しかしながら、前述したエプロン支持部材を備えたエプロンの取付構造では、長期間の使用によりエプロン支持部材の弾性力が低下して、エプロンの適正な支持ができなくなり、エプロンががたつくようになることがある。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、エプロンの浴槽と防水パンとに対する着脱操作が容易になるとともに、長期間使用してもエプロンのがたつきが生じないエプロンの取付構造を提供することである。
前述した目的を達成するため、本発明に係るエプロンの取付構造の構成上の特徴は、上端外周部にフランジ部が形成された浴槽を防水パンに設置し、浴槽のフランジ部と防水パンとの間にエプロンを取り付けるためのエプロンの取付構造であって、浴槽のフランジ部に設けられエプロンの上端部を支持するエプロン上部取付部と、エプロンの裏面に設けられた第1の係合部と、エプロンの下部に設けられた第2の係合部と、防水パンまたは浴槽の側面側に設置された壁面に設けられ、エプロンの第1の係合部と係合してエプロンを位置決めする位置決め部とエプロンの第2の係合部と係合してエプロンの下部を固定でき押圧操作によって第2の係合部との係合を解除できる固定部とからなるエプロン下部取付部とを備えたことにある。
前述したように構成した本発明に係るエプロンの取付構造によれば、エプロンの上端部は、浴槽のフランジ部に設けられたエプロン上部取付部によって支持される。また、エプロンは、裏面に設けられた第1の係合部を、防水パンまたは浴槽の側面側に設置された壁面に設けられたエプロン下部取付部の位置決め部に係合させることにより予め設定された所定の位置に位置決めされる。そして、エプロンの下部に設けられた第2の係合部を、エプロン下部取付部の固定部に係合させることにより、エプロンの下部はエプロン下部取付部を介して防水パンまたは浴槽の側面側の壁面に固定される。この場合の第2の係合部を固定部に係合させる操作は、固定部を押圧することによって行えるためエプロンの取り付け操作が容易になる。
また、エプロンを浴槽のフランジ部と防水パンとの間から取り外す際にも、エプロン下部取付部の固定部を押圧操作することにより、エプロンを取り外すことができるためその取り外しのための操作も容易になる。エプロン下部取付部としては、例えば、位置決め部を箱状または枠状の収容部で構成し、固定部をその収容部から外部に突出し押圧することにより収容部内に後退させることのできる突出部材で構成することができる。そして、第1の係合部を、エプロンの裏面に突出して収容部の上面に当接する突片で構成し、第2の係合部をエプロンの下部に設けられ突出部材に係合可能な係合孔を備えた係合片で構成することができる。
これによると、エプロンの上端部をフランジ部のエプロン上部取付部に支持させ、突出部材を押圧して収容部内に後退させた状態で、エプロンの裏面に設けられた突片を収容部の上面に載せて突出部材の押圧を解除すると、突出部材が外部に突出してエプロンの下部に設けられた係合片の係合孔に係合する。このため、エプロンはエプロン下部取付部の収容部に支持されるとともに位置決めされ、突出部材と係合孔との係合によってエプロン下部取付部から外れることを防止される。これによると、エプロンの下部側のエプロン下部取付部への係合が、突出部材を押圧して収容部内に後退させた状態で、エプロンを浴槽に近づけて突出部材の押圧を解除するだけで済むため極めて簡単になる。また、この場合の突出部材を収容部から突出させるための手段としては、ばね等の弾性部材を用いたり自重を利用して下方に移動させたりする方法を用いることができる。
また、本発明に係るエプロンの取付構造の構成上の特徴は、防水パンの上方にカウンターを設置し、カウンターと防水パンとの間にエプロンを取り付けるためのエプロンの取付構造であって、カウンターの下面側に設けられエプロンの上端部を支持するエプロン上部取付部と、エプロンの裏面に設けられた第1の係合部と、エプロンの下部に設けられた第2の係合部と、防水パンまたはカウンターの側面側に設置された壁面に設けられ、エプロンの第1の係合部と係合してエプロンを位置決めする位置決め部とエプロンの第2の係合部と係合してエプロンの下部を固定でき押圧操作によって第2の係合部との係合を解除できる固定部とからなるエプロン下部取付部とを備えたことにある。
このエプロンの取付構造によれば、エプロンの上端部は、カウンターの下面側に設けられたエプロン上部取付部によって支持される。また、エプロンは、裏面に設けられた第1の係合部を、防水パンまたは浴槽の側面側に設置された壁面に設けられたエプロン下部取付部の位置決め部に係合させることにより予め設定された所定の位置に位置決めされる。そして、エプロンの下部に設けられた第2の係合部を、エプロン下部取付部の固定部に係合させることにより、エプロンの下部はエプロン下部取付部を介して防水パンまたは浴槽の側面側の壁面に固定される。この場合の第2の係合部を固定部に係合させる操作は、固定部を押圧することによって行えるためエプロンの取り付け操作が容易になる。
また、エプロンを浴槽のフランジ部と防水パンとの間から取り外す際にも、エプロン下部取付部の固定部を押圧操作することにより、エプロンを取り外すことができるためその取り外しのための操作も容易になる。さらに、本発明で用いるエプロン下部取付部を構成する部材としては、前述した浴槽のフランジ部と防水パンとの間に取り付けられるエプロンの取付構造のエプロン下部取付部と同じ部材を用いることができる。これによって、前述した浴槽のフランジ部と防水パンとの間に取り付けられるエプロンの取付構造が奏する作用効果と同じ作用効果を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係るエプロンの取付構造を備えた浴室10を示している。この浴室10においては、洗い場を形成する洗い場フロア11aと浴槽12を設置するための浴槽フロア11b(図2ないし図5参照)との対向する縁部同士が接続されて防水パン11が形成され、その防水パン11の周囲に壁パネル13a,13b,13c等が設けられている。そして、壁パネル13bには、窓14や手摺が設けられ、壁パネル13cには洗面用具や入浴用具等を置くための棚15が設けられている。また、浴槽12の上面周縁部における壁パネル13c側の手前側(洗い場側)の角部には、浴槽12内に湯や水を入れるための水栓16が設けられている。
そして、浴槽12の手前における壁パネル13cに沿った部分には、浴槽12の本体部分の上面周縁部から外部側に延びたフランジ部12aよりもやや高さが低くなった洗い場カウンター17が設けられている。また、壁パネル13cにおける洗い場カウンター17の上方には鏡やシャワー(図示せず)が設けられている。また、壁パネル13aの手前側部分には浴室10内に出入りするためのドア(図示せず)が設けられている。そして、洗い場フロア11aの浴槽フロア11b側の縁部に沿った部分における略中央には、排水口18(図2および図4参照)が形成され、その排水口18の開口部には蓋18aが取り付けられている。
そして、浴槽12の洗い場フロア11a側の側面に沿って本発明のエプロンとしての浴槽エプロン20が取り付けられている。また、防水パン11における洗い場フロア11aと浴槽フロア11bとの縁部は互いに接合された状態で上方に突出した堰部21に形成されており、浴槽エプロン20は、この堰部21と浴槽12のフランジ部12aとの間に取り付けられている。すなわち、図2ないし図5に示したように、堰部21の左右両側部分には、それぞれ下端部にエプロン下部取付部22が取り付けられたエプロン支持部材23と、下端部にエプロン下部取付部24が取り付けられたエプロン支持部材25とが設置されている。
また、浴槽12のフランジ部12aの下面には、図5および図8に示したように、エプロン上部取付部26がそれぞれフランジ部12aの延びる方向に間隔を保って3個取り付けられている。そして、浴槽エプロン20は、上端部の所定部分をそれぞれ対応するエプロン上部取付部26に係合させ、下端の両側部分をエプロン下部取付部22,24にそれぞれ支持させた状態で堰部21と浴槽12のフランジ部12aとの間に取り付けられている。
浴槽エプロン20は、浴槽12の前側面における壁パネル13a側の端部から洗い場カウンター17の手前側の端部の間に延びる長方形の略平面状の板体で構成されている。そして、浴槽エプロン20の上端部には、図6に示したように、浴槽エプロン20の平面状部分(洗い場側に露出する部分)の上端から一旦後方(浴槽12側)に延びたのちに屈曲して上方に延びる断面形状がL形の上端係合部27が浴槽エプロン20の上端縁部全体にわたって形成されている。
また、浴槽エプロン20の裏面における下部側部分の両側からは、本発明の第1の係合部としての水平板状の被支持突片28が後方に向って突出しており、浴槽エプロン20の裏面における下端近傍の左右両側には、後方に延びたのちに屈曲して下方に延びる断面形状がL形の係合片29がそれぞれ形成されている。そして、この係合片29の水平部分の中央には係合孔29aが形成されている。この係合孔29aを備えた係合片29で本発明の第2の係合部が構成される。
エプロン上部取付部26は、前述したようにフランジ部12aの下面に所定間隔を保って3個設けられており、各エプロン上部取付部26は、固定片26aと、ガイド片26bと、挟持片26cとで構成されている。固定片26aはフランジ部12aの下面に固定された板体からなっている。そして、ガイド片26bは固定片26aの下面における前後方向の略中央から下方に延びる垂直の板体からなっており、浴槽エプロン20の上端係合部27をエプロン上部取付部26に係合させる際に、上端係合部27の上端部に当接して浴槽エプロン20を上方にガイドする。
また、挟持片26cは固定片26aの下面前端から下方に延びたのちに屈曲して前方に延びる断面形状が略L形の板体からなっており、その垂直片とガイド片26bの上部側部分との間に上端係合部27の上端部を挿し込ませて把持することにより浴槽エプロン20の上端部を支持する。このエプロン上部取付部26に上端係合部27を係合させたときに、浴槽エプロン20の平面状の部分の上端は、フランジ部12aの前端面を構成する部分の下端部に当接して浴槽エプロン20とフランジ部12aとの間に隙間が生じなくなる。
エプロン支持部材23は、浴槽12のフランジ部12aの下面に当接させて位置決めし、フランジ部12aと堰部21との間に固定した棒体で構成されている。そして、エプロン支持部材23の上端部は所定の固定部材(図示せず)を介してフランジ部12aに固定され、エプロン支持部材23の下端面は一部を洗い場側に突出させた状態で堰部21の上部に固定されている。そして、このエプロン支持部材23の前面における下部側部分にはエプロン下部取付部22を構成する収容部31と突出部32とを備えたラッチ機構が取り付けられている。
すなわち、エプロン支持部材23は、浴槽エプロン20の上端部をフランジ部12aの下面側に位置させたときに、浴槽エプロン20の下端部がエプロン下部取付部22に対応する部分に位置するようにしてフランジ部12aと堰部21との間に固定されている。エプロン下部取付部22の収容部31は、上下に隔離された二つの空間部を備えた縦長の枠体で構成されており、上下方向の長さが、浴槽エプロン20の被支持突片28の下面と係合片29の上面との間の長さと同じかまたは僅かに短くなっている。
そして、図7に示したように、浴槽エプロン20を傾けて、エプロン上部取付部26に浴槽エプロン20の上端係合部27を位置させた状態から、浴槽エプロン20の下部側を浴槽12に近づけたときに、図6に示したように、収容部31が被支持突片28と係合片29との間に入り込む位置に収容部31は配置されている。また、収容部31が被支持突片28と係合片29との間に入り込んだときには、浴槽エプロン20は収容部31によって支持される。すなわち、この収容部31によって、本発明の位置決め部が構成され、浴槽エプロン20は、被支持突片28を収容部31の上端面に当接させることによって位置決めされる。
また、収容部31の下部側の空間部にはコイルばね33が軸方向を上下に向けて収容されており、収容部31の下端面には穴部31aが形成されている。また、コイルばね33の上端部は収容部31を上下に隔離する壁部31bの下面に固定され、コイルばね33の直径は穴部31aの直径よりも大きくなってコイルばね33は穴部31aから下方に突出できなくなっている。そして、コイルばね33の下端には、穴部31aを挿通可能な短い棒状の突出部32が連結されており、この突出部32は、コイルばね33の弾性力によって収容部31の下端面から下方に向かって突出している。この突出部32は、本発明の固定部を構成するもので、係合片29の係合孔29a内に入って浴槽エプロン20の下端部と係合することができる。
また、エプロン支持部材23の前面におけるエプロン下部取付部22が設けられた部分以外の部分には、浴槽エプロン20の側縁部に当接して、エプロン支持部材23と浴槽エプロン20との間から水が浸入することを防止するとともに、浴槽エプロン20とエプロン支持部材23とが衝突したときの衝撃を和らげるための浸水防止用および緩衝用のシール材34が貼り付けられている。すなわち、浴槽エプロン20の両側部分には側壁(図示せず)が形成されており、この側壁の一方がシール材34を介してエプロン支持部材23に当接する。
また、浴槽12の側面における洗い場カウンター17側に設置されたエプロン支持部材25は、図8ないし図10に示したように、支持部本体25aと、支持部本体25aの下端側後部から後方に突出した傾斜面形成部25bとで構成されている。支持部本体25aは、上端部を浴槽12のフランジ部12aの下面に当接させて配置されており、その下端面は堰部21の上部における洗い場側部分に位置している。また、傾斜面形成部25bの下面は、堰部21が延びる方向の壁パネル13c側が高く壁パネル13a側が低くなった傾斜面に形成されている。
そして、傾斜面形成部25bの下面と堰部21との間に、エプロン支持部材25を支持する支持部材35が設置されている。この支持部材35は、支持部本体25aの下端側部分の後面に沿って上下に延びる支持部材本体35aと、支持部材本体35aの裏面における上下方向の略中央から斜め後方に延びる支持片35bとで構成されている。この支持部材35は、支持部材本体35aと支持片35bとで堰部21の上部側部分を挟んだ状態で、堰部21の長手方向に沿って位置調節可能な状態で固定部材(図示せず)を介して堰部21に固定されている。
また、支持部材35の上端面には、堰部21が延びる方向の壁パネル13c側が高く壁パネル13a側が低くなった傾斜面が形成されている。そして、支持部材35の上端面に傾斜面形成部25bの下端面を接面させたときに、支持部材35の支持部材本体35aが延びる上下方向と傾斜面形成部25bが延びる上下方向とが平行となるようにして、支持部材35はエプロン支持部材25に対する位置を変更可能にして固定部材(図示せず)を介してエプロン支持部材25に固定されている。
また、支持部本体25aの下端側部分に取り付けられたエプロン下部取付部24は、前述したエプロン下部取付部22と同じ構造からなっており、エプロン支持部材25および支持部材35を介して堰部21に固定されている。このエプロン下部取付部24は、浴槽エプロン20の洗い場カウンター17側の下端部を支持する。また、図8に示したように、洗い場カウンター17における洗い場側の両側部分にも、それぞれ下端部にエプロン下部取付部36が取り付けられたエプロン支持部材37と、下端部にエプロン下部取付部38が取り付けられたエプロン支持部材39とが設置されている。
エプロン支持部材37は、エプロン支持部材25と一体的に形成されており、エプロン支持部材25の洗い場側の面から前方に向って突出している。そして、図11に示したように、エプロン支持部材37は、下端部を洗い場フロア11aの壁パネル13c側部分に形成されたカウンター設置部11cの洗い場側の縁部に位置させ、上端部をカウンター固定部材41を介して洗い場カウンター17の両側に形成された上面部17aの浴槽12側部分に固定させている。
カウンター固定部材41は、断面形状がL形の位置決め部材41aと一対のボルト41b,41c等で構成されている。そして、カウンター固定部材41は、L形の位置決め部材41aの一方の垂直片をエプロン支持部材37の洗い場側の面における上端部にボルト41bを介して固定し、L形の位置決め部材41aの他方の水平片を上面部17aの下面にボルト41cを介して固定することにより、エプロン支持部材37の上端部と上面部17aとを連結している。
エプロン支持部材37の下端側に取り付けられたエプロン下部取付部36は、前述したエプロン下部取付部22,24と同一形状のもので構成されており、エプロン支持部材37の前面(洗い場側)におけるエプロン下部取付部36が設けられた部分以外の部分には、前述したシール材34と同じ構成のシール材34aが貼り付けられている。また、カウンター設置部11cの浴槽12と反対側部分における洗い場側の縁部と上面部17aとの間に取り付けられたエプロン支持部材39およびエプロン支持部材39の下部側に取り付けられたエプロン下部取付部38は、前述したエプロン支持部材23およびエプロン下部取付部22と同じ部材で構成されている。
そして、エプロン支持部材39の上端部は、カウンター固定部材41と同じカウンター固定部材42を介して上面部17aの下面に固定されている。また、上面部17aの下面におけるカウンター固定部材41,42の洗い場側部分にはカウンター固定部材41,42の垂直面と間隔を保ってエプロン上部取付部43(カウンター固定部材42側のエプロン上部取付部43は図示せず)がそれぞれ設けられている。そして、エプロン下部取付部36,38と2個のエプロン上部取付部43とによってカウンターエプロン44が支持されている。なお、エプロン上部取付部43の断面形状は略L形に形成されており、その上端部と位置決め部材41aの上端部とが連結されて、カウンター固定部材41,42とエプロン上部取付部43とはそれぞれ一体的に形成されている。
また、洗い場カウンター17の両側部分は、壁パネル13a,13c間に設置された図示せぬ手前側(図1の状態での手前側)の壁パネルに固定された支持部材45と壁パネル13cに固定された支持部材46とによって支持されている。支持部材45は、壁パネル13cから手前側の壁パネルに沿って水平方向に延び先端部がエプロン支持部材39の上端部に位置する真っ直ぐな棒体で構成されている。また、支持部材46は、壁パネル13cからエプロン支持部材25の上端部に向かって水平に延びたのちに屈曲して斜め下方に延びて先端部が壁パネル13cに達している略V形の部材で構成されている。
カウンターエプロン44は、洗い場カウンター17の形状に合わせて形成されているため、大きさおよび中央側部分の形状は浴槽エプロン20の形状と異なっているが、両側部分の形状は浴槽エプロン20の両側部分と略同じ形状に形成されている。すなわち、カウンターエプロン44の上端部には上端係合部27と同形の上端係合部47が形成され、カウンターエプロン44の裏面における両側部分の下端側には、それぞれエプロン下部取付部36,38に係合可能な被支持突片48と、係合孔49aを備えた係合片49とが形成されている。以下、エプロン下部取付部36,38等の各部材を構成する部分で符号を用いて説明しなかったものについては、前述した同形の部材が備える各部分の符号を用いて説明する。
この構成において、浴槽エプロン20を浴槽12の前側面側に取り付ける場合には、まず、浴槽エプロン20の下端部両側に手を掛けて浴槽エプロン20を持ち上げたのちに、浴槽エプロン20の上端係合部27をエプロン上部取付部26におけるガイド片26bと挟持片26cとの間に位置させて図7の状態にする。つぎに、浴槽エプロン20の下部側部分を浴槽12側に近づけながら上端係合部27をガイド片26bと挟持片26cとの間の奥側(上部側)に差し込んでいく。
ついで、浴槽エプロン20の下端部両側を持った両手のそれぞれの1本の指で対応するエプロン下部取付部22,24の突出部32をコイルばね33の弾性に抗して上方に押し上げて収容部31内に後退させる。その状態で、浴槽エプロン20の下部側部分を浴槽12側にさらに近づけて、浴槽エプロン20の裏面に形成された被支持突片28と係合片29との間に収容部31を挿入させながら突出部32から指を離す。そして、係合片29に形成された係合孔29aが突出部32の位置に達したときに、コイルばね33の弾性によって突出部32が係合孔29aを挿通して係合片29の下面から下方に突出する。
これによって、浴槽エプロン20の下端両部がエプロン下部取付部22,24に係合して図6の状態になる。このとき、浴槽エプロン20の上端係合部27は、フランジ部12aの下面に間隔を保って設置された3個のエプロン上部取付部26に係合しており、浴槽エプロン20は、エプロン下部取付部22,24およびエプロン上部取付部26から外れることなく、浴槽12の前側面に沿って取り付けられた状態を維持する。
なお、浴槽エプロン20を浴槽12に取り付ける際に、エプロン下部支持部22,24の突出部32を指で押し上げることなく、浴槽エプロン20の下部側部分を浴槽12側に近づけて突出部32に浴槽エプロン20の係合片29を当接させて押圧することにより突出部32を押し上げて突出部32を係合孔29aに挿通させ、浴槽エプロン20を取り付けても良い。この場合、係合片29の上面を傾斜面に形成する等して、突出部32と係合孔29aとが係合し易くなるようにしておくことが好ましい。
また、点検等のために浴槽エプロン20を浴槽12の前側面側から取り外す必要が生じた場合には、浴槽エプロン20の下端部両側にそれぞれ手を掛けるとともに、その両手のそれぞれの1本の指で対応するエプロン下部取付部22,24の突出部32をコイルばね33の弾性に抗して上方に押し上げてそれぞれの突出部32と係合孔29aとの係合を解除させる。その状態で、浴槽エプロン20を傾けて浴槽エプロン20の下部側部分を浴槽12から遠ざけながら上端係合部27をエプロン上部取付部26から離していく。これによって、浴槽エプロン20を浴槽12の前側面側から取り外すことができる。
また、洗い場カウンター17にカウンターエプロン44を取り付ける場合には、浴槽エプロン20の取り付けと同様の操作を行う。すなわち、まずカウンターエプロン44の下端部両側に手を掛けてカウンターエプロン44を持ち上げる。そして、カウンターエプロン44の上端係合部47をカウンター固定部材41の位置決め部材41aとエプロン上部取付部43との間に挿し込みながら、カウンターエプロン44の下部側部分を洗い場カウンター17側に近づけていく。ついで、カウンターエプロン44の下端部両側を持った両手のそれぞれの1本の指で対応するエプロン下部取付部36,38の突出部32をコイルばね33の弾性に抗して上方に押し上げて収容部31内に後退させる。
その状態で、カウンターエプロン44の下部側部分を洗い場カウンター17にさらに近づけて、被支持突片48と係合片49との間にエプロン下部取付部36,38の収容部31を挿入させながら突出部32から指を離す。そして、係合片49の係合孔49aが突出部32の位置に達したときに、コイルばね33の弾性によって突出部32が係合片49の下面から下方に突出してカウンターエプロン44の下端両部がエプロン下部取付部36,38に係合する。これによって、カウンターエプロン44は洗い場カウンター17に取り付けられる。また、洗い場カウンター17内を点検等するときにも、浴槽エプロン20を取り外す場合と同様にしてカウンターエプロン44を取り外す。
以上のように、本発明に係るエプロンの取付構造では、浴槽エプロン20の上端部は、フランジ部12aの下面に設けられたエプロン上部取付部26によって支持される。また、浴槽エプロン20は、裏面両側に設けられた被支持突片28をエプロン支持部材23,25の下部に取り付けられた収容部31の上端面に当接させることにより、エプロン下部取付部22,24を介してエプロン支持部材23,25に支持された状態で、設定された高さに位置決めされる。そして、浴槽エプロン20の下部両側に設けられた係合片29の係合孔29aを、エプロン下部取付部22,24の突出部32にそれぞれ係合させることにより、浴槽エプロン20の下部はエプロン下部取付部22,24を介して防水パン11の堰部21に固定される。
この場合の係合孔29aを突出部32に係合させる操作は、突出部32を押圧した状態で、浴槽エプロン20を浴槽12に近づけて突出部32の押圧を解除するだけで済むため極めて簡単になる。また、浴槽エプロン20を浴槽12の前側面側から取り外す際にも、エプロン下部取付部22,24の突出部32を押圧して、浴槽エプロン20を下方に下げながら傾斜させるだけの簡単な操作で、浴槽エプロン20を取り外すことができるためその操作は容易になる。
さらに、浴槽エプロン10は、強固に固定されたエプロン下部取付部22,24に支持されるため、長期間使用しても浴槽エプロン20にがたつき等は生じない。また、洗い場カウンター17に取り付けられるカウンターエプロン44やカウンターエプロン44を支持する取付構造も、浴槽エプロン20や浴槽エプロン20を支持する取付構造と略等しい構造にしたため、浴槽エプロン20だけでなく、カウンターエプロン44の着脱も容易になる。
本発明に係るエプロンの取付構造は、前述した実施形態に限るものでなく、本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、エプロン下部取付部22を、エプロン支持部材23を介して防水パン11の堰部21に固定しているが、このエプロン下部取付部22は、直接壁パネル13aに固定してもよい。また、前述した実施形態では、エプロン下部取付部22等にコイルばね33を設けているが、このコイルばね33は省略することができる。
その場合、突出部32の上端部に、突出部32が、穴部31a内を通過して落下することを防止するためのフランジ部等を設ける。これによると、突出部32は自重によって収容部31の下面から下方に突出し、指で軽く上方に押すだけで収容部31内に後退する。また、エプロン下部取付部22等の長手方向を上下方向でなく左右方向に向けた状態でエプロン下部取付部22等を設置するとともに、係合孔29aを突出部32に対向させた状態で係合片29を浴槽エプロン20に設けることもできる。この場合には、コイルばね33で突出部32を収容部31の外部側に付勢する。
また、前述した実施形態では、エプロン支持部材25の下部だけに支持部材35を設けているが、この支持部材35は、エプロン支持部材23,39にも設けることができる。さらに、浴槽エプロン20の上端側に、位置決め用の突起を設けて、浴槽エプロン20を浴槽12の側面に取り付ける際に、この位置決め用の突起をフランジ部12aの下端部に当接させることにより、浴槽エプロン20の上端部の位置を決めるようにすることもできる。この場合、浴槽エプロン20を浴槽12の側面に取り付けたのちに、位置決め用の突起の先端部がフランジ部12aから突出していれば、その突出部分は取り除いておく。また、その他の各部材等や各部分の構成についても適宜変更実施が可能である。
11…防水パン、12…浴槽、12a…フランジ部、13a…壁パネル、20…浴槽エプロン、21…堰部、22,24…エプロン下部取付部、26…エプロン上部取付部、28…被支持突片、29…係合片、29a…係合孔、31…収容部、32…突出部。