーボ理論等)により前記制
御装置を設計する。そして、この制御装置により出側ス
タンド圧下位置、ルーパトルク及び入側スタンドまたは
出側スタンドのミル速度を同時に操作することにより前
記目的を達成する。なお、前記状態方程式はスタンド間
板速度差偏差を一つの状態変数として設定されるので、
入側スタンドのミル速度または出側スタンドのミル速度
のどちらかを操作すれば良い。
【0007】
【作用】図1は一般的な熱間連続式圧延機におけるルー
パ1及び圧延機スタンド2(第iスタンド)、3(第i
+1スタンド)の配置を示したものであり、本発明の動
作説明図である。図において、4は被圧延材である。ま
た、圧延機スタンド2、3は圧下位置制御装置5、6と
速度制御装置7、8を備え、ルーパ1はルーパトルク制
御装置9を備える。10は前記の多変数制御理論により
設計された制御装置である。
【0008】ここで、i+1スタンド圧下位置を
i+1 、ルーパ角度をθi 、ルーパ角速度をdθi /d
t、スタンド間張力をσi 、ルーパトルクをTMi、iス
タンド出側の被圧延材の速度をvi 、i+1スタンド入
側の被圧延材の速度をVi+1 、i+1スタンド出側の板
厚をhi+1 、i+1スタンドの圧延荷重をPi+1 、i+
1スタンドの圧下位置指令をSrefi+1、ルーパトルク指
令をTMrefi 、iスタンド速度指令をVRrefi とし、ス
タンド間板速度差vxi を式(1) で表すとする。 vxi =Vi+1 −vi …(1)
【0009】以上の変数の基準値からの偏差を[Δ]で
表し、以下に基本となるダイナミクスの式を示す。な
お、以下の式において、時間についての1次微分を
[・]、2次微分を[・・]を付して表す。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】以上のダイナミクスを整理すると、図1に
示すモデルは次に示す微分方程式で表すことができる。
【0013】
【数3】
【0014】ここで、aj 、bj 、cj 、dj 、ej
βj は影響係数である。状態変数ベクトルX、出力変数
ベクトルY、操作変数ベクトルUを各々式(15)〜(17)と
すれば、状態方程式(18)が構成できる。
【0015】
【数4】
【0016】上記X、Y、Uより状態方程式を構成し、
前記文献1に示されている2自由度型最適サーボ系の設
計法を適用する。参照値ベクトルRfを式(19)とすれ
ば、制御装置10は式(20)および式(21)で表せる。
【0017】
【数5】
【0018】本発明では、iスタンドの圧下操作による
先進率の変化が小さいために(すなわち、式(7)にお
いては出側板速度のうち先進率fi の変化δfi による
変動(摂動)は小さいものとして除いてある)、iスタ
ンド出側板速度への影響は小さく、またiスタンドの出
側板厚はほぼ一定に制御されているので、i+1スタン
ドの入側板厚の変動は小さいとして、これらの影響を外
乱項と考えることにより、(15)式に示されるように状態
変数の数が6個と少なくなっている。さらに操作変数の
数が3個となっており、制御装置の設計及び調整が容易
になっている。また、図2に示すように複数スタンドに
対して上記制御装置を各々配置する場合、操作変数及び
状態変数が制御装置間で干渉しないため、独立して制御
装置の設計が可能となる。また、制御装置の追従特性を
陽に設計することができるため参照値に対する応答性が
改善され、圧延中の板厚の変更や、幅制御を目的とした
スタンド間張力の変更及び尾端抜け時にルーパ高さを低
くして尻抜けの安定化を図る小ループ制御の際に、安定
性を損なうことなく高応答の制御を行うことができる。
【0019】
【実施例】以下図面を参照して、本発明の実施例を詳細
に説明する。図2は本発明方法を実施するための熱間連
続式圧延機制御装置の構成図である。図において、1は
ルーパ、2、3はスタンド、4は被圧延材、5、6は圧
下位置制御装置、7、8はミル速度制御装置、9はルー
パトルク制御装置、10は前記の制御装置である。11
は入力装置で、i+1スタンド3の圧下位置制御装置6
からの圧延荷重Pi+1 及び圧下位置Si+1 と、ルーパ1
のルーパ角度θi 及びスタンド間張力σi と、ルーパト
ルク制御装置9からのルーパトルクTMiが入力される。
また、ルーパ角速度偏差Δdθi /dtとスタンド間板
速度差偏差Δvxi については、測定が困難なため、オ
ブザーバによりこれを求めている。
【0020】制御装置10は各状態量の基準値からの偏
差(状態変数X及び出力変数Yの値)を演算する。基準
値を添字0で表すと、以下のように定義される。 hi+1 0 :出側スタンド出側板厚目標値 θi 0 :ルーパ角度目標値 dθi 0 /dt :0 σi 0 :スタンド間張力目標値 vxi 0 :0 TMi 0 :ルーパトルク初期設定値
【0021】この際、出側スタンド出側板厚hi+1 はゲ
ージメータ式(22)により求めることができる。 hi+1 =f(Pi ,Si ,…) …(22)
【0022】以上により得られた各状態変数及び出力変
数の値を用いて、前出の式(20)、式(21)により、各操作
量の偏差(操作変数U)を演算し、各制御装置6、7、
9に出力することにより、参照値変数Rfに対し、出側
スタンド出側板厚hi+1 、ルーパ角度θi 、スタンド間
張力σi を同時に修正する。
【0023】図3と図4は、本実施例における、出側ス
タンド出側板厚の参照値を変更した時の出側スタンド出
側板厚とルーパ角度とスタンド間張力の変動を、従来方
法による最適レギュレータと比較して示したものであ
る。図3は従来法、図4は本発明法の場合である。これ
らの図から、本発明法によれば、圧延中に板厚を変更し
た場合でも参照値への追従特性が優れていることが明ら
かである。
【0024】次に、図2に示した制御装置を全スタンド
に適用した場合の構成を図5に示す。制御装置10−1
〜10−6は互いの操作量が干渉しないため、各制御装
置ごとに独立して設計することができる。このため状態
方程式(18)の次数を拡張する必要が無く、調整が比較的
容易となっている。
【0025】なお、前記実施例においては、出側スタン
ド出側板厚をゲージメータ式から、ルーパ角速度偏差と
スタンド間板速度差偏差をオブザーバにより求めている
が、その他の手段により推定あるいは実測可能であるな
ら、その推定値あるいは実測値を用いてもよい。また、
本発明では2自由度積分型最適サーボ理論により制御装
置を求めているが、モデル化誤差や定値外乱に対する制
御特性と、参照入力に対する追従特性を独立して設計す
ることのできる制御装置であれば何でもよいことは言う
までもない。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、入側ス
タンドの出側板速度と出側板厚(出側スタンドの入側板
厚)による影響を外乱として取り扱い、状態方程式の次
数を低減することにより、制御装置の設計及び調整が容
易となるだけでなく、複数スタンドに適用する際にも状
態方程式の次数を拡大することなく制御装置を設計する
ことができる、また、モデル化誤差や定値外乱に対する
制御特性と、参照入力に対する追従特性に対して明確な
設計指針を持てる多変数制御理論を適用することにより
得られた制御装置により、出側スタンド圧下位置、ルー
パトルク及び入側スタンドまたは出側スタンドのミル速
度を同時に操作するものであるから、外乱抑制特性だけ
でなく、参照値に対する追従特性をも向上させることが
できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を説明するための熱間連続式圧延機
の模式図である。
【図2】本発明の一実施例に係る制御装置の構成図であ
る。
【図3】従来例による制御を行った場合の結果を示すグ
ラフである。
【図4】本発明による制御を行った場合の結果を示すグ
ラフである。
【図5】図2の制御装置を複数スタンドに適用した場合
の構成図である。
【符号の説明】
1 ルーパ 2 iスタンド 3 i+1スタンド 4 被圧延材 5、6 圧下位置制御装置 7、8 ミル速度制御装置 9 ルーパトルク制御装置 10、10−1〜10−6 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B21B 37/58 B21B 37/12 BBM (72)発明者 鎌田 正誠 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/00 - 37/78

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間連続式圧延機のスタンド間に配置さ
    れたルーパのトルク制御装置、各スタンドに配置された
    ミル速度制御装置及び圧下位置制御装置を用いて、出側
    板厚及びルーパ角度及びスタンド間張力を所望値に制御
    する方法において、 出側板厚偏差、ルーパ角度偏差、ルーパ角速度偏差、ス
    タンド間張力偏差、スタンド間板速度差偏差及びルーパ
    トルク偏差を状態変数とし、出側スタンド圧下位置偏差
    指示値、ルーパトルク偏差指示値及び入側スタンドまた
    は出側スタンドのミル速度偏差指示値を操作変数とする
    状態方程式を設定するとともに、 出側スタンド入側板厚偏差と、入側スタンド出側板速度
    のうち入側スタンドの先進率変化分による出側板速度摂
    動とを外乱とし、 前記出側板厚偏差、ルーパ角度偏差及びスタンド間張力
    偏差を出力変数とする出力方程式を設定し、 出側板厚偏差目標値、ルーパ角度偏差目標値及びスタン
    ド間張力偏差目標値を参照値変数とし、 定値外乱及びモデル化誤差に対する制御特性と、参照入
    力に対する追従特性を独立して設計できる多変数制御理
    論により得られる制御装置により、出側スタンド圧下位
    置、ルーパトルク及び入側スタンドまたは出側スタンド
    のミル速度を同時に操作することを特徴とする熱間連続
    式圧延機の制御方法。
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