JP4360008B2 - 電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置及び該装置に用いられるプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置、プロセスカートリッジ及び電子写真感光体に関し、更に詳しくは、移動する有機感光体上に残留するトナーをブラシローラー及び弾性体ゴムブレードでクリーニングを行う工程を有する電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置、該装置に用いられるプロセスカートリッジ及び電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体は有機光導電性物質を含有する有機感光体が最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと等が他の感光体に対して有利な点であるが、唯一の欠点は機械的強度が弱く、多数枚の複写やプリント時に感光体表面の劣化や傷の発生がある事である。
【0003】
一般に、カールソン法の電子写真複写装置においては、感光体を一様に帯電させた後、露光によって画像様に電荷を消去して静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーによって現像、可視化し、次いでそのトナーを紙等に転写、定着させる。
【0004】
しかしながら、感光体上のトナーは全てが転写されることはなく、一部のトナーは感光体に残留し、この状態で繰り返し画像形成した場合、残留トナーの影響で潜像形成が乱されるため汚れのない高画質な複写を得ることができない。このため、残留トナーの除去が必要となる。クリーニング手段にはファーブラシローラー、磁気ブラシローラーまたはブレード等が代表的であるが、性能、構成等の点からブレードが主に用いられている。このときのブレード部材としては、板状のゴム弾性体が一般的である。
【0005】
このように、電子写真感光体の表面は、帯電器、現像器、転写手段、及びクリーニング器等により、電気的、機械的な外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求され、特に摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、異物の混入や紙詰まり処理時の衝撃等による膜剥がれ等に対する機械的耐久性が要求される。なかでも衝撃による傷や膜剥がれに対する耐久性については、無機感光体並みの強度が強く求められている。
【0006】
前記のような要求される様々な特性を満たすため、これまで種々の事が検討されてきた。
【0007】
機械的耐久性に関しては、有機感光体の表面にビスフェノールZ型ポリカーボネートをバインダー(結着樹脂)として用いることにより、表面の摩耗特性、トナーフィルミング特性が改善される事が報告されている。又、特開平6−118681号公報では感光体の表面層として、コロイダルシリカ含有硬化性シリコン樹脂を用いることが報告されている。
【0008】
しかし、ビスフェノールZ型ポリカーボネートバインダーを用いた感光体では、なお耐摩耗特性が不足しており、十分な耐久性を有していない。一方、コロイダルシリカ含有硬化性シリコン樹脂の表面層は強度特性に優れ、従来OPCの欠点であった耐摩耗性や耐傷性向上の手段として広く検討されてきた。しかしながらシロキサン樹脂を表面層として用いた場合には特に低湿環境での電位特性に問題があった。これを改善するために導電性粒子を添加するなどの方法によって表面抵抗を下げる試みがなされてきたが、この方法では逆に高温高湿環境下での画像流れが発生する問題が生じていた。これらの問題について発明者らは電荷輸送能を有する構造単位をシロキサン樹脂中に組み込むことで、低温低湿環境下での電位特性が改善されることを見いだした(特願平11−70380号)。
【0009】
しかしながら強度特性の向上に伴って従来摩耗により有効に除去されてきた感光体表面のトナーや紙粉等に起因する付着物が取れにくくなり、その結果堆積した付着物により画像品質が低下する問題が発生した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長期にわたり高画質で安定した電子写真画像が得られる電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置、該装置に用いられるプロセスカートリッジ及び電子写真感光体の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題解決のため鋭意努力した結果、電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する樹脂層を有する電子写真感光体を少なくとも弾性体ゴムブレードとブラシローラーの両手段を有するクリーニング工程でクリーニングする事により本発明の目的が達成されることを見いだした。即ち、下記構成の何れかをとることにより本発明の目的が達成されることを見いだした。
【0012】
1.電子写真感光体上のトナー像を記録材へ転写後に、前記感光体上に残留するトナーをブラシローラー及び弾性体ゴムブレードでクリーニングを行う電子写真画像形成方法において、前記感光体が水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と水酸基を有する電荷輸送性化合物とを反応させて得られる電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面樹脂層を有し、前記電荷輸送性能を有する構造単位が下記の構造式で前記シロキサン系樹脂の構造中にあり、前記感光体上に残留するトナーを単繊維太さが6〜30デニールで、繊維密度が4.5×102〜15.5×102f/cm2(1平方センチあたりのフィラメント数)のブラシローラーと該感光体表面への押圧力を5〜30g/cmに設定した弾性体ゴムブレードを用いてクリーニングを行うことを特徴とする電子写真画像形成方法。
【化F】
(式中、Xは電荷輸送性能を有する構造単位であって、該構造単位を構成する炭素原子又は珪素原子を介してYと結合する基、Yは隣接する結合原子(SiとC)を除いた2価以上の原子又は基である。)
【0016】
2.前記Yが酸素原子、硫黄原子又はNRであることを特徴とする前記1に記載の電子写真画像形成方法。
【0018】
3.前記樹脂層が平均粒径0.05μm〜10μmの有機微粒子を含有することを特徴とする前記1または2項に記載の電子写真画像形成方法。
【0019】
4.前記有機微粒子がフッ素原子含有樹脂微粒子であることを特徴とする前記3に記載の電子写真画像形成方法。
【0020】
5.前記樹脂層がコロイダルシリカを含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の電子写真画像形成方法。
【0021】
6.電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有し、繰り返し画像を形成する電子写真画像形成装置において、該感光体が水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と水酸基を有する電荷輸送性化合物とを反応させて得られる電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面樹脂層を有する電子写真感光体であり、前記電荷輸送性能を有する構造単位が上記の構造式で前記シロキサン系樹脂の構造中にあり、該感光体上に残留するトナーを単繊維太さが6〜30デニールで、繊維密度が4.5×102〜15.5×102f/cm2(1平方センチあたりのフィラメント数)のブラシローラーと感光体表面への押圧力を5〜30g/cmに設定した弾性体ゴムブレードのクリーニング手段を用いてクリーニングすることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【0023】
7.電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有する電子写真画像形成装置に使用するプロセスカートリッジが水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と水酸基を有する電荷輸送性化合物とを反応させて得られる電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面樹脂層を有し、前記電荷輸送性能を有する構造単位が上記の構造式で前記シロキサン系樹脂の構造中にある電子写真感光体、及び単繊維太さが6〜30デニールで、繊維密度が4.5×102〜15.5×102f/cm2(1平方センチあたりのフィラメント数)のブラシローラーと感光体表面への押圧力を5〜30g/cmに設定した弾性体ゴムブレードを用いたクリーニング手段を少なくとも一体として有しており、該画像形成装置に出し入れ可能に設計されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0025】
本発明を更に詳しく説明する。
【0026】
本発明で用いられるブラシローラーのブラシ構成素材は、任意のものを用いることができるが、疎水性で、かつ誘電率が高い繊維形成性高分子重合体を用いるのが好ましい。このような高分子重合体としては、例えばレーヨン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル酸樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール)等が挙げられる。これらのバインダ樹脂は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。特に、好ましくはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレンである。
【0027】
また、前記ブラシは、導電性でも絶縁性でもよく、構成素材にカーボン等の低抵抗物質を含有させ、任意の抵抗に調整したものが使用できる。
【0028】
ブラシローラーに用いるブラシの単繊維の太さは、6デニール以上、30デニール以下である。6デニールに満たないと、十分な擦過力が無いため表面付着物を除去できない。また、30デニールより大きいと、繊維が剛直になるため感光体の表面を傷つけ感光体の寿命を低下させる。
【0029】
ここでいう「デニール」とは、前記ブラシを構成する繊維の長さ9000mの重量をg(グラム)単位で測定した数値である。
【0030】
前記ブラシの繊維密度は、4.5×102f/cm2以上15.5×102f/cm2以下である。4.5×102f/cm2に満たないと、擦過にムラができ付着物を均一に除去することができない。15.5×102f/cm2より大きいと、ブラシ繊維間に入り込んだ、トナー、異物が除去しきれず、パッキングが発生し前記ブラシの特性が失われる。
【0031】
本発明で用いられるブラシローラーの有効駆動トルクTは、0.1kgf・cm以上、2.0kgf・cm以下であり、好ましくは、0.5kgf・cm以上、1.5kgf・cm以下である。ここで言う有効駆動トルクTは、感光体ドラム及びブラシローラーを所定の位置に設置し感光体ドラムとブラシローラーが接触した状態で、感光体ドラムを通常の複写動作と同一の回転速度で回転し、ブラシローラーを所定の回転速度で回転した時の駆動トルクT1と、感光体ドラムを取り外し、ブラシローラーが感光体ドラムと接触しない状態で、ブラシローラーをT1測定時と同一の回転速度で回転した時の駆動トルクT2の差(T1−T2)と定義する。この有効駆動トルクは、感光体ドラムとブラシローラーの相対運動によって発生するブラシにかかる負荷を意味する。この負荷は、感光体ドラムから見れば、ブラシから受ける擦過力に相当し、その範囲を規定することは、感光体は適度な力で擦過することが必要であることを意味する。有効駆動トルクTが、0.1kgf・cmより小さいと、ブラシによる感光体ドラムの擦過力が小さいため、トナーや紙粉などの感光体表面へのフィルミングを抑制することができず、画像上でムラなどの不良が発生する。2.0kgf・cmより大きいと、ブラシによる感光体ドラムの擦過力が大きすぎるために、感光体の摩耗量が大きくなり、感度低下によるカブリが発生したり、感光体表面に傷が発生し、画像上にスジ故障が発生したりして問題である。
【0032】
図2は本発明に係わるブラシローラーのトルク測定に用いた装置概要図である。
【0033】
トルクの測定は、図2に示すように、ブラシローラー4の円柱状ブラシ支持体2をマイクロカップリング7(特殊精工社製)を介して、8の回転軸トルク検出器MD−204R(小野測器社製)に接続し、設定回転速度になるようにモーター9で回転を与えたときのトルクを、10のディジタルトルク演算表示器TS−3600A(小野測器社製)で読みとった。
【0034】
本発明のブラシローラーに用いられるローラー部の支持体としては、主としてステンレス、アルミニウム等の金属、紙、プラスチック等が用いられるが、これらにより限定されるものではない。
【0035】
また、必要に応じて、ブラシに付着したトナー、異物をブラシからはたき落とすための部材(フリッカー)をもうけても良い。
【0036】
本発明で用いられるブラシローラーは、図1に示すように、円柱状の支持体の表面に接着層を介してブラシを設置した構成であることが好ましい。
【0037】
図1は本発明に係る有機感光体、ブラシローラー、弾性体ゴムブレードの構成を示す模式図である。
【0038】
図1において、有機感光体1の上に形成されたトナー像は矢印の方向に回り乍ら、複写すべき媒体にトナー像を転写(図は省略)する。転写されないトナー像はそのまま、有機感光体上に残り、矢印方向に回る。2は円柱状ブラシ支持体、3は接着層、4はブラシローラーであるが、上述したトナー像はここで大部分は掻き落とされる。そして、一部残ったトナー像は弾性体ゴムブレード5で掻き落とされる。弾性体ゴムブレード5は支持部材6により、感光体表面への押圧力5〜30g/cmで押し付けられている。
【0039】
本発明で用いられる弾性体ゴムブレードは、図1に示すように、支持部材上に自由端を持つように設けた構成であることが好ましい。
【0040】
本発明においては、弾性体ゴムブレードの感光体表面への押圧力が5g/cmより小さいと、十分なクリーニングが行われずトナーのすり抜け等が発生する。また、30g/cmより大きいと感光体の減耗が多くなり、感光体の感度が低下し、かぶり等の画像不良が発生する。
【0041】
弾性体ゴムブレードの自由端は、感光体の回転方向と反対側(カウンター)に圧接する。
【0042】
弾性体ゴムブレードの、ゴム硬度はJISA 60°〜70°、反発弾性は、30〜70%、ヤング率は、30〜60kgf/cm2、厚さは、1.5mm〜3.0mm、自由長は、7〜12mmのものが好ましいが、特に限定するものではない。
【0043】
次に、本発明に用いられる電子写真感光体について詳細に説明する。
【0044】
本発明において、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は公知の方法により、即ち水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を用いて製造される。前記有機ケイ素化合物は下記一般式(A)〜(D)の化学式で示される。
【0045】
【化3】
【0046】
(式中、R1〜R6は式中のケイ素に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Zは水酸基又は加水分解性基を表す。)
上記一般式中のZが加水分解性基の場合は、加水分解性基としてメトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。R1〜R6に示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基等を挙げることができる。又、R1〜R6はそれぞれの有機基が同一でも良く、異なっていてもよい。
【0047】
前記シロキサン系樹脂の原料として用いられる前記有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結合している加水分解性基の数nが1のとき、有機ケイ素化合物の高分子化反応は抑制される。nが2、3又は4のときは高分子化反応が起こりやすく、特に3或いは4では高度に架橋反応を進めることが可能である。従って、これらをコントロールすることにより得られる塗布層液の保存性や塗布層の硬度等を制御することが出来る。
【0048】
又、前記シロキサン系樹脂の原料としては前記有機ケイ素化合物を酸性条件下又は塩基性条件下で加水分解してオリゴマー化或いはポリマー化した加水分解縮合物を用いることもできる。
【0049】
尚、本発明のシロキサン系樹脂とは前記の如く、予め化学構造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを反応させて(加水分解反応、触媒や架橋剤を加えた反応等を含む)3次元網目構造を形成し、硬化させた樹脂を意味する。即ち、シロキサン結合を有する有機珪素化合物を加水分解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させ3次元網目構造を形成させ、その結果生成した架橋構造を有するシロキサン系樹脂を意味する。
【0050】
又、前記シロキサン系樹脂は水酸基或いは加水分解性基を有するコロイダルシリカを含ませて、架橋構造の一部にシリカ粒子を取り込んだ樹脂としてもよい。
【0051】
本発明における電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂とは電子或いは正孔のドリフト移動度を示す特性を有する化学構造(=電荷輸送性能を有する構造単位)を架橋構造を有するシロキサン系樹脂中に部分構造として組み込んだものである。具体的には本発明の電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂は一般的に電荷輸送物質として用いられる化合物(以後電荷輸送性化合物又はCTMとも云う)を該シロキサン系樹脂中に部分構造として有している。
【0052】
尚、前記の電荷輸送性能を有する構造単位とは電子或いは正孔のドリフト移動度を有する性質を示す構造単位、或いは電荷輸送性化合物残基であり、又別の定義としてはTime−Of−Flight法などの電荷輸送性能を検知できる公知の方法により電荷輸送に起因する検出電流が得られる構造単位、或いは電荷輸送性化合物残基として表現することもできる。
【0053】
以下にシロキサン系樹脂中に有機珪素化合物との反応により電荷輸送性能を有する構造単位を形成することのできる電荷輸送性化合物について説明する。
【0054】
例えば正孔輸送型CTM:キサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾリン、ビスイミダゾリジン、スチリル、ヒドラゾン、ベンジジン、ピラゾリン、スチルベン化合物、アミン、オキサゾロン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キナゾリン、ベンゾフラン、アクリジン、フェナジン、アミノスチルベン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセンなどの化学構造を前記シロキサン系樹脂の部分構造として含有する。
【0055】
一方、電子輸送型CTMとしては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、テトラニトロベンゼン、ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4′−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデンジシアノメチレンマロノニトリル、ポリニトロ−9−フルオロニリデンジシアノメチレンマロノジニトリル、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸などの化学構造を前記シロキサン系樹脂の部分構造として含有する。
【0056】
本発明において、好ましい電荷輸送性能を有する構造単位は、前記の如き通常用いられる電荷輸送性化合物の残基であり、該電荷輸送性化合物を構成する炭素原子又は珪素原子を介して下記式中のYで示される連結原子又は連結基に結合し、Yを介してシロキサン系樹脂中に含有される。
【0057】
【化4】
【0058】
(式中、Xは電荷輸送性能を有する構造単位であって、該付与基を構成する炭素原子又は珪素原子を介して式中のYと結合する基、Yは隣接する結合原子(SiとC)を除いた2価以上の原子又は基である。)
但し、Yが3価以上の原子の時は式中のSiとC以外のYの結合手は結合が可能な前記硬化性樹脂中のいずれかの構成原子と結合しているか又は他の原子、分子基と連結した構造(基)を有する。
【0059】
又、前記一般式の中で、Y原子として、特に酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)が好ましい。
【0060】
ここで、Yが窒素原子(N)の場合、前記連結基は−NR−で表される。(Rは水素原子又は1価の有機基である。)
電荷輸送性能を有する構造単位Xは式中では1価の基として示されているが、シロキサン系樹脂と反応させる電荷輸送性化合物が2つ以上の反応性官能基を有している場合は硬化性樹脂中で2価以上のクロスリンク基として接合してもよく、単にペンダント基として接合していてもよい。
【0061】
前記原子、即ちO、S、Nの原子はそれぞれ電荷輸送能を有する化合物中に導入された水酸基、メルカプト基、アミン基と水酸基或いは加水分解性基を有する有機珪素化合物との反応によって形成され、シロキサン系樹脂中に電荷輸送性能を有する構造単位を部分構造として取り込む連結基である。
【0062】
次に本発明中の水酸基、メルカプト基、アミン基、有機珪素含有基を有する電荷輸送性化合物について説明する。
【0063】
前記水酸基を有する電荷輸送性化合物は、通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つ水酸基を有している化合物である。即ち、代表的には硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることができるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸送能を有し、且つ水酸基を有している化合物であればよい。
【0064】
X−(R7−OH)m m≧1
ここにおいて、
X:電荷輸送性能を有する構造単位、
R7:単結合、置換又は無置換のアルキレン基、アリーレン基、
m:1〜5の整数である。
【0065】
その中でも代表的なものを挙げれば下記のごときものがある。例えばトリアリールアミン系化合物は、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン構造を電荷輸送性能を有する構造単位=Xとして有し、前記Xを構成する炭素原子を介して、又はXから延長されたアルキレン、アリーレン基を介して水酸基を有する化合物が好ましく用いられる。
【0066】
1.トリアリールアミン系化合物
【0067】
【化5】
【0068】
2.ヒドラジン系化合物
【0069】
【化6】
【0070】
3.スチルベン系化合物
【0071】
【化7】
【0072】
4.ベンジジン系化合物
【0073】
【化8】
【0074】
5.ブタジエン系化合物
【0075】
【化9】
【0076】
6.その他の化合物
【0077】
【化10】
【0078】
次に、水酸基を有する電荷輸送性化合物の合成例について述べる。
【0079】
例示化合物T−1の合成
【0080】
【化11】
【0081】
ステップA
温度計、冷却管、攪拌装置、滴下ロートの付いた四頭コルベンに、化合物(1)49gとオキシ塩化リン184gを入れ加熱溶解した。滴下ロートよりジメチルホルムアミド117gを徐々に滴下し、その後反応液温を85〜95℃に保ち、約15時間攪拌を行った。次に反応液を大過剰の温水に徐々に注いだ後、攪拌しながらゆっくり冷却した。
【0082】
析出した結晶を濾過及び乾燥した後、シリカゲル等により不純物吸着及びアセトニトリルでの再結晶により精製を行って化合物(2)を得た。収量は30gであった。
【0083】
ステップB
化合物(2)30gとエタノール100mlをコルベンに投入し攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム1.9gを徐々に添加した後、液温を40〜60℃に保ち、約2時間攪拌を行った。次に反応液を約300mlの水に徐々にあけ、攪拌して結晶を析出させた。濾過後充分水洗して、乾燥し化合物(3)を得た。収量は30gであった。
【0084】
例示化合物S−1の合成
【0085】
【化12】
【0086】
ステップA
温度計及び攪拌装置を付けた300mlコルベンに、Cuを30g、K2CO3を60g、化合物(1)8g、化合物(2)100gを投入し、約180℃まで昇温して20時間攪拌した。冷却後濾過し、カラム精製により化合物(3)7gを得た。
【0087】
ステップB
温度計、滴下ロート、アルゴンガス導入装置及び攪拌装置を付けた100mlコルベンをアルゴンガス雰囲気にし、これに化合物(3)7g、トルエン50ml、塩化ホスホリル3gを投入した。室温下で攪拌しながら、DMF2gをゆっくりと滴下し、その後約80℃に昇温して16時間攪拌した。約70℃の温水にあけてから冷却した。これをトルエンにて抽出し、抽出液を水のpHが7になるまで水洗した。硫酸ナトリウムにて乾燥した後に濃縮し、カラム精製により化合物(4)5gを得た。
【0088】
ステップC
アルゴンガス導入装置及び攪拌装置を付けた100mlコルベンにt−BuOK1.0g、DMF60mlを投入し、アルゴンガス雰囲気にした。これに化合物(4)2.0g、化合物(5)2.2gを加え、室温で1時間攪拌した。これを大過剰の水にあけ、トルエンにて抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸ナトリウムにて乾燥後、濃縮してからカラム精製を行い化合物(6)2.44gを得た。
【0089】
ステップD
温度計、滴下ロート、アルゴンガス導入装置及び攪拌装置を付けた100mlコルベンにトルエンを投入し、アルゴンガス雰囲気にした。これにn−BuLiのヘキサン溶液(1.72M)15mlを加え、50℃に加温した。これに化合物(6)2.44gをトルエン30ml溶解させた液を滴下し、50℃に保って3時間攪拌した。これを−40℃に冷却した後、エチレンオキサイド8mlを加え、−15℃まで昇温して1時間攪拌した。その後室温まで昇温し、水5mlを加えて、エーテル200mlにて抽出後、抽出液を飽和食塩水で洗浄した。洗浄液がpHになるまで洗浄した後、硫酸ナトリウムにて乾燥、濃縮、カラム精製して化合物(7)1.0gを得た。
【0090】
次に、メルカプト基を有する電荷輸送性化合物の具体例を下記に例示する。
【0091】
メルカプト基を有する電荷輸送性化合物とは、通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つメルカプト基を有している化合物である。即ち、代表的には硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることができるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸送能を有し、且つメルカプト基を有している化合物であればよい。
【0092】
X−(R8−SH)m m≧1
ここにおいて、
X:電荷輸送性能を有する構造単位、
R8:単結合、置換又は無置換のアルキレン、アリーレン基、
m:1〜5の整数である。
【0093】
その中でも代表的なものを挙げれば下記のごときものがある。
【0094】
【化13】
【0095】
更に、アミノ基を有する電荷輸送性化合物について説明する。
【0096】
アミノ基を有する電荷輸送性化合物は、通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つアミノ基を有している化合物である。即ち、代表的には硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることができるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸送能を有し、且つアミノ基を有している化合物であればよい。
【0097】
X−(R9−NR10H)m m≧1
ここにおいて、
X:電荷輸送性能を有する構造単位、
R9:単結合、置換、無置換のアルキレン、置換、無置換のアリーレン基、
R10:水素原子、置換、非置換のアルキル基、置換、非置換のアリール基、
m:1〜5の整数である。
【0098】
その中でも代表的なものを挙げれば下記のごときものがある。
【0099】
【化14】
【0100】
アミノ基を有する電荷輸送性化合物の中で、第一級アミン化合物(−NH2)の場合は2個の水素原子が有機珪素化合物と反応し、シロキサン構造に連結しても良い。第2級アミン化合物(−NHR10)の場合は1個の水素原子が有機珪素化合物と反応し、R10はブランチとして残存する基でも良く、架橋反応を起こす基でも良く、電荷輸送物質を含む化合物残基でもよい。
【0101】
更に、ケイ素原子含有基を有する電荷輸送性化合物について説明する。
【0102】
ケイ素原子含有基を有する電荷輸送性化合物は、以下のような構造の電荷輸送物質である。この化合物も硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る。
【0103】
X−(−Y−Si(R11)3-a(R12)a)n
(式中、Xは電荷輸送性能を有する構造単位を含む基であり、R11は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基を示し、R12は加水分解性基又は水酸基を示し、Yは置換若しくは未置換のアルキレン基、アリーレン基を示す。aは1〜3の整数を示し、nは整数を示す。)
その中でも代表的なものを挙げれば下記のごときものがある。
【0104】
前記シロキサン系樹脂の形成原料:前記一般式(A)から(D)(以下(A)〜(D)という)組成比としては、有機珪素化合物:(A)+(B)成分1モルに対し、(C)+(D)成分0.05〜1モルを用いることが好ましい。
【0105】
またコロイダルシリカ(E)を添加する場合は前記(A)+(B)+(C)+(D)成分の総重量100部に対し(E)を1〜30重量部を用いることが好ましい。
【0106】
また前記有機ケイ素化合物やコロイダルシリカと反応して樹脂層を形成することができる反応性電荷輸送性化合物(F)の添加量は、前記(A)+(B)+(C)+(D)成分の総重量100部に対し(F)を1〜500重量部を用いることが好ましい。前記(A)+(B)成分が前記の範囲を超えて使用されると、(A)+(B)成分が少ない場合はシロキサン樹脂層は架橋密度が小さすぎ硬度が不足する。又、(A)+(B)成分が多すぎると架橋密度が大きすぎ硬度は十分だが、脆い樹脂層となる。(E)成分のコロイダルシリカ成分の過不足も、(A)+(B)成分と同様の傾向がみられる。一方、(F)成分が少ない場合はシロキサン樹脂層の電荷輸送能が小さく、感度の低下、残電の上昇を生じ、(F)成分が多い場合はシロキサン樹脂層の膜強度が弱くなる傾向がみられる。
【0107】
本発明の電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂は予め構造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーに触媒や架橋剤を加えて新たな化学結合を形成させ3次元網目構造を形成する事もあり、又加水分解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させモノマー、オリゴマー、ポリマーから3次元網目構造を形成する事もできる。
【0108】
一般的には、アルコキシシランを有する組成物又はアルコキシシランとコロイダルシリカを有する組成物の縮合反応により3次元網目構造を形成することができる。
【0109】
また前記の3次元網目構造を形成させる触媒としては有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート)、スズ有機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等)、アルミニウム、亜鉛のオクテン酸、ナフテン酸塩、アセチルアセトン錯化合物等が挙げられる。
【0110】
また本発明中の樹脂層にはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することにより、高温高湿時のカブリの発生や画像ボケを効果的に防止することができる。特にヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤が高温高湿時のカブリの発生や画像ボケ防止に効果がある。
【0111】
ヒンダードフェノール系或いはヒンダードアミン系酸化防止剤の樹脂層中の含有量は0.01〜10重量%が好ましい。0.01重量%未満だと高温高湿時のカブリや画像ボケに効果がなく、10重量%より多い含有量では樹脂層中の電荷輸送能の低下がおこり、残留電位が増加しやすくなり、又膜強度の低下が発生する。
【0112】
又、前記酸化防止剤は下層の電荷発生層或いは電荷輸送層、中間層等にも必要により含有させて良い。これらの層への前記酸化防止剤の添加量は各層に対して0.01〜10重量%が好ましい。
【0113】
ここでヒンダードフェノールとはフェノール化合物の水酸基に対しオルト位置に分岐アルキル基を有する化合物類及びその誘導体を云う(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い。)。
【0114】
又、ヒンダードアミンは、例えば下記構造式で示される有機基を有する化合物類が挙げられる。
【0115】
【化15】
【0116】
(式中のR21は水素原子又は1価の有機基、R22、R23、R24、R25はアルキル基、R26は水素原子、水酸基又は1価の有機基を示す。)
ヒンダードフェノール部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118137号(P7〜P14)記載の化合物が挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0117】
ヒンダードアミン部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118138号(P7〜P9)記載の化合物も挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
又、製品化されている酸化防止剤としては以下のような化合物、例えば「イルガノックス1076」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス245」、「イルガノックス1330」、「イルガノックス3114」、「イルガノックス1076」「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル」以上ヒンダードフェノール系、「サノールLS2626」、「サノールLS765」「サノールLS2626」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」以上ヒンダードアミン系が挙げられる。
【0119】
〈有機微粒子〉
有機微粒子は体積平均粒径が0.05μm〜10μm、好ましくは0.1〜5μmであり、感光体の最樹脂層に0.01重量%〜50重量%添加される。有機微粒子としては例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテール共重合体或いはシリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミンなどの樹脂微粒子が挙げられるが、特にフッ素原子含有樹脂微粒子が好ましい。フッ素原子含有樹脂微粒子を樹脂層に含有させることにより、残留トナーのクリーニングが容易になる。
【0120】
本発明の電子写真感光体の層構成は、特に限定はないが、電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の両方の機能を有する単層型感光層)等の感光層とその上に本発明の樹脂層を塗設した構成をとるのが好ましい。又、前記電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層は各層が複数の層から構成されていてもよい。
【0121】
本発明の感光層に含有される電荷発生物質(CGM)としては、例えばフタロシアニン顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム顔料、スクワリリウム染料、シアニン染料、ピリリウム染料、チオピリリウム染料、キサンテン色素、トリフェニルメタン色素、スチリル色素等が挙げられ、これらの電荷発生物質(CGM)は単独で又は適当なバインダー樹脂と共に層形成が行われる。
【0122】
前記感光層に含有される電荷輸送物質(CTM)としては、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、アミン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられこれらの電荷輸送物質(CTM)は通常バインダーと共に層形成が行われる。
【0123】
単層構成の感光層及び積層構成の場合の電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)に含有されるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリシラン樹脂、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。
【0124】
本発明に於いて電荷発生層中の電荷発生物質とバインダー樹脂との割合は重量比で1:10〜10:1が好ましい。また電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、特に0.05〜2μmが好ましい。
【0125】
又、電荷輸送層は前記の電荷輸送物質とバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解し、その溶液を塗布乾燥することによって形成される。電荷輸送物質とバインダー樹脂との混合割合は重量比で10:1〜1:10が好ましい。
【0126】
電荷輸送層の膜厚は通常5〜50μm、特に10〜40μmが好ましい。また、電荷輸送層が複数設けられている場合は、電荷輸送層の上層の膜厚は10μm以下が好ましく、かつ、電荷輸送層の上層の下に設けられた電荷輸送層の全膜厚より小さいことが好ましい。
【0127】
本発明の硬化性シロキサン樹脂層は、前記電荷輸送層を兼ねても良いが、好ましくは、電荷輸送層もしくは電荷発生層或いは単層型の電荷発生・輸送層等の感光層の上に、これらとは別層として設けるのがよい。この場合、前記感光層と本発明の樹脂層の間に接着層を設けるのが更に良い。
【0128】
次に本発明の電子写真感光体の導電性支持体としては、
1)アルミニウム板、ステンレス板などの金属板、
2)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、アルミニウム、パラジウム、金などの金属薄層をラミネート若しくは蒸着によって設けたもの、
3)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化錫などの導電性化合物の層を塗布若しくは蒸着によって設けたもの等が挙げられる。
【0129】
本発明で用いられる導電性支持体の材料としては、主としてアルミニウム、銅、真鍮、スチール、ステンレス等の金属材料、その他プラスチック材料をベルト状またはドラム状に成形加工したものが用いられる。中でもコスト及び加工性等に優れたアルミニウムが好ましく用いられ、通常押出成型または引抜成型された薄肉円筒状のアルミニウム素管が多く用いられる。
【0130】
又、前記導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものであっても良い。
【0131】
また、支持体の形状はドラム状でもシート状でもベルト状でもよく、適用する電子写真装置に最適した形状であることが好ましい。
【0132】
本発明の感光体の製造に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0133】
次に本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の樹脂層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお前記スプレー塗布については例えば特開平3−90250号及び特開平3−269238号公報に詳細に記載され、前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0134】
本発明の感光体は前記樹脂層が塗布形成された後、50℃以上好ましくは、60〜200℃の温度で加熱乾燥する事が好ましい。この加熱乾燥により、残存塗布溶媒を少なくすると共に、硬化性樹脂層を十分に硬化させることができる。
【0135】
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることが好ましい。
【0136】
中間層用の材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂ポリアミド類(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロン、アルコキシメチル化ナイロン等)、ポリウレタン、ゼラチン及び酸化アルミニウムを用いた中間層、或いは特開平9−68870号公報の如く金属アルコキシド、有機金属キレート、シランカップリング剤による硬化型中間層等が挙げられる。中間層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、特には0.1〜5μmが好ましい。
【0137】
本発明においては、更に、支持体と中間層との間に支持体の表面欠陥を補うための被覆を施すことや、特に画像入力がレーザー光の場合には問題となる干渉縞の発生を防止することなどを目的とした導電層を設けることができる。この導電層は、カーボンブラック、金属粒子又は金属酸化物粒子等の導電性粉体を適当なバインダー樹脂中に分散した溶液を塗布乾燥して形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmが好ましい。
【0138】
本発明の電子写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0139】
図3は本発明の電子写真感光体を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。
【0140】
図3において11は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。12はスコロトロンの帯電器で、感光体ドラム11周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器12による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部23による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0141】
感光体への一様帯電ののち像露光器13により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器13は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー131、fθレンズ等を経て反射ミラー132により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0142】
その静電潜像は次いで現像器14で現像される。感光体ドラム11周縁にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒色(K)等のトナーとキャリアを有する現像剤をそれぞれ内蔵した現像器14が設けられていて、先ず1色目の現像がマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ141によって行われる。現像剤は、例えばフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、ポリエステルを主材料として色に応じた顔料と荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等を加えたトナーとからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ141上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム11と現像スリーブ141の間に直流及び/又は交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。
【0143】
カラー画像形成に於いては、1色目の顕像化が終った後2色目の画像形成行程にはいり、再びスコロトロン帯電器12による一様帯電が行われ、2色目の潜像が像露光器13によって形成される。3色目、4色目についても2色目と同様の画像形成行程が行われ、感光体ドラム11周面上には4色の顕像が形成される。
【0144】
一方モノクロの電子写真装置では現像器14は黒トナー1種で構成され、1回の現像で画像を形成することができる。
【0145】
記録材Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラ17の回転作動により転写域へと給紙される。
【0146】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム11の周面に転写ローラ(転写器)18が圧接され、給紙された記録材(記録紙とも云う)Pを挟着して多色像が一括して転写される。
【0147】
次いで記録材Pは転写ローラとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)19によって除電がなされ、感光体ドラム11の周面により分離して定着装置20に搬送され、熱ローラ201と圧着ローラ202の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラ21を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラ18及び分離ブラシ19は記録材Pの通過後感光体ドラム11の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0148】
一方記録材Pを分離した後の感光体ドラム11は、クリーニング器22のブレード221の圧接及びブラシローラー222の擦過により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部23による除電と帯電器12による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。なお感光体上にカラー画像を重ね合わせて形成する場合には、前記のブレード221及びブラシローラー222は感光体面のクリーニング後直ちに移動して感光体ドラム11の周面より退避する。
【0149】
前記記録材Pとしては普通紙、中性紙、酸性紙等の紙類、ポリエステルベース等のプラスチック支持体等が一般的だが、トナー画像を定着できる支持体であれば全て本発明に記録材として用いることができる。
【0150】
尚、30は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器を一体化されている着脱可能なカートリッジである。
【0151】
電子写真画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0152】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0153】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0154】
本発明の電子写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0155】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0156】
下記のごとくして、感光体を作製した。
【0157】
感光体1の作製
〈中間層〉
ポリアミド樹脂(アミランCM−8000:東レ社製) 60g
メタノール 1600ml
1−ブタノール 400ml
を混合し、溶解して中間層塗布液を調整した。この塗布液を直径80mm、長さ360mmの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.3μmの中間層を形成した。
【0158】
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。
この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。チタニルフタロシアニンのCu−Kα特性X線回折スペクトルを測定した結果、ブラッグ角2θの27.2°に最大ピークピークが認められた。
【0159】
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
【0160】
〈樹脂層〉
トリメトキシメチルシラン 180g
1−ブタノール 280ml
1%酢酸水溶液 106ml
を混合して60℃で2時間攪拌した後、さらに370mlの1−ブタノールを加えて48時間攪拌を続けた。
【0161】
これにジヒドロキシメチルトリフェニルアミン(例示化合物T−1)67.5g、酸化防止剤(サノールLS2626:三共社製)1.7g、ジブチル錫アセテート4.5gを加えて混合し、この溶液を乾燥膜厚1μmの樹脂層として塗布して、120℃、1時間の加熱硬化を行い、実施例用の感光体1を作製した。
【0162】
感光体2の作製
感光体1において樹脂層中のジヒドロキシメチルトリフェニルアミンを4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンに代えた以外は全く同様にして感光体2を作製した。
【0163】
感光体3の作製
感光体1と同様に電荷輸送層まで作製した。
【0164】
〈樹脂層〉
トリメトキシメチルシラン 120g
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 60g
1−ブタノール 280ml
1%酢酸水溶液 106ml
を混合して60℃で2時間攪拌した後、さらに370mlの1−ブタノールを加えて48時間攪拌を続けた。
【0165】
これに例示化合物S−2を60g、平均粒径0.2μmのPTFE微粒子(ルブロンL2:ダイキン工業社製)10g、ジブチル錫アセテート4.5gを加えて混合し、この溶液を乾燥膜厚1μmの樹脂層として塗布して、120℃、1時間の加熱硬化を行い、感光体3を作製した。
【0166】
感光体4の作製
感光体1と同様に電荷輸送層まで作製した。
【0167】
〈樹脂層〉
トリメトキシメチルシラン 120g
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 60g
1−ブタノール 280ml
1%酢酸水溶液 106ml
を混合して60℃で2時間攪拌した後、さらに370mlの1−ブタノールを加えて48時間攪拌を続けた。
【0168】
これに例示化合物H−1を60g、平均粒径0.2μmのPTFE微粒子(ルブロンL2:ダイキン工業社製)10g、コロイダルシリカ(固形分30%メタノール溶液)100gを加えて混合し、この溶液を乾燥膜厚1μmの樹脂層として塗布して、120℃、1時間の加熱硬化を行い、感光体4を作製した。
【0169】
感光体5の作製
感光体1において樹脂層中のジヒドロキシメチルトリフェニルアミン(例示化合物T−1)を除いた他は感光体1と同様にして感光体5を作製した。
【0170】
感光体6の作製
感光体1において樹脂層を除いた他は感光体1と同様にして感光体6を作製した。
【0171】
感光体7の作製
感光体1において樹脂層の酸化防止剤を除いた他は感光体1と同様にして実施例用の感光体7を作製した。
【0172】
実施例(全20例)
上記のようにして作製された感光体をデジタル複写機Konica7050(コニカ社製:レーザー露光、反転現像プロセスでクリーニング部材は下記のように設定した。)に組み込んだ。
【0173】
クリーニングブレードとしてはゴム硬度JIS A 70°、反発弾性30%、厚さ2mm、自由長9mmの弾性ゴムブレードを当接角20°で感光体の回転に対してカウンター方向に押圧力20g/cmで当接した。
【0174】
更に単繊維太さ15デニール、繊維密度9.3×102f/cm2のアクリル製の導電性ブラシを直径6mmのSUS製の芯金に外径15mmになるように作製したブラシローラーを前記ブレードの下部に食い込み量1mmになるように設置し、感光体に対して順方向に回転数500rpmで感光体と同期して動作するように設定した。このときブラシに対して食い込み量1mmになるように、トナーをブラシから除去するためのフリッカーを設けた。
【0175】
30℃、80RHの条件下で5万コピーの実写テストを行い、複写画像の品質を評価した。結果を表1に示す。
【0176】
【表1】
【0177】
評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて5万枚の複写を行い、1000枚毎にベタ黒画像、ベタ白画像、クリーニング不良を評価した。クリーニング不良はベタ黒画像上に存在する白点の有無(直径0.3mmφ以上のもの)を評価し、この白点が5個以上発生した枚数で評価した。また、画像濃度はベタ黒画像の濃度をマクベス社製RD−918を使用し絶対反射濃度で測定し、初期と5万枚後の画像で比較した。さらに、カブリについてはベタ白画像を使用し、初期と5万枚後カブリを目視で確認した。
【0178】
又、ブレードめくれは5万枚複写実写テスト中のめくれ発生回数で評価した。
【0179】
【0180】
表1から次のことが言える。発明の背景にも記載したように、従来の感光体(表面のポリカーボネートの感光体:NO.6)を用いた比較例10で、ブレードとブラシローラでクリーニングしたところ、測定時点で画質(濃度、カブリ、クリーニング特性)は良好であったが、感光体表面の減耗量が本発明に比べ非常に大きくなっている。このことは更に使用するにつれて感光層が更に削れ、結果的に画質に悪影響を与えること、及びブレードとブラシローラを単純に使用しても画質のコントロールが難しいことを示している。
【0181】
比較例4,5,6,7,8,9では、実施例1の感光体1と同じ感光体1を使用している。しかし、ブラシローラやブレードの条件が本発明の範囲外であると画質に悪影響が見られる。なお比較例1では実施例1の感光体1に対し、電荷輸送性能を有する構造単位が表面層にない感光体5を使用している。このような感光体を使用した場合、従来異技術にも述べたとおり、この感光体においては画質に問題が生じた。
【0182】
このように良好な画質を得る上で、感光体だけでなく、クリーニング手段のコントロールも非常に難しい。しかし、実施例1〜11では高温、高湿条件下の5万枚の実写テストにおいて、いずれも良好な画質を達成することができた。本発明の範囲内で感光体の種類とブラシローラの条件とクリーニングブレードの条件をうまく組み合わせることにより、優れた画質を安定して得られることが分かる。
【0183】
【発明の効果】
本発明の感光体とクリーニング手段を組み合わせた構成をとることで、高温高湿の環境下に於いても高耐久、高画質の複写画像が得られる電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置、該装置に用いられるプロセスカートリッジ及び電子写真感光体を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機感光体、ブラシローラー、弾性体ゴムブレードの構成を示す模式図である。
【図2】トルク測定に用いた装置概要図。
【図3】本発明の電子写真感光体を有する画像形成装置の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1 有機感光体
2 円柱状ブラシ支持体
3 接着層
4 ブラシローラー
5 弾性体ゴムブレード
6 支持部材
11 感光体ドラム(又は感光体)
12 帯電器
13 像露光器
14 現像器
17 給紙ローラ
18 転写ローラ(転写器)
19 分離ブラシ(分離器)
20 定着装置
21 排紙ローラ
22 クリーニング器
23 発光ダイオード等を用いた露光部
30 感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジ
Claims (7)
- 電子写真感光体上のトナー像を記録材へ転写後に、前記感光体上に残留するトナーをブラシローラー及び弾性体ゴムブレードでクリーニングを行う電子写真画像形成方法において、前記感光体が水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と水酸基を有する電荷輸送性化合物とを反応させて得られる電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面樹脂層を有し、前記電荷輸送性能を有する構造単位が下記の構造式で前記シロキサン系樹脂の構造中にあり、前記感光体上に残留するトナーを単繊維太さが6〜30デニールで、繊維密度が4.5×102〜15.5×102f/cm2(1平方センチあたりのフィラメント数)のブラシローラーと該感光体表面への押圧力を5〜30g/cmに設定した弾性体ゴムブレードを用いてクリーニングを行うことを特徴とする電子写真画像形成方法。
- 前記Yが酸素原子、硫黄原子又はNRであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成方法。(但し、Rは水素原子又は1価の有機基。)
- 前記樹脂層が平均粒径0.05μm〜10μmの有機微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2項に記載の電子写真画像形成方法。
- 前記有機微粒子がフッ素原子含有樹脂微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真画像形成方法。
- 前記樹脂層がコロイダルシリカを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真画像形成方法。
- 電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有し、繰り返し画像を形成する電子写真画像形成装置において、該感光体が水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と水酸基を有する電荷輸送性化合物とを反応させて得られる電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面樹脂層を有する電子写真感光体であり、前記電荷輸送性能を有する構造単位が下記の構造式で前記シロキサン系樹脂の構造中にあり、該感光体上に残留するトナーを単繊維太さが6〜30デニールで、繊維密度が4.5×10 2 〜15.5×10 2 f/cm 2 (1平方センチあたりのフィラメント数)のブラシローラーと感光体表面への押圧力を5〜30g/cmに設定した弾性体ゴムブレードのクリーニング手段を用いてクリーニングすることを特徴とする電子写真画像形成装置。
- 電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有する電子写真画像形成装置に使用するプロセスカートリッジが水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と水酸基を有する電荷輸送性化合物とを反応させて得られる電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面樹脂層を有し、前記電荷輸送性能を有する構造単位が下記の構造式で前記シロキサン系樹脂の構造中にある電子写真感光体、及び単繊維太さが6〜30デニールで、繊維密度が4.5×10 2 〜15.5×10 2 f/cm 2 (1平方センチあたりのフィラメント数)のブラシローラーと感光体表面への押圧力を5〜30g/cmに設定した弾性体ゴムブレードを用いたクリーニング手段を少なくとも一体として有しており、該画像形成装置に出し入れ可能に設計されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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