JP4336541B2 - 使い捨て着用物品 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄物を吸収、保持する使い捨ての幼児・失禁用おむつ、トレニングパンツ、おむつカバー、その他類似物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
互いに対向する前後胴周り域とそれら胴周り域の間に位置する股下域とを有し、股下域における裏面シートの外面に排泄物で汚れたおむつを所定の形態に保持することが可能な廃棄処理用テープタブが取り付けられたパンツ型の使い捨ておむつがある（特許文献１参照）。
【０００３】
特許文献１に開示のおむつは、肌当接側に位置する透液性表面シートと、肌非当接側に位置する不透液性裏面シートと、表裏面シートの間に介在する吸液性コアとから構成されている。このおむつは、前胴周り域の側部と後胴周り域の側部とが縦方向へ間欠的に並ぶ多数の熱融着線を介して固着されている。このおむつには、胴周り開口と一対の脚周り開口とが形成されている。処理用テープタブは、接着剤を介して裏面シートの外面に固着された固定部と、固定部に連なって固定部の外面に重なる自由部とを有する。自由部は、その内面に接着剤が塗布されており、接着剤を介して固定部の外面に剥離可能に仮着されている。処理用テープタブには、プラスチックフィルムが使用されている。
【０００４】
排泄物で汚れたおむつを廃棄するには、胴周り域と股下域とが重なるように、前後胴周り域を縦方向へ二つに折り畳んだ後、自由部を固定部から剥がし、接着剤を介して自由部を裏面シートの外面に止着する。このおむつは、処理用テープタブによってその折り畳まれた状態が保持されるので、おむつを折り畳まれた状態のまま廃棄することができる。
【０００５】
【特許文献１】
特開平８−８４７４６号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
裏面シートが繊維不織布から形成されている場合は、不織布を構成する繊維に柔軟平滑性を付与したり、不織布に撥水性を付与したりするため、不織布に仕上用油剤を塗布することや不織布を構成する繊維に仕上用油剤を練り込むことが一般的である。仕上用油剤としては、アニオン系や非イオン系、カチオン系、両性系のいずれかの界面活性剤、または、それら界面活性剤を混合したものが使用される。アニオン系や非イオン系の界面活性剤では、それらを繊維に付着し易くするため、それら界面活性剤に油脂やろう、脂肪酸、高級アルコール、鉱物油、硬化油のいずれかを混合する場合がある。
【０００７】
前記特許文献１に開示のおむつの裏面シートが繊維不織布から形成され、その不織布が前記仕上用油剤を含有すると、仕上用油剤と接着剤との相溶性にもよるが、仕上用油剤によって接着剤の接着力が次第に低下し、時間の経過とともに裏面シートに対する処理用テープタブの固定部の接着強度が低下する場合がある。処理用テープタブの接着強度が低下すると、テープタブの固定部が裏面シートの外面から剥離し易くなり、おむつを廃棄するために自由部を固定部から剥がしたときに固定部が裏面シートから剥がれてしまう場合がある。
【０００８】
本発明の目的は、時間が経過したとしても、裏面シートに対するテープタブの接着強度が低下することがない使い捨ておむつを提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを有し、肌非当接側に位置する裏面シートの外面にテープタブが取り付けられた使い捨ておむつである。
【００１０】
前記前提における本発明の特徴は、前記裏面シートが、繊維不織布から形成され、前記不織布の仕上用油剤の含有率が、該不織布を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下（ＪＩＳ Ｌ １０１５ ７．２２；溶剤抽出法に準じて測定）であり、前記テープタブが、接着剤を介して前記裏面シートの外面に永久的に固着されていることにある。
【００１１】
本発明は、以下の実施態様を有する。
（１）前記テープタブが、前記接着剤を介して前記裏面シートの外面に永久的に固着された固定部と、前記固定部に連なり該固定部の外面に重なる第１自由部とを有し、前記第１自由部が、その内面に形成された止着手段を介して前記固定部の外面に剥離可能に仮着されている。
（２）前記テープタブの前記固定部における前記接着剤が感圧性接着剤である。
（３）前記テープタブが、前記前後胴周り域の一方の胴周り両側部に位置して横方向へ延びるとともに、前記第１自由部に連なり該第１自由部の外面に重なる第２自由部を有し、前記第２自由部が、その内面に形成された止着手段を介して前記第１自由部の外面に剥離可能に仮着されている。
（４）前記テープタブが、前記前後胴周り域の一方の両側部に位置して縦方向へ延び、前記前後胴周り域を連結するための止着手段が、前記テープタブの外面に形成されている。
（５）前記おむつを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置した後に測定した前記裏面シートに対する前記テープタブの前記固定部の接着強度が、４Ｎ／２０ｍｍ以上である。
（６）前記裏面シートが、横方向へ弾性的な伸縮性を有し、前記テープタブが、前記裏面シートを横方向へ伸長した状態にあるときの該裏面シートに固着されている。
（７）縦方向へ所与寸法離間して横方向へ延びる複数条の弾性部材が、前記裏面シートに収縮可能に取り付けられ、前記裏面シートの横方向への弾性伸縮性が、前記弾性部材によって付与されている。
（８）前記裏面シートを形成する繊維不織布が、スパンボンド不織布とスパンレース不織布との一方である。
（９）前記止着手段が、感圧性接着剤とメカニカルファスナのうちのフックとの一方である。
【００１２】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明に係る使い捨ておむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【００１３】
図１，２は、一例として示すおむつ１０Ａの部分破断斜視図と、図１の２−２線端面図とであり、図３は、廃棄するために丸められたおむつ１０Ａの斜視図である。図１では、横方向を矢印Ｌで示し、縦方向を矢印Ｍで示す。図２では、テープタブ２６の第１および第２自由部２８，２９を矢印Ｌ１で示すおむつ１０Ａの横方向外方へ展開させた状態を二点鎖線で示す。なお、表裏面シート１１，１２やテープタブ２６の内面とは、コア１３に対向する面をいい、それらの外面とは、コア１３に非対向の面をいう。
【００１４】
おむつ１０Ａは、肌当接側に位置する透液性表面シート１１と、肌非当接側に位置する不透液性裏面シート１２と、表裏面シート１１，１２の間に介在する吸液性コア１３とから構成されている。表面シート１１は、親水性繊維不織布から形成され、裏面シート１２は、疎水性繊維不織布から形成されている。コア１３は、表裏面シート１１，１２のうちの少なくとも一方の内面に接着剤（図示せず）を介して断続的に接合されている。
【００１５】
おむつ１０Ａは、胴周り開口１７と一対の脚周り開口１８とを有するパンツ型に形成され、互いに対向する前胴周り域１４および後胴周り域１６と、それら胴周り域１４，１６の間に位置する股下域１５とを有し、かつ、コア１３の両端縁１３ａの外側に位置して横方向へ延びる両端部１９と、コア１３の両側縁１３ｂの外側に位置して縦方向へ延びる両側部２０，２１，２２とをそれぞれ有する。
【００１６】
胴周り開口１７及び脚周り開口１８は、前後胴周り域１４，１６の両側部２０，２２が合掌状に重なり合い、側部２０，２２側縁近傍において縦方向へ間欠的に並ぶ複数の熱融着線２３により連結されている。おむつ１０Ａは、股下域１５の両側部２１がおむつ１０Ａの横方向内方へ向かって弧を画くことで、股下域１５が前後胴周り域１４，１６よりも幅狭く形成されている。そのため、おむつ１０Ａは、前後胴周り域１４，１６の連結を解き、縦方向へ展開したときの平面形状がほぼ砂時計型を呈する。両端部１９と両側部２０，２１，２２とでは、表面シート１１と裏面シート１２とが互いに重なり合った状態で、それらシート１１，１２の内面どうしが接着剤（図示せず）を介して断続的に接合されている。
【００１７】
両端部１９には、横方向へ延びる複数条の胴周り用弾性部材２４が、また股下域１５の両側部２１には、それらに沿って延びる複数条の脚周り用弾性部材２５が、それぞれ収縮可能に取り付けられている。胴周り用弾性部材２４と脚周り用弾性部材２５とは、表面シート１１と裏面シート１２との間に介在し、それらシート１１，１２の内面に接着剤（図示せず）を介して断続的に固着されている。
【００１８】
前胴周り域１４の両側部２０には、横方向へ延びる一対のテープタブ２６が取り付けられている。テープタブ２６は、一本のそれが断面Ｚ字型に三つに折り畳まれたもので、図２に二点鎖線で示すように、側部２０からおむつ１０Ａの横方向外方へ展開可能である。テープタブ２６は、横方向へ延びる固定部２７と、固定部２７に連なり横方向へ延びる第１自由部２８と、第１自由部２８に連なり横方向へ延びる第２自由部２９とを有する。
【００１９】
固定部２７は、その内面が感圧性接着剤３０を介して裏面シート１２の外面に永久的に固着されている。第１自由部２８は、固定部２７の外端部分２７ａにおいて固定部２７の外面の側に向かって折り曲げられている。第１自由部２８は、固定部２７の外面に重なり、その内面に塗布された、止着手段としての感圧性接着剤３１を介して固定部２７の外面に剥離可能に仮着されている。第２自由部２９は、第１自由部２８の内端部分２８ｂにおいて第１自由部２８の外面の側に向かって折り曲げられている。第２自由部２９は、第１自由部２８の外面に重なり、その内面に塗布された止着手段としての感圧性接着剤３２を介して第１自由部２８の外面に剥離可能に仮着されている。第２自由部２９の外端部分２９ａには、感圧性接着剤が塗布されていない摘み３３が形成されている。
【００２０】
感圧性接着剤３１は第１自由部２８の全体に塗布され、感圧性接着剤３２は第２自由部２９の摘み３３（外端部分２９ａ）を除いた部分に塗布されている。固定部２７の外面全体と第１自由部２８の外面全体とには、剥離剤（図示せず）が塗布されている。なお、第１および第２自由部２８，２９の内面とは、それら自由部２８，２９が折り畳まれた状態にあるときのコア１３に対向する面をいい、第１および第２自由部２８，２９の外面とは、それら自由部２８，２９が折り畳まれた状態にあるときのコア１３に非対向の面をいう。
【００２１】
感圧性接着剤３０，３１には、それぞれ公知のホットメルト型接着剤やアクリル系接着剤、ゴム系接着剤を使用することができる。また、剥離剤には、それぞれ公知のシリコン樹脂系やフッ素樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ポリエステル樹脂系のものを使用することができる。
【００２２】
なお、テープタブ２６を展開する際の感圧性接着剤３１の剥離力は、感圧性接着剤３２の剥離力よりも低くされているのが好ましい。そうすることが、テープタブ２６を展開し易いからである。また、感圧性接着剤３０と感圧性接着剤３２とは同一の接着剤であっても、感圧性接着剤３０よりも感圧性接着剤３２の裏面シートに対する接着力が低いものであってもよい。感圧性接着剤３０が裏面シートに固着されている時間に比較して感圧性接着剤３２が裏面シートに止着される時間が短いため、不織布の仕上用油剤による接着力の低下も大きくないからである。
【００２３】
テープタブ２６は、排泄物で汚れたおむつ１０Ａを廃棄する廃棄処理用として利用することができる。おむつ１０Ａを廃棄する手順の一例は、以下のとおりである。おむつ１０Ａを着用者から脱がせた後、股下域１５を後胴周り域１６に向かって縦方向へ丸めるとともに、摘み３３を指で摘持して第２自由部２９を横方向外方へ引っ張る。第２自由部２９を横方向外方へ引っ張ると、第２自由部２９が第１自由部２８の外面から剥がれ、さらに、第１自由部２８が固定部２７の外面から剥がれ、第１および第２自由部２８，２９が図２に矢印Ｌ１で示すように横方向外方へ展開する。次に、感圧性接着剤３２を介して第２自由部２９の内面を股下域１５の外面（裏面シート１２の外面）に止着する。おむつ１０Ａは、図３に示すように、その丸められた状態がテープタブ２６によって保持されるので、おむつ１０Ａを丸められた状態のまま廃棄することができる。
【００２４】
テープタブ２６は、おむつ１０Ａを廃棄する廃棄処理用として利用することの他に、装着したおむつ１０Ａの胴周り寸法Ｎを調節する寸法調節用としても利用することができる。おむつ１０Ａの胴周り寸法Ｎを調節するときは、図示はしていないが、テープタブ２６の第１および第２自由部２８，２９を横方向外方へ展開させた後、テープタブ２６を後胴周り域１６の横方向中央に向かって引っ張り、テープタブ２６の第２自由部２９を後胴周り域１６の外面（裏面シート１２の外面）に止着する。自由部２９を後胴周り域１６に止着すると、テープタブ２６の固定部２７と自由部２８，２９との間に延びる側部２２の横方向の寸法を縮めることができるので、おむつ１０Ａの胴周り寸法Ｎを小さくすることができる。
【００２５】
おむつ１０Ａは、裏面シート１２を形成する繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下であり、おむつ１０Ａを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置した後に測定した裏面シート１２に対するテープタブ２６の固定部２７の接着強度が４Ｎ／２０ｍｍ以上である。繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率は、ＪＩＳ Ｌ １０１５ ７．２２に規定する溶剤抽出法に準じて測定した。なお、裏面シート１２に対するテープタブ２６の接着強度の測定方法は、以下のとおりである。
（１）おむつ１０Ａを温度５０℃かつ湿度６０％の雰囲気で１週間、荷重がかからないように放置した後、温度２０℃かつ湿度２０％の雰囲気で２４時間以上放置する。
（２）次に、おむつ１０Ａからテープタブ２６（固定部２７）とともに裏面シート１２を切り取り、測定用シート片を作る。
（３）接着強度の測定には、インストロン ジャパンカンパニーリミテッド社製のインストロン５５４３を使用した。測定条件は、チャック間；４０ｍｍ、剥離速度；３００ｍｍ／ｍｉｎ、剥離角度；１８０°ピール、雰囲気；温度２０℃かつ湿度６０％である。測定範囲は、裏面シート１２に対するテープタブ２６の剥離の始まり１０ｍｍから全て剥離する前の３０ｍｍまでの間であり、その範囲における平均接着強度を算出した。
【００２６】
仕上用油剤は、不織布４２を構成する繊維に柔軟平滑性を付与したり、不織布４２に撥水性を付与するもので、不織布４２に塗布される場合と不織布４２を構成する繊維に練り込まれる場合とがある。仕上用油剤としては、アニオン系や非イオン系、カチオン系、両性系のいずれかの界面活性剤、または、それら界面活性剤を混合したものが使用されている。アニオン系や非イオン系の界面活性剤では、それらを繊維に付着し易くするため、それら界面活性剤に油脂やろう、脂肪酸、高級アルコール、鉱物油、硬化油のいずれかを混合する場合がある。
【００２７】
繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が０．０４ｗｔ％を超過すると、時間の経過とともに、仕上用油剤が接着剤３０の接着力を次第に低下させ、裏面シート１２に対するテープタブ２６の接着強度が４Ｎ／２０ｍｍ未満になってしまう場合がある。接着強度が４Ｎ／２０ｍｍ未満では、テープタブ２６が裏面シート１２の外面から剥離し易くなり、テープタブ２６を横方向へ強く引っ張ったときに、テープタブ２６が裏面シート１２の外面から剥がれてしまう場合がある。
【００２８】
繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下の場合、仕上用油剤による接着剤３０の接着力の低下を防ぐことができ、おむつ１０Ａを長期間放置したとしても、裏面シート１２に対するテープタブ２６の固定部２７の接着強度の低下を防ぐことができる。おむつ１０Ａは、それを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置したとしても、テープタブ２６の固定部２７が裏面シート１２に対して４Ｎ／２０ｍｍ以上の接着強度を有するので、おむつ１０Ａを長期間放置した後に、テープタブ２６を横方向へ強く引っ張って第１および第２自由部２８，２９を展開させたとしても、テープタブ２６が裏面シート１２の外面から剥がれてしまうことはない。
【００２９】
なお、このおむつ１０Ａでは、裏面シート１２と同様に、表面シート１１を形成する繊維不織布４１の仕上用油剤の含有率が不織布４１を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下にあることが好ましく、表面シート１１と裏面シート１２との接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上であることが好ましい。不織布４１の仕上用油剤の含有率は、不織布４２のそれと同一の方法で測定した値であり、表裏面シート１１，１２の接着強度は、裏面シート１２に対するテープタブ２６のそれと同一の方法で測定した値である（ただし、測定用シート片は、互いに固着された表裏面シート１１，１２から作られる）。
【００３０】
繊維不織布４１の仕上用油剤の含有率が０．０４ｗｔ％を超過すると、時間の経過とともに、仕上用油剤が接着剤の接着力を次第に低下させ、表面シート１１と裏面シート１２との接着強度が０．１５Ｎ／２０ｍｍ未満になってしまう場合がある。表面シート１１と裏面シート１２との接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ未満では、テープタブ２６を横方向へ強く引っ張ったときに、それらシート１１，１２どうしが剥離する場合がある。それらシート１１，１２が剥離すると、テープタブ２６を引っ張る力が裏面シート１２のみにかかり、裏面シート１２が破損してしまう場合がある。表面シート１１と裏面シート１２との接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上の場合、テープタブ２６を横方向へ強く引っ張ったとしても、テープタブ２６を取り付けた部位において表面シート１１と裏面シート１２とが剥離してしまうことはなく、さらに、テープタブ２６を引っ張る力が表裏面シート１１，１２に支えられるので、テープタブ２６を横方向外方へ容易に展開させることができる。
【００３１】
図４，５は、他の一例として示すおむつ１０Ｂの斜視図と、図４の５−５線端面図とである。図４では、横方向を矢印Ｌ、縦方向を矢印Ｍで示すとともに、第１および第２自由部２８，２９を前胴周り域１４に止着した状態を二点鎖線で示す。図５では、テープタブ２６の第１および第２自由部２８，２９を矢印Ｌ２で示すおむつ１０Ｂの横方向内方へ展開した状態を二点鎖線で示す。
【００３２】
このおむつ１０Ｂは、テープタブ２６の第１および第２自由部２８，２９を展開させたときに、それら自由部２８，２９がおむつ１０Ｂの横方向内方へ延びる点が図１のそれと異なるだけで、その他は図１のおむつ１Ａと同一であり、図１のおむつ１Ａと同一の符号を使用することでその他の説明は省略する。
【００３３】
テープタブ２６は、前胴周り域１４の両側部２０に取り付けられて横方向へ延びている。テープタブ２６は、一本のそれが断面Ｚ字型に三つに折り畳まれたもので、図５に二点鎖線で示すように、側部２０からおむつ１０Ｂの横方向内方へ展開可能である。テープタブ２６は、横方向へ延びる固定部２７と、固定部２７に連なり横方向へ延びる第１自由部２８と、第１自由部２８に連なり横方向へ延びる第２自由部２９とを有する。
【００３４】
固定部２７は、その内面が感圧性接着剤３０を介して裏面シート１２の外面に固着されている。第１自由部２８は、固定部２７の内端部分２７ｂにおいて固定部２７の外面の側に向かって折り曲げられている。第１自由部２８は、固定部２７の外面に重なり、その内面に塗布された止着手段としての感圧性接着剤３１を介して固定部２７の外面に剥離可能に仮着されている。第２自由部２９は、第１自由部の外端部分２８ａにおいて第１自由部２８の外面の側に向かって折り曲げられている。第２自由部２９は、第１自由部２８の外面に重なり、その内面に塗布された止着手段としての感圧性接着剤３２を介して第１自由部２８の外面に剥離可能に仮着されている。第２自由部２８の内端部分２９ｂには、感圧性接着剤が塗布されていない摘み３３が形成されている。感圧性接着剤３１，３２は、第１自由部２８の全体と第２自由部２９の摘み３３を除いた部分とにそれぞれ塗布されている。固定部２７の外面全体と第１自由部２８の外面全体とには、剥離剤（図示せず）が塗布されている。
【００３５】
テープタブ２６は、排泄物で汚れたおむつ１０Ｂを廃棄する廃棄処理用として利用することができる。おむつ１０Ｂを廃棄する手順の一例は、以下のとおりである。おむつ１０Ｂを着用者から脱がせた後、股下域１５を前胴周り域１４に向かって縦方向へ丸めるとともに、摘み３３を指で摘持して第２自由部２９を横方向外方へ引っ張る。第２自由部２９を横方向外方へ引っ張ると、第２自由部２９が第１自由部２８の外面から剥がれ、さらに、第１自由部２８が固定部２７の外面から剥がれ、第１および第２自由部２８，２９が横方向内方へ展開する。次に、感圧性接着剤３２を介して第２自由部２９の内面を股下域１５の外面（裏面シート１２の外面）に止着する。おむつ１０Ｂは、図３のそれと同様に、その丸められた状態がテープタブ２６によって保持されるので、おむつ１０Ｂを丸められた状態のまま廃棄することができる。
【００３６】
テープタブ２６は、装着したおむつ１０Ｂの胴周り寸法Ｎを調節する寸法調節用としても利用することができる。おむつ１０Ｂの胴周り寸法Ｎを調節するときは、テープタブ２６の第１および第２自由部２８，２９を横方向内方へ展開させた後、テープタブ２６を前胴周り域１４の横方向中央に向かって引っ張り、図５に二点鎖線で示すように、接着剤３２を介してテープタブ２６の第２自由部２９を前胴周り域１４の外面（裏面シート１２の外面）に止着する。自由部２９を前胴周り域１４に止着すると、テープタブ２６の固定部２７と自由部２８，２９との間に延びる側部２０の横方向の寸法を縮めることができるので、おむつ１０Ｂの胴周り寸法Ｎを小さくすることができる。
【００３７】
おむつ１０Ｂは、裏面シート１２を形成する繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下であり、おむつ１０Ｂを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置した後に測定した裏面シート１２に対するテープタブ２６の固定部２７の接着強度が４Ｎ／２０ｍｍ以上である。繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率は、ＪＩＳ Ｌ １０１５ ７．２２に規定する溶剤抽出法に準じて測定した。裏面シート１２に対するテープタブ２６の接着強度の測定方法は、図１のそれと同様である。感圧性接着剤３０，３１，３２、剥離剤、仕上用油剤には、図１のそれらと同一のものが使用されている。
【００３８】
繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下の場合、仕上用油剤による接着剤３０の接着力の低下を防ぐことができ、おむつ１０Ｂを長期間放置したとしても、裏面シート１２に対するテープタブ２６の固定部２７の接着強度の低下を防ぐことができる。おむつ１０Ｂは、それを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置したとしても、テープタブ２６の固定部２７が裏面シート１２に対して４Ｎ／２０ｍｍ以上の接着強度を有するので、おむつ１０Ｂを長期間放置した後に、テープタブ２６を横方向へ強く引っ張って第１および第２自由部２８，２９を展開させたとしても、テープタブ２６が裏面シート１２の外面から剥がれてしまうことはない。
【００３９】
なお、このおむつ１０Ｂでは、図１のそれと同様に、表面シート１１を形成する繊維不織布４１の仕上用油剤の含有率が不織布４１を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下にあることが好ましく、表面シート１１と裏面シート１２との接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上であることが好ましい。
【００４０】
図６，７は、他の一例として示すおむつ１０Ｃの斜視図と、図６の７−７線端面図とである。図６では、胴周り方向を矢印Ｌで示し、縦方向を矢印Ｍで示す。図７では、テープタブ２６の第１および第２自由部２８，２９を矢印Ｌ１で示すおむつ１０Ｃの横方向外方へ展開させた状態を二点鎖線で示す。
【００４１】
おむつ１０Ｃは、透液性表面シート１１および不透液性裏面シート１２と、表裏面シート１１，１２の間に介在してそれらシート１１，１２のうちの少なくとも一方の内面に接合された吸液性コア１３とから構成されている。表面シート１１は、親水性繊維不織布４１から形成され、裏面シート１２は、２枚の疎水性繊維不織布４２，４３を固着した複合不織布から形成されている。
【００４２】
おむつ１０Ｃは、胴周り開口１７と一対の脚周り開口１８とを有するパンツ型に形成され、互いに対向する前後胴周り域１４，１６と、それら胴周り域１４，１６の間に位置する股下域１５とを有し、かつ、横方向へ延びる両端部１９と、縦方向へ延びる両側部２０，２１，２２とをそれぞれ有する。
【００４３】
胴周り開口１７及び脚周り開口１８は、前後胴周り域１４，１６の両側部２０，２２の側縁近傍において縦方向へ間欠的に並ぶ複数の熱融着線２３により連結されている。物品１Ｃは、股下域１５の両側部２１がおむつ１０Ｃの横方向内方へ向かって弧を画くことで、股下域１５が前後胴周り域１４，１６よりも幅狭く形成されている。そのためのおむつ１０Ｃは、その展開平面形状がほぼ砂時計型を呈する。両端部１９と両側部２０，２１，２２とでは、表面シート１１と裏面シート１２とが互いに重なり合った状態で、それらシート１１，１２の内面どうしが接着剤（図示せず）を介して断続的に固着されている。
【００４４】
両端部１９には、横方向へ延びる複数条の胴周り用弾性部材２４が、また、股下域１５の両側部２１には、縦方向へ延びる複数条の脚周り用弾性部材２５が、それぞれ収縮可能に取り付けられている。胴周り用弾性部材２４と脚周り用弾性部材２５との間には、縦方向へ所与寸法離間して横方向へ延びる複数条の補助弾性部材３４が収縮可能に取り付けられている。補助弾性部材３４は、縦方向へほぼ一定間隔で並んでいる。
【００４５】
胴周り用弾性部材２４と脚周り用弾性部材２５とは、表面シート１１と裏面シート１２との間に介在し、それらシート１１，１２の内面に接着剤（図示せず）を介して断続的に固着されている。補助弾性部材３４は、裏面シート１２とコア１３とに挟まれた部分が裏面シート１２の内面に接着剤（図示せず）を介して断続的に固着され、表面シート１１と裏面シート１２とに挟まれた部分がそれらシート１１，１２の内面に接着剤（図示せず）を介して断続的に固着されている。補助弾性部材３４は、前後胴周り域１４，１６の略上半分に配置されているが、前後胴周り域１４，１６の略全域に配置されていてもよい。
【００４６】
前胴周り域１４の両側部２０には、横方向へ延びる一対のテープタブ２６が取り付けられている。テープタブ２６は、一本のそれが断面Ｚ字型に三つに折り畳まれたもので、図７に二点鎖線で示すように、側部２０からおむつ１０Ｃの横方向外方へ展開可能である。テープタブ２６は、横方向へ延びる固定部２７と、固定部２７に連なり横方向へ延びる第１自由部２８と、第１自由部２８に連なり横方向へ延びる第２自由部２９とを有する。
【００４７】
固定部２７は、その内面が接着剤３０を介して裏面シート１２の外面に固着されている。固定部２７を裏面シート１２に固着するときは、補助弾性部材３４を横方向へ所定倍率で伸長した状態にある。第１自由部２８は、固定部２７の外端部分２７ａにおいて固定部２７の外面の側に向かって折り曲げられている。第１自由部２８は、固定部２７の外面に重なり、その内面に塗布された止着手段としての感圧性接着剤３１を介して固定部２７の外面に剥離可能に仮着されている。第２自由部２９は、第１自由部２８の内端部分２８ｂにおいて第１自由部２８の外面の側に向かって折り曲げられている。第２自由部２９は、第１自由部２８の外面に重なり、その内面に塗布された止着手段としての感圧性接着剤３２を介して第１自由部２８の外面に剥離可能に仮着されている。第２自由部２９の外端部分２９ａには、感圧性接着剤が塗布されていない摘み３３が形成されている。
【００４８】
感圧性接着剤３１は、第１自由部２８の内外端部分２８ａ，２８ｂに塗布され、感圧性接着剤３２は、第２自由部２９の摘み３３と内端部分２９ｂとを除いた中央部分２９ｃに塗布されている。第１自由部２８は、その中央部分２８ｃに感圧性接着剤３１が塗布されておらず、中央部分２９ｃが固定部２７に仮着されていない。固定部２７の内外端部分２７ａ，２７ｂの外面と第１自由部２８の外面とには、剥離剤（図示せず）が塗布されている。
【００４９】
テープタブ２６は、図１のそれと同様に、排泄物で汚れたおむつ１０Ｃを廃棄する廃棄処理用として利用したり、装着したおむつ１０Ｃの胴周り寸法Ｎを調節する寸法調節用として利用することができる。排泄物で汚れたおむつ１０Ｃを廃棄する手順とおむつ１０Ｃの胴周り寸法Ｎを調節する手順とは、図１のそれらと同一である。おむつ１０Ｃは、その丸められた状態がテープタブ２６によって保持されるので、おむつ１０Ｃを丸められた状態まま廃棄することができる。おむつ１０Ｃは、横方向外方へ展開させたテープタブ２６を後胴周り域１６の横方向中央に向かって引っ張り、テープタブ２６の第２自由部２９を後胴周り域１６の外面（裏面シート１２の外面）に止着することで、おむつ１０Ｃの胴周り寸法Ｎを小さくすることができる。
【００５０】
おむつ１０Ｃは、裏面シート１２を形成する繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下であり、おむつ１０Ｃを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置した後に測定した裏面シート１２に対するテープタブ２６の固定部２７の接着強度が、４Ｎ／２０ｍｍ以上である。繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率は、ＪＩＳ Ｌ １０１５ ７．２２に規定する溶剤抽出法に準じて測定した。裏面シート１２に対するテープタブ２６の接着強度の測定方法は、図１のそれと同様である。接着剤３０や接着剤３１，３２、剥離剤、仕上用油剤には、図１のそれらと同一のものが使用されている。
【００５１】
繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下の場合、仕上用油剤による接着剤３０の接着力の低下を防ぐことができ、おむつ１０Ｃを長期間放置したとしても、裏面シート１２に対するテープタブ２６の固定部２７の接着強度の低下を防ぐことができる。
【００５２】
おむつ１０Ｃは、胴周り用弾性部材２４と補助弾性部材３４とが横方向内方へ収縮することによって、前後胴周り域１４，１６の表裏面シート１１，１２に多数のギャザー３５が形成されているとともに、固定部２７の内外端部分２７ａ，２７ｂの間の寸法が縮まり、固定部２７の全体に多数のギャザー３６が形成されている。テープタブ２６では、第１自由部２８の中央部分２８ｃが固定部２７に仮着されていないので、第１および第２自由部２８，２９の中央部分２８ｃ，２９ｃが固定部２７の外側へ向かって凸となるように弧を画いている。
【００５３】
おむつ１０Ｃは、弾性部材２４，３４の収縮によってテープタブ２６の固定部２７に多数のギャザー３６が形成されているので、図１のおむつ１Ａのようにテープタブ２６の固定部２７にギャザーが形成されていない場合と比較し、固定部２７が裏面シート１２から剥がれ易くなるが、固定部２７が裏面シート１２に対して４Ｎ／２０ｍｍ以上の接着強度を有するので、固定部２７に多数のギャザー３６が形成されたとしても、固定部２７が裏面シート１２の外面から剥がれてしまうことはない。
【００５４】
おむつ１０Ｃでは、第１および第２自由部２８，２９の中央部分２８ｃ，２９ｃが固定部２７の外側へ凸となるように弧を画いているので、摘み３３を摘持して第２自由部２９を横方向外方へ引っ張ったとき、第１自由部２８の内外端部分２８ａ，２８ｂと第２自由部２９の内外端部分２９ａ，２９ｂとの間に剥離力が作用し、第２自由部２９を第１自由部２８の外面から簡単に剥離させることができるとともに、第１自由部２８を固定部２７の外面から簡単に剥離させることができる。
【００５５】
なお、このおむつ１０Ｃでは、図１のそれと同様に、表面シート１１を形成する繊維不織布４１の仕上用油剤の含有率が不織布４１を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下にあることが好ましく、表面シート１１と裏面シート１２との接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上であることが好ましい。また、裏面シート１２を形成する繊維不織布４３の仕上用油剤の含有率が不織布４３を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下にあることが好ましく、不織布４２，４３どうしの接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上であることが好ましい。不織布４３の仕上用油剤の含有率は、不織布４２のそれと同一の方法で測定した値であり、不織布４２，４３どうしの接着強度は、裏面シート１２に対するテープタブ２６のそれと同一の方法で測定した値である（ただし、測定用シート片は、互いに固着された不織布４２，４３から作られる）。
【００５６】
繊維不織布４３の仕上用油剤の含有率が０．０４ｗｔ％を超過すると、時間の経過とともに、仕上用油剤が接着剤の接着力を次第に低下させ、不織布４２，４３どうしの接着強度が０．１５Ｎ／２０ｍｍ未満になってしまう場合がある。不織布４２，４３どうしの接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ未満では、テープタブ２６を横方向へ強く引っ張ったときに、不織布４２，４３どうしが剥離する場合がある。
【００５７】
図８，９は、他の一例として示すおむつ１０Ｄの平面図と、図８の９−９線端面図とであり、図１０は、前後胴周り域１４，１６の側部２０，２２どうしを連結した状態で示すおむつ１０Ｄの斜視図である。図８では、横方向を矢印Ｌ、縦方向を矢印Ｍで示し、前胴周り域１４の一方の側部２０を表面シート１１の外面の側に折り曲げた状態で示す。
【００５８】
おむつ１０Ｄは、透液性表面シート１１および不透液性裏面シート１２と、表裏面シート１１，１２の間に介在してそれらシート１１，１２のうちの少なくとも一方の内面に接合された吸液性コア１３とから構成されている。おむつ１０Ｄは、縦方向に前胴周り域１４および後胴周り域１６と、それら胴周り域１４，１６の間に位置する股下域１５とを有する。表面シート１１は、親水性繊維不織布４１から形成され、裏面シート１２は、疎水性繊維不織布４２から形成されている。
【００５９】
おむつ１０Ｄは、横方向へ延びる両端部１９と、縦方向へ延びる両側部２０，２１，２２とを有する。股下域１５では、両側部２１がおむつ１０Ｄの横方向内方へ向かって弧を画いている。おむつ１０Ｄは、その平面形状が実質的に砂時計型を呈する。両端部１９と両側部２０，２１，２２とでは、表面シート１１と裏面シート１２とが互いに重なり合った状態で、それらシート１１，１２の内面どうしが接着剤（図示せず）を介して断続的に固着されている。
【００６０】
両端部１９には、横方向へ延びる帯状の胴周り用弾性部材２４が収縮可能に取り付けられている。股下域１５の両側部２１には、縦方向へ延びる複数条の脚周り用弾性部材２５が収縮可能に取り付けられている。それら弾性部材２４，２５は、表面シート１１と裏面シート１２との間に介在し、それらシート１１，１２の内面に接着剤（図示せず）を介して断続的に固着されている。
【００６１】
両側部２０，２１，２２には、縦方向へ延びる液抵抗性防漏シート３７が取り付けられている。防漏シート３７は、疎水性繊維不織布４４から形成されている。防漏シート３７は、両側部２０，２１，２２と並行して縦方向へ延びる固定側部３７ａと、固定側部３７ａと並行して縦方向へ延びる可動部３７ｂと、可動部３７ｂの縦方向両側に位置する固定両端部３７ｃとを有する。固定側部３７ａは、両側部２０，２１，２２に延びる表面シート１１の外面に固着されている。可動部３７ｂの上方には、縦方向へ延びる伸縮性弾性部材４０が収縮可能に取り付けられている。弾性部材４０は、可動部３７ｂの一部に覆われた状態で、可動部３７ｂに固着されている。固定両端部３７ｃは、おむつ１０Ｄの横方向内方へ倒伏した状態で両端部１９に延びる表面シート１１の外面に固着されている。防漏シート３７では、おむつ１０Ｄが表面シート１１を内側にして縦方向へ湾曲すると、弾性部材４０が収縮して可動部３７ｂが表面シート１１の上方へ起立し、可動部３７ｂが排泄物に対する障壁を形成する。
【００６２】
前胴周り域１４の両側部２０には、縦方向へ延びる一対のテープタブ３８が取り付けられている。テープタブ３８は、前胴周り域１４の側部２０と後胴周り域１６の側部２２とを連結するときに利用する。テープタブ３８は、縦長矩形を呈し、その内面が接着剤３０を介して裏面シート１２の外面に固着されている。テープタブ３８の外面全体には、メカニカルファスナのうちの多数のフック３９が形成されている。
【００６３】
おむつ１０Ｄを着用者に装着する手順は、以下のとおりである。後胴周り域１６の側部２２内面を前胴周り域１４の側部２０外面に重ね合わせ、側部２２を側部２０に押し付ける。側部２２を側部２０に押し付けると、テープタブ３８に形成されたフック３９が裏面シート１２を形成する不織布４２の繊維に引っ掛かかり、テープタブ３８が後胴周り域１６の側部２２内面に係合し、それら胴周り域１４，１６の側部２０，２２どうしを連結することができる。前後胴周り域１４，１６が連結されたおむつ１０Ｄには、図１０に示すように、胴周り開口１７と一対の脚周り開口１８とが形成される。前後胴周り域１４，１６を連結した後、着用者の両脚を胴周り開口１７から脚周り開口１８へ通し、おむつ１０Ｄを着用者の胴部に引き上げる。
【００６４】
おむつ１０Ｄは、裏面シート１２を形成する繊維不織布４２の仕上用油剤（図示せず）の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下であり、おむつ１０Ｄを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置した後に測定した裏面シート１２に対するテープタブ３８の接着強度が４Ｎ／２０ｍｍ以上である。繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率は、ＪＩＳ Ｌ １０１５ ７．２２に規定する溶剤抽出法に準じて測定した。裏面シート１２に対するテープタブ３８の接着強度の測定方法は、図１のそれと同様である。接着剤３０や仕上用油剤には、図１のそれらと同一のものが使用されている。
【００６５】
繊維不織布４２の仕上用油剤の含有率が不織布４２を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下の場合、仕上用油剤による接着剤３０の接着力の低下を防ぐことができ、おむつ１０Ｄを長期間放置したとしても、裏面シート１２に対するテープタブ３８の接着強度の低下を防ぐことができる。おむつ１０Ｄは、それを温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置したとしても、テープタブ３８が裏面シート１２に対して４Ｎ／２０ｍｍ以上の接着強度を有するので、おむつ１０Ｄを長期間放置した後に、テープタブ３８と後胴周り域１６の側部２２との係合を繰り返したとしても、テープタブ３８が裏面シート１２の外面から剥がれてしまうことはない。
【００６６】
なお、このおむつ１０Ｄでは、図１のそれと同様に、表面シート１１を形成する繊維不織布４１の仕上用油剤の含有率が不織布４１を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下にあることが好ましく、表面シート１１と裏面シート１２との接着強度が０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上であることが好ましい。
【００６７】
表面シート１１には、親水性繊維不織布の他に、多数の開孔を有する疎水性繊維不織布、微細な多数の開孔を有するプラスチックフィルムのいずれかを使用することもできる。表面シート１１や防漏シート３７を形成する繊維不織布４１，４４には、スパンレース不織布やニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、ケミカルボンド不織布のうちのいずれかを使用することができる。
【００６８】
裏面シート１２を形成する繊維不織布４２，４３には、スパンボンド不織布とスパンレース不織布とのいずれか一方を使用することが好ましいが、ニードルパンチ不織布やメルトブローン不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布を使用することもできる。また、裏面シート１２や防漏シート３７には、メルトブローン不織布の両面または片面にスパンボンド不織布を重ね合わせた複合不織布（ＳＭ不織布、ＳＭＳ不織布、ＳＭＭＳ不織布）を使用することもできる。裏面シート１２にスパンボンド不織布とメルトブローン不織布とから形成された複合不織布を使用する場合は、テープタブ２６，３８がスパンボンド不織布の外面に固着されていることが好ましい。
【００６９】
不織布４１，４２，４３，４４の構成繊維には、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系を使用することができる。構成繊維には、芯鞘型複合繊維、並列型複合繊維、異型中空繊維、微多孔繊維、接合型複合繊維を使用することもできる。
【００７０】
コア１３は、粒子状または繊維状の高吸収性ポリマーとフラッフパルプとの混合物、または、粒子状または繊維状の高吸収性ポリマーとフラッフパルプと熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所定の厚みに圧縮されている。コア１３は、それの型崩れやポリマー粒子の脱落を防止するため、全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されていることが好ましい。ポリマーとしては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【００７１】
テープタブ２６，３８には、熱可塑性合成樹脂から形成された可撓性プラスチックフィルムや繊維不織布を使用することができる。また、テープタブ２６，３８には、プラスチックフィルムと繊維不織布とを重ね合わせた複合シートを使用することもできる。テープタブ２６，３８を形成する繊維不織布には、スパンボンド不織布とスパンレース不織布とのいずれか一方を使用することが好ましい。
【００７２】
接着剤は、表面シート１１や裏面シート１２、防漏シート３７にスパイラル状や波状、ジグザグ状、ドット状、縞状のうちのいずれかの態様で塗布されていることが好ましい。接着剤をそれらの態様でシート１１，１２，３７に塗布すると、それらシート１１，１２，３７どうしが断続的に固着され、コア１３がシート１１，１２に断続的に接合されるとともに、弾性部材２４，２５，４０がシート１１，１２，３７に断続的に固着される。なお、シート１１，１２，３７どうしの固着、シート１１，１２に対するコア１３の接合、シート１１，１２，３７に対する弾性部材２４，２５，４０の固着には、接着剤の他に、ヒートシールやソニックシール等の熱による溶着手段を利用することもできる。
【００７３】
図１，４，６のおむつ１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃのテープタブ２６は、一本のテープタブを断面Ｚ字型に折り畳んだものであるが、固定部２７と第１および第２自由部２８，２９とを別個のテープタブから形成し、それらテープタブを互いに連結した後、断面Ｚ字型に折り畳んでもよい。それらおむつ１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃでは、テープタブ２６が繊維不織布から形成されている場合、接着剤３１，３２に代えて、第１および第２自由部２８，２９の内面にメカニカルファスナのうちのフックが形成されていてもよい。また、図１，４，６のおむつ１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃでは、テープタブ２６を後胴周り域１６の両側部２２に配置し、接着剤３０を介してテープタブ２６の固定部２７を後胴周り域１６における裏面シート１２の外面に固着してもよい。それらおむつ１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃでは、縦方向へ延びる一つのテープタブ２６を前後胴周り域１４，１６のいずれか一方の横方向中央に配置し、接着剤３０を介してテープタブ２６の固定部２７を裏面シート１２の外面に固着してもよい。
【００７４】
図６のおむつ１０Ｃでは、表面シート１１と裏面シート１２とのうちの少なくとも裏面シート１２が弾性的な伸縮性を有する繊維不織布から形成されていてもよい。この場合は、裏面シート１２に対する補助弾性部材３４の取付けを省くことができる。おむつ１０Ｃの裏面シート１２が伸縮性繊維不織布から形成されている場合は、テープタブ２６の固定部２７が横方向へ伸長した状態にあるときの裏面シート１２に固着される。伸縮性繊維不織布には、熱可塑性エラストマー樹脂を溶融、紡糸した伸縮性繊維から形成されたスパンボンド不織布やメルトブローン不織布を使用することができる。また、熱可塑性エラストマー樹脂繊維から形成された伸縮性繊維不織布の両面または片面に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、のいずれかの熱可塑性合成樹脂を溶融、紡糸した捲縮繊維からなる繊維不織布を重ね合わせた複合不織布を使用することもできる。図８のおむつ１０Ｄでは、テープタブ３８を後胴周り域１６の両側部２２に配置し、接着剤３０を介してテープタブ３８の内面を後胴周り域１６における裏面シート１２の外面に固着してもよい。
【００７５】
【発明の効果】
本発明にかかる使い捨て着用物品によれば、裏面シートを形成する繊維不織布の仕上用油剤の含有率が不織布を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下であるから、仕上用油剤による接着剤の接着力の低下を防ぐことができ、物品を長期間放置したとしても、裏面シートに対するテープタブの接着強度が低下することはない。この物品は、それを長期間放置したとしても、テープタブが裏面シートに対して４Ｎ／２０ｍｍ以上の接着強度を有するので、物品を長期間放置した後に、テープタブを横方向へ強く引っ張ったり、テープタブと裏面シートとの係合を繰り返したとしても、テープタブが裏面シートの外面から剥がれてしまうことはない。
【００７６】
テープタブが固定部と自由部とを有するおむつでは、テープタブを利用して排泄物で汚れたおむつを所定の形態に保持したり、テープタブを利用して装着したおむつの胴周り寸法を調節することができる。
【００７７】
前後胴周り域のいずれか一方の両側部に止着手段を有するテープタブが取り付けられたおむつでは、テープタブを利用してそれら胴周り域の側部どうしを連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】一例として示すおむつの部分破断斜視図。
【図２】図１の２−２線端面図。
【図３】廃棄するために丸められたおむつの斜視図。
【図４】他の一例として示すおむつの斜視図。
【図５】図４の５−５線端面図。
【図６】他の一例として示すおむつの斜視図。
【図７】図６の７−７線端面図。
【図８】他の一例として示すおむつの平面図。
【図９】図８の９−９線端面図。
【図１０】前後胴周り域の側部どうしを連結した状態で示すおむつの斜視図。
【符号の説明】
１０Ａ 使い捨ておむつ
１０Ｂ 使い捨ておむつ
１０Ｃ 使い捨ておむつ
１０Ｄ 使い捨ておむつ
１１ 透液性表面シート
１２ 不透液性裏面シート（裏面シート）
１３ 吸液性コア
１４ 前胴周り域
１５ 股下域
１６ 後胴周り域
２０ 両側部
２２ 両側部
２４ 胴周り用弾性部材
２６ テープタブ
２７ 固定部
２８ 第１自由部
２９ 第２自由部
３０ 接着剤
３１ 接着剤
３２ 接着剤
３４ 補助弾性部材
３８ テープタブ
３９ フック
４２ 疎水性繊維不織布（繊維不織布）

Claims (10)

1. 前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを有し、肌非当接側に位置する裏面シートの外面にテープタブが取り付けられた使い捨て着用物品において、
   前記裏面シートが、繊維不織布から形成され、前記不織布の仕上用油剤の含有率が、該不織布を構成する繊維重量当たり０．０４ｗｔ％以下（ＪＩＳ Ｌ １０１５ ７．２２；溶剤抽出法に準じて測定）であり、前記テープタブが、接着剤を介して前記裏面シートの外面に永久的に固着されていることを特徴とする前記着用物品。
2. 前記テープタブが、前記接着剤を介して前記裏面シートの外面に永久的に固着された固定部と、前記固定部に連なり該固定部の外面に重なる第１自由部とを有し、前記第１自由部が、その内面に形成された止着手段を介して前記固定部の外面に剥離可能に仮着されている請求項１記載の着用物品。
3. 前記テープタブの前記固定部における前記接着剤が感圧性接着剤である請求項２記載の着用物品。
4. 前記テープタブが、前記前後胴周り域の一方の胴周り両側部に位置して横方向へ延びるとともに、前記第１自由部に連なり該第１自由部の外面に重なる第２自由部を有し、前記第２自由部が、その内面に形成された止着手段を介して前記第１自由部の外面に剥離可能に仮着されている請求項３記載の着用物品。
5. 前記テープタブが、前記前後胴周り域の一方の両側部に位置して縦方向へ延び、前記前後胴周り域を連結するための止着手段が、前記テープタブの外面に形成されている請求項１記載の着用物品。
6. 前記着用物品を温度５０℃かつ湿度６０％で１週間放置した後に測定した前記裏面シートに対する前記テープタブの前記固定部の接着強度が、４Ｎ／２０ｍｍ以上である請求項１ないし請求項５いずれかに記載の着用物品。
7. 前記裏面シートが、横方向へ弾性的な伸縮性を有し、前記テープタブが、前記裏面シートを横方向へ伸長した状態にあるときの該裏面シートに固着されている請求項１ないし請求項５いずれかに記載の着用物品。
8. 縦方向へ所与寸法離間して横方向へ延びる複数条の弾性部材が、前記裏面シートに収縮可能に取り付けられ、前記裏面シートの横方向への弾性伸縮性が、前記弾性部材によって付与されている請求項６記載の着用物品。
9. 前記裏面シートを形成する繊維不織布が、スパンボンド不織布とスパンレース不織布との一方である請求項１ないし請求項７いずれかに記載の着用物品。
10. 前記止着手段が、感圧性接着剤とメカニカルファスナのうちのフックとの一方である請求項２ないし請求項８いずれかに記載の着用物品。

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