JP2000305291A - 電子写真感光体とそれを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体とそれを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ

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JP2000305291A
JP2000305291A JP11200135A JP20013599A JP2000305291A JP 2000305291 A JP2000305291 A JP 2000305291A JP 11200135 A JP11200135 A JP 11200135A JP 20013599 A JP20013599 A JP 20013599A JP 2000305291 A JP2000305291 A JP 2000305291A
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Akihiko Itami
明彦 伊丹
Takeo Oshiba
武雄 大柴
友男 ▲崎▼村
Tomoo Sakimura
Yoko Kitahara
洋子 北原
Masahiko Kurachi
雅彦 倉地
Kazuhisa Shida
和久 志田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有す
る樹脂層の性能を長期にわたって保持し、帯電特性がよ
く高感度で、長期使用によっても帯電電位変動が無く、
画像特性の良い電子写真感光体と、それを用いた画像形
成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供
する。 【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも感光層、樹
脂層を有する電子写真感光体において、前記樹脂層が電
荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有
するシロキサン系樹脂を含有する層からなり、前記樹脂
層が酸化防止剤を含有することを特徴とする電子写真感
光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体と
それを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセス
カートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル信号処理されたデータを
書き込むため、有機感光体上にドット光露光して静電潜
像を形成し、反転現像方式により画像形成を行う電子写
真画像形成方法が盛んに行われるようになった。
【0003】このような方式に用いられる電子写真感光
体には長期の使用にわたって安定でかつ高い解像度を要
する書き込みにも対応できることが要求される。通常、
有機感光体(OPCということもある)は無機感光体に
比べて材料選択の幅が広いために種々の露光光源への対
応が容易で、かつ電位安定性に優れる点から特に高画質
を要求されるプロセスには必須の技術とされてきた。
【0004】一方で有機感光体は強度的に弱く、感光層
の減耗や傷による欠陥が発生し易く、耐久性の面で改良
が求められてきた。表面強度に優れるシロキサン系樹脂
を架橋させて得られる保護層は、有機感光体で、従来問
題とされてきた傷や摩耗に対する耐久性を向上させるこ
とができる技術として注目されている。
【0005】近年、特開平9−190004号公報に記
載の如く、電荷輸送性能を有する構造単位を含むシロキ
サン系樹脂を含有する樹脂層を有する感光体が研究され
ている。これは強度特性及び電気的特性に優れ、従来有
機感光体の欠点であった強度特性を大幅に改善できるも
のであるが、未だ耐久性、画質の点で不十分である。
【0006】一方、電子写真プロセスにおいては帯電や
転写・分離電極でオゾンやNOxなどの酸化性ガスが発
生し、これが感光層中の電荷輸送物質を劣化させること
が知られている。酸化を受けた感光体は帯電性の低下や
光感度の低下を招き、その結果カブリや濃度低下といっ
た画像不良が発生する。しかしながら、従来の感光体で
は適度な感光層の摩耗が発生するため最も劣化を受ける
最表面が適度に擦過され劣化物や表面汚染物資が除去さ
れ、見た目の劣化を抑制してきた。電荷輸送性能を有す
る構造単位を含むシロキサン系樹脂を含有する樹脂層を
有する感光体は、本来のシロキサン系樹脂の強度特性と
電荷輸送性能を有する構造単位の存在により電子写真特
性を向上させることができ、減耗量が非常に少ない利点
はある。しかし、この減耗量が少ないことがかえって、
長期にわたってオゾンやNOx等の酸化性ガスの作用に
より生成する劣化物質の影響を排除することを困難にし
ている。それゆえ摩耗の起こりにくい環境では特に劣化
を抑制することが強く求められるようになってきてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したごとく、表面
強度に優れる架橋構造を有するシロキサン系樹脂は低摩
耗であるが故に長期に亘って使用する過程で酸化性ガス
により劣化し、生成した劣化物質が蓄積し、感光体電位
の安定性及び画質を低下させる問題が指摘されている。
本発明はこの問題を解決するためになされた。
【0008】本発明の目的は、架橋構造を有するシロキ
サン系樹脂を含有する樹脂層の性能を長期にわたって保
持し、帯電特性がよく高感度で、長期使用によっても帯
電電位変動が無く、画像特性の良い電子写真感光体と、
それを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセス
カートリッジを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
に対して検討した結果、前述の樹脂層が電荷輸送性能を
有する構造を含み、且つ酸化防止剤を含有させる、特に
特定構造を有する酸化防止剤を含有させることにより、
樹脂層の劣化を、有効に防止できることを見いだし本発
明に至った。
【0010】即ち、本発明の目的は、下記構成の何れか
を採ることにより達成される。
【0011】〔1〕 導電性支持体上に少なくとも感光
層、樹脂層を有する電子写真感光体において、前記樹脂
層が電荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構
造を有するシロキサン系樹脂を含有する層からなり、前
記樹脂層が酸化防止剤を含有することを特徴とする電子
写真感光体。
【0012】〔2〕 電子写真感光体が樹脂層を有し、
水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物
と、電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物とを反
応させて得られる架橋構造を有するシロキサン系樹脂を
含有する層であり、前記樹脂層が酸化防止剤を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体。
【0013】〔3〕 前記樹脂層が下記一般式(1)で
表される構造を含む架橋構造を有するシロキサン系樹脂
を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の電
子写真感光体。
【0014】
【化2】
【0015】(式中、Xは電荷輸送性能を有する構造単
位、Zは二価以上の任意の連結基を表す。) 〔4〕 前記一般式(1)のZが、置換若しくは未置換
のアルキレン基、アリーレン基であることを特徴とする
〔3〕記載の電子写真感光体。
【0016】〔5〕 前記一般式(1)のZが、隣接す
る結合原子(ケイ素原子Siと前記電荷輸送性能を有す
る構造単位の一部を構成する炭素原子C)を除いた二価
以上の原子又は基であることを特徴とする〔3〕記載の
電子写真感光体。
【0017】〔6〕 前記一般式(1)のZが、O、
S、NRであり、RはH又は一価の有機基であることを
特徴とする請求項5記載の電子写真感光体。
【0018】〔7〕 電子写真感光体が樹脂層を有し、
水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物
と、水酸基を有する電荷輸送性能を有する構造単位を含
む化合物とを反応させて得られる、架橋構造を有するシ
ロキサン系樹脂を含有する層であり、前記樹脂層が酸化
防止剤を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0019】〔8〕 前記酸化防止剤がヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤であることを特徴とする〔1〕〜
〔7〕の何れか1項記載の電子写真感光体。
【0020】
〔9〕 前記酸化防止剤がヒンダードアミ
ン系酸化防止剤であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕
請求項1〜7の何れか1項記載の電子写真感光体。
【0021】〔10〕 前記酸化防止剤が有機リン化合
物系酸化防止剤であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕
の何れか1項記載の電子写真感光体。
【0022】〔11〕 前記酸化防止剤が有機硫黄化合
物系酸化防止剤であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕
の何れか1項記載の電子写真感光体。
【0023】〔12〕 前記樹脂層が最外層であること
を特徴とする〔1〕〜〔11〕の何れか1項記載の電子
写真感光体。
【0024】〔13〕 〔1〕〜〔12〕の何れか1項
記載の電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転
写、クリーニングの工程を有することを特徴とする画像
形成方法。
【0025】〔14〕 〔1〕〜〔12〕の何れか1項
記載の電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転
写、クリーニングの工程を経て画像形成することを特徴
とする画像形成装置。
【0026】〔15〕 感光体を用い、帯電、像露光、
現像、転写、クリーニングの工程を経る画像形成に使用
するプロセスカートリッジにおいて、〔1〕〜〔12〕
の何れか1項記載の電子写真感光体と帯電器、像露光
器、現像器、転写器、クリーニング器の少なくとも何れ
か1つとを組み合わせて造られていることを特徴とする
プロセスカートリッジ。
【0027】電荷輸送性能を有する構造単位を含み、且
つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する樹脂層
を有する感光体は、従来有機感光体の欠点であった膜強
度特性及び架橋構造を有するシロキサン系樹脂層の課題
であった電気的特性を大幅に改善できる。
【0028】一方、電子写真プロセスにおいては、帯電
や転写・分離電極等でオゾンやNOx等の酸化性ガスが
発生し、これが感光層中の電荷輸送物質を劣化させるこ
とが知られている。酸化を受けた感光体は帯電性の低下
や光感度の低下を招き、その結果カブリや濃度低下とい
った画像不良が発生する。しかしながら、従来の感光体
では適度な感光層の摩耗が発生するため、最も劣化を受
ける最表面が適度に擦過され劣化物や表面汚染物資が除
去され、見た目の劣化を抑制してきた。
【0029】電荷輸送性能を有する構造単位を含むシロ
キサン系樹脂を含有する樹脂層を有する感光体は、本来
のシロキサン系樹脂の強度特性と電荷輸送性能を有する
構造単位の存在により電子写真特性を向上させることが
でき、減耗量が非常に少ない利点がある。しかし、この
減耗量が少ないことがかえって、長期にわたってオゾン
やNOx等の酸化性ガスの作用により生成する劣化物質
の影響を排除することを困難にしている。それゆえ摩耗
の起こりにくい環境では特に劣化を抑制することが強く
求められるようになった。
【0030】この様な酸化性ガスを防止するために、従
来種種の劣化防止剤を添加する技術が検討されてきた。
しかし、従来のシロキサン系樹脂は通常の有機高分子材
料に比して劣化防止剤との相溶性に劣り、均一な膜が得
られにくい問題があった。一般にシロキサン系樹脂のよ
うな架橋構造を有する樹脂は、架橋構造や架橋密度が異
なると、添加剤との相溶性が大きく異なってくることが
知られている。相溶性が低下すると添加剤や未反応の電
荷輸送性化合物の析出が起こり、層界面或いは表面層の
場合は感光体表面へのブリーズアウトにより膜のあれが
発生する。これは膜強度や画像品質を低下させる原因と
なる。更に上記層が最表面層の場合には、感光体への異
物の付着を促進し、トナーや紙粉等のフィルミングが発
生しやすくなる。
【0031】そこで前述したシロキサン系樹脂を含有す
る樹脂層の問題点を改良するために検討を行ったとこ
ろ、電荷輸送性能を有する構造を含み、且つ架橋構造を
有するシロキサン系樹脂は、従来一般的なシロキサン系
樹脂では相溶性に問題のあった比較的分子量の大きい酸
化防止剤に対して良好な相溶性を有するため、膜の乱れ
もなく層中に効果的に含有させることが出来、長期の使
用においてもオゾンやNOx等の酸化性ガスから受ける
劣化を大幅に抑制できることを見いだした。更に樹脂層
が、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合
物と、電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物とを
反応させて得られる架橋構造を有するシロキサン系樹脂
を含有する層である場合に、特に相溶性に優れることが
判明した。特に本発明の樹脂層は低減耗で、且つフィル
ミングの発生もなく、長期に亘って良好な画質を維持で
きる。
【0032】本発明の樹脂層は、本発明の目的を達成す
るには、通常感光体の最上層に設けるのが好ましい。し
かし、感光体の他の性能の関係から、更にその上にオー
バーコート層を設けても良く、又、感光層の構成層の一
つが本発明の樹脂層であってもよい。従って、感光層が
電荷輸送層と電荷発生層に分離していない単層タイプの
構成であれば、この層に電荷輸送性能を有する構造単位
を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂と酸化
防止剤を含有させることもできる。
【0033】従って、本発明の樹脂層は、シロキサン系
樹脂を上記本発明の目的を達成するに必要な量含有され
ている必要があるが、同時に他の機能を付与するための
物質が含有されていても良い。
【0034】次に、本発明に用いられる電子写真感光体
について詳細に説明する。
【0035】本発明において、電荷輸送性能を有する構
造単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂
に於けるシロキサン系樹脂は公知の方法により、即ち水
酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を用
いて製造される。前記有機ケイ素化合物は下記一般式
(A)〜(D)の化学式で示される。
【0036】
【化3】
【0037】(式中、R1〜R6は式中のケイ素に炭素が
直接結合した形の有機基を表し、Y1〜Y4は水酸基又は
加水分解性基を表す。) 上記一般式中のY1〜Y4が加水分解性基の場合は、加水
分解性基としてメトキシ基、エトキシ基、メチルエチル
ケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プ
ロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエ
トキシ基等が挙げられる。R1〜R6に示されるケイ素に
炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリ
ル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシ
ドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピ
ル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリ
ロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロ
キシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プ
ロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の
含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノ
エチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−ク
ロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノ
ナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の
含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基等
を挙げることができる。又、R1〜R6はそれぞれの有機
基が同一でも良く、異なっていてもよい。
【0038】前記シロキサン系樹脂の原料として用いら
れる前記有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結
合している加水分解性基の数nが1のとき、有機ケイ素
化合物の高分子化反応は抑制される。nが2、3又は4
のときは高分子化反応が起こりやすく、特に3或いは4
では高度に架橋反応を進めることが可能である。従っ
て、これらをコントロールすることにより得られる塗布
層液の保存性や塗布層の硬度等を制御することが出来
る。
【0039】又、前記シロキサン系樹脂の原料としては
前記有機ケイ素化合物を酸性条件下又は塩基性条件下で
加水分解してオリゴマー化或いはポリマー化した加水分
解縮合物を用いることもできる。
【0040】尚、本発明のシロキサン系樹脂とは前記の
如く、予め化学構造単位にシロキサン結合を有するモノ
マー、オリゴマー、ポリマーを反応させて(加水分解反
応、触媒や架橋剤を加えた反応等を含む)3次元網目構
造を形成し、硬化させた樹脂を意味する。即ち、シロキ
サン結合を有する有機ケイ素化合物を加水分解反応とそ
の後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させ3次元
網目構造を形成させ、その結果生成した架橋構造を有す
るシロキサン系樹脂を意味する。
【0041】又、前記シロキサン系樹脂は水酸基或いは
加水分解性基を有するコロイダルシリカを含ませて、架
橋構造の一部にシリカ粒子を取り込んだ樹脂としてもよ
い。
【0042】本発明における電荷輸送性能を有する構造
単位を有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂と
は電子或いは正孔のドリフト移動度を示す特性を有する
化学構造(=電荷輸送性能を有する構造単位)をシロキ
サン系樹脂中に部分構造として組み込んだものである。
具体的には本発明の電荷輸送性能を有する構造単位を有
し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂は一般的に
電荷輸送物質として用いられる化合物(以後電荷輸送性
化合物又はCTMとも云う)を該シロキサン系樹脂中に
部分構造として有している。
【0043】尚、前記の電荷輸送性能を有する構造単位
とは電子或いは正孔のドリフト移動度を有する性質を示
す構造単位、或いは電荷輸送性化合物残基であり、又別
の定義としてはTime−Of−Flight法などの
電荷輸送性能を検知できる公知の方法により電荷輸送に
起因する検出電流が得られる構造単位、或いは電荷輸送
性化合物残基として表現することもできる。
【0044】以下にシロキサン系樹脂中に有機ケイ素化
合物との反応により電荷輸送性能を有する構造単位を形
成することのできる電荷輸送性化合物について説明す
る。
【0045】例えば正孔輸送型CTM:キサゾール、オ
キサジアゾール、チアゾール、トリアゾール、イミダゾ
ール、イミダゾロン、イミダゾリン、ビスイミダゾリジ
ン、スチリル、ヒドラゾン、ベンジジン、ピラゾリン、
スチルベン化合物、アミン、オキサゾロン、ベンゾチア
ゾール、ベンズイミダゾール、キナゾリン、ベンゾフラ
ン、アクリジン、フェナジン、アミノスチルベン、ポリ
−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、
ポリ−9−ビニルアントラセンなどの化学構造を前記シ
ロキサン系樹脂の部分構造として含有する。
【0046】一方、電子輸送型CTMとしては無水コハ
ク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリッ
ト酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラ
シアノキノジメタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼ
ン、トリニトロベンゼン、テトラニトロベンゼン、ニト
ロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロル
イミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、ナフ
トキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキ
ノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキ
ノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4′−ジニトロ
ベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリ
ル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)−2−
(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフ
ルオレン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレ
ニリデンジシアノメチレンマロノニトリル、ポリニトロ
−9−フルオロニリデンジシアノメチレンマロノジニト
リル、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安
息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安
息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリ
チル酸、フタル酸、メリット酸などの化学構造を前記シ
ロキサン系樹脂の部分構造として含有する。
【0047】本発明において、好ましい電荷輸送性能を
有する構造単位は、前記の如き通常用いられる電荷輸送
性化合物の残基であり、該電荷輸送性化合物を構成する
炭素原子又はケイ素原子を介して下記式中のZで示され
る連結原子又は連結基に結合し、Zを介してシロキサン
系樹脂中に含有される。
【0048】
【化4】
【0049】(式中、Xは電荷輸送性能を有する構造単
位、Zは二価以上の任意の連結基を表す。) 好ましくは前記一般式(1)のZが、隣接する結合原子
(ケイ素原子Siと前記電荷輸送性能を有する構造単位
の一部を構成する炭素原子C)を除いた二価以上の原子
又は基である。
【0050】但し、Zが3価以上の原子の時は式中のS
iとC以外のZの結合手は結合が可能な前記硬化性樹脂
中のいずれかの構成原子と結合しているか又は他の原
子、分子基と連結した構造(基)を有する。
【0051】又、前記一般式の中で、Z原子として、特
に酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)が
好ましい。
【0052】ここで、Zが窒素原子(N)の場合、前記
連結基は−NR−で表される。(Rは水素原子又は一価
の有機基である。) 電荷輸送性能を有する構造単位Xは式中では一価の基と
して示されているが、シロキサン系樹脂と反応させる電
荷輸送性化合物が2つ以上の反応性官能基を有している
場合は硬化性樹脂中で2価以上のクロスリンク基として
接合してもよく、単にペンダント基として接合していて
もよい。
【0053】前記原子、即ちO、S、Nの原子はそれぞ
れ電荷輸送能を有する化合物中に導入された水酸基、メ
ルカプト基、アミン基と水酸基或いは加水分解性基を有
する有機珪素化合物との反応によって形成され、シロキ
サン系樹脂中に電荷輸送性能を有する構造単位を部分構
造として取り込む連結基である。
【0054】次に本発明中の水酸基、メルカプト基、ア
ミン基、有機珪素含有基を有する電荷輸送性化合物につ
いて説明する。
【0055】前記水酸基を有する電荷輸送性化合物は、
通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つ水酸基を有
している化合物である。即ち、代表的には硬化性有機ケ
イ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る
下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることが
できるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸
送能を有し、且つ水酸基を有している化合物であればよ
い。
【0056】X−(R7−OH)m ここにおいて、 X:電荷輸送性能を有する構造単位、 R7:単結合、置換又は無置換のアルキレン基、アリー
レン基、 m:1〜5の整数である。
【0057】その中でも代表的なものを挙げれば下記の
ごときものがある。例えばトリアリールアミン系化合物
は、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン構造を
電荷輸送性能を有する構造単位=Xとして有し、前記X
を構成する炭素原子を介して、又はXから延長されたア
ルキレン、アリーレン基を介して水酸基を有する化合物
が好ましく用いられる。
【0058】1.トリアリールアミン系化合物
【0059】
【化5】
【0060】
【化6】
【0061】
【化7】
【0062】
【化8】
【0063】
【化9】
【0064】2.ヒドラジン系化合物
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
【化12】
【0068】3.スチルベン系化合物
【0069】
【化13】
【0070】
【化14】
【0071】
【化15】
【0072】
【化16】
【0073】4.ベンジジン系化合物
【0074】
【化17】
【0075】
【化18】
【0076】5.ブタジエン系化合物
【0077】
【化19】
【0078】6.その他の化合物
【0079】
【化20】
【0080】次に、水酸基を有する電荷輸送性化合物の
合成例について述べる。
【0081】例示化合物T−1の合成
【0082】
【化21】
【0083】ステップA 温度計、冷却管、攪拌装置、滴下ロートの付いた四頭コ
ルベンに、化合物(1)49gとオキシ塩化リン184
gを入れ加熱溶解した。滴下ロートよりジメチルホルム
アミド117gを徐々に滴下し、その後反応液温を85
〜95℃に保ち、約15時間攪拌を行った。次に反応液
を大過剰の温水に徐々に注いだ後、攪拌しながらゆっく
り冷却した。
【0084】析出した結晶を濾過及び乾燥した後、シリ
カゲル等により不純物吸着及びアセトニトリルでの再結
晶により精製を行って化合物(2)を得た。収量は30
gであった。
【0085】ステップB 化合物(2)30gとエタノール100mlをコルベン
に投入し攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム1.9gを
徐々に添加した後、液温を40〜60℃に保ち、約2時
間攪拌を行った。次に反応液を約300mlの水に徐々
にあけ、攪拌して結晶を析出させた。濾過後充分水洗し
て、乾燥し化合物(3)を得た。収量は30gであっ
た。
【0086】例示化合物S−1の合成
【0087】
【化22】
【0088】ステップA 温度計及び攪拌装置を付けた300mlコルベンに、C
uを30g、K2CO3を60g、化合物(1)8g、化
合物(2)100gを投入し、約180℃まで昇温して
20時間攪拌した。冷却後濾過し、カラム精製により化
合物(3)7gを得た。
【0089】ステップB 温度計、滴下ロート、アルゴンガス導入装置及び攪拌装
置を付けた100mlコルベンをアルゴンガス雰囲気に
し、これに化合物(3)7g、トルエン50ml、塩化
ホスホリル3gを投入した。室温下で攪拌しながら、D
MF2gをゆっくりと滴下し、その後約80℃に昇温し
て16時間攪拌した。約70℃の温水にあけてから冷却
した。これをトルエンにて抽出し、抽出液を水のpHが
7になるまで水洗した。硫酸ナトリウムにて乾燥した後
に濃縮し、カラム精製により化合物(4)5gを得た。
【0090】ステップC アルゴンガス導入装置及び攪拌装置を付けた100ml
コルベンにt−BuOK1.0g、DMF60mlを投
入し、アルゴンガス雰囲気にした。これに化合物(4)
2.0g、化合物(5)2.2gを加え、室温で1時間
攪拌した。これを大過剰の水にあけ、トルエンにて抽出
し、抽出液を水洗した後、硫酸ナトリウムにて乾燥後、
濃縮してからカラム精製を行い化合物(6)2.44g
を得た。
【0091】ステップD 温度計、滴下ロート、アルゴンガス導入装置及び攪拌装
置を付けた100mlコルベンにトルエンを投入し、ア
ルゴンガス雰囲気にした。これにn−BuLiのヘキサ
ン溶液(1.72M)15mlを加え、50℃に加温し
た。これに化合物(6)2.44gをトルエン30ml
溶解させた液を滴下し、50℃に保って3時間攪拌し
た。これを−40℃に冷却した後、エチレンオキサイド
8mlを加え、−15℃まで昇温して1時間攪拌した。
その後室温まで昇温し、水5mlを加えて、エーテル2
00mlにて抽出後、抽出液を飽和食塩水で洗浄した。
洗浄液がpHになるまで洗浄した後、硫酸ナトリウムに
て乾燥、濃縮、カラム精製して化合物(7)1.0gを
得た。
【0092】次に、メルカプト基を有する電荷輸送性化
合物の具体例を下記に例示する。
【0093】メルカプト基を有する電荷輸送性化合物と
は、通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つメルカ
プト基を有している化合物である。即ち、代表的には硬
化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成するこ
とが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙
げることができるが、下記構造に限定されるものではな
く、電荷輸送能を有し、且つメルカプト基を有している
化合物であればよい。
【0094】X−(R8−SH)m ここにおいて、 X:電荷輸送性能を有する構造単位、 R8:単結合、置換又は無置換のアルキレン、アリーレ
ン基、 m:1〜5の整数である。
【0095】その中でも代表的なものを挙げれば下記の
ごときものがある。
【0096】
【化23】
【0097】更に、アミノ基を有する電荷輸送性化合物
について説明する。
【0098】アミノ基を有する電荷輸送性化合物は、通
常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つアミノ基を有
している化合物である。即ち、代表的には硬化性有機ケ
イ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る
下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることが
できるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸
送能を有し、且つアミノ基を有している化合物であれば
よい。
【0099】X−(R9−NR10H)m ここにおいて、 X:電荷輸送性能を有する構造単位、 R9:単結合、置換、無置換のアルキレン、置換、無置
換のアリーレン基、 R10:水素原子、置換、非置換のアルキル基、置換、非
置換のアリール基、 m:1〜5の整数である。
【0100】その中でも代表的なものを挙げれば下記の
ごときものがある。
【0101】
【化24】
【0102】アミノ基を有する電荷輸送性化合物の中
で、第一級アミン化合物(−NH2)の場合は2個の水
素原子が有機珪素化合物と反応し、シロキサン構造に連
結しても良い。第2級アミン化合物(−NHR10)の場
合は1個の水素原子が有機珪素化合物と反応し、R10
ブランチとして残存する基でも良く、架橋反応を起こす
基でも良く、電荷輸送物質を含む化合物残基でもよい。
【0103】更に、ケイ素原子含有基を有する電荷輸送
性化合物について説明する。
【0104】ケイ素原子含有基を有する電荷輸送性化合
物は、以下のような構造の電荷輸送物質である。この化
合物も硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形
成することが出来る。
【0105】 X−(−Z−Si(R113-a(R12an (式中、Xは電荷輸送性能を有する構造単位を含む基で
あり、R11は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル
基、アリール基を示し、R12は加水分解性基又は水酸基
を示し、Zは置換若しくは未置換のアルキレン基、アリ
ーレン基を示す。aは1〜3の整数を示し、nは整数を
示す。) 前記シロキサン系樹脂の形成原料:前記一般式(A)か
ら(D)(以下(A)〜(D)という)組成比として
は、有機珪素化合物:(A)+(B)成分1モルに対
し、(C)+(D)成分0.05〜1モルを用いること
が好ましい。
【0106】またコロイダルシリカ(E)を添加する場
合は前記(A)+(B)+(C)+(D)成分の総重量
100部に対し(E)を1〜30重量部を用いることが
好ましい。
【0107】また前記有機ケイ素化合物やコロイダルシ
リカと反応して樹脂層を形成することができる反応性電
荷輸送性化合物(F)の添加量は、前記(A)+(B)
+(C)+(D)成分の総重量100部に対し(F)を
1〜500重量部を用いることが好ましい。前記(A)
+(B)成分が前記の範囲を超えて使用されると、
(A)+(B)成分が少ない場合はシロキサン樹脂層は
架橋密度が小さすぎ硬度が不足する。又、(A)+
(B)成分が多すぎると架橋密度が大きすぎ硬度は十分
だが、脆い樹脂層となる。(E)成分のコロイダルシリ
カ成分の過不足も、(A)+(B)成分と同様の傾向が
みられる。一方、(F)成分が少ない場合はシロキサン
樹脂層の電荷輸送能が小さく、感度の低下、残電の上昇
を生じ、(F)成分が多い場合はシロキサン樹脂層の膜
強度が弱くなる傾向がみられる。
【0108】本発明の電荷輸送性能を有する構造単位を
有し、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂は予め構
造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマ
ー、ポリマーに触媒や架橋剤を加えて新たな化学結合を
形成させ3次元網目構造を形成する事もあり、又加水分
解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進
させモノマー、オロゴマー、ポリマーから3次元網目構
造を形成する事もできる。
【0109】一般的には、アルコキシシランを有する組
成物又はアルコキシシランとコロイダルシリカを有する
組成物の縮合反応により3次元網目構造を形成すること
ができる。
【0110】また前記の3次元網目構造を形成させる触
媒としては有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン
酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機ア
ミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチ
ルアンモニウムアセテート)、スズ有機酸塩(スタンナ
スオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチル
チンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチ
ルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート
等)、アルミニウム、亜鉛のオクテン酸、ナフテン酸
塩、アセチルアセトン錯化合物等が挙げられる。
【0111】次に、本発明の酸化防止剤とは、その代表
的なものは電子写真感光体中ないしは感光体表面に存在
する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下
で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質
である。詳しくは下記の化合物群が挙げられる。
【0112】(1)ラジカル連鎖禁止剤 ・フェノール系酸化防止剤 ヒンダードフェノール系 ・アミン系酸化防止剤 ヒンダードアミン系 ジアリルジアミン系 ジアリルアミン系 ・ハイドロキノン系酸化防止剤 (2)過酸化物分解剤 ・硫黄系酸化防止剤 チオエーテル類 ・燐酸系酸化防止剤 亜燐酸エステル類 尚、ヒンダードフェノール系とは、フェノール性OH基
ないしはフェノール性OHのアルコキシ化基のオルト位
にかさ高い有機基を有する化合物であり、ヒンダードア
ミン系とはN原子近傍にかさ高い有機基を有する化合物
である。かさ高い有機基としては分岐状アルキル基があ
り、例えばt−ブチル基が好ましい。
【0113】上記酸化防止剤のうちでは、(1)のラジ
カル連鎖禁止剤が良く、特にヒンダードフェノール系或
いはヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。
【0114】又、2種以上のものを併用してもよく、例
えば(1)のヒンダードフェノール系酸化防止剤と
(2)のチオエーテル類の酸化防止剤との併用も良い。
【0115】本発明において、更に好ましいものとして
は、分子中に上記ヒンダードアミン構造を有するものが
画像ボケ防止や黒ポチ対策等の画質改善に良く、別の態
様として、ヒンダードフェノール構造単位とヒンダード
アミン構造単位を分子内に含んでいるものも同様に好ま
しい。
【0116】本発明において好ましく用いられるヒンダ
ードフェノール系及びヒンダードアミン系酸化防止剤と
して、下記一般式〔A〕及び〔B〕を構造単位として有
する化合物がある。
【0117】
【化25】
【0118】式中、R1、R2、R3及びR4は各水素原子
又はアルキル基、アリール基を表し、Zは含窒素脂環を
構成するに必要な原子団を表す。またR1、R2の組及び
3、R4の組の夫々の組においてその1つはZの中に組
込まれて二重結合を与えてもよい。
【0119】更に、R5は分岐状アルキル基、R6、R7
及びR8はそれぞれ水素原子、ヒドロキシ基、アルキル
基又はアリール基を表し、R6、R7及びR8は相互に連
結して環を形成してもよい。
【0120】R9は水素原子、アルキル基又はアルキリ
デン基を表す。
【0121】前記R1、R2、R3及びR4は好ましくは炭
素数1〜40個のアルキル基であって、該アルキル基は
置換基を有してもよく、置換基としては、例えばアリー
ル基、アルコキシ基、カルボン酸基、アミド基、ハロゲ
ン原子等任意のものが挙げられる。
【0122】Zは含窒素脂環を構成するに必要な原子団
であり、好ましくは5員環、6員環を構成する原子団で
ある。
【0123】好ましい環構造としては、ピペリジン、ピ
ペラジン、モルホリン、ピロリジン、イミダゾリジン、
オキサゾリジン、チアゾリジン、セレナゾリジン、ピロ
リン、イミダゾリン、イソインドリン、テトラヒドロイ
ソキノリン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジ
ン、ジヒドロイソキノリン、オキサゾリン、チアゾリ
ン、セレナゾリン、ピロール等の各環が挙げられ、特に
好ましくはピペリジン、ピペラジン、モルホリン及びピ
ロリジンの各環である。
【0124】前記R5、R6は炭素数3〜40のtert
−もしくはsec−アルキル基が好ましい。
【0125】R7及びR8はアルキル基としては、炭素数
1〜40のものが好ましく、アリール基としてはフェニ
ル基、ナフチル基、ピリジル基等が挙げられる。またR
6とR7が環となる場合にはクロマン環が好ましい。
【0126】R9の表すアルキル基、アルキリデン基を
表し、炭素数1〜40のものが好ましく、特に好ましい
のは、炭素数1〜18のものである。
【0127】ヒンダードフェノール系或いはヒンダード
アミン系酸化防止剤の樹脂中の含有量は0.01〜25
重量%が好ましい。25重量%より多い含有量では樹脂
層中の電荷輸送能の低下が起こり、残留電位が増加しや
すくなり、又膜強度の低下が発生する可能性がある。更
に好ましくは0.1〜10重量%がよい。
【0128】又、前記酸化防止剤は下層の電荷発生層或
いは電荷輸送層、中間層等にも必要により含有させても
良い。これらの層への前記酸化防止剤の添加量は各層に
対して0.01〜25重量%が好ましい。
【0129】本発明に用いられる酸化防止剤としては、
上記の条件に適合するものであれば特に限定は無いが、
具体例を下記にあげる。
【0130】(1)ヒンダードフェノール構造単位を有
する化合物例
【0131】
【化26】
【0132】
【化27】
【0133】
【化28】
【0134】
【化29】
【0135】
【化30】
【0136】
【化31】
【0137】
【化32】
【0138】
【化33】
【0139】
【化34】
【0140】
【化35】
【0141】
【化36】
【0142】
【化37】
【0143】(2)ヒンダードアミン構造単位を有する
化合物例
【0144】
【化38】
【0145】
【化39】
【0146】
【化40】
【0147】
【化41】
【0148】
【化42】
【0149】
【化43】
【0150】
【化44】
【0151】
【化45】
【0152】
【化46】
【0153】
【化47】
【0154】
【化48】
【0155】
【化49】
【0156】
【化50】
【0157】(3)ヒンダードアミン構造単位とヒンダ
ードフェノール構造単位を有する化合物例
【0158】
【化51】
【0159】
【化52】
【0160】
【化53】
【0161】(4)有機リン系化合物例 例えば、一般式RO−P(OR)−ORで表される化合
物で代表的なものとして下記のものがある。尚、ここに
おいてRは水素原子、各々置換もしくは未置換のアルキ
ル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0162】
【化54】
【0163】
【化55】
【0164】(5)有機硫黄系化合物 例えば、一般式R−S−Rで表される化合物で代表的な
ものとして下記のものがある。尚、ここにおいてRは水
素原子、各々置換もしくは未置換のアルキル基、アルケ
ニル基又はアリール基を表す。
【0165】
【化56】
【0166】又、製品化されている酸化防止剤としては
以下のような化合物、例えば「イルガノックス107
6」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス
1098」、「イルガノックス245」、「イルガノッ
クス1330」、「イルガノックス3114」、「イル
ガノックス1076」「3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシビフェニル」以上ヒンダードフェノール系、
「サノールLS2626」、「サノールLS765」
「サノールLS2626」、「サノールLS770」、
「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌ
ビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA
67」、「マークLA62」、「マークLA68」、
「マークLA63」以上ヒンダードアミン系が挙げられ
る。
【0167】さらに本発明の構成につき説明する。
【0168】本発明の電子写真感光体の層構成は、特に
限定はないが、電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発
生・電荷輸送層等の感光層とその上に本発明の樹脂層を
塗設した構成をとるのが好ましいことはすでに述べた。
【0169】本発明の感光層に含有される電荷発生物質
(CGM)は単独で又は適当なバインダー樹脂と共に層
形成が行われる。電荷発生物質の代表的なものの例とし
ては、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フタ
ロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズ
ピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、アゾ系顔
料、トリスアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、インジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等がある。
【0170】前記感光層に含有される電荷輸送物質(C
TM)としては、例えばオキサゾール誘導体、オキサジ
アゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘
導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミ
ダゾロン誘導体、イミダゾリン誘導体、ビスイミダゾリ
ジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ベン
ジジン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、
アミン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール
誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導
体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジ
ン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ−N−ビニル
カルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビ
ニルアントラセン等が挙げられこれらの電荷輸送物質
(CTM)は通常バインダーと共に層形成が行われる。
【0171】単層構成の感光層、及び積層構成の場合の
電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)に含有さ
れるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹
脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニ
リデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルア
セテート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニリ
デン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−無
水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹
脂、エポキシ樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノ
ール樹脂、ポリシラン樹脂、ポリビニルカルバゾール等
が挙げられる。
【0172】本発明に於いて電荷発生層中の電荷発生物
質とバインダー樹脂との割合は重量比で1:5〜5:1
が好ましい。また電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ま
しく、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0173】又、電荷輸送層は前記の電荷輸送物質とバ
インダー樹脂を適当な溶剤に溶解し、その溶液を塗布乾
燥することによって形成される。電荷輸送物質とバイン
ダー樹脂との混合割合は重量比で3:1〜1:3が好ま
しい。
【0174】電荷輸送層の膜厚は5〜50μm、特には
10〜40μmが好ましい。また、電荷輸送層が複数設
けられている場合は、電荷輸送層の上層の膜厚は10μ
m以下が好ましく、かつ、電荷輸送層の上層の下に設け
られた電荷輸送層の全膜厚より小さいことが好ましい。
【0175】本発明に用いられる溶媒又は分散媒として
は、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジア
ミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミ
ン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムア
ミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロ
ピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジ
クロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2
−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、
トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒド
ロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エ
タノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソ
ルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるもの
ではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタ
ン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。ま
た、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒とし
て用いることもできる。
【0176】次に本発明の電子写真感光体の導電性支持
体としては、 1)アルミニウム板、ステンレス板などの金属板、 2)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、
アルミニウム、パラジウム、金などの金属薄層をラミネ
ート若しくは蒸着によって設けたもの、 3)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、
導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化錫などの導電性
化合物の層を塗布若しくは蒸着によって設けたもの等が
挙げられる。
【0177】本発明で用いられる導電性支持体の材料と
しては、主としてアルミニウム、銅、真鍮、スチール、
ステンレス等の金属材料、その他プラスチック材料をベ
ルト状またはドラム状に成形加工したものが用いられ
る。中でもコスト及び加工性等に優れたアルミニウムが
好ましく用いられ、通常押出成型または引抜成型された
薄肉円筒状のアルミニウム素管が多く用いられる。
【0178】本発明で用いられる導電性支持体は、その
表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを
用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム
酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等
の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最
も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場
合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイ
オン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電
圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定される
ものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常2
0μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0179】次に本発明の電子写真感光体を製造するた
めの塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、
円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光
層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないた
め、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は
円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗
布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお前記ス
プレー塗布については例えば特開平3−90250号及
び特開平3−269238号公報に詳細に記載され、前
記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−18
9061号公報に詳細に記載されている。
【0180】本発明においては導電性支持体と感光層の
間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもでき
る。
【0181】中間層用の材料としては、カゼイン、ポリ
ビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アク
リル酸共重合体、ポリビニルブチラール、フェノール樹
脂ポリアミド類(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
610、共重合ナイロン、アルコキシメチル化ナイロン
等)、ポリウレタン、ゼラチン及び酸化アルミニウムを
用いた中間層、或いは特開平9−68870号公報の如
く金属アルコキシド、有機金属キレート、シランカップ
リング剤による硬化型中間層等が挙げられる。中間層の
膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、特には0.1〜
5μmが好ましい。
【0182】又、支持体の形状はドラム状でもシート状
でもベルト状でもよく、適用する電子写真装置に適した
形状であればよい。
【0183】本発明の電子写真感光体は、複写機、レー
ザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式
プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであ
るが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記
録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用
し得るものである。
【0184】図1に本発明の電子写真感光体を搭載する
画像形成装置の例として、カラー画像形成装置の断面図
を示す。しかし、本発明はカラー画像形成に限られるも
のではなく、モノクロ画像形成にも適用できる。
【0185】図1において10は像担持体である感光体
ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、
その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地され
て時計方向に駆動回転される。12はスコロトロンの帯
電器で、感光体ドラム10周面に対し一様な帯電をコロ
ナ放電によって与えられる。この帯電器12による帯電
に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすため
に発光ダイオード等を用いた露光部11による露光を行
って感光体周面の除電をしてもよい。
【0186】感光体への一様帯電の後、像露光器13に
より画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像
露光器13は図示しないレーザーダイオードを露光光源
とする。回転するポリゴンミラー131、fθレンズ等
を経て反射ミラー132により光路を曲げられた光によ
り感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成され
る。
【0187】その静電潜像は次いで現像器14で現像さ
れる。感光体ドラム10周縁にはイエロー(Y)、マゼ
ンタ(M)、シアン(C)、黒色(K)等のトナーとキ
ャリアとから成る現像剤をそれぞれ内蔵した現像器14
が設けられていて、先ず1色目の現像がマグネットを内
蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ141によ
って行われる。現像剤は、例えばフェライトをコアとし
てそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリア
と、ポリエステルを主材料として色に応じた顔料と荷電
制御剤、シリカ、酸化チタン等を加えたトナーとからな
るもので、現像剤は図示していない層形成手段によって
現像スリーブ141上に100〜600μmの層厚に規
制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時
通常は感光体ドラム10と現像スリーブ141の間に直
流及び/又は交流バイアス電圧をかけて現像が行われ
る。
【0188】カラー画像形成に於いては、1色目の顕像
化が終った後2色目の画像形成行程にはいり、再びスコ
ロトロン帯電器12による一様帯電が行われ、2色目の
潜像が像露光器13によって形成される。3色目、4色
目についても2色目と同様の画像形成行程が行われ、感
光体ドラム10周面上には4色の顕像が形成される。
【0189】一方モノクロの電子写真装置では現像器1
4は黒トナー1種で構成され、1回の現像で画像を形成
することができる。
【0190】記録紙Pは、転写のタイミングの整った時
点で給紙ローラ17の回転作動により転写域へと給紙さ
れる。
【0191】転写域においては転写のタイミングに同期
して感光体ドラム10の周面に転写ローラ(転写器)1
8が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して多色像が
一括して転写される。
【0192】次いで記録紙Pは転写ローラとほぼ同時に
圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)19によって除
電がなされ、感光体ドラム10の周面により分離して定
着装置20に搬送され、熱ローラ201と圧着ローラ2
02の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ロ
ーラ21を介して装置外部に排出される。なお前記の転
写ローラ18及び分離ブラシ19は記録紙Pの通過後感
光体ドラム10の周面より退避離間して次なるトナー像
の形成に備える。
【0193】一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム
10は、クリーニング器22のブレード221の圧接に
より残留トナーを除去・清掃し、再び露光部11による
除電と帯電器12による帯電を受けて次なる画像形成の
プロセスに入る。なお感光体上にカラー画像を重ね合わ
せて形成する場合には、前記のブレード221は感光体
面のクリーニング後直ちに移動して感光体ドラム10の
周面より退避する。
【0194】尚、30は感光体、帯電器、転写器・分離
器及びクリーニング器を一体化されている着脱可能なプ
ロセスカートリッジである。
【0195】電子写真画像形成装置としては、上述の感
光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセ
スカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニ
ットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。
又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及び
クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体
に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に
着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの
案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0196】プロセスカートリッジには、一般には以下
に示す一体型カートリッジ及び分離型カートリッジがあ
る。一体型カートリッジとは、帯電器、像露光器、現像
器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも
1つを感光体とともに一体に構成し、装置本体に着脱可
能な構成であり、分離型カートリッジとは感光体とは別
体に構成されている帯電器、像露光器、現像器、転写又
は分離器、及びクリーニング器であるが、装置本体に着
脱可能な構成であり、装置本体に組み込まれた時には感
光体と一体化される。本発明におけるプロセスカートリ
ッジは上記双方のタイプのカートリッジを含む。
【0197】像露光は、画像形成装置を複写機やプリン
ターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過
光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読
み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走
査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの
駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われ
る。
【0198】尚、ファクシミリのプリンターとして使用
する場合には、像露光器13は受信データをプリントす
るための露光を行うことになる。
【0199】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0200】下記のごとくして感光体を作製した。
【0201】 実施例1〜9 〈中間層〉 ポリアミド樹脂(アミランCM−8000:東レ社製) 60g メタノール 1600ml 1−ブタノール 400ml を混合し、溶解して中間層塗布液を調製した。この塗布
液を円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、
膜厚0.3μmの中間層を形成した。
【0202】 〈電荷発生層〉 チタニルフタロシアニン 60g シリコーン樹脂溶液 700g (KR5240、15%キシレン−ブタノール溶液:信越化学社製) 2−ブタノン 2000ml を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発
生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に
浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形
成した。
【0203】 〈電荷輸送層〉 電荷輸送物質(D1) 200g ビスフェノールZ型ポリカーボネート 300g (ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 1,2−ジクロロエタン 2000ml を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この
塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜
厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0204】〈保護層〉この上にメチルシロキサン単位
80モル%、メチル−フェニルシロキサン単位20モル
%からなるポリシロキサン10重量部にモレキュラーシ
ーブ4Aを添加し、15時間静置し脱水処理した。この
樹脂をトルエン10重量部に溶解し、これにメチルトリ
メトキシシラン5重量部、ジブチル錫アセテート0.2
重量部を加え均一な溶液にした。
【0205】これにジヒドロキシメチルトリフェニルア
ミン(例示化合物T−1)6重量部及び表1記載の酸化
防止剤0.3重量部を加えて混合し、この溶液を乾燥膜
厚1μmに塗布して、120℃、1時間の加熱硬化を行
い、本発明の樹脂層を持つ実施例1〜9の感光体を作製
した。
【0206】
【化57】
【0207】実施例10 実施例1において保護層中のジヒドロキシメチルトリフ
ェニルアミンを4−[2−(トリエトキシシリル)エチ
ル]トリフェニルアミンに代えた以外は全く同様にして
感光体を作製した。
【0208】実施例11 実施例1において酸化防止剤の量を0.3重量部から
0.03重量部に代えた他は実施例1と同様にして感光
体を作製した。
【0209】比較例1 実施例1において酸化防止剤を用いない以外は実施例1
と同様にして感光体を作製した。
【0210】比較例2 実施例10において酸化防止剤を用いない以外は実施例
10と同様にして感光体を作製した。
【0211】比較例3 実施例1において保護層中のジヒドロキシメチルトリフ
ェニルアミン(例示化合物T−1)を用いない以外は実
施例1と同様にして感光体を作製したところ、酸化防止
剤の析出が見られ初期画像で黒ポチが発生した。
【0212】特性評価 評価は、上記感光体をデジタル方式で画像形成する装置
に搭載して行った。
【0213】即ち、コニカ社製デジタル複写機「Kon
ica 7050」を改造し、露光量を適正化した評価
機に搭載し、初期帯電電位を−650Vに設定し、常温
環境下において、A4紙を用いて5万回繰り返しコピー
を行い、5万コピー後の露光部電位(VL)及び未露光
部電位(VH)の変動、膜厚減耗量の測定及び画質評価
を行った。
【0214】その結果実施例1〜11で得られた感光体
は表1の如く、カブリ、画像ボケ、画像流れ、フィルミ
ング、スリキズ、黒ポチによる故障等が発生せず、且つ
ベタ黒部の反射濃度が1.2以上と高濃度で、高解像度
の画像が得られた。一方、比較例1〜3の感光体はそれ
らの電位変動量、画像特性のいずれもが悪く、実用性に
乏しいことがわかる。
【0215】尚、画像濃度の測定は、ベタ黒画像の濃度
を濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用して
絶対濃度を測定し、カブリについてはベタ白画像を使用
して、初期と5万枚のカブリを目視で確認した。又、画
像ボケの有無を目視で評価した。
【0216】 画像濃度 ◎:1.2以上:良好 ○:1.2未満〜0.8:実用上問題ないレベル ×:0.8未満:実用上問題となるレベル。
【0217】 カブリ ◎:カブリ発生無し ○:時々カブリ発生有り、しかし、実用上問題がないレベル ×:連続したカブリ発生有り。
【0218】画像ボケ ◎:5万枚中5枚以下の発生 ○:5万枚中6枚〜20枚の発生 ×:5万枚中21枚以上の発生。
【0219】尚、黒ポチの評価は、画像解析装置「オム
ニコン3000形」(島津製作所社製)を用いて黒ポチ
の粒径と個数を測定し、黒ポチの粒径と個数を測定し、
0.1mm以上の黒ポチが100cm2当たり何個ある
かで判定した。黒ポチ評価の判定基準は、下記に示す通
りである。
【0220】0.1mm以上の黒ポチが ◎:1個/100cm2以下:良好 ○:2〜3個/100cm2:実用上問題がないレベル ×:4個/100cm2以上:実用上問題あり。
【0221】感光体の膜厚減耗量はコピー1回目と5万
回目の感光層の膜厚の差から求めた。
【0222】結果を表1に示す。
【0223】
【表1】
【0224】表1の結果から明らかなように、本発明内
の実施例1〜11はいずれの特性も良好であるのに対
し、本発明外の比較例1、2及び3は、電位変動量ある
いは画像評価において劣ることがわかる。
【0225】実施例12 実施例1において電荷発生層までは同様に塗布した。
【0226】 〈電荷輸送層〉 電荷輸送物質(例示化合物T−1) 200g メチルトリメトキシシラン 300g ヒンダードフェノール化合物(1−35) 1g コロイダルシリカ(30%メタノール溶液) 8g 1−ブタノール 50g 1%酢酸 50g アルミニウムテトラアセチルアセテート 2g を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この
塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、1
10℃、2時間の加熱硬化を行い膜厚12μmの電荷輸
送層を形成した。
【0227】評価は上記同様に行った。
【0228】比較例4 実施例12において、電荷輸送物質(T−1)の代わり
に電荷輸送物質D1を用いた以外は実施例12と同様に
して感光体を作製し評価した。
【0229】結果は上記表1に併せて示した。電荷輸送
物質或いは酸化防止剤の析出のため、黒ポチ発生、減耗
量増大、フィルミング発生と耐久性及び電子写真特性が
悪化した。
【0230】
【発明の効果】本発明により、架橋構造を有するシロキ
サン系樹脂を含有する樹脂層の性能を長期にわたって保
持し、帯電特性がよく高感度で、長期使用によっても帯
電電位変動が無く、画像特性の良い電子写真感光体と、
それを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセス
カートリッジを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
10 感光体ドラム(又は感光体) 11 発光ダイオード等を用いた露光部 12 帯電器 13 像露光器 14 現像器 17 給紙ローラ 18 転写ローラ(転写器) 19 分離ブラシ(分離器) 20 定着装置 21 排紙ローラ 22 クリーニング器 30 感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニン
グ器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北原 洋子 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 (72)発明者 倉地 雅彦 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 (72)発明者 志田 和久 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2H068 AA03 AA04 BA12 BA57 BA58 BA60 BB33 BB44 BB57 FA01 FA13 FA27

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも感光層、樹
    脂層を有する電子写真感光体において、前記樹脂層が電
    荷輸送性能を有する構造単位を有し、且つ架橋構造を有
    するシロキサン系樹脂を含有する層からなり、前記樹脂
    層が酸化防止剤を含有することを特徴とする電子写真感
    光体。
  2. 【請求項2】 電子写真感光体が樹脂層を有し、水酸基
    或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と、電荷
    輸送性能を有する構造単位を含む化合物とを反応させて
    得られる架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する
    層であり、前記樹脂層が酸化防止剤を含有することを特
    徴とする電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記樹脂層が下記一般式(1)で表され
    る構造を含む架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有
    することを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感
    光体。 【化1】 (式中、Xは電荷輸送性能を有する構造単位、Zは二価
    以上の任意の連結基を表す。)
  4. 【請求項4】 前記一般式(1)のZが、置換若しくは
    未置換のアルキレン基、アリーレン基であることを特徴
    とする請求項3記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記一般式(1)のZが、隣接する結合
    原子(ケイ素原子Siと前記電荷輸送性能を有する構造
    単位の一部を構成する炭素原子C)を除いた二価以上の
    原子又は基であることを特徴とする請求項3記載の電子
    写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記一般式(1)のZが、O、S、NR
    であり、RはH又は一価の有機基であることを特徴とす
    る請求項5記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 電子写真感光体が樹脂層を有し、水酸基
    或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と、水酸
    基を有する電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物
    とを反応させて得られる、架橋構造を有するシロキサン
    系樹脂を含有する層であり、前記樹脂層が酸化防止剤を
    含有することを特徴とする電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 前記酸化防止剤がヒンダードフェノール
    系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1〜7の何
    れか1項記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 前記酸化防止剤がヒンダードアミン系酸
    化防止剤であることを特徴とする請求項1〜7の何れか
    1項記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 前記酸化防止剤が有機リン化合物系酸
    化防止剤であることを特徴とする請求項1〜7の何れか
    1項記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 前記酸化防止剤が有機硫黄化合物系酸
    化防止剤であることを特徴とする請求項1〜7の何れか
    1項記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 前記樹脂層が最外層であることを特徴
    とする請求項1〜11の何れか1項記載の電子写真感光
    体。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12の何れか1項記載の電
    子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写、クリ
    ーニングの工程を有することを特徴とする画像形成方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜12の何れか1項記載の電
    子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写、クリ
    ーニングの工程を経て画像形成することを特徴とする画
    像形成装置。
  15. 【請求項15】 感光体を用い、帯電、像露光、現像、
    転写、クリーニングの工程を経る画像形成に使用するプ
    ロセスカートリッジにおいて、請求項1〜12の何れか
    1項記載の電子写真感光体と帯電器、像露光器、現像
    器、転写器、クリーニング器の少なくとも何れか1つと
    を組み合わせて造られていることを特徴とするプロセス
    カートリッジ。
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EP00102246A EP1030223B1 (en) 1999-02-15 2000-02-14 Electrophotographic photoreceptor and image forming apparatus, image forming method and processing cartridge using it
DE60036040T DE60036040T2 (de) 1999-02-15 2000-02-14 Elektrophotographischer Photorezeptor und bilderzeugende Vorrichtung, bilderzeugendes Verfahren und Arbeitseinheit unter dessen Verwendung

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