JP4336885B2 - インクジェット式薄膜形成装置及び薄膜形成方法 - Google Patents

インクジェット式薄膜形成装置及び薄膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット式薄膜形成装置及び薄膜形成方法に関するものである。
従来、半導体基板や液晶表示装置用基板に、レジスト膜、液晶配向膜、カラーフィルタ等の薄膜を形成する方法として、スピンコート法、ダイコート法、フレキソ印刷法が用いられている。
スピンコート法では、滴下された材料の80〜90%が基板表面から飛散するため材料利用率が低く、かつ、基板の大型化に対応できないという問題がある。また、ダイコート法やフレキソ印刷法では、スピンコート法に比べて材料利用率が改善されるものの、基板に反りや凹凸がある場合には膜厚の均一化が難しく、基板の大型化に対応しにくいという問題がある。
これらの課題を解決する方法として、ライン型の固定インクジェットヘッドを用い、ヘッドの複数のノズルから基板上に塗布液を吐出することにより、必要な領域に、非接触で基板上に薄膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来の薄膜形成装置について説明する。
図6に、従来の薄膜形成装置として、ライン型の固定インクジェットヘッド3を用いた構成を示す。
X軸ステージ2の上には、基板6及びインク滴の予備吐出受け皿7が搭載されている。ヘッドのノズル面は清掃部材(図示されない)によって清掃される。制御装置12により、移動ステージ2がX(+)方向に移動を開始し、ライン型インクジェットヘッド3の下を予備吐出受け皿7が通過時に、ヘッド3のノズルからインク滴を吐出し、溶剤の蒸発による増粘したインクやゴミ等を排出する。次に、基板6上の吐出位置を確認して、製膜データに基づいた信号がヘッド吐出信号生成装置15からライン型インクジェットヘッド駆動装置17に送られ、これに基づき、基板6上にインク滴が吐出され製膜作業が行われる。
図7に、ライン型インクジェットヘッド3の構造を示す。
例えば、1〜2m幅のガラス基板上に薄膜を形成する場合、ノズル数は数千ノズルと極めて多くなる。このため、1ヘッド当たり100から500個程度のノズルを有するユニットヘッド(3a,3d,3b,3e,3c,3f)を実装ベース21上に配列する。ここでは、千鳥状に配置した場合を示す。説明上、図7では、1ヘッド当たりのノズル数を4個とした。Pは、ヘッド内での隣接ノズル間距離、Lは千鳥配置された隣接ヘッドから、それぞれ吐出されて基板上に形成されたインク滴列の間隔(ピッチ)である。
ここで、図7に、示すようにユニットヘッド(3a,3b,3c,3d,3e,3f)が千鳥配置されているため、インク滴列は距離Lだけ離れている。このため、ステージ2の移動速度をVとすると、ユニットヘッド3a,3b,3cのノズル吐出タイミングをヘッド3d,3e,3fのノズル吐出タイミングよりもL/Vだけ遅らせることにより、基板6上でインク滴は1列となる。一般に、各ヘッドのノズル面と基板6とのギャップは0.5mm〜3.0mmである。
また、ライン型の固定インクジェットヘッドを用いたカラープリンタにおいて、各ヘッドに不良ノズルが発生した場合を考慮して、複数のライン型の固定インクジェットヘッドをバックアップとして備える方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の4色のフルライン幅のライン型固定インクジェットヘッドを用いたフルカラー・インクジェット装置において、上記4本のライン型固定インクジェットヘッドの他に、予備ヘッドとして、MとCのフルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッドを備えている。予備ヘッドとしてY,M,C,K色の4個のヘッド、併せて8個のフルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッドを配置するところを、YとKに対応する予備ヘッドを備えず、Kに対しては、C、M、Y色、あるいは、C、M色の混色により再現することにより予備ヘッド2個とし、計6個のライン型の固定インクジェットヘッドで対応するというものである。
この構成の場合、正規のライン型の固定インクジェットヘッドを使用中に、不良ノズルが1ノズル発生しても、予備のフルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッドを必要とし、且つ、この予備ヘッドも使用中に不良ノズルが発生すると装置がダウンしてしまうという問題がある。加えて、フルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッドを予備ヘッドとする以上、装置サイズも大きく、また、装置価格も高くなるという問題がある。
また、インクジェットヘッドを用いて液晶パネルのカラーフィルタを印刷する場合の不吐出ノズルによる白スジ発生を防止するため、着色用ヘッド、着色ヘッドの吐出の有無を検出するセンサ及び修復用ヘッドから構成されるヘッドユニットを走査することにより、着色と検出と修復を1回で行う方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この場合、着色用ヘッドをフルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッドとすると、着色ヘッドの吐出の有無を検出するセンサ及び修復用ヘッドも、フルライン幅の検出センサ及びフルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッドが必要になり、前記特許文献2と同じように修復用ヘッドそのものの信頼性、さらには、コスト、装置サイズ等での問題がある。
さらに、Y、M、C、Kの各色に対応した4本のフルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッドからなる印写ヘッドユニットを用いた画像記録装置において、用紙の搬送方向から見て下流側に撮像ユニットを設け、印写ヘッドユニットにより記録された画像の印字不良を撮像ユニットにて判別し、印字不良があれば、用紙をシフトローラにより幅方向にシフトしてスイッチバックし、印写ヘッドユニットの正常なノズルで印字不良に該当する部分にインクを吐出し、修復する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
この方法では、印写ヘッドユニットのヘッドが修復ヘッドを兼ねることができるが、1ドットの精度でシフトした状態で用紙をスイッチバックさせる機構が必要になり、高精度な機構部が必要である。また、スイッチバックの時間を要するため、高速記録処理するのは難しい。
特開平8−250389号公報
特開2003−118149号公報 特開平8−292311号公報 特開平9−24627号公報
欠陥の無い薄膜を形成するには、(1)全ノズルがノズル詰まり無く吐出すること、(2)ノズルから吐出したインク滴が曲がることなく飛翔し、基板上の所定位置に正確に着弾することが必要である。なお、基板上に吐出された液滴は、隣接した液滴と一体化し、レベリング効果により均一な膜が形成される。
レジスト膜、液晶配向膜、カラーフィルタ等の機能性インクは、紫外線硬化樹脂やポリイミド樹脂等の有機材料を溶剤で希釈した液体である。装置の休止中に、ノズルからの溶剤の蒸発により機能性インクの増粘度化が進み、ついにはインク中の固形分がノズルを塞ぐ等により「ノズル詰まり」が発生する。
また、連続製膜作業時に、ノズル内への気泡の侵入やゴミ等の異物の付着等による「ノズル詰まり」や、ノズルの表面の局部的に濡れが原因となる「インク飛行方向の曲がり(以下、ビーム曲がりと称する)」が発生し、ヘッドの信頼性が低下する。
図8に、不吐出ノズルや吐出したインク滴にビーム曲がりが発生した場合の製膜状態を示す。
ヘッド3aに不吐出ノズルがあるため、基板上にインク滴が付着しない欠陥30が生じる。また、ヘッド3eのビーム曲がりの発生するノズルから吐出されたインク滴が31であり、基板上での正規の着地位置から△pだけズレる。この結果、インク滴31は、両側の隣接ノズルに対して、それぞれ、距離がP+△p、及びP―△pとなり、基板上に形成された膜40の表面状態を観察すると、ヘッド3aの不吐出ノズルに対応して白スジ(39a)が、また、ヘッド3eのビーム曲がりノズルに対応して、隣接ノズルによる塗膜領域と重なった膜厚の厚くなる幅△pの領域41と、幅(p−△p)の白スジ領域39bが発生する。このため、均一な薄膜形成ができなくなるという問題がある。
本発明は、上述した従来のライン型インクジェットヘッドを用いた薄膜形成装置における問題点を解決し、不良ノズルによる印字不良を簡便な構成にて防止する薄膜形成装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するため、本発明では、記録メディアの搬送方向と直交する方向に配置された複数のノズルを有するライン型固定インクジェットヘッドを備える薄膜形成装置において、複数のノズルを有し記録メディアの搬送方向に直交する方向に移動可能なリペア用インクジェットヘッドと、前記ライン型固定インクジェットヘッド及び前記リペア用インクジェットヘッドのノズルの吐出状態を測定してそれぞれの不良ノズルを検出する検出手段と、前記ライン型固定インクジェットヘッドの不良ノズルを補間する吐出位置に、正常吐出可能なノズルを有するリペア用インクジェットヘッドを移動させる移動手段とを有することを特徴とする。
また、前記リペア用インクジェットヘッドは、記録メディアの搬送方向から見て、前記ライン型固定インクジェットヘッドの下流側に配置され、前記ライン型固定インクジェットヘッドよりもノズル数が少ない複数のノズルを有し、且つノズル列方向の幅が前記ライン型固定インクジェットヘッドよりも幅狭のヘッドであることを特徴とする。
また、前記リペア用インクジェットヘッドのノズルは、前記ライン型固定インクジェットヘッドの全ノズル数未満であることを特徴とする。
また、前記検出手段は、インク滴着地位置評価用冶具と撮像手段とを備え、
前記インク滴着地位置評価用冶具は、インク滴が表面に形成される透明な透明板と、透明板を透してインク滴列に一様に光を照射して透明板の下部に配置されるバックライト光源とから構成され、前記撮像手段は、CCDイメージセンサと、光学レンズとから構成されることを特徴とする。
また、前記検出手段は、インク滴着地位置評価用冶具と撮像手段とを備え、前記インク滴着地位置評価用冶具は、インク滴が表面に形成される不透明板と、不透明板の上部に配置されインク滴列に一様に光を照射する光源とから構成され、前記撮像手段は、インク滴が表面に形成された不透明板からの反射光を測定するCCDイメージセンサと、光学レンズとから構成されることを特徴とする。
また、記録メディアの搬送方向と直交する方向に、それぞれ独立に移動可能な前記リペア用インクジェットヘッドを複数個有することを特徴とする。
また、前記透明板または不透明板は、板表面に塗布液滴の拡がりを防ぐ撥インク膜が形成されていることを特徴とする。
また、前記記録メディアが、表面にカラーフィルター、電極、TFT等の駆動素子等が形成されたガラス、プラスチック、セラミック製の基板であることを特徴とする。
また、記録メディア上に塗布液を吐出して基板上に塗布液の薄膜薄膜や配線パターンを形成する薄膜形成方法において、前記記録メディアの搬送方向と直交する方向に配置された複数のノズルを有するライン型の固定インクジェットヘッドと該固定インクジェットヘッドよりも幅狭で、かつ、基板の搬送方向と直交する方向に移動可能なリペア用インクジェットヘッドを有し、上記ヘッドの全ノズルからインク滴着地位置評価用冶具上に塗布液のインク滴を吐出する工程と、撮像手段により前記インク滴形状評価用冶具上に形成されたインク滴の吐出状態を測定する工程と、この測定結果に基づき、ライン型の固定インクジェットヘッド及びリペア用インクジェットヘッドの不良ノズルを検出する工程と、前記ライン型固定インクジェットヘッドの不良ノズル位置に対応して、リペア用インクジェットの正常なノズルが配置されるようにリペア用インクジェットヘッドを移動させる工程と、前記ライン型固定インクジェットヘッドの駆動回路には、不良ノズル以外のノズルからインクが吐出されるように吐出信号を送り、リペア用インクジェットヘッドには、前記ライン型固定インクジェットヘッドの不良ノズルに対応する位置のノズルのみからインクが吐出されるように吐出信号を送ることにより、記録メディア上に塗布液のインク滴を吐出する工程を含むことを特徴とする。
また、CCDイメージセンサと光学レンズとから構成される撮像手段により、記録メディア上に形成される薄膜の欠陥の有無をモニターし、欠陥を検出した際は、警告信号を出力する工程、さらには、装置の稼働を中止する工程を有することを特徴とする。
ライン型インクジェットヘッドの不良ノズルをカバーする位置に移動可能なリペア用ヘッドを備えたことにより、不良ノズルの不吐出の補完を可能とし、従って、常に白スジや厚みムラ等の無い均一な薄膜を形成可能である。
また、インクジェット式薄膜形成装置において、長尺のライン型インクジェットヘッドに不吐出ノズルやビーム曲がりノズル等の不良ノズルが発生した際にも、装置起動チェック時に、インク滴着地位置評価用冶具と撮像手段とにより、ライン型インクジェットヘッド内の不吐出ノズルやビーム曲がりノズル等の不良ノズル位置を短時間に検出することが可能となる。
また、リペア用ヘッドは、ノズル数の少ない短尺のインクジェットのため、低価格で済み、且つリペア用ヘッド付き装置の小型化も図れる。
また、リペア用ヘッドの一部に不良ノズルが発生しても、正常なノズルが存在する限り、正常なノズルを選んで使用することが可能となる。
更に、不良ノズル検出用に使用する撮像手段を利用して、インクジェットヘッドにより製膜された基板上の薄膜の状態をモニターし、薄膜に欠陥等を検出すると、薄膜装置を停止させて再度リペアヘッドの設定を行うことが可能となる。
多数ノズルを有するライン型の固定インクジェットヘッドにより、基板上に機能性液体を吐出し、これにより薄膜を形成するプロセスにおいて、前記ヘッドに不良ノズルが発生し、機能性インクを正常に吐出できなくなっても、インク滴着地位置評価用冶具8と撮像手段5を用いて不良ノズル位置を検出し、基板搬送方向に対して直角方向に移動可能なリペア用ヘッドの正常ノズルを用いて補間することにより、欠陥のない製膜を実現した。
本発明の実施例について、以下図面を用いて説明する。
本発明で使用するライン型インクジェットヘッドについては、従来のライン型インクジェットヘッド3と同等である為、詳細な説明を省略する。
ライン型インクジェットヘッド3を用いて記録メディア上にインクを吐出する場合、ヘッド3に生じる不良ノズルの発生確率は、使用環境によって変わる。例えば、用紙に印刷するプリンタの場合には搬送時に用紙から生じる紙粉がノズル詰まりの原因になる。
本発明の薄膜形成装置は、ガラス基板やセラミックやプラスチック基板上に薄膜やパターニングを形成するため、紙粉等の異物の発生が無く、かつ高沸点の溶剤を選択できる。なお、使用する溶液は、液晶配向膜溶液、レジスト膜溶液、有機EL(エレクトロルミネッセンス)用発光体溶液やホール注入層溶液、更には、カラーフィルタ材料溶液、回路配線パターニング用の導電ペースト溶液を使用して吐出する。
従って、用紙に印刷するプリンタの場合に比べて、不良ノズルの発生は少ない。また、印刷パターンによっても不良ノズルの発生確率が異なり、液晶配向膜やレジスト膜印刷の場合には、ベタ膜の印刷のため、各ノズルは連続吐出となり、ノズル不良は発生しにくい。
このため、本発明では、フルライン幅のライン型ヘッドよりもノズル数の少ないヘッドをリペア用として用いることにより、ライン型インクジェットヘッドの不良ノズルのリカバリを行う。また、長尺のライン型インクジェットヘッドに対し、リペア用ヘッドは短尺(幅狭)のインクジェットヘッドとし、構成を簡略化することで、不良ノズルの発生確率を減少させる。
図2は、本発明を説明するためのヘッド構成を示す概略斜視図である。記録メディアに対してフルライン幅のライン型固定インクジェットヘッド3に加えて、リペア用ヘッドとして、基板6の搬送方向(X軸)に対して、Y軸方向に移動可能なリペア用ヘッド4a,4bを備えている。
ここで、フルライン幅のライン型の固定インクジェットヘッド3を構成する複数のユニットヘッドのうち、ユニットヘッド3aに不吐出ノズルが、また、ユニットヘッド3eにビーム曲がりノズルが発生した場合のリカバリについて説明する。
ユニットヘッド3aの不吐出ノズルを、予備ヘッド4aの有する複数のノズルの内の1ノズルでカバーし、同様に、ユニットヘッド3eのビーム曲がりノズルをリペア用ヘッド4bの有する複数のノズルの内の1ノズルでカバーするように各リペア用ヘッドを移動させて対応する。ライン型の固定インクジェットヘッド3の有する複数のノズルのインクの吐出状態を測定して不良ノズルを検出し、この不良ノズルに対応する位置にリペア用ヘッドを移動させる。なお、リペア用ヘッド数としては、2個にこだわることはなく、1個から複数個とし、それぞれのカバー領域を決めて、移動可能としてもよい。
ヘッドのノズルのインクの吐出状態を測定して不良ノズルを検出し、これをカバーするために、リペア用ヘッドの移動配置を行う時期は、(a)薄膜形成装置の立ち上げ起動時の初期チェック時と、(b)製膜作業中に薄膜に欠陥が検出され、薄膜形成装置の稼働を停止して、ヘッドをチェックする時である。
次に、ノズルのインクの吐出状態を測定して不良ノズルを検出する方法を説明する。
図3に、インク滴着地位置評価用冶具8の構造と、ライン型の固定インクジェットヘッド3及びリペア用ヘッド4の全ノズルからインク滴着地位置評価用冶具8上に吐出されたインク滴の状態を示す。
インク滴着地位評価用冶具8は、ガラス板等の透明板32と透明板32の下部に配置され、透明体板32を透してインク滴列に一様に光を照射するバックライト光源34から構成される。機能性インクの表面張力が小さく、透明板32の表面でインク滴が拡がり、隣接ノズルからの液滴とくっつく場合には、撥インク膜層33を設ける。インク滴着地位置評価用冶具8を、図2に示したライン型の固定インクジェットヘッド3とリペア用ヘッド4a,4bの下を通過させ、それぞれのヘッドの全ノズルからインク滴を吐出する。なお、インク滴群24,25,26,27,28、29は、それぞれ、ライン型の固定インクジェットヘッド3を構成するユニットヘッド3a,3d,3b,3e,3c,3fから吐出されたものであり、また、インク滴群22,23は、それぞれ、リペア用ヘッド4a,4bから吐出されたものである。ここで、ヘッド3aから吐出されて形成されたインク滴群24の中には、ノズル詰まりのためにインク滴が形成されない領域30が、さらに、ヘッド3eでは、ビーム曲がりノズルが発生し、基板上での着地位置が△pだけズレたインク滴31が存在する。一方、リペア用ヘッド4a,4bでは、全ノズルが正常にインク滴を吐出している。
図4は、CCDイメージセンサ5aと光学レンズ5bから構成される撮像手段5により、インク滴着地位置評価用冶具8上に形成されたインク滴の状態を測定し、不良ノズルを検出する方法を説明する概略斜視図である。
ヘッドから吐出されるインク滴の重量が20pl(ピコ・リットル)とすると、インク滴着地位置評価用冶具8上に形成されたインク滴の直径は、表面面処理層33の特性によって決まるインクの濡れ性によって変わるが、一般的に50から80μmとなる。また、ノズル配列ピッチを300dpiとするとインク滴ピッチPは85μm、ノズル配列ピッチを600dpiとするとPは42μmとなる。撮像手段5をインク滴着地位置評価用冶具8上をY方向に走査する。CCDの画素は、現状、小さいもので7μmである。従って、インク滴の有無は勿論のこと、インク滴の位置をも検出可能である。
更に、ビーム曲がりによる着地位置ズレの許容値△psをPの10%とすると、4から8μmとなる。従って、光学レンズ5bの倍率を5から10倍に選べば、ビーム曲がりによる着地位置ズレを測定し、不良ノズルを検出可能である。
図1は、本発明の実施例であるインクジェット式薄膜形成装置の構成を示す図である。
ライン型の固定インクジェットヘッド3により、ガラス基板6に機能性インクを吐出して製膜を行う。図6に示した、従来のインクジェット式薄膜形成装置との違いは、機構部として、移動ステージ2上に、インク滴着地位置評価用冶具8が設けられていることと、CCDイメージセンサと光学レンズから構成される撮像手段5が配置され、Y軸方向に走査可能な構造となっていること、更に、2個のリペア用ヘッド4a,4bが設けられ、Y軸方向に移動可能な構造となっていることである。
また、画像処理装置11、ラインヘッド3及びリペア用ヘッド4の吐出データを生成するヘッド吐出信号生成装置13及び、駆動回路16が具備されている。ラインヘッド3のノズルピッチ及び、リペア用ヘッド4のノズルピッチは、ともに0.25mmで、ノズル密度は100ノズル/インチである。X軸方向に移動するステージ2には、予備吐出用受け皿7と、インク滴着地位置評価用冶具8、ガラス基板6が取り付けられている。ラインヘッド3により吐出するインクは液晶パネルの配向膜溶液で、ポリイミド樹脂をNMP(N−メチルピロリゾン)溶媒に希釈したものである。インク滴着地位置評価用冶具8の表面には、ノズルから吐出されたインク滴が、隣接するノズルから吐出されたインク滴と合体しないように、フッ素系の撥インク処理膜33が形成されている。このインクは、インク供給装置(図示しない)によりヘッドに供給されるようになっている。制御装置12によりX軸移動ステージ駆動装置18の動作を制御する。ラインヘッド3及びリペア用ヘッド4a,4bのノズル面が清掃部材(図示されない)により清掃された後、ステージ2がX(+)方向に移動を開始し、ラインヘッド3の下を予備吐出用受け皿7が通過時に、全ノズルからインクを吐出するレフレッシュ動作を行う。
次に、ラインヘッド3の下をインク滴着地位置評価用治具8が通過時に、全ノズルの圧電素子に駆動電圧パルスを印加して、インク滴を吐出する。なお、図7に示すようにユニットヘッド(3a,3b,3c,3d,3e,3f)が千鳥状に配置されているため、インク着地位置評価用治具8上に形成されたインク滴列は、距離Lだけ離れている。このため、X軸移動ステージ2の移動速度をVとすると、ユニットヘッド3a,3b,3cの駆動開始時間をヘッド3d,3e,3fよりも、時間T1(=L3/V)だけ遅らせることにより、インク滴着地位置評価用治具8上で液滴は1列となる。
同様に、リペア用ヘッド4a,4bの下を予備吐出用受け皿7が通過時に、全ノズルからインクを吐出するレフレッシュ動作を行い、次に、ヘッド4の下をインク滴着地位置評価用治具8が通過時に、全ノズルの圧電素子に駆動電圧パルスを印加して、インク滴を吐出する。
この結果、図3に示すように、インク滴着地位置評価用治具8上にヘッド3及びヘッド4から吐出されたインク液滴列が形成される。
さらに、ステージ2がX(+)方向に移動し、インク滴着地位置評価用治具8が、撮像手段5の下に到達するとステージ2が静止し、インク滴着地位置評価用治具8に内蔵されたバックライト光源34が点灯する。
そして、撮像手段5がY(+)方向に走査しながら、リペア用ヘッド4a,4bから吐出されたインク滴群22,23及び、ラインヘッドから吐出された24,25,26,27,28,29のインク滴像を撮像し、撮像データを画像処理装置11に送る。画像処理装置11では、撮像手段5で取り込まれた撮像データから、不吐出ノズルやビーム曲がりノズル等の不良ノズルの有無とそのノズルの位置を検出し、情報をヘッド吐出信号生成装置13に送る。
本実施例では、図3に示すように、ラインヘッド3ではユニットヘッド3aに不吐出ノズルが1ヶ所、3eにビーム曲がりノズルが1ヶ所あること、さらに、リペアヘッド4a、4bは全ノズルが正常に吐出しているとする。なお、インク滴着地位置評価用治具8は表面を清掃することにより、何回でも使用することができる。制御装置12では、不良ノズル位置データに基づき、リペア用ヘッドを取り付けたY軸移動ステージ19を駆動させて、ラインヘッド3の不良ノズルをヘッド4a、4bの正常ノズルでリペアするように移動させる。
なお、本実施例では、ヘッド4a、4bのいずれも、全ノズルが吐出可能なため、どのノズルをリペア用ノズルとして用いても良い。ヘッド吐出信号生成装置13では、ヘッドノズル状態データと製膜データに基づき、ラインヘッド3とリペア用ヘッド4a,4bへの吐出データを生成する。なお、ユニットヘッド3a及びユニットヘッド3eの不良ノズル部はインク滴を吐出しないようにする。また、X軸移動ステージ2に取り付けらたガラス基板6の製膜開始位置が、ラインヘッド3の手前に配置するようにX軸移動ステージ2をバック(―方向に移動)させる。
以上の準備ができた段階で、基板6への製膜作業を開始する。制御装置12からの指令により、X軸移動ステージ駆動装置18が作動し、移動ステージ2がX(+方向)に移動を開始する。ヘッド吐出信号生成装置13からライン型インクジェットヘッド3の駆動回路17に駆動信号を送り、製膜開始位置より、ラインヘッド3のノズルから配向膜溶液を吐出する。一方、リペア用ヘッド4a,4bは、ライン型インクジェットヘッド3の設置位置より距離Kだけ離れているため、X軸移動ステージ2の移動速度をVとすると、ヘッド吐出信号生成装置13からヘッド4a,4bヘッドの駆動回路16に、時間T2(=L2/V)だけ遅らせて駆動信号を送りヘッド4a,4bヘッドより、配向膜溶液を吐出する。
ライン型インクジェットヘッド3とヘッド4a、4b及び製膜状態を図5に示す。
図5から分かるように、ユニットヘッド3a及びユニットヘッド3eの不良ノズルの吐出を中止することにより、基板6上に30,31のインクが塗布されない領域が生じるが、これをヘッド4aからのインク滴36、及び、ヘッド4bからのインク滴37により塗布され、いずれも、インク滴は基板上でレベリングにより、平坦化され、ヘッド4の下を通過後は均一な欠陥の無い製膜が可能となった。ここでは、リペア用ヘッドとして4a,4bの2個のヘッドを使用した場合を示したが、2個にこだわるものでなく、1個でも3個以上でも良い。
本実施例では、ガラス基板6として説明したが、対象としては、表面にカラーフィルター、電極、TFT等の駆動素子等が形成されたガラス、プラスチック、セラミック製の基板を対象とすることができる。
本実施例では、インク滴着地位置評価用冶具として、金属等の光反射膜が表面に形成されたプレート45を用いた場合を説明する。
図9に、反射型インク滴着地位置評価用治具とライン型インクジェットヘッドとリペア用ヘッドから評価用治具上に吐出されたインク滴の分布の斜視図を示す。
プレート45の表面にクロムやアルミニウム等の金属膜44が形成されている。インク滴着地位置評価用冶具の表面に光を照射する照明手段42、反射光を測定するCCDイメージセンサ5aと光学レンズ5bから構成される撮像手段5が設けられる。照明領域が43であり、撮像手段5と照明手段42が一体となってY方向に走査し、金属膜44上に形成されたインク滴の像を撮像する。なお、表面張力が小さく、金属膜44上でインク滴が拡がり、隣接するインク滴と一体化し、インク滴の着地位置が正確に測定出来ない場合には、金属膜44の表面に撥インク性能を有する表面処理層35を設けることが出来る。
実施例1が透過光を利用するのに対し、本実施例では反射光を利用する方法で、インクが光を透過する場合に採用でき、更に、インク滴着地位置評価用冶具の構造が簡単になるという効果がある。
実施例1では、ライン型インクジェットヘッド3及びリペア用ヘッド4a,4bのノズル密度を同じ100ノズル/インチとしたが、リペア用ヘッド4a,4bのノズル密度をライン型インクジェットヘッド3のノズル密度よりも高密度、例えば、200ノズル/インチとし、隣接する2ノズルでライン型インクジェットヘッド3の不良ノズルの1ノズル分を補修する構成とする。
この時、ヘッド4a,4bの1ノズル当たりの液滴量を制御することにより、より精度の高い補修効果が得られる。また、2ノズルを用いることにより、2ノズルの内の一方が不吐出ノズルになっても、もう一方のノズルでカバーできるという冗長性を持たせることが可能となる。
第4の実施例を図1、8、9を用いて説明する。
X(+)方向に搬送される基板6の表面にインクジェットヘッド3、4によって機能性インクとして、レジスト膜インクが吐出され、インク滴はそれぞれ、合体し、レベリングされ、撮像手段5の下を通過する。その際、定期的に、撮像手段5をY軸方向に走査して、基板6上に形成された機能性インクの膜の状態を測定する。
この時、図8に示すように、機能性インクの膜が形成されない領域39aや39bがあると反射状態が異なるため、製膜不良を検出することができる。これを受けて警告信号を出力し、警告音を発したり、装置の稼働を中止することが出来る。即ち、撮像手段5は、基板への塗布スタート前のライン型インクジェットヘッド3やリペア用ヘッド4の不良ノズルをチェックするだけでなく、基板への塗布開始後は、製膜状態を監視することができるという効果がある。
なお、上述したこれらの実施例では、配向膜やレジスト膜の印刷例を示した。この場合は、インクは1種類でよいため、1個のライン型固定インクジェットヘッドと、移動可能なリペア用ヘッドの1組で対応した。
しかし、フルカラー有機ELの発光層や液晶パネル用カラーフィルタ材料溶液の塗布には、R、G、Bの3種類のインクの塗布構成とする。また、カラープリンタの場合にはY、M、C、Kの4色のインクの塗布構成とする。いずれも、本発明のヘッド組みを3組〜4組を用いれば、多種類のインクによる製膜用途にも適用することができる。
また、上述した実施例においては、リペア用ヘッドの配置は、記録メディアの搬送方向に対し、ライン型固定インクジェットヘッド3の下流側として説明したが、勿論上流側であっても良いし、両側に個別に備えることでも良い。
本発明の薄膜形成装置の構造を示す斜視図である。 ライン型固定インクジェットヘッドとリペア用ヘッドが配置された状態を示す斜視図である。 透過型インク滴着地位置評価用治具とライン型インクジェットヘッドとリペア用ヘッドから評価用治具上に吐出されたインク滴の分布を示す斜視図である。 エリアCCDイメージセンサと光学レンズから構成される撮像手段5により、インク滴着地位置評価用冶具8上に形成されたインク滴を観察する方法を説明する斜視図である。 本発明の薄膜形成装置に搭載されたライン型固定インクジェットヘッドとリペア用ヘッドにより製膜した状態を説明する斜視図である。 従来の薄膜形成装置の構造を示す斜視図である。 ライン型インクジェットヘッドを構成するヘッドユニットの配列状態とノズルから吐出されるインク滴の状態を示す斜視図である。 従来の薄膜形成装置に搭載されたライン型インクジェットヘッドにおいて、不良ノズルが発生した場合における製膜状態を説明する斜視図である。 反射型インク滴着地位置評価用治具とライン型インクジェットヘッドとリペア用ヘッドから評価用治具上に吐出されたインク滴の分布を示す斜視図である。
符号の説明
1:インクジェット式薄膜形成装置の筐体、3:ライン型固定インクジェットヘッド、4a,4b:リペア用ヘッド、5:撮像素子、6:記録メディア(ガラス基板他)、7:予備吐出用受け皿、8:インク滴着地位置評価用冶具、11:画像処理装置、12:制御装置、13:ヘッド吐出信号生成装置、16:リペアヘッドの駆動回路、17:ライン型インクジェットヘッド駆動回路、34:光源、39:白すじ、42:外部照射光源、44:金属膜である。

Claims (10)

  1. 記録メディアの搬送方向と直交する方向に配置された複数のノズルを有するライン型固定インクジェットヘッドを備える薄膜形成装置において、
    複数のノズルを有し記録メディアの搬送方向に直交する方向に移動可能なリペア用インクジェットヘッドと、前記ライン型固定インクジェットヘッド及び前記リペア用インクジェットヘッドのノズルの吐出状態を測定してそれぞれの不良ノズルを検出する検出手段と、前記ライン型固定インクジェットヘッドの不良ノズルを補間する吐出位置に、正常吐出可能なノズルを有するリペア用インクジェットヘッドを移動させる移動手段とを有することを特徴とするインクジェット式薄膜形成装置。
  2. 前記リペア用インクジェットヘッドは、記録メディアの搬送方向から見て、前記ライン型固定インクジェットヘッドの下流側に配置され、前記ライン型固定インクジェットヘッドよりもノズル数が少ない複数のノズルを有し、且つノズル列方向の幅が前記ライン型固定インクジェットヘッドよりも幅狭のヘッドであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット式薄膜形成装置。
  3. 前記リペア用インクジェットヘッドのノズルは、前記ライン型固定インクジェットヘッドの全ノズル数未満であることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット式薄膜形成装置。
  4. 前記検出手段は、インク滴着地位置評価用冶具と撮像手段とを備え、
    前記インク滴着地位置評価用冶具は、インク滴が表面に形成される透明な透明板と、透明板を透してインク滴列に一様に光を照射して透明板の下部に配置されるバックライト光源とから構成され、
    前記撮像手段は、CCDイメージセンサと、光学レンズとから構成されることを特徴とする請求項1乃至3記載のインクジェット式薄膜形成装置。
  5. 前記検出手段は、インク滴着地位置評価用冶具と撮像手段とを備え、
    前記インク滴着地位置評価用冶具は、インク滴が表面に形成される不透明板と、不透明板の上部に配置されインク滴列に一様に光を照射する光源とから構成され、
    前記撮像手段は、インク滴が表面に形成された不透明板からの反射光を測定するCCDイメージセンサと、光学レンズとから構成されることを特徴とする請求項1乃至3記載のインクジェット式薄膜形成装置。
  6. 記録メディアの搬送方向と直交する方向に、それぞれ独立に移動可能な前記リペア用インクジェットヘッドを複数個有することを特徴とする請求項1乃至3記載のインクジェット式薄膜形成装置。
  7. 前記透明板または不透明板は、板表面に塗布液滴の拡がりを防ぐ撥インク膜が形成されていることを特徴とする請求項5または6項記載のインクジェット式薄膜形成装置。
  8. 前記記録メディアが、表面にカラーフィルター、電極、TFT等の駆動素子等が形成されたガラス、プラスチック、セラミック製の基板であることを特徴とする請求項1乃至7記載のインクジェット式薄膜形成装置。
  9. 記録メディア上に塗布液を吐出して基板上に塗布液の薄膜薄膜や配線パターンを形成する薄膜形成方法において、
    前記記録メディアの搬送方向と直交する方向に配置された複数のノズルを有するライン型の固定インクジェットヘッドと該固定インクジェットヘッドよりも幅狭で、かつ、基板の搬送方向と直交する方向に移動可能なリペア用インクジェットヘッドを有し、上記ヘッドの全ノズルからインク滴着地位置評価用冶具上に塗布液のインク滴を吐出する工程と、
    撮像手段により前記インク滴形状評価用冶具上に形成されたインク滴の吐出状態を測定する工程と、
    この測定結果に基づき、ライン型の固定インクジェットヘッド及びリペア用インクジェットヘッドの不良ノズルを検出する工程と、
    前記ライン型固定インクジェットヘッドの不良ノズル位置に対応して、リペア用インクジェットの正常なノズルが配置されるようにリペア用インクジェットヘッドを移動させる工程と、
    前記ライン型固定インクジェットヘッドの駆動回路には、不良ノズル以外のノズルからインクが吐出されるように吐出信号を送り、リペア用インクジェットヘッドには、前記ライン型固定インクジェットヘッドの不良ノズルに対応する位置のノズルのみからインクが吐出されるように吐出信号を送ることにより、記録メディア上に塗布液のインク滴を吐出する工程を含むことを特徴とするインクジェット式薄膜形成方法。
  10. CCDイメージセンサと光学レンズとから構成される撮像手段により、記録メディア上に形成される薄膜の欠陥の有無をモニターし、欠陥を検出した際は、警告信号を出力する工程、さらには、装置の稼働を中止する工程を有することを特徴とする請求項9記載のインクジェット式薄膜形成方法。
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