以下、添付図面を参照して、本願の開示する検査装置および検査方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
まず、有機発光ダイオードの構成について、図1および図2を用いて説明する。図1は、ガラス基板Gの模式平面図である。図2は、有機発光ダイオード1の模式断面図である。
図1に示すように、基板としてのガラス基板G上には、複数のアクティブエリア21(塗布領域)が規定されており、各アクティブエリア21内に図2に示す有機発光ダイオード1が形成される。
図2に示すように、有機発光ダイオード1は、陽極(アノード)10と陰極(カソード)40との間に、有機EL層30を挟んだ構造を有している。有機EL層30は、陽極10側から順に、正孔注入層31、正孔輸送層32、発光層33、電子輸送層34および電子注入層35が積層されて形成される。なお、発光層33には、R発光層、G発光層およびB発光層が含まれる。
正孔注入層31、正孔輸送層32および発光層33は、後述する基板処理システム100によって形成される。基板処理システム100は、インクジェット方式による有機材料の塗布処理、有機材料の減圧乾燥処理および有機材料の焼成処理を順次行うことにより、正孔注入層31、正孔輸送層32および発光層33のそれぞれを形成する。
その後、有機発光ダイオード1は、電子輸送層34、電子注入層35および陰極40が順次積層された後、大気中の水分等と遮断するため封止処理が施される。
かかる有機発光ダイオード1では、陽極10と陰極40との間に電圧が印加されることによって、正孔注入層31で注入された所定数量の正孔が正孔輸送層32を介して発光層33へ輸送される。また、電子注入層35で注入された所定数量の電子が、電子輸送層34を介して発光層33へ輸送される。そして、発光層33内で正孔と電子が再結合して励起状態の分子を形成し、発光層33が発光することとなる。
ところで、従来技術によれば、ガラス基板Gの不良を検出するための検査は、上述した封止処理を終えた段階で行われることが多かった。このため、早期に不良を検出して効率よく製造ラインを改善させるうえで改善の余地があった。
ここで、有機EL層30の形成工程においてガラス基板Gに生じる不良の一つとして、有機材料の塗布ムラがある。具体的には、インクジェット方式による有機材料の塗布処理を行う場合、ガラス基板Gには、塗布方向に沿った筋状の塗布ムラが生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、かかる筋状の塗布ムラを封止処理の前に検出することとした。これにより、塗布ムラを早期に検出して効率よく製造ラインを改善させることができる。
以下、塗布ムラの検査を行う検査装置について具体的に説明する。図3は、本実施形態に係る検査装置200を備えた基板処理システム100の構成を示す模式平面図である。ここで、図3では、検査装置200を分かりやすく示すため、検査装置200を所定のパターンで塗りつぶして示している。また、図3では、バッファ装置など一部の構成を省略して示している。
なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図3に示すように、基板処理システム100は、搬入ステーション110と、処理ステーション120と、搬出ステーション130とを一体に接続した構成を有している。搬入ステーション110は、複数のガラス基板GをカセットC単位で外部から搬入し、カセットCから陽極10が形成されたガラス基板Gを取り出す。
処理ステーション120は、ガラス基板Gに対して正孔注入層形成処理を行う正孔注入層形成ブロック121と、正孔注入層形成処理後のガラス基板Gに対して正孔輸送層形成処理を行う正孔輸送層形成ブロック122とを備える。また、処理ステーション120は、正孔輸送層形成処理後のガラス基板Gに対して発光層形成処理を行う発光層形成ブロック123を備える。
搬出ステーション130は、処理後のガラス基板GをカセットC内に収納し、複数のガラス基板GをカセットC単位で外部へ搬出する。
搬入ステーション110、正孔注入層形成ブロック121、正孔輸送層形成ブロック122、発光層形成ブロック123および搬出ステーション130は、X軸負方向からX軸正方向にこの順番で並べて配置される。
搬入ステーション110は、カセット載置台111と、搬送路112と、基板搬送体113とを備える。カセット載置台111は、複数のカセットCをY軸方向に一列に載置自在である。搬送路112は、Y軸方向に延伸させて設けられる。基板搬送体113は、かかる搬送路112上を移動可能に、かつ、Z軸方向およびZ軸まわりに移動可能に設けられ、カセットCと処理ステーション120との間でガラス基板Gを搬送する。
処理ステーション120は、上述したように、正孔注入層形成ブロック121、正孔輸送層形成ブロック122および発光層形成ブロック123を備える。
正孔注入層形成ブロック121は、塗布装置121aと、方向転換装置121bと、減圧乾燥装置121cと、焼成装置121dと、温度調節装置121eとを備える。塗布装置121aは、正孔注入層31を形成するための有機材料、具体的には、正孔注入層31を形成するための所定の材料を有機溶媒に溶解させた溶液をインクジェット方式によりガラス基板G上に塗布する装置である。塗布装置121aの構成については図4を参照して後述する。
方向転換装置121bは、ガラス基板Gの向きを変える装置である。方向転換装置121bの構成については図11を参照して後述する。
減圧乾燥装置121cは、塗布装置121aで塗布された有機材料を減圧乾燥する装置である。たとえば減圧乾燥装置121cは、ガラス基板Gを収容可能なチャンバと、チャンバ内に配置されたターボ分子ポンプを有し、ターボ分子ポンプによってチャンバ内を減圧することによって有機材料を乾燥させる。減圧乾燥装置121cの構成については図16を参照して後述する。なお、基板処理システム100に設けられる乾燥装置は、減圧乾燥装置121c以外の乾燥装置であってもよい。
焼成装置121dは、減圧乾燥装置121cで乾燥された有機材料を焼成する装置である。たとえば焼成装置121dは、ガラス基板Gを収容可能なチャンバと、チャンバ内に配置された熱板とを有し、熱板からの熱によって有機材料の焼成を行う。焼成装置121dの構成については図17を参照して後述する。
温度調節装置121eは、焼成装置121dで熱処理されたガラス基板Gを所定の温度、たとえば常温に調節する装置である。なお、正孔注入層形成ブロック121における塗布装置121a、方向転換装置121b、減圧乾燥装置121c、焼成装置121dおよび温度調節装置121eの配置や個数は、任意に選択可能である。
また、正孔注入層形成ブロック121は、トランジション装置TR1〜TR3と、搬送領域CR1〜CR3とを備える。
トランジション装置TR1〜TR3は、ガラス基板GをX軸正方向へ搬送する。トランジション装置TR1は、搬入ステーション110と搬送領域CR1との間に配置され、搬入ステーション110から搬送領域CR1へガラス基板Gを搬送する。トランジション装置TR2は、搬送領域CR1と搬送領域CR2との間に配置され、搬送領域CR1から搬送領域CR2へガラス基板Gを搬送する。トランジション装置TR3は、搬送領域CR2と搬送領域CR3との間に配置され、搬送領域CR2から搬送領域CR3へガラス基板Gを搬送する。
トランジション装置TR1〜TR3としては、たとえば、ガラス基板Gをローラー搬送するローラーコンベアや、ガラス基板Gを浮上させた状態で搬送する浮上ステージ等を用いることができる。
搬送領域CR1〜CR3は、隣接する装置に対するガラス基板Gの搬送および搬出が行われる領域である。具体的には、搬送領域CR1〜CR3には、水平多関節ロボット等の基板搬送装置が配置されており、かかる基板搬送装置によってガラス基板Gの搬送および搬出が行われる。
搬送領域CR1には、トランジション装置TR1,TR2と、塗布装置121aと、方向転換装置121bとが接続される。そして、搬送領域CR1に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR1,TR2と、塗布装置121aと、方向転換装置121bとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
搬送領域CR2には、トランジション装置TR2,TR3と、減圧乾燥装置121cとが接続される。そして、搬送領域CR2に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR2,TR3と、減圧乾燥装置121cとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
搬送領域CR3には、トランジション装置TR3,TR4と、焼成装置121dと、温度調節装置121eとが接続される。そして、搬送領域CR3に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR3,TR4と、焼成装置121dと、温度調節装置121eとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
正孔輸送層形成ブロック122は、塗布装置122aと、方向転換装置122bと、減圧乾燥装置122cと、焼成装置122dと、温度調節装置122eとを備える。塗布装置122aは、正孔輸送層32を形成するための有機材料、具体的には、正孔輸送層32を形成するための所定の材料を有機溶媒に溶解させた溶液をインクジェット方式によりガラス基板G上に塗布する装置である。
方向転換装置122b、減圧乾燥装置122c、焼成装置122dおよび温度調節装置122eは、方向転換装置121b、減圧乾燥装置121c、焼成装置121dおよび温度調節装置121eと同様の構成である。このため、これらについては説明を省略する。なお、正孔輸送層形成ブロック122における塗布装置122a、方向転換装置122b、減圧乾燥装置122c、焼成装置122dおよび温度調節装置122eの配置や個数は、任意に選択可能である。
また、正孔輸送層形成ブロック122は、トランジション装置TR4〜TR6と、搬送領域CR4〜CR6とを備える。
トランジション装置TR4〜TR6は、ガラス基板GをX軸正方向へ搬送する。トランジション装置TR4は、搬送領域CR3と搬送領域CR4との間に配置され、搬送領域CR3から搬送領域CR4へガラス基板Gを搬送する。トランジション装置TR5は、搬送領域CR4と搬送領域CR5との間に配置され、搬送領域CR4から搬送領域CR5へガラス基板Gを搬送する。トランジション装置TR6は、搬送領域CR5と搬送領域CR6との間に配置され、搬送領域CR5から搬送領域CR6へガラス基板Gを搬送する。
搬送領域CR4〜CR6は、隣接する装置に対するガラス基板Gの搬送および搬出が行われる領域である。具体的には、搬送領域CR4〜CR6には、水平多関節ロボット等の基板搬送装置が配置されており、かかる基板搬送装置によってガラス基板Gの搬送および搬出が行われる。
搬送領域CR4には、トランジション装置TR4,TR5と、塗布装置122aと、方向転換装置122bとが接続される。そして、搬送領域CR4に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR4,TR5と、塗布装置122aと、方向転換装置122bとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
搬送領域CR5には、トランジション装置TR5,TR6と、減圧乾燥装置122cとが接続される。そして、搬送領域CR5に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR5,TR6と、減圧乾燥装置122cとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
搬送領域CR6には、トランジション装置TR6,TR7と、焼成装置122dと、温度調節装置122eとが接続される。そして、搬送領域CR6に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR6,TR7と、焼成装置122dと、温度調節装置122eとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
発光層形成ブロック123は、塗布装置123aと、方向転換装置123bと、減圧乾燥装置123cと、焼成装置123dと、温度調節装置123eとを備える。塗布装置123aは、発光層33を形成するための有機材料、具体的には、発光層33を形成するための所定の材料を有機溶媒に溶解させた溶液をインクジェット方式によりガラス基板G上に塗布する装置である。
方向転換装置123b、減圧乾燥装置123c、焼成装置123dおよび温度調節装置123eは、方向転換装置121b、減圧乾燥装置121c、焼成装置121dおよび温度調節装置121eと同様の構成である。このため、これらについては説明を省略する。なお、発光層形成ブロック123における塗布装置123a、方向転換装置123b、減圧乾燥装置123c、焼成装置123dおよび温度調節装置123eの配置や個数は、任意に選択可能である。
また、発光層形成ブロック123は、トランジション装置TR7〜TR10と、搬送領域CR7〜CR9とを備える。
トランジション装置TR7〜TR10は、ガラス基板GをX軸正方向へ搬送する。トランジション装置TR7は、搬送領域CR6と搬送領域CR7との間に配置され、搬送領域CR6から搬送領域CR7へガラス基板Gを搬送する。トランジション装置TR8は、搬送領域CR7と搬送領域CR8との間に配置され、搬送領域CR7から搬送領域CR8へガラス基板Gを搬送する。トランジション装置TR9は、搬送領域CR8と搬送領域CR9との間に配置され、搬送領域CR8から搬送領域CR9へガラス基板Gを搬送する。トランジション装置TR10は、搬送領域CR9と搬出ステーション130との間に配置され、搬送領域CR9から搬出ステーション130へガラス基板Gを搬送する。
搬送領域CR7〜CR9は、隣接する装置に対するガラス基板Gの搬送および搬出が行われる領域である。具体的には、搬送領域CR7〜CR9には、水平多関節ロボット等の基板搬送装置が配置されており、かかる基板搬送装置によってガラス基板Gの搬送および搬出が行われる。
搬送領域CR7には、トランジション装置TR7,TR8と、塗布装置123aと、方向転換装置123bとが接続される。そして、搬送領域CR7に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR7,TR8と、塗布装置123aと、方向転換装置123bとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
搬送領域CR8には、トランジション装置TR8,TR9と、減圧乾燥装置123cとが接続される。そして、搬送領域CR8に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR8,TR9と、減圧乾燥装置123cとの間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
搬送領域CR9には、トランジション装置TR9,TR10と、焼成装置123dと、温度調節装置123eと、搬出ステーション130とが接続される。そして、搬送領域CR9に配置される基板搬送装置は、トランジション装置TR9と、焼成装置123dと、温度調節装置123eと、搬出ステーション130との間でガラス基板Gの搬送および搬出を行う。
搬出ステーション130は、カセット載置台131と、搬送路132と、基板搬送体133とを備える。カセット載置台131は、複数のカセットCをY軸方向に一列に載置自在である。
搬送路132は、Y軸方向に延伸させて設けられる。基板搬送体133は、かかる搬送路132上を移動可能に、かつ、Z軸方向およびZ軸まわりに移動可能に設けられ、処理ステーション120とカセットCとの間でガラス基板Gを搬送する。
また、基板処理システム100は、制御装置140を備える。制御装置140は、たとえばコンピュータであり、制御部141と記憶部142とを備える。記憶部142には、基板処理システム100において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部141は、記憶部142に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム100の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置140の記憶部142にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。制御装置140の具体的な構成については、図8を参照して後述する。
上記のように構成された基板処理システム100において、本実施形態に係る検査装置200は、各ブロック121〜123の塗布装置121a,122a,123aにそれぞれ設けられる。
次に、本実施形態に係る検査装置200の構成について図4〜図7を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る塗布装置121aの構成を示す模式平面図である。図5は、塗布処理後におけるガラス基板Gの模式平面図である。図6は、本実施形態に係る検査装置200の構成を示す模式平面図である。図7は、計測ヘッド220の構成を示す模式側面図である。
なお、ここでは、正孔注入層形成ブロック121の塗布装置121aに配置される検査装置200を一例として説明するが、他のブロック122,123の塗布装置122a,123aに配置される検査装置200も同様の構成を有する。
まず、図4を参照して塗布装置121aの構成について説明する。図4に示すように、塗布装置121aは、搬送路51と、ステージ52と、移動機構53と、吐出部54とを備える。
搬送路51は、塗布方向であるY軸方向に延在しており、上部にステージ52が配置される。ステージ52は、たとえば石定盤で形成される矩形状の台座であり、上部に基板が載置される。ステージ52は、図示しない吸引機構により基板を吸着保持する。
移動機構53は、ステージ52を水平方向、具体的には、Y軸方向およびX軸方向に移動させる。
吐出部54は、搬送路51の中途部に配置され、図示しない固定部によってステージ52よりも上方の位置に固定される。吐出部54は、塗布方向であるY軸方向と直交するX軸方向に配列された複数のノズル55を備える。これら複数のノズル55は、バルブや流量調節部等を含む供給機器群56を介して有機材料供給源57に接続される。
かかる吐出部54は、有機材料供給源57から供給機器群56を介して供給される有機材料を複数のノズル55からステージ52に載置されたガラス基板Gに対して吐出する。
吐出部54が備える複数のノズル55には、予備ノズルが含まれる。予備ノズルは、平常時に使用されるノズルに異常が発生した場合に、異常が発生したノズルの代わりに使用される。
上記のように構成された塗布装置121aは、移動機構53を用いてステージ52を塗布方向であるY軸正方向へ移動させつつ、吐出部54が備える複数のノズル55からステージ52上のガラス基板Gに対して有機材料を吐出する。これにより、ガラス基板Gの各アクティブエリア21に正孔注入層31を形成するための有機材料が塗布される。
塗布ムラを検出する検査装置200は、塗布装置121aの搬送路51における吐出部54よりも下流側の領域、すなわち、塗布処理が完了した直後のガラス基板Gが配置される場所に設けられる。
ここで、塗布ムラは、たとえばノズル55が吐出不良を起こすことによって生じる。すなわち、ノズル55が吐出不良を起こすと、かかるノズル55からの吐出量が正常なノズル55からの吐出量よりも少なく(あるいは多く)なるため、ガラス基板Gに塗布される有機材料の量に差が生じて塗布ムラとなる。
そして、インクジェット方式による塗布処理では、ノズル55に対してガラス基板Gを移動させて有機材料の塗布を行うため、上述した塗布ムラは、図5に示すように、塗布方向に沿って筋状に形成されることとなる。以下、この筋状の塗布ムラを「筋ムラST」と記載する。
また、塗布装置121aは、塗布処理を行う間、ステージ52をY軸正方向だけでなく、X軸方向にも適宜移動させることにより、1つのノズル55で複数ラインの塗布を行う。このため、ガラス基板Gには、1つのノズル55に対応する複数の筋ムラSTが所定間隔で生じることとなる。
このように、インクジェット方式による塗布処理が施されたガラス基板Gには筋ムラSTが生じている可能性がある。本実施形態に係る検査装置200では、かかる点に着目し、有機材料が塗布された領域の全域を検査領域するのではなく、筋ムラSTと交差する一部の領域、言い換えれば、塗布方向と交差する一部の領域だけを検査領域とすることとした。これにより、筋ムラSTの有無を効率的に検査することが可能である。
図6に示すように、本実施形態に係る検査装置200は、ガラス基板Gにおける有機材料の塗布領域(ここでは、複数のアクティブエリア21)の一部であって、塗布方向(ここでは、Y軸方向)と直交する方向に延在する検査領域IAを検査する。
具体的には、検査領域IAは、塗布方向と直交する方向(X軸方向)においては塗布領域の全域を含み、塗布方向(Y軸方向)においては塗布領域の一部のみを含む領域である。本実施形態に係る検査領域IAは、塗布方向と直交する方向(X軸方向)においては、この方向に並ぶ複数(ここでは、3つ)のアクティブエリア21の全てを含み、かつ、塗布方向(Y軸方向)においては、この方向に並ぶ複数(ここでは、2つ)のアクティブエリア21のうち1つのアクティブエリア21(ここでは、Y軸正方向側に配置されたアクティブエリア21)の一部のみを含む領域である。
なお、本実施形態では、検査領域IAが塗布方向と直交する方向に延在する領域であるものとするが、検査領域IAは、少なくとも塗布方向と交わる方向に延在していればよく、必ずしも直交することを要しない。
検査装置200は、ガイドレール210と、計測ヘッド220と、移動機構230とを備える。ガイドレール210は、図示しない固定部によってステージ52よりも上方の位置に固定され、塗布方向と直交する方向(ここでは、X軸方向)に延在する。計測ヘッド220は、ガイドレール210に取り付けられる。移動機構230は、ガイドレール210に沿って計測ヘッド220を移動させる。
計測ヘッド220は、図7に示すように、ガラス基板Gに対して光を照射する照射部221と、光の照射を受けたガラス基板Gを撮像する撮像部222とを備える。照射部221は、計測ヘッド220が移動機構230によってX軸負方向へ移動することによって、ガラス基板G上の検査領域IAに対して光を照射する。また、撮像部222は、計測ヘッド220が移動機構230によってX軸負方向へ移動することによって、照射部221からの光の照射を受けた検査領域IAを撮像する。
照射部221は、ガラス基板Gに対して赤外光を照射することが好ましい。このように、赤外光を用いることにより、ガラス基板G上に形成された正孔注入層31にダメージを与えることなく筋ムラSTの有無を検査することができる。
赤外光を用いる場合、撮像部222は、ガラス基板Gからの反射光を撮像することになる。そこで、図7に示すように、照射部221は、ガラス基板G上の検査領域IAに対して斜め方向から赤外光を照射する向きに配置され、撮像部222は、検査領域IAに対して光軸AXが斜めとなる向きに配置されることが好ましい。すなわち、撮像部222は、赤外光の正反射光の光路上に光軸AXが配置されることが好ましい。このような配置とすることで、よりコントラストの高い撮像画像を得ることができる。なお、計測ヘッド220の移動方向に対する照射部221および撮像部222の配置は、図7に示す配置と逆であってもよい。すなわち、計測ヘッド220は、照射部221がX軸正方向側に配置され、撮像部222がX軸負方向側に配置される構成であってもよい。
なお、本実施形態のように減圧乾燥処理前に筋ムラSTの検査を行う場合には、赤外光により筋ムラSTを良好に検出することができるものの、減圧乾燥処理後に筋ムラSTの検査を行う場合、赤外光では筋ムラSTを精度良く検出することが難しい。このため、減圧乾燥処理後のガラス基板Gに対して筋ムラSTの検査を行う場合、赤外光に代えて、紫外光を用いることが好ましい。この点については、後述する変形例において説明する。
検査装置200は上記のように構成されており、計測ヘッド220をX軸負方向へ移動させる間、照射部221からガラス基板Gへ光を照射しつつ、撮像部222を用いてガラス基板Gを撮像する。これにより、検査装置200は、検査領域IAを撮像する。
なお、検査装置200は、複数の計測ヘッド220を備える構成であってもよい。たとえば、検査装置200は、1つのガイドレール210と、所定の間隔をあけてガイドレール210に取り付けられる複数の計測ヘッド220と、複数の計測ヘッド220を個別に移動させる複数の移動機構230とを備えてもよい。このような構成とすることで、検査領域IAを複数の計測ヘッド220で分担して計測することが可能となるため、計測処理に要する時間を短縮することができる。
次に、本実施形態に係る制御装置140の構成および制御装置140によって制御される検査装置200の動作について図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る制御装置140の構成を示すブロック図である。
なお、図8では、実施形態に係る検査装置200の特徴を説明するために必要な構成要素を機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。また、図8に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。たとえば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
さらに、各機能ブロックにて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサおよび当該プロセッサにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得るものである。
図8に示すように、制御装置140は、制御部141と記憶部142とを備える。また、制御部141は、塗布制御部141aと、計測制御部141bと、画像取得部141cと、不良検出部141dと、NGノズル特定部141eとを備える。また、記憶部142は、処理情報142aと、撮像画像142bとを記憶する。
なお、制御部141は、たとえばCPUであり、記憶部142に記憶された図示しないプログラムを読み出して実行することにより、図8に示す各機能ブロック141a〜141eとして機能する。また、記憶部142は、たとえばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子あるいはハードディスク装置などによって実現される。
塗布制御部141aは、記憶部142に記憶された処理情報142aに基づいて移動機構53および吐出部54を制御することによって、上述したガラス基板Gの塗布処理を実行する。なお、処理情報142aは、塗布処理を実行するうえで必要となる情報であり、たとえば使用するノズル55の情報やアクティブエリア21の位置を示す情報などが含まれる。
また、塗布制御部141aは、塗布処理が終了すると、塗布装置121aの移動機構53を制御して、ステージ52をY軸正方向へ移動させ、ガラス基板Gのアクティブエリア21を計測ヘッド220の下方に位置させる。その後、塗布制御部141aは、計測制御部141bに対して計測処理の開始を指示する。
計測制御部141bは、照射部221、撮像部222および移動機構230を制御することによって、検査領域IAを撮像する計測処理を行う。具体的には、計測制御部141bは、検査装置200の移動機構230を制御して、計測ヘッド220をX軸負方向へ移動させる。この間、計測制御部141bは、照射部221を制御してガラス基板Gへ光を照射させつつ、撮像部222を制御してガラス基板Gを撮像する。これにより、検査領域IAが撮像される。
画像取得部141cは、撮像部222によって撮像された撮像画像を取得して、撮像画像142bとして記憶部142へ記憶させる。なお、画像取得部141cは、たとえば基板デザイン、ステージ52、撮像部222等の不要な映り込みを撮像画像から除去する画像処理を行ったうえで、画像処理後の撮像画像を撮像画像142bとして記憶部142へ記憶してもよい。これにより、後述する不良検出部141dによる画像解析の精度を高めることができる。
不良検出部141dは、記憶部142に記憶された撮像画像142bを解析する。そして、不良検出部141dは、たとえば撮像画像142bの階調等に基づいてガラス基板Gの不良、すなわち、筋ムラSTの有無を検出する。
このように、本実施形態に係る検査装置200は、塗布処理かつ減圧乾燥処理前のガラス基板Gに対し、塗布処理による筋ムラSTの有無を検査することとした。これにより、塗布装置121aに筋ムラSTが生じたことを早期に検出することができる。
また、本実施形態に係る検査装置200は、有機材料の塗布領域の一部の領域である検査領域IAのみを検査することとしたため、筋ムラSTを効率良く検出することができる。
また、本実施形態に係る検査装置200は、塗布装置121aに設けられる。具体的には、検査装置200のガイドレール210および計測ヘッド220は、搬送路51における吐出部54よりも下流側の領域に設けられる。これにより、塗布処理後のガラス基板Gを塗布装置121a内で検査することができるため、塗布装置121aに不良が生じたことをより早期に検出することができる。
不良検出部141dは、筋ムラSTを検出すると、撮像画像142bをNGノズル特定部141eへ渡す。
NGノズル特定部141eは、撮像画像142bに対してFFT(Fast Fourier Transform)等の周波数解析を行うことによって、筋ムラSTのピッチを算出する。そして、NGノズル特定部141eは、検出された筋ムラSTの各位置や算出したピッチ等に基づいて筋ムラSTに対応するノズル55、すなわち、吐出不良を起こしたノズル55(以下、「NGノズル」と記載する)を特定する。
そして、NGノズル特定部141eは、NGノズルを特定すると、NGノズルを使用しないように処理情報142aを更新する。具体的には、NGノズル特定部141eは、NGノズルを使用する処理情報142aから、このNGノズルに代えて予備ノズルを使用する処理情報142aに更新する。これにより、次回の塗布処理において筋ムラSTが生じることを防止することができるため、製造ラインを早期に改善させることができる。
上述してきたように、本実施形態に係る検査装置200は、照射部221と、撮像部222と、制御部141とを備える。照射部221は、インクジェット方式によって有機材料が塗布されたガラス基板Gにおける有機材料の塗布領域の一部であって、インクジェット方式による塗布方向と交差する方向に延在する検査領域IAに対して光を照射する。撮像部222は、光の照射を受けた検査領域IAを撮像する。制御部141は、撮像部222によって撮像された撮像画像に基づいてガラス基板Gの不良を検出する。
したがって、本実施形態に係る検査装置200によれば、早期に不良を検出して効率よく製造ラインを改善させることができる。
(変形例)
次に、本実施形態に係る検査装置200の変形例について説明する。まず、第1変形例に係る検査装置200Aについて図9を参照して説明する。図9は、第1変形例に係る検査装置200Aの構成を示す模式平面図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図9に示すように、第1変形例に係る検査装置200Aは、塗布装置121aの吐出部54に固定される。かかる検査装置200Aは、照射部221Aと、複数の撮像部222Aとを備える。
照射部221Aは、吐出部54に固定される。照射部221Aは、塗布方向と直交する方向であるX軸方向に延在する。かかる照射部221Aには、複数の発光素子213がX軸方向に沿って設けられる。複数の発光素子213は、たとえば赤外光を照射する。
複数の撮像部222Aは、吐出部54に固定された照射部221Aに対して固定される。複数の撮像部222Aは、広視野角を有しており、X軸方向に沿って所定の間隔をあけて配列される。第1変形例では、3つの撮像部222Aが照射部221Aに固定されており、これら3つの撮像部222Aの視野によって検査領域IAがカバーされる。なお、撮像部222Aの個数は、任意に変更可能である。
第1変形例において、制御部141は、塗布処理を終えると、移動機構53を制御して、ステージ52をY軸負方向、すなわち、搬送路51の上流側へ移動させて、ガラス基板Gのアクティブエリア21を複数の撮像部222Aの下方に位置させる。
つづいて、制御部141は、照射部221Aおよび撮像部222Aを制御することによって、検査領域IAを撮像する計測処理を行う。すなわち、制御部141は、照射部221Aを制御してガラス基板Gへ光を照射させつつ、撮像部222Aを制御してガラス基板Gを撮像する。これにより、検査領域IAが撮像される。
このように、検査装置200Aは、照射部221Aおよび撮像部222Aが塗布装置121aの吐出部54に固定される構成であってもよい。これにより、検査装置200Aの構成を簡略化することができる。また、検査装置200Aの設置コストを低く抑えることができる。
なお、ここでは、照射部221Aが吐出部54に固定され、撮像部222Aが照射部221Aに固定される場合の例を示したが、撮像部222Aが吐出部54に固定され、照射部221Aが撮像部222Aに固定されてもよい。また、照射部221Aおよび撮像部222Aを内蔵する計測ヘッドが吐出部54に固定される構成であってもよい。また、ここでは、照射部221Aおよび撮像部222Aが吐出部54の上流側に配置される場合の例を示したが、照射部221Aおよび撮像部222Aは、吐出部54の下流側に配置されてもよい。
また、ここでは、検査装置200Aが吐出部54に固定される場合の例を示したが、検査装置200Aは、たとえば、上述した検査装置200が備えるガイドレール210と同様の位置に、照射部221Aおよび撮像部222Aの固定部を備え、かかる固定部に対して照射部221Aおよび撮像部222Aが固定された構成であってもよい。
次に、第2変形例に係る検査装置200Bについて説明する。まず、検査装置200Bの構成について図10を参照して説明する。図10は、第2変形例に係る検査装置200Bの構成を示す模式平面図である。
図10に示すように、第2変形例に係る検査装置200Bは、計測ヘッド220Bを備える。計測ヘッド220Bは、図示しない固定部に固定されることによって、トランジション装置TR2の上方に配置される。計測ヘッド220Bは、上述した計測ヘッド220と同様の構成を有する。すなわち、計測ヘッド220Bは、照射部221と撮像部222とを備える。
また、搬送領域CR1には、基板搬送装置60が配置される。基板搬送装置60は、たとえば水平多関節ロボットであり、ガラス基板Gを水平に保持する保持部61と、保持部61を水平方向に移動させたりZ軸方向およびZ軸周りに移動させたりする移動部62とを備える。
また、方向転換装置121bは、ガラス基板GをZ軸周りに回転させる回転機構70を備える。
塗布装置121aと方向転換装置121bとは、搬送領域CR1を挟んで対抗する位置に配置される。具体的には、塗布装置121aと搬送領域CR1と方向転換装置121bとは、Y軸方向に沿ってこの順番で配列される。また、搬送領域CR1とトランジション装置TR2は、塗布装置121a、搬送領域CR1および方向転換装置121bの配列方向と直交する方向に配置される。
つづいて、検査装置200Bを用いた検査処理の動作例について図11〜図14を参照して説明する。図11〜図14は、第2変形例に係る検査処理の動作例を示す図である。
まず、図11に示すように、制御部141は、基板搬送装置60を制御して、塗布処理を終えたガラス基板Gを塗布装置121aから搬出させる。このとき、ガラス基板Gは、筋ムラSTがY軸方向を向いた状態で塗布装置121aから搬出される。
つづいて、図12に示すように、制御部141は、基板搬送装置60を制御して、ガラス基板Gを方向転換装置121bに搬入させる。このとき、ガラス基板Gは、筋ムラSTがY軸方向を向いた状態で方向転換装置121bの回転機構70上に載置される。
つづいて、制御部141は、回転機構70を制御して、ガラス基板Gの向きを90°転換させる。これにより、ガラス基板Gは、筋ムラSTがX軸方向を向いた状態となる。
つづいて、図13および図14に示すように、制御部141は、基板搬送装置60を制御して、ガラス基板Gを方向転換装置121bから搬出し、トランジション装置TR2へ搬入する。これにより、ガラス基板Gは、筋ムラSTがY軸方向を向いた状態、つまり、トランジション装置TR2による搬送方向であるX軸方向と直交する方向を向いた状態でトランジション装置TR2に搬入される。
そして、図14に示すように、制御部141は、ガラス基板Gがトランジション装置TR2によってX軸正方向に搬送される間、計測ヘッド220Bが備える照射部221および撮像部222を制御して計測処理を行う。これにより、筋ムラSTと直交する検査領域IAの撮像画像を得ることができる。
このように、筋ムラSTを検出する検査装置200Bは、ガラス基板Gを塗布装置121aから減圧乾燥装置121cへ搬送するためのトランジション装置TR2に設けられてもよい。これによっても、早期に不良を検出して効率よく製造ラインを改善させることができる。
また、第2変形例では、方向転換装置121bを用いてガラス基板Gの向きを転換させて、筋ムラSTの向き(すなわち、ガラス基板Gにおける有機材料の塗布方向)をトランジション装置TR2による搬送方向と直交させることとした。これにより、計測ヘッド220Bを移動させることなく計測処理を行うことができる。
次に、第3変形例に係る検査装置200Cについて図15を参照して説明する。図15は、第3変形例に係る検査装置200Cの構成を示す模式平面図である。
図15に示すように、第3変形例に係る検査装置200Cは、基板搬送装置60の保持部61に取り付けられる。具体的には、検査装置200Cは、保持部61に固定されるガイドレール210Cと、ガイドレール210Cに取り付けられた計測ヘッド220Cと、ガイドレール210Cに沿って計測ヘッド220Cを移動させる移動機構230Cとを備える。
ガイドレール210Cは、保持部61の進退方向(図15では、Y軸方向)に直交する方向(図15では、X軸方向)に沿って延在する。このため、計測ヘッド220Cは、この方向に移動する。また、塗布処理後のガラス基板Gは、筋ムラSTが保持部61の進退方向と同じ方向(図15では、Y軸方向)を向いた状態で保持部61に保持される。したがって、保持部61上において、筋ムラSTと計測ヘッド220Cの移動方向とは直交する。
制御部141は、基板搬送装置60を制御して、塗布処理後のガラス基板Gを塗布装置121aから搬出する。その後、制御部141は、ガラス基板Gを何れかの装置(たとえば、方向転換装置121bまたはトランジションTR2)へ搬入するまでの間に、照射部221C、撮像部222Cおよび移動機構230Cを制御して、検査領域IAを撮像する計測処理を行う。具体的には、制御部141は、移動機構230Cを制御して、計測ヘッド220CをX軸負方向へ移動させる。この間、制御部141は、計測ヘッド220Cの照射部221を制御してガラス基板Gへ光を照射させつつ、計測ヘッド220Cの撮像部222を制御してガラス基板Gを撮像する。これにより、筋ムラSTと直交する検査領域IAの撮像画像を得ることができる。
ここで、制御部141は、計測処理を行う間、基板搬送装置60によるガラス基板Gの搬送速度を通常の搬送速度より遅くしてもよい。これにより、搬送に伴うガラス基板Gの振動を抑えることができるため、計測処理の精度低下を抑えることができる。また、制御部141は、基板搬送装置60を停止させた状態で計測処理を行ってもよい。
このように、筋ムラSTを検出する検査装置200Cは、基板搬送装置60に設けられてもよい。これによっても、早期に不良を検出して効率よく製造ラインを改善させることができる。なお、基板搬送装置60には、図9に示す検査装置200Aと同様の構成の検査装置が設けられてもよい。
次に、第4変形例に係る検査装置200Dについて図16を参照して説明する。図16は、第4変形例に係る検査装置200Dの構成を示す模式平面図である。
図16に示すように、減圧乾燥装置121c(「後処理装置」の一例に相当)は、ガラス基板Gを収容可能なチャンバ80を備える。チャンバ80は、搬送領域CR2に面する位置にガラス基板Gの搬入出口81を有する。減圧乾燥装置121cと搬送領域CR2とは、Y軸方向に沿って配列される。
第4変形例に係る検査装置200Dは、計測ヘッド220Dを備える。計測ヘッド220Dは、減圧乾燥装置121cの搬入出口81の上部に設けられる。計測ヘッド220Dは、上述した計測ヘッド220と同様の構成を有する。すなわち、計測ヘッド220Dは、照射部221と撮像部222とを備える。
制御部141は、基板搬送装置60を制御して、トランジション装置TR2からガラス基板Gを搬出する。なお、ガラス基板Gは、方向転換装置121bによって向きが90°転換された状態となっている。したがって、ガラス基板Gは、筋ムラSTが保持部61の進退方向と直交した状態で基板搬送装置60に保持される。
つづいて、制御部141は、基板搬送装置60を制御して、ガラス基板Gを減圧乾燥装置121cへ搬入する。そして、制御部141は、ガラス基板Gが基板搬送装置60によってY軸方向に搬送される間、計測ヘッド220Dが備える照射部221および撮像部222を制御して計測処理を行う。これにより、筋ムラSTと直交する検査領域IAの撮像画像を得ることができる。
ここで、制御部141は、計測処理を行う間、基板搬送装置60によるガラス基板Gの搬送速度を通常の搬送速度より遅くしてもよい。これにより、搬送に伴うガラス基板Gの振動を抑えることができるため、計測処理の精度低下を抑えることができる。
このように、筋ムラSTを検出する検査装置200Dは、減圧乾燥装置121cに設けられてもよい。これによっても、早期に不良を検出して効率よく製造ラインを改善させることができる。なお、減圧乾燥装置121cの搬入出口81には、図6に示す検査装置200と同様の構成の検査装置が設けられてもよい。かかる場合、制御部141は、塗布処理後のガラス基板Gを方向転換装置121bへ搬送することなく、すなわち、ガラス基板Gの向きを変えることなくトランジション装置TR2へ搬送すればよい。
次に、第5変形例に係る検査装置200Eについて図17を参照して説明する。図17は、第5変形例に係る検査装置200Eの構成を示す模式平面図である。
図17に示すように、焼成装置121d(「後処理装置」の一例に相当)は、ガラス基板Gを収容可能なチャンバ90を備える。チャンバ90は、搬送領域CR3に面する位置にガラス基板Gの搬入出口91を有する。焼成装置121dと搬送領域CR3とは、Y軸方向に沿って配列される。
第5変形例に係る検査装置200Eは、計測ヘッド220Eを備える。計測ヘッド220Eは、焼成装置121dの搬入出口91の上部に設けられる。計測ヘッド220Eは、上述した計測ヘッド220と同様の構成を有する。すなわち、計測ヘッド220Eは、照射部221と撮像部222とを備える。
制御部141は、基板搬送装置60を制御して、トランジション装置TR3からガラス基板Gを搬出する。なお、ガラス基板Gは、前述の方向転換装置121bによって向きが90°転換された状態となっている。したがって、ガラス基板Gは、筋ムラSTが保持部61の進退方向と直交した状態で基板搬送装置60に保持される。
つづいて、制御部141は、基板搬送装置60を制御して、ガラス基板Gを焼成装置121dへ搬入する。そして、制御部141は、ガラス基板Gが基板搬送装置60によってY軸方向に搬送される間、計測ヘッド220Eが備える照射部221および撮像部222を制御して計測処理を行う。これにより、筋ムラSTと直交する検査領域IAの撮像画像を得ることができる。
制御部141は、計測処理を行う間、基板搬送装置60によるガラス基板Gの搬送速度を通常の搬送速度より遅くしてもよい。これにより、搬送に伴うガラス基板Gの振動を抑えることができるため、計測処理の精度低下を抑えることができる。
このように、筋ムラSTを検出する検査装置200Eは、焼成装置121dに設けられてもよい。これによっても、早期に不良を検出して効率よく製造ラインを改善させることができる。なお、焼成装置121dの搬入出口91には、図6に示す検査装置200と同様の構成の検査装置が設けられてもよい。かかる場合、制御部141は、塗布処理後のガラス基板Gを方向転換装置121bへ搬送することなく、すなわち、ガラス基板Gの向きを代えることなくトランジション装置TR2へ搬送すればよい。
上述した第5変形例のように、検査装置を焼成装置121dに設ける場合、検査装置による計測処理は、減圧乾燥装置121cによる減圧乾燥処理後に行われることとなる。上述したように、減圧乾燥処理後のガラス基板Gに対して筋ムラSTの検査を行う場合、赤外光によっては筋ムラSTを精度良く検出することが難しくなる。
一方、減圧乾燥処理後のガラス基板Gに対しては、紫外光を用いることにより筋ムラSTを精度良く検出することが可能である。そこで、焼成装置121dに設けられる第5変形例に係る検査装置200Eは、紫外光を照射する照射部を備えることとしてもよい。この場合、撮像部222は、有機EL層30からの励起光を撮像することとなる。
ここで、紫外光を照射する照射部を備える場合の計測ヘッド220Eの構成例について図18および図19を参照して説明する。図18は、第5変形例に係る計測ヘッド220Eの構成の一例を示す模式側面図である。また、図19は、第5変形例に係る計測ヘッド220Eの構成の他の一例を示す模式側面図である。
図18に示すように、計測ヘッド220Eは、照射部221が、ガラス基板G上の検査領域IAに対して斜め方向から紫外光を照射する向きに配置され、撮像部222が、検査領域IAに対して光軸AXが垂直となる向きに配置されることが好ましい。
また、図19に示すように、計測ヘッド220Eは、照射部221が、ガラス基板G上の検査領域IAに対して垂直に紫外光を照射する向きに配置され、撮像部222が、検査領域IAに対して光軸AXが斜めとなる向きに配置される構成であってもよい。
上述したように、撮像部222は、有機EL層30からの励起光を撮像する。このため、図18や図19に示すように、撮像部222は、紫外光の正反射光をなるべく受光しないように、紫外光の拡散反射光を受光する位置に配置されることが好ましい。
なお、撮像部222のレンズには、紫外領域の成分を除去する紫外カットフィルタが設けられてもよい。これにより、撮像部222による紫外光の反射光の受光量をさらに少なくすることができる。
また、第4変形例のように、検査装置を減圧乾燥装置121cに設ける場合、検査装置による計測処理は、減圧乾燥前に行うことも減圧乾燥処理後に行うことも可能である。そこで、減圧乾燥装置121cに設けられる検査装置200Dは、赤外光を照射する第1照射部と、紫外光を照射する第2照射部とを備えてもよい。これにより、計測処理を減圧乾燥処理前に行う場合および減圧乾燥処理後に行う場合の両方において、筋ムラSTを精度良く検出することができる。
ここで、赤外光を照射する第1照射部と紫外光を照射する第2照射部とを備える場合の計測ヘッド220Dの構成例について図20を参照して説明する。図20は、第4変形例に係る計測ヘッド220Dの構成の一例を示す模式側面図である。
図20に示すように、計測ヘッド220Dは、赤外光を照射する第1照射部221IRと、紫外光を照射する第2照射部221UVとを備える。かかる計測ヘッド220Dは、第1照射部221IRが、ガラス基板G上の検査領域IAに対して斜め方向から赤外光を照射する向きに配置され、第2照射部221UVが、検査領域IAに対して垂直に紫外光を照射する向きに配置されことが好ましい。また、撮像部222は、検査領域IAに対して光軸AXが斜めとなる向きに配置されることが好ましい。
このような構成とすることで、第1照射部221IRを用いて検査処理を行う場合には、赤外光の正反射光を撮像部222により多く受光させることができ、第2照射部221UVを用いて検査処理を行う場合には、紫外光の正反射光を撮像部222になるべく受光させないようにすることができる。
次に、第6変形例に係る検査装置200Fについて図21および図22を参照して説明する。図21は、第6変形例に係る基板処理システム100Aの構成を示す模式平面図である。また、図22は、第6変形例に係る検査装置200Fの構成を示す模式平面図である。
図21に示すように、第6変形例に係る検査装置200Fは、基板処理システム100Aにおいて、正孔注入層形成ブロック121、正孔輸送層形成ブロック122および発光層形成ブロック123の搬送領域CR3,CR6,CR9に隣接して設けられる。
図22に示すように、検査装置200Fは、ステージ240と、ガイドレール210Fと、計測ヘッド220Fと、移動機構230Fとを備える。ガラス基板Gは、ステージ240上に載置される。ガイドレール210F、計測ヘッド220Fおよび移動機構230Fの構成は、上述したガイドレール210、計測ヘッド220および移動機構230と同様である。なお、ガイドレール210Fは、ステージ240の上方に配置され、ガラス基板Gの搬入方向(ここでは、Y軸方向)と直交する方向に延在する。
制御部141は、基板搬送装置60を制御して、焼成処理後のガラス基板Gを検査装置200Fへ搬入してステージ240上に載置する。つづいて、制御部141は、移動機構230Fを制御して、計測ヘッド220FをX軸負方向へ移動させる。この間、制御部141は、計測ヘッド220Fの照射部221を制御してガラス基板Gへ光を照射させつつ、計測ヘッド220Fの撮像部222を制御してガラス基板Gを撮像する。これにより、検査領域IAが撮像される。
このように、検査装置200Fは、基板処理システム100Aにおいて、塗布装置121aよりも下流側に独立したユニットとして配置されてもよい。
なお、ここでは、検査装置200Fが各ブロック121〜123の搬送領域CR3,CR6,CR9に隣接して設けられる場合の例を示したが、検査装置200Fの配置は本例に限定されない。たとえば、検査装置200Fは、各ブロック121〜123の搬送領域CR1,CR4,CR7に隣接して設けられてもよい。かかる配置にすることで、検査装置200Fを搬送領域CR3,CR6,CR9に配置した場合と比べて筋ムラSTをより早期に検出することができる。また、検査装置200Fは、各ブロック121〜123の搬送領域CR2,CR5,CR8に隣接して設けられてもよい。
上述した実施形態および変形例では、製品基板であるガラス基板Gのアクティブエリア21を検査対象とする場合の例について説明したが、たとえばガラス基板Gのアクティブエリア21以外の領域(ダミー領域)に対して塗布処理を行い、このダミー領域を検査対象として計測処理を行ってもよい。これにより、仮に、紫外光を用いて計測処理を行ったとしても、製品となるアクティブエリア21に形成される有機EL層30にダメージを与えることはない。
また、上述した実施形態および変形例では、製品基板であるガラス基板Gを検査対象とする場合の例について説明したが、検査用の基板を検査対象としてもよい。この場合、検査装置は、たとえば白色光を照射する照射部を備えてもよい。
また、上述した実施形態および変形例では、ガラス基板Gの表面を観察面とする場合の例について説明したが、ガラス基板Gの裏面を観察面としてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。