JP4356195B2 - 直描型水なし平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光で直接製版できる直描型平版印刷版原版に関するものであり、特に湿し水を用いずに印刷が可能な直描型水なし平版印刷版原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製版用フィルムを使用しないで、原稿から直接オフセット印刷版を作製する、いわゆる直描型製版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷版が得られる迅速性、多様なシステムから品質とコストに応じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、軽印刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、フレキソ印刷の分野にも進出し始めている。特に最近では、プリプレスシステムやイメージセッター、レーザープリンタなどの出力システムの急激な進歩によって新しいタイプの各種直描型平版印刷版が開発されている。これらの直描型平版印刷版を製版方法から分類すると、レーザー光を照射する方法、サーマルヘッドで書き込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する方法、インクジェットでインキ反撥層またはインキ着肉層を形成する方法などが挙げられる。なかでも、レーザー光を用いる方法は解像度、および製版速度の面で他の方式よりも優れており、その種類も多い。
【0003】
このレーザー光を用いる印刷版はさらに、光反応によるフォトンモードのものと、光熱変換を行って熱反応を起こさせるヒートモードの2つのタイプに分けられる。特にヒートモードの方式は、明室で取り扱えるといった利点があり、また光源となる半導体レーザーの急激な進歩によって、最近その有用性が見直されてきている。
【0004】
例えば、米国特許第5339737号明細書、米国特許第5353705号明細書、特開平6−55723号公報、米国特許第5378580号明細書、特開平7−164773号公報、特開平6−186750号公報、特開平7−309001号公報、特開平9−104182号公報、特開平9−146264号公報、特開平9−146265号公報、特開平9−236927号公報、特開平9−244228号公報および米国特許第5487338号明細書、米国特許第5385092号明細書、米国特許第5649486号明細書、米国特許第5704291号明細書、米国特許第5570636号明細書にはレーザー光を光源として用いる直描型水なし平版印刷版原版およびその製版方法などが記載されている。
【0005】
この熱破壊方式の印刷版原版の感熱層は、レーザー光吸収化合物として主としてカーボンブラックを用い、熱分解化合物としてニトロセルロースを使用している。そしてこのカーボンブラックがレーザー光を吸収することによって熱エネルギーに変換され、その熱で感熱層が破壊される。そして最終的に、現像によってこの部分を除去することによって、表面のシリコーンゴム層が同時に剥離され、インキ着肉部となる。
【0006】
しかしながらこの印刷版は、感熱層を破壊して画像を形成することから画線部のセルの深さが深くなり、微少網点でのインキ着肉性が悪く、インキマイレージが悪いという問題点があった。更に、感熱層を熱破壊させ易くするために、架橋構造を形成しており印刷版の耐刷性が悪いという問題もあった。更にこの印刷版は感度が低く、感熱層を破壊させるために高いレーザー光の強度が必要という問題点もあった。
【0007】
特開平9−239943号公報では、レーザー光を熱に変換することによりシリコーンゴム層との密着性が低下する層、および固形分量に対して10〜20重量%のオルガノハイドロジェンシロキサンを含有する付加型シリコーンゴム層を有するヒートモードの湿し水不要平版印刷原版が記載されている。しかしながら、同号公報においても感熱層は基本的にカーボンブラックとニトロセルロースより構成されており、レーザー照射、現像により除去されるタイプであり、インキ受容性層は感熱層の下層のプライマー層であるため、インキマイレージの問題や製版に要するレーザー光の強度の問題を有していた。特開平9−244228号公報は、プライマー層に中空ポリマー微粒子を含有させることによって高感度化を可能にするものである。しかしながら、インキマイレージの問題は依然として残っていた。
【0008】
特開平9−239942号公報では、レーザー感応層中に酸を発生する物質と、酸の作用で分解する高分子化合物を含有する剥離現像タイプの印刷版が記載されているが、レーザー光照射の工程と加熱工程という二つの工程が必要であるため工程が煩雑になり、また微細な網点の再現性が悪いという剥離現像固有の問題が存在する。
【0009】
その他、米国特許第5379698号明細書、特開平7−314934号公報、特開平9−236927号公報には、金属薄膜を感熱層として用いる直描型水なし平版印刷版が記載されている。この印刷版材は、感熱層がかなり薄いために、非常にシャープな画像が得られ、印刷版の解像度という面では有利であるが、基材と感熱層の接着性が悪く印刷中に非画線部の感熱層が剥離し、インキが付着し印刷物上で欠点となるという問題点があった。
【0010】
以上の問題を解決するためには、レーザー光を照射した部分のシリコーンゴム層が選択的に除去され、一方、感熱層は残ったままの熱剥離型の直描型水なし平版印刷版が好ましいと考えられる。Nichiporenkoらの検討によっても感熱層が残存する印刷版は得られているが、感熱層中にカーボンブラックと易熱分解性のニトロセルロースを用いているため、レーザー照射エネルギーに対して感熱層の残存性が不安定であったり、さらにレーザー照射の作用で発生するガスがレーザーの光学系に悪影響を与えるなどの問題点があった。
【0011】
また、熱剥離型の場合では、感熱層の表面近傍においてのみのごく僅かな反応を用いるために、目視によってレーザー光照射部と非照射部の判別がつきにくい、いわゆる焼き出し性に劣るという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の欠点を改良するために、焼き出し性の良好なネガ型で熱剥離型の直描型水なし平版印刷版を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は主として次の構成を有する。すなわち、「基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版であって、該感熱層が少なくとも酸の作用で発色する色素と酸とを混合してなる組成物からなり、かつ少なくとも金属キレート化合物を有することを特徴とする直描型水なし平版印刷版原版。」である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0015】
本発明の特徴とするところは、感熱層組成物を製造するにあたって酸の作用で発色する色素と酸とを用いること、または感熱層が一般式(II)で表される構造を有する化合物を含有することである。
【0016】
酸の作用で発色する色素としては、酸によって発色する色素であれば特に限定されないが、一般式(I)で表されるような構造を有する色素が好ましく挙げられる。
【0017】
【化3】
さらに、このような構造を有する色素としては、ロイコ色素が好ましく挙げられる。ロイコ色素の具体例としては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフロオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ジメトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルクロロフルオラン、などを挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0018】
これら色素の含有量は、全感熱層組成物に対して1〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。1重量%以上とすると焼き出し性の向上効果が大きく、一方、20重量%以下とすると印刷版の耐刷性低下も起こりにくい。
【0019】
次に本発明の特徴としては、感熱層中に酸を含有することである。
【0020】
酸としては、プロトンを放出する能力のあるもの、あるいは原子上に空き軌道を有しロンペアーを受け取る能力のあるものであればよく、有機カルボン酸類やスルホン酸類などの有機酸類や種々の無機酸が使用可能である。具体的には、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、キノリニン酸、アントラニリン酸などのカルボン酸、トルエンスルホン酸などのスルホン酸、フェノール、カテコール、t−ブチルフェノール、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ペプタン、4−フェニルフェノール、4,4−シクロヘキシリデンフェノール、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、ロイコ−1,4−ジヒドロキシアントラキノンなど、さらにはフェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂などのフェノール性水酸基含有化合物など、さらには、ほう酸やリン酸、亜リン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、塩酸、塩素酸などの無機酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、カルボン酸類と、スルホン酸類、およびフェノール性水酸基含有化合物が好ましい。
【0021】
これら酸の好ましい使用量は、カルボン酸類、スルホン酸類においては、感熱層固形分の全組成物中の0.1〜10重量%、フェノール性水酸基含有化合物の場合は1〜80重量%が好ましい。かかる範囲内にすることにより、版性能へ悪影響を与えることなく焼き出し性が得られる。
【0022】
これら酸の作用で発色する色素および酸を、例えば溶液中で混合させることにより、感熱層組成物が製造される。
【0023】
これら酸の作用で発色する色素は、酸の作用により感熱層組成物中では一般式(II)で表される構造を有する化合物となっている。したがって、一般式(II)で表される構造を有する化合物をあらかじめ製造しておき、その後他の感熱層成分と混合してに感熱層組成物とすることもできる。
【0024】
【化4】
このような一般式(II)で表される構造を有する化合物は、例えば一般式(I)で表されるような構造を有する色素に酸を作用させて製造することができる。具体例としては以下に示すような化合物を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
本発明の一般式(II)で表される構造を有する化合物の含有量は、全感熱層組成物に対して0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましく、さらには1〜5重量%が好ましい。0.1重量%以上とすると焼き出し性の向上効果が大きく、一方、20重量%以下とすると印刷版の耐刷性低下も起こりにくい。
【0029】
また、本発明の感熱層としては、金属キレート化合物を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明で言う金属キレート化合物とは、金属に有機配位子が配意した有機錯塩、金属に有機配位子および無機配位子が配位子した有機無機錯塩、および金属と有機分子が酸素を介して共有結合している金属アルコキシド類を含む。これらの中でも、配位子が2個以上のドナー原子を有し、金属原子を含む環を形成するようないわゆるキレート化合物が、そのもの自体の安定性や感熱層溶液の安定性などの面から本発明に好ましく用いられる。
【0031】
金属キレート化合物を形成する主な金属としては、Cu(I)、Ag(I)、Hg(I)、Hg(II)、Li、Na、K、Be(II)、B(III)、Zn(II)、Cd(II)、Al(III)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Ag(II)、Au(III)、Pd(II)、Pt(II)、Ca(II)、Sr(II)、Ba(II)、Ti(IV)、V(III)、V(IV)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Fe(II)、Fe(III)、Co(III)、Pd(IV)、Pt(IV)、Sc(III)、Y(III)、Si(IV)、Sn(II)、Sn(IV)、Pb(IV)、Ru(III)、Rh(III)、Os(III)、Ir(III)、Rb、Cs、Mg、Ni(IV)、Ra、Zr(IV)、Hf(IV)、Mo(IV)、W(IV)、Ge、In、ランタニド、アクチニド等が挙げられる。これらの中でもAl、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Zr、Hfが好ましい。
【0032】
また、配位子としては、O(酸素原子)、N(窒素原子)、S(硫黄原子)などをドナー原子として有する以下のような配位基を有する化合物が挙げられる。配位基の具体例としては、酸素原子をドナー原子とするものとしては、−OH(アルコール、エノールおよびフェノール)、−COOH(カルボン酸)、>C=O(アルデヒド、ケトン、キノン)、−O−(エーテル)、−COOR(エステル)、−N=O(ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物)、−NO2(ニトロ化合物)、>N−O(N−オキシド)、−SO3H(スルホン酸)、−PO3H2(亜リン酸)など、窒素原子をドナー原子とするものとしては、−NH2(1級アミン、アミド、ヒドラジン)、>NH(2級アミン、ヒドラジン)、>N−(3級アミン)、−N=N−(アゾ化合物、複素環化合物)、=N−OH(オキシム)、−NO2(ニトロ化合物)、−N=0(ニトロソ化合物)、>C=N−(シッフ塩基、複素環化合物)、>C=NH(アルデヒド、およびケトンイミン、エナミン類)、硫黄原子をドナー原子とするものとしては、−SH(チオール)、−S−(チオエーテル)、>C=S(チオケトン、チオアミド)、=S−(複素環化合物)、−C(=O)−SHあるいは−C(=S)−OHおよび−C(=S)−SH(チオカルボン酸)、−SCN(チオシアナート、イソチオシアナートなど)等が挙げられる。
【0033】
さらに、配位子の具体例の一部としては、次のようなものが挙げられる。
(1)脂肪族カルボン酸として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバリル酸、プロパン−1,1,2,3−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、グリコール酸、チオグリコール酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、アロイソクエン酸、グルコン酸、ピルビン酸、オキサル酸、ジグリコール酸、チオジグリコール酸、メルカプトコハク酸、ジメルカプトコハク酸、など。
【0034】
(2)芳香族カルボン酸、アルデヒドおよび関連化合物として、安息香酸、フタル酸、マンデル酸、サリチルアルデヒド、サリチル酸、5−スルホサリチル酸、α−カルボキシ−O−アニス酸、O−(カルボキシメチルチオ)安息香酸、トロポロン、メチルトロポロン、タイロン、クロモトロープ酸、など。
【0035】
(3)アミンおよびその誘導体として、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノシクロヘプタン、トリエチレンジアミン、トリアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2−アミノメチルプロパン、ジエチレントリアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、トリエチレンテトラミン、2,2’,2”−トリアミノトリエチルアミン、エタノールアミン、2−メトキシエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メルカプトエチルアミン、2−アミノエチルメチルスルフィド、ジ(2−アミノエチル)エーテル、2−アミノ−2’−ヒドロキシジエチルスルフィド、ビス(2−アミノエチル)スルフィド、ピリジン、アミノメチルピリジン、ピリジン−2−カルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド、ピリドキサミン、ピペリジン、ピペリジンジカルボン酸、イミダゾール、ヒスタミン、3−メチルヒスタミン、など。
【0036】
(4)アミノポリカルボン酸として、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、N−メチルイミノジ酢酸、N−(3,3−ジメチルブチル)イミノジ酢酸、フェニルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、メルカプトエチルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジプロピオン酸、ヒドロキシプロピルイミノジ酢酸、2−ヒドロキシシクロヘキシルイミノジ酢酸、メトキシエチルイミノジ酢酸、メチルチオエチルイミノジ酢酸、2−ヒドロキシベンジルイミノジ酢酸、N−(カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、N−(カルバモイルメチル)イミノジ酢酸、シアノメチルイミノジ酢酸、アミノエチルイミノジ酢酸、ホスホノメチルイミノジ酢酸、スルホエチルイミノジ酢酸、スルホフェニルイミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、カルボキシエチルイミノジ酢酸、カルボキシメチルイミノジプロピオン酸、ニトリロトリプロピオン酸、N,N’−エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジプロピオン酸、N,N’−ジ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミンジ酢酸、N−n−ブチルエチレンジアミントリ酢酸、N−シクロヘキシルエチレンジアミントリ酢酸、N’−ヒドロキシエチル−N,N,N’−トリ酢酸、ベンジルエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸・N,N’−ジプロピオン酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、1,3,5−トリアミノシクロヘキサンヘキサ酢酸、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、トリメチレンテトラアミンヘキサ酢酸、など。
【0037】
(5)β−ジケトン、オキシンなどとしては、アセチルアセトン、トリフルオルアセチルアセトン、ヘキサフルオルアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、ジベンゾイルメタン、フロイルアセトン、トリフルオルフロイルアセトン、ベンゾイルフロイルメタン、テノイルアセトン、トリフルオルテノイルアセトン、フロイルテノイルメタン、オキシン(別名:8−ヒドロキシキノリン)、メチルオキシン、オキシン−5−スルホン酸、キノリンカルボン酸、8−ヒドロキシシノリン、ヒドロキシナフチリジン、ヒドロキシキノキサリン、ヒドロキシキナゾリン、2,2’−ビピリジン、2−(2’−チェニル)ピリジン、1,10−フェナントロリン、メチル−1,10−フェナントロリン、ジメチル−1,10−フェナントロリン、ジメチルグリオキシム、ジメチルジチオカルバミン酸、ニトロソナフトール、ヒドロキシフラボン、1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトール、エリオクロムブラックA及びB、エリオクロムブルーブラックB及びR、フタレインコンプレクソン、など。
【0038】
(6)その他、グリシン、ザルコシン、アラニン、α−アミノ酪酸、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、1,2−ジアミノプロピオン酸、オルニチン、リジン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、トリプトファン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、グルシルグリシン、アルブミン、カゼイン、ミオシンA、などのアミノ酸、ペプチド、タンパク質など。プリン、アデニン、ヒポキサンチン、イノシン、キサントシン、グアノシン、アデノシン−5’−リン酸、アデノシン−5’−ジリン酸、アデノシン−5’−トリリン酸などのピリミジン、プリン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド類など。ペニシリンG、テトラサイクリン、オキシテトラサイクロン、クロルテトラサイクロンなどの抗生物質など。
【0039】
上記のような金属と配位子から形成される金属キレート化合物のうち、好ましく用いられる化合物としては、Al、Ti、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Zr、Hf等の金属のβ−ジケトン類、アミン類、アルコール類、カルボン酸類との錯体が挙げられ、さらにはAl、Fe(III)、Ti、Zrのアセチルアセトネート(ペンタンジオネート)、エチルアセトアセトネート(ヘキサンジオネート)、プロピルアセトアセトネート(ヘプタンジオネート)、テトラメチルヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネート類などが特に好ましい化合物として挙げられる。
【0040】
このような化合物の具体例としては例えば以下のような化合物を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(プロピルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ブチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ヘキシルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ノニルアセトアセテート)、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムジアセチルアセトネートエチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスプロピルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスブチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスヘキシルアセトアセテート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスプロピルアセトセトネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスブチルアセトアセトネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスヘキシルアセトアセトネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスノニルアセトアセトネート、アルミニウムジブトキシドモノアセトアセテート、アルミニウムジプロポキシドモノアセトアセテート、アルミニウムジブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム−s−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキシド、など。
チタンアリルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタンメタクリルオキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタンオキシドビス(ペンタンジオネート)など。
鉄(III )アセチルアセトネート、ジベンゾイルメタン鉄(II)、トロポロン鉄、トリストロポロノ鉄(III )、ヒノキチオール鉄、トリスヒノキチオロ鉄(III )、アセト酢酸エステル鉄(III )、鉄(III )ベンゾイルアセトネート、鉄(III )トリフルオロペンタンジオネートなど。
【0041】
このような金属キレート化合物は、分解性化合物として、架橋剤として、あるいは熱硬化反応の触媒として機能することができる。
【0042】
このような金属キレート化合物の感熱層中に占める割合としては、感熱層の全固形分の0.5〜50重量%、さらには3〜30重量%であることが好ましい。金属キレート化合物の量が0.5重量%より少ない場合は、上記のような効果が期待できず、一方、50重量%より多い場合には、印刷版の耐刷性の低下などの問題が生じるためである。
【0043】
また、本発明の感熱層としては、前記色素、酸以外に、光熱変換物質および熱硬化性の化合物を含有することが好ましい。
【0044】
光熱変換物質としては、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステンなどの金属酸化物、これらの金属の水酸化物、硫酸塩などを挙げることができる。これらのなかでも、光熱変換率、経済性および取り扱い性の面から、カーボンブラックが好ましい。
【0045】
また、赤外線または近赤外線を吸収する色素、特に染料が光熱変換物質として好ましく使用される。特に好ましい色素としては、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジチオール金属錯体系、ピアズレニウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、アゾ系分散色素、ビスアゾ系、ビスアゾスチルベン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ペリレン系、ポリメチン系、インドアニリン金属錯体染料、分子間型CT系、ベンゾチオピラン系、スピロピラン系、ニグロシン系、チオインジゴ系、ニトロソ系、キノリン系、フルギド系の色素、特に染料などが挙げられる。
【0046】
これら光熱変換物質の含有量は、全感熱層組成物に対して1〜40重量%が好ましく、5〜25重量%がより好ましい。1重量%以上とするとレーザー光に対する感度の向上効果が大きく、40重量%以下とすると印刷版の耐刷性が低下することもない。
【0047】
また、熱硬化性の化合物としては、印刷版原版の感熱層中にあって、レーザー照射の作用で直接あるいは間接的に熱硬化し得る性能を依然として有している化合物群のことを言い、このようなものとしては、フェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドの縮合反応により得られるノボラック樹脂やレゾール樹脂、フェノール・フルフラール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリイミド前駆体などを挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0048】
また、上記のごとく樹脂自体が反応するものの他に、反応性の官能基を有する化合物に熱反応性の架橋剤を添加した組成物も、熱硬化性の化合物として本発明に使用することができる。架橋剤としては架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、多官能ブロックドイソシアネート、多官能エポキシ化合物、多官能アクリレート化合物、金属キレート化合物、多官能アルデヒド、多官能メルカプト化合物、多官能アルコキシシリル化合物、多官能アミン化合物、多官能カルボン酸、多官能ビニル化合物、多官能ジアゾニウム塩、多官能アジド化合物、ヒドラジンなどが挙げられる。また、上記架橋剤の反応を促進するために公知の触媒を添加してもよい。これらの架橋剤は単独または2種以上を混合して使用することも可能である。
【0049】
さらには、熱の作用で酸やアミンを発生する化合物と、発生した酸あるいはアミンの作用で硬化する化合物も本発明に使用することができる。このような熱硬化性の化合物の中では、フェノール樹脂と金属キレート化合物の組み合わせが特に好ましい。
【0050】
このような熱硬化性の化合物の感熱層中に占める割合としては、感熱層の全固形分の10〜95重量%、さらには30〜70重量%であることが好ましい。熱硬化性の化合物の量が10重量%以上の場合は、感熱層の熱硬化による画線部感熱層の耐溶剤性の向上効果が見られ、一方、95重量%以下のとすれば、相対的に熱分解性化合物や光熱変換物質が少なくなることによるレーザー照射による画像形成性に問題を生じることもない。
【0051】
その他、感熱層中にはバインダーポリマーや界面活性剤、各種添加剤を含有してもよい。
【0052】
バインダーポリマーの具体例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの単独重合体および共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーの単独重合体および共重合体、イソプレン、スチレン−ブタジエンなどの各種合成ゴム類、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニルなどのビニルエステル類の単独重合体および共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシドなどのポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリアミド類、エチルセルロース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体類、フェノキシ樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂などが挙げられる。
【0053】
これらのバインダーの含有量は、全感熱層組成物に対して5〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。含有量が5重量%以上とすれば耐刷性や塗液の塗工性に問題が生じることもなく、70重量%以下とすれば画像再現性に悪影響もない。
【0054】
感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜10g/m2であると、印刷版の耐刷性や、希釈溶剤を揮散し易く生産性に優れる点で好ましく、1〜5g/m2がより好ましい。
【0055】
さらに、本発明の印刷版原版はインキ反発層を有することが好ましい。インキ反発層としては、ビニルアルコール類などからなる親水性層、アクリル酸やアクリル酸塩、スルホン酸やスルホン酸塩などを含む親水性層、特開平8−282142号公報、特開平8−282144号公報、特開平8−292558号公報、特開平9−54425号公報などで提案されている親水性膨潤層や、シリコーンゴム層、フッ素化合物を含有する層などを用いることが出来るが、好ましくはシリコーンゴム層である。シリコーンゴム層としては、付加重合型のもの、縮合重合型のものいずれでも用いられる。
【0056】
付加重合型のシリコーンゴム層を構成する成分としては、ビニル基含有ポリジメチルシロキサン、SiH基含有ポリシロキサン、さらには硬化速度を制御する目的で反応抑制剤、および硬化触媒を含む。
【0057】
ビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、下記一般式(III)で表される構造を有し、分子末端および/もしくは主鎖中にビニル基を有するものである。
【0058】
【化9】
(式中、nは2以上の整数を示し、R1、R2は炭素数1〜50の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素数2〜50の置換あるいは非置換のアルケニル基、炭素数4〜50の置換あるいは非置換のアリール基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記式中のR1、R2は全体の50%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、分子量としては数千〜数十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られた印刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜20万、さらには3万〜15万のものを用いることが好ましい。
【0059】
SiH基含有ポリシロキサンとしては、分子鎖中、または末端にSiH基を有する、例えば下記一般式(IV)〜(VII)で表されるような化合物を挙げることができる。
【0060】
【化10】
(式中、nは1以上の整数である。)
【0061】
【化11】
(式中、nは1以上の整数である。)
【0062】
【化12】
(式中、nは1以上の整数、mは1以上の整数である。)
【0063】
【化13】
【0064】
SiH基含有ポリシロキサン中におけるSiH基の量としては、1分子中に2個以上、さらには3個以上であることが好ましい。SiH基含有ポリシロキサンの添加量としては、シリコーンゴム層全組成物の3〜20重量%であることが好ましく、5〜15重量%がさらに好ましい。ポリジメチルシロキサンとの量比で言えば、SiH基/ポリジメチルシロキサンのビニル基のモル比が1.5〜30であることが好ましく、10〜2010〜20がさらに好ましい。このモル比が1.5以上であれば、シリコーンゴム層の硬化が不足することもなく、30以下であればゴムの物性がもろくなり、印刷版の耐傷性などに悪影響を与えることがない。
【0065】
反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられるが、アセチレン基含有のアルコールなどが好ましく用いられる。反応抑制剤の好ましい添加量としては、シリコーンゴム組成物中の0.01〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。
【0066】
硬化触媒としては、III族遷移金属化合物、好ましくは、白金化合物であり、具体的には白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキサン錯体などを一例として挙げることができる。このような硬化触媒の量は、シリコーンゴム層中に固形分として0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。添加する触媒量が0.01重量%以上の場合にはシリコーンゴム層の硬化が十分となり、さらに感熱層との接着性に問題を生じることもない。他方、20重量%以下の場合にはシリコーンゴム層溶液のポットライフに悪影響をもたらすこともない。シリコーンゴム層組成物中における白金などの金属の量で言えば、10〜1000ppm、好ましくは100〜500ppmである。
【0067】
また、これらの組成物の他に、縮合型シリコーンゴム層の組成物である水酸基含有オルガノポリシロキサンや加水分解性官能基含有シランもしくはシロキサン、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる目的で公知のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを含有してもよい。シランカップリング剤としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、ケトキシミンシラン類等が好ましく、特にビニル基を有するものや、ケトキシミンシラン類が好ましい。
【0068】
また、縮合重合型のシリコーンゴム層を構成する成分としては、水酸基含有ポリジメチルシロキサン、架橋剤(脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱アミン型、脱アセトン型、脱アミド型、脱アミノキシ型など)、および硬化触媒を含む。
【0069】
水酸基含有ポリジメチルシロキサンも、上記一般式(I)で表される構造を有する。水酸基は分子末端および/もしくは主鎖中に位置することができるが、好ましく用いられるものは分子量末端に水酸基を有するものである。一般式中のR1、R2については、同様に全体の50%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。分子量としては数千〜数十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られた印刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜20万、さらには3万〜15万のものを用いることが好ましい。
【0070】
縮合重合型のシリコーンゴム層で用いられる架橋剤としては、下記一般式(VIII)で表される、アセトキシシラン類、アルコキシシラン類、ケトキシミンシラン類、アリロキシシラン類などを挙げることができる。
(R3)4-nSiXn (VIII)
(式中、nは2〜4の整数を示し、R3は炭素数1以上の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらの組み合わされた基を示す。Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシミン基、アミノオキシ基、アミド基、アルケニルオキシ基から選ばれる官能基を示す。)上記式において、加水分解性基の数nは3または4であることが好ましい。
【0071】
具体的な化合物としては、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ビニルメチルビス(メチルエチルケトキシミン)シラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ジイソプロペノキシジメチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシラン、テトラアリロキシシラン、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、シリコーンゴム層の硬化速度、取扱い性などの観点から、アセトキシシラン類、ケトキシミンシラン類が好ましい。
【0072】
一般式(VIII)で表される架橋剤の添加量としては、シリコーンゴム層全組成物の1.5〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜10重量%である。ポリジメチルシロキサンとの量比で言えば、官能基X/ポリジメチルシロキサンの水酸基のモル比が1.5〜10.0であることが好ましい。このモル比が1.5以上である場合には、シリコーンゴム層溶液のゲル化の心配もなく、逆に10.0以下の場合にはゴムの物性の脆化、印刷版の耐傷性などへの悪影響も生じない。
【0073】
硬化触媒としては、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸などの有機カルボン酸、トルエンスルホン酸、ホウ酸等の酸類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ、アミン、およびチタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどの金属アルコキシド、鉄アセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナートジプロポキシドなどの金属ジケテネート、金属の有機酸塩などを挙げることが出来る。これらの中では、金属の有機酸塩を添加することが好ましく、特に錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マンガンから選ばれる金属の有機酸塩であることが好ましい。このような化合物の具体例の一部としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄などを挙げることが出来る。このような硬化触媒の量は、シリコーンゴム層中に固形分として0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であることが好ましい。添加する触媒量が0.01重量%以上とすればシリコーンゴム層の硬化が不十分となることはなく、さらに感熱層との接着性に問題を生じることもない。他方、20重量%以下とすればシリコーンゴム層溶液のポットライフに悪影響をもたらすこともない。
【0074】
また、これらの組成物の他に、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、さらには公知のシランカップリング剤を含有してもよい。これらシリコーンゴム層の膜厚は0.5〜20g/m2が好ましく、1〜4g/m2がさらに好ましい。膜厚が0.5g/m2以上とすることにより印刷版のインキ反撥性や耐傷性、耐刷性が低下する傾向はなくなり、20g/m2以下とすれば経済的見地から有利であるばかりでなく、現像性、インキマイレージが悪くなるという問題がない。
【0075】
本発明の直描型平版印刷版原版には、インキ反発層を保護する目的で保護フィルムをラミネートするかあるいは保護層を形成してもよい。保護フィルムとしてはポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどが挙げられる。このようにして得られた直描型平版印刷版原版を、保護フィルムを剥離してから、あるいは保護フィルム上からレーザー光で画像状に露光する。
【0076】
かくして得られた、基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有する直描型平版印刷版原版から、レーザー照射の作用で感熱層表面に分解物を生じさせ、同時に、レーザー照射の作用で感熱層内部の硬化を進めることにより直描型平版印刷版を製造することができる。
【0077】
本発明の直描型平版印刷版原版の製版露光工程で用いられるレーザー光源としては、発光波長領域が300nm〜1500nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましく用いられる。具体的には、明室での版材の取扱い性などの観点から、780nm、830nm、1064nmの波長のレーザー光が製版に好ましく用いられる。
【0078】
本発明においては、レーザー照射により感熱層表面に分解物を生じさせ、さらにレーザー照射により感熱層内部の硬化を進める。
レーザー照射後の原版は、水または有機溶剤の存在下もしくは非存在下での摩擦処理により現像がなされる。水または有機溶剤の存在下での摩擦処理は、現像液を含浸した不織布、脱脂綿、布、スポンジ等で版面を拭き取ることによって、あるいは下記の現像液で版面を前処理した後に水道水などをシャワーしながら回転ブラシで擦ることによって行うことができる。
【0079】
現像処理を行う場合に使用される現像液としては、例えば、水や水に界面活性剤を添加したもの、さらには水にアルコールやケトン、エステル、カルボン酸などの極性溶媒を添加したものや、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などの少なくとも1種類からなる溶媒に極性溶媒を少なくとも1種類添加したもの、あるいは極性溶媒が用いられる。また、上記の現像液組成には、公知の界面活性剤を添加することも自由に行われる。さらにアルカリ剤、例えば炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノグリコールアミン、ケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウムなどを添加することもできる。これらの中では、水あるいは水に界面活性剤を添加したものが好ましい。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
【0081】
[実施例1]
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に下記の組成よりなる溶液をスリットダイコーターにより塗布し、200℃、2分間乾燥し、3g/m2のプライマー層を設けた。
<プライマー1>
(a)エポキシ・フェノール樹脂“カンコート”90T−25−3094(関西ペイント(株)製):15重量部
(b)ジメチルホルムアミド:85重量部
【0082】
このプライマー層の上に下記の組成よりなる溶液をスリットダイコーターにより塗布し、130℃×30秒間乾燥し、1g/m2の感熱層を設けた。
<感熱層1>
(a)“KAYASORB”IR−820B(日本化薬(株)製):10重量部
(b)“ナーセムチタン”(日本化学産業(株)製、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)):10重量部
(c)“スミライトレジン”PR50622(フェノール性水酸基含有化合物、フェノールノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):70重量部
(d)“サンプレン”T1331D(ポリウレタン、三洋化成工業(株)製):10重量部(固形分として)
(e)3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(酸の作用で発色する色素、山本化成(株)製):10重量部
(f)テトラヒドロフラン:550重量部
(g)ジメチルホルムアミド:350重量部
【0083】
次いで、下記シリコーンゴム層を乾燥膜厚2.0μm、乾燥条件は120℃×2分間としてスリットダイコーターにより塗設した。
<シリコーンゴム層1>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(分子量約60,000):100重量部
(b)HMS−501(チッソ(株)製、両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体 SiH基数/分子量=0.69mol/g):7重量部
(c)“BY24−808”(東レダウコーニングシリコーン(株)製、反応抑制剤):3重量部
(d)“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製、白金触媒):5重量部
(e)ビニルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン:3重量部
(f)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):1000重量部
【0084】
上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリプロピレンフィルム“トレファン”BO(東レ(株)製)をカレンダーローラーを用いてラミネートし、直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0085】
この後、この印刷版原版を「FX400−AP」(製版機、東レエンジニアリング(株)製)に装着し、半導体レーザー(波長830nm、ビーム直径20μm)を用いて露光時間10μsで照射エネルギー150mJ/cm2で露光を行った。
【0086】
露光後の印刷版は、レーザー照射部の感熱層が薄く褪色しており、良好な焼き出し性を示していた。
【0087】
続いて、東レ(株)製自動現像装置「TWL−650」により現像を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が除去されたネガ型の水なし平版が得られた。
【0088】
現像の際、前処理液としては“NP−1”(東レ(株)製、水なし平版ネガ型用前処理液)を、現像液としては水を用いた。
【0089】
さらに、得られた刷版を枚葉オフセット印刷機「HAMADA RS34L」(ハマダ印刷機械(株)製)に取り付け、水なし平版用インキ“ドライオカラーNSI”、藍、(大日本インキ化学工業(株)製)を使用して上質紙(62.5kg/菊)に印刷したところ、2〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物が得られた。
【0090】
[比較例1]
実施例1における感熱層組成から(e)3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを抜いた以外は全く同様にして印刷版原版を作製したところ、全体的に黒みの少ない印刷版原版が得られた。実施例1と同様にレーザー照射を行ったが、レーザー照射後の版において目視で画像を確認することは出来なかった。
【0091】
しかしながら、実施例1と同様に現像、印刷評価を行ったところ、実施例1と同様に2〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0092】
[実施例2]
実施例1における感熱層組成の(e)3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを(e’)3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフランに代えた以外は全く同様にして印刷版原版を作製した。実施例1と同様にレーザー照射を行ったところ、レーザー照射部が褪色した焼き出し性の良好な印刷版を得ることが出来た。
【0093】
さらに、実施例1と同様に現像、印刷評価を行ったところ、実施例1と同様に2〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0094】
[実施例3]
実施例1における感熱層組成を以下の組成に変更した以外は全く同様にプライマー層、感熱層、シリコーンゴム層を設け、直描型平版印刷版源版を得た。
<感熱層2>
(a)“KAYASORB”IR−820B(日本化薬(株)製):10重量部
(b)“ナーセムチタン”(日本化学産業(株)製、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)):10重量部
(c)“スミライトレジン”PR50622(フェノール性水酸基含有化合物、フェノールノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):70重量部
(d)“サンプレン”T1331D(ポリウレタン、三洋化成工業(株)製):10重量部(固形分として)
(e)3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(酸の作用で発色する色素、山本化成(株)製):5重量部
(f)マレイン酸:1重量部
(g)テトラヒドロフラン:550重量部
(h)ジメチルホルムアミド:350重量部
実施例1と同様にレーザー照射を行ったところ、いずれもレーザー照射部が褪色した焼き出し性の良好な印刷版を得ることが出来た。
【0095】
さらに、実施例1と同様に現像、印刷評価を行ったところ、実施例1と同様に2〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0096】
[実施例4]
実施例3における酸成分(f)マレイン酸1重量部を(f’)パラトルエンスルホン酸0.8重量部とした以外は、実施例3と全く同様に印刷版原版を作製した。
【0097】
実施例1と同様にレーザー照射を行ったところ、レーザー照射部が褪色した焼き出し性の良好な印刷版が得られた。
【0098】
さらに、実施例1と同様に現像、印刷評価を行ったところ、実施例1と同様に2〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0099】
[実施例5]
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に下記の組成よりなる溶液をスリットダイコーターにより塗布し、200℃、2分間乾燥し、3g/m2のプライマー層を設けた。
<プライマー1>
(a)エポキシ・フェノール樹脂“カンコート”90T−25−3094(関西ペイント(株)製):15重量部
(b)ジメチルホルムアミド:85重量部
【0100】
このプライマー層の上に下記の組成よりなる溶液をスリットダイコーターにより塗布し、130℃×30秒間乾燥し、1g/m2の感熱層を設けた。
<感熱層1>
(a)“KAYASORB”IR−820B(日本化薬(株)製):10重量部
(b)“ナーセムチタン”(日本化学産業(株)製、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)):10重量部
(c)“スミライトレジン”PR50622(フェノールノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):70重量部
(d)“サンプレン”T1331D(ポリウレタン、三洋化成工業(株)製):10重量部(固形分として)
(e)化合物S−1:5重量部
(f)テトラヒドロフラン:550重量部
(g)ジメチルホルムアミド:350重量部
【0101】
次いで、下記シリコーンゴム層を乾燥膜厚2.0μm、乾燥条件は120℃×2分間としてスリットダイコーターにより塗設した。
<シリコーンゴム層1>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(分子量約60,000):100重量部
(b)HMS−501(チッソ(株)製 両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体 SiH基数/分子量=0.69mol/g):7重量部
(c)“BY24−808”(東レダウコーニングシリコーン(株)製、反応抑制剤):3重量部
(d)“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製、白金触媒):5重量部
(e)ビニルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン:3重量部
(f)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):1000重量部
【0102】
上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリプロピレンフィルム“トレファン”BO(東レ(株)製)をカレンダーローラーを用いてラミネートし、直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0103】
この後、この印刷版原版を「FX400−AP」(製版機、東レエンジニアリング(株)製)に装着し、半導体レーザー(波長830nm、ビーム直径20μm)を用いて露光時間10μsで照射エネルギー150mJ/cm2で露光を行った。
【0104】
露光後の印刷版は、レーザー照射部の感熱層が薄く褪色しており、良好な焼き出し性を示していた。
【0105】
続いて、東レ(株)製自動現像装置「TWL−650」により現像を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が除去されたネガ型の水なし平版が得られた。
【0106】
現像の際、前処理液としては“NP−1”(東レ(株)製、水なし平版ネガ型用前処理液)を、現像液としては水を用いた。
【0107】
さらに、得られた刷版を枚葉オフセット印刷機「HAMADA RS34L」(ハマダ印刷機械(株)製)に取り付け、水なし平版用インキ“ドライオカラーNSI”、藍、(大日本インキ化学工業(株)製)を使用して上質紙(62.5kg/菊)に印刷したところ、1〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物が得られた。
【0108】
[比較例2]
実施例5における感熱層組成から(e)化合物S−1を抜いた以外は全く同様にして印刷版原版を作製したところ、全体的に黒みの少ない印刷版原版が得られた。実施例5と同様にレーザー照射を行ったが、レーザー照射後の版において目視で画像を確認することは出来なかった。
【0109】
しかしながら、実施例5と同様に現像、印刷評価を行ったところ、実施例5と同様に1〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0110】
[実施例6〜8]
実施例5における感熱層組成の(e)化合物S−1を表2に示す化合物に代えた以外は全く同様にして印刷版原版を作製した。実施例5と同様にレーザー照射を行ったところ、レーザー照射部が褪色した焼き出し性の良好な印刷版を得ることが出来た。
【0111】
さらに、実施例5と同様に現像、印刷評価を行ったところ、実施例5と同様に1〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
[実施例9]
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板(神戸製鋼所(株)製)上に下記の組成よりなる溶液をスリットダイコーターにより塗布し、150℃×80秒間乾燥し、1.5g/m2の感熱層を設けた。
<感熱層2>
(a)“PROJET”825LDI((株)Avecia製):11重量部
(b)“ナーセムチタン”(日本化学産業(株)製、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)のアセチルアセトン溶液):9重量部(固形分濃度40重量%として計算。固形分として9重量部)
(c)“スミライトレジン”PR50622(フェノールノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):60重量部
(d)“サンプレン”T1331D(ポリウレタン、三洋化成工業(株)製):10重量部(固形分として10重量部)
(e)“クリスタルバイオレットラクトン”(3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、酸の作用で発色する色素、山本化成(株)製):2重量部
(f)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=1/3/1モル比付加物:10重量部
(g)テトラヒドロフラン:700重量部
(h)ジメチルホルムアミド:100重量部
(i)エタノール:100重量部
【0115】
次いで、下記シリコーンゴム層を乾燥膜厚2.0μm、乾燥条件は125℃×2分間としてスリットダイコーターにより塗設した。
<シリコーンゴム層2>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(分子量約60,000):100重量部
(b)“HMS−501”(チッソ(株)製 両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体 SiH基数/分子量=0.69mol/g):7重量部
(c)ビニルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン:3重量部
(d)“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製、白金触媒):5重量部
(e)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):1000重量部
【0116】
上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリプロピレンフィルム“トレファン”BO(東レ(株)製)をカレンダーローラーを用いてラミネートし、全体的に黄緑色の直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0117】
上記のようにして得られた直描型水なし平版印刷版原版を、「GX−3600」(製版機、東レ(株)製)に装着し、半導体レーザー(波長830nm)を用いてレーザー照射を行った(照射エネルギー125mJ/cm2、2400dpi(dots per inch)、175lpi(lines per inch))。
【0118】
露光後の印刷版は、レーザー照射部の感熱層の青色が褪色し、黄色を呈しており、レーザー非照射部とのコントラストが良好であり、良好な焼き出し性を示していた。
【0119】
続いて、実施例1と同様、東レ(株)製自動現像装置「TWL−650」により現像を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が除去されたネガ型の水なし平版が得られた。
【0120】
現像の際、前処理液としては“NP−1”(東レ(株)製、水なし平版ネガ型用前処理液)を、現像液としては水を用いた。
【0121】
さらに、得られた刷版を枚葉オフセット印刷機「HAMADA RS34L」(ハマダ印刷機械(株)製)に取り付け、水なし平版用インキ“ドライオカラーNSI”、藍、(大日本インキ化学工業(株)製)を使用して上質紙(62.5kg/菊)に印刷したところ、1〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物が得られた。
【0122】
[比較例3]
実施例9における感熱層組成から(e)“クリスタルバイオレットラクトン”を抜いた以外は全く同様にして印刷版原版を作製したところ、全体的に黄色の印刷版原版が得られた。実施例9と同様にレーザー照射を行ったが、レーザー照射後の版において目視で画像を確認することは全く出来なかった。
【0123】
しかしながら、実施例9と同様に現像、印刷評価を行ったところ、実施例9と同様に1〜99%まで画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、焼き出し性の良好なネガ型の直描型水なし平版印刷版が得られる。
Claims (6)
- 基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版であって、該感熱層が少なくとも酸の作用で発色する色素と酸とを混合してなる組成物からなり、かつ少なくとも金属キレート化合物を有することを特徴とする直描型水なし平版印刷版原版。
- 前記酸の作用で発色する色素がロイコ色素であることを特徴とする請求項1記載の直描型水なし平版印刷版原版。
- 前記酸がフェノール性水酸基含有化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直描型水なし平版印刷版原版。
- インキ反発層がシリコーンゴム層であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の直描型水なし平版印刷版原版。
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