JPH07119427A

JPH07119427A - デコンプ装置

Info

Publication number: JPH07119427A
Application number: JP28564693A
Authority: JP
Inventors: Atsushi Ueshima; 淳上嶋
Original assignee: Kawasaki Heavy Industries Ltd
Current assignee: Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority date: 1993-10-21
Filing date: 1993-10-21
Publication date: 1995-05-09

Abstract

(57)【要約】【目的】デコンプ動作のタイミングの設定を容易かつ正
確にし、スライド式のロッカーアームに適用して構造の
簡単化およびコンパクト化を図り、エンジンへの装着を
容易にする。【構成】ロッカーシャフト８にロッカーアーム９を軸方
向移動可能に嵌着し、カムシャフト８のカム部１６の側
縁部にカム面から突出するデコンプ用カム山２４を形成
し、デコンプ作動時には、ロッカーアーム９のロッカー
シャフト８上の位置を通常位置から前記デコンプ用カム
山２４にも当接するデコンプ位置へ移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの圧縮比を一
時的に低下させるためのデコンプ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジン（内燃機関）にあっては、エン
ジンの始動性を向上させることなどを目的として始動時
などで一時的に圧縮比を低下させるためにデコンプ装置
を使用することが行なわれている。例えば、自動２輪車
や自動４輪車においては、キックスターターの作動に必
要な操作力を小さくして始動性を向上させるために上記
デコンプ装置を使用する場合がある。また、圧縮比の高
いエンジンやディーゼルエンジンでも、始動時に燃焼室
内を減圧してセルモーター等による始動性を向上させる
ことが行なわれている。このようなデコンプ装置を開示
する文献には、例えば実開昭５９−１３００１１号、実
開昭６０−２３２０３号などがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、デコンプ専用
に設けた開閉弁を手動または電気的に作動させる従来の
デコンプ装置では、構造が複雑でしかも装置構成が大型
になってしまうという不都合がある。また、既存のロッ
カーアームおよび排気弁を利用する従来のデコンプ装置
では、デコンプ作動のＯＮ、ＯＦＦをエンジン回転数と
ウエイトのバランスにより行なっているので、構造が複
雑で部品点数が多くなるという不都合がある。

【０００４】本発明はこのような技術的課題に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、作動のタイミング
を容易かつ正確に設定することができ、スライド式のロ
ッカーアームにそのまま適用することにより、構造が簡
単でかつコンパクトであり、しかもエンジンに容易に取
り付けることができるデコンプ装置を提供することであ
る。

【０００５】

【課題解決のための手段】本発明のデコンプ装置は、ロ
ッカーシャフトに対し排気用のロッカーアームを軸方向
移動可能に嵌着し、エンジンのカムシャフトの排気用カ
ム部の側縁部に上死点の少し手前で該排気用カム部の外
周から突出して排気弁を適量だけ開弁させるためのデコ
ンプ用カム山または突起を設け、始動時等でデコンプを
作動させる時に、前記ロッカーアームの位置が前記排気
用カム部のみに当接する通常位置から前記デコンプ用カ
ム山または前記突起にも当接するデコンプ作動位置へ切
り替わるように、前記ロッカーアームを軸方向へ移動さ
せる構成とすることにより、上記目的を達成するもので
ある。

【０００６】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１は本発明を適用したデコンプ装置の一実施例
を備えたエンジンの動弁機構の平面図であり、図２は図
１中の線２−２から見た縦断面図である。図１および図
２において、気筒（シリンダ・ピストン機構）１のシリ
ンダヘッド２には吸気通路３および排気通路４が形成さ
れており、吸気通路３には２個の吸気弁５、５が設けら
れ、排気通路４には２個の排気弁６、６が設けられてい
る。各吸気弁５および各排気弁６は、弁ばね７（図２）
により閉弁方向に付勢されている。

【０００７】図２において、２１はシリンダを示し、２
２は該シリンダ２１に嵌合したピストンを示し、２３は
シリンダヘッド２を密閉するためのヘッドカバーを示
す。図１および図２において、シリンダヘッド２の吸気
側および排気側には互いに平行にロッカーシャフト８、
８が取り付けられ、各ロッカーシャフト８には、ロッカ
ーアーム９が嵌合装着されている。本実施例では、後述
するように、これらのロッカーアーム９、９は、それぞ
れ、前記ロッカーシャフト８、８に対し軸方向移動可能
に回転可能に嵌合装着されている。

【０００８】前記各ロッカーシャフト８、８より高い位
置にはカムシャフト１３、１３が軸支されている。シリ
ンダヘッド２の端部には、シリンダ２１の側部を通して
クランクケース（不図示）内に通じる空洞（例えばチェ
ーントンネルなど）１１が形成されている。吸気側およ
び排気側のカムシャフト１３、１３の一端部には、それ
ぞれ、カムシャフト駆動用の伝動部材（図示の例では被
駆動スプロケット）１５、１５が一体的に固定されてい
る。これらの伝動部材１５、１５は前記空洞１１、１１
に対応する位置にあり、クランクシャフト（不図示）に
固定されたカム駆動用スプロケット（不図示）および前
記伝動部材（被駆動スプロケット）１５、１５には、ク
ランクケース内に通じる前記空洞（チェーントンネル）
１１内部を通して配設されるカムチェーン（不図示）が
張架されている。

【０００９】前記クランクシャフトに固定された前記駆
動スプロケット、前記被駆動スプロケット１５、１５、
これらのスプロケット間に張架された前記チェーンによ
り、各カムシャフト１３、１３を駆動するための伝動機
構（本実施例ではチェーン伝動機構）が構成されてい
る。なお、カムシャフト１３、１３の駆動は、上記のチ
ェーン伝動機構に代えて、ギア等の伝動機構により行う
こともできる。

【００１０】各ロッカーシャフト８、８はその両端部で
シリンダヘッド２に回転自在に軸支されており、各ロッ
カーアーム９、９の各吸気弁５、５および各排気弁６、
６に対応する位置にはアーム部１０、１０が設けられて
いる。さらに、カムシャフト１３、１３のそれぞれの前
記アーム部１０、１０と対応する位置にはカム部１６、
１６が形成されている。そして、各ロッカーアーム９、
９は、ばね１２、１２により、それぞれ、吸気弁５、５
および排気弁６、６を作動させることが可能な位置へ付
勢され、位置決め保持されている。

【００１１】クランクシャフト（不図示）回転に同期し
て前記カムシャフト１３、１３が回転すると、それらの
カム部（吸気用および排気用）１６のカム形状により、
対応するロッカーアーム９のアーム部１０が所定のタイ
ミングで押し下げられ、これによって、前記吸気弁５お
よび前記排気弁６が所定のタイミングで開弁させられ、
４サイクルエンジンの吸気行程および排気行程が行われ
る。

【００１２】そこで、カムシャフト１３の排気用カム部
１６（図示の例では排気側のカムシャフト１３の少なく
１つのカム部１６）には、前述した通常のカム部１６の
他にデコンプ用のカム山または突起が設けられ、始動時
等のデコンプを作動させる時にロッカーアーム（図示の
例では排気側のロッカーアーム）９を軸方向に移動させ
ることにより、その少なく１つのアーム部１０が前記デ
コンプ用のカム山または突起にも当接する状態に切り換
え得るように構成されている。前記デコンプ用のカム山
または突起は、上死点の少し手前で排気用のカム部１６
の外周から突出しており、したがって、上死点の少し手
前で排気弁６を適量だけ開弁（リフト）させるように動
作するものである。

【００１３】図３は排気用のロッカーアーム９を示す部
分斜視図であり、図４は図３のロッカーアーム９の通常
位置およびデコンプ位置を示す部分側面図である。図３
および図４において、ロッカーアーム９は、ソレノイド
（不図示）等の駆動源によって駆動軸１８を矢印Ａ方向
に約９０度回動させることにより、前記ばね１２に抗し
て軸方向（矢印Ｂ方向）に所定量Ｃだけ移動するように
なっている。図示の例では、駆動軸１８の先端部に形成
したスリ割り部１９とロッカーアーム９の突出部２０と
を対面（または当接）させておき、図４の（Ａ）の状態
から（Ｂ）の状態まで駆動軸１８を回動させることによ
り、ロッカーアーム９をばね１２に抗して一定量だけ軸
方向に（ロッカーシャフト８に沿って）移動させるよう
に構成されている。

【００１４】図５はカムシャフト１３の排気用カム部１
６の近傍を示す部分斜視図である。図５において、カム
部１６の隣接位置（図示の例では左側端面）には、デコ
ンプ用カム山２４を形成するためのデコンプ用カム部２
５が一体加工または溶接結合等により一体的に固定され
ている。そして、前記駆動軸１８を回動駆動することに
より前記ロッカーアーム９を図４の（Ｂ）の位置へ移動
させた時、該ロッカーアーム９のスリッパ面２７（図
３、図７）が前記デコンプ用カム部２５のカム山２４に
も当接するように構成されている。

【００１５】図６はロッカーアーム９が排気用のカム部
１６と当接する状態を示す部分斜視図であり、図７は図
６の状態を実線で示すとともにデコンプ作動時の状態を
二点鎖線で示す部分側面図であり、図８は通常のカム部
１６の形状（実線）に対するデコンプ用カム山２４の位
置形状（二点鎖線）を例示する断面図である。前記デコ
ンプ用カム山２４は、図８に示すように、排気弁６の閉
弁期間の略中央の時期、すなわち上死点の少し手前で排
気弁６を適量だけリフトさせるような形状寸法に設定さ
れている。なお、本実施例のように１つの気筒１に２個
の排気弁６設けるエンジンにおいては、いずれか１つの
排気弁６をリフト（開弁）させるだけでデコンプを行う
ことができるので、上記デコンプ用カム山２４は一方の
カム部１６に設けるだけでよい。勿論、両方のカム部１
６にデコンプ用カム山２４を設けてもよい。

【００１６】以上図３〜図８で示したデコンプ装置によ
れば、ロッカーシャフト８に対し排気用のロッカーアー
ム９を軸方向移動可能に嵌着し、エンジンのカムシャフ
ト１３のカム部１６の側縁部に上死点の少し手前で該カ
ム部１６の外周（カム面）より適量だけ突出するデコン
プ用カム山２４を設け、始動時等にデコンプを作動させ
る時に、前記ロッカーアーム９のアーム部１０の位置が
前記排気用のカム部１６のみに当接する通常位置から前
記デコンプ用カム山２４にも当接するデコンプ作動位置
へ切り替わるように、該ロッカーアーム９を軸方向（矢
印Ｂ方向）へ移動させる構成としたので、デコンプ作動
のタイミングを容易かつ正確に設定することができ、ス
ライド式のロッカーアームにそのまま適用することによ
り、構造が簡単かつコンパクトであり、しかもエンジン
に容易に取り付けることができるデコンプ装置が得られ
る。

【００１７】図９はエンジンのクランク角度（度）に対
する排気カム、吸気カムおよびデコンプ用カム山の弁リ
フト量（ｍｍ）を例示するグラフである。なお、前述の
実施例では、排気用のロッカーアーム９をロッカーシャ
フト８に沿って移動させる構成にしたが、これに代え
て、図１０の（Ａ）および（Ｂ）に示すように、ロッカ
ーアーム９をロッカーシャフト８にサークリップ２８等
で位置決めしておき、スリ割り部２９を有する駆動軸３
０の回動によりロッカーシャフト８自体をばね１２に抗
してスライド（移動）させる構成にしてもよい。

【００１８】また、前述の実施例では、デコンプ用カム
山２４を有するデコンプ用カム２５を排気用のカム部１
６に設ける構成にしたが、これに代えて、図１１に示す
ように、カムシャフト１３の排気用のカム部１６の側縁
部の上死点の少し手前の位置に植え込みピン等から成る
突起３１を設ける構成にしてもよい。１気筒に２個以上
の排気弁を設ける場合には、前記突起３１は、いずれか
１つのカム部１６に設けてもよく、２つ以上のカム部あ
るいは全部のカム部に設けてもよい。

【００１９】更に、上記実施例では、カムシャフト１３
を駆動するための伝動機構としてチェーン・スプロケッ
ト方式を用いたが、これに代えて、ギア駆動方式あるい
はベルト駆動方式など他の駆動方式を使用してもよい。
また、上記実施例では、吸気用のカムシャフトと排気用
のカムシャフトを別々に設ける場合を示したが、これを
共通の一本のカムシャフトで構成してもよい。さらに、
本発明は、気筒数や吸排気弁の数に関係なく同様に適用
できるものである。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
のデコンプ装置によれば、ロッカーシャフトに対し排気
用のロッカーアームを軸方向移動可能に嵌着し、エンジ
ンのカムシャフトの排気用カム部の側縁部に上死点の少
し手前で該排気用カム部の外周から突出して排気弁を適
量だけ開弁させるためのデコンプ用カム山または突起を
設け、始動時等でデコンプを作動させる時に、前記ロッ
カーアームの位置が前記排気用カム部のみに当接する通
常位置から前記デコンプ用カム山または前記突起にも当
接するデコンプ作動位置へ切り替わるように、前記ロッ
カーアームを軸方向へ移動させる構成としたので、作動
のタイミングを容易かつ正確に設定することができ、ス
ライド式のロッカーアームにそのまま適用することによ
り、構造が簡単かつコンパクトであり、しかもエンジン
に容易に取り付けることができるデコンプ装置が提供さ
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したデコンプ装置を有するエンジ
ンの動弁機構の平面図である。

【図２】図１中の線２−２に沿った縦断面図である。

【図３】本発明によるデコンプ装置の一実施例における
ロッカーアームおよびその駆動軸を示す部分斜視図であ
る。

【図４】図３のロッカーアームの動作を示す部分側面図
である。

【図５】本発明によるデコンプ装置の一実施例のカムシ
ャフトのカム部の構成を示す部分斜視図である。

【図６】本発明によるデコンプ装置の一実施例における
カムシャフトおよびロッカーアームを示す部分斜視図で
ある。

【図７】図６のデコンプ装置のカムシャフトおよびロッ
カーアームの作動を示す部分側面図である。

【図８】図５および図７のカム部およびデコンプ用カム
山の位置形状を示す端面図である。

【図９】本発明によるデコンプ装置を有するエンジンの
デコンプ作動時のクランク角度に対する吸排気弁の弁リ
フト量を示すグラフである。

【図１０】本発明によるデコンプ装置の他の実施例にお
けるロッカーシャフトおよびロッカーアームの構成およ
び動作を示す断面図である。

【図１１】本発明によるデコンプ装置の更に他の実施例
のカムシャフトを示す部分斜視図である。

【符号の説明】

１気筒２シリンダヘッド５吸気弁６排気弁７弁ばね８ロッカーシャフト９ロッカーアーム１０アーム部１１空洞１２ばね１３カムシャフト１５スプロケット（伝動部材）１６カム部１８駆動軸１９スリ割り部２０突出部２１シリンダ２２ピストン２３ヘッドカバー２４デコンプ用カム山２５デコンプ用カム部２７スリッパ面２８サークリップ２９スリ割り部３０駆動軸３１突起（ピン）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ロッカーシャフトに対し排気用のロッ
カーアームを軸方向移動可能に嵌着し、エンジンのカム
シャフトの排気用カム部の側縁部に上死点の少し手前で
該排気用カム部の外周から突出して排気弁を適量だけ開
弁させるためのデコンプ用カム山または突起を設け、始
動時等でデコンプを作動させる時に、前記ロッカーアー
ムの位置が前記排気用カム部のみに当接する通常位置か
ら前記デコンプ用カム山または前記突起にも当接するデ
コンプ作動位置へ切り替わるように、前記ロッカーアー
ムを軸方向へ移動させることを特徴とするデコンプ装
置。