JP4350845B2 - スピン処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は回転駆動される基板に処理液を噴射して処理するスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、半導体装置や液晶表示装置の製造過程においては、基板としての半導体ウエハやガラス基板に回路パタ−ンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記基板に対して成膜処理と洗浄処理とが繰り返し行われる。
【0003】
上記基板の洗浄処理及び洗浄後の乾燥処理を行うためにはスピン処理装置が用いられる。このスピン処理装置はカップ体を有し、このカップ体内には回転駆動される回転体が設けられている。この回転体には基板を支持する支持ピン及び基板の外周面に係合する係合ピンからなる保持部が設けられ、この保持部には基板が着脱可能に保持される。
【0004】
上記保持部に保持された基板には、回路パターンが形成される表面に向けて上部用の処理液ノズルから処理液が噴射される。また、基板は表面だけでなく、裏面の清浄度が要求されることもあるので、そのような場合には基板の裏面に向けて処理液を噴射する下部用の処理液ノズルが配置される。
【0005】
上記基板の裏面側に下部用の処理液ノズルを配置する場合、上記カップ体内にノズルヘッドを設け、このノズルヘッドに下部用の処理液ノズルや基板の裏面を洗浄処理した後に乾燥処理するための気体を噴射する気体ノズル等を設けるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、下部用の処理液ノズルからは基板の裏面の中心部分から周辺部に向けて処理液を直線状に噴射していた。直線状に噴射された処理液は、基板の裏面に沿って勢いよく流れる。そのため、基板の周辺部に流れた処理液は、基板の周辺部を支持した保持部の支持ピンや係合ピンに衝突して飛散するということがある。
【0007】
支持部保持部で飛散した処理液のうち、基板の下方に向かって飛散する処理液はカップ体に接続された排出管へ排出されるため、ほとんど問題とならならいが、基板の上方に向かって飛散する処理液はカップ体内で浮遊して基板の表面に付着したり、処理液が薬液の場合にはカップ体に付着して乾燥析出し、パーティクルとなって基板に付着するということもある。
【0008】
さらに、基板の裏面に沿って勢いよく流れる処理液は、保持部以外の箇所で基板の周縁から表面(上面)に回り込み、基板上方に向かって飛散するということが確認されており、そのことによっても基板の表面を汚染するということがある。
【0009】
この発明は、基板の裏面に沿って流れる処理液が基板を保持した保持部に衝突して基板の上方へ飛散するのを防止できるようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、回転駆動される矩形状の基板の裏面に処理液を噴射して処理するスピン処理装置において、
カップ体と、
このカップ体内に設けられて回転駆動される回転体と、
この回転体に設けられ上記基板の角部の下面を支持する支持ピン及び上記基板の角部の側縁に係合する一対の係合ピンからなる保持部と、
上記回転体に保持された基板の裏面に対向して配置されこの基板の裏面に処理液を噴射するノズル体と、
上記回転体の上記保持部が設けられた箇所に設けられ上記係合ピンよりも背の高い取付ピンの上端に上記係合ピンの上端を覆うように設けられているとともに、上記基板を上記回転体に着脱する際、基板と干渉することのない形状に形成された遮蔽体と
を具備したことを特徴とするスピン処理装置にある。
【0018】
この発明によれば、基板を保持した保持部を遮蔽体によって覆うようにしたことで、保持部に処理液が衝突したとしても、その処理液が基板の上方へ飛散するのを防止できる。
【0019】
また、回転体に対して基板を着脱する際、遮蔽体が基板に干渉しないため、基板を着脱する際、遮蔽体が邪魔になるようなことがない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1はたとえば液晶用のガラス製の基板Wを処理するスピン処理装置を示し、このスピン処理装置はカップ体1を備えている。このカップ体1は、上面が開放した有底状の下カップ1aと、この下カップ1aの上端に着脱自在に保持された上カップ1bと、この上カップ1bの内面側にねじ2によって着脱自在に取付けられた中カップ1cとからなる。
【0024】
上記下カップ1aの底部中心部には通孔3が形成されている。この通孔3には中空状の回転軸4が挿通されている。この回転軸4の上記カップ体1内に突出した上端は回転体5に取付けられている。この回転体5は、図2に示すように円盤状の基部6を有し、この基部6には周方向に90度間隔で4本のアーム7の基端部が連結固定されている。
【0025】
各アーム7の先端部はL字状に屈曲され、その屈曲部分の上面には上記基板Wの角部を保持する保持部8が設けられている。この保持部8は、基板Wの角部の下面を支持する支持ピン9と、基板Wの角部の側縁に係合する支持ピン9よりも背の高い一対の係合ピン11とからなる。したがって、基板Wは各アーム7に形成された保持部8によって回転体5に着脱可能に支持されることになる。
【0026】
なお、上記基部6には、基板Wの中心部分の下面を支持する4本の支持ピン12が設けられ、これら支持ピン12によって回転体5に保持された基板Wが撓むのを防止している。
【0027】
上記カップ体1の下カップ1aの底部には複数の排出管13が周方向に所定間隔で接続されている。これら排出管13は図示しない吸引ポンプに接続されている。したがって、カップ体1の上方から下方に向かうクリーンルーム内の清浄空気(ダウンフロー)がカップ体1内を通って円滑に排出されるとともに、後述するように基板Wを処理するためにカップ体1内に噴射された処理液が排出されるようになっている。
【0028】
上記下カップ1aに形成された通孔3はカバー部材14によって覆われている。このカバー部材14は上記通孔3へカップ体1内で噴射された気体や液体が流入するのを阻止している。
【0029】
上記回転軸4の下端は駆動モータ16の回転子16aに連結固定されている。この回転子16aは中空状をなしていて、同じく中空状の固定子16bの内部に回転自在に挿通されている。この固定子16bの上端は取付板17に取付けられ、下端面には回転子6aを回転自在な状態で上記固定子16b内部から落下しないよう回転自在に支持する中空状のホルダ18が設けられている。
【0030】
上記回転軸4と回転子16aとの内部には挿通管21が挿通されている。この挿通管21の上端は上記回転体5の基部6に形成された通孔22から回転体5の上面側に突出し、その突出端にはノズルヘッド23が設けられている。
【0031】
上記ノズルヘッド23の周辺部には、図2に示すように一対の純水ノズル24と一対の薬液ノズル25とがそれぞれ周方向に180度間隔で設けられ、さらにノズルヘッド23の中心部にはガスノズル26が設けられている。
【0032】
各ノズル24,25,26にはそれぞれチューブ27の一端が接続されている。各チューブ27は上記挿通管21に挿通され、他端は上記ホルダ17を通されて外部に導出されている。そして、上記純水ノズル24に接続されたチューブ27は純水の供給源に接続され、薬液ノズル25に接続されたチューブ27は薬液の供給源に接続され、ガスノズル26に接続されたチューブ27はたとえば窒素などの気体の供給源に接続されている。
【0033】
一対の純水ノズル24と薬液ノズル25のうちの一方は、上記回転体5に保持された基板Wの裏面中心部に向けて純水及び薬液を直線状に噴射するようになっており、他方は周辺部に向けて純水及び薬液を扇状に噴射するようになっている。
【0034】
純水及び薬液を扇状に噴射するためのノズル24,25の構造は、図3(a),(b)に示すようにノズル本体31に形成されたノズル孔32が断面形状が扇状をなした凹部33の下面33aに開口している。したがって、上記ノズル孔32から凹部33に流出した純水及び薬液は、凹部33の扇状の上面33bに沿って噴射するから、図2に鎖線で示すように扇状の噴射形状34となる。
【0035】
図4と図5に示すように、基板Wを保持した保持部8の上方の箇所、つまり回転体5の各アーム7の係合ピン11が設けられた先端部には上記係合ピン11よりも背の高い一対の取付ピン35が立設され、これら取付ピン35の上端には平板状の遮蔽体36が取付けられている。
【0036】
上記遮蔽体36は回転体5に対して基板Wを着脱する際、この基板Wと干渉しない形状となっている。つまり、遮蔽体36は一対の係合ピン11の上端側を覆うものの、基板Wの角部を露出させる角型状の切り欠き部37が形成されている。
【0037】
したがって、回転体5に基板Wを着脱する際、基板Wを上下方向に動かしても、その基板Wの角部が遮蔽体36と干渉することがないようになっている。つまり、遮蔽体36は、基板Wを着脱する際に、邪魔になることのない形状となっている。
【0038】
このような構成のスピン処理装置において、基板Wをスピン処理する場合、基板Wを保持した回転体5を回転駆動したならば、一対の薬液ノズル25からたとえばフッ酸などの薬液を基板Wに向けて噴射する。
【0039】
一対の薬液ノズル25の一方は基板Wの裏面中心部に向けて薬液を直線状に噴射し、他方は基板Wの周辺部に向けて扇状に噴射する。一方の薬液ノズル25から基板Wの裏面中心部に向けて直線状に噴射された薬液は周辺部に到達する前に勢いが弱まってほとんどが基板Wの裏面から滴下する。他方の薬液ノズル25からは薬液が基板Wの周辺部に向けて扇状に噴射されるから、基板Wの裏面全体に広く行き渡るものの、扇状に広がることで、基板Wの周縁から外方へ勢いよく流出するということがほとんどない。
【0040】
そのため、基板Wを保持した保持部8の係合ピン11に勢いよく衝突して基板Wの表面方向(上方)に飛散するということもないから、カップ体1内で浮遊して基板Wに付着し、その表面を汚染したり、カップ体1に付着して乾燥析出し、パーティクルとなって基板Wに付着するなどのことが防止される。
【0041】
しかも、基板Wの周縁部に到達する薬液の勢いが弱いと、その薬液が基板Wの周縁から表面へ回り込み、基板Wの上方に向かって飛散するということもないから、そのことによっても基板Wの表面が汚染されるのを防止することができる。
【0042】
仮に、基板Wの裏面に噴射された薬液が係合ピン11に勢いよく衝突したり、衝突の勢いは弱いものの上方に向かって飛散しようとしても、上記係合ピン11の上方、つまり基板Wの角部を保持した保持部8の上方は遮蔽体36によって覆われている。そのため、基板Wの角部から薬液が上方に向かって飛散するのを確実に防止できるから、そのことによっても基板Wの表面が汚染されることがない。
【0043】
基板Wの裏面を薬液によって処理したなら、ついで一対の純水ノズル24から純水を基板Wの中心部と周辺部に向けて噴射する。
【0044】
純水の場合も、基板Wの中心部に噴射される純水は直線状であるが、周辺部に噴射される純水は扇状であるから、薬液の場合と同様、基板Wの上方に向かって飛散したり、周縁から表面へ回り込むのが防止される。
【0045】
しかも、たとえ保持部8で衝突して上方向へ飛散しようとしても、保持部8を覆う遮蔽体36によって上方への飛散が阻止されるから、薬液の場合と同様、上方への飛散が確実に防止されることになる。
【0046】
基板Wの裏面を純水によって洗浄する、リンス処理が終了したならば、ガスノズル26から気体を噴射することで、この基板Wの裏面を乾燥処理することができる。
【0047】
上記遮蔽体36には切り欠き部37が形成され、この切り欠き部37によって基板Wを回転体5に着脱する際、基板Wと干渉することがない形状とした。
【0048】
そのため、基板Wの着脱に際して遮蔽体36が邪魔になることがないから、遮蔽体36がない場合と同様、基板Wの着脱を容易かつ迅速に行うことが可能となる。
【0049】
上記遮蔽体36は保持部8の上方の部分だけを覆っているため、カップ体1内における占有面積がわずかである。そのため、カップ体1の上方から下方に向かう清浄空気の流れである、クリーンルーム内におけるダウンフローを上記遮蔽体36が阻止することがないから、その流れによってカップ体1内を浮遊するミストやパーティクルをカップ体1の底部に設けられた排出管13を通じて良好に排出することができる。
【0050】
上記一実施の形態では遮蔽体36に切り欠き部37を形成することで、基板Wを着脱する際に、この基板Wと干渉しない形状としたが、図6と図7に示す第2の実施の形態の構造であっても、基板Wを回転体5に着脱する際、基板Wと干渉するのを防止することができる。
【0051】
すなわち、この実施の形態は回転体5の保持部8の上方を覆う4つの遮蔽体36Aを有する。各遮蔽体36Aは矩形状をなしていて、十字状をなしたアーム41の先端部にそれぞれ取付けられている。
【0052】
上記アーム41の中心部には棒材をほぼ逆U字状に曲成した連結杆42の一端が連結固定されている。この連結杆42の他端はカップ体1の外部に設けられた回転駆動源43に連結されている。この回転駆動源43は上記アーム41を回転駆動する。
【0053】
この回転駆動源43はリニアガイド44によって上下方向に移動可能に設けられている。このリニアガイド44の下端部には上記回転駆動源43をリニアガイド44に沿って上下駆動する、上下駆動源45が設けられている。したがって、上記連結杆42は回転方向及び上下方向に駆動されるようになっている。
【0054】
上記アーム41を下降させると、アーム41の先端部に設けられた遮蔽体36Aが基板Wの角部上方を遮蔽する。したがって、遮蔽体36Aは基板Wをスピン処理する際、基板Wを保持した保持部8に衝突した処理液が上方に舞い上がるのを阻止することができる。
【0055】
回転体5に基板Wを着脱する際には、上記アーム41を上昇させて回転し、カップ体1の外部に退避させる。それによって、回転体5の保持部8に対して基板を着脱する際、上記アーム41やアーム41の先端部に設けられた遮蔽体36Aが基板Wと干渉するのを防止できる。
【0056】
この第2の実施の形態において、アーム41を回転及び上下駆動したが、回転させずに上下駆動するだけであっても、回転体5とアーム41との間に図示しないロボットのハンドが進入できれば、基板Wを着脱する際に、基板Wが遮蔽体36Aと干渉するのを防止できる。
【0057】
この発明は上記各実施の形態に限定されず種々変形可能である。たとえば基板としては液晶表示装置用の矩形状のガラス基板に限られず、半導体ウエハであってもよく、要は周辺部が保持部によって着脱可能に保持されてスピン処理されるものであればよい。
【0058】
また、各遮蔽体36,36Aは保持部8の上方だけでなく、側方も覆う形状であってもよく、そのような形状にすれば、処理液が保持部の部分から外方へ飛散するのを確実に防止することができる。
【0063】
【発明の効果】
この発明によれば、基板を保持した保持部の上方を遮蔽体によって覆うようにした。
【0064】
そのため、保持部に処理液が衝突したとしても、上記遮蔽体によってその処理液が基板の上方へ飛散して基板の上面を汚染するのを確実に防止することができる。
【0065】
また、回転体に対して基板を着脱する際、遮蔽体が基板に干渉しない形状とした。
【0066】
そのため、回転体に対する基板の着脱を、上記遮蔽体を除去することなく、容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示すスピン処理装置の概略的構成を示す断面図。
【図2】同じく回転体の平面図。
【図3】(a)は同じくノズル体の縦断面図、(b)は同じく横断面図。
【図4】同じく遮蔽体の取付け構造を示す平面図。
【図5】同じく遮蔽体の取付け構造を示す側面図。
【図6】この発明の他の実施の形態を示す遮蔽体の取付け構造の説明図。
【図7】同じく平面図。
【符号の説明】
1…カップ体
5…回転体
8…保持部
24…純水ノズル体
25…薬液ノズル体
36…遮蔽体
Claims (2)
- 回転駆動される矩形状の基板の裏面に処理液を噴射して処理するスピン処理装置において、
カップ体と、
このカップ体内に設けられて回転駆動される回転体と、
この回転体に設けられ上記基板の角部の下面を支持する支持ピン及び上記基板の角部の側縁に係合する一対の係合ピンからなる保持部と、
上記回転体に保持された基板の裏面に対向して配置されこの基板の裏面に処理液を噴射するノズル体と、
上記回転体の上記保持部が設けられた箇所に設けられ上記係合ピンよりも背の高い取付ピンの上端に上記係合ピンの上端を覆うように設けられているとともに、上記基板を上記回転体に着脱する際、基板と干渉することのない形状に形成された遮蔽体と
を具備したことを特徴とするスピン処理装置。 - 上記基板の裏面側の中心部には、ノズルヘッドが対向して固定配置され、このノズルヘッドに上記ノズル体が設けられていることを特徴とする請求項1記載の処理装置。
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