JP3316992B2 - 制御装置,制御方法及び圧延機の制御装置並びに圧延機の制御方法 - Google Patents

制御装置,制御方法及び圧延機の制御装置並びに圧延機の制御方法

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JP3316992B2
JP3316992B2 JP33100993A JP33100993A JP3316992B2 JP 3316992 B2 JP3316992 B2 JP 3316992B2 JP 33100993 A JP33100993 A JP 33100993A JP 33100993 A JP33100993 A JP 33100993A JP 3316992 B2 JP3316992 B2 JP 3316992B2
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泰男 諸岡
祐策 大塚
裕 斉藤
哲 服部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも1つの制御
量を有する制御対象の制御装置及びその制御方法に係
り、特に圧延機において圧下制御装置及び速度制御装置
の指令を変更して出側板厚・後方張力を一定に制御する
圧延機の制御装置及び圧延機の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、圧延機の制御において顕著な外乱
である入側板厚変動に対する板厚・張力制御方法として
は、例えば、特開昭63−251804号公報及び特開昭64−44
503 号公報並びに特開平4−361810 号公報に記載されて
いるように、現在の圧延状態量である圧下位置,ロール
速度,圧延材の張力,圧延材の板厚等にフィードバック
ゲインを乗じて圧下制御装置や速度制御装置への操作指
令を計算し、ゲインの決定方法はLQ最適理論や極配置
法等の時間応答特性に着眼した方法であった。
【0003】しかしながら、時間応答特性に着目した場
合、外乱影響の低減化や応答の速応性等の性能を明確に
設計に導入することが困難であり、更に状態量だけをフ
ィードバックする制御方式では外乱影響の低減化するた
めには十分な制御ができないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、時間応
答特性に着目した場合、上記従来技術に記載されたいず
れのものも外乱影響の低減化や応答の速応性等の性能を
導入することが困難であった。つまり、これらのもの
は、単純に計測した状態量だけをフィードバックする制
御方式であり、外乱影響を低減することができず、指令
通りの応答を得るためには十分な制御ができないという
問題があった。
【0005】第1番目の発明の目的は、制御対象の外乱
の影響を少なくし、制御対象の制御量を要求する特性に
容易かつ安定的に制御できる制御装置を提供することに
ある。
【0006】第2番目の発明の目的は、制御対象の外乱
の影響を少なくし、制御対象の制御量を要求する特性に
容易かつ安定的に制御できる制御方法を提供することに
ある。
【0007】第3番目の発明の目的は、圧延機の外乱の
影響を少なくし、圧延機の制御量を要求する特性に容易
かつ安定的に制御できる圧延機の制御装置を提供するこ
とにある。
【0008】第4番目の発明の目的は、圧延機の外乱の
影響を少なくし、圧延機の制御量を要求する特性に容易
かつ安定的に制御できる圧延機の制御方法を提供するこ
とにある。
【0009】第5番目の発明の目的は、圧延機の外乱の
影響を少なくし、圧延材の板厚及び張力を要求される特
性に容易かつ安定的に制御できる圧延機の制御装置を提
供することにある。
【0010】第6番目の発明の目的は、圧延機の外乱の
影響を少なくし、圧延材の板厚及び張力を要求される特
性に容易かつ安定的に制御できる圧延機の制御方法を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は制御対象の制御
量に与える外乱の影響を低減するものであり、制御対象
の制御量の制御性能を周波数特性で表現し、制御量に与
える外乱の影響と逆系の周波数特性を制御量にフィード
バック制御するものである。
【0012】つまり、上記第1番目の発明の目的を達成
するために本発明では、少なくとも1つの制御量を有す
る制御対象の状態を変化させるアクチュエータを制御す
る制御装置であって、前記制御対象の制御量を計測する
第1の計測手段と、前記アクチュエータの内部状態を計
測する第2の計測手段と、前記第1の計測手段及び前記
第2の計測手段の計測値に基づき前記アクチュエータの
操作量を演算する状態フィードバック制御手段とを具備
してなる制御装置において、前記制御対象の制御量に対
する所望の周波数応答特性を設定した制御応答仕様関数
と、前記第1の計測手段及び前記第2の計測手段の計測
値に基づいて定められる前記制御応答仕様関数の内部状
態量から前記アクチュエータの操作量を演算する応答仕
様関数フィードバック制御手段とを具備したものであ
る。
【0013】上記第2番目の発明の目的を達成するため
に本発明では、少なくとも1つの制御量を有する制御対
象の状態を変化させるアクチュエータを制御する制御装
置の制御方法であって、前記制御対象の制御量を計測す
ると共に前記アクチュエータの内部状態を計測し、これ
らの計測値に基づき前記アクチュエータの操作量を演算
して前記制御対象を制御する制御方法において、前記制
御対象の制御量に対して所望の周波数応答特性を設定し
た制御応答仕様関数を設定し、該制御応答仕様関数に前
記制御対象の制御量の計測値を入力し、この入力値に基
づいて定められる前記制御応答仕様関数の内部状態量か
ら前記アクチュエータの操作量を演算して前記制御対象
を制御するものである。
【0014】上記第3番目の発明の目的を達成するため
に本発明では、少なくとも1つの制御量を有する圧延機
と、前記圧延機の状態を変化させる少なくとも1つのア
クチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御手
段とを備えた圧延機の制御装置であって、前記圧延機の
制御量を計測する第1の計測手段と、前記アクチュエー
タの内部状態を計測する第2の計測手段と、前記第1の
計測手段及び前記第2の計測手段の計測結果に基づき前
記アクチュエータの操作量を演算する状態フィードバッ
ク制御手段とを具備してなる圧延機の制御装置におい
て、前記圧延機の制御量に対する所望の周波数応答特性
を設定した制御応答仕様関数と、前記第1の計測手段及
び前記第2の計測手段の計測値に基づいて定められる前
記制御応答仕様関数の内部状態量から前記アクチュエー
タの操作量を演算する応答仕様関数フィードバック制御
手段とを具備したものである。
【0015】上記第4番目の発明の目的を達成するため
に本発明では、少なくとも1つの制御量を有する圧延機
と、前記圧延機の状態を変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御手段とを備えた圧延
機の制御装置であって、前記圧延機の制御量を計測する
と共に前記アクチュエータの内部状態を計測し、これら
の計測値に基づき前記アクチュエータの操作量を演算し
て前記圧延機を制御する制御方法において、前記圧延機
の制御量に対して所望の周波数応答特性を設定した制御
応答仕様関数を備え、前記制御応答仕様関数に前記制御
対象の制御量の計測値を入力し、この入力値に基づいて
定められた前記制御応答仕様関数の内部状態量から前記
アクチュエータの操作量を演算して圧延機を制御するも
のである。
【0016】上記第5番目の発明の目的を達成するため
に本発明では、圧延材を圧延するロールと、該ロールの
圧下位置を制御する圧下制御装置と、該ロールの回転速
度を制御する速度制御装置とを備えた圧延機の制御装置
であって、前記圧下制御装置で設定された前記ロールの
圧下位置を計測する圧下位置計測手段と、前記速度制御
装置で回転駆動される前記ロールの回転速度を計測する
ロール速度計測手段と、前記圧延材に働く張力を計測す
る張力計測手段と、前記圧延材の板厚を計測する板厚計
測手段とを備え、前記圧下位置計測手段の計測値と前記
ロール速度計測手段の計測値と前記張力計測手段の計測
値と前記板厚計測手段の計測値とに基づいて前記圧下制
御装置及び前記速度制御装置への操作量を演算する状態
フィードバック制御手段を具備してなる圧延機の制御装
置において、前記圧延材の板厚偏差の所望の周波数応答
特性を設定した板厚応答仕様関数と、前記圧延材に働く
張力偏差の所望の周波数応答を設定した張力応答仕様関
数と、前記板厚計測手段の計測値と前記圧延材の目標板
厚に基づいて定められる前記板厚応答仕様関数の内部状
態量と前記張力計測手段の計測値と前記圧延材の目標張
力に基づいて定められる前記張力応答仕様関数の内部状
態量とから前記圧下制御装置及び速度制御装置への操作
量を演算する仕様関数フィードバック制御手段とを具備
したものである。
【0017】上記第6番目の発明の目的を達成するため
に本発明では、圧延材を圧延するロールと、該ロールの
圧下位置を制御する圧下制御装置と、該ロールの回転速
度を制御する速度制御装置とを備えた圧延機の制御方法
であって、前記圧下制御装置で設定された前記ロールの
圧下位置と、前記速度制御装置で回転駆動される前記ロ
ールの回転速度と、前記圧延材に働く張力と、前記圧延
材の板厚とをそれぞれ計測し、計測された前記ロールの
圧下位置と前記圧延材に働く張力と前記圧延材の板厚と
前記ロールの回転速度に基づいて前記圧下制御装置及び
前記速度制御装置への操作量を演算する圧延機の制御方
法において、前記圧延材の板厚偏差の所望の周波数応答
特性を設定した板厚応答仕様関数と前記圧延材に働く張
力偏差の所望の周波数応答を設定した張力応答仕様関数
とを備え、前記計測された前記圧延材の板厚と前記圧延
材の目標板厚に基づいて定められる前記板厚応答仕様関
数の内部状態量と前記計測された前記圧延材の張力と前
記圧延材の目標張力に基づいて定められる前記張力応答
仕様関数の内部状態量とから前記圧下制御装置及び速度
制御装置への操作量を演算するようにしたものである。
【0018】
【作用】上記第1番目の発明では、制御対象の制御量に
対する外乱の影響を少なくするために、制御対象におけ
る制御量の外乱に対する応答特性や目標値に追従に対す
る応答特性等の制御性能を分かりやすく直接的に表現で
きる周波数応答特性で指定し、この指定した周波数特性
を有する制御応答仕様関数を設ける。つまり、制御対象
のアクチュエータの操作量を決定する状態フィードバッ
ク制御手段に加え、前記制御応答仕様関数の内部状態量
もフィードバックして前記制御対象のアクチュエータの
操作量を決定する応答仕様関数フィードバック制御手段
を備えることにより、従来の状態フィードバック手段で
は実現することが困難であった周波数応答特性で指定し
た制御性能を安定に実現できるものである。
【0019】上記第2番目の発明では、制御対象の制御
量の外乱の影響を少なくするために、制御対象における
制御量の外乱に対する応答特性や目標値に追従に対する
応答特性等の制御性能を分かりやすく直接的に表現でき
る周波数応答特性で指定し、この指定した周波数特性を
有する制御応答仕様関数を設ける。つまり、制御対象の
制御量を計測すると共に前記制御対象の状態を変化させ
るアクチュエータの内部状態を計測し、これらの計測値
に基づき前記アクチュエータの操作量を演算して前記ア
クチュエータの操作量を制御することに加え、前記制御
応答仕様関数に前記制御対象の制御量の計測値を入力し
て定められる前記制御応答仕様関数の内部状態量から前
記アクチュエータの操作量を演算して前記制御対象のア
クチュエータを制御することにより、従来の状態フィー
ドバック制御では実現することが困難であった周波数応
答特性で指定した制御性能を安定に実現できるものであ
る。
【0020】上記第3番目の発明では、圧延機の制御量
に対する外乱の影響を少なくするために、圧延機におけ
る制御量の外乱に対する応答特性や目標値に追従に対す
る応答特性等の制御性能を分かりやすく直接的に表現で
きる周波数応答特性で指定し、この指定した周波数特性
を有する制御応答仕様関数を設ける。つまり、圧延機の
状態を変化させる少なくとも一つのアクチュエータの操
作量を決定する状態フィードバック制御手段に加え、前
記制御応答仕様関数の内部状態量から前記アクチュエー
タの操作量を演算する応答仕様関数フィードバック制御
手段を備えることにより、従来の状態フィードバック手
段では実現することが困難であった周波数応答特性で指
定した制御性能を安定に実現できるものである。
【0021】上記第4番目の発明では、圧延機の制御量
の外乱の影響を少なくするために、圧延機における制御
量の外乱に対する応答特性や目標値に追従に対する応答
特性等の制御性能を分かりやすく直接的に表現できる周
波数応答特性で指定し、この指定した周波数特性を有す
る制御応答仕様関数を設ける。つまり、圧延機の制御量
を計測すると共に前記圧延機の状態を変化させるアクチ
ュエータの内部状態を計測し、これらの計測値に基づき
前記アクチュエータの操作量を演算して前記アクチュエ
ータの操作量を制御することに加え、前記制御応答仕様
関数に圧延機の制御量の計測値を入力して定められる前
記制御応答仕様関数の内部状態量から前記アクチュエー
タの操作量を演算して該アクチュエータを制御すること
により、従来の状態フィードバックでは実現することが
困難であった周波数応答特性で指定した制御性能を安定
に実現できるものである。
【0022】上記第5番目の発明では、圧延機のロール
の圧下位置を制御する圧下制御装置及び該ロールの回転
速度を制御する速度制御装置制御量に対する外乱の影響
を少なくするために、これらの制御量の外乱に対する応
答特性や目標値に追従に対する応答特性等の制御性能を
分かりやすく直接的に表現できる周波数応答特性で指定
し、この指定した周波数特性を有する制御応答仕様関数
を設ける。つまり、前記圧下位置計測手段の計測値と前
記ロール速度計測手段の計測値と前記張力計測手段の計
測値と前記板厚計測手段の計測値とに基づいて前記圧下
制御装置及び前記速度制御装置への操作量を演算する状
態フィードバック制御手段に加え、圧延材の板厚偏差の
所望の周波数応答特性を設定した板厚応答仕様関数と、
前記圧延材に働く張力偏差の所望の周波数応答を設定し
た張力応答仕様関数と、前記板厚計測手段の計測値と前
記圧延材の目標板厚に基づいて定められる前記板厚応答
仕様関数の内部状態量と前記張力計測手段の計測値と前
記圧延材の目標張力に基づいて定められる前記張力応答
仕様関数の内部状態量とから前記圧下制御装置及び速度
制御装置への操作量を演算する仕様関数フィードバック
制御手段を設けることにより、従来の状態フィードバッ
クでは実現することが困難であった周波数応答特性で指
定した制御性能を安定に実現できるものである。
【0023】上記第6番目の発明では、圧延機のロール
の圧下位置を制御する圧下制御装置及び該ロールの回転
速度を制御する速度制御装置制御量に対する外乱の影響
を少なくするために、これらの制御量の外乱に対する応
答特性や目標値に追従に対する応答特性等の制御性能を
分かりやすく直接的に表現できる周波数応答特性で指定
し、この指定した周波数特性を有する制御応答仕様関数
を設ける。つまり、前記圧下制御装置で設定された前記
ロールの圧下位置と、前記速度制御装置で回転駆動され
る前記ロールの回転速度と、前記圧延材に働く張力と、
前記圧延材の板厚とをそれぞれ計測し、計測された前記
ロールの圧下位置と前記圧延材に働く張力と前記圧延材
の板厚と前記ロールの回転速度に基づいて前記圧下制御
装置及び前記速度制御装置への操作量を演算する状態フ
ィードバック制御に加え、前記圧延材の板厚偏差の所望
の周波数応答特性を設定した板厚応答仕様関数と前記圧
延材に働く張力偏差の所望の周波数応答を設定した張力
応答仕様関数とを備え、前記計測された前記圧延材の板
厚と前記圧延材の目標板厚に基づいて定められる前記板
厚応答仕様関数の内部状態量と前記計測された前記圧延
材の張力と前記圧延材の目標張力に基づいて定められる
前記張力応答仕様関数の内部状態量とから前記圧下制御
装置及び速度制御装置への操作量を演算することによ
り、従来の状態フィードバックでは実現することが困難
であった周波数応答特性で指定した制御性能を安定に実
現できるものである。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例である圧延機の制御
について述べる。本実施例では、便宜上冷間圧延機につ
いて説明する。冷間圧延機の制御において制御量は、出
側板厚・後方張力であり、外乱として入側板厚変動を考
える。図2は、この制御対象である圧延機の概略を示す
図である。図2において圧延機1にはアクチュエータと
して、圧延機1のロール1−1を回転させる速度制御装
置2−2及びロールを上下方向に駆動させる圧下制御装
置2−1が備え付けられている。圧下制御装置2−1を
動作させると被圧延材1−2にかかる荷重が変化し、圧
延現象に影響を及ぼして圧延機1の出側板厚や後方張力
に影響を与える。また、速度制御装置2−2を動作させ
るとロール1−1の回転速度が変化する。そして、ロー
ル1−1の回転速度変化が張力を変化させ、圧延状況に
影響を与える。これらの現象の変化を計測するために、
速度制御装置2−2及び圧下制御装置2−1によって変
化した圧下位置及びロール速度は、圧下位置計測部3−
1とロール速度計測部3−2によって計測される。ま
た、圧延機1から流れ出る被圧延材1−2の板厚は、そ
の圧延機1の出側の板厚計測部3−4で検出され、被圧
延材1−2に働く張力は張力計測部3−3によって検出
される。
【0025】図1は本発明を圧延機の出側板厚・後方張
力の制御に適用したブロック線図である。この図1にお
いて制御対象である圧延機1は、速度制御装置2−2と
圧下制御装置2−1の二つのアクチュエータ2によって
操作される。圧延機1の状態量である圧下位置,ロール
速度,後方張力及び出側板厚は状態計測部3(圧下位置
計測部3−1,ロール速度計測部3−2,張力計測部3
−3,出側板厚計測部3−4)によって計測される。
【0026】圧延機1の制御量である出側板厚とそれに
対応して設定された目標板厚は板厚応答設定関数7に入
力され、別の制御量である張力計測部3−3から検出さ
れた張力とそれに対応して設定された目標張力は張力応
答設定関数6に入力される。張力応答設定関数6と板厚
応答設定関数7では、それぞれの入力に対する各応答設
定関数6,7の内部状態量を関数フィードバック制御部
5に送る。
【0027】関数フィードバック制御部5では、張力応
答設定関数6と板厚応答設定関数7の出力する各関数内
部状態量を入力として、圧下制御装置2−1及び速度制
御装置2−2への操作変更量を演算して圧延機1の制御
量である板厚及び張力を制御する。
【0028】また、状態フィードバック制御部4では、
圧下位置計測部3−1からの圧下位置変化量,ロール速
度計測部3−2からのロール速度変化量及び張力計測部
3−3からの張力変化量を入力として、圧下制御装置2
−1及び速度制御装置2−2への操作変更量を演算して
圧延機1の制御量である板厚及び張力を制御する。
【0029】状態フィードバック制御部4と関数フィー
ドバック制御部5の操作変更量は、ゲイン設定部8から
送られてくるゲインを用いて演算される。このとき、ゲ
イン設定部8は、入力部9から入力される板厚応答設定
関数7と張力応答設定関数6を決定するパラメータを用
いて制御ゲインを計算する。
【0030】次に、制御量の一つである出側板厚の計測
に関して述べる。通常の板厚計はロール直下から離れた
各スタンドの出口に設けられる。このため、制御量とし
て必要なロール直下の出側板厚の検出には無駄時間が生
じてしまう。そこでこの無駄時間をなくすためのロール
直下出側板厚計測方法について以下述べる。
【0031】タンデム圧延機の場合、第iスタンドと第
i+1スタンドまでの距離をL,第iスタンドと第i+
1スタンド間の張力をTi ,圧延材のヤング率をE,第
iスタンドの入側の板厚をHi ,第iスタンドの出側板
速をVoi,第i+1スタンドの入側板速をVei+1,第i
スタンドのロール直下から板速計までの距離をls ,第
iスタンドと第i+1スタンド間の板速計の速度を
si,第iスタンドのロール直下の板速から第i+1ス
タンドのロール直下の板速まで線形に変化すると仮定す
ると、第iスタンドロール直下の板厚hi は、次の式で
表現される。
【0032】
【数1】
【0033】ここで、入側の板厚Hi は、前のスタンド
との間の板厚計で計測した板厚をトラッキングしてきた
ものを用いる。
【0034】以上の方法により実測できる入側板厚,板
速,張力変動からロール直下の出側板厚が推定できる。
【0035】次に、本発明の実施例である図1における
張力応答設定関数6及び板厚応答設定関数7の設定方法
について説明する。
【0036】張力応答設定関数6及び板厚応答設定関数
7は、要求する制御性能に従って構成されるが、以下で
は圧延機における主要な外乱である入側板厚変動外乱の
出側板厚及び張力変動に与える影響を小さくする(低減
化する)制御性能を実現する場合について述べる。本実
施例では、低周波領域において外乱の与える影響を低減
化する(小さくする)こと、つまり、定常状態で制御偏
差が生じない制御性能を実現することを考える。
【0037】図3は、全く制御を行わない場合の圧延機
における主要な外乱である入側板厚変動外乱から出側板
厚及び張力変動に与える影響の周波数特性を示した図で
ある。この図3から分かるように全く制御を行わない場
合では、低周波側の外乱に関してはその影響を低減化で
きていないことが分かる。
【0038】このような対象の持つ特性を修正するため
の板厚応答設定関数7及び張力応答設定関数6を設定す
る。そのために、この板厚応答設定関数7及び張力応答
設定関数6と入側板厚変動外乱から出側板厚及び張力変
動までの要求する伝達特性の関係について説明する。
【0039】図4は、低周波での外乱の影響を低減化す
るための板厚応答設定関数7と張力応答設定関数6の周
波数特性を示した図である。ここでは、特に低周波の入
側板厚外乱から出側板厚及び後方張力への影響を低減化
することが目的である。つまり、低周波においてゲイン
が下がっている特性になることを目的としている。この
ような場合、図4に示すように、板厚応答設定関数7及
び張力応答設定関数6の入力と出力が逆の場合の伝達周
波数特性が低周波数領域でゲインが下がるように設定す
ればよい。例えば、板厚外乱が出側板厚に与える影響を
低周波において低減したい場合、板厚応答設定関数7の
入力と出力を逆にした逆系の周波数特性が低周波で要求
する特性になるように設定する。一般的に表現すると、
各制御量の応答特性に関する設定関数、つまり、板厚応
答設定関数7及び張力応答設定関数6の入力と出力を逆
にした逆系の伝達特性が、実際に実現したい外乱から各
制御量までの伝達特性を表現するように板厚応答設定関
数7及び張力応答設定関数6を設定する。
【0040】図4で示した板厚応答設定関数7[W
s1(s)],板厚応答設定関数6[Ws2(s)]を伝達関数
で表現すると(数2)のようになり、状態空間表現で行
うと(数3)のようになる。
【0041】
【数2】
【0042】但し、sはラプラス演算子である。
【0043】
【数3】
【0044】但し、xsiは板厚及び張力応答設定関数の
内部状態量 uwiは板厚及び張力応答設定関数への入力である。
【0045】なお、要求制御性能を板厚外乱から出側板
厚及び張力までの伝達周波数特性で表現しており、板厚
応答設定関数7及び張力応答設定関数6への入力は、そ
れぞれ実際の出側板厚と目標板厚の偏差及び実際の張力
と目標張力の偏差となる。
【0046】従って、(数3)におけるuw1及びu
w2は、それぞれ目標板厚からの出側板厚偏差及び目標張
力からの張力偏差となる。
【0047】ここで、(数2),(数3)で表現したよ
うに板厚応答設定関数7及び張力応答設定関数6のパラ
メータは、ki とωi であり、この2種類のパラメータ
変更することで外乱除去の応答速度を変更することに対
応することができる。そして、このような板厚応答設定
関数7及び張力応答設定関数6のパラメータは、入力部
9から自由に設定することができる。また、板厚応答設
定関数7及び張力応答設定関数6の構造も自由に入力部
9から設定できる。低周波の入側板厚外乱が出側板厚及
び後方張力に与える影響を低減化する場合を考えると、
先ほど述べたように張力応答設定関数6及び板厚応答設
定関数7の入力と出力を逆にした逆系の低周波領域のゲ
インが下がるように張力応答設定関数6及び板厚応答設
定関数7を設定すればよい。
【0048】従って、より一般的な表現をすると各応答
設定関数6,7は積分器を持てばその逆系は低周波での
ゲインが下がる。よって板厚応答設定関数7及び張力応
答設定関数6の構造は次の(数4)で記述することがで
きる。
【0049】
【数4】
【0050】図5は、張力応答設定関数6及び板厚応答
設定関数7が(数2),(数3)の構成を持つ場合、図
1で示した本発明の一実施例における張力応答設定関数
6,板厚応答設定関数7と入力部9との関係を示した図
である。板厚応答設定関数7及び張力応答設定関数6の
設定としては、板厚応答設定関数7及び張力応答設定関
数6のパラメータ(k1,ω1,k2,ω2)が入力部9に
おいて入力され、板厚応答設定関数7に設定パラメータ
のk1,ω1が送られ、張力応答設定関数6に設定パラメ
ータのk2,ω2が送られる。この結果、板厚応答設定関
数7及び張力応答設定関数6では、送られてきたパラメ
ータk1,ω1及びk2,ω2に基づいて要求する特性をも
つ関数が実現される。例えば、k1 は図4に示した板厚
応答設定関数7の逆系のゲインの最大値を決定するた
め、k1 の設定値により高周波領域における外乱の伝達
ゲインの大きさを指定できる。また、ω1 は図4に示し
た板厚応答設定関数7の逆系においてゲインを下げる周
波数を決定するため、どの周波数までの入側板厚外乱の
出側板厚への影響を低減化するかをω1 により指定でき
る。実際的には、10(rad/sec)までの入側板厚外乱
の影響を特に低減化したい場合、ω1 はそれよりも十分
大きめに設定してω1=20(rad/sec)と設定する。
【0051】実現された板厚応答設定関数7と張力応答
設定関数6の制御実行時は、板厚計測部3−4が出力す
る板厚値と目標板厚の偏差、張力計測部3−3が出力す
る張力値と目標張力の偏差が、それぞれ板厚応答設定関
数7と張力応答設定関数6に入力される。このとき、板
厚応答設定関数7と張力応答設定関数6は、その関数内
部の状態を表す状態量(xs1,xs2)を出力する。これ
らの応答設定関数の状態量(xs1,xs2)は、関数フィ
ードバック制御部5に送られ、アクチュエータ2の操作
量を演算する。そして、状態フィードバック制御部4に
送られた圧延機1及びアクチュエータ2の状態量によっ
てもアクチュエータ2の操作量が演算され、関数フィー
ドバック制御部5の操作量とともにアクチュエータ2を
操作する。
【0052】次に、状態フィードバック制御部4の動作
について説明する。図6は、状態フィードバック制御部
4の詳細を示す図である。状態フィードバック制御部4
には、状態計測部3、つまり、圧下位置計測部3−1,
ロール速度計測部3−2,張力計測部3−3によって検
出された圧下位置,ロール速度,張力の内部状態量が入
力される。状態フィードバック制御部4の内部では、ゲ
イン設定部8によって設計された圧下指令用制御ゲイン
(k11,k12,k13)と入力された圧下位置,ロール速
度,張力の積和演算により圧下指令が演算され、ゲイン
設定部8によって設定された速度指令用制御ゲイン(k
21,k22,k23)と入力された圧下位置,ロール速度,
張力の積和演算により速度指令が演算される。
【0053】次に、関数フィードバック制御部5の動作
について説明する。図7は、関数フィードバック制御部
5の詳細を示す図である。関数フィードバック制御部5
には、板厚応答設定関数7、張力応答設定関数6によっ
て演算された内部状態量が入力される。仕様フィードバ
ック制御部5の内部では、ゲイン設定部8によって設定
された圧下指令用制御ゲイン(k14,k15)と入力され
た張力応答設定関数6及び板厚応答設定関数7の内部状
態量の積和演算により圧下指令が演算され、ゲイン設定
部8によって設定された速度指令用制御ゲイン(k24
25)と入力された張力応答設定関数6及び板厚応答設
定関数7の内部状態量の積和演算により速度指令が演算
される。ここで、制御ゲインは動特性をもたない一定ゲ
インであるとは限らず、動特性をもつ伝達関数の形式で
表現される場合もある。
【0054】次に、ゲイン設定部8から状態フィードバ
ック制御部4,関数フィードバック制御部5に送られる
制御ゲインの設定方法について説明する。
【0055】図8に制御ゲインの設定方法のフローチャ
ートを示す。制御ゲインの設定方法は、先ず要求する対
象の周波数特性を決定する。これは例えば、入側板厚変
動外乱から制御量である出側板厚までの周波数特性にお
いて低周波領域でゲインを低減化するという仕様の要求
が挙げられる。次に、この要求する周波数特性を実現す
る板厚応答設定関数及び張力応答設定関数を設定する
(フローチャート中のS1)。これは例えば、図5中、
張力応答設定関数6及び板厚応答設定関数7に表示した
ように設定する。次に、設定した各応答設定関数を(数
2),(数4)のように状態方程式などのモデル化を行
う(フローチャート中のS2)。これと並行にして、制
御対象である圧延機の制御モデルを作成する(フローチ
ャート中のG1)。そして、各応答設定関数と作成した
制御対象の圧延機制御モデルを結合した新たな制御モデ
ル(一般化プラント)を作成する(フローチャート中の
S3)。次に、作成された一般化プラントのパラメータ
とリカッチ方程式が解をもつように設定する条件パラメ
ータ(フローチャート中のG2)を用いてリカッチ方程
式を導出する(フローチャート中のS4)。この導出さ
れたリカッチ方程式から解を求めるが、解が存在しない
場合はリカッチ方程式の条件パラメータ設定(フローチ
ャート中のG2)まで戻ってパラメータを変更するか、
張力応答設定関数及び板厚応答設定関数の設定(フロー
チャート中のS1)まで戻って各応答設定関数を変更す
る(フローチャート中のJ1)。ここで、リカッチ方程
式の解が存在して解が得られた場合、そのリカッチ方程
式の解を制御ゲインに変換する(フローチャート中のS
5)。ここで得られた制御ゲインを用いてシミュレーシ
ョン等により制御性能の評価を行い、必要な制御性能が
得られていることを確認して、更に高い制御性能を得る
場合は、再び張力応答設定関数及び板厚応答設定関数の
設定(フローチャート中のS1)まで戻る(フローチャー
ト中のJ2)。以上、制御ゲインの設定方法のフローに
ついて説明したが、その詳細な設定方法の一例を次に説
明する。
【0056】ここでは、要求する周波数特性として既に
述べた入側板厚変動外乱が出側板厚及び張力に与える影
響を低周波側で低減化することとする。このときの板厚
応答設定関数と張力応答設定関数のモデルは、(数3)
で表現できるため、次の(数5),(数6)で板厚応答
設定関数と張力応答設定関数のモデルを表現する。
【0057】
【数5】
【0058】但し、xs1は板厚応答設定関数の内部状態
量、z1 は板厚応答設定関数の出力
【0059】
【数6】
【0060】但し、xs2は張力応答設定関数の内部状態
量、z2 は張力応答設定関数の出力次に、冷間圧延機1
のモデルについて示す。冷間圧延機1の制御は、通常、
セットアップ系と呼ばれるフィードフォワード的な制御
演算により圧延現象を記述する非線形な圧延方程式や、
電動機容量,圧延速度,負荷分担等の各種要因を考慮し
て、ロールの間隙を制御する圧下制御装置の初期設定圧
下位置やロール周速を制御する速度駆動装置の初期設定
速度を決定する。セットアップ系は単に圧延機の動作点
を決定するだけであり、このセットアップ系で決定した
動作点を中心に制御偏差が零になるようにフィードバッ
ク制御が動作する。従って、冷間圧延機1のモデルは、
例えば、数値解析手法による制御系の設計(社団法人計
測自動制御学会編 安藤他)に記載されているような圧
延現象を表現したゲージメータ式,マスフロー式,圧延
荷重式,先進率式,板速式,張力式等をセットアップ系
で決定した設定値近傍で線形化した次の(数7)〜(数
14)から状態空間モデルを作成できる。
【0061】
【数7】
【0062】但し、Δhi :セットアップ設定値からの
出側板厚偏差 ΔSi :セットアップ設定値からの圧下位置偏差 ΔPi :セットアップ設定値からの圧延荷重偏差 Ki :ミル定数 ΔSRi:ロール偏芯
【0063】
【数8】
【0064】但し、hi :出側板厚セットアップ設定値 Hi :出側板厚セットアップ設定値 fi :先進率セットアップ設定値 VRi:ロール速度セットアップ設定値 ΔVRi:セットアップ設定値からのロール速度偏差 Δhi :セットアップ設定値からの出側板厚偏差 ΔHi :セットアップ設定値からの入側板厚偏差 Δfi :セットアップ設定値からの先進率偏差 ΔVei:セットアップ設定値からの入側板速偏差
【0065】
【数9】
【0066】但し、ΔPi :セットアップ設定値からの
圧延荷重偏差 Δhi :セットアップ設定値からの出側板厚偏差 ΔHi :セットアップ設定値からの入側板厚偏差 Δτfi:セットアップ設定値からの前方張力偏差 Δτbi:セットアップ設定値からの後方張力偏差
【0067】
【数10】
【0068】但し、Δfi :セットアップ設定値からの
先進率偏差 Δhi :セットアップ設定値からの出側板厚偏差 ΔHi :セットアップ設定値からの入側板厚偏差 Δτfi:セットアップ設定値からの前方張力偏差 Δτbi:セットアップ設定値からの後方張力偏差
【0069】
【数11】 板速の式:ΔVoi=(1+fi)ΔVRi+VRiΔfi …(数11) 但し、fi :先進率セットアップ設定値 VRi:ロール速度セットアップ設定値 ΔVRi:セットアップ設定値からのロール速度偏差 Δfi :セットアップ設定値からの先進率偏差 ΔVoi:セットアップ設定値からの出側板速偏差
【0070】
【数12】
【0071】但し、Li :スタンド間距離 Ei :ヤング率 ΔVoi:セットアップ設定値からの出側板速偏差 ΔVei:セットアップ設定値からの入側板速偏差 Δτbi:セットアップ設定値からの後方張力偏差
【0072】
【数13】
【0073】但し、Tsi:時定数 ΔSi :セットアップ設定値からの圧下位置偏差 ΔSpi:圧下指令変化量
【0074】
【数14】
【0075】但し、Tvi:時定数 ΔVRi:セットアップ設定値からのロール速度偏差 ΔVpi:速度指令変化量 以上の式を用いて、各スタンドの状態量をxi=[ΔS
i ΔVRi-1 Δτbi]T,制御量yi=[Δhi Δτbi
T,外乱di=ΔHi として各スタンドの状態方程式
は、(数15),(数16)のようになる(但し、iは
スタンドの番号を表す)。
【0076】
【数15】
【0077】但し、Aiiは各状態量が各状態量の変動に
与える影響を表す3×3定数行列 Biiは各操作量が各状態量の変動に与える影響を表す3
×2定数行列 Eiiは入側板厚外乱が各状態量の変動に与える影響を表
す3×1定数行列 Aii-1は前のスタンドの各状態量が与える影響を表す3
×3定数行列 Aii+1は後のスタンドの各状態量が与える影響を表す3
×3定数行列 Eii-1は前のスタンドの入側板厚外乱が与える影響を表
す3×1定数行列
【0078】
【数16】
【0079】但し Cii1 は各状態量が板厚に与える影響を表す1×3定数
行列 Cii2 は各状態量が張力に与える影響を表す1×3定数
行列 Fii1 は入側板厚外乱が板厚に与える影響を表す1×1
定数行列 Fii2 は入側板厚外乱が張力に与える影響を表す1×1
定数行列 Cii-1 1は前のスタンドの各状態量が板厚に与える影響
を表す1×3定数行列 Cii-1 2は前のスタンドの各状態量が張力に与える影響
を表す1×3定数行列 更に、複数のスタンドから構成されて大規模システムで
あるタンデム圧延機は、ミル制御用ブロック化非干渉最
適制御方式の開発(電気学会情報処理研究会資料IP−
87−11,p.101,昭和62−11,片山他)に
記載されているような手法を用いてスタンド毎に非干渉
化できる。この非干渉化は各スタンドが別のスタンドの
影響を受けないように他のスタンドからの影響を圧下操
作やロール速度操作で打ち消す制御である。
【0080】各スタンドにおける前後のスタンドの影響
は(数16)に示されているように、Aii-1・xi-1
ii+1・xi+1で表現される。この影響を打ち消すため
に、前後のスタンドの状態量(xi-1,xi+1)を検出し
て、この値を利用して前後の影響を打ち消すような非干
渉制御操作量(−Bii-1・Ai-1・xi-1,−Bii-1・A
i+1・xi+1)を演算して制御する。
【0081】詳細に述べると、他のスタンドからの干渉
を受けるのは、後方張力と板厚である。また、直接操作
できるのは圧下位置とロール速度である。従って、板厚
及び後方張力への干渉を打ち消すためには、直接操作で
きる圧下位置やロール速度を変更し、圧下位置やロール
速度を介して干渉を打ち消す方法になる。そこで、板厚
への干渉は圧下位置を変更して打ち消し、後方張力への
干渉はロール速度を変更して打ち消す方法を用いる。板
厚に関する他のスタンドからの干渉は、後スタンドの張
力の変化が直接的に板厚に影響を与える。そこで、この
影響を後スタンドの圧延実績(張力変化)と圧延機モデ
ルから推定する(Ai+1・xi+1)。この推定した干渉量
に応じて圧下指令を出力して干渉をキャンセルする(−
ii-1・Ai-1・xi-1)。同様に、張力に関する他のス
タンドからの干渉は、前後スタンドの張力,圧下位置,
ロール速度の変化が張力の変化量に影響を与える。そこ
で、この影響を前後スタンド圧延実績(張力,圧下位
置,ロール速度の変化)と圧延機モデルから推定する
(Ai-1・xi-1,Ai+1・xi+1)。そして、この推定し
た干渉量に応じてロール速度指令を出力して干渉をキャ
ンセルする(−Bii-1・Ai-1・xi-1,−Bii-1・A
i+1・xi+1)。
【0082】以上の非干渉化制御により(Ai-1
i-1,Ai+1・xi+1)の部分がなくなり、各スタンド
毎の圧延機の制御モデルは次のような(数17),(数
18)で記述できる。
【0083】
【数17】
【0084】
【数18】
【0085】但し、Aiiは各状態量が各状態量の変動に
与える影響を表す3×3定数行列 Biiは各操作量が各状態量の変動に与える影響を表す3
×2定数行列 Eiiは入側板厚外乱が各状態量の変動に与える影響を表
す3×1定数行列 Cii1 は各状態量が板厚に与える影響を表す1×3定数
行列 Cii2は各状態量が張力に与える影響を表す1×3定数
行列 Fii1 は入側板厚外乱が板厚に与える影響を表す1×1
定数行列 Fii2 は入側板厚外乱が張力に与える影響を表す1×1
定数行列 以上の(数5),(数6),(数17),(数18)の
応答設定関数と圧延機のモデルを結合させた一般化プラ
ントは次の(数19)〜(数22)のように記述でき
る。
【0086】
【数19】
【0087】
【数20】
【0088】
【数21】
【0089】
【数22】
【0090】(数21),(数22)のような応答設定
関数モデルと圧延機モデルを融合した一般化プラントに
対するリカッチ方程式は、例えば、「状態空間論による
H∞制御の解法」(計測と制御 <計測自動制御学会誌
>,Vol.29,No.2,1990,p.129〜p.1
35三平他)に記載されているように、次の(数23)
で記述される。
【0091】
【数23】
【0092】R,ΞF はU,Σの選び方に関わらず一意
に決定される。
【0093】ここでε,γは、導出されるリカッチ方程
式に解の存在条件を決定するパラメータであり、これを
調整することで解を得る。
【0094】また、導出されたリカッチ方程式の解法に
ついては、例えば「現代制御シリーズ 制御計CAD」
(コロナ社,梶原他,p.86〜p.99)等に示されて
いる次の(数24)のようなハミルトン行列を作成す
る。
【0095】
【数24】
【0096】そして、(数24)のハミルトン行列
(H)の漸近安定固有値に対応する固有ベクトルを計算
する(数25)。
【0097】
【数25】
【0098】この時点で条件が悪いと漸近安定固有値が
n個存在しないことが生じる。この場合、パラメータ
(ν,ε)を再設定する。
【0099】固有ベクトルが得られた場合、固有ベクト
ルから(数26)のようにしてリカッチ方程式の解
(P)を計算する。
【0100】
【数26】 P=[ξ1 ξ2 …ξn][η1 η2 …ηn]-1 …(数26) 更に、(数26)で得られたリカッチ方程式の解を制御
ゲインは、先ほどの「状態空間論によるH∞制御の解
法」(計測と制御 <計測自動制御学会誌>,Vol.2
9,No.2,1990,p.129〜p.135三平他)
に記載されているように(数27)の計算で得られる。
【0101】
【数27】
【0102】以上の手順により本発明の制御ゲインを設
定することができる。
【0103】図9は、周波数応答シュミレ−ションの結
果を示した図であり、(a)は前述した制御ゲイン設定
方法により設定した制御ゲインを用いた場合の入側板厚
変動外乱から出側板厚までの伝達周波数特性と要求され
る仕様として与えた板厚応答設定関数の逆系の周波数特
性を示した図であり、(b)は前述した制御ゲイン設定
方法により設定した制御ゲインを用いた場合の入側板厚
変動外乱から出側張力までの伝達周波数特性と要求され
る仕様として与えた張力応答設定関数の逆系の周波数特
性を示した図である。既に述べたように板厚及び張力応
答設定関数の逆系の周波数特性は、要求する外乱から板
厚及び張力までの伝達特性を指定するものであり、外乱
から板厚及び張力までの伝達周波数特性を板厚及び張力
応答設定関数の逆系の周波数特性以下にすることが要求
される仕様である。図9に示したように、得られた外乱
から板厚及び張力までの伝達特性が要求を満足して、低
周波側の外乱の伝達ゲインが大きく低減できていること
が分かる。
【0104】図10は、外乱に対する時間応答のシュミ
レ−ション結果図であり、(a)は入側板厚変動外乱に
対する出側板厚の時間応答特性を示した図であり、
(b)は入側板厚変動外乱に対する出側張力の時間応答
特性を示した図である。ここでは、入側板厚外乱として
入側板厚がステップ的に0.02mm 厚くなった場合の外
乱に対する出側板厚及び張力の時間応答特性を示してい
る。この図10から分かるように、ステップ上に入側板
厚が変動しても素早く出側板厚及び張力が偏差零に落ち
着き、定常偏差を除去できている。
【0105】図11は、周波数応答シュミレ−ション結
果図であり、(a)〜(d)は板厚応答設定関数7及び
張力応答設定関数6の設定パラメータω1 とω2 をそれ
ぞれ変更した場合の入側板厚変動外乱から出側板厚及び
張力までの伝達周波数特性を示した図である。
【0106】(a)は、板厚応答設定関数7及び張力応
答設定関数6の設定パラメータをω2=20,k1=2,
2=0.04と固定して、板厚応答設定関数7の設定パ
ラメータω1 だけを5,50,500と変更した場合の
入側板厚変動外乱から張力までの伝達周波数特性を示し
た図である。
【0107】(b)は、板厚応答設定関数7及び張力応
答設定関数6の設定パラメータをω2=20,k1=2,
2=0.04 と固定して、板厚応答設定関数7の設定
パラメータω1 だけを5,50,500と変更した場合
の入側板厚変動外乱から出側板厚までの伝達周波数特性
を示した図である。
【0108】これら(a)(b)から分かるように、
(数5)の板厚応答設定関数の設定パラメータω1 を変
更するだけで入側板厚変動外乱から出側板厚の伝達周波
数特性を変更でき、外乱除去の速応性を変更できる。そ
して、このとき入側板厚変動外乱から張力の伝達周波数
特性には影響をほとんど与えていない。
【0109】同様に、(c)は、板厚応答設定関数7及
び張力応答設定関数6の設定パラメータをω1=20,
1=2,k2=0.04と固定して、張力応答設定関数
6の設定パラメータω2 だけを5,50,500と変更
した場合の入側板厚変動外乱から張力までの伝達周波数
特性を示した図である。
【0110】(d)は、板厚応答設定関数7及び張力応
答設定関数6の設定パラメータをω1=20,k1=2,
2=0.04と固定して、張力応答設定関数6の設定パ
ラメータω2 だけを5,50,500と変更した場合の
入側板厚変動外乱から出側板厚までの伝達周波数特性を
示した図である。
【0111】これら(c)(d)からわかるように、
(数6)の張力応答設定関数の設定パラメータω2 を変
更するだけで、入側板厚変動外乱から出側板厚の伝達周
波数特性には影響をほとんど与えず、入側板厚変動外乱
から張力の伝達周波数特性を変更でき、外乱除去の速応
性を変更できることが分かる。つまり、複数の制御量の
応答特性を独立に自由に設定できるという効果が得られ
る。
【0112】図12は、周波数応答シュミレ−ション結
果図であり、(a)〜(d)は本発明の制御方式を用い
た場合の板厚応答及び張力応答に関する相補感度関数と
そのときの入側板厚変動外乱から出側板厚及び張力まで
の周波数応答を示した図である。
【0113】(b)は、板厚応答に関する相補感度関数
として目標出側板厚から出側板厚までの目標値追従性を
表現した周波数応答図であり、(a)がそのときの入側
板厚変動外乱から出側板厚までの周波数応答図である。
【0114】また、(d)は、張力応答に関する相補感
度関数として目標張力から張力までの目標値追従性を表
現した周波数応答図であり、(c)がそのときの入側板
厚変動外乱から張力までの周波数応答図である。
【0115】ここでいう相補感度関数とは「アドバンス
ト制御のためのシステム制御理論」(朝倉書店,p.2
〜p.3,前田他)に記述されているように、閉ループ
系が安定であるためのモデル化誤差を規定する評価関数
の役割をもつ。その例として、後で詳しく述べる制御対
象の乗法的モデル化変動の逆系がこの相補感度関数以下
に対しては安定性が保証される。
【0116】従って、モデルの誤差に対する閉ループ系
の安定性を判定するための一方法として目標値追従の周
波数特性が判定のために用いられる。
【0117】図13は、制御対象モデルとその乗法的モ
デル誤差の関係を示した図である。一般的に制御モデル
は、制御対象を完全に記述することはできない。そのた
め、モデルの振る舞いと実際の制御対象の振る舞いが異
なる。このような実際の対象とモデルとの誤差が存在す
る場合、モデルに対して設定された制御器がモデルに対
しては安定に動作しても実際の対象では不安定になるこ
とがある。このような問題に対して、解決するために考
えられているのが、実際の対象とモデルの間の誤差を評
価してモデル誤差を考慮した設計法であるロバスト安定
制御である。モデル誤差は、実際の振る舞いと合わない
部分を表現するために用いるが、不明な部分が多く存在
するため実際には正確に記述できない。モデル誤差を表
現する方法としては、図13に示す乗法的モデル誤差の
他に加法的モデル誤差がある。乗法的モデル誤差は、
(数28)のように記述されるモデル誤差を示す。
【0118】
【数28】 Pr =P(I+ΔPm) …(数28) 但し、Pr :実際の対象 P:モデル ΔPm :乗法的モデル誤差 また、加法的モデル誤差は、(数29)のように記述さ
れるモデル誤差を示す。
【0119】
【数29】 Pr =P+ΔPa …(数29) 但し、Pr :実際の対象 P:モデル ΔPa :加法的モデル誤差 ここで、先ほどの相補感度関数とこの乗法的モデル誤差
と安定性の関係を示すと、次の(数30)で安定条件が
表現できる。
【0120】
【数30】 ‖ΔPm(s)‖∞<Gyr(s)−1 …(数30) 但し、ΔPm(s):乗法的モデル誤差 Gyr(s):相補感度関数 図14は、周波数応答シュミレ−ション結果図であり、
(a)〜(d)は図11で示した相補感度関数と各応答
設定関数のパラメータω1,ω2の関係を示した図であ
る。
【0121】図14の(b)が、各応答設定関数のパラ
メータをk1=2,k2=0.04,ω2=20と固定し
て、板厚応答設定関数7のパラメータω1を5,50,
500と変更した場合の板厚応答に関する相補感度関数
(目標板厚追従周波数特性)を示しており、(a)はそ
のときの張力応答に関する相補感度関数(目標張力追従
周波数特性)を示している。この結果から(数5)の板
厚応答設定関数7の設定パラメータω1 を変更するだけ
で板厚応答に関する相補感度関数を変更でき、板厚応答
に関する閉ループ系のモデル誤差に対する安定性の度合
いを変更できる。そして、このとき張力の応答に関する
相補感度関数には影響をほとんど与えていない。
【0122】図13の(d)が、各応答設定関数のパラ
メータをk1=2,k2=0.04,ω1=20と固定し
て、張力応答設定関数6のパラメータω2を5,50,
500と変更した場合の板厚応答に関する相補感度関数
(目標板厚追従周波数特性)を示しており、(c)はそ
のときの張力応答に関する相補感度関数(目標張力追従
周波数特性)を示している。この結果から(数5)の張
力応答設定関数6の設定パラメータω2 を変更するだけ
で張力応答に関する相補感度関数を変更でき、張力応答
に関する閉ループ系のモデル誤差に対する安定性の度合
いを変更できる。そして、このとき板厚の応答に関する
相補感度関数には影響をほとんど与えていない。この結
果から、相補感度関数に関しても各応答設定関数6,7
のパラメータω1,ω2の変更によって独立に変更でき
る。しかし、実際のモデル誤差が大きいと言われている
高周波側のモデル変動に対して、システムが安定である
ためのモデル誤差変動の許容幅を大きくするために相補
感度関数を高周波側で小さくすると(ω1=5,ω2
5)、図11の結果から分かるように外乱除去特性のゲ
インを下げることができなく外乱応答特性及び目標追従
特性を犠牲にする結果になってしまう。しかしながら、
各応答設定関数の設定パラメータω1,ω2の設定を外乱
除去特性(目標値追従特性)とモデル誤差に対する安定
性のトレードオフを明確にすることができる。そして、
更に板厚に関する応答と張力に関する応答のトレードオ
フは独立に設定できるという効果もある。
【0123】図15は本発明を一般的な多入力・多出力
の制御対象の制御に適用したブロック線図である。この
図15において制御対象1は、複数の制御装置(2−
1,2−2,…,2−n)であるアクチュエータ2によ
って操作される。制御対象1の制御量は計測部3(3−
1,3−2,…,3−n)によって計測され、制御対象
1の内部状態量は計測部3(3−n1,3−n2,…,
3−nm)によって計測される。
【0124】制御対象1の複数の制御量は、それぞれの
制御応答設定関数6−1〜6−nに入力される。各制御
応答設定関数6−1〜6−nでは、それぞれの入力に対
する各応答設定関数6−1〜6−nの内部状態量を関数
フィードバック制御部5に送る。
【0125】関数フィードバック制御部5では、各制御
応答設定関数6−1〜6−nの出力する各関数内部状態
量を入力として、制御対象1の状態を変更する制御装置
2−1〜2−nへの操作変更量を演算して制御対象1の
制御量を制御する。
【0126】また、状態フィードバック制御部4では、
制御対象の内部状態を計測する計測部3−n1〜3−n
mからの状態量の変化量を入力として、制御装置2−1
〜2−nへの操作変更量を演算して制御対象1の制御量
を制御する。
【0127】状態フィードバック制御部4と関数フィー
ドバック制御部5の操作変更量は、ゲイン決定部8から
送られてくるゲインを用いて演算される。このとき、ゲ
イン設定部8は、入力部9から入力される各制御応答設
定関数6−1〜6−nを決定するパラメータを用いて制
御ゲインを計算する。
【0128】
【発明の効果】以上説明したように、第1番目の発明に
よれば、制御対象のアクチュエータの操作量を決定する
状態フィードバック制御手段に加え、制御対象の制御量
の要求特性を周波数特性で独立に設定し、この周波数特
性に基づいて定められる制御応答仕様関数の内部状態量
から制御対象のアクチュエータの操作量を演算する応答
仕様関数フィードバック制御手段を備えているので、制
御応答仕様関数の特性の選択によりロバスト安定性や外
乱除去特性などの複数の制御性能の仕様を独立で最適に
実現できる制御装置を提供できるという効果がある。
【0129】第2番目の発明によれば、制御対象のアク
チュエータの操作量を決定する状態フィードバック制御
に加え、制御対象の制御量の要求特性を周波数特性で独
立に設定し、この周波数特性に基づいて定められる制御
応答仕様関数の内部状態量から制御対象のアクチュエー
タの操作量を演算するので、制御応答仕様関数の特性の
選択によりロバスト安定性や外乱除去特性などの複数の
制御性能の仕様を独立で最適に実現できる制御方法を提
供できるという効果がある。
【0130】第3番目の発明によれば、圧延機の状態を
変化させるアクチュエータの操作量を決定する状態フィ
ードバック制御手段に加え、圧延機の制御量の要求特性
を周波数特性で独立に設定し、この周波数特性に基づい
て定められる制御応答仕様関数の内部状態量から圧延機
のアクチュエータの操作量を演算する応答仕様関数フィ
ードバック制御手段を備えているので、制御応答仕様関
数の特性の選択によりロバスト安定性や外乱除去特性な
どの複数の制御性能の仕様を独立で最適に実現できる圧
延機の制御装置を提供できるという効果がある。
【0131】第4番目の発明によれば、圧延機の状態を
変化させるアクチュエータの操作量を決定する状態フィ
ードバック制御に加え、圧延機の制御量の要求特性を周
波数特性で独立に設定し、この周波数特性に基づいて定
められる制御応答仕様関数の内部状態量から圧延機のア
クチュエータの操作量を演算するので、制御応答仕様関
数の特性の選択によりロバスト安定性や外乱除去特性な
どの複数の制御性能の仕様を独立で最適に実現できる圧
延機の制御方法を提供できるという効果がある。
【0132】第5番目の発明によれば、圧延機の圧下量
とロール回転速度の操作量を決定する状態フィードバッ
ク制御手段に加え、圧延機の制御量の要求特性を周波数
特性で独立に設定し、この周波数特性に基づいて定めら
れる制御応答仕様関数の内部状態量から圧延機の圧下量
とロール回転速度の操作量を演算する応答仕様関数フィ
ードバック制御手段を備えているので、制御応答仕様関
数の特性の選択によりロバスト安定性や外乱除去特性な
どの複数の制御性能の仕様を独立で最適に実現できる圧
延機の制御装置を提供できるという効果がある。
【0133】第6番目の発明によれば、圧延機の圧下量
とロール回転速度の操作量を決定する状態フィードバッ
ク制御に加え、圧延機の制御量の要求特性を周波数特性
で独立に設定し、この周波数特性に基づいて定められる
制御応答仕様関数の内部状態量から圧延機の圧下量とロ
ール回転速度の操作量を演算するので、制御応答仕様関
数の特性の選択によりロバスト安定性や外乱除去特性な
どの複数の制御性能の仕様を独立で最適に実現できる圧
延機の制御方法を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す圧延機における
板厚・張力制御に適用したブロック線図である。
【図2】制御対象である圧延機の概略を示す図である。
【図3】全く制御を行わない場合の圧延機における主要
な外乱である入側板厚変動外乱から出側板厚及び張力変
動に与える影響の周波数特性を示した図である。
【図4】低周波での外乱の影響を低減化するための板厚
応答設定関数と張力応答設定関数の周波数特性を示した
図である。
【図5】図1で示した本発明の一実施例における張力応
答設定関数,板厚応答設定関数と入力部の関係を示した
図である。
【図6】状態フィードバック制御部の詳細を示す図であ
る。
【図7】関数フィードバック制御部の詳細を示す図であ
る。
【図8】制御ゲインの設定方法を示すフローチャートで
ある。
【図9】周波数応答シュミレーションの結果を示す図で
あり、(a)は設定した制御ゲインを用いた場合の入側
板厚変動外乱から出側板厚までの伝達周波数特性と要求
される仕様として与えた板厚応答設定関数の逆系の周波
数特性を示した図であり、(b)は設定した制御ゲイン
を用いた場合の入側板厚変動外乱から出側張力までの伝
達周波数特性と要求される仕様として与えた板厚応答設
定関数の逆系の周波数特性を示した図である。
【図10】外乱に対する時間応答のシュミレーション結
果図であり、(a)は入側板厚変動外乱に対する出側板
厚の時間応答特性を示した図であり、(b)は入側板厚
変動外乱に対する出側張力の時間応答特性を示した図で
ある。
【図11】周波数応答シュミレーション結果図であり、
(a)〜(d)は板厚応答設定関数及び張力応答設定関
数の設定パラメータをそれぞれ変更した場合の入側板厚
変動外乱から出側板厚及び張力までの伝達周波数特性を
示した図である。
【図12】周波数応答シュミレーション結果図であり、
(a)〜(d)は本発明の制御方式を用いた場合の板厚
応答及び張力応答に関する相補感度関数とそのときの入
側板厚変動外乱から出側板厚及び張力までの周波数応答
を示した図である。
【図13】制御対象モデルとその乗法的モデル誤差の関
係を示した図である。
【図14】周波数応答シュミレーション結果図であり、
(a)〜(d)は図11で示した相補感度関数と各応答
設定関数のパラメータの関係を示した図である。
【図15】本発明を一般的な多入力・多出力の制御対象
の制御に適用したブロック線図である。
【符号の説明】
1…圧延機、2…アクチュエータ、3…状態計測部、4
…状態フィードバック制御部、5…関数フィードバック
制御部、6…張力応答設定関数、7…板厚応答設定関
数、8…ゲイン設定部、9…入力部。
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 裕 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社 日立製作所 大みか工場内 (72)発明者 服部 哲 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社 日立製作所 大みか工場内 (72)発明者 柏木 俊之 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社 日立製作所 大みか工場内 (56)参考文献 特開 平5−123726(JP,A) 特開 平4−101957(JP,A) 特開 平2−83702(JP,A) 特開 昭61−180306(JP,A) 特開 昭61−92715(JP,A) 特開 昭60−238029(JP,A) 特開 昭55−112111(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 13/02 G05B 11/32 B21B 37/18

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1つの制御量を有する制御対象
    制御量を変化させるアクチュエータを制御する制御装
    置であって、 前記制御対象の制御量を計測する第1の計測手段と、前
    記アクチュエータの出力を計測する第2の計測手段と、
    前記第1の計測手段の計測値及び前記第2の計測手段の
    計測値にゲインを乗じて加減算することで前記アクチュ
    エータの操作量を演算するフィードバック制御手段と、前記制御対象の制御量と前記制御量の目標値との偏差の
    時間積分値にゲインを乗じた値と前記制御対象の制御量
    と前記制御量の目標値との偏差にゲインを乗じた値を加
    減演算する制御量応答設定演算手段と、 前記第1の計測手段の計測値を入力とした前記制御量応
    答設定演算手段の出力にゲインを乗算することで前記ア
    クチュエータの操作量を演算する関数フィードバック制
    御手段 とを具備したことを特徴とする制御装置。
  2. 【請求項2】少なくとも1つの制御量を有する制御対象
    の制御量を変化させるアクチュエータを制御する制御装
    置であって、 前記制御対象の制御量を計測する第1の計測手段と、前
    記アクチュエータの出力を計測する第2の計測手段と、
    前記第1の計測手段の計測値及び第2の計測手段の計測
    値にゲインを乗じて加減算することで前記アクチュエー
    タの操作量を演算するフィードバック制御手段と、 前記制御対象の制御量と前記制御量の目標値との偏差信
    号の各周波数成分毎にゲインを乗じて、前記偏差信号の
    各周波数成分毎に重みを付けた信号を出力する制御量応
    答設定演算手段と、 前記第1の計測手段の計測値を入力とした前記制御量応
    答設定演算手段の出力にゲインを乗算することで前記ア
    クチュエータの操作量を演算する関数フィードバック制
    御手段とを具備したことを特徴とする制御装置。
  3. 【請求項3】少なくとも1つの制御量を有する制御対象
    の制御量を変化させるアクチュエー タを制御する制御方
    法であって、 前記制御対象の制御量を計測すると共に、前記アクチュ
    エータの出力を計測し、これらの計測値にゲインを乗じ
    て加減算することで前記アクチュエータの第1の操作量
    を演算し、 前記制御対象の制御量と前記制御量の目標値との偏差信
    号の各周波数成分毎にゲインを乗じて前記偏差信号に周
    波数毎に重み付けを行った偏差信号を演算し、 前記重み付けを行った偏差信号にゲインを乗算して前記
    アクチュエータの操作量を演算する第2の操作量を演算
    し、 前記第1の操作量と前記第2の操作量を加減算して前記
    アクチュエータの操作量を演算し、前記制御対象を制御
    することを特徴とする制御方法。
  4. 【請求項4】少なくとも1つの制御量を有する圧延機
    と、前記圧延機の圧延荷重,張力,圧延速度、あるいは
    板厚のいずれかを少なくとも一つを変化させる少なくと
    も1つのアクチュエータと、前記アクチュエータを制御
    する制御手段とを、備えた圧延機の制御装置であって、 前記圧延機の制御量を計測する第1の計測手段と、 前記アクチュエータの出力を計測する第2の計測手段
    と、 前記第1の計測手段の計測値および前記第2の計測手段
    の計測値にゲインを乗じて加減算することで前記アクチ
    ュエータの第1の操作量を演算するフィードバック制御
    手段と、 前記圧延機の制御量の周波数成分毎にゲインを乗じた信
    号を演算する制御量応答設定演算手段と、 前記第1の計測手段の計測値を入力とした前記制御量応
    答設定演算手段の出力にゲインを乗算して前記アクチュ
    エータの第2の操作量を演算する関数フィードバック制
    御手段とを具備したことを特徴とする制御装置。
  5. 【請求項5】圧延材を圧延するロールと、前記ロールの
    圧下位置を制御する圧下制御装置と、前記ロールの回転
    速度を制御する速度制御装置とを備えた圧延機の制御装
    置であって、 前記圧下制御装置で設定された前記ロールの圧下位置を
    計測する圧下位置計測手段と、 前記速度制御装置で駆動回転される前記ロールの回転速
    度を計測するロール速度計測手段と、 前記圧延材に働く張力を計測する張力計測手段と、 前記圧延材の板厚を計測する板厚計測手段とを備え、前記圧下位置計測手段の計測値と前記張力計測手段の計
    測値と前記ロール速度計測手段の計測値と前記各計測値
    に対応した制御ゲインとの積和演算にて前記圧下制御装
    置への操作量を演算する第1の圧下フィードバック制御
    手段と、 前記圧下位置計測手段の計測値と前記張力計測手段の計
    測値と前記ロール速度計測手段の計測値と前記各計測値
    に対応した制御ゲインとの積和演算にて前記速度制御装
    置への操作量を演算する第1の速度フィードバック制御
    手段と、 前記圧延材の板厚偏差の周波数成分毎にゲインを乗じた
    信号を出力する板厚周波数応答関数演算手段と、 前記圧延材の張力偏差の周波数成分毎にゲインを乗じた
    信号を出力する張力周波数応答関数演算手段と、 前記板厚計測手段の計測値を前記板厚周波数応答関数演
    算手段に入力した時の出力値に制御ゲインを乗じた演算
    値と前記張力計測手段の計測値を前記張力周波数関数演
    算手段に入力した時の出力値に制御ゲインを乗じた演算
    値を加減演算して前記圧下制御装置への操作量を演算す
    る第2の圧下フィードバック制御手段と、 前記板厚計測手段の計測値を前記板厚周波数応答関数演
    算手段に入力した時の出力値に制御ゲインを乗じた演算
    値と前記張力計測手段の計測値を前記張力周波数関数演
    算手段に入力した時の出力値に制御ゲインを乗じた演算
    値を加減演算して前記速度制御装置への操作量を演算す
    る第2の速度フィードバック制御手段と を具備したこと
    を特徴とする圧延機の制御装置。
  6. 【請求項6】少なくとも1つの制御量を有する圧延機
    と、前記圧延機の状態である圧延荷重,張力,圧延速
    度、あるいは板厚のいずれかを少なくとも一つ変化させ
    る少なくとも1つのアクチュエータと、前記アクチュエ
    ータを制御する制御手段とを備えた圧延機の制御方法で
    あって、前記圧延機の制御量とアクチュエータの出力を計測し、
    前記計測した圧延機の制御量にゲインを乗じたものと、
    前記計測したアクチュエータの出力にゲインを乗じたも
    のとを加減算することにより前記アクチュエータの第1
    の操作量を演算し、 前記圧延機の制御量と前記制御量の目標値との偏差信号
    の各周波数成分毎にゲインを乗じて、前記アクチュエー
    タの第2の操作量を演算し、前記第1の操作量と前記第
    2の操作量を加減演算することにより前記アクチュエー
    タの操作量を演算すること を特徴とする制御方法。
  7. 【請求項7】圧延材を圧延するロールと、前記ロールの
    圧下位置を制御する圧下制御装置と、前記ロールの回転
    速度を制御する速度制御装置とを備えた圧延機の制御方
    法であって、 前記圧下制御装置で設定された前記ロールの圧下位置と
    前記速度制御装置で駆動回転される前記ロールの回転速
    度と前記圧延材に働く張力と前記圧延材の板厚を計測
    し、計測された前記圧下位置と前記張力と前記回転速度と前
    記各計測値に対応した制御ゲインとの積和演算にて前記
    圧下制御装置への第1の操作量を演算し、 計測された前記圧下位置と前記張力と前記回転速度と前
    記各計測値に対応した制御ゲインとの積和演算にて前記
    速度制御装置への第1の操作量を演算し、 前記板厚計測値と板厚目標値との偏差信号を演算し、前
    記板厚計測値と板厚目標値の偏差信号の周波数成分毎に
    ゲインを乗じた演算値に制御ゲインを乗じた演算値と、
    前記張力計測値と張力目標値との偏差信号を演算し、前
    記張力計測値と張力目標値との偏差信号の周波数成分毎
    にゲインを乗じた演算値に制御ゲインを乗じた演算値と
    を加減演算して前記圧下制御装置への第2の操作量を演
    算し、 前記板厚計測値と板厚目標値との偏差信号を演算し、前
    記板厚計測値と板厚目標値の偏差信号の周波数成分毎に
    ゲインを乗じた演算値に制御ゲインを乗じた演算値と、
    前記張力計測値と張力目標値との偏差信号を演算し、前
    記張力計測値と 張力目標値との偏差信号の周波数成分毎
    にゲインを乗じた演算値に制御ゲインを乗じた演算値と
    を加減演算して前記速度制御装置への第2の操作量を演
    算し、 前記圧下制御装置への前記第1の操作量と前記第2の操
    作量を加算して前記圧下制御装置への操作量を演算し、 前記速度制御装置への前記第1の操作量と前記第2の操
    作量を加算して前記速度制御装置への操作量を演算する
    こと を特徴とする圧延機の制御方法。
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