JP4336605B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、配線基板製造方法に関するものである。
近年、電子機器における高機能化並びに軽薄短小化の要求により、ICチップやLSI等の電子部品では高密度集積化が急速に進んでおり、これに伴い、電子部品を搭載するパッケージ基板には、従来にも増して高密度配線化及び多端子化が求められている。
このようなパッケージ基板としては、現状において、ビルドアップ多層配線基板が採用されている。ビルドアップ多層配線基板とは、補強繊維に樹脂を含浸させた絶縁性のコア基板(FR−4等のガラスエポキシ基板)のリジッド性を利用し、その両主表面上に、誘電体層と導体層とが交互に配されたビルドアップ層(以下、積層体とも記す)を形成したものである。このようなビルドアップ多層配線基板では、積層体において高密度配線化が実現されており、一方、コア基板は補強の役割を果たす。そのため、コア基板は、積層体と比べて非常に厚く構成され、またその内部にはそれぞれの主表面に配された積層体間の導通を図るための配線(例えば、スルーホール導体と呼ばれる)が厚さ方向に貫通形成されている。ところが、使用する信号周波数が1GHzを超える高周波帯域となってきた現在では、そのような厚いコア基板を貫通する配線は、大きなインダクタンスとして寄与してしまうという問題があった。
そこで、そのような問題を解決するため、下記特許文献1に示されるような、コア基板を有さず、高密度配線化が可能な積層体を主体とした配線基板が提案されている。このような配線基板では、コア基板が省略されているため、全体の配線長が短く構成され、高周波用途に供するのに好適である。このような配線基板を製造するためには、下記特許文献1の段落0012〜0029及び図1〜4に記載されているように、金属板上に積層体を形成した後、該金属板をエッチングすることにより薄膜の積層体のみを得る。そして、この積層体が配線基板とされる。
特開2002−26171号公報
金属板から分離された薄膜の積層体には、IC接続側に配線基板のリジッド性を確保するための補強枠(以下、スティフナとも記す)が設置される。補強枠の材料としては銅合金やSUS304が用いられ、誘電体層としてはエポキシ系樹脂が使用される。補強枠を積層体に接続するときには接着剤を用い、接着剤を固化するために150℃程度で真空キュアする。補強枠に用いる銅合金の熱膨張係数は17.7ppm/℃程度である。誘電体層はエポキシ系樹脂を主成分としており、その熱膨張係数は55ppm/℃程度である。従来の配線基板では、これらの熱膨張係数の違いから、配線基板に反りが生じてしまう問題があった。すなわち、真空キュアが終了して冷却される時に補強枠は僅かしか縮まないが、誘電体層を含む配線基板は大きく縮むため図3(c)のように弓型になるのである。
一方、導体層の配線密度の差に起因する反りもある。導体層は、層によって配線密度が異なる。例えば半導体チップと接続されるための金属端子パッドを構成する導体層は配線密度が小さく、マザーボード接続側の金属端子パッドを構成する導体層は配線密度が高い。その理由は、半導体チップ接続側の金属端子パッドは一般に小さく作られているためである。導体層として銅合金を用いた場合、その熱膨張率は17.7ppm/℃程度であり、エポキシ樹脂を主成分とする誘電体層は55ppm/℃程度である。そのため、配線密度の低い半導体チップ接続側の面と、配線密度の高いマザーボード接続側の面で熱膨張率に差が生じて、反りが発生してしまう。ビルドアップ工程は170℃程度の高温がかかるので、ビルドアップ工程が終了して冷却された配線基板に応力がかかり、反りが生じるのである。半導体チップを接続する金属端子パッドは配線基板の中央部に配置されているので、図4(c)のように、中央部が凹むように変形する。
本発明は上述のような事情を背景になされたもので、導体層と誘電体層を交互に積層した積層体と、該積層体を補強して平坦度を確保する補強枠を備え、反りの低減が可能な配線基板を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記課題を解決するために本発明の配線基板の製造方法は、
複数の誘電体層とその間に配置した導体層とによって、誘電体層と導体層とが交互に積層され、導体層が誘電体層に形成したビアと導通している積層体と、その積層体の誘電体層の表面に位置して、誘電体層の前記ビアと導通し、半導体チップと接続する複数の金属端子パッドと、を備える配線基板の製造方法であって、支持基盤の上に下地誘電体シートを配置する工程と、分離可能な金属箔を含む金属箔密着体を下地誘電体シートの上に配置する工程と、金属箔密着体の上にヤング率が0.01GPa以上0.3GPa以下の高分子材料からなる誘電体層を用いる積層体を配置する工程と、下地誘電体シートと積層体との間に配置した金属箔密着体に含まれて分離可能な金属箔を剥離して金属箔が付着した状態で支持基盤から分離する工程と、積層体についている金属箔をエッチングする工程と、半導体チップを接続する積層体の金属端子パッド側に補強枠を接着する工程とを備えることを主要な特徴する。また、金属箔を剥離する工程には、積層体の周囲部を除去して金属箔密着体の端部を露出させる工程を備えさせることもできる
本発明では、ヤング率の低い高分子材料を誘電体層に用いることで、反りの少ない配線基板を提供する。具体的には、誘電体層のヤング率を0.01GPa以上0.3GPa以下とする。補強枠と誘電体層との熱膨張率の違いによって積層体に応力がかかったとしても、誘電体層自体が変形するので応力を緩和でき、積層体の反りを低減できる。ヤング率が0.3GPa以上だと誘電体層が変形しにくく、応力を十分に緩和できない場合がある。また、ヤング率が0.01GPa以下では柔らかすぎて配線基板に好適に使用できない。ヤング率が0.01GPa以上0.3GPa以下の物質としては例えばABF−LE CodeT3(商品名:味の素ファインテクノ株式会社製)を例示できる。
誘電体層のヤング率を上記範囲内にするとともに、導体層に熱膨張係数の小さい材料を用いると、さらに反りを低減することができる。具体的には、誘電体層のヤング率を0.01GPa以上0.3GPa以下とし、全ての導体層の熱膨張係数を15ppm/℃以上25ppm/℃以下とするとよい。また、導体層の配線密度の差を小さくすることで、さらに反りを低減することができる。具体的には、半導体チップ接続側の主表面に最も近い導体層の配線密度を50%以上90%以下とし、かつ、マザーボード接続側の主表面に最も近い導体層の配線密度を50%以上90%以下とする。このようにすると各導体層の配線密度の差は40%以下となり、反りが低減できるのである。
以下、本発明に係わる実施形態を、図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態を示す概略断面図である。誘電体層と導体層が交互に積層されて、積層体BUを構成している。その第一主表面MP1には半導体チップと接続するための、周知の半田で構成された突起状の金属端子(半田バンプ)FBが形成されている。また、第一主表面MP1には配線基板100を補強して平坦性を確保するための補強枠(スティフナー)STが接着されている。本発明の配線基板はコア基板を有さないので、補強枠を使用しないと曲がりやすく、半田バンプFBと半導体チップとの接続が難しくなる。
次に図1(b)を用いて、さらに詳細に説明をする。図1(b)は、本発明の配線基板の要部断面図である。積層体100は、導体層M1〜M4と誘電体層B1〜B4が交互に積層されてなる。そして、誘電体層B4の表面にはソルダーレジストSRが形成されている。導体層M1〜M4は銅を主成分としている。第一主表面MP1には複数の金属端子パッドPD1が形成されている。金属端子パッドPD1は、半導体チップなどをフリップチップ接続するためのパッドである半田ランドを構成する。また、第二主表面MP2側の金属端子パッドPD2は、配線基板自体をマザーボードにピングリッドアレイ(PGA)あるいはボールグリッドアレイ(BGA)により接続するための裏面ランドとして利用されるものである。一方、導体層M1およびM2はビアV1によって層間接続されている。同様にして、導体層M2およびM3はビアV2によって、導体層M3およびM4はビアV3によって層間接続がなされている。このようにして、ハンダバンプFBから金属端子パッドPD2への電気導通路が形成されている。
半導体チップと接続用の金属端子パッドPD1と比較すると、マザーボード接続用の金属端子パッドPD2は大きく作られている。そのため、導体層M1の配線密度は低く、導体層M4の配線密度は高くなっている。前述したように、この配線密度の違いが反りを生じる原因となる。
図2(a)に示すように、金属端子パッドPD1は配線基板1の略中央部分に格子状に配列し、各々その上に形成された半田バンプFBとともにチップ搭載部40を形成している。また、図2(b)に示すように、金属端子パッドPD2も、格子状に配列形成されている。
以上説明した積層体BUは、例えば金属基板に周知のビルドアップ法を用いて積層形成し、金属板をエッチング除去することで製造できる。図3は、補強枠を接着した時の反り発生を示す断面概念図である。図3(a)に示すように、積層体BUの第一主表面MP1側に、平坦性を確保するための補強枠STを接着する。補強枠STの接着は接着剤を用いて行われるが、接着剤の固化のためにキュア(例えば150℃程度)を施している。この工程が終了して冷却されると、図3(b)に示すように、補強枠および積層体の収縮応力が生じる。それぞれの熱膨張係数が異なるため、補強枠STの収縮応力は小さく、積層体BUの収縮応力は大きい。そのため冷却が完了すると、図3(c)に示すように、弓状に変形してしまう。しかし誘電体層B1〜B4にヤング率が低く、0.01GPa以上0.3GPa以下の高分子材料を使用すると、図3(c’)に示すように積層体BU自体が変形することで収縮応力を緩和し、反りを低減できる。
図4は、導体層間の配線密度に起因する反りの発生を示す概略断面図である。図4(a)は金属板上に積層体BUを積層する工程の断面図を示している。ビルドアップ工程中は例えば170℃程度の高温状態となる。積層体を室温まで冷却すると、図4(b)に示すように、第一主表面MP1側の収縮応力と第二主表面MP2側の収縮応力が生じる。MP1側の収縮応力は大きく、MP2側の収縮応力は小さい。金属端子パッドPD1を形成する導体層M1と、金属端子パッドPD2を形成する導体層M2とで、その配線密度が異なるために差が出るのである。金属端子パッドM1は配線基板の中央部に配列されているので、特に中央部に収縮応力が生じやすい。金属板をエッチングすると図4(c)のように、積層体の中央部が凹んだ形に変形する。しかし誘電体層B1〜B4に0.01GPa以上0.3GPa以下の高分子材料を使用すれば、このような反りは低減され、略平坦な積層体BUが得られる。なお、導体層の熱膨張係数を15ppm/℃以上25ppm以下とすることが望ましい。また、第一主表面に最も近い導体層M1の配線密度を50%以上90%以下とし、第二主表面に最も近い導体層M4の配線密度を50%以上90%以下とすることで、これら導体層M1とM4の配線密度の差を40%以下とすると更に望ましい。
図4のように、積層体BUを金属板上に積層した後、該金属板をエッチング除去する方法では金属板が支持基盤としての強度を保つ必要があるので、その厚さを例えば0.8mm程度とする必要がある。この場合、金属板をエッチング除去するのに30分程度の比較的長い時間が必要とされていた。このような問題点は、下記のような製造方法によって解決できる。図5および図6に本発明の配線基板の製造方法を示す。この製造方法は金属箔M1,M1’が密着してなる金属箔密着体を使用する点に特徴がある。工程1では、支持基盤20上に形成された下地誘電体シート21上に積層体BUが形成されている。ここで誘電体層には、ヤング率が0.01GPa以上0.3GPa以下の高分子材料が用いられる。また、下地誘電体シート21の主表面に包含されるように金属箔密着体が配され、該金属箔密着体を包むように第一誘電体層B2が配されている。そして金属箔密着体の上に、周知のビルドアップ工程を用いて、誘電体層B2〜B4および導体層M2〜M4が積層されている。次に積層体BUの周辺部(図中の破線部)を除去し、積層体の端面101を露出させる(工程2)。そして、金属箔密着体を剥離することで、積層体BUを支持基盤20および下地誘電体シートから分離する(工程3)。次に積層体BU側についた金属箔M1にパターニングを施し、エッチングすることで半導体チップ接続側の金属端子パッドPD1を形成する(工程4)。すなわち、金属箔M1は金属端子パッドPD1を構成するための導体層として使用される。この後、金属端子パッドPD1側に誘電体層B1を積層し、金属パッドPD1が開口するように選択的にエッチングする。このように形成された積層体BUの、半導体チップ接続側(PD1のある側)に補強枠を接着すると、図1(a),(b)の配線基板1が形成される。上記方法によると金属板をエッチングする必要はないので、工程時間の短縮化を図ることができる。また、誘電体層B1〜B4に比較的ヤング率の低い物質を使用しているので、反りを低減できる。
本発明の効果を確認するために、以下の実験をおこなった。まず、上述の製造方法を用いて図1(b)の構造を有する薄膜の積層体BUを得た。本発明に属する実施例には、誘電体層B1〜B4としてヤング率が0.025GPa、熱膨張係数132ppm/℃のABF−LE CodeT3(商品名:味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。一方、本発明外の比較例としてのサンプルには、誘電体層B1〜B4に、ヤング率が2.4GPa、熱膨張係数が55ppm/℃のエポキシ樹脂を主体としたABF−GX Code3(商品名:味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。その後、実施例および比較例の第一主表面に補強枠STを150℃で接着した。各サンプルとも、導体層M1〜M4および補強枠STの材料として熱膨張係数が17.7ppm/℃の銅合金を用いた。
上記サンプルを作成した後、反り量を測定した。その結果を図7に示す。本発明に属する実施例(ABF−LE CodeT3)は平均反り量が49μmであり、本発明外の比較例(ABF−GX Code3)は平均反り量が128μmであった。この結果から、実施例は反りが低減できることが確認できた。
本発明の一実施形態を示す(a)断面図および(b)要部断面図。 本発明の一実施形態を示す(a)表面図および(b)裏面図。 補強枠を接着した時の反り発生を示す断面図。 導体層間の配線密度に起因する反り発生を示す断面図。 配線基板の製造方法の一例を示す工程図。 図5に続く工程図。 誘電体層と反り量の関係を示すグラフ。
符号の説明
1 配線基板
20 支持基盤
21 下地誘電体層
BU 積層体
MP1 第一主表面
MP2 第二主表面
M1 第一導体層(金属箔)
B1 第一誘電体層
PD1 金属端子パッド
ST 補強枠
FB 半田バンプ

Claims (2)

  1. 複数の誘電体層とその間に配置した導体層とによって、誘電体層と導体層とが交互に積層され、前記導体層が前記誘電体層に形成したビアと導通している積層体と、
    その積層体の誘電体層の表面に位置して、前記誘電体層の前記ビアと導通し、半導体チップと接続する複数の金属端子パッドと、
    を備える配線基板の製造方法であって、
    支持基盤の上に下地誘電体シートを配置する工程と、
    分離可能な金属箔を含む金属箔密着体を前記下地誘電体シートの上に配置する工程と、
    前記金属箔密着体の上にヤング率が0.01GPa以上0.3GPa以下の高分子材料からなる前記誘電体層を用いる前記積層体を配置する工程と、
    前記下地誘電体シートと前記積層体との間に配置した前記金属箔密着体に含まれて分離可能な金属箔を剥離して前記金属箔が付着した状態で前記支持基盤から分離する工程と、
    前記積層体についている金属箔をエッチングする工程と、
    前記半導体チップを接続する前記積層体の前記金属端子パッド側に補強枠を接着する工程と、
    を備える、配線基板の製造方法
  2. 請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、前記金属箔を剥離する工程には、前記積層体の周囲部を除去して前記金属箔密着体の端部を露出させる工程を備える、配線基板の製造方法
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