JP4294747B2 - ヒドロキシピペリジン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

ヒドロキシピペリジン誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルカロイド及び医農薬等の製造中間体として有用なヒドロキシピペリジン誘導体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2位と5位に置換基を有するピペリジン誘導体はアルカロイド或いは医農薬等の合成の重要な中間体である。これらアルカロイド及び医農薬は多くの場合光学活性体であるため、その重要中間体である2位と5位に置換基を有するピペリジン誘導体も光学的に純度の高い化合物であることが要求される。即ち、2位と5位に置換基を有するピペリジン誘導体としては、(2S,5S)体、(2R,5R)体、(2S,5R)体、(2R,5S)体の4種類の異性体を含むため、最終生成物の構造により、これら4種類の異性体の中の1つの化合物のみが重要中間体として使用される。
【0003】
このような状況の中、アルカロイド合成の中間体として(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジンが新規化合物としてその製造方法と共に提唱されている(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、53巻、4118〜4121頁、1988年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる中間体は、5位に他の官能基に変換が容易な、アセトキシ基を有しているためアルカロイド或いは医農薬合成の重要な中間体ではあるものの、その合成に際して、(2S)−1,2−ジメトキシカルボニル−5,6−ジアセトキシピペリジンの還元処理という方法を用いる必要があった。このため、副生成物として、(2S,5S)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジンが生成するため、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジンのみを得るためには、さらに分離操作を行う必要があった。
【0005】
このため、(2S,5R)の絶対配置を有するピペリジン誘導体をジアステレオマーとの分離操作を必要とせずに製造する方法の開発が強く望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、ピペリジン環の5位に直接アセトキシ基を導入するのではなく、アセトキシ基に置換が可能な官能基を導入した後、アセトキシ基に置換する方法を鋭意検討した。その結果、下記一般式(II)
【0007】
【化3】
Figure 0004294747
【0008】
(但し、R1及びR2は同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基である。)
で示されるテトラハイドロピリジン誘導体をホウ素化合物で処理することで、(2R,5R)の絶対配置を有する下記一般式(I)
【0009】
【化4】
Figure 0004294747
【0010】
(但し、R1及びR2は同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基である。)
で示される新規なヒドロキシピペリジン誘導体を見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち本発明は、一般式(I)
【0012】
【化5】
Figure 0004294747
【0013】
(但し、R1及びR2は同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、R3はアセチル基以外の水酸基の保護基である。)
で示されるヒドロキシピペリジン誘導体及びその製造方法である。
【0014】
本発明においてR1及びR2で示されるアルキル基、アリール基またはアラルキル基としては、既知の基を何等制限なく用いることができる。
【0015】
これらを具体的に例示すると、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基を挙げることができ、アリール基としてはフェニル基、トリル基等の炭素数6〜8の基を挙げることができ、アラルキル基としてはベンジル基を挙げることができる。
【0016】
本発明において上記一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体を具体的に例示すると、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジエトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジイソプロポキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジ−t−ブトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−ヒドロキシピロリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−ベンゾルオキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン等を挙げることができる。
【0017】
上記ピペリジン誘導体は下記の手段で確認することができる。
【0018】
(1)1H−核磁気共鳴スペクトルを測定することにより、化合物中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。
【0019】
(2)赤外吸収スペクトルを測定することにより、化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することができる。例えば、1700cm-1付近にカルボニル基の吸収スペクトルを示す。
【0020】
(3)質量スペクトル(MS)を測定し、前記一般式(I)の分子イオンピーク(以下、M+と略記する。)が観測される。従って、分子量を決定することができる。
【0021】
本発明において一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体は、いかなる方法で製造してもよい。好ましくは、一般式(II)
【0022】
【化6】
Figure 0004294747
【0023】
(但し、R1及びR2は同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基である。)
で示されるテトラハイドロピリジン誘導体にホウ素化合物を付加させた後、塩基性条件下過酸化物で処理することにより製造するのが好適である。
【0024】
本発明に使用されるホウ素化合物としては、ハイドロボレーションに使用されるホウ素化合物が何等制限なく用いられる。これらを具体的に例示すると、ボラン・アンモニア錯塩、ボラン・tert−ブチルアミン錯塩、ボラン・N,N−ジエチルアニリン錯塩、ボラン・ジメチルアミン錯塩、ボラン・2,6−ルチジン錯塩、ボラン・4−モルホリン錯塩、ボラン・ピペリジン錯塩、ボラン・ピリジン錯塩、ボラン・トリメチルアミン錯塩、ボラン・トリエチルアミン錯塩、ボラン・テトラハイドロフラン錯塩、ボラン・トリブチルホスフィン錯塩、ボラン・トリフェニルホスフィン錯塩、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン、ジシクロヘキシルボラン、ビス(3−メチル−2−ブチル)ボラン、2,3−ジメチル−2−ブチルボラン、カテコールボラン、ジ−3−ピナニルボラン等を挙げることができる。これらのホウ素化合物の中でも特に、取扱いが容易という理由からボラン・テトラハイドロフラン錯塩、ボラン・ジメチルスルフィド錯塩、ボラン・トリエチルアミン錯塩等の錯塩類を好適に採用することができる。
【0025】
本発明に使用されるホウ素化合物の使用量としては、ホウ素化合物の種類によって大きく異なるため特に制限はないが、あまり量が少ないと、原料を残存させ、あまり量が多いと水素が大量に発生するため、除害設備及び換気等に細心の注意を払う必要があるため、通常、上記一般式(II)で示されるテトラハイドロピリジン誘導体1モルに対して0.3〜5モルの範囲で、好ましくは0.3〜2モルの範囲から選択するのが良い。
【0026】
本反応に用いる反応溶媒としては、ホウ素化合物と反応しない有機溶媒が何等制限なく用いられる。これらを具体的に例示すると、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類を挙げることができる。これらの溶媒の中でも特に、テトラハイドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が、高い収率が期待できるという意味において好適に用いられる。
【0027】
本反応は、水が存在すると収率等が著しく低下するため、溶媒は一般に乾燥状態にしておいたものを用いることが好ましい。乾燥状態にする方法としては特に制限はなく、既知の有機溶媒の乾燥方法によって処理する方法が好適に用いられる。例えば、金属ナトリウム、塩化カルシム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、カルシウムハイドライド、ナトリウムハイドライド、モレキュラーシーブ等の乾燥剤と有機溶媒を接触させた後、ろ過あるいは蒸留によって乾燥剤と分離する方法等を挙げることができる。
【0028】
用いる溶媒の量としては特に制限はないが、あまり量が多いと経済的に不利であり、あまり量が少ないと攪はん等に支障を来すため、上記式(II)で示されるテトラハイドロピリジン誘導体の初期濃度が0.5〜70重量%、さらには1〜60重量%となるように用いるのが好ましい。
【0029】
本反応における反応温度は特に制限されないが、あまり温度が低いと反応速度が小さくなり、あまり温度が高いと反応が暴走する危険性があるため、通常−78〜70℃、好ましくは−40〜50℃の範囲から選択するのが良い。
【0030】
反応時間については、反応温度、基質の種類によって大きく異なるため一概には言えないが、通常1〜50時間もあれば十分である。
【0031】
本反応は、常圧下、加圧下、減圧下いずれの状態でも実施可能である。また、本反応は、大気雰囲気下、窒素或いはアルゴン等の不活性ガス雰囲気下、いずれの状態でも実施可能であるが、乾燥状態が好ましいため、不活性ガス雰囲気下で実施するほうが好ましい。
【0032】
以上の方法により得られた生成物は、塩基性条件下、過酸化物で処理することによって、一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体へと導かれる。
【0033】
本反応において塩基性条件にする方法としては特に制限はないが、通常塩基性水溶液を反応系に添加することで塩基性に導く。この時使用される塩基の種類としては特に制限はなく既知の無機塩基を何等制限なく用いることができる。塩基の種類を具体的に例示すると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩を挙げることができる。これらの中でも特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に使用される。
【0034】
用いる塩基の量としては、特に制限はないが通常、ホウ素化合物に対して1当量以上用いるのが一般的であり、ホウ素化合物1モルに対して1〜20モル、好ましくは1〜10モルの範囲から選択するのが良い。
【0035】
塩基性水溶液の濃度としては特に制限はないが、あまり濃度が薄いと釜収量が下がり、濃度が濃いと水溶液の粘度が上昇し添加操作に支障を及ぼすため、通常0.1〜30重量%、さらには1〜20重量%の範囲から選択するのが好ましい。
【0036】
このようにして塩基性水溶液を添加した後に、さらに過酸化物をで処理することによって目的物を得る。
【0037】
本発明の反応において添加する過酸化物の種類として特に制限はないが、通常過酸化水素水溶液を用いるのが一般的である。用いる過酸化水素の量としては特に制限はないが、通常用いるホウ素化合物に対して1当量以上用いるのが一般的であり、ホウ素化合物1モルに対して1〜30モル、好ましくは1〜20モルの範囲から選択するのが良い。
【0038】
過酸化水素水溶液の濃度としては特に制限はないが、あまり濃度が高いと爆発の危険性があり、あまり濃度が薄いと反応速度が著しく落ちるため、通常0.1〜50重量%、さらには1〜40重量%の範囲から選択するのが好適である。
【0039】
これら一連の操作の温度としては特に制限はないが、あまり温度が高いと反応が暴走し、あまり温度が低いと反応速度が著しく落ちるため通常−10〜50℃、さらには0〜40℃の範囲で行われることが好適である。
【0040】
反応時間としては、反応温度、過酸化水素水溶液の濃度によって著しく異なるため一概に限定することは出来ないが、0.1〜10時間もあれば十分である。
【0041】
本反応は常圧下、加圧下、減圧下いずれの状態でも実施可能である。
【0042】
このようにして得られた上記式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体は、既知の方法で単離することができる。
【0043】
一例を示すと、水に溶解しない有機溶媒によって該ヒドロキシピペリジン誘導体を抽出した後、溶媒を乾燥、留去した後、精製することによって単離することができる。
【0044】
水に溶解しない有機溶媒の種類としては、該ピペリジンを溶解する溶媒であれば、既知の有機溶媒が何等制限なく用いられる。それらを具体的に例示すると、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類;メチルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。
【0045】
溶媒の乾燥方法としては特に制限はなく既知の乾燥方法を用いることができる。例えば、共沸によって脱水する方法、或いは硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシム等の乾燥剤と接触させることによって脱水する方法等を挙げることができる。
【0046】
また、精製の方法としては特に制限はなく、既知の精製方法を採用することができる。例えば、溶媒を濃縮した後に、カラムクロマトグラフィーによって精製する方法或いは再結晶等によって分離精製する方法等を挙げることができる。
【0047】
上記式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体の原料である、上記式(II)で示されるテトラハイドロピリジン誘導体は、いかなる方法で製造したものを用いても良い。好ましくは、下記一般式(III)
【0048】
【化7】
Figure 0004294747
【0049】
(但し、R1及びR2は同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基である。)
で示されるようなメトキシピペリジン誘導体をアンモニウム塩存在下、加熱処理することによって製造することが好適である。
【0050】
本反応に用いるアンモニウム塩の種類としては、既知のアンモニウム塩が何等制限なく用いられる。それらを具体的に例示すると、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0051】
用いるアンモニウム塩の量としては、特に制限はないが、通常触媒量で十分であり、上記式(III)で示されるようなメトキシピペリジン誘導体1モルに対して0.001〜1モル、さらには0.01〜1モルの範囲から選択するのが良い。
【0052】
本反応の加熱処理の時間としては特に制限はないが、あまり温度が低いと反応が進行せず、あまり温度が高いと原料の分解反応が起きるため、通常50〜250℃、好ましくは80〜200℃の範囲から選択するのが良い。
【0053】
加熱時間としては、原料の種類によって大きく異なるため特に制限はないが、通常0.1〜10時間もあれば十分である。
【0054】
本反応は、常圧下、加圧下、減圧下いずれの状態でも実施可能である。
【0055】
このようにして製造された上記式(II)で示されるテトラヒドロピリジン誘導体は既知の方法で単離される。即ち、減圧蒸留、カラムクロマトグラフィー、晶析等の操作によって、単離精製され、本発明の原料に供される。
【0056】
本発明の上記一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体は、いかなる用途に用いてもよいが、通常アルカロイド合成或いは医農薬合成に用いられる。
【0057】
この時、該化合物の水酸基が反応阻害因子とならないように、上記一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体は、下記一般式(IV)
【0058】
【化8】
Figure 0004294747
【0059】
(但し、R1及びR2は同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、R3は水酸基の保護基である。)
で示されるようなピペリジン誘導体に変換されるのが一般的である。
【0060】
上記一般式(IV)においてR3で示される水酸基の保護基の種類としては、既知の水酸基の保護基を何等制限なく用いることができる。これらを具体的に例示すると、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等の炭素数1〜5の低級アルコキシカルボニル基、2,2,2,−トリクロロエトキシカルボニル基のような炭素数1〜5の低級ハロゲノアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基のようなアシル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基のようなアラルキル基、メチル基、エチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基のようなトリアルキルシリル基、メタンスルホニル基のような炭素数1〜5の低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等を挙げることができる。
【0061】
このような水酸基の保護基で保護された上記一般式(IV)で示されるピペリジン誘導体を具体的に例示すると、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−エトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−エトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジイソプロポキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−イソプロポキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジ−t−ブトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジフェノキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−フェノキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−ベンゾルオキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−イソプロポキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシカルボニル−5−アセトキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−メトキシカルボニルオキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−t−ブトキシカルボニルオキシピペリジン、(2S,5R)−1−メトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ベンジルオキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−メトキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−メタンスルホニルオキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−トルエンスルホニルオキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−トリメチルシリルオキシピペリジン、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−t−ブチルジメチルシリルオキシピペリジン等を挙げることができる。
【0062】
上記一般式(IV)で示されるピペリジン誘導体の製造方法としては、既知の水酸基の保護反応が何等制限なく用いられる。例えば、上記一般式(I)で示されるようなヒドロキシピペリジン誘導体と下記一般式(V)
【0063】
【化9】
Figure 0004294747
【0064】
(但し、R3は水酸基の保護基、Xはハロゲン原子を示す。)
で示されるようなハロゲン化物、或いは下記一般式(VI)
【0065】
【化10】
Figure 0004294747
【0066】
(但し、R3は水酸基の保護基を示す。)
で示されるような酸無水物等の水酸基の保護剤を塩基存在下、有機溶媒中で反応させる方法(以下、反応Aと称す。)等を挙げることができる。
【0067】
反応Aに使用される上記一般式(V)で示されるハロゲン化物としては、既知の水酸基の保護剤が何等制限なく使用できる。これらのハロゲン化物を具体的に例示すると、酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、ブタン酸クロライド、クロロ酢酸クロライド等の酸ハロゲン化物、クロロ炭酸メチル、ブロモ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、ブロモ炭酸エチル、クロロ炭酸イソプロピル、クロロ炭酸t−ブチル、フルオロ炭酸t−ブチル、クロロ炭酸フェニル、クロロ炭酸ベンジル、クロロ炭酸ビニル、クロロ炭酸アリル、クロロ炭酸2,2,2−トリクロロエチル等のハロゲン化モノ炭酸エステル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルブロマイド、p−クロロベンゼンスルホニルクロライド、p−クロロベンゼンスルホニルブロマイド、トルエンスルホニルクロライド、トルエンスルホニルブロマイド、メタンスルホニルクロライド等のスルホン酸ハロゲン化物、トリメチルシリルクロライド、トリメチルシリルブロマイド、トリメチルシリルアイオダイド、トリエチルシリルクロライド、トリイソプロピルシリルクロライド、イソプロピルジメチルシリルクロライド、ジイソプロピルメチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、トリフェニルメチルジメチルシリルクロライド、t−ブチルジフェニルシリルクロライド、ジ−t−ブチルメチルシリルクロライド、トリベンジルシリルクロライド、トリフェニルシリルクロライド等のシリルハロゲン化物、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、ジフェニルメチルクロライド、ジフェニルメチルブロマイド、トリフェニルメチルクロライド、トリフェニルメチルブロマイド、トリフェニルメチルアイオダイド等のアルケニルハロゲン化物を挙げることができる。
【0068】
本反応Aにおいて上記一般式(VI)で示される酸無水物としては、水酸基の保護剤として用いられる酸無水物が何等制限なく使用される。それらを具体的に例示すると、無水酢酸、無水クロロ酢酸、蟻酸と酢酸から調整される混合酸無水物等の脂肪族カルボン酸無水物、ジ−t−ブチルジカーボネート、ジメチルジカーボネート、ジエチルジカーボネート、ジアリルジカーボネート等のジカーボネート化合物を挙げることができる。
【0069】
反応Aにおける、これらハロゲン化物及び酸無水物の使用量としては特に制限はないが、上記一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体に対して等量反応であるため、通常該ヒドロキシピペリジン誘導体1モルに対して1〜3モル、さらには1〜2モルの範囲から選択させるのが好適である。
【0070】
反応Aに使用される塩基としては既知の塩基が何等制限なく使用される。これらを具体的に例示すると、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン等の脂肪族三級アミン類;ピリジン、4−N,N−ジメチルピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、イミダゾール、ピラゾール等の芳香族三級アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類を挙げることができる。
【0071】
使用する塩基の量は特に制限はされないが、上記一般式(V)で示されるハロゲン化物及びジカーボネート化合物以外の上記一般式(VI)で示される酸無水物1モルに対して1〜2モル、さらには1〜1.5モルの範囲から選択するのが好適である。反応Aにおいてジカーボネート化合物を使用した場合は、触媒量で反応が進行するため、通常ジカーボネート化合物1モルに対して0.0001〜1モル、さらには0.01〜1モルの範囲から選択するのが好適である。
【0072】
反応Aは、有機溶媒中で行うのが一般的である。反応Aに用いることができる溶媒の種類としては、水酸基の保護剤と反応しない溶媒であれば何等制限なく使用できる。これらを具体的に例示すると、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド類;ジメチルスルフォキサイド等を挙げることができる。
【0073】
反応Aの温度としては特に制限はないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと暴走反応を引き起こすため、通常−30〜100℃、さらには−20〜60℃の範囲の中から選択するのが好適である。
【0074】
反応時間としては、基質及び水酸基の保護剤の種類或いは反応温度によって異なるため、一概には言えないが通常0.1〜30時間もあれば十分である。
【0075】
また反応Aは、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実施可能である。
【0076】
このようにして、上記式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体の水酸基は、様々な保護基で保護され上記式(IV)で示されるピペリジン誘導体へと変換され、アルカロイド或いは医農薬の中間体となる。
【0077】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体は、アルカロイド及び医農薬の製造原料として重要な新規化合物である。また、該化合物を光学分割等の分離操作をすることなく光学的にほぼ純粋に取り出す方法も併せて見いだした。従って、本発明は、工業的に極めて有用である。
【0078】
【実施例】
実施例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
【0079】
実施例1
100mlの茄子型フラスコに(2S)−1,2−ジメトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラハイドロピリジン1.0g(5mmol)、テトラハイドロフラン10mlを加え、窒素気流下攪拌しながら0℃まで冷却した。この溶液に、ボラン−テトラハイドロフラン錯塩の1Mテトラハイドロフラン溶液5ml(5mmol)を加え、0℃で1時間攪拌した後、室温下で終夜反応を行った。その後、この反応溶液に10%の水酸化ナトリウム水溶液3mlと30%の加酸化水素水3mlを加えて1時間反応させた。反応終了後、この反応混合物を50mlの水にあけ、塩化メチレン50mlで抽出した。抽出操作を同様に2回繰り返した後、塩化メチレン溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウム分離後、塩化メチレンを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製したところ、無色の油状物が0.62g(収率57%)得られた。 この化合物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3460cm-1に水酸基に基づく吸収を、1736、1696cm-1にカルボニル基に基づく吸収を得た。
【0080】
さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0081】
【化11】
Figure 0004294747
【0082】
1.38〜1.87ppmにプロトン2個分の多重線を、1.93〜2.33ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(a)、(b)のメチレンプロトンに相当した。3.08〜3.32ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(e)のメチンプロトンに相当した。3.72ppmと3.75ppmにそれぞれプロトン3個分の一重線を示し、(f)、(g)のメチル基のプロトンに相当した。3.92〜4.24ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(d)のメチレンプロトンに相当した。4.81〜5.04ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(c)のメチンプロトンに相当した。
【0083】
また、質量スペクトルを測定した結果、m/e217にM+に対応するピークを示した。
【0084】
上記の結果から、単離生成物が(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジンであることを確認した。
【0085】
実施例2
出発原料を(2S)−1−エトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラハイドロピリジンに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、無色の油状物が0.74g(収率64%)得られた。
【0086】
この化合物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3460cm-1に水酸基に基づく吸収を、1738、1697cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。
【0087】
さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0088】
【化12】
Figure 0004294747
【0089】
1.10〜1.32ppmにプロトン3個分の三重線を示し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。1.36〜1.84ppmにプロトン2個分の多重線を、1.94〜2.35ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(a)、(b)のメチレンプロトンに相当した。3.10〜3.34ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(e)のメチンプロトンに相当した。3.75ppmにプロトン3個分の一重線を示し、(f)のメチル基のプロトンに相当した。3.88〜4.30ppmにプロトン2個分の多重線とプロトン2個分の四重線を示し、各々(d)、(g)のメチレンプロトンとに相当した。4.83〜5.06ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(c)のメチンプロトンに相当した。
【0090】
また、質量スペクトルを測定した結果、m/e231にM+に対応するピークを示した。
【0091】
上記の結果から、単離生成物が(2S,5R)−1−エトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジンであることを確認した。
【0092】
実施例3
出発原料を(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラハイドロピリジンに変換した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、無色の油状物が0.72g(収率56%)得られた。
【0093】
この化合物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3460cm-1に水酸基に基づく吸収を、1735、1694cm-1にカルボニル基に基づく吸収を得た。
【0094】
さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0095】
【化13】
Figure 0004294747
【0096】
1.47ppmにプロトン9個分の一重線を示し、(g)のt−ブチル基のプロトンに相当した。1.36〜1.84ppmにプロトン2個分の多重線を、1.93〜2.33ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(a)、(b)のメチレンプロトンに相当した。3.10〜3.34ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(e)のメチンプロトンに相当した。3.74ppmにプロトン3個分の一重線を示し、(f)のメチル基のプロトンに相当した。3.95〜4.20ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(d)のメチレンプロトンとに相当した。4.86〜5.09ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(c)のメチンプロトンに相当した。
【0097】
また、質量スペクトルを測定した結果、m/e259にM+に対応するピークを示した。
【0098】
上記の結果から、単離生成物が(2S,5R)−1−t−ブトキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジンであることを確認した。
【0099】
実施例4
出発原料を(2S)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラハイドロピリジンに変換した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、無色の油状物が0.80g(収率55%)得られた。
【0100】
この化合物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3460cm-1に水酸基に基づく吸収を、1736、1700cm-1にカルボニル基に基づく吸収を得た。
【0101】
さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0102】
【化14】
Figure 0004294747
【0103】
1.39〜1.87ppmにプロトン2個分の多重線を、1.93〜2.32ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(a)、(b)のメチレンプロトンに相当した。3.10〜3.33ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(e)のメチンプロトンに相当した。3.77ppmにプロトン3個分の一重線を示し、(f)のメチル基のプロトンに相当した。4.00〜4.26ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(d)のメチレンプロトンに相当した。4.90〜5.30ppmにプロトン3個分の多重線を示し、(c)のメチンプロトン及び(g)のメチレンプロトンに相当した。7.20〜7.27ppmにプロトン5個分の多重線を示し、(h)のベンゼン環のプロトンに相当した。
【0104】
また、質量スペクトルを測定した結果、m/e293にM+に対応するピークを示した。
【0105】
上記の結果から、単離生成物が(2S,5R)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジンであることを確認した。
【0106】
実施例5
出発原料を(2S)−1−フェノキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラハイドロピリジンに変換した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、淡黄色の油状物が0.81g(収率58%)得られた。 この化合物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3460cm-1に水酸基に基づく吸収を、1740、1708cm-1にカルボニル基に基づく吸収を得た。
【0107】
さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0108】
【化15】
Figure 0004294747
【0109】
1.41〜1.90ppmにプロトン2個分の多重線を、1.95〜2.34ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(a)、(b)のメチレンプロトンに相当した。3.11〜3.34ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(e)のメチンプロトンに相当した。3.79ppmにプロトン3個分の一重線を示し、(f)のメチル基のプロトンに相当した。4.02〜4.31ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(d)のメチレンプロトンに相当した。4.97〜5.84ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(c)のメチンプロトンに相当した。7.29〜7.44ppmにプロトン5個分の多重線を示し、(g)のベンゼン環のプロトンに相当した。
【0110】
また、質量スペクトルを測定した結果、m/e279にM+に対応するピークを示した。
【0111】
上記の結果から、単離生成物が(2S,5R)−1−フェノキシカルボニル−2−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジンであることを確認した。
【0112】
実施例6
出発原料を(2S)−1,2−ジベンジルオキシカルボニル−1,2,3,4−テトラハイドロピリジンに変換した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、淡黄色の油状物が0.93g(収率53%)得られた。
【0113】
この化合物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3460cm-1に水酸基に基づく吸収を、1750、1710cm-1にカルボニル基に基づく吸収を得た。
【0114】
さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0115】
【化16】
Figure 0004294747
【0116】
1.40〜1.91ppmにプロトン2個分の多重線を、1.98〜2.40ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(a)、(b)のメチレンプロトンに相当した。3.16〜3.42ppmにプロトン1個分の多重線を示し、(e)のメチンプロトンに相当した。4.00〜4.30ppmにプロトン2個分の多重線を示し、(d)のメチレンプロトンに相当した。4.98〜5.2ppmにプロトン5個分の多重線を示し、(c)のメチンプロトン及び(f)、(g)のメチレンプロトンに相当した。7.20〜7.38ppmにプロトン10個分の多重線を示し、(h)、(i)のベンゼン環に相当した。
【0117】
また、質量スペクトルを測定した結果、m/e369にM+に対応するピークを示した。
【0118】
上記の結果から、単離生成物が(2S,5R)−1,2−ジベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジンであることを確認した。
【0119】
実施例7〜12
出発原料及びホウ素化合物を表1に記載した化合物に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0120】
【表1】
Figure 0004294747
【0121】
参考例1(原料合成)
50mlの茄子型フラスコに(2S)−1,2−ジメトキシカルボニル−6−メトキシピペリジン9.2g(40mmol)、塩化アンモニウム約20mgを加えて120℃に加熱した。30分間加熱した後、生成物を減圧下(約20mmHg)で蒸留すると、(2S)−1,2−ジメトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラハイドロピリジンが6.77g(収率85%)得られた。
【0122】
参考例2
50mlの茄子型フラスコに、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−ヒドロキシピペリジン0.43g(2mmol)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン0.73g(6mmol)、塩化メチレン5mlを加えて0℃に冷却する。この溶液に、アセチルクロライド0.29ml(4mmol)を加えた後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、反応液を50mlの水にあけ、生成物を50mlの塩化メチレンで3回抽出を行った。塩化メチレン溶液を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、固体を濾別、塩化メチレンを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離精製したところ、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−アセトキシピペリジンが、0.47g(収率90%)で得られた。
【0123】
参考例2〜10
表2に示した出発原料、塩基及び水酸基の保護剤を使用した以外は参考例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示した。
【0124】
【表2】
Figure 0004294747
【0125】
参考例11
50mlの茄子型フラスコに、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル0.43g(2mmol)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン0.02g(0.1mmol)、塩化メチレン5mlを加えて攪拌する。この溶液に、ジ−t−ブトキシカルボニルジカーボネート0.52g(2.4mmol)を加えた後、室温で1時間攪拌した。反応終了後、塩化メチレンを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離精製したところ、(2S,5R)−1,2−ジメトキシカルボニル−5−t−ブトキシカルボニルオキシピペリジンが、0.52g(収率95%)で得られた。
【0126】
参考例12〜14
表3に示した出発原料を用いた以外は参考例9と同様の操作を行った。その結果を表3に示した。
【0127】
【表3】
Figure 0004294747

Claims (2)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004294747
    (但し、R 及びR は同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基である。)
    で示されるヒドロキシピペリジン誘導体の製造方法であって、
    一般式(II)
    Figure 0004294747
    (但し、R及びRは同種或いは異種のアルキル基、アリール基またはアラルキル基である。)
    で示されるテトラハイドロピリジン誘導体にホウ素化合物を付加させた後、塩基性条件下、過酸化物で処理することを特徴とする上記一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体の製造方法。
  2. 前記ホウ素化合物が、ボラン・テトラハイドロフラン錯塩、ボラン・ジメチルアミン錯塩、またはボラン・t-ブチルアミン錯塩であることを特徴とする請求項1に記載の上記一般式(I)で示されるヒドロキシピペリジン誘導体の製造方法。
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