JP2964892B2 - 熱間連続仕上圧延機の制御方法 - Google Patents

熱間連続仕上圧延機の制御方法

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JP2964892B2
JP2964892B2 JP6299207A JP29920794A JP2964892B2 JP 2964892 B2 JP2964892 B2 JP 2964892B2 JP 6299207 A JP6299207 A JP 6299207A JP 29920794 A JP29920794 A JP 29920794A JP 2964892 B2 JP2964892 B2 JP 2964892B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板等の金属帯を圧延
する熱間連続仕上圧延機における制御方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】複数スタンドから構成され、隣接する2
スタンド間にルーパが設置されている熱間仕上圧延機に
おいて、従来は、前記ルーパ角度計によるルーパ角度測
定値とルーパ角度目標値との偏差に基づき隣接する2ス
タンドの上流側スタンドのロール周速度を修正すると共
に、張力目標値から計算したルーパトルク指令値とルー
パトルク測定値との偏差に基づきルーパトルクを修正す
ることによりルーパ角度と張力が制御されていたが、ル
ーパ角度と張力との間に干渉がありそれぞれの制御系の
制御性能を上げることができなかった。また、被圧延材
の板厚を目標値にすべく、圧延中の圧延荷重変動からス
タンド出口の板厚変動を計算し、その変動分を零にする
ように圧下位置を修正する自動板厚制御(ゲージメータ
AGC)が導入され板厚が制御されているが、下流側ス
タンドの板厚制御による圧下位置修正により下流側スタ
ンドの後進率が変化し、また上流側スタンドの板厚制御
による圧下位置修正により上流側スタンドの先進率が変
化することにより2スタンド間被圧延材の流入速度と流
出速度の差(以下速度外乱と称す)が生じ、被圧延材の
張力およびルーパ角度が変化してしまうという問題があ
った。そこで、特公平4−59049号公報に、圧下位
置と同時に圧延機モータの速度およびルーパトルクを修
正することにより上記張力変動とルーパ角度変動を抑え
ようとする提案がなされている。
【0003】また、特開昭63−203209号公報に
は、板幅偏差に基づき張力を修正して板幅を制御し、こ
の時の張力およびルーパ角度の変動を抑制しようとする
提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
4−59049号公報に記載の方法では、張力とルーパ
角度に加え板厚と上流側及び下流側スタンドのロール周
速度を制御対象とし、かつ出力変数の2次形式の時間積
分で表した評価関数を最小にするように操作変数を求め
ることにより得られる制御装置は、非常に複雑な構造と
なり、実機に適用時の調整とその後のメンテナンスが非
常に困難であり、十分に調整ができず良好な制御結果が
得られないと云う問題があった。また、板厚は、被圧延
材の複雑な塑性変形により変化するものであり、これを
制御対象に含めることにより、上記公報記載の状態方程
式が実際の現象を正しく表現できずに大きな誤差を含
み、これに基づき設計された制御装置では、フィードバ
ックゲインを適正な値に設定できず、制御性能を十分に
改善できないという問題点があった。
【0005】更に、前記制御方法では、板厚制御による
張力およびルーパ角度への外乱については対応できる
が、板幅制御によるスタンド間張力目標値の変更に対し
ては考慮されていない。従って、板幅制御が実施された
場合には、幅計実測値に基づく張力目標値変更に対し
て、張力およびルーパ角度の制御性能が悪いという問題
も有していた。
【0006】上述の特開昭63−203209号公報に
記載の制御方法では、板幅実測値に基づく張力目標値の
変更は考慮されているが、板厚制御での圧下位置修正に
より生じる速度外乱による張力およびルーパ角度の変動
を抑制できないという問題が有った。
【0007】本発明は、上述の従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、熱間仕上圧延機における圧延時
の速度外乱に対して、張力およびルーパ角度を安定化さ
せることにより、高精度な板幅・板厚の制御方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる熱間連続
仕上圧延機の制御方法は、次の手順で行うことを要旨と
する。
【0009】複数のスタンドの各隣接する2スタンド間
に被圧延材の張力を検出する張力計とルーパ角度を検出
するルーパ角度計とルーパトルクを検出するルーパトル
ク計とを有するルーパを設置した熱間連続仕上圧延機の
制御方法であって、ルーパ角度計によるルーパ角度測
定値とルーパ角度目標値との偏差に基づき隣接する2ス
タンドの上流側スタンドロール周速度を修正し、張力目
標値から計算したルーパトルク指令値とルーパトルク測
定値との偏差に基づきルーパトルクを修正する。
【0010】張力計にて測定した被圧延材の張力測定
値と張力目標値との張力偏差ルーパ角度実測値から求
めたルーパ角速度、ならびに上流側および下流側スタン
ドのロール周速度とから隣接する2スタンド間の被圧延
材の流入速度と流出速度との差である速度外乱を推定す
る。
【0011】上記の速度外乱推定値に基づき上流側
スタンドのロール周速度を修正する。
【0012】さらに、前記張力偏差に基づき上流側ス
タンドロール周速度およびルーパトルクを修正するとと
もに、前記ルーパ角速度に基づき上流側スタンドロール
周速度およびルーパトルクを修正する。
【0013】また、上記の制御方法に対し、次の手順を
加えることが望ましい。
【0014】各隣接する2スタンドの下流側スタンド
以降に設けられた板幅計にて測定した板幅実測値と目標
板幅との偏差を求める。
【0015】前記板幅偏差が0になるように、におけ
る張力目標値を修正する。
【0016】
【作用】本発明方法は、ルーパ角度計によるルーパ角度
測定値とルーパ角度目標値との偏差に基づき隣接する2
スタンドの上流側スタンドのロール周速度を修正すると
共に、張力目標値とルーパ角度測定値とから計算したル
ーパトルク指令値とルーパトルク測定値との偏差に基づ
きルーパトルクを修正するルーパ角度制御および張力制
御において、下記の(1)と(2)を目標とするもので
ある。
【0017】(1)ルーパ角度と張力の制御性能を向上
させる。
【0018】この目標は次のようにして達成される。即
ち、張力計にて測定した張力測定値と張力目標値との張
力偏差に基づき上流側スタンドのロール周速度とルーパ
トルクをフィードバック修正すると共に、ルーパ角度計
にて測定したルーパ角度を数値微分することにより得ら
れるルーパ角速度に基づき上流側スタンドのロール周速
度とルーパトルクをフィードバック修正するという制御
ループを構成する。
【0019】ここで、ルーパ角速度は、ルーパ角度を数
値微分する方法以外に、ルーパにルーパ角速度計を設
け、直接検出した値を用いる方法もあるが、あらたに角
速度計を設置する必要があったり、精度上もさほど良く
ないため、計算機内部で数値微分する(単位時間Δtあ
たりの角度変化をΔθとして、角速度=Δθ/Δtとす
る)方法がよい。
【0020】(2)下流側スタンドの板厚制御による圧
下位置修正により下流側スタンドの後進率が変化し、ま
た上流側スタンドの板厚制御による圧下位置修正により
上流側スタンドの先進率が変化することにより2スタン
ド間被圧延材の流入速度と流出速度の差として速度外乱
が生じ、被圧延材の張力及びルーパ角度が変化してしま
うという問題を解決する。
【0021】これは、次のようにして行う。前記速度外
乱を張力偏差とルーパ角速度と上流側及び下流側スタン
ドのロール周速度から推定し、上記速度外乱推定値に基
づき上流側スタンドロール周速度をフィードフォワード
修正する。
【0022】上記(1)のフィードバック修正により張
力およびルーパ角度の応答特性が向上でき、かつ前記
(2)の速度外乱推定値のフィードフォワード修正によ
り、板厚制御の圧下位置修正による速度外乱の影響を排
除できるため、被圧延材の張力およびルーパ角度の応答
性を改善すると共に、これらの変動を大幅に低減でき
る。これにより、板幅制御を行わない場合も、板幅制御
を行い張力を板幅偏差に基づき変更するいずれの場合に
おいても張力およびルーパ角度の応答特性が改善でき、
これらの変動を大幅に低減できる。更に、板幅制御を行
う場合には、張力を張力目標値に速やかに追従させるこ
とができ、良好な板幅制御が可能となる。
【0023】以下に、本発明制御方法について詳細に説
明する。
【0024】上述のように、本発明方法は、熱間連続仕
上圧延機全体を制御対象としているので、まず、その圧
延現象を表す状態方程式を導出する。
【0025】図1に熱間連続仕上圧延機群の隣接する2
スタンドを示している(通常熱間連続仕上圧延機は6〜
7スタンドから成る)。まず、前記2スタンドに対する
状態方程式を導出する。
【0026】(1)張力σの変動:第n〜第n+1スタ
ンド間の張力変動は、スタンド間入口と出口での材料速
度差とルーパ角速度変化にて表す。
【0027】
【数1】
【0028】ここで、σn は第nスタンドと第n+1ス
タンド間の張力、θはルーパ角度、ωはルーパ角速度、
T はルーパ角度と材料長さの換算係数、VR はロール
周速度、KG は張力系の影響係数、TG は時定数、fは
先進率および△Vd は速度外乱、W は定常値(あるいは
設定値)、△は定常値(あるいは設定値)からの偏差、
nはスタンド番号を表す。また、下流側スタンドをピボ
ットスタンドとしているため、スタンド間の材料速度差
は、上流側スタンドロール周速度変化のみで記述でき
る。
【0029】(2)油圧ルーパトルク変動(第nスタン
ド):油圧アクチュエータに流入する油の連続の式と油
の圧縮の式からルーパトルクは次式で表せる。
【0030】(なお、本微分方程式導出時は油圧アクチ
ュエータとしたが、電動モータの場合もある。)
【0031】
【数2】
【0032】ここで、τはルーパトルク、εは油の体積
弾性係数、Uo はロータリーアクチュエータ内の油の体
積、KT はトルク制御ゲイン、βは圧力とトルクの換算
係数、ρはルーパ角度と容積の換算係数、τref はトル
ク指令値を示す。
【0033】(3)ルーパの運動方程式(第nスタン
ド):
【0034】
【数3】
【0035】ここで、Jはルーパの慣性モーメント、A
は圧延材の断面積である。
【0036】(4)モータ速度制御(ASR:Automatic
Speed Regulator)(第nスタンド):
【0037】
【数4】
【0038】ここで、VRrefはロール周速度の速度指
令、TM はASRの時定数である。
【0039】(5)ルーパトルク指令(第nスタン
ド):
【0040】
【数5】
【0041】ここで、△σref はスタンド間張力の目標
値である。
【0042】前記フィードバックは、次式で与えられ
る。これらのフィードバックゲインC11,C12,C21
22の決定方法を以下に示す。
【0043】
【数6】
【0044】まず、(6)式の非対角要素のフィードバ
ックゲインC12、C21を以下の方法で決める。
【0045】(1)〜(5)式から、(6)式のフィー
ドバックを付加した後の入力(△τr 、△VRr)から出
力(△θ、△σ)への入出力関係は次式で表せる。
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】
【0048】ここで、D=ρ/KT 、 TL =1/( KT ・β) 、
sはラプラス演算子を表す。また、d(s)は、定数項(s
の0乗の項)が零でないsの多項式である。
【0049】上式の伝達関数行列の非対角要素を定常状
態(s=0) にて、零にするようにC12、C21を決めると、
次式になる。
【0050】
【数9】
【0051】本フィードバックの意味を以下に説明す
る。
【0052】C12を介したルートのフィードバックの意
味であるが、ルーパ角度制御は、前述のようにルーパ角
度の実測値と目標角度との偏差に基づき上流側スタンド
ロール周速度を修正することにより実施されるが、この
ロール周速度指令(△VRref)からルーパ角度への入出
力関係は、上記フィードバックを付加しない場合次式に
示すように、積分特性(1/s の項が表れる)を持つ自己
平衡性のない(たとえば、ステップ入力をいれるとある
値に収束するのではなく、限りなく増大する)特性を持
ち、制御が難しい。
【0053】
【数10】
【0054】そこで、上記(9)式のフィードバック
(C12=ALT )を付加した場合のロール周速度指令(
Rr) からルーパ角度への入出力関係を次式に示すが、
積分特性(1/s の項)がない自己平衡性のある特性とな
り、制御対象がより安定になり、制御が容易になる。
【0055】
【数11】
【0056】C21を介したルートのフィードバックの意
味であるが、ルーパ角度制御は、前述のように、ルーパ
角度変動(ルーパ角度の目標値からの偏差)に基づき、
これを打ち消すように上流側スタンドロール周速度を修
正しているが、C21を介したルートのフィードバックつ
まり、ルーパ角度より位相が90度進んでいるルーパ角
速度に基づき上流側スタンドロール周速度を修正するこ
とにより、ルーパ角度の変動及び張力の変動をより速や
かに抑制できるものである。
【0057】次に、上記(7)式の対角要素のフィード
バックゲインC22、C11を以下の方法で決める。
【0058】上記非対角要素C12、C21のフィードバッ
クを付加した状態から、C22、C11のそれぞれのゲイン
を単独に変化させた時の根軌跡から極配置法に基づいて
決定する。
【0059】ここで、制御対象の応答特性を表す根
(極)は、フィードバックゲインを変えていくと変化す
る。このフィードバックゲインを変化させたときの根
(極)の軌跡を複素平面上にプロットしたものを根軌跡
といい、実数部が負の根(極)は安定な特性を示し、系
が変動を起こしてもその変動が収束していく(負の値が
大きいほど収束が早い)。これに対し、実数部が正の場
合は、不安定な特性を示し、系が変動を起こすと、変動
が収束せずに発散していく。また、虚数部は、振動特性
の程度を示し、その絶対値が大きいほどより振動的であ
る。根軌跡を用いた極配置法は、この特性を利用して、
通常フィードバックゲインの大きさを決定する際に用い
る1つの手法である。
【0060】図6に張力をロール周速度指令にフィード
バックするゲインC22を単独に零から順次上げていった
ときの根軌跡を示すが、本ゲインを上げていくことによ
り、最も応答特性の悪い極(最も虚数軸に近い極)
(イ)が、実数軸上を左に移動していき極(ロ)と重な
り、上下に分かれて振動特性を持つようになる。ここ
で、張力の応答としては、整定が早く振動的でないのが
好ましいため極(イ)が極(ロ)と重なる位置になるよ
うにC22を決めた。
【0061】C22を介したルートのフィードバックを付
加したときの制御対象の特性方程式は、次式となる。
【0062】
【数12】
【0063】これが、図6に示した位置(ハ)に2つの
重根を持つようなゲインC22は、係数比較法により容易
に決定できる。
【0064】最後に、フィードバックゲインC11の決定
方法であるが、ルーパトルクの応答を速くするものであ
り、これを単独に零から順次上げていったときの根軌跡
を図7に示すが、本ゲインを上げていくと、最も応答特
性の悪い極(最も虚数軸に近い極)(ニ)が、実軸上を
左に移動していく。従って、現状よりも整定時間を半分
にして応答速度を速くするために、今の根( 極) (ニ)
の絶対値が2倍の位置(ホ)になるようなゲインC
11は、次の特性方程式の係数比較法により容易に決定で
きる。
【0065】
【数13】
【0066】また、上記張力発生式(1)式にて、板厚
制御の圧下位置修正による速度外乱を定常外乱と仮定す
ると、次式で表せる。
【0067】
【数14】
【0068】これを含め、上記仕上圧延機の隣接する2
スタンドの制御対象に対し、6次の線形微分方程式が得
られるが、この推定を実行する外乱推定器を構成する
際、実機適用を考慮して、上流及び下流側スタンドのロ
ール周速度と先進率及び後進率の計算値からスタンド間
の板速度差を次式のように与える。これは、実機では、
下流側スタンドがピボットスタンドであり、下流側での
速度修正分が上流側にも修正されるため、スタンド間速
度差(上下スタンド速度の相対差)は、次式で与えられ
る。
【0069】
【数15】
【0070】ここで、φは後進率である。こうすること
により、上記板速度差が入力となり、次式のように、制
御対象を5次の系に低次元化することができる(スタン
ド番号nは省略する)。
【0071】
【数16】
【0072】
【数17】
【0073】ここで、H は、ベクトルの転置を示し、行
列およびベクトルは太字で、スカラーは細字で示してい
る。
【0074】上記状態方程式において、直接測定できな
い速度外乱△Vd を推定する外乱推定器を次のように構
成する。
【0075】
【数18】
【0076】
【実施例】本発明方法を実施した制御装置の第1の実施
例の制御ブロック図を図1に示す。図1は、板幅制御を
実施しない場合の実施例であり、図上1は鋼板、21は
上流側の第nスタンド、22は下流側の第n+1スタン
ド、3は上流スタンドロール駆動モータ、4はルーパ、
5はルーパ駆動装置、6は張力計、7はルーパ角度計
8はルーパトルク計、9、10はそれぞれ上流側および
下流側スタンドのロール周速度測定器、11は角度制御
装置、12は速度制御装置、13は張力トルク換算装
置、14はトルク制御装置、15、16、17、18は
フィードバックゲイン乗算器、19は外乱推定器、20
はフィードバックゲイン演算器、25は微分器、31〜
37は演算器である。
【0077】鋼板1は、先端部が第1スタンドに通板さ
れ、後端部が最終スタンド抜けるまで圧延されるが、こ
の間、鋼板の張力およびルーパ角度が一定になるように
制御される。鋼板先端部が第nスタンド21を抜け第n
+1スタンド22に噛み込んだ瞬間から本発明方法によ
る制御が開始される。
【0078】まず、鋼板が仕上圧延機に通板される前
に、鋼板の寸法および圧延条件に基づいてフィードバッ
クゲイン演算器20により、フィードバックゲインが計
算され、15〜18の各乗算器に設定される。また、速
度外乱推定に必要なパラメータを圧延条件に基づき計算
し、速度外乱推定器19に設定する。
【0079】そして、鋼板が第n+1スタンド22に噛
み込んだ瞬間から本発明方法による制御が実施される。
【0080】ルーパ角度実測値と目標角度との偏差が
演算器31にて計算され、角度制御器11に出力され
る。
【0081】張力計6による張力実測値と張力目標値
との張力偏差△σがゲイン乗算器15に、ルーパ角度計
7にて測定したルーパ角度を微分器25にて数値微分す
ることにより得られるルーパ角速度△ωがゲイン乗算器
16にそれぞれ入力され、前もって計算されたゲインC
22およびC21と掛け合わされて演算器35にて加えられ
た後、演算器36に出力される。
【0082】上記張力偏差およびルーパ角速度、なら
びにロール周速度測定器9、10にてそれぞれ測定され
た上流側及び下流側スタンドロール周速度を用いて、外
乱推定器にて推定された速度外乱値とが、演算器36に
て加算され演算器32に出力される。
【0083】これと上記角度制御装置の出力値△VRr
とが演算器32にて加算され、速度指令△VRrefとして
上流側スタンドロール周速度の速度制御装置12に出力
され、これに基づきモータ3の回転数が修正される。
【0084】同時に、張力目標値に基づき張力トルク
換算器13にてルーパトルク目標値△τr が計算され、
また前記張力偏差△σがゲイン乗算器17に、前記ルー
パ角速度△ωがゲイン乗算器18にそれぞれ入力され、
前もって計算されたゲインC11およびC12と掛け合わさ
れて演算器37にて加えられた後、演算器33に出力さ
れる。
【0085】これと上記ルーパトルク目標値とが演算
器33にて加算されルーパトルク指令△τref となる。
【0086】これとルーパトルク計8にて測定された
ルーパトルク実測値との差が演算器34にて計算されト
ルク制御装置14に入力されルーパトルクが修正され
る。
【0087】このようにして、張力およびルーパ角度が
一定に制御されるのである。
【0088】なお、フィードバックゲインは圧延前に一
回だけ計算するのではなく、各状態量をサンプリングす
る時に毎回行うことが望ましい、それによりさらに良い
制御結果が得られる。また、ここでは、隣接する2スタ
ンドに対して本発明方法を適用した場合について説明し
たが、もちろん全スタンドを対象に適用することもでき
る。
【0089】次に、本発明方法を実施した制御装置の第
2の実施例の制御ブロック図を図2に示す。図2は、板
幅制御を実施する場合についての実施例であり、図にお
いて1〜37までは、図1と同一であり、41は幅計で
本実施例の場合は、第n+1スタンド出口に幅計が設置
されている(スタンド間に設置されている場合もあ
る)。42は板幅制御装置、43は演算器である。
【0090】鋼板1は、先端部が第1スタンドに通板さ
れ、後端部が最終スタンド抜けるまで圧延されるが、こ
の間、鋼板の板幅、張力およびルーパ角度が一定になる
ように制御される。
【0091】上述のように、第1の実施例では、鋼板先
端部が第nスタンド21を抜け第n+1スタンド22に
噛み込んだ瞬間から本発明の制御が開始されるのに対し
て、第2の実施例では、鋼板1の先端部が幅計41の直
下に到達した時点から制御が開始される。
【0092】まず、鋼板1の先端部が幅計41の直下に
到達した時点で、被圧延材の板幅が幅計41にて測定さ
れ、この板幅測定値と板幅目標値との幅偏差が演算器4
3にて計算される。この板幅偏差が零になるように板幅
制御装置42にて必要な張力目標値が計算される。以降
の制御は、上記張力目標値が板幅実測値に基づき変更さ
れること以外は、第1の実施例と同一であり、全く第1
の実施例と同様に実施できる。
【0093】
【発明の効果】本発明の効果を検証すべく仕上圧延機の
第1スタンド入口において、鋼板長手方向に振幅20
℃、周期0.1Hzの正弦波の温度変動がある場合につ
いて板厚3mm,板幅1000mmの低炭素鋼板に対
し、仕上圧延機の最終2スタンドを対象に、本発明方法
および特公平4−59049号公報に記載の従来法をそ
れぞれ実施したシミュレーション結果を図3および図4
に示す。
【0094】図3は、本発明方法を実施した場合のシミ
ュレーション例であるが、下流側スタンド出口の板厚変
動が小さく抑えられているのと同時に、スタンド間張力
およびルーパ角変動とも小さく抑えられている。
【0095】図4は、従来方法を実施した場合のシミュ
レーション例であるが、板厚、張力およびルーパ角度の
変動が大きいことがわかる。
【0096】また、図5は、特開昭63ー203209
号公報に記載の従来法で上記材料に対する板幅制御のシ
ミュレーションを実施した場合を示すが、被圧延材の張
力変動が十分に制御できないため板幅変動も大きく残っ
ている。これに対し、図3の本発明方法による場合は、
張力変動が十分小さく制御されているため、板幅変動が
大幅に向上していることが判る。
【0097】また、本発明方法を実機で実施した時の、
1本の圧延材の長手方向の板幅、張力およびルーパ角度
の変動のピークツーピーク値を特公平4−59049号
に記載の従来法と比較した結果を表1に示す。ただし、
張力およびルーパ角度は、圧延材の寸法精度に影響の最
も大きい熱間仕上圧延機の最終スタンドと最終スタンド
の1つ前のスタンドとの間のものを示す。それぞれの変
動は、本発明方法を適用することにより、明らかに低減
されていることが判る。
【0098】
【表1】
【0099】これらの結果から、本発明方法の効果は明
かであり、熱間仕上圧延機における板幅制御時の速度外
乱に対して、張力およびルーパ角度を安定化させること
により、高精度な板幅・板厚の制御方法を提供すること
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施した制御装置における第1の
実施例の仕上圧延機の隣接する2スタンドの制御ブロッ
ク図である。
【図2】本発明方法を適用した制御装置における第2の
実施例の仕上圧延機の隣接する2スタンドの制御ブロッ
ク図である。
【図3】本発明方法を実施した制御のシミュレーション
結果を示すチャート図である。
【図4】従来方法(特公平4−59049号公報に記載
の方法)の場合のシミュレーション結果を示すチャート
図である。
【図5】従来方法(特開昭63ー203209号公報に
記載の方法)の場合のシミュレーション結果を示すチャ
ート図である。
【図6】張力をロール周速度指令にフィードバックする
ゲインC22を単独に零から順次上げていったときの根軌
跡を示す説明図である。
【図7】ルーパ角速度をルーパトルク指令にフィードバ
ックするゲインC11を単独に零から順次上げていったと
きの根軌跡を示す説明図である。
【符号の説明】
1 鋼板 21 上流側の第nスタンド 22 下流側の第n+1スタンド 3 上流スタンドロール駆動モータ 4 ルーパ 5 ルーパ駆動装置 6 張力計ルーパ角度計ルーパトルク計 9 上流側スタンドのロール周速度測定器 10 下流側スタンドのロール周速度測定器 11 角度制御装置 12 速度制御装置 13 張力トルク換算装置 14 トルク制御装置 15、16、17、18 フィードバックゲイン乗算
器 19 外乱推定器 20 フィードバックゲイン演算器 25 微分器 31〜37 演算器 41 幅計 42 板幅制御装置 43 演算器

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のスタンドの各隣接する2スタンド間
    に被圧延材の張力を検出する張力計とルーパ角度を検出
    するルーパ角度計とルーパトルクを検出するルーパトル
    ク計とを有するルーパを設置した熱間連続仕上圧延機の
    制御方法であって、ルーパ角度計によるルーパ角度測定
    値とルーパ角度目標値との偏差に基づき隣接する2スタ
    ンドの上流側スタンドロール周速度を修正し、張力目標
    値から計算したルーパトルク指令値とルーパトルク測定
    値との偏差に基づきルーパトルクを修正し、前記張力計
    にて測定した被圧延材の張力測定値と張力目標値との張
    力偏差、ルーパ角度実測値から求めたルーパ角速度、な
    らびに上流側および下流側スタンドのロール周速度とか
    ら隣接する2スタンド間の被圧延材の流入速度と流出速
    度との差である速度外乱を推定し、前記速度外乱推定値
    に基づき上流側スタンドのロール周速度を修正し、さら
    に、前記張力偏差に基づき上流側スタンドロール周速度
    およびルーパトルクを修正するとともに、前記ルーパ角
    速度に基づき上流側スタンドロール周速度およびルーパ
    トルクを修正することを特徴とする熱間連続仕上圧延機
    の制御方法。
  2. 【請求項2】隣接する2スタンドの下流側スタンド以降
    に設けられた板幅計にて測定した板幅実測値と目標板幅
    との偏差を求め、該板幅偏差が0になるように、張力目
    標値を修正することを特徴とする請求項1に記載の熱間
    連続仕上圧延機の制御方法。
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