JP4362093B2 - 帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物と帯電防止膜および帯電防止膜を備えた構造体 - Google Patents

帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物と帯電防止膜および帯電防止膜を備えた構造体 Download PDF

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Description

本発明は、種々のフィルム、樹脂成形体等の静電気発生防止が求められる対象物に帯電防止膜を形成するための電離放射線硬化性組成物と、帯電防止膜、および帯電防止機能を具備することが要求される構造体に関する。
従来から、種々の製品や材料に発生する静電気により様々な問題が生じており、例えば、樹脂フィルムにおける静電気発生により、フィルムどうしの密着が生じて取り扱い性が低下したり、フィルムが具備する性能が低下する場合がある。また、種々のディスプレイ等に静電気が発生してホコリが付着することにより画像表示性が低下したり、電子装置における静電気発生により電子部品が損傷を受けるという問題もある。
このため、静電気発生を防止するめの種々の手段が開発されており、その一つとして、対象製品に帯電防止膜を形成したり、対象製品中に帯電防止組成物を混合することが行なわれている。従来の帯電防止膜は、膜強度を向上させるために帯電防止剤を含有した樹脂組成物を塗布して形成されるが、帯電防止剤として低分子量の界面活性剤を使用すると、膜表面に界面活性剤が浮いて脱離し易く、帯電防止効果の持続性が低いという問題があった。
これらの問題を解消するために、イオン性の高分子、例えば、側鎖にカチオン型の4級アンモニウム塩基を有するような帯電防止剤を含有した樹脂組成物が開発されている(特許文献1〜3)。
特開平9−31223号公報 特開平6−316024号公報 特開平5−1164号公報
しかしながら、4級アンモニウム塩基を側鎖に有するカチオン型のポリマーは親水性が高いため、帯電防止性能が湿度により影響を受け易く、また、疎水性の樹脂組成物に混ぜると、相溶性が乏しく、得られた帯電防止膜は、透明性が低いものであったり、帯電防止性能が不充分なものであった。また、メチルメタクリレート、スチレン等の疎水性のモノマーを共重合することにより疎水性をもたせることも可能であるが、疎水性のモノマー自体は帯電防止性を有していないため、帯電防止膜としての帯電防止性能が低下するという問題があった。
また、アンモニウム塩基を側鎖に有するカチオン型のポリマーは、一般に耐熱性、耐湿性が低く、高温高湿度下で使用される用途では、透明性が低下するという問題があった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、帯電防止性能を備え、かつ、耐熱性、耐湿性に優れ、良好な透明性を維持できる帯電防止膜と、このような帯電防止膜の形成を可能とする電離放射線硬化性組成物と、優れた帯電防止機能を具備した構造体を提供することを目的とする。
本発明は、4級アンモニウム塩と疎水性の樹脂組成物、例えば、多官能アクリレート等との相溶性と帯電防止効果、膜透明性を種々検討することにより達成されたものである。
すなわち、本発明の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物は、少なくとも帯電防止剤と、官能性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有し、前記帯電防止剤は、イオン性モノマーである構成単位が重合したものが20〜100mol%を占めるポリマーであり、前記構成単位は、分子中にアンモニウム塩構造を有し、アンモニウムカチオンの対イオンがビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかであるアニオンであり、かつ、末端に重合性の二重結合を有するイオン性モノマーであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記アンモニウムカチオンは、脂肪族アンモニウムカチオン、脂環式アンモニウムカチオン、および、芳香族アンモニウムカチオンのいずれかからなるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記構成単位は、下記式(1)で示されるものであるような構成とした。
Figure 0004362093
[式(1)中、R1はHまたは炭素数1〜16のアルキル基を示し、R2〜R4は炭素数1〜16のアルキル基を示し、R5は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を示し、Xはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかを示す。]
本発明の他の態様として、前記構成単位は、下記式(2)および/または式(3)で示されるものであるような構成とした。
Figure 0004362093
[式(2)および式(3)中、R1はHまたは炭素数1〜16のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜16のアルキル基を示し、Xはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかを示す。]
本発明の他の態様として、官能性の前記モノマー、前記オリゴマーは、3官能以上の多官能性モノマーであるような構成とした。
本発明の他の態様として、帯電防止剤の含有量は、10〜90重量%の範囲であるような構成とした。
本発明の帯電防止膜は、上述のいずれかの帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物を塗布し硬化させて形成したような構成とした。
本発明の構造体は、基体上に上記の帯電防止膜を具備するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基体は、樹脂フィルム、樹脂成形体、ディスプレイ画面、光学フィルム、電子装置ケース、電子部品のいずれかであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基体の表面と前記帯電防止膜の間、および/または前記帯電防止膜上にアンカー層、ハードコート層、ガスバリア層、反射防止層、撥水層の少なくとも1種を備えるような構成とした。
本発明によれば、含有する特定の帯電防止剤が疎水性を示し、これにより、官能性モノマー、ポリマーと相溶可能となり、例えば、ハードコート性の高い多官能アクリレート等と混合することができ、帯電防止性能が湿度の影響を受け難く、帯電防止効果の持続性が高いとともに、耐熱性、耐湿性が高く、高温高湿度下においても透明性が変化し難い帯電防止膜の形成が可能となる。
また、本発明の帯電防止膜は、優れた帯電防止効果を安定して発現するとともに、良好な透明性を有するという効果を奏する。
さらに、本発明の構造体は、基体上に具備した帯電防止膜により、優れた帯電防止機能を有し、静電気発生による種々の障害が生じることを防止することができる。
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物は、少なくとも帯電防止剤と、官能性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するものである。
本発明の電離放射線硬化性組成物を構成する帯電防止剤は、イオン性モノマーである構成単位が重合したものが20〜100mol%、好ましくは40〜100mol%を占めるポリマーである。上記の構成単位は、分子中にアンモニウム塩構造を有し、アンモニウムカチオンの対イオンがビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかであるアニオンであり、かつ、末端に重合性の二重結合を有するイオン性モノマーである。帯電防止剤であるポリマー中に占める上記の構成単位が20mol%未満であると、低い表面抵抗(例えば、1014Ω/□以下)が得られず、良好な帯電防止性能を有する帯電防止膜の形成が困難となる。
上記のイオン性の構成単位としては、例えば、分子中に、脂肪族アンモニウムカチオン、脂環式アンモニウムカチオン、および、芳香族アンモニウムカチオンのいずれかを有し、かつ、重合性の二重結合を有するモノマーが挙げられる。
脂肪族アンモニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルアンモニム塩、トリエチルアンモニム塩、トリブチルアンモニム塩、トリヘキシルアンモニム塩、トリオクチルアンモニム塩、ジメチルオクチルアンモニム塩、ラウリルジメチルアンモニム塩等のアルキルアンモニウム塩、メトキシエチルジメチルアンモニム塩、エトキシエチルジメチルアンモニム塩等のアルコキシアルキル基を有するアンモニウム塩等が挙げられる。
また、脂環式アンモニウムカチオンとしては、例えば、ピロリジニウム塩類、ピペリジニウム塩類、ピラゾリジニウム塩類、イミダゾリジニウム塩類、ピペラジニウム塩類等が挙げられる。
また、芳香族アンモニウムカチオンとしては、例えば、メチル2−ピリジニウム、メチル4−ピリジニウム、エチル4−ピリジニウム等のピリジニウム塩類、ピリミジニウム塩類、ピラジニウム塩類、イミダゾリウム塩類、オキサゾリウム塩類等が挙げられる。
また、ジアリルアミンの4級化物等、主鎖に環状構造を持つアンモニウム塩等を挙げることができる。
上述のようなイオン性の構成単位としては、例えば、下記式(1)で示されるものを挙げることができる。
Figure 0004362093
[式(1)中、R1はHまたは炭素数1〜16のアルキル基を示し、R2〜R4は炭素数1〜16のアルキル基を示し、R5は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を示し、Xはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかを示す。]
また、イオン性の構成単位として、下記式(2)および/または式(3)で示されるものを挙げることができる。
Figure 0004362093
[式(2)および式(3)中、R1はHまたは炭素数1〜16のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜16のアルキル基を示し、Xはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかを示す。]
上記の構成単位をなすアニオンは、上述のようにビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかであり、このようなフッ素原子含有アニオンは、負電荷が分子全体に非局在化するため、イオンとして解離して安定に存在することができる。そのため、ハロゲン化物イオンや、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロ酸等の低分子量のアニオンに比べて、イオン伝導性が高いものである。また、これらの低分子量のアニオンに比べて、疎水性であるため、疎水性の樹脂との相溶性が高く好適である。一方、ビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドよりも分子量の大きいビス(パーフルオロアルカンスルホン)イミド等は、アニオンの移動度が低くなり、イオン伝導性が低下するので好ましくない。
また、帯電防止剤であるポリマーは、上述のイオン性の構成単位の他に、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−スチレン、ビニルカプロラクトン等の環状構造を有するモノマー等を用いることができる。尚、上記の「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレートまたはメタクリレート」の意味であり、以下の説明においても同様である。
ポリマーである帯電防止剤の平均分子量は、5000〜1000000程度、好ましくは10000〜500000程度とすることができる。帯電防止剤の平均分子量が5000未満であると、硬化物から帯電防止剤が離脱したり、硬化物にタックが生じ易くなる。また、1000000を超えると、相溶性が低下したり、電離放射線硬化性組成物の粘度が高くなり加工性が低下するため好ましくない。
上記のような帯電防止剤は、電離放射線硬化性組成物の総固形分において10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲で含有させることができる。帯電防止剤の含有量が10重量%未満であると、低い表面抵抗(例えば、1014Ω/□以下)が得られず、良好な帯電防止性能を有する帯電防止膜の形成が困難となる。また、帯電防止剤の含有量が90重量%を超えると、膜の強度が低下したり、耐熱性が低下するので好ましくない。
本発明の電離放射線硬化性組成物を構成する官能性モノマーは、反応性二重結合を分子中に少なくとも2つ、好ましくは3つ以上有する官能性化合物であり、下記のものを例示することができる。
(2官能の例)
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等
(3官能の例)
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート等
(4官能の例)
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等
(5官能の例)
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等
(6官能の例)
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等
また、本発明の電離放射線硬化性組成物を構成する官能性オリゴマーは、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを挙げることができる。これらのオリゴマーは、反応性二重結合を分子中に少なくとも2つ、好ましくは3つ以上有する官能性化合物であり、下記のものを例示することができる。尚、下記の「(メタ)アクリロイル」の表記は、「アクリロイルまたはメタクリロイル」の意味である。
ウレタンアクリレートとしては、例えば、分子中にウレタン結合と、反応性二重結合を有する(メタ)アクリロイル基をもつ化合物が使用できる。このような化合物は、例えば、2個以上のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基をもつ化合物と、1個以上の水酸基および1個以上の(メタ)アクリロイル基をもつ化合物とを反応させて得ることができる。また、2個以上のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物と、1個以上の水酸基および1個以上の(メタ)アクリロイル基をもつ化合物とを反応させて得ることもできる。
エポキシアクリレートとしては、分子中にエポキシ樹脂骨格、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック等の構造と、反応性二重結合を有する(メタ)アクリロイル基をもつ化合物が使用できる。このような化合物は、例えば、エポキシ基をもつグリシジル化合物と、1個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上のアルコキシ基をもつ化合物とを反応させて得ることができる。
また、ポリエステルアクリレートとしては、例えば、分子中にエステル結合と、反応性二重結合を有する(メタ)アクリロイル基をもつ化合物が使用できる。このような化合物は、例えば、2個以上の水酸基をもつ化合物または環状エステル化合物と多塩基酸とから合成したポリエステル化合物に、さらに(メタ)アクリロイル基をもつ化合物とを反応させて得ることができる。
また、ポリエーテルアクリレートとしては、例えば、分子中にエーテル結合と、反応性二重結合を有する(メタ)アクリロイル基をもつ化合物が使用できる。このような化合物は、ポリオール化合物と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の化合物とを反応させて得られるポリエーテル化合物に対し、エステル交換反応により(メタ)アクリロイル基を導入して得ることができる。
このような官能性モノマー、官能性オリゴマーは単独でも、また、2種以上を混合して使用してもよい。官能性のモノマー、オリゴマーの含有量は、電離放射線硬化性組成物の総固形分において30〜99.5重量%、好ましくは40〜90重量%の範囲とすることができる。官能性のモノマー、オリゴマーの含有量が30重量%未満であると、架橋密度が不十分となり、膜強度が低下し好ましくない。
尚、含有する反応性のモノマー、オリゴマーの官能基数を多く、含有量を多くすることにより膜の硬度が高くなるため、本発明の電離放射線硬化性組成物を、帯電防止性能を有するハードコート用として使用することができる。中でも、構造中に水酸基を有するモノマー、オリゴマー、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のモノマーは、上述の帯電防止剤を添加したときの効果が高く好適に使用できる。
また、電離放射線硬化性組成物では、塗膜の成膜性を高めたり、脆質性を改善する目的でポリマーを添加することができる。使用するポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリル−スチレン共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。特に、相溶性の観点ではアクリル樹脂、帯電防止性能の観点ではポリエステル樹脂が好ましい。
上述のポリマーには、ウレタン変性、エポキシ変性、エステル変性等により、反応性二重結合を導入してもよい。
このようなポリマーの含有量は、硬化性組成物の総固形分において50重量%以下の範囲で設定することが好ましい。
本発明の電離放射線硬化性組成物は、上記の官能性のモノマー、オリゴマーに加えて、重合開始剤を含有するものであってよい。重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ(株)製N1717、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、また、2種以上併用してもよい。
このような重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物の総固形分において0.1〜20重量%の範囲で設定することができる。
また、本発明の電離放射線硬化性組成物には、下記のような溶剤を使用することができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。
尚、本発明の電離放射線硬化性組成物には、更に添加剤として増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等を必要に応じて添加してもよい。
本発明の電離放射線硬化性組成物は、疎水性を有する特定の帯電防止剤を含有するので、官能性モノマー、ポリマー等のバインダー成分と帯電防止剤とが良好な状態で相溶し、したがって、ハードコート性、耐熱性、耐湿性が高く、高温高湿度下での透明性の変化が抑制された帯電防止膜の形成が可能となる。また、成膜された帯電防止膜は、表面抵抗が低く(1014Ω/□以下)、かつ、帯電防止性能が湿度の影響を受け難く、また、帯電防止剤が膜表面に浮くことがなく、帯電防止効果の持続性が高いものである。
本発明の電離放射線硬化性組成物は、上述の帯電防止剤、官能性モノマー、ポリマーと、必要に応じて重合開始剤、溶剤、他の樹脂成分、添加剤を混合して製造することができる。
上述のような本発明の電離放射線硬化性組成物は、所望の対象物上に塗布し硬化することにより帯電防止膜を形成することができ、対象物に直接帯電防止膜を形成してもよく、また、帯電防止膜の密着性を付与するためのアンカー層や、ハードコート層、ガスバリア層、反射防止層等の光学性能を有する層、撥水層等の機能性層を形成した後に、帯電防止層を積層して設けることもできる。また、本発明の電離放射線硬化性組成物は、各種樹脂、繊維等の他の材料中に練り込み等により混合し、使用することもできる。
本発明の帯電防止膜は、上述の本発明の電離放射線硬化性組成物を塗布し硬化させて形成したものである。対象物上に電離放射線硬化性組成物を塗布するには、例えば、ダイレクトグラビアコーティング法、グラビアリバースコーティング法、リバースロールコーティング法、スライドダイコーティング法、スリットダイコーティング法、コンマコーティング法等の公知の塗布手段を用いることができる。
また、塗布膜の硬化は電離放射線を用いて行われる。電離放射線としては、紫外線、高エネルギー電離放射線を使用することができる。紫外線としては、例えば、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、炭素アーク灯等を使用することができる。また、高エネルギー電離放射線としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニアアクセレータ、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線、γ線、X線、α線等の放射線等を使用することができる。
このように形成された本発明の帯電防止膜の厚みは、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。また、本発明の帯電防止膜を帯電防止ハードコートとして使用する場合は、厚みが2μm以上であることが好ましい。
上述の本発明の帯電防止膜は、優れた帯電防止効果を安定して発現するとともに、良好な透明性を有する。
本発明の構造体は、上述の本発明の帯電防止膜を基体上に具備したものであり、これにより、本発明の構造体は、優れた帯電防止機能を有し、静電気発生による種々の障害が発生することを防止できる。
本発明の構造体をなす基体は、帯電防止機能を具備することが要求されるものであれば特に制限はなく、例えば、種々の樹脂フィルム、樹脂成形体、各種ディスプレイの画面、各種ディスプレイに使用される帯電防止フィルムや反射防止フィルム等の光学フィルム、電子装置のケースや電子部品等を挙げることができる。
基体の材質としては、ガラス、金属、プラスチック等であってよく、プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン等が挙げられる。
本発明の構造体は、本発明の帯電防止膜を直接基体の表面に具備するものであってよく、また、帯電防止膜の密着性をより向上させるためのアンカー層や、ハードコート層、ガスバリア層、反射防止層等の光学性能を有する層、撥水層等の機能性層を形成した後に、帯電防止層を積層したものであってもよい。さらに、帯電防止膜上に、ハードコート層、ガスバリア層、反射防止層等の光学性能を有する層、撥水層等の機能性層を積層したものであってもよい。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
<ポリマー(I)の合成>
1リットルのセパラブルフラスコ内で、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級アンモニウム塩(共栄社化学工業(株)製 DQ−100)40gをエタノール60gに溶解させた。次に、アゾイソブチロニトリル(AIBN)0.03gを酢酸エチル10gに溶解した混合液を、上記の溶液中に滴下ロートで滴下させながら、窒素雰囲気下、60℃で5時間反応させた。この反応液を再沈殿させ、その後、沈殿物を回収して、イオン性モノマーである構成単位の重合物が100mol%を占めるポリマー(I)を得た。このポリマー(I)の分子量は100000であった。尚、分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリエチレンオキシド換算の重量平均分子量により求めた。
<ポリマー(II)の合成>
1リットルのセパラブルフラスコ内で、AIBN0.03gを酢酸エチル30gに溶解した。次に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級アンモニウム塩27g、メチルメタクリレート(MMA)13gをエタノール30gに溶解した混合液を、上記の溶液中に滴下ロートで滴下させながら、窒素雰囲気下、60℃で5時間反応させた。この反応液を再沈殿させ、その後、沈殿物を回収して、イオン性モノマーである構成単位の重合物が50mol%を占めるポリマー(II)を得た。このポリマー(II)のポリエチレンオキシド換算重量平均分子量は60000であった。
<ポリマー(III)の合成>
1リットルのセパラブルフラスコ内で、AIBN0.03gをテトラヒドロフラン(THF)30gに溶解した。次に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート11.2g、MMA28.8gをTHF30gに溶解した混合液を、上記の溶液中に滴下ロートで滴下させながら、窒素雰囲気下、60℃で5時間反応させた。この反応液を再沈殿し、ポリマーを得た。このポリマーの分子量は55000であった。尚、分子量の測定は、GPCを用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量により求めた。
次いで、上記のように得られたポリマー10gを、100gのTHFに溶解した。次に、ヨウ化ブチル30gをTHF30gに溶解したものを、上記のポリマー溶液に滴下して、室温で1時間反応させ、4級アンモニウム塩化した。その後、ポリマーの沈殿物を回収し、イオン性モノマーである構成単位の重合物が20mol%を占めるポリマー(III)を得た。
<ポリマー(IV)の合成>
ポリ(4−ビニルピリジン)(シグマアルドリッチ社製 分子量60000)10gをメタノール100gに溶解した。次に、臭化オクチル30gをTHF30gに溶解した混合液を、上記の溶液中に滴下して、60℃で3時間反応させた。再沈殿によりポリマーの沈殿物を回収し、イオン性モノマーである構成単位の重合物が100mol%を占めるポリマー(IV)を得た。
<ポリマー(V)の合成>
1リットルのセパラブルフラスコ内で、AIBN0.03gをTHF30gに溶解した。次に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート5.9g、MMA34.1gをTHF30gに溶解した混合液を、上記の溶液中に滴下ロートで滴下させながら、窒素雰囲気下、60℃で5時間反応させた。この反応液を再沈殿し、ポリマーを得た。このポリマーのポリエチレンオキシド換算重量平均分子量は65000であった。
次いで、上記のように得られたポリマー10gを、THF100gに溶解した。次に、ヨウ化メチル30gをTHF30gに溶解したものを、上記のポリマー溶液に滴下して、室温で1時間反応させ、4級アンモニウム塩化した。その後、ポリマーの沈殿物を回収し、イオン性モノマーである構成単位の重合物が10mol%を占めるポリマー(V)を得た。
<帯電防止剤Aの合成>
上述のように調製したポリマー(I)5gを水15gに溶解した。次に、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiTFSI)10gを水15gに溶解したものを、上記の溶液に滴下し、室温で3時間反応させて、沈殿物を回収した。その後、再沈精製、脱水により、疎水性の帯電防止剤Aを得た。この帯電防止剤Aは、下記の式(A)に示される構成単位が重合したものが100mol%を占めるものであった。
Figure 0004362093
<帯電防止剤Bの合成>
LiTFSIの代わりに、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミド(LiBETI)10gを使用した他は、帯電防止剤Aと同様にして、疎水性の帯電防止剤Bを得た。この帯電防止剤Bは、下記の式(B)に示される構成単位が重合したものが100mol%を占めるものであった。
Figure 0004362093
<帯電防止剤Cの合成>
上述のように調製したポリマー(II)5.5gを水30gに溶解したものを使用した他は、帯電防止剤Aと同様にして、疎水性の帯電防止剤Cを得た。この帯電防止剤Cは、下記の式(C)に示される構成単位が重合したものが50mol%を占めるものであった。
Figure 0004362093
<帯電防止剤Dの合成>
上述のように調製したポリマー(II)5.5gを水30gに溶解したものを使用した他は、帯電防止剤Bと同様にして、疎水性の帯電防止剤Dを得た。この帯電防止剤Dは、下記の式(D)に示される構成単位が重合したものが50mol%を占めるものであった。
Figure 0004362093
<帯電防止剤Eの合成>
上述のように調製したポリマー(III)5.5gを水30gに溶解したものを使用した他は、帯電防止剤Aと同様にして、疎水性の帯電防止剤Eを得た。この帯電防止剤Eは、下記の式(E)に示される構成単位が重合したものが20mol%を占めるものであった。
Figure 0004362093
<帯電防止剤Fの合成>
上述のように調製したポリマー(IV)5.5gを水30gに溶解したものを使用した他は、帯電防止剤Aと同様にして、疎水性の帯電防止剤Fを得た。この帯電防止剤Fは、下記の式(F)に示される構成単位が重合したものが100mol%を占めるものであった。
Figure 0004362093
<帯電防止剤Gの合成>
ポリマー(I)の代わりに、上述のように調製したポリマー(V)を使用した他は、帯電防止剤Aと同様にして、疎水性の帯電防止剤Gを得た。この帯電防止剤Gは、下記の式(G)に示される構成単位が重合したものが10mol%を占めるものであった。
Figure 0004362093
[電離放射線硬化性組成物の調製]
上述のように調製した6種の疎水性の帯電防止剤A〜Fをそれぞれ用いて、下記組成となるように6種の電離放射線硬化性組成物(試料1〜6)を調製した。
(電離放射線硬化性組成物(試料1〜6)の組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 50重量部
・帯電防止剤(A〜Fの1種) … 50重量部
・光重合開始剤 … 3重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製 イルガキュア184)
・メチルエチルケトン … 固形分が30重量%となる量
また、上述のように調製した帯電防止剤Aを用いて、下記組成となるように電離放射線硬化性組成物(試料7(官能性オリゴマー使用))を調製した。
(電離放射線硬化性組成物(試料7)の組成)
・多官能性ウレタンアクリレート … 50重量部
(日本合成化学工業(株)製 紫光UV−1700B)
・帯電防止剤A … 50重量部
・光重合開始剤 … 3重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製 イルガキュア184)
・メチルエチルケトン … 固形分が30重量%となる量
一方、上述のように調製した帯電防止剤Gを用いて、下記組成となるように電離放射線硬化性組成物(比較試料1)を調製した。
(電離放射線硬化性組成物(比較試料1)の組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 50重量部
・帯電防止剤G … 50重量部
・光重合開始剤 … 3重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製 イルガキュア184)
・メチルエチルケトン … 固形分が30重量%となる量
さらに、上述のように調製した4種のポリマー(I)〜(IV)をそれぞれ用いて、下記組成となるように4種の電離放射線硬化性組成物(比較試料2〜5)を調製した。
(電離放射線硬化性組成物(比較試料2)の組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 50重量部
・ポリマー(I)(対アニオンが塩化物イオン(Cl-)) … 50重量部
・光重合開始剤 … 3重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製 Irg184)
・ジメチルスルホキシド … 固形分が30重量%となる量
(電離放射線硬化性組成物(比較試料3)の組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 50重量部
・ポリマー(II)(対アニオンが塩化物イオン(Cl-)) … 50重量部
・光重合開始剤 … 3重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製 Irg184)
・2−プロパノール … 固形分が30重量%となる量
(電離放射線硬化性組成物(比較試料4)の組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 50重量部
・ポリマー(III)(対アニオンがヨウ化物イオン(I-)) … 50重量部
・光重合開始剤 … 3重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製 Irg184)
・2−プロパノール/メチルエチルケトン混合溶媒(1:1)
… 固形分が30重量%となる量
(電離放射線硬化性組成物(比較試料5)の組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 50重量部
・ポリマー(IV)(対アニオンが臭化物イオン(Br-)) … 50重量部
・光重合開始剤 … 3重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製 Irg184)
・ジメチルスルホキシド … 固形分が30重量%となる量
[帯電防止膜の成膜・構造体の作製]
次に、基体として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム(株)製 ダイヤホイルT−600、U−36E(片面易接着フィルム))を準備し、この基体上に、上述のように調製した12種の電離放射線硬化性組成物(試料1〜7、比較試料1〜5)をそれぞれバーコータで塗布し、100℃で乾燥して溶剤を除去した後、高圧水銀灯にて積算露光量600mJ/cm2で紫外線を照射して硬化させた。これにより、12種の帯電防止膜(厚み3μm)を成膜して、12種の構造体作製した。
[評 価]
次に、上記のように成膜した12種の帯電防止膜の表面抵抗を下記条件で測定し、結果を下記の表1に示した。
(表面抵抗の測定条件)
表面抵抗計(三菱油化(株)製 Hiresta Model HT−210)
を使用し、印加電圧500Vでの抵抗値を測定した。
また、上記のように作製した12種の構造体のヘイズ、全光線透過率を下記条件で測定し、結果を下記の表1に示した。
(ヘイズ、全光線透過率の測定条件)
ヘイズ、全光線透過率の測定は、濁度計(日本電色工業(株)製 NDH200
0)を使用して測定した。ヘイズは、JIS K7316に準拠する方法で測定
し、全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠する方法で測定した。
また、上記のように作製した12種の構造体に対して促進環境試験(温度60℃、湿度90%のオーブン中に24時間保持)を施し、その後、上述と同様の条件でヘイズ、全光線透過率を測定し、結果を下記の表1に示した。
尚、帯電防止膜を備えていないポリエチレンテレフタレートフィルムに対して、同様の測定を行なってブランクとした。
Figure 0004362093
表1に示されるように、本発明の電離放射線硬化性組成物(試料1〜7)を用いて成膜した帯電防止膜は、いずれも表面抵抗が低く(1014Ω/□以下)、また、これらの帯電防止膜を備えた構造体はヘイズが低く(1.5以下)、全光線透過率が高いものであり、これらは、促進環境試験後も同様に優れた帯電防止機能、透明性を示した。
これに対して、比較の電離放射線硬化性組成物(比較試料1)を用いて成膜した帯電防止膜は、イオン性モノマーである構成単位の重合物が帯電防止剤に占める割合が低い(10mol%)ため、充分な帯電防止機能が得られず、表面抵抗が高い(1014Ω/□超え)ものであった。
また、比較の電離放射線硬化性組成物(比較試料2、3、5)は、表面抵抗が低い(1014Ω/□以下)ものの、帯電防止剤であるポリマー(I)、(II)、(IV)と電離放射線硬化性モノマーとの相溶性が低く、塗布すると相分離を生じ、膜が白濁した。また、耐熱性も弱く、促進試験で構造体のヘイズが上昇するほか、帯電防止膜の膜面に荒れや溶け出しが生じた。
さらに、比較の電離放射線硬化性組成物(比較試料4)を用いて成膜した帯電防止膜は、耐熱性は良好であるものの、表面抵抗が高い(1014Ω/□超え)ものであった。
静電気発生が好ましくない種々の製品や材料の帯電防止に利用できる。

Claims (10)

  1. 少なくとも帯電防止剤と、官能性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有し、前記帯電防止剤は、イオン性モノマーである構成単位が重合したものが20〜100mol%を占めるポリマーであり、前記構成単位は、分子中にアンモニウム塩構造を有し、アンモニウムカチオンの対イオンがビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかであるアニオンであり、かつ、末端に重合性の二重結合を有するイオン性モノマーであることを特徴とする帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物。
  2. 前記アンモニウムカチオンは、脂肪族アンモニウムカチオン、脂環式アンモニウムカチオン、および、芳香族アンモニウムカチオンのいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物。
  3. 前記構成単位は、下記式(1)で示されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物。
    Figure 0004362093
    [式(1)中、R1はHまたは炭素数1〜16のアルキル基を示し、R2〜R4は炭素数1〜16のアルキル基を示し、R5は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を示し、Xはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかを示す。]
  4. 前記構成単位は、下記式(2)および/または式(3)で示されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物。
    Figure 0004362093
    [式(2)および式(3)中、R1はHまたは炭素数1〜16のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜16のアルキル基を示し、Xはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドおよびビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドのいずれかを示す。]
  5. 官能性の前記モノマー、前記オリゴマーは、3官能以上の多官能性モノマーであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物。
  6. 帯電防止剤の含有量は、10〜90重量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物を塗布し硬化させて形成したことを特徴とする帯電防止膜。
  8. 基体上に請求項7に記載の帯電防止膜を具備することを特徴とする構造体。
  9. 前記基体は、樹脂フィルム、樹脂成形体、ディスプレイ画面、光学フィルム、電子装置ケース、電子部品のいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の構造体。
  10. 前記基体の表面と前記帯電防止膜の間、および/または、前記帯電防止膜上にアンカー層、ハードコート層、ガスバリア層、反射防止層、撥水層の少なくとも1種を備えることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の構造体。
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