JP4352442B2 - 車両用制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用制御装置に関し、例えば代表的な車両である自動車に搭載して好適な制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、代表的な車両である自動車においては、ドライバに報知したい所定の状態が発生したときに、そのことを警報する装置が提案されており、このような警報装置の一例として、例えば特開平11−34774号には、走行車線からの逸脱をドライバに未然に報知すべく、自動車のステアリング機構に設けたアクチュエータによって当該ステアリング機構を振動させ、これによって発生するステアリングホイールの振動により、ドライバに危険を報知する警報装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の警報装置によれば、危険を察知したドライバは、逸脱方向(自車両の進行方向が走行車線を基準としてなす方向)とは反対方向の回避動作を迅速に行うことができる。
【0004】
しかしながら、ドライバの運転特性は様々であるため、同じ程度の回避動作が必要な状況が発生した場合であっても、ドライバによっては過剰に反応してしまい、必要以上に操舵を行い、却って危険な状態を招くことも想定される。
【0005】
また、ドライバによっては、警報の発報によって気が動転してしまい、危険回避のために必要な操舵方向とは反対方向の誤操舵を行い、却って危険な状態を招くことも想定される。
【0006】
そこで本発明は、ステアリング機構を振動させることによって警報を行う際のドライバの過剰な操舵及び本来必要な操舵方向とは反対方向の誤操舵を防止する車両用制御装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置は、以下の構成を特徴とする。
【0008】
即ち、車両の走行車線に対するずれ量に関する値を検出するずれ量検出手段と、前記ずれ量検出手段による検出結果に応じて、前記走行車線に対するずれ量またはずれ量の予測値が所定値より大きくなったときに、その旨をドライバに対してステアリング機構を振動させることによって警報する警報手段と、前記警報手段による警報開始から所定時間が経過するまでの期間にわたって、ステアリング操作の速度が大きいほど、そのステアリング操作がドライバにとって重くなるように、該ステアリング操作に対する操舵反力を制御する操舵制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
或いは、上記の同目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置は、以下の構成を特徴とする。
【0010】
即ち、車両の走行車線に対するずれ量に関する値を検出するずれ量検出手段と、前記ずれ量検出手段による検出結果に応じて、前記走行車線に対するずれ量またはずれ量の予測値が所定値より大きくなったときに、その旨をドライバに対してステアリング機構を振動させることによって警報する警報手段と、前記警報手段による警報開始から所定時間が経過するまで期間に所定角度より大きな操舵が行われたときには、ステアリング操作の速度が大きいほど、そのステアリング操作がドライバにとって重くなるように、該ステアリング操作に対する操舵反力を制御する操舵制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
好適な実施形態において、上記の各車両用制御装置は、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を更に備え、
前記操舵制御手段は、
・前記走行状態検出手段によって検出された走行状態に応じて、
・前記走行状態検出手段によって検出された車速または加速度が大きいほど、
・前記走行状態検出手段によって検出された道路摩擦係数が小さいほど、
ドライバによるステアリング操作に対する操舵反力の大きさを変更すると良い。
【0012】
また、例えば前記操舵制御手段は、前記ずれ量検出手段によって検出された逸脱進入角度が小さいほど、前記操舵反力を大きな値に変更すると良い。
【0013】
【発明の効果】
上記の本発明によれば、ステアリング機構を振動させることによって警報を行う際のドライバの過剰な操舵及び本来必要な操舵方向とは反対方向の誤操舵を防止する車両用制御装置の提供が実現する。
【0014】
即ち、請求項1、請求項2の発明によれば、警報が開始されてから所定時間が経過するまでは、ステアリング操作の速度が大きいほどハンドル操作が重くなるように操舵反力が制御されるので、ドライバによる過剰な操舵及び誤操舵を抑制することができ、危険な走行状態を招くことを防止することができる。
【0015】
また、高速走行時や高加速時(請求項4)、道路摩擦係数が低い場合(請求項5)、車線幅が狭い場合(請求項6)、車線逸脱進入角度が小さい場合(請求項7)には、ドライバによる僅かな過剰操舵または誤操舵(逸脱回避のために必要な方向の操舵とは反対方向の操舵)によっても危険性が高い走行状態に陥る可能性が高いが、請求項3の発明によれば、係る状況のときには、ハンドル操作が重くなってドライバが過剰な操舵を行うことが防止されるので、危険な走行状態を招くことを防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用制御装置を、代表的な車両である自動車に適用した実施形態として、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る車両用制御装置を搭載した自動車の全体構成を示す図である。
【0018】
同図において、2は、自車両(車両100)の前方を撮影するCCD(Charge Coupled Device)カメラである。3は、自車速Vを検出する車速センサである。4は、ドライバによるステアリングホイールの操舵角度を検出する操舵角センサである。5は、車両100の加速度を検出する加速度センサである。6は、車両100の4つの車輪の回転速度を個別に検出する車輪速センサである。7は、各種情報を音声によって乗員に報知するスピーカである。そして、8は、ステアリングホイールを振動させるステアリングアクチュエータである。
【0019】
そして、制御ユニット1は、上記のセンサの検出結果に基づいて、後述する如くステアリングアクチュエータ8を駆動することにより、ドライバに対する警報(所謂タクタイル警報)の一態様として、車両100のステアリング機構に振動を発生させる。
【0020】
尚、図1に示した各ブロックの構成自体は現在では一般的であるため、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0021】
次に、図1に示す各センサの検出結果を利用して制御ユニット1が行う制御処理について、図2を参照して説明する。
【0022】
図2は、本実施形態に係る車両用制御装置の制御ユニットにて行われる制御処理を説明するブロック図であり、制御ユニット1に設けられた不図示のマイクロコンピュータが、予め格納された制御プログラムを実行することによって実現する機能を概説する図である。
【0023】
同図において、まず、車速センサ3によって検出した自車速に基づく前方注視距離Lを算出すると共に、CCDカメラ2による撮影画像に基づいて現在走行中の車線の区分線(例えば白線)を一般的な画像処理によって検出し、その検出した区分線に基づいて算出した現在の目標軌跡(例えば、走行中の車線中央を結ぶ軌跡)TRに対する自車両の横位置偏差(即ち、コースずれ)dy0、逸脱進入角度、車線幅を検出する。ここで、逸脱進入角度とは、自車両の進行方向と、走行車線とがなす角度である。
【0024】
そして、目標軌跡TR、横位置偏差dy0、逸脱進入角度に基づいて、前方注視距離Lにおける横位置偏差の予測値(将来横偏差)dy1を算出する。
【0025】
尚、これらの値の求め方自体は現在では一般的であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
そして、ステアリングアクチュエータ8を駆動することによる車線逸脱警報(タクタイル警報)は、算出した将来横偏差dy1が、車線逸脱判定のための基準所定値Dより大きくなったとき(即ち、dy1>Dが成立したとき)に行う。
【0027】
また、過剰操舵抑制制御は、上記の如く車線逸脱警報が行われているときに、所定の条件(詳細は後述する)が成立したときには、ステアリング操作が重くなるようにステアリングアクチュエータ8によって操舵反力を調整することにより、所定時間にわたってドライバの過剰操舵を抑制する。
【0028】
次に、上述した動作を実現する制御ユニット1の制御処理の手順について図3を参照して説明する。
【0029】
図3は、本実施形態における制御ユニット1の制御処理のフローチャートであり、制御ユニット1の不図示のCPUが行う処理の手順を示す。
【0030】
同図において、ステップS1:図1を参照して説明した各センサの検出値を更新する。
【0031】
ステップS2,ステップS3:ステップS1にて入力された各センサの検出結果に基づいて、一般的な手順により、将来横偏差dy1を算出し(ステップS2)、算出した将来横偏差dy1の絶対値が逸脱判定の所定の基準値Dより大きいかを判断する(ステップS3)。この判断で|dy1|>DのときにはステップS4に進み、|dy1|≦Dのときには車線逸脱は起きていない、或いは起きないであろうと想定されるので、ステップS1にリターンする。
【0032】
ステップS4,ステップS5:ステアリングホイールが振動を起こすように、ステアリングアクチュエータ8の制御を行うことにより、所謂タクタイル警報を行う(ステップS4)と共に(スピーカ7による警報音の発報も行うと良い)、警報を開始してから所定時間が経過したかを判断し(ステップS5)、この判断で所定時間が経過していないときにはステップS6に進み、所定時間が経過したときにはステップS1にリターンする。
【0033】
ステップS6:操舵角センサ4によって検出された操舵角の絶対値が、過剰操舵抑制制御を行うか否かの判定基準値A以上であるかを判断し、ドライバが逸脱回避のために操作すべき操舵角(警報発生後の操舵角の変化量)の絶対値が判定基準値A以上であるときには、ドライバの過剰な操舵を防止するためにステアリング操作が重くなるように操舵反力を調整する必要が有るのでステップS7に進み、そうでないときにはステップS1にリターンする。
【0034】
ステップS7:車速センサ3によって検出された自車速、加速度センサ5によって検出された加速度に応じて、過剰操舵抑制制御の制御ゲインKを比例補正する。これにより、検出された自車速または加速度が大きいほど、制御ゲインKとして大きな値が設定される。
【0035】
ステップS8:4つの車輪速センサ4によりそれぞれ検出された車輪の回転速度の差分に基づいて、一般的な手順により路面摩擦計数μを算出すると共に、算出した路面摩擦計数μに応じて、過剰操舵抑制制御の制御ゲインKを反比例補正する。これにより、算出した路面摩擦計数μが小さいほど、制御ゲインKとして大きな値が設定される。
【0036】
ステップS9:CCDカメラ2による撮影画像に基づいて一般的な画像処理によって算出した走行車線の幅(即ち、走行中の車線を区画する白線等の車幅方向の間隔)に応じて、過剰操舵抑制制御の制御ゲインKを反比例補正する。これにより、算出した車線幅が小さいほど、制御ゲインKとして大きな値が設定される。
【0037】
ステップS10:CCDカメラ2による撮影画像に基づいて一般的な画像処理によって算出した逸脱進入角度に応じて、過剰操舵抑制制御の制御ゲインKを反比例補正する。これにより、算出した逸脱進入角度が小さいほど、制御ゲインKとして大きな値が設定される。
【0038】
ステップS11:ステップS7乃至ステップS10にて補正された制御ゲインKに基づいて、過剰操舵抑制制御を実行する。即ち、ドライバのステアリング操作に対する操舵反力を制御することによってステアリング操作を重い状態に調整し、ステップS1にリターンする。このとき、ステアリングアクチュエータ8に設定すべきトルクTは、T=θ’×Kであり、θ’は、ドライバによるステアリングホイールの操舵角速度であり、操舵角センサ3によって検出した操舵角の微分値(dθ/dt)である。
【0039】
上述した本実施形態によれば、ドライバによる僅かな過剰操舵または誤操舵(逸脱回避のために本来必要な方向の操舵とは反対方向の誤った操舵)によっても危険性が高い走行状態に陥る可能性が高い高速走行時や高加速時、道路摩擦係数μが低い場合、車線幅が狭い場合、車線逸脱進入角度が小さい場合には、タクタイル警報が開始されてから所定時間にわたってハンドル操作が重くなってドライバによる過剰な操舵及び誤操舵が防止されるので、危険な走行状態を招くことを未然に防止することができる。
【0040】
[関連技術]
次に、上述した実施形態に係る車両用制御装置に適用して好適な関連技術について説明する。以下の説明においては、上記の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0041】
図4は、本実施形態の第1の関連技術に係る車両用警報装置の制御処理を示すフローチャートであり、ステップS21乃至ステップS23では、図3のフローチャートのステップS1乃至ステップS3と同様に車線逸脱を判定する。
【0042】
ステップS24:CCDカメラ2による撮影画像に基づいて一般的な画像処理によって算出した逸脱進入角度の絶対値が、基準値B以下であるかを判断する。ここで、基準値Bは、ステアリングアクチュエータ8によってステアリングホイールを振動させるタクタイル警報、或いはスピーカ7から警報音を発生させるかを判定するためのしきい値である。
【0043】
ステップS25:ステップS24の判断で逸脱進入角度の絶対値が基準値Bより大きいときには、ステアリングアクチュエータ8によるタクタイル警報を行い、ステップS256に進む。
【0044】
ステップS26:ステップS24の判断で逸脱進入角度の絶対値が基準値B以下のとき、またはステップS25にてタクタイル警報の出力を行ったときには、本ステップにおいて、スピーカ7による所定の警報音(またはガイダンス)の発報を行い、リターンする。
【0045】
このような車両用警報装置によれば、逸脱進入角度が基準値Bより小さい緊急度が比較的低い場合には、タクタイル警報ではなく警報音による報知が行われるので、ドライバへの状態報知を多段階にできると共に、ドライバの過剰反応を防止することができる。
【0046】
図5は、本実施形態の第2の関連技術に係る車両用警報装置の制御処理を示すフローチャートであり、ステップS31乃至ステップS33では、図3のフローチャートのステップS1乃至ステップS3と同様に車線逸脱を判定する。
【0047】
ステップS34:スピーカ7による所定の警報音(またはガイダンス)の発報を行う。
【0048】
ステップS35:CCDカメラ2による撮影画像に基づいて一般的な画像処理によって算出した逸脱進入角度に応じて、タクタイル警報制御の制御ゲインKを比例補正する。これにより、算出した逸脱進入角度が大きいほど、制御ゲインGとして大きな値が設定される。ここで、制御ゲインGは、ステアリングアクチュエータ8によって発生させる振動のトルクパルスのトルク量(トルクの大きさ)を定める値であり、制御ゲインGが大きいほど、設定すべきトルク量は大きくなる。
【0049】
ステップS36:補正された制御ゲインGに基づいて、タクタイル警報を実行し、リターンする。
【0050】
このような車両用警報装置によれば、逸脱進入角度が小さく緊急度が比較的低い場合には、逸脱進入角度が大きな場合と比較してタクタイル警報の振動トルクが小さくなるので、ドライバの過剰反応を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る車両用制御装置を搭載した自動車の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る車両用制御装置の制御ユニットにて行われる制御処理を説明するブロック図である。
【図3】本実施形態における制御ユニット1の制御処理のフローチャートである。
【図4】本実施形態の第1の関連技術に係る車両用警報装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の第2の関連技術に係る車両用警報装置の制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:制御ユニット,
2:CCDカメラ,
3:車速センサ,
4:操舵角センサ,
5:加速度センサ,
6:車輪速センサ,
7:スピーカ,
8:ステアリングアクチュエータ,
100:車両,

Claims (7)

  1. 車両の走行車線に対するずれ量に関する値を検出するずれ量検出手段と、
    前記ずれ量検出手段による検出結果に応じて、前記走行車線に対するずれ量またはずれ量の予測値が所定値より大きくなったときに、その旨をドライバに対してステアリング機構を振動させることによって警報する警報手段と、
    前記警報手段による警報開始から所定時間が経過するまでの期間にわたって、ステアリング操作の速度が大きいほど、そのステアリング操作がドライバにとって重くなるように、該ステアリング操作に対する操舵反力を制御する操舵制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用制御装置。
  2. 車両の走行車線に対するずれ量に関する値を検出するずれ量検出手段と、
    前記ずれ量検出手段による検出結果に応じて、前記走行車線に対するずれ量またはずれ量の予測値が所定値より大きくなったときに、その旨をドライバに対してステアリング機構を振動させることによって警報する警報手段と、
    前記警報手段による警報開始から所定時間が経過するまで期間に所定角度より大きな操舵が行われたときには、ステアリング操作の速度が大きいほど、そのステアリング操作がドライバにとって重くなるように、該ステアリング操作に対する操舵反力を制御する操舵制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用制御装置。
  3. 更に、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を備え、
    前記操舵制御手段は、前記走行状態検出手段によって検出された走行状態に応じて、ドライバによるステアリング操作に対する操舵反力の大きさを変更する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用制御装置。
  4. 前記操舵制御手段は、前記走行状態検出手段によって検出された車速または加速度が大きいほど、前記操舵反力を大きな値に変更する
    ことを特徴とする請求項3記載の車両用制御装置。
  5. 前記操舵制御手段は、前記走行状態検出手段によって検出された道路摩擦係数が小さいほど、前記操舵反力を大きな値に変更する
    ことを特徴とする請求項3記載の車両用制御装置。
  6. 前記操舵制御手段は、前記走行状態検出手段によって検出された車線幅が狭いほど、前記操舵反力を大きな値に変更する
    ことを特徴とする請求項3記載の車両用制御装置。
  7. 前記操舵制御手段は、前記ずれ量検出手段によって検出された逸脱進入角度が小さいほど、前記操舵反力を大きな値に変更する
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用制御装置。
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