JP4348063B2 - 五員環シララクトン化合物の製造方法 - Google Patents

五員環シララクトン化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は五員環シララクトン化合物の製造方法関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パラジウムなどの遷移金属触媒下で、ビニルシランおよびハロゲン化アリル(もしくはハロゲン化ビニル)をクロスカップリングさせる、いわゆる檜山反応(クロスカップリング反応)では、通常、何らかの方法で、ビニルシラン上のシリル基を活性化する必要がある。
【0003】
そこで従来は、フッ素イオン(例えばテトラブチルアンモニウムフルオリド)、あるいは銀塩を添加剤として用い、これらによってシリル基の活性化を行なっていた。しかしながら、フッ化イオンや銀塩は高価である。また、複数のシリル基を含んで構成されたビニルシランの場合には、フッ素イオンを添加剤として用いることができないという欠点があった。
【0004】
ところが、近年になって、予めビニルシラン上のシリル基に、電気陰性度の大きい酸素原子やハロゲン原子を導入してからクロスカップリング反応を行なうようにすれば、フッ素イオンや銀塩の代わりに、安価な水酸化ナトリウムを添加剤として、ビニルシラン上のシリル基を活性化できることが報告されている。
【0005】
ところで、不飽和シララクトン化合物は、酸素原子がシリル基に結合した構造を有するとともに、ビニルシランを含む化合物である。従って、クロスカップリング反応の際に、不飽和シララクトン化合物を用いれば、添加剤として水酸化ナトリウムを用いることができる。不飽和シララクトン化合物およびハロゲン化アリル(もしくはハロゲン化ビニル)をクロスカップリング反応させれば、不飽和シララクトン化合物上のケイ素をアリル基やビニル基に変換することができ、これにより多置換アルケンが得られる。それゆえ、不飽和シララクトン化合物は、多置換アルケンの合成法において有用な化合物である。また、不飽和シララクトン化合物は、シリコン系高分子材料の原料として応用可能であることからも、その有用性は非常に高い。
【0006】
このような不飽和シララクトン化合物は、例えば、数1に示すように、五塩化リンを用いてメトキシフェニル基を脱離させる方法(例えば、非特許文献1を参照)
【0007】
【数1】
Figure 0004348063
【0008】
によって得られることが知られている。
【0009】
不飽和シララクトン化合物に限らず、飽和シララクトン化合物もまた、重合させることでシリコン系高分子材料の原料として応用可能なことから、不飽和シララクトン化合物と同様に、有用性の高い化合物として注目されている。
【0010】
飽和シララクトン化合物(4−シラ−4−ブタノリド)の製造方法としては、例えば、▲1▼3−(クロロジメチルシリル)プロピオン酸エステルを加熱する方法、または、▲2▼クロトン酸ブロモメチルジメチルシリルエステルをラジカル環化させる方法、あるいは、▲3▼白金触媒下、メタクリル酸ヒドロシランエステルを環化させる方法が知られている。また、数2に示す反応(例えば、非特許文献2を参照)によっても得ることができる。
【0011】
【数2】
Figure 0004348063
【0012】
【非特許文献1】
J. Organomet. Chem., 341 (1-3), 95-108; 1988
【0013】
【非特許文献2】
Tetrahedron Lett. 36, 6213 (1995)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した非特許文献1に開示の不飽和シララクトン化合物の製造方法では、出発原料の構造が、数1に示す構造に限られるであろう。
【0015】
また、上述した▲1▼〜▲3▼、あるいは数2の飽和シララクトン化合物の製造方法では、いずれも、多段階の工程を経なければ、飽和シララクトン化合物を得ることができない。さらに、▲1▼〜▲3▼の方法では、いずれも、取り扱いの難しいクロロシランやヒドロシランを原料として用いなければならない。それゆえ、▲1▼〜▲3▼の方法では、飽和シララクトン化合物を効率的に製造することができない。
【0016】
以上、まとめると、従来公知のシララクトン化合物の製造方法は、いずれも、何らかの問題点を有しているために、これらは好適な製造方法であるとは言い難い。
【0017】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、好適かつ効率的な五員環シララクトン化合物の製造方法提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、一般式(1)
【0019】
【化6】
Figure 0004348063
【0020】
{式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、
Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
A、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
で表されるシリル基含有化合物と、
求電子試薬とを反応させることによって、一般式(2)
【0021】
【化7】
Figure 0004348063
【0022】
{式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、
Zは、オキソ基、イミノ基、アルキルイミノ基、あるいはチオキソ基を示し、
B、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
で表される五員環シララクトン化合物を得ることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、五員環シララクトン化合物を、一工程で簡便に製造することができる。
【0024】
上記の課題を解決するために、本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(3)
【0025】
【化8】
Figure 0004348063
【0026】
[式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
A、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
20、R21は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
または、一般式(4)
【0027】
【化9】
Figure 0004348063
【0028】
[式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
A、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
30〜R33は、水素原子、または、アルキル基を示す}
で表されるZ−β−シリルアクリル酸またはその誘導体を用いることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、Z−β−シリルアクリル酸またはその誘導体と、求電子試薬とを反応させることで、不飽和結合を含む五員環シララクトン化合物を得ることができる。また、Z−β−シリルアクリル酸またはその誘導体は、安定かつ合成も容易な化合物である。従って、五員環シララクトン化合物を効率よく製造することができる。
【0030】
上記の課題を解決するために、本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(5)
【0031】
【化10】
Figure 0004348063
【0032】
[式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
A、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
40〜R43は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
で表されるβ−プロピオン酸またはその誘導体を用いることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、β−プロピオン酸またはその誘導体と、求電子試薬とを反応させることで、不飽和結合を含まない五員環シララクトン化合物を得ることができる。また、β−シリルプロピオン酸またはその誘導体は、安定かつ合成も容易な化合物である。したがって、五員環シララクトン化合物を効率よく製造することができる。
【0034】
上記の課題を解決するために、本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、上記求電子試薬が、I+またはBr+を含む物質であることを特徴としている。
【0035】
上記の構成によれば、五員環シララクトン化合物をより効率よく製造することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
本実施の形態にかかる五員環シララクトン化合物の製造方法は、一般式(1)
【0038】
【化11】
Figure 0004348063
【0039】
{式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、Yは、ヒドロキシ基(OH)、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、RA、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示す}
で表されるシリル基含有化合物と、求電子試薬とを反応させることによって、一般式(2)
【0040】
【化12】
Figure 0004348063
【0041】
{式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、Zは、オキソ基(O)、イミノ基(NH)、炭素数が1〜10のアルキルイミノ基、あるいはチオキソ基(S)を示し、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示す}
で表される五員環シララクトン化合物を得る構成である。なお、本実施の形態において、上記アルキルオキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基における炭素は、直鎖状でも枝分かれ状でも構わないが、直鎖状であることがより好ましい。
【0042】
本実施の形態において、一般式(1)で表されるシリル基含有化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、一般式(3)
【0043】
【化13】
Figure 0004348063
【0044】
[式中、Yは、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、RA、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、R20、R21は、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示す}
または、一般式(4)
【0045】
【化14】
Figure 0004348063
【0046】
[式中、Yは、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、RA、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、R30〜R33は、水素原子、または、アルキル基を示す}
で表されるZ−β−シリルアクリル酸またはその誘導体を用いればよい。
【0047】
上記Z−β−シリルアクリル酸は、特に限定されるものではない。従って、Z−β−シリルアクリル酸としては、従来公知の方法によって得られるもの、あるいは市販のものを使用すればよい。また、Z−β−シリルアクリル酸は、例えば、本発明者が開発した、イノラートおよびアシルシランを反応させる、アシルシランのオレフィン化反応によって合成することができる。数3に、上記アシルシランのオレフィン化反応を示す。
【0048】
【数3】
Figure 0004348063
【0049】
上記Z−β−シリルアクリル酸の誘導体としては、具体的には、例えば、Z−β−トリアルキルシリルアクリル酸、Z−β−シリルアクリル酸エステル、Z−β−シリルアクリル酸アミド等が挙げられるが、これらは特に限定されるものではない。従って、Z−β−シリルアクリル酸の誘導体としては、従来公知の方法によって得られるもの、あるいは市販のものを使用すればよい。
【0050】
あるいはまた、上記シリル基含有化合物を、例えば、一般式(5)
【0051】
【化15】
Figure 0004348063
【0052】
[式中、Yは、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、RA、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、R40〜R43は、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示す}
で表されるβ−プロピオン酸またはその誘導体を用いる構成としてもよい。
【0053】
上記β−シリルプロピオン酸は、特に限定されるものではない。従って、β−シリルプロピオン酸としては、従来公知の方法によって得られるもの、あるいは市販のものを使用すればよい。
【0054】
上記β−シリルプロピオン酸の誘導体としては、具体的には、例えば、β−トリアルキルシリルプロピオン酸、β−シリルプロピオン酸エステル、β−シリルプロピオン酸アミド等が挙げられるが、これらは特に限定されるものではない。従って、β−シリルプロピオン酸の誘導体としては、従来公知の方法によって得られるもの、あるいは市販のものを使用すればよい。
【0055】
本実施の形態において、求電子試薬とは、I+またはBr+を含む物質であれば、特に限定されるものではない。従って、例えば、ヨウ素(I2)、臭素(Br2)または、I+を含む物質として、例えば、化学式(A)に示すN−ヨウ化コハク酸イミド、
【0056】
【化16】
Figure 0004348063
【0057】
あるいは、Br+を含む物質として、例えば、化学式(B)に示すN−ブロモコハク酸イミド
【0058】
【化17】
Figure 0004348063
【0059】
を用いればよい。
【0060】
本実施の形態では、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物および求電子試薬を有機溶媒に溶かし、これらを有機溶媒中で反応させる。
【0061】
上記有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン系有機溶媒が挙げられる。
【0062】
本実施の形態において、一般式(1)で表されるシリル基含有化合物において、Yで示す置換基が、ヒドロキシ基(OH)の場合には、シリル基含有化合物と求電子試薬とが反応することで、副生成物として、ヨウ化水素酸、あるいは臭化水素酸が発生する。これらヨウ化水素酸、臭化水素酸は、いずれも、反応によって得られる五員環シララクトン化合物を分解してしまうおそれがある。そこで、これを防ぐために、本実施の形態では、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物における置換基Yがヒドロキシ基(OH)の場合には、有機溶媒に塩基を加える。該塩基としては、例えば、ピリジンやトリエチルアミンを用いればよい。また、塩基は、1当量〜3当量の範囲内、好ましくは1当量〜2当量の範囲内で有機溶媒に加えればよい。なお、一般式(1)で表されるシリル基含有化合物の置換基Yが、ヒドロキシ基(OH)以外の官能基の場合は、有機溶媒中に塩基を加えなくてよい。
【0063】
本実施の形態において、有機溶媒中に含まれるシリル基含有化合物の濃度は、特に限定されるものではなく、必要に応じて、適宜設定すればよい。
【0064】
また、有機溶媒中に含まれる求電子試薬の濃度は、特に限定されるものではないが、シリル基含有化合物1モルに対して、求電子試薬を1.0モル〜3.0モルの範囲内で用いることが好ましく、1.0モル〜1.5モルの範囲内で用いることがより好ましい。
【0065】
シリル基含有化合物1モルに対して、用いる求電子試薬の下限値が1.0モルを下回ると、得られる五員環シララクトン化合物の収率が低下するおそれがある。また、シリル基含有化合物1モルに対して、用いる求電子試薬の下限値が3.0モルを上回る場合には、特に問題は生じないが、過剰な求電子試薬を除去する必要性が生じ、反応後の後処理が煩雑になってしまう。
【0066】
求電子試薬として、ヨウ素あるいは臭素を用いる場合には、加熱還流により、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物と、求電子試薬とを反応させる。
【0067】
加熱還流を行なう場合の反応温度や反応時間は、用いるシリル基含有化合物や、求電子試薬、有機溶媒の種類に応じて、適宜設定すればよい。反応温度を70℃以上、反応時間を1日程度とすれば、シリル基含有化合物と、求電子試薬とを、効率よく反応させることができる。また、反応温度が70℃よりも低温の場合には、反応時間が長くなってしまう。また、反応温度を上げれば、反応時間を短くすることができる。例えば、求電子試薬としてヨウ素を用いた場合には、10時間〜30時間加熱還流をすれば、ヨウ素とシリル基含有化合物をと効率よく反応させることができる。
【0068】
求電子試薬として、N−ヨウ化コハク酸イミド、または、N−ブロモコハク酸イミドを用いた場合には、シリル基含有化合物と、求電子試薬とを、室温で反応させることができる。このときの反応時間は、用いるシリル基含有化合物や、求電子試薬、有機溶媒の種類に応じて、適宜設定すればよい。また、このときの反応時間を1時間程度とすれば、シリル基含有化合物と、求電子試薬とを、効率よく反応させることができる。また、室温以上で反応させることで、反応時間を短くすることもできる。
【0069】
このように、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物と、求電子試薬とを反応させることで、一般式(2)
【0070】
【化18】
Figure 0004348063
【0071】
{式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、Zは、オキソ基(O)、イミノ基(NH)、炭素数が1〜10のアルキルイミノ基、あるいはチオキソ基(S)を示し、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示す}
で表される五員環シララクトン化合物を得ることができる。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、五員環シララクトン化合物を、一工程で簡便に製造することができる。
【0073】
本実施の形態では、求電子試薬が、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物上のケイ素(Si)と結合したRA基を脱離し、これによりシリル基含有化合物がラクトン化することで、上記一般式(2)で表される五員環シララクトン化合物が得られるものと考えられる。
【0074】
下記に記す数4は、シリル基含有化合物としてのZ−β−シリルアクリル酸と、求電子試薬としてのヨウ素(I2)とを反応させたときの様子を示している。数4に示すように、I+が、Z−β−シリルアクリル酸上のケイ素(Si)と結合したRA基を引き抜き、これにより、RAIが生じるとともに、Z−β−シリルアクリル酸がラクトン化することで、五員環シララクトン化合物が合成される。
【0075】
【数4】
Figure 0004348063
【0076】
本実施の形態において、一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(3)または一般式(4)で表されるZ−β−シリルアクリル酸またはその誘導体を用いた場合には、一般式(6)
【0077】
【化19】
Figure 0004348063
【0078】
[式中、Zは、オキソ基(O)、イミノ基(NH)、炭素数が1〜10のアルキルイミノ基、あるいはチオキソ基(S)を示し、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、R20、R21は、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示す
または、一般式(7)
【0079】
【化20】
Figure 0004348063
【0080】
{式中、Zは、オキソ基(O)、イミノ基(NH)、炭素数が1〜10のアルキルイミノ基、あるいはチオキソ基(S)を示し、RB、RCは、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、R30〜R33は、水素原子、あるいはアルキル基を示す}
で表される、不飽和結合を含む五員環シララクトン化合物、すなわち、五員環不飽和シララクトン化合物を得ることができる。
【0081】
上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、Z−β−シリルアクリル酸またはその誘導体を用いた場合には、五員環シララクトン化合物を、70%〜99%の収率で、効率よく得ることができる。また、Z−β−シリルアクリル酸またはその誘導体は、安定かつ合成も容易な化合物である。従って、Z−β−シリルアクリル酸またはその誘導体を用いれば、五員環シララクトン化合物を効率よく製造することができる。
【0082】
本実施の形態にかかる製造方法によって得られる上記一般式(6)または、一般式(7)で表される五員環シララクトン化合物は、ビニルシラン(C=C−Si)のシリル基に、電気陰性度の大きい酸素原子が結合した構造を有している。それゆえ、一般式(6)または一般式(7)で表される五員環シララクトン化合物およびアリルハライド、もしくは該五員環シララクトン化合物およびアルケニルハライドを用いて、パラジウム触媒(Pd2(dba)3CHCl3など)下で、クロスカップリング反応を行なえば、高価なフッ素イオンや銀塩の代わりに、安価な水酸化ナトリウムを用いて、一般式(6)または一般式(7)で表される五員環シララクトン化合物上のシリル基を効率よく活性化させることができる。以下に、一般式(6)で表される五員環シララクトン化合物の置換基Zがオキソ基である場合の、クロスカップリング反応を示す。
【0083】
【数5】
Figure 0004348063
【0084】
なお、数5中には示していないが、クロスカップリング反応の途中段階では、五員環シララクトン化合物の炭素−ケイ素(C−Si)結合が切断され、シリルエステルが合成されるが、このシリルエステルは、速やかに加水分解されることで、カルボン酸となる。
【0085】
このように、上記一般式(6)または一般式(7)で表される、不飽和結合を含む五員環シララクトン化合物(五員環不飽和シララクトン化合物)を用いてクロスカップリング反応を行なえば、五員環シララクトン化合物上のケイ素をアリル基やビニル基に変換して、多置換アルケンを合成することができる。多置換アルケンは、医薬(例えば制ガン剤であるタモキシフェンなど)の材料の構成ユニットとして有用である。
【0086】
また、一般式(6)または一般式(7)で表される五員環シララクトン化合物を重合させれば、シリコン系高分子材料の原料として用いることができる。
【0087】
また、一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(5)で表されるβ−シリルプロピオン酸またはその誘導体を用いた場合には、一般式(8)
【0088】
【化21】
Figure 0004348063
【0089】
[式中、Zは、オキソ基(O)、イミノ基(NH)、炭素数が1〜10のアルキルイミノ基、あるいはチオキソ基(S)を示し、RB、RCは、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示し、R40〜R43は、それぞれ、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が1〜10のアルキニル基、炭素数が1〜10のアリール基、炭素数が1〜10のアリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、炭素数が1〜10のアルキルオキシ基、アミノ基(NH2)、炭素数が1〜10のアルキル基を2つ備えたジアルキルアミノ基、炭素数が1〜10のアルキルアミノ基、メルカプト基(SH)、あるいは炭素数が1〜10のアルキルチオ基を示す}
で表される、不飽和結合を含まない五員環シララクトン化合物(五員環飽和シララクトン化合物)を得ることができる。上記一般式(8)で表される五員環シララクトン化合物もまた、重合させることで、シリコン系高分子材料の原料として用いることができる。
【0090】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0091】
<2,2,3,4−テトラメチル−2H−[1,2]オキサシロール−5−オン(2,4,4−トリメチル−3−フェニル−4−シラ−2−ブテノリド)の合成>
本実施例では、求電子試薬として、(I)ヨウ素および(II)N−ヨウドコハク酸それぞれを用いて、数6に示すように、五員環シララクトン化合物である、2,2,3,4−テトラメチル−2H−[1,2]オキサシロール−5−オン(2,4,4−トリメチル−3−フェニル−4−シラ−2−ブテノリド)を製造した。
【0092】
【数6】
Figure 0004348063
【0093】
(I)ヨウ素法による実施例
Z−2−メチル−3−フェニル−3−トリメチルシリルプロペン酸(30mg,0.128ミリモル)の四塩化炭素溶液(1.5mL)にピリジン(0.021mL,0.256ミリモル)とヨウ素(39g,0.154ミリモル)を加え、20時間加熱還流した。室温に戻した後、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2mL)を反応液に加え、塩化メチレンで抽出した(15mL,3回)。
【0094】
有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の針状晶を27mg得た(収率:98%)。
【0095】
(II) N−ヨウドコハク酸イミド法による実施例
Z−メチル−3−フェニル−3トリメチルシリルプロペン酸(30mg,0.128ミリモル)の塩化メチレン溶液(2mL)に、N−ヨウドコハク酸イミド(43mg,0.192ミリモル)を加え、室温で1.5時間攪拌した。
【0096】
10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2mL)を反応液に加え、塩化メチレンで抽出した(15mL,3回)。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の針状晶を19mg得た(収率:65%)。
【0097】
上記(I)、(II)それぞれの方法によって得られた無色の針状晶の融点を測定したところ、融点範囲は、73.4℃〜74.2℃であった。
【0098】
また、上記無色の針状晶を核磁気共鳴(NMR)分光法により測定したところ、1HNMR(400MHz,CDCl3)測定では、化学シフト(δ):0.52(6H,s,SiMe 2 ),2.11(3H,s,C=CC 3 ),7.20〜7.25(2H,m,Ar),7.33〜7.38(1H,m,Ar),7.41〜7.47(2H,m,Ar)に、ピークが出現した。
【0099】
また、上記無色の針状晶の13CNMR(100MHz,CDCl3)測定では、(δ):−1.9(q),13.5(q),127.6(d),128.1(d),128.8(d),136.1(s),141.4(s),155.9(s),170.0(s)にピークが出現した。
【0100】
また、上記無色の針状晶を赤外(IR)分光法により測定したところ、1730cm-1,1593cm-1,1491cm-1,1442cm-1,1117cm-1,918cm-1の吸収位置に、IRピークが出現した。
【0101】
また、上記無色の針状晶を質量分光法(MS)により測定したところ、単位質量(m/z値)は、218(M+),159(100%)であった。
【0102】
また、上記無色の針状晶を分析したところ、C12142SiC,66.02;H,6.46,found:C,65.72;H,6.55という結果が得られた。
【0103】
以上の結果から、上記無色の針状晶は、2,2,3,4−テトラメチル−2H−[1,2]オキサシロール−5−オンであることが確認された。
【0104】
【発明の効果】
本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、以上のように、一般式(1)
【0105】
【化22】
Figure 0004348063
【0106】
{式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、RA、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
で表されるシリル基含有化合物と、求電子試薬とを反応させることによって、一般式(2)
【0107】
【化23】
Figure 0004348063
【0108】
{式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、Zは、オキソ基、イミノ基、アルキルイミノ基、あるいはチオキソ基を示し、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
で表される五員環シララクトン化合物を得る構成である。
【0109】
それゆえ、五員環シララクトン化合物を、一工程で簡便に製造することができるという効果を奏する。
【0110】
本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、以上のように、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(3)
【0111】
【化24】
Figure 0004348063
【0112】
[式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
A、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、R20、R21は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
または、一般式(4)
【0113】
【化25】
Figure 0004348063
【0114】
[式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、RA、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、R30〜R33は、水素原子、または、アルキル基を示す}
で表されるZ−β−シリルアクリル酸またはその誘導体を用いる構成である。
【0115】
それゆえ、Z−β−シリルアクリル酸またはその誘導体と、求電子試薬とを反応させることで、不飽和結合を含む五員環シララクトン化合物を得ることができる。また、Z−β−シリルアクリル酸またはその誘導体は、安定かつ合成も容易な化合物である。従って、五員環シララクトン化合物を効率よく製造することができるという効果を奏する。
【0116】
本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、以上のように、上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(5)
【0117】
【化26】
Figure 0004348063
【0118】
[式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、RA、RB、RCは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、R40〜R43は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
で表されるβ−プロピオン酸またはその誘導体を用いる構成である。
【0119】
それゆえ、β−プロピオン酸またはその誘導体と、求電子試薬とを反応させることで、不飽和結合を含まない五員環シララクトン化合物を得ることができる。また、β−シリルプロピオン酸またはその誘導体は、安定かつ合成も容易な化合物である。したがって、五員環シララクトン化合物を効率よく製造することができるという効果を奏する。
【0120】
本発明の五員環シララクトン化合物の製造方法は、以上のように、上記求電子試薬が、I+またはBr+を含む物質である構成である。
【0121】
それゆえ、五員環シララクトン化合物をより効率よく製造することができるという効果を奏する。

Claims (3)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004348063
    {式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、
    Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
    、R、Rは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
    で表されるシリル基含有化合物と、
    求電子試薬とを反応させることによって、一般式(2)
    Figure 0004348063
    {式中、Xは、置換基を有していてもよいエチレン基(C−C)、あるいは、置換基を有していてもよいビニレン基(C=C)を示し、
    Zは、オキソ基、イミノ基、アルキルイミノ基、あるいはチオキソ基を示し、
    、Rは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
    で表される五員環シララクトン化合物を得る製造方法であり、
    上記求電子試薬が、I またはBr を含む物質であることを特徴とする五員環シララクトン化合物の製造方法。
  2. 上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(3)
    Figure 0004348063
    式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
    、R、Rは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
    20、R21は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
    または、一般式(4)
    Figure 0004348063
    式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
    、R、Rは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
    30〜R33は、水素原子、または、アルキル基を示す}
    で表されるZ−β−シリルアクリル酸またはその誘導体を用いることを特徴とする請求項1に記載の五員環シララクトン化合物の製造方法。
  3. 上記一般式(1)で表されるシリル基含有化合物として、一般式(5)
    Figure 0004348063
    式中、Yは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
    、R、Rは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示し、
    40〜R43は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、あるいはアルキルチオ基を示す}
    で表されるβ−プロピオン酸またはその誘導体を用いることを特徴とする請求項1に記載の五員環シララクトン化合物の製造方法。
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