JP2840849B2 - 鎖状ポリホスフィンボラン錯体およびその製造法、ならびにホスフィンボランスルホナート類およびその製造法 - Google Patents

鎖状ポリホスフィンボラン錯体およびその製造法、ならびにホスフィンボランスルホナート類およびその製造法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子材料特に有機導電体や有機半導体とし
て有用な鎖状ポリホスフィンボラン錯体およびその製造
法、ならびに鎖状ポリホスフィンボラン錯体を製造する
ための中間体であるホスフィボランスルホナート類およ
びその製造法に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] ホスフィンボラン錯体(R3P+−B-R′)はリン原子
上に+1の電荷が、ホウ素原子上に−1の電荷が存在す
る錯体化合物であり、通常の有機化合物と異なった性質
を有する。
従来、ポリホスフィンボラン錯体は環状ポリホスフィ
ンボラン錯体[(R2P+−B-R′)]、(ただし、R
はCH3、CF3、R′はH、CH3を表し、kは3、4を表
す。)についてのみ知られていた。
すなわち、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル
ソサエティ[(J.Am.Chem.Soc.,],75巻、3872〜3877
頁(1953年)に前記環状ポリホスフィンボラン錯体の合
成法が記載され、その要旨は次のとおりである。
(CH32P+H−B-H3→[(CH32P+−B-H2 (ただし、k=3、4) (CH32P+H−B-(CH32Br+(CH3CH23N →[(CH32P+−B-(CH3 また、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソ
サエティ,83巻、2226〜2231頁(1961年)には、次のよ
うな合成法が記載されている。
また、シンセシス アンド リアクティビティ イン
インオーガニック アンド メタル−オーガニック
ケミストリ[Synth.Reac.Inorg.Met.Org.Chem.,],15
巻、4号、401〜413頁(1985年)に、リンとホウ素との
結合化合物(CH33P−BH2X、(ただし、XはCl、Br、
Iを表す)の合成法が記載されている。これによると、
XがClである化合物は、 (CH33P−BH3+HCl→(CH33P−BH2−Cl の反応によって反応が進まず、 (CH33P+BH2−Cl→(CH33P−BH2−Cl の反応により合成されている。
この方法では、P−B結合の繰り返し単位を有する化
合物を合成することが困難である。
また、前記リンとホウ素との結合化合物(CH33P−B
H2Xにおいて、XがBrである化合物は、 (CH33P−BH3+HBr→(CH33P−BH2−Br の反応に従って、94%の高収率で得られると記載されて
いる。
しかし、本発明者の追試によると臭素原子が2個含ま
れる化合物が生成し、臭素原子が1個である目的化合物
を純粋に得ることが困難であり、反応条件の厳しい設定
が必要である。
上述のように従来のポリホスフィンボラン錯体は6員
環化合物あるいは8員環化合物のみしか得られず、鎖状
ポリホスフィンボラン錯体の合成が困難であった。
本発明の目的はP+−B-結合の繰り返し単位を有する新
規化合物である鎖状ポリホスフィンボラン錯体およびそ
の製造法、ならびにその製造上の中間体で、かつ新規化
合物であるホスフィンボランスルホナート類およびその
製造法を提供することにある。
[前記課題を解決するための手段] 本発明の鎖状ポリホスフィンボラン錯体は次式(I) (ただし、式中、各Rそれぞれは水素原子または炭素数
1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリール
基、アラルキル基を示し、mは2〜100の整数を示し、
各Rそれぞれは、互いに同一であっても相違していても
良く、また繰り返し単位内であるいは繰り返し単位毎
に、同一であっても、異なっていてもよい。) で表わされる。
その鎖状ポリホスフィンボラン錯体は、 式(II) (ただし、式中、各Rそれぞれは、水素原子または炭素
数1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基を示し、mは2〜100の整数を示
し、各Rそれぞれは、互いに同一であっても相違してい
ても良く、また繰り返し単位内であるいは繰り返し単位
毎に、同一であっても、異なっていてもよい。) で表わされるホスフィンボランスルホナート類と、式
(III) (ただし、式中、各Rそれぞれは、水素原子または炭素
数1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基を示し、各Rそれぞれは、互いに同
一であっても相違していてもよい。) で表わされるホスフィンボラン錯体とを反応させること
により製造され、 前記式(II)で表わされるホスフィンボランスルホナ
ート類は新規化合物であり、これは、 式 (ただし、式中、各Rそれぞれは水素原子または炭素数
1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリール
基、アラルキル基を示し、mは2〜100の整数を示し、
各Rそれぞれは、互いに同一であっても相違していても
良く、また繰り返し単位内であるいは繰り返し単位毎
に、同一であっても、異なっていてもよい。) で表わされるホスフィンボラン錯体とRSO3H(ただし、
式中のRは前記と同様の意味を表わす。)とを反応させ
ることにより製造される。
以下に本発明を詳細に説明する。
−鎖状ポリホスフィンボラン錯体− 本発明の鎖状ポリホスフィンボラン錯体を表わす前記
式(I)において、Rは、水素原子、炭素数1〜20の置
換または無置換のアルキル基、アリール基、アラルキル
基を示す。
前記Rの具体例として、メチル、エチル、1−プロピ
ル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、i−ブチ
ル、t−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−オ
クチルなどのアルキル基、フェニル、o−トリル、m−
トリル、p−トリル、p−エチルフェニル、1−ナフチ
ル、2−ナフチルなどのアリール基、ベンジル、1−フ
ェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロ
ピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、
クミルなどのアラルキル基を挙げることができる。
これらの基はフッ素、塩素など反応に不活性な基で置
換されていてもよい。
−鎖状ポリホスフィンボラン錯体の製造− 本願発明の鎖状ポリホスフィンボラン錯体は、前記式
(II)で表わされるホスフィンボランスルホナートと前
記式(III)で表わされるホスフィンボラン錯体とを反
応させることにより製造することができる。
前記式(II)および(III)中のRの具体例は、前記
式(I)中のRの具体例と同じである。
前記式(II)で表わされるホスフィンボランスルホナ
ートおよびその製造法については後述する。
前記式(III)で表わされるホスフィンボラン錯体
は、たとえば、ホスフィンとジボランンあるいはボラン
のテトラヒドロフラン錯体との反応によって製造するこ
とができる[有機合成化学協会誌、第45巻,第6号,第
593〜602頁(1987年)]。
ホスフィン・ボランスルホナートとホスフィンボラン
錯体との反応に際しては水素化ナトリウム、水素化リチ
ウム、水素化カルシウムのような金属水素化物を存在さ
せるのが好ましい。
これらは、反応容器へのホスフィン・ボランスルホナ
ートとホスフィンボラン錯体との添加と同時に反応容器
に加えても良いが、ホスフィンボラン錯体を、金属水素
化物と反応させることにより、ホスフィンボラン錯体の
アニオンとした後、これにホスフィン・ボランスルホナ
ートを加えて反応させるのが好ましい。
なお、前記金属水素物の代わりにナトリウム、リチウ
ムのようなアルカリ金属、マグネシウムのようなアルカ
リ土類金属を使用しても良い。
金属水素化物の使用量は、ホスフィンボラン錯体1モ
ルに対し、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルであ
る。
ホスフィン・ボランスルホナートの使用量は、ホスフ
ィンボラン錯体1モルに対し、0.1〜10モル、好ましく
は、0.7〜1.2モル使用する。
ホスフィン・ボランスルホナートとホスフィンボラン
錯体との反応は、通常、溶媒中で行なわれる。
前記溶媒として、ベンゼン、トルエンのような芳香族
炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭
化水素、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレ
ングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、N,
N−ジメチルホルムアミドのような酸アミドなどの、反
応に関与しない液状物質を使用することができるが、中
でもエーテル類が好ましい。
ホスフィン・ボランスルホナートとホスフィンボラン
錯体との反応における反応温度には、特に限定は無いの
であるが、通常、−30〜+100℃、好ましくは20〜70℃
である。
反応時間は使用する原料、溶媒、温度により変化する
が、通常、5分〜50時間、好ましくは1〜10時間で反応
が完結する。
反応の後処理には種々の方法があるが、例えば水また
は希塩酸を加えて反応を停止させた後、クロロホルムな
どの溶媒で抽出し、これを水洗、乾燥、溶媒留去するこ
とによりホスフィンボラン錯体を得ることができる。さ
らに精製が必要な場合は、再結晶、クロマトグラフィー
など既知の精製方法を用いて精製することができる。
−ホスフィンボランスルホナート− 鎖状ポリホスフィンボランスルホナート錯体の原料で
あり、前記式(II)で表わされるホスフィンボランスル
ホナートは、新規な化合物である。
このホスフィンボランスルホナートは、前述のよう
に、鎖状ポリホスフィンボラン錯体の製造原料として有
用である。
−ホスフィンボランスルホナートの製造方法− ホスフィンボランスルホナートは、前記式(IV)で表
わされるホスフィンボラン錯体とRSO3H(ただし、式中
のRは前記と同様の意味を表わす。)とを反応させるこ
とにより容易に合成することができる。
前記式(IV)中のRは前記と同様の意味を示すのでそ
の詳細な説明を省略する。
前記式(IV)で表わされるホスフィンボラン錯体は、
mが2の場合に前記式(III)で表わされるホスフィン
ボラン錯体の製造法と同様にして製造することができ、
mが3の場合には請求項2に記載の製造法を用いて製造
することができる。ここで、原料としてのホウ素化合物
は、目的とするホスフィンボランスルホナートに応じて
適宜に使用すれば良い。
また、RSO3Hで表わされるスルホン酸としては、例え
ば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、1−ヘキシルスルホン酸、1−デカンスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、
トルエンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、
ナフタレンスルホン酸などを挙げることができる。
これらのスルホン酸が水和物であるときには、加熱な
ど適宜の方法により予め水を除去してから前記スルホン
酸を反応に供するのが好ましい。
前記各種のスルホン酸の中でもいずれが好ましいか
は、合成操作の容易さ、反応生成物の結晶性などを考慮
して適宜に決定することができる。たとえば、メタンス
ルホン酸は液体であるため、添加操作が容易である。結
晶性の良好な生成物が必要な場合には芳香族スルホン酸
が好適である。
スルホン酸の使用量は、ホスフィン・ボランスルホナ
ート1モルに対し、通常0.5〜50モル、好ましくは1〜
5モルである。スルホン酸の量がこれより少ないと収率
が低下し、多いと収率の改善がみられないことがある。
溶媒は必要に応じて使用することができる。
使用に供する溶媒として、たとえば、ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族系溶媒、石油エーテル、ヘ
キサン、シクロヘキサンなどの脂肪族系溶媒、ジクロロ
メタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタ
ン、クロロベンゼンなどの塩素系溶媒などが挙げられ
る。
これらの中でも、特に、ジクロロエタン、クロロホル
ム、四塩化炭素が好ましい。
メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系
溶媒は反応が円滑に進行しないことがあるので、使用さ
れないことがある。
なお、前記溶媒中の水分は予め充分に除去しておくの
が好ましい。
反応温度には、特に限定はないのであるが、通常、−
20〜100℃、好ましくは0〜60℃である。
反応原料の添加順序に限定はなく、ホスフィン−ボラ
ン錯体にスルホン酸を添加しても、その逆であっても良
いが、溶媒に溶解したホスフィン−ボラン錯体にスルホ
ン酸を撹拌下に添加するのが好ましい。
なお、添加時に水素ガスの発生があるので、これによ
り反応の進行を確認することができる。
反応時間は使用する原料、溶媒、反応時間により変化
するが、通常1分から20時間、好ましくは10分〜5時間
で反応が完了する。
反応はほぼ定量的に進行することから、反応後、過剰
に使用したスルホン酸を除去し、溶媒を留去するだけで
生成物を得ることができる。
生成物が水分に対して安定であれば中性、あるいは塩
基性条件下で水洗することでスルホン酸を除去すること
ができる。
生成物が水分に対して不安定であればシリカゲル、ア
ルミナ、ケイソウ土などのカラムを通すことでスルホン
酸を除去することができる。
炭酸水素カリウムなどを加えてスルホン酸を塩にした
後カラムを通してもよい。
この製造法により得られるホスフィンボランスルホナ
ートを特に単離する必要がない場合には反応混合物のま
ま、あるいはスルホン酸を除去した後、次の反応に供す
ることもできる。
単離した生成物は再結晶、その他の常法により生成す
ることができる。
[実施例] (実施例1) −−トリメチルホスフィン−メタンスルホニルオキシボ
ラン錯体の合成−− 反応式 (CH33P+−B-H3+CH3SO3H →(CH33P+−B-H2OSO2CH3 テフロンで被覆された磁気撹拌子を入れた内容積100m
lのガラス製二口フラスコの主管にアルゴンガスを充填
したゴム球を取り付け、また側管にゴム栓を取り付け
た。
このフラスコにモレキュラーシーブで乾燥した塩化メ
チレン30ml、トリメチルホスフィン−ボラン錯体[(CH
33P+−B-H3]0.545g(6.06ミリモル)を加えた。
室温下に撹拌しながら、フラスコ内にメタンスルホン
酸(比重1.481)0.30ml(4.62ミリモル)を加え、引続
き室温で30分撹拌した。
その後、メタンスルホン酸0.47ml(7.24ミリモル)を
加え、室温で50分撹拌した。
その後、炭酸水素カリウム0.70g(7.0ミリモル)を加
えて反応を停止した。
反応混合物をシリカゲル10mlを詰めたガラスカラムの
上部に加え、酢酸エチル100mlで溶出した。
流出液をフラスコに移し、ロータリーエバポレーター
で溶媒を留去して白色固体0.992gを得た。
この白色固体を分析することにより、トリメチルホス
フィン−メタンスルホニルオキシボラン錯体(5.39ミリ
モル)であると同定した。その収率は、89%であった。
分析結果を以下に示す。
融 点 87−93℃ FAB 質量分析 m/e 183(M−1) 赤外線吸収スペクトル 3010、2400、1400、1310cm-1 プロトン核磁気共鳴スペクトル δ1.35(d、j=12Hz、9H)、2.81(s、3H) (実施例2) −−トリメチルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフ
ィン−ボラン錯体の合成−− 反応式 (CH33P+−B-H2OSO2CH3+Ph2P+H−B-H3+NaH →(CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H3 テフロンで被覆された磁気撹拌子を入れた内容積30ml
のガラス製二口フラスコの主管にアルゴンガスを充填し
たゴム球を取り付け、また側管にゴム栓を取り付けた。
このフラスコに、濃度が60重量%である水素化ナトリ
ウム−流動パラフィン懸濁液0.30g(7.5ミリモル)を加
え、1回当り5mlの乾燥ヘキサンを用いて2回洗浄し、
流動パラフィンを除去した。
その後、フラスコ内に、乾燥テトロヒドロフラン6m
l、ジフェニルホスフィン−ボラン錯体(Ph2P+H−B
-H3)0.227g(1.14ミリモル)を加えた。
さらに室温下に撹拌しながら実施例1で得たトリメチ
ルホスフィン−メタンスルホニルオキシボラン錯体
[(CH33P+−B-H2OSO2CH3]0.204g(1.11ミリモル)
を加え、引続き室温で2時間撹拌した。
その後、反応混合物に水2mlを加えて反応を停止し、
1回当り10mlのクロロホルムを用いて3回抽出した。
抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、抽出液
をフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶媒を
留去して白色固体0.306gを得た。
この白色固体を酢酸エチルとn−ヘキサンとの1:5の
混合物から再結晶してから分析することにより、トリメ
チルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−ボラ
ン錯体(1.06ミリモル)であると同定した。その収率
は、96%であった。
分析結果を以下に示す。
融 点 122−123℃ FAB 質量分析 m/e 287(M+) 質量分析 m/e 274(M−BH3) 元素分析 (C15H24B2P2) 測定値 C=62.30、H:8.37 計算値 C=62.57、H:8.40 赤外線吸収スペクトル 3040、2350、1480、1430、1070cm-1 プロトン核磁気共鳴スペクトル δ6.9−7.9(m、10H)、1.30(d、J=12Hz、9
H) (実施例3) −−トリメチルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフ
ィン−メタンスルホニルオキシボラン錯体の合成−− 反応式 (CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H3+CH3SO3H →(CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H2OSO2CH3 テフロンで被覆した磁気撹拌子を入れた内容積100ml
のガラス製二口フラスコの主管にアルゴンガスを充填し
たゴム球を取り付け、また側管にゴム栓を取り付けた。
このフラスコにモレキュラーシーブで乾燥した塩化メ
チレン10ml、トリメチルホスフィン−ボラン−ジフェニ
ルホスフィン−ボラン錯体[(CH33P+−B-H2−P+Ph2
−B-H3]0.863g(3.00ミリモル)を加えた。
さらに室温下に撹拌しながら、フラスコ内にメタンス
ルホン酸(比重1.481)0.33ml(5.01ミリモル)を加
え、引続き室温で2時間撹拌した。
その後、炭酸水素カリウム0.32g(3.2ミリモル)を加
えて反応を停止した。
反応混合物をシリカゲル10mlを詰めたガラスカラムの
上部に加え、酢酸エチル100mlで溶出した。
流出液をフラスコに移し、ロータリーエバポレーター
で溶媒を留去して白色固体1.146ggを得た。
この白色固体を分析することにより、トリメチルホス
フィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−メタンスルホ
ニルオキシボラン錯体(3.00ミリモル)であると同定し
た。その収率は、100%であった。
分析結果を以下に示す。
融 点 82〜85℃ FAB 質量分析 m/e 183(M−1) 赤外線吸収スペクトル 3000、2400、1440、1320cm-1 プロトン核磁気共鳴スペクトル δ1.35(d、j=12Hz、9H)、2.68(s、3H) 7.15−7.90(m、10H) (実施例4) −−トリメチルホルフィン−ボラン−ジフェニルホスフ
ィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−ボラン錯体の合
成−− 反応式 (CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H2OSO2CH3 +Ph2P+H−B-H3+NaH →(CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H2−P+Ph2−B-H3 テフロンで被覆された磁気撹拌子を入れた内容積30ml
のガラス製二口フラスコの主管にアルゴンガスを充填し
たゴム球を取り付け、また側管にゴム栓を取り付けた。
このフラスコに濃度が60重量%の水素化ナトリウム−
流動パラフィン懸濁液0.90g(22.5ミリモル)を加え、
1回当り5mlの乾燥ヘキサンで3回洗浄することによ
り、流動パラフィンを除去した。
その後に、フラスコ内に乾燥テトラヒドロフラン18m
l、ジフェニルホスフィン−ボラン錯体(Ph2P+H−B
-H3)1.524g(7.52ミリモル)を加えた。
さらに室温下で撹拌しながら前記実施例3で得たトリ
メチルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−メ
タンスルホニルオキシボラン錯体[(CH33P+−B-H2
P+Ph2−B-H2OSO2CH3]1.819g(4.75ミリモル)を加え、
引続き室温で2時間撹拌した。
その後、氷冷下に、反応混合物に希塩酸10mlを加えて
反応を停止し、1回当り50mlのクロロホルムで3回抽出
した。
抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、抽出液
をフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶媒を
留去した。
これにエーテル10mlを加え、析出した白色粉末を濾過
し、エーテルで洗浄した。
得られた白色固体を酢酸エチルとn−ヘキサンとの1:
5の混合物から再結晶してから分析することにより、ト
リメチルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−
ボラン−ジフェニルホスフィン−ボラン錯体1.818g(3.
74ミルモル)であると同定した。その収率は79%であっ
た。
分析結果を以下に示す。
融 点 143〜144℃ 質量分析 m/e 472(M−BH3) 元素分析 (C27H36B3P3) 測定値 C:66.56、H:7.30 計算値 C:66.74、H:7.47 赤外線吸収スペクトル 3040、2320、1480、1430、1060cm-1 プロトン核磁気共鳴スペクトル δ1.17(α,j=12Hz,9H) 2.17(s,3H) 6.8−7.8(m,20H) (実施例5) −−トリメチルホルフィン−ボラン−ジフェニルホスフ
ィン−ボラン−ジフェニホスフィン−メタンスルホニル
オキシボラン錯体の合成−− 反応式 (CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H2−P+Ph−B-H3 +CH3SO3H→ (CH33P+−B-H2−P+Ph2−BH2−P+Ph−B-H2OSO2CH3 テフロンで被覆された磁気撹拌子を入れた内容積30ml
のガラス製二口フラスコの主管にアルゴンガスを充填し
たゴム球を取り付け、また側管にゴム栓を取り付けた。
このフラスコにモレキュラーシーブで乾燥した塩化メ
チレン5ml、トリメチルホスフィン−ボラン−ジフェニ
ルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−ボラン
錯体[(CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H2−P+PH2−B-H3
0.2412g(0.50ミリモル)を加えた。
さらに室温下に撹拌しながら、フラスコ内にメタンス
ルホン酸(比重1.481)0.045ml(0.70ミリモル)を加
え、引続き室温で2時間撹拌した。
その後、炭酸水素カリウム30mg(0.30ミリモル)を加
えて反応を停止した。
反応混合物をシリカゲル3mlを詰めたガラスカラムの
上部に加え、酢酸エチル50mlで溶出した。
流出液をフラスコに移し、ロータリーエバポレーター
で溶媒を留去して白色固体のトリメチルホスフィン−ボ
ラン−ジフェニルホスフィン−ボラン−ジフェニルホス
フィン−メタンスルホニルオキシボラン錯体0.290g(0.
50ミリモル)を得た。その収率は、100%であった。
(実施例6) −−トリメチルホルフィン−ボラン−ジフェニルホスフ
ィン−ボラン−ジフェニホスフィン−ボラン−ジフェニ
ホスフィン−ボラン錯体の合成−− 反応式 (CH3)P+−B-H2−P+Ph2−B-H2−P+Ph2−B-H2OSO2CH3 +Ph2P+H−B-H3+NaH→ (CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H2−P+Ph2−B-H2−P+Ph2−B-H3 テフロンで被覆された磁気撹拌子を入れた内容積30ml
のガラス製二口フラスコの主管にアルゴンガスを充填し
たゴム球を取り付け、また側管にゴム栓を取り付けた。
このフラスコに濃度が60重量%の水素化ナトリウム−
流動パラフィン懸濁液0.12g(3.0ミリモル)を加え、1
回当り5mlの乾燥ヘキサンで3回洗浄し、流動パラフィ
ンを除去した。
その後、フラスコ内に乾燥テトラヒドロフラン5mlを
加え、氷冷に撹拌しながら、ジフェニルホスフィン−ボ
ラン錯体(PH2P+H−B-H3)0.201g(1.00ミリモル)をフ
ラスコ内に加え、引続き室温下で2時間撹拌した。
さらに室温下に撹拌しながら、実施例5で得たトリメ
チルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−ボラ
ン−ジフェニルホスフィン−メタンスルホニルオキシボ
ラン錯体[(CH33P+−B-H2−P+Ph2−B-H2−P+PH2−B-
H2OSO2CH3]0.291g(0.50ミリモル)を加え、室温下に
5時間撹拌した。
その後、反応混合物に氷冷下、反応混合物に希塩酸10
mlを加えて反応を停止し、毎回10mlのクロロホルム10m
で3回抽出した。
抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、フラスコに
移し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。こ
れを小量の塩化メチレンに溶解し、シリカゲル薄層クロ
マトグラフィー(展開液:酢酸エチルとn−ヘキサンと
の1:1混合物)により精製し、白色固体82.1mgを得た。
この白色固体を分析することにより、トリメチルホス
フィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−ボラン−ジフ
ェニルホスフィン−ボラン−ジフェニルホスフィン−ボ
ラン錯体(0.12ミリモル)であると同定した。その収率
は24%であった。
結果を以下に示す。
融 点 170〜171℃ 元素分析 (C39H43B4P4) 測定値 C:68.21、H:6.88 計算値 C: 8.49、H:7.07 赤外線吸収スペクトル 3030、23 0、1480、1430、950cm-1 プロトン核磁気共鳴スペクトル δ6.5−7.6(m、30H)、0.9−1.2(m、9H) [発明の効果] 本発明によると、電子材料、特に有機導電体、有機半
導体として有用な鎖状ポリホスフィンボラン錯体を提供
することができる。有機導電体として使用する場合、金
属と比較して比重が小さいために電子・電気機器を軽量
化することができる。また、溶媒に可溶なことから印刷
により容易に回路を製造することができ、電子・電気機
器の生産性が向上する。
また、前記有用な鎖状ポリホスフィンボラン錯体は、
ポリホスフィンボランスルホナートとホスフィンボラン
錯体とを反応させることにより簡単に製造することがで
きる。
そして、本発明により、前記有用な鎖状ポリホスフィ
ンボラン錯体の製造に際する有用な中間体であるポリホ
スフィンボランスルホナートを提供することができ、こ
れはホスフィンボラン錯体とスルホン酸とにより簡単に
製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り Tetrahedr on Letters 第30巻第3号第383〜384頁(平 成元年発行)に発表

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(I)で示されることを特徴とする鎖
    状ポリホスフィンボラン錯体。 (ただし、式中、各Rそれぞれは、水素原子または炭素
    数1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリー
    ル基、アラルキル基を示し、mは2〜100の整数を示
    し、各Rそれぞれは、互いに同一であっても相違してい
    ても良く、また繰り返し単位内であるいは繰り返し単位
    毎に、同一であっても、異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】次式(II) (ただし、式中、各Rそれぞれは、水素原子または炭素
    数1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリー
    ル基、アラルキル基を示し、mは2〜100の整数を示
    し、各Rそれぞれは、互いに同一であっても相違してい
    ても良く、また繰り返し単位内であるいは繰り返し単位
    毎に、同一であっても、異なっていてもよい。) で表わされるホスフィンボランスルホナート類と、式
    (III) (ただし、式中、各Rそれぞれは、水素原子または炭素
    数1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリー
    ル基、アラルキル基を示し、各Rそれぞれは、互いに同
    一であっても相違していてもよい。) で表わされるホスフィンボラン錯体とを反応させること
    を特徴とする前記請求項1に記載の鎖状ポリホスフィン
    ボラン錯体の製造法。
  3. 【請求項3】前記請求項2に記載の式(II)で表わされ
    るホスフィンボランスルホナート類。
  4. 【請求項4】式 (ただし、式中、各Rそれぞれは、水素原子または炭素
    数1ないし20の置換または無置換のアルキル基、アリー
    ル基、アラルキル基を示し、mは2〜100の整数を示
    し、各Rそれぞれは、互いに同一であっても相違してい
    ても良く、また繰り返し単位内であるいは繰り返し単位
    毎に、同一であっても、異なっていてもよい。) で表わされるホスフィンボラン錯体とRSO3H(ただし、
    式中のRは前記と同様の意味を表わす。)とを反応させ
    ることを特徴とする請求項2に記載の式(II)で表わさ
    れるホスフィンボランスルホナート類の製造法。
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