JP4346262B2 - 内燃機関の始動方法および始動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動時に電動機により回転駆動されるクランク軸を備える内燃機関において、電動機と、クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁を所定のデコンプリフト量だけ開弁させて内燃機関の圧縮行程での圧縮圧力を減圧させるデコンプ機構とを備える始動装置および該始動装置を備える内燃機関の始動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
始動時にスタータモータにより回転駆動されるクランク軸を備える内燃機関は周知である。また、クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁を開弁させるデコンプ機構を備えた内燃機関も知られており、例えば、特公平6−70366号公報には、デコンプ用カムと、カム軸に一方向クラッチを介してカム軸に支持される逆転用デコンプカムとを有するデコンプ装置が開示されている。逆転用デコンプカムは、内燃機関の停止の際に、圧縮行程にあるピストンが圧縮圧力により僅かに戻されて、カム軸が逆回転した場合に、一方向クラッチによりカム軸と一体に回転して、排気弁を開弁させ、次の始動時に燃焼室内の圧縮圧力を減少させる。また、デコンプ用カムは、内燃機関の停止の際にカム軸が逆回転することがない場合(例えば、ピストンが膨張行程にある場合)に、次の始動時の圧縮行程で排気弁を開弁させて燃焼室内の圧縮圧力を減少させる。そして、このデコンプ装置によれば、いずれもの場合にも、始動後の最初の圧縮行程においてのみ、圧縮圧力を減少させるためのデコンプ作用が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来のデコンプ装置では、内燃機関の始動開始時に、カム軸は内燃機関の前回の停止時での位置から正回転することになり、クランク軸が正回転してからデコンプ作用が解除された後の最初の圧縮行程開始点(圧縮下死点)までのクランク角度(以下、「助走角度」という。)は、内燃機関停止時のカム軸の停止位置により決定されるので、その停止位置によっては、十分な助走角度を確保することができずに、クランク軸の回転速度(角速度)が、ピストンがデコンプ作用解除後の最初の圧縮上死点を乗り越えるほど十分でなく、始動が円滑に行われないことがある。特に低温時始動時等で内燃機関の摺動摩擦が大きいときには、そのような事態が生じ易い。そこで、前記最初の圧縮上死点を確実に乗り越えることができるようにするためには、内燃機関をスタータモータで始動させる場合、その発生駆動トルクを大きくする必要があって、始動用電動機が大型化する難点があった。また、前記従来のデコンプ装置では、始動開始後の最初の圧縮行程でのみデコンプ作用が行われるため、助走角度を大幅に大きくすることは困難であった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、助走角度をより大きくすることにより、始動時にクランク軸を回転駆動する電動機の大型化を回避したうえで、デコンプ作用解除後の最初の圧縮上死点の乗り越えを容易にする内燃機関の始動方法および始動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、始動時に電動機によりクランク軸を回転駆動させ、前記クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁をデコンプ機構により開弁させる内燃機関の始動方法において、前記デコンプ機構は、前記カム軸に設けられたデコンプカムを有し、該デコンプカムは、前記カム軸の逆回転方向での第1停止位置と前記カム軸の正回転方向での第2停止位置との間で前記カム軸の回転方向に回転可能とされると共に、前記機関弁が、前記第1停止位置で開弁状態となり、前記第2停止位置で閉弁状態となるカムプロフィルを有し、始動開始時に前記電動機で前記クランク軸を逆回転させることにより前記デコンプカムを逆回転させて前記第1停止位置に位置させ、その後、前記電動機で前記クランク軸を正回転させることにより前記デコンプカムを正回転させ、前記デコンプカムが前記第2停止位置に達するまでの間において、前記電動機により逆回転された所定クランク角度の範囲に含まれる圧縮行程および前記デコンプカムが正回転した後の最初の圧縮行程のいずれかに該当する圧縮行程では、前記デコンプカムにより前記機関弁を開弁状態にする内燃機関の始動方法である。
【0006】
この請求項1記載の発明によれば、始動開始時に、電動機でクランク軸を所定クランク角度だけ逆回転させることによりデコンプカムを逆回転させた後、正回転させることにより、クランク軸の逆回転時には、デコンプカムを逆回転させて第1停止位置に位置させて、デコンプカムにより機関弁を開弁状態にすることができるようにし、クランク軸の正転開始後は、デコンプカムを正回転させる。そして、デコンプカムが第2停止位置に達するまでの間において、逆回転された前記所定クランク角度の範囲に含まれる圧縮行程およびデコンプカムが正回転した後の最初の圧縮行程のいずれかに該当する圧縮行程で、デコンプ作用がなされる。
【0007】
その結果、次の効果が奏される。すなわち、クランク軸の回転位置が、内燃機関の始動開始時の回転位置よりも前記所定クランク角度だけ逆回転された分、助走角度が大きくなって、デコンプ作用解除後の最初の圧縮開始点でのクランク軸の回転速度が大きくなるので、デコンプ作用解除後の最初の圧縮上死点を乗り越えることが容易になって、クランク軸を回転駆動する電動機の大型化を回避したうえで始動性が向上する。しかも、内燃機関の始動開始時のクランク軸の回転位置に拘わらず、クランク軸の逆回転時にデコンプカムを第1停止位置に位置させることで、クランク軸の正回転開始時には、常に、デコンプカムの一定の位置で機関弁を開弁状態にすることができるので、デコンプカムにより機関弁を開弁状態にし得る角度範囲を、始動時毎に一定に設定することができて、従来技術よりも大きくとれる助走角度を確実に確保できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、始動時に電動機によりクランク軸を回転駆動させ、前記クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁をデコンプ機構により開弁させる内燃機関の始動方法において、前記デコンプ機構は、前記カム軸に設けられたデコンプカムを有し、該デコンプカムは、前記カム軸の逆回転方向での第1停止位置と前記カム軸の正回転方向での第2停止位置との間で前記カム軸の回転方向に回転可能とされると共に、前記機関弁が、前記第1停止位置で開弁状態となり、前記第2停止位置で閉弁状態となるカムプロフィルを有し、始動開始時に前記電動機で前記クランク軸を逆回転させることにより前記デコンプカムを逆回転させて前記第1停止位置に位置させ、その後、前記電動機で前記クランク軸を正回転させることにより前記デコンプカムを正回転させ、前記デコンプカムが前記第2停止位置に達するまでの間での複数回の圧縮行程において、前記デコンプカムにより機関弁を開弁状態にする内燃機関の始動方法である。
【0009】
この請求項2記載の発明によれば、始動開始時に、電動機でクランク軸を所定クランク角度だけ逆回転させることによりデコンプカムを逆回転させた後、正回転させることにより、クランク軸の逆回転時には、デコンプカムを逆回転させて第1停止位置に位置させて、デコンプカムにより機関弁を開弁状態にすることができるようにし、クランク軸の正転開始後は、デコンプカムを正回転させる。そして、デコンプカムが正回転して第2停止位置に達するまでの間において、複数回の圧縮行程でデコンプ作用がなされる。
【0010】
その結果、クランク軸の正転開始後に、最低でも2回の圧縮行程でデコンプ作用がなされて助走角度が大きくなるうえ、請求項1記載の発明と同様の効果が奏される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の内燃機関の始動方法において、前記デコンプカムを前記第1停止位置に位置させた後、前記電動機により前記クランク軸をさらに逆回転させるものである。
【0012】
この請求項3記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果がさらに増大する。すなわち、クランク軸は、デコンプカムが第1停止位置に位置した後、さらに逆回転されるので、その分、助走角度がさらに大きくなって、デコンプ作用解除後の最初の圧縮開始点でのクランク軸の回転速度が大きくなり、デコンプ作用解除後の最初の圧縮上死点を一層乗り越え易くなる。
【0013】
請求項4記載の発明は、始動時にクランク軸を回転駆動する電動機と、該電動機による前記クランク軸の回転駆動を制御する制御手段と、前記クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁を開弁させるデコンプ機構とを備える内燃機関の始動装置において、
前記デコンプ機構は、前記カム軸の逆回転方向での第1停止位置を規定する逆転ストッパと前記カム軸の正回転方向での第2停止位置を規定する正転ストッパとの間で前記カム軸の回転方向に回転可能に前記カム軸に設けられ、かつ前記機関弁が、前記第1停止位置で開弁状態となり、前記第2停止位置で閉弁状態となるカムプロフィルを有するデコンプカムと、前記クランク軸の逆回転時に前記カム軸と前記デコンプカムとが相対回転不能になる拘束状態を確立して前記カム軸から前記デコンプカムに逆回転トルクを伝達すると共に、前記クランク軸の正回転時に前記カム軸と前記デコンプカムとが相対回転可能になる非拘束状態を確立して前記カム軸から前記デコンプカムに正回転方向の連れ回りトルクを伝達するトルク伝達手段と、前記第1停止位置および前記第2停止位置の間で前記デコンプカムの正回転方向での連れ回りを阻止および許容する回転制御手段とを有し、前記電動機は、前記制御手段により、始動開始時に前記クランク軸を所定クランク角度だけ逆回転させ、その後に正回転させ、前記デコンプカムは、前記クランク軸の前記所定クランク角度での逆回転時に、前記トルク伝達手段により逆回転させられて前記第1停止位置を占め、前記クランク軸の正回転時に、前記トルク伝達手段と前記回転制御手段とにより、前記デコンプカムが前記第2停止位置に達するまでの間において、逆回転された前記所定クランク角度の範囲に含まれる圧縮行程および前記デコンプカムが正回転した後の最初の圧縮行程のいずれかに該当する圧縮行程では、前記機関弁を開弁状態にする内燃機関の始動装置である。
【0014】
この請求項4記載の発明によれば、始動開始時に、電動機が、クランク軸を所定クランク角度だけ逆回転させ、その後、正回転させて、クランク軸の逆回転時には、拘束状態となるトルク伝達手段によりカム軸と一体にデコンプカムを逆回転させて逆転ストッパに当接させ、デコンプカムが機関弁を開弁状態にすることができる第1停止位置を占めるようにし、クランク軸の正転開始後は、トルク伝達手段と回転制御手段とにより、デコンプカムを正回転させたり、停止させたりして、デコンプカムが正転ストッパに当接する第2停止位置に達するまでの間において、逆回転された前記所定クランク角度の範囲に含まれる圧縮行程およびデコンプカムが正回転した後の最初の圧縮行程のいずれかに該当する圧縮行程で、機関弁を開弁状態にしてデコンプ作用がなされる。その結果、請求項1記載の発明の効果と同様の効果が奏される。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の内燃機関の始動装置において、前記トルク伝達手段は、前記カム軸から前記デコンプカムへのトルク伝達経路で直列に設けられた一方向クラッチとトルクリミッタとから構成され、前記一方向クラッチは、前記クランク軸の逆回転時に前記拘束状態を確立すると共に、前記クランク軸の正回転時に前記非拘束状態を確立して前記カム軸から前記デコンプカムに前記連れ回りトルクを伝達し、前記トルクリミッタは、前記第1停止位置を占めている前記デコンプカムに前記カム軸から伝達される逆回転トルクを、上限トルク以下に制限すると共に該上限トルクを越える逆回転トルクが前記カム軸に作用したとき前記カム軸のみを逆回転させ、前記電動機は、前記デコンプカムを前記第1停止位置に位置させた後、さらに前記クランク軸を逆回転させるものである。
【0016】
この請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、トルク伝達手段は、カム軸からデコンプカムへのトルク伝達経路で直列に設けられた一方向クラッチとトルクリミッタとから構成され、一方向クラッチにより、カム軸とデコンプカムとが相対回転不能になるクランク軸の逆回転時に、このトルクリミッタにより、簡単な構造で、デコンプカムが逆転ストッパに当接して、第1停止位置に止まっている状態のまま、クランク軸はさらに逆回転されるので、その分、助走角度がさらに大きくなって、デコンプ作用解除後の最初の圧縮開始点でのクランク軸の回転速度が大きくなり、デコンプ作用解除後の最初の圧縮上死点を一層乗り越え易くなる。さらに、トルクリミッタにより、デコンプカム、逆転ストッパおよび一方向クラッチに過大のトルクが作用するのを防止できる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5記載の内燃機関の始動装置において、前記回転制御手段は、前記動弁カムのデコンプ時作動角の範囲で前記デコンプカムの連れ回りを許容し、前記デコンプカムの有効作動角は、前記デコンプ時作動角よりも大きいものである。
【0018】
この請求項6記載の発明によれば、デコンプカムの有効作動角は、始動時にデコンプカムにより開弁される機関弁を開閉させる動弁カムのデコンプ時作動角よりも大きいので、正回転開始後の最初の機関弁の動弁カムによる開弁によりデコンプ作用が解除されず、その後の2回目以降の機関弁の動弁カムによる開弁時にデコンプ作用が解除される。その結果、デコンプカムのカムプロフィルの形状の設定により、簡単な構造で、引用された請求項記載の発明の効果が奏される。
【0019】
なお、この明細書において、各種の作動角および各種の角度は、クランク軸の回転角度を意味する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1〜図14を参照して説明する。
図1,図2を参照すると、本発明が適用される内燃機関Eは、自動2輪車に搭載されるSOHC型の単気筒4ストローク内燃機関であり、この内燃機関Eは、シリンダ1と、該シリンダ1の上端部に結合されるシリンダヘッド2と、該シリンダヘッド2の上端部に結合されるシリンダヘッドカバー3と、シリンダ1の下端部に結合されて、クランク軸4を回転可能に支持するクランクケース(図示されず)とを備える。シリンダ1に形成されるシリンダ孔1aに摺動可能に嵌合されるピストン5は、コンロッド6を介してクランク軸4に連結され、クランク軸4は往復動するピストン5により回転駆動される。そして、クランク軸4は、内燃機関Eの始動時には、正回転および逆回転可能な電動機としてのスタータモータMにより回転駆動され、該スタータモータMは、スタータスイッチWおよび回転位置センサGからの信号が入力される制御手段としての電子制御装置Cからの出力信号に基づいてその駆動が制御される。
【0021】
シリンダヘッド2には、シリンダ孔1aの上方の燃焼室7に連通する吸気ポート8および排気ポート9が形成され、吸気ポート8の燃焼室7への開口である吸気弁口8aを開閉する吸気弁10、および排気ポート9の燃焼室7への開口である排気弁口9aを開閉する排気弁11が配設される。機関弁としての吸気弁10および排気弁11は、それぞれの先端部に一体に装着されるリテーナ12とシリンダヘッド2との間に装着される弁バネ13,14により、吸気弁口8aおよび排気弁口9aをそれぞれ閉塞するように付勢される。さらに、シリンダヘッド2には、図示されない吸気装置から吸気ポート8を経て燃焼室7に吸入された混合気を燃焼させる点火栓15が、燃焼室7に臨んで螺着される。
【0022】
シリンダヘッド2およびシリンダヘッドカバー3により形成される動弁室V内には、吸気弁10と排気弁11との間に配置されるカム軸16が、1対のボールベアリング17を介してシリンダヘッド2に回転可能に支持され、カム軸16の一端に設けられる被動スプロケット18と、クランク軸4に設けられる駆動スプロケット19と、両スプロケット18,19に掛け渡されるタイミングチエーン20とからなる駆動機構により、カム軸16が、クランク軸4の回転速度の1/2の回転速度で、クランク軸4に同期して回転駆動される。
【0023】
さらに、動弁室V内には、吸気弁10とカム軸16との間および排気弁11とカム軸16との間に、それぞれカム軸16に平行に配置される1対のロッカ軸21,22がシリンダヘッド2に固定され、それらロッカ軸21,22に吸気ロッカアーム23および排気ロッカアーム24がそれぞれ揺動可能に支持される。吸気ロッカアーム23および排気ロッカアーム24の一端部には、吸気弁10および排気弁11の先端部に当接し得るタペットネジ25が調整可能に螺着されて、ロックナット26により固定され、吸気ロッカアーム23および排気ロッカアーム24の他端部は、1対の支持部23a,23b;24a,24bにより二叉状に形成され、該1対の支持部23a,23b;24a,24bの間に形成される開口部に収容されるローラ27およびローラ28が、1対の支持部23a,23b;24a,24bに嵌着された支持軸29に、ニードルベアリング30を介してそれぞれ回転可能に支持される。
【0024】
そして、ローラ27およびローラ28は、カム軸16に設けられた動弁カムとしての吸気カム31および排気カム32に転がり接触する。排気カム32は、ベース円部32aと、開弁期間を規定する所定の作動角A2(図7参照)および所定のリフト量を規定するカムリフトを持つリフト部32bとから形成されるカムプロフィルを有し、吸気カム31もベース円部とリフト部とから形成されるカムプロフィルを有し、それらカムプロフィルに応じて揺動される吸気ロッカアーム23および排気ロッカアーム24が、弁バネ13,14と協働して、吸気弁10および排気弁11をそれぞれ開閉する。それゆえ、両ロッカアーム23,24は、対応する吸気カム31および排気カム32の動きに追従して、吸気弁10および排気弁11を開閉するカムフォロアとなっている。
【0025】
図3〜図5を併せて参照すると、さらに、カム軸16には、内燃機関Eの始動時に、圧縮行程での燃焼室7内の圧縮圧力を減圧して、始動を容易にするためのデコンプ機構Dが設けられる。このデコンプ機構Dは、カム軸16に設けられるデコンプカム40とトルク伝達機構と回転制御手段とを有し、該デコンプカム40は、前記トルク伝達機構を介して伝達されるカム軸16のトルクにより、正回転および逆回転するカム軸16の回転方向と同じ方向に回転可能である。
【0026】
前記トルク伝達機構は、カム軸16からデコンプカム40に伝達されるトルクの伝達経路で直列に設けられた一方向クラッチ41とトルクリミッタ50とから構成される。一方向クラッチ41は、カム軸16の軸方向で吸気カム31とは反対側において、排気カム32に隣接して、カム軸16の外周に装着される。この一方向クラッチ41は、カム軸16の外周に、該カム軸16に対して相対回転可能に嵌合される円筒状のアウタリング42と、ローラ43およびコイルバネ44からなるクラッチ素子とを備える。アウタリング42は、小径部42aと、該小径部42aよりも大きな外径の大径部42bとを有し、大径部42bの内周面には、カム軸16の正回転方向Nとは反対方向である逆回転方向Rに向かって深さが浅くなる3個のカム溝45が周方向に等間隔に形成され、各カム溝45にローラ43と、該ローラ43をカム溝45の浅い側に付勢するコイルバネ44が収容される。
【0027】
そして、クランク軸4の正回転に同期してカム軸16が正回転するときは、ローラ43がコイルバネ44のバネ力に抗してカム溝45内を深い方に移動するため、一方向クラッチ41は、カム軸16とアウタリング42とが相対回転可能になる非拘束状態となるが、この非拘束状態では、カム軸16とローラ43との間の摩擦力に基づいてコイルバネ44を介してアウタリング42に伝達される僅かな力、およびカム軸16とアウタリング42との間の僅かな摩擦力により、後述する微小な正回転方向Nでの連れ回りトルクが、カム軸16からアウタリング42に伝達される。また、クランク軸4の逆回転に同期してカム軸16が逆回転するときは、ローラ43がカム溝45内を浅い方に移動して、カム軸16とアウタリング42との間に食い込むため、一方向クラッチ41は、カム軸16とアウタリング42とが相対回転不能になる拘束状態となって、カム軸16の逆回転トルクがアウタリング42に伝達されて、カム軸16とアウタリング42とが一体に逆回転する。
【0028】
さらに、アウタリング42の小径部42aの外周には、円環状のデコンプカム40が相対回転可能に嵌合され、該デコンプカム40は、ワッシャ46を挟んで、小径部42aの外周面に形成された環状溝に装着されるストッパリング47により、軸方向で大径部42bに対向する端面40dが、トルクリミッタ50の後述するコイルバネ53のバネ力に抗して、大径部42bの端面42b1と面接触する状態を維持するように、その軸方向の移動が規制される。
【0029】
また、デコンプカム40と一方向クラッチ41との間に設けられて、一方向クラッチ41に伝達されたカム軸16のトルクをデコンプカム40に伝達するトルクリミッタ50は、デコンプカム40の端面40dに設けられる係合部と、ボール52およびコイルバネ53からなり、前記係合部に係合する係合素子とから構成される。前記係合部は、デコンプカム40の端面40dに、周方向に等間隔に形成された複数個、例えば12個の係合溝51から構成され、各係合溝51は、図6によく示されるように、ボール52の一部が面接触すると共に逆回転方向Rに向かって急速に浅くなる急傾斜部51aと、正回転方向Nに向かって徐々に浅くなる緩傾斜部51bとからなる。
【0030】
一方、アウタリング42の大径部42bには、3箇所の周方向に隣接するカム溝45の間に、それぞれの箇所において、軸方向に延びて端面42b1に開口する、例えば3つの有底の収容孔54が、周方向で隣接する3つの係合溝51とそれぞれ軸方向で整合可能な間隔をおいて形成され、各収容孔54に、ボール52と、該ボール52をデコンプカム40に向かって軸方向に付勢するコイルバネ53が収容される。そして、係合溝51とボール52とが整合して、ボール52の一部がコイルバネ53のバネ力により係合溝51の急傾斜部51aに押圧されて嵌合するとき、トルクリミッタ50は、カム軸16からアウタリング42を通じて伝達されたトルクをそのままデコンプカム40に伝達して、アウタリング42とデコンプカム40とが一体に回転する。また、デコンプカム40に対してアウタリング42から作用する逆回転トルクが、デコンプカム40とアウタリング42とが一体に回転する最大トルクである上限トルクを越える過大トルクとなるときには、該過大トルクにより、ボール52と急傾斜部51aとの嵌合が解除されて、トルクリミッタ50はアウタリング42への前記過大トルクの伝達を遮断して、アウタリング42のみがカム軸16から伝達される逆回転トルクによりカム軸16と一体に逆回転する。そして、この上限トルクは、クランク軸4の逆回転時に、デコンプカム40の後述するカム部と、該カム部と接触する排気ロッカアーム24との間の摩擦力による回転抵抗トルクよりも大きく設定される。なお、デコンプカム40にアウタリング42から作用する正回転トルクに対して、デコンプカム40とアウタリング42とが一体に回転する最大トルクは、デコンプカム40に伝達されるトルクが前記連れ回りトルクとなることから、係合溝51の緩傾斜部51bにより、逆回転時の前記上限トルクよりも小さい値に設定される。また緩傾斜部51bは、デコンプカム40が後述する逆転ストッパ33に当接していて、アウタリング42のみが逆回転する際に、逆回転方向Rで隣接する係合溝51に向かって移動するボール52が、該係合溝51に嵌合するのを円滑にする作用をなす。
【0031】
一方、排気ロッカアーム24の一方の支持部24aの外周面の一部であるスリッパ部24a1(図3参照)が接触するデコンプカム40は、図1,図5に示されるように、径方向に突出する突起部40cと、該突起部40cを挟んで周方向に延びる1対のベース円部40a1,40a2と、両ベース円部40a1,40a2に連なると共に径方向に突出するリフト部40bとを有する。この突起部40cは、デコンプカム40が逆回転するとき、図1に示されるように、シリンダヘッド2に設けられる逆転ストッパ33に当接し、これにより、デコンプカム40のさらなる逆回転が阻止される。また、突起部40cは、デコンプカム40が正回転するとき、ロッカ軸21に固定される正転ストッパ34に当接し、これにより、デコンプカム40のさらなる正回転が阻止される。それゆえ、デコンプカム40は、逆回転方向Rでの第1停止位置を規定する逆転ストッパ33と、正回転方向Nでの第2停止位置を規定する正転ストッパ34との間でのみ回転可能である。
【0032】
また、デコンプカム40のベース円部40a1,40a2は、ローラ28が排気カム32のベース円部32aに接触しているときに、スリッパ部24a1が接触する半径を有し、リフト部40bは、一定の径方向での突出量で、周方向の所定範囲に渡って形成され、燃焼室7内の圧縮圧力を減圧するデコンプ作用を行うために、図7に示されるように、排気カム32による排気弁11の最大リフト量Leよりも小さい所定のデコンプリフト量Ldを規定するカムリフトを有する。そして、突起部40cから正回転方向Nでのベース円部40a1およびリフト部40bのうち、デコンプカム40が逆転ストッパ33と正転ストッパ34との間で回転する角度である設定回転角度Adの範囲内で、スリッパ部24a1が接触するリフト部40bの部分と、スリッパ部24a1が接触するベース円部40a1の部分とにより、デコンプカム40のカムプロフィルが形成され、このカムプロフィルにより、デコンプカム40が前記第1停止位置を占めるときは、リフト部40bがスリッパ部24a1に接触し得る位置にあって、デコンプカム40は排気弁11を開弁状態とすることができ、またデコンプカム40が前記第2停止位置を占めるときは、ベース円部40a1がスリッパ部24a1に接触し得る位置にあるので、デコンプカム40は排気弁11を閉弁状態とすることができる。
【0033】
さらに、この実施例では、該カムプロフィルにおけるリフト部40bのうち一定のカムリフトを有する部分の角度範囲である有効作動角A1は、クランク軸4の正回転開始後の1回目の排気行程での排気弁11の開弁によりデコンプ作用が解除されないように、排気カム32のデコンプ時作動角A3、すなわちデコンプカム40により開弁された排気弁11が、排気カム32のリフト部32bにより、デコンプリフト量Ldよりも大きなリフト量で開弁されている角度範囲よりも大きく、かつ、クランク軸4の正回転開始後の2回目の排気行程での排気弁11の開弁によりデコンプ作用が解除されるように、デコンプ時作動角A3の2倍よりも小さく設定される。そして、この実施例では、設定回転角度Adは、排気カム32の作動角A2の2倍よりも小さく設定される。
【0034】
また、前記回転制御手段は、デコンプカム40のリフト部40bにスリッパ部24a1が接触した状態で、弁バネ14のバネ力に基づく押圧力をデコンプカム40に作用させる排気ロッカアーム24から構成される。そして、デコンプカム40により排気弁11が開弁されるデコンプ作用時、排気ロッカアーム24は、前記押圧力により、スリッパ部24a1とリフト部40bとの間の摩擦力に起因する回転抵抗トルクを、デコンプカム40に作用させる。この回転抵抗トルクは、前記連れ回りトルクよりも大きなるようにされているため、排気ロッカアーム24は、そのスリッパ部24a1がデコンプカム40のリフト部40bに接触しているとき、カム軸16が正回転するときの前記連れ回りトルクによるデコンプカム40の正回転を阻止する一方、排気ロッカアーム24のローラ28が排気カム32のリフト部32bと接触して、スリッパ部24a1がデコンプカム40のリフト部40bから離れて、排気弁11が排気カム32により開弁されるときには、前記連れ回りトルクによるデコンプカム40の正回転を許容する。
【0035】
そして、図2を参照すると、電子制御装置Cには、カム軸16の回転位置を検出する回転位置センサGからの検出信号が入力され、該センサにより、カム軸16の特定の回転位置、例えば排気上死点を検出し、デコンプカム40が逆転ストッパ33に当接した後に逆回転を終了するクランク軸4の回転位置が、逆転開始後の2回目の排気上死点(図14において、回転位置P8)になるように設定される。なお、排気上死点において、排気弁11のリフト量は、デコンプリフト量Ldよりも小さくなり、排気ロッカアーム24のスリッパ部24a1がデコンプカム40に当接し得るリフト量となる。
【0036】
これにより、電子制御装置Cは、スタータスイッチWのオン信号が入力されたとき、スタータモータMを逆回転させて、設定回転角度Ad(図7参照)よりも大きな角度となる2回目の排気上死点まで、初期逆回転角度Ar(図14参照)だけクランク軸4を逆回転させ、その後、スタータモータMを正回転させて、クランク軸4を正回転させるように、スタータモータMの駆動を制御する。
【0037】
次に、図14を中心に、図1,図2,図7〜図13を併せて参照して、デコンプ機構Dの動作について説明する。
図14に示されるように、内燃機関Eの始動開始時(回転位置P1)に、クランク軸4が圧縮行程S1の途中で停止しており、デコンプカム40が、正転ストッパ34に当接している第2停止位置にあるとする(図8参照)。なお、ここでは、内燃機関Eが停止した際に、クランク軸4の逆回転が生じなかったものとして説明するが、逆回転が生じた場合も、始動開始時のデコンプカム40の位置が、正転ストッパ34から逆回転方向Rに回転した位置にある点を除き、基本的に以下の説明と同様の動作がなされる。なお、図14においては、クランク軸4の回転位置が極太の矢印で示され、デコンプカム40の回転位置が白抜きの矢印で、そして排気弁11の開閉状態が中太の矢印で示されている。
【0038】
スタータスイッチWがオン作動されて、電子制御装置Cからの指令により、スタータモータMが逆回転して、クランク軸4およびカム軸16を逆回転させる。なお、クランク軸4の逆回転時には、内燃機関Eにおける燃料供給および点火は停止されており、クランク軸4の正回転開始後に、燃料供給および点火が行われる。このカム軸16の逆回転により、一方向クラッチ41は拘束状態となって、アウタリング42がカム軸16と一体に逆回転する。このとき、排気ロッカアーム24のスリッパ部24a1とデコンプカム40のベース円部40a1およびリフト部40bとの接触による摩擦力に基づく回転抵抗トルクは、前記上限トルクよりも小さいため、カム軸16、さらにはアウタリング42からトルクリミッタ50を介してデコンプカム40に作用する逆回転トルクにより、デコンプカム40はカム軸16と一体に逆回転する。
【0039】
そして、カム軸16の逆回転の途中で、スリッパ部24a1がデコンプカム40のリフト部40bに接触して、排気ロッカアーム24が揺動されて、排気弁11がデコンプリフト量Ldで開弁され、さらに逆転開始後の内燃機関Eの最初の吸気行程S2(実際には、クランク軸4が逆回転しているので、ピストン5は上死点に向かって移動するが、便宜上、吸気行程という。以下、同様に、クランク軸4が逆回転している場合にも、正回転しているときの行程名を使用して説明する。)を経て、デコンプカム40の突起部40cが逆転ストッパ33と当接した時点(回転位置P2)で、デコンプカム40は前記第1停止位置に停止し、それ以上の逆回転が阻止される。そのため、デコンプカム40に作用する回転抵抗トルクは前記上限トルクを越える大きさとなり、トルクリミッタ50には前記過大トルクが作用して、トルクリミッタ50のボール52が係合溝51の急傾斜部51aとの嵌合を解除され、アウタリング42のみがカム軸16と一体に逆回転し、このさらなる逆回転は、排気行程S3、膨張行程S4および圧縮行程S5および吸気行程S6を経て、回転位置センサGにより逆回転開始後の2回目の排気上死点が検知された時点で、クランク軸4が初期逆回転角度Arだけ逆回転したとき(回転位置P3)に終了する(図9参照)。この例では、逆回転が終了した時点で、デコンプカム40のリフト部40bに排気ロッカアーム24のスリッパ部24a1が接触しており、排気弁11はデコンプリフト量Ldで開弁している。
【0040】
次いで、電子制御装置Cからの指令により、スタータモータMが正回転して、クランク軸4およびカム軸16を正回転させる。このとき、カム軸16の正回転により、一方向クラッチ41は非拘束状態となって、アウタリング42は、トルクリミッタ50を介して、前記上限トルクよりも小さい前記連れ回りトルクをデコンプカム40に作用させる。しかしながら、吸気行程S7にあるクランク軸4の回転位置が、クランク軸4(またはカム軸16)の正回転開始後の最初の圧縮行程S8および膨張行程S9を経て最初の排気行程S10になるまで(図10参照)は、弁バネ14により付勢される排気ロッカアーム24のスリッパ部24a1がデコンプカム40のリフト部40bに接触していることにより生じる回転抵抗トルクが、前記連れ回りトルクよりも大きいため、デコンプカム40は正回転することなく前記第1停止位置に止まる。そのため、最初の圧縮行程S8では、排気弁11がデコンプリフト量Ldで開弁されていて、デコンプ作用が行われて、燃焼室7内の圧縮圧力が減圧されるので、ピストン5は容易に圧縮上死点(回転位置P4)を乗り越えることができる。
【0041】
そして、最初の排気行程S10において、カム軸16が正回転して、排気ロッカアーム24のローラ28が排気カム32に接触して、該排気カム32により排気ロッカアーム24が揺動されて、排気弁11がデコンプカム40リフト量よりも大きなリフト量で開弁されると(図11参照)、スリッパ部24a1がデコンプカム40のリフト部40bから離れるため、デコンプカム40の回転抵抗トルクは前記連れ回りトルクよりも小さくなって、該連れ回りトルクによりデコンプカム40がアウタリング42と共にカム軸16と同じ回転速度で正回転する。このデコンプカム40の正回転は、排気カム32のデコンプ時作動角A3の範囲で生じるが、デコンプカム40の有効作動角A1はデコンプ時作動角A3よりも大きいので、最初の排気行程S10の終期では、スリッパ部24a1がデコンプカム40のリフト部40bに再度接触して、排気弁11がデコンプリフト量Ldでの開弁状態になると共に、デコンプカム40の回転抵抗トルクが前記連れ回りトルクよりも大きくなるので、デコンプカム40の回転が停止する(図12参照)。
【0042】
そして、カム軸16のみがさらに正回転して、2回目の圧縮行程S12(デコンプカム40が正回転した後の最初の圧縮行程でもある。)で、デコンプ作用が行われるので、ピストン5は容易に圧縮上死点(回転位置P5)を乗り越えることができる。
【0043】
カム軸16がさらに膨張行程S13を経て正回転し、クランク軸4の正回転開始後の第2回目の排気行程S14では、排気弁11が排気カム32により開弁されると、最初の排気行程S10のときと同様に、スリッパ部24a1がデコンプカム40から離れるため、デコンプカム40が前記連れ回りトルクによりカム軸16と同じ回転速度で正回転する。しかしながら、デコンプカム40の有効作動角A1は、排気カム32のデコンプ時作動角A3の2倍よりも小さく、かつ設定回転角度Adは、排気カム32の作動角A2の2倍よりも小さいため(図7参照)、この2回目の排気行程S14の途中で、デコンプカム40の突起部40cが正転ストッパ34に当接して、デコンプカム40が前記第2停止位置を占める。そのため、2回目の排気行程S14の終了時では、スリッパ部24a1がデコンプカム40のベース円部40a1に接触するため、排気弁11は、排気ロッカアーム24のローラ28が接触する排気カム32のカムプロフィルに応じて作動して、閉弁状態になる(図13参照)。これにより、排気弁11に対するデコンプ機構Dによるデコンプ作用が解除され、以後、排気弁11は排気カム32のみにより開閉作動される。
【0044】
そして、カム軸16がさらに吸気行程S15を経て正回転して、クランク軸4の正回転開始後の3回目の圧縮行程S16では、デコンプ作用による減圧が行われることなく通常の圧縮圧力で混合気が圧縮されて、点火栓15により点火されて、内燃機関Eの始動運転が進み、やがてアイドル運転に移行する。この3回目の圧縮行程S16では、クランク軸4は、内燃機関Eの始動開始位置から直ちにクランク軸4が正回転されて通常の圧縮行程を行うものに比べて、クランク軸4の正回転の開始から3回目の圧縮行程S16の圧縮開始点P6(クランク軸4が正回転してからデコンプ作用が解除された後の最初の圧縮行程開始点(圧縮下死点))(回転位置P6)までのクランク角度、すなわちクランク軸4の助走角度Aaが大きいため、加速される時間が長くなって、クランク軸4はより大きな回転速度で回転しているので、通常の圧縮圧力となる圧縮上死点P7を乗り越えるのが容易となる。
【0045】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
内燃機関Eの始動開始時に、電子制御装置Cにより制御されるスタータモータMが、クランク軸4、さらにはカム軸16を、初期逆回転角度Arだけ逆回転させた後、正回転させることにより、クランク軸4の逆回転時には、拘束状態となる一方向クラッチ41を介してデコンプカム40をカム軸16と一体に逆回転させて前記第1停止位置に位置させ、デコンプカム40のリフト部40bに排気ロッカアーム24を当接させて排気弁11を開弁状態にすることができるようにした後、トルクリミッタ50の作用によりデコンプカム40を前記第1停止位置に止めたまま、クランク軸4およびカム軸16をさらに逆回転させる。
【0046】
クランク軸4の正回転開始後は、一方向クラッチ41から伝達される前記連れ回りトルクが作用するデコンプカム40に対して、排気ロッカアーム24は、そのスリッパ部24a1がデコンプカム40のリフト部40bに接触して回転抵抗トルクをデコンプカム40に作用させることでその正回転を阻止し、そのローラ28が排気カム32に接触してスリッパ部24a1がデコンプカム40から離れることにより、前記連れ回りトルクによるデコンプカム40の正回転を許容する。これにより、有効作動角A1が、始動時にデコンプカム40により開弁される排気弁11を開閉させる動弁カムのデコンプ時作動角よりも大きく、かつ排気カム32の前記デコンプ時作動角の2倍よりも小さく設定されるデコンプカム40は、前記第1停止位置から前記第2停止位置に達するまでの間において、逆回転された初期逆回転角度Arの範囲に含まれる最初および2回目の圧縮行程S8,S12、またはデコンプカム40が正回転した後の最初の圧縮行程S12においては、排気弁11がデコンプリフト量Ldで開弁状態にあって、デコンプ作用がなされる。
【0047】
その結果、クランク軸4の回転位置が、内燃機関Eの始動開始時のクランク軸4の回転位置P1よりも初期逆回転角度Arだけ逆回転された分、助走角度Aaが大きくなって、デコンプ作用解除後の最初の圧縮開始点(回転位置P6)でのクランク軸4の回転速度が大きくなるので、デコンプ作用解除後の最初の圧縮上死点(回転位置P7)を乗り越えることが容易になって、クランク軸4を回転駆動するスタータモータMの大型化を回避したうえで始動性が向上する。そのうえ、助走角度Aaの増加は、デコンプカム40のリフト部40bの有効作動角A1の設定により、簡単な構造で実現できる。
【0048】
しかも、クランク軸4の逆回転時にデコンプカム40を前記第1停止位置に位置させることで、内燃機関Eの始動開始時のクランク軸4の回転位置P1に拘わらず、クランク軸4の正回転開始時(回転位置P3)には、常に、デコンプカム40のリフト部40bの一定の位置に排気ロッカアーム24を接触させることができるようにデコンプカム40を位置させることができるので、デコンプカム40により排気弁11を開弁状態にし得る角度範囲、すなわち有効作動角A1を始動時毎に一定に設定することができて、前記従来技術よりも大きくとれる助走角度Aaを確実に確保できる。
【0049】
また、クランク軸4の逆回転時に、前記上限トルクを越える逆回転トルクがデコンプカム40に作用することを防止するトルクリミッタ50が、カム軸16からデコンプカム40へのトルク伝達経路において、一方向クラッチ41と直列に設けられているので、一方向クラッチ41により、カム軸16とデコンプカム40とが相対回転不能になるクランク軸4の逆回転時に、トルクリミッタ16により、簡単な構造で、デコンプカム40が逆転ストッパ33に当接して、前記第1停止位置に止まっている状態のまま、助走角度をさらに大きくするためのクランク軸4の逆回転が可能となる。さらに、トルクリミッタ16により、デコンプカム40、逆転ストッパ33および一方向クラッチ41に過大トルクが作用するのを防止できる。
【0050】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記実施例では、初期逆回転角度Arは、回転位置センサGからの検出信号に基づいて、逆転開始後の2回目の排気上死点により設定される角度であったが、設定回転角度Adよりも大きな角度となるようなカム軸16の回転位置、例えば逆転開始後の1回目の排気上死点により設定される角度、または排気上死点以外の逆転開始後のカム軸16の任意の回転位置により設定される角度であってもよい。さらに、初期逆回転角度Arは、回転位置センサGを設けることなく、設定回転角度Adよりも大きな角度となるように、電子制御装置Cのメモリに記憶された予め設定された固定値からなる角度であってもよく、これにより、回転位置センサが不要となって、コスト削減ができる。
【0051】
さらに、前記実施例では、初期逆回転角度Arは、デコンプカム40が逆転ストッパ33に当接した後も、クランク軸4およびカム軸16が逆回転される角度に設定されたが、デコンプカム40が逆転ストッパ33に当接したことを検出する接触センサ等のセンサを設けることにより、デコンプカム40が前記第1停止位置を占めた時点で、逆回転が終了するようにしてもよく、この場合にも、従来技術に比べて助走角度Aaが大きくなって、デコンプ作用解除後の最初の圧縮行程の乗り越えが容易になる。
【0052】
前記実施例では、デコンプカム40の有効作動角A1は、始動時にデコンプカム40により開弁される排気弁11を開閉させる排気カム32のデコンプ時作動角A3よりも大きく、かつデコンプ時作動角A3の2倍よりも小さく設定されたが、排気カム32の2倍よりも大きく設定することもでき、その場合には、さらに助走角度Aaを大きくすることが可能となる。
【0053】
電動機は、前記実施例では、スタータモータMであったが、発電機としても機能する電動機である発電電動機を、始動時にスタータモータとして使用するものであってもよい。また、電動機は、正回転のみするものであって、制御手段は、該電動機自体とクランク軸4への回転力伝達経路中に、クランク軸4の正回転および逆回転を切り換える切換機構とを備えるものであってもよく、電動機と該切換機構とにより、クランク軸4を正回転および逆回転させるようにしてもよい。
【0054】
デコンプカム40により開弁される機関弁は、前記実施例では排気弁11であったが、吸気弁10であってもよい。そして、そのとき、カム軸16の回転位置を検出するセンサを設ける場合は、逆回転を終了するクランク軸4の回転位置を、クランク軸4の正回転開始直後にデコンプカム40が前記連れ回りトルクにより正回転しない範囲で、吸気弁の閉弁時期近傍とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である始動装置を備えた内燃機関の側断面図である。
【図2】図1の内燃機関の、一部分を概念的に示した平断面図である。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線での一部断面図であり、デコンプカムについては正面図である。
【図6】(A)は図5のデコンプカムの正面図の要部拡大図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図である。
【図7】図1の内燃機関における排気カムおよびデコンプカムのカムプロフィルの説明図である。
【図8】図1の内燃機関における始動開始時のデコンプカム、排気カム等の位置関係を説明するための断面図である。
【図9】デコンプ作用時であって、クランク軸の正回転開始時の図8と同様の断面図である。
【図10】クランク軸の正回転開始後の最初の排気行程直前の図9と同様の断面図である。
【図11】クランク軸の正回転開始後の最初の排気行程時の図9と同様の断面図である。
【図12】クランク軸の正回転開始後の最初の排気行程直後の図9と同様の断面図である。
【図13】クランク軸の正回転開始後の2回目の排気行程終了時の図8と同様の断面図である。
【図14】図1の内燃機関におけるデコンプ機構の動作の説明図である。
【符号の説明】
1…シリンダ、2…シリンダヘッド、3…シリンダヘッドカバー、4…クランク軸、5…ピストン、6…コンロッド、7…燃焼室、8…吸気ポート、9…排気ポート、10…吸気弁、11…排気弁、12…リテーナ、13,14…弁バネ、15…点火栓、16…カム軸、17…ボールベアリング、18,19…スプロケット、20…タイミングチエーン、21,22…ロッカ軸、23…吸気ロッカアーム、24…吸気ロッカアーム、25…タペットネジ、26…ロックナット、27,28…ローラ、29…支持軸、30…ニードルベアリング、31…吸気カム、32…排気カム、33…逆転ストッパ、34…正転ストッパ、
40…デコンプカム、40b…リフト部、40c…突起部、41…一方向クラッチ、42…アウタリング、43…ローラ、44…コイルバネ、45…カム溝、46…ワッシャ、47…ストッパリング、
50…トルクリミッタ、51…係合溝、52…ボール、53…コイルバネ、54…収容孔、
E…内燃機関、M…スタータモータ、W…スタータスイッチ、C…電子制御装置、V…動弁室、D…デコンプ機構、N…正回転方向、R…逆回転方向、G…回転位置センサ、Le,Ld…リフト量、A1…有効作動角、A3…デコンプ時作動角、Ad…設定回転角度、Ar…初期逆回転角度、Aa…助走角度、P1〜P8…回転位置、S1〜S16…行程。
Claims (6)
- 始動時に電動機によりクランク軸を回転駆動させ、前記クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁をデコンプ機構により開弁させる内燃機関の始動方法において、
前記デコンプ機構は、前記カム軸に設けられたデコンプカムを有し、該デコンプカムは、前記カム軸の逆回転方向での第1停止位置と前記カム軸の正回転方向での第2停止位置との間で前記カム軸の回転方向に回転可能とされると共に、前記機関弁が、前記第1停止位置で開弁状態となり、前記第2停止位置で閉弁状態となるカムプロフィルを有し、始動開始時に前記電動機で前記クランク軸を逆回転させることにより前記デコンプカムを逆回転させて前記第1停止位置に位置させ、その後、前記電動機で前記クランク軸を正回転させることにより前記デコンプカムを正回転させ、前記デコンプカムが前記第2停止位置に達するまでの間において、前記電動機により逆回転された所定クランク角度の範囲に含まれる圧縮行程および前記デコンプカムが正回転した後の最初の圧縮行程のいずれかに該当する圧縮行程では、前記デコンプカムにより前記機関弁を開弁状態にすることを特徴とする内燃機関の始動方法。 - 始動時に電動機によりクランク軸を回転駆動させ、前記クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁をデコンプ機構により開弁させる内燃機関の始動方法において、
前記デコンプ機構は、前記カム軸に設けられたデコンプカムを有し、該デコンプカムは、前記カム軸の逆回転方向での第1停止位置と前記カム軸の正回転方向での第2停止位置との間で前記カム軸の回転方向に回転可能とされると共に、前記機関弁が、前記第1停止位置で開弁状態となり、前記第2停止位置で閉弁状態となるカムプロフィルを有し、始動開始時に前記電動機で前記クランク軸を逆回転させることにより前記デコンプカムを逆回転させて前記第1停止位置に位置させ、その後、前記電動機で前記クランク軸を正回転させることにより前記デコンプカムを正回転させ、前記デコンプカムが前記第2停止位置に達するまでの間での複数回の圧縮行程において、前記デコンプカムにより機関弁を開弁状態にすることを特徴とする内燃機関の始動方法。 - 前記デコンプカムを前記第1停止位置に位置させた後、前記電動機により前記クランク軸をさらに逆回転させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関の始動方法。
- 始動時にクランク軸を回転駆動する電動機と、該電動機による前記クランク軸の回転駆動を制御する制御手段と、前記クランク軸の回転に同期して回転駆動されるカム軸に設けられた動弁カムにより開閉される機関弁を開弁させるデコンプ機構とを備える内燃機関の始動装置において、
前記デコンプ機構は、前記カム軸の逆回転方向での第1停止位置を規定する逆転ストッパと前記カム軸の正回転方向での第2停止位置を規定する正転ストッパとの間で前記カム軸の回転方向に回転可能に前記カム軸に設けられ、かつ前記機関弁が、前記第1停止位置で開弁状態となり、前記第2停止位置で閉弁状態となるカムプロフィルを有するデコンプカムと、前記クランク軸の逆回転時に前記カム軸と前記デコンプカムとが相対回転不能になる拘束状態を確立して前記カム軸から前記デコンプカムに逆回転トルクを伝達すると共に、前記クランク軸の正回転時に前記カム軸と前記デコンプカムとが相対回転可能になる非拘束状態を確立して前記カム軸から前記デコンプカムに正回転方向の連れ回りトルクを伝達するトルク伝達手段と、前記第1停止位置および前記第2停止位置の間で前記デコンプカムの正回転方向での連れ回りを阻止および許容する回転制御手段とを有し、
前記電動機は、前記制御手段により、始動開始時に前記クランク軸を所定クランク角度だけ逆回転させ、その後に正回転させ、前記デコンプカムは、前記クランク軸の前記所定クランク角度での逆回転時に、前記トルク伝達手段により逆回転させられて前記第1停止位置を占め、前記クランク軸の正回転時に、前記トルク伝達手段と前記回転制御手段とにより、前記デコンプカムが前記第2停止位置に達するまでの間において、逆回転された前記所定クランク角度の範囲に含まれる圧縮行程および前記デコンプカムが正回転した後の最初の圧縮行程のいずれかに該当する圧縮行程では、前記機関弁を開弁状態にすることを特徴とする内燃機関の始動装置。 - 前記トルク伝達手段は、前記カム軸から前記デコンプカムへのトルク伝達経路で直列に設けられた一方向クラッチとトルクリミッタとから構成され、前記一方向クラッチは、前記クランク軸の逆回転時に前記拘束状態を確立すると共に、前記クランク軸の正回転時に前記非拘束状態を確立して前記カム軸から前記デコンプカムに前記連れ回りトルクを伝達し、前記トルクリミッタは、前記第1停止位置を占めている前記デコンプカムに前記カム軸から伝達される逆回転トルクを、上限トルク以下に制限すると共に該上限トルクを越える逆回転トルクが前記カム軸に作用したとき前記カム軸のみを逆回転させ、前記電動機は、前記デコンプカムを前記第1停止位置に位置させた後、さらに前記クランク軸を逆回転させることを特徴とする請求項4記載の内燃機関の始動装置。
- 前記回転制御手段は、前記動弁カムのデコンプ時作動角の範囲で前記デコンプカムの連れ回りを許容し、前記デコンプカムの有効作動角は、前記デコンプ時作動角よりも大きいことを特徴とする請求項4または請求項5記載の内燃機関の始動装置。
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