JP4334743B2 - ゴム強化スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形体表面が艶消しになるゴム強化スチレン系樹脂表面の摩擦係数を改善する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂、ASA樹脂は非晶性プラスチックであるため、結晶性プラスチックであるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールなどの樹脂と比較すると摩擦係数が高く、自動車内のエアコン吹き出し口やカーステレオのボタン等のように、他樹脂とかん合する場合に、摩擦係数が大きいために図1に示されるようなスティックスリップ現象が発生し、異音(軋み音ともいう)が発生することもよく知られている。スティックスリップ現象とは、2つの物体が擦れ合う時に発生するもので、図2(a)のモデルで示されるように駆動速度Vで動く台の上にバネでつながれた物体Mが置かれた場合、Mは先ず静摩擦力の作用によりVで移動する台とともに図2(b)のように右方向に移動する。そしてバネによって元に戻されようとする力が、この静摩擦力と等しくなったとき、MはVとは逆の方向に滑り出す。このときに、Mは今度は動摩擦力を受けることになるので、バネの力とこの動摩擦力が等しくなった図2(c)の時点で滑りが止まり、すなわち駆動台に付着することになり、再びVと同じ方向に移動することになる(図2(d))。これをスティックスリップ現象といい、図1に示されるように静摩擦係数μsと、ノコギリ波形下端のμlの差のΔμが大きいと、きしみ音の発生原因となる。また、動摩擦係数はμsとμlの中間になる。特にグリシジル(メタ)アクリレート変ゴム強化スチレン系樹脂のような成形体の表面が艶消し性を有する樹脂は、その独特の樹脂表面性のために、摩擦係数が特に大きく異音がよく発生することも知られている。
【0003】
このような問題を改善すべく、ABS樹脂の摩擦係数を低下させるために、界面活性剤などを添加し自己潤滑性を向上させ、摺動性の改善を図る技術が種々が提案されている。たとえば、特公昭63−56267号公報には、ポリカーボネート樹脂およびABS樹脂かならなる樹脂に有機ケイ素化合物を配合する技術が、また特許第2798396号公報には、ABS樹脂に難燃剤、難燃助剤およびシリコーンオイルを配合る技術が、また特許第2688619号公報には、ABS樹脂、MBS樹脂およびHIPS(ハイインパクトポリスチレン)樹脂にシリコーンオイルを配合する技術が、また特許第2659467号公報には、ABS樹脂にアルカンスルホネート系界面活性剤を配合する技術が、さらには特開平10−316833号公報には、ABS樹脂にエポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる少なくとも1 種の反応基を含有する変性ポリオルガノシロキサンを配合し、撥水性を高め浴室内やトイレ内の水回り部品に使用する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、市場の厳しい要求に対して、前記のものはいずれも摩擦係数が高く、まだ異音が発生し不満足なものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記、艶消しABS樹脂、艶消しASA樹脂において、機械的強度、成形加工性、低温耐衝撃性をあまり低下させることなく、摩擦係数を低減し、自動車のエアコン吹き出し口やカーステレオ等の、樹脂−樹脂で合している部分の摩擦係数及びΔμを低減させ、樹脂摺動面の滑り性を改善することができる技術が要求されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記実状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ゴム強化スチレン系樹脂に、ポリオルガノシロキサン構造を持つ未変性シリコーンオイルおよび、ポリオルガノシロキサン構造中の側鎖の一部およびまたは、ポリオルガノシロキサン構造の片末端部分、又はポリオルガノシロキサン構造の両末端部分に、ポリエーテル結合を持つ、ポリエ−テル変性シリコーンオイルを配合して、ゴム強化スチレン系樹脂の物性をあまり低下させることなしに、摩擦係数を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(A)グリシジル(メタ)アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対して、
(B)ポリオルガノシロキサン構造:
【0008】
【化2】
Figure 0004334743
(式中、Rはアルキル基、アリール基又は水素基、nは3〜200の整数を表す。)を持つ未変性シリコーンオイル0.1〜10重量部及び
(C)ポリオルガノシロキサン構造中の側鎖または末端に、ポリエーテル結合を持つ、ポリエ−テル変性シリコーンオイル0.1〜10重量部を配合してなるゴム強化スチレン系樹脂組成物(請求項1)、
グリシジル(メタ)アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)がそのメチルエチルケトン(MEK)可溶分の0.3g/100mlジメチルフォルムアミド(DMF)溶液を用いて、30℃で測定した還元粘度[η]0.25〜2dl/gである請求項1記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物(請求項2)、
未変シリコーンオイル(B)の25℃における動粘度が10〜100000cStである請求項1又は2記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物(請求項3)、
ポリエ−テル変性シリコーンオイル(C)の25℃における粘度が10〜10000cStである請求項1、2または3記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物(請求項4)及び
請求項1、2、3または4記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物に更にフェノール系酸化防止剤を0.2〜5重量部配合した熱安定化ゴム強化スチレン系樹脂組成物(請求項5)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
ゴム強化スチレン系樹脂の成形体の表面を艶消しにする樹脂としてグリシジル(メタ)アクリレート変ゴム強化スチレン系樹脂が知られている。本発明で用いられる(A)成分のグリシジル(メタ)アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(以下、ゴム強化スチレン系樹脂(A)ともいう)は、従来からグリシジル(メタ)アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂として使用されているもを使用することができる。具体例としては、たとえば
(a)ゴム状重合体10〜95%(重量%、以下同様)、好ましくは20〜80%に単量体混合物5〜90%、好ましくは20〜80%をグラフト重合させたもので、前記単量体混合物がシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物およびマレイミド化合物から選ばれた1種以上60〜99.9%、好ましくは80〜99.5%、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルエタクリレートから選ばれた1種以上のグリシジル(メタ)アクリレート0.1〜40%、好ましくは0.5〜20%およびこれらと共重合可能な他のビニル系化合物0〜30%、好ましくは0〜19.5%からなるグラフト共重合体(以下、共重合体(a)ともいう)10〜100部(重量部、以下同様)、好ましくは20〜95部と
(b)シアン化ビニル化合物10〜40%、好ましくは15〜35%、芳香族ビニル化合物50〜90%、好ましくは60〜85%、マレイミド化合物0〜40%、好ましくは0〜25%、不飽和カルボン酸エステル化合物0〜40%、好ましくは0〜25%およびこれらと共重合可能な他のビニル系化合物0〜30%、好ましくは0〜20%を重合させてなるビニル系共重合体(以下、共重合体(b)ともいう)0〜90部、好ましくは5〜80部
とからなり、共重合体(a)と共重合体(b)との合計量が100部のものがあげられる。
【0010】
なお、共重合体(a)は、艶消性と耐衝撃性のために使用される成分であり、共重合体(b)は、成形加工性の向上のために使用される成分である。
【0011】
ゴム強化スチレン系樹脂(A)100部を構成する共重合体(a)の割合が10部未満の場合、すなわち共重合体(b)の割合が90部をこえると艶消性および耐衝撃性が不足する傾向が生じる。
【0012】
共重合体(a)成分におけるゴム状重合体の割合が10%未満の場合、すなわち単量体混合物の割合が90%をこえると艶消性および耐衝撃性が低下する傾向が生じ、95%をこえると、すなわち単量体混合物の割合が5%未満の場合は成形加工性が低下する傾向が生じる。前記シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物およびマレイミド化合物から選ばれた1種以上の割合が60%未満の場合、成形加工性、耐衝撃性が低下する傾向が生じ、99.9%をこえると、艶消性が不充分となる傾向が生じる。また、前記グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルエタクリレートから選ばれた1種以上の割合が0.1%未満の場合、艶消性が不充分となる傾向が生じ、40%をこえると、成形加工性、耐衝撃性が低下する傾向が生じる。なお、前記これらと共重合可能な他のビニル系化合物の割合が30%をこえると、耐衝撃性が低下する傾向が生じる。
【0013】
共重合体(b)を製造する際のシアン化ビニル化合物の割合が10%未満の場合、耐衝撃性が低下する傾向が生じ、40%をこえると、成形時に熱着色しやすくなる傾向が生じる。また、前記芳香族ビニル化合物の割合が50%未満の場合、成形加工性が低下する傾向が生じ、90%をこえると、耐衝撃性が低下する傾向が生じる。さらに、前記マレイミド化合物の割合が40%をこえると、耐衝撃性が低下する傾向が生じる。そして、前記不飽和カルボン酸エステル化合物の割合が40%をこえると、耐衝撃性が低下する傾向が生じる。なお、これらと共重合可能な他のビニル系化合物の割合が30%をこえると、耐衝撃性が低下する傾向が生じる。
【0014】
共重合体(a)の製造に用いられる前記ゴム状重合体としては、たとえばブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体等のジエン系ゴム重合体、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル酸ブチルゴム、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチルゴム、シリコン系/アクリル酸ブチル複合ゴムなどのアクリル酸系ゴム重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどのオレフィン系ゴム重合体、ポリジメチルシロキサン−ポリアクリル酸ブチルの複合ゴムなどのシリコン系ゴム重合体などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
共重合体(a)の製造に用いられる前記単量体混合物を構成するシアン化ビニル化合物としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなど、芳香族ビニル化合物としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエンなど、不飽和カルボン酸エステル化合物としては、たとえばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有する不飽和カルボン酸アルキルエステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を有する不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステルなど、マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドなど、これらと共重合可能な他のビニル系化合物としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル、ビニルエーテル、イソブチレンなどがあげられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
共重合体(a)は、前記ゴム状重合体に単量体混合物をグラフト重合させて得られるが、このときの重合方法にはとくに限定はなく、たとえば公知の乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤などを用いた乳化重合法などを用いることができる。乳化重合で得られた共重合体(a)の平均粒子径などにとくに限定はないが、0.05〜2μm程度が好ましい。
【0017】
また、共重合体(b)の製造に用いられるシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系化合物の具体例としては、共重合体(a)の場合と同様のものが用いられる。
【0018】
共重合体(b)の具体例としては、たとえばスチレン−アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、フェニルマレイミド−スチレン−アクリロニトリル共重合体があげられ、これらは成形性、耐熱性の点から好ましい。
【0019】
グリシジル(メタ)アクリレート変ゴム強化スチレン系樹脂(A)のメチルエチルケトン(MEK可溶分の0.3g/100mlジメチルフォルムアミド(DMF)溶液を用いて、30℃で測定した還元粘度[η]としては、0.25〜2dl/g、さらには0.4〜1dl/gが好ましい。0.25dl/g未満では耐衝撃性などの機械的強度が低下し、2dl/gをこえると成形加工性が低下する傾向が生じる。
【0020】
本発明で用いられる未変シリコーンオイル(B)はポリオルガノシロキサン構造:
【0021】
【化3】
Figure 0004334743
(式中のRはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基又は素基を示す。また、nは3〜200の整数を表す。)
を持つ未変性シリコーンオイルで、摩擦係数の低減、流動性および離型性のために配合されるものであり、その量はグリシジル( メタ) アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)100部に対して、0.1〜10部、好ましくは0.3〜5部である。該配合量が0.1部未満の場合、摩擦係数の低減が不充分であり、10部をこえると耐衝撃性の低下や添加混練時による押し出し加工が困難となり好ましくない。また、本発明で用いられるポリオルガノシロキサン構造を持つ未変性シリコーンオイルの25℃における動粘度は特に制限はないが、10〜100000cSt、さらに100〜10000cStのものが好ましい。具体的なポリオルガノシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンやポリメチルフェニルシロキサンが挙げられ、公知の方法で製造される。
【0022】
本発明で用いられる(C)成分のポリオルガノシロキサンは分子構造中の側鎖の一部およびまたは、分子の片末端、又は両末端部分に、ポリエーテル結合を持つ、ポリエ−テル変性シリコーンオイル、(以下ポリエ−テル変性シリコーンオイル(C)ともいう)は、摩擦係数の低減、流動性および離型性のために配合されるものであり、グリシジル( メタ) アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)100部に対して、0.1〜10部、好ましくは0.3〜5部である。該添加量が0.1部未満の場合、摺動性の改善が不充分であり、10部をこえると耐衝撃性の低下、コストの増大および添加混練時による押し出し加工が困難となるため好ましくない。また、本発明で用いられるポリエ−テル変性シリコーンオイルのポリエーテル基としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−ポロピレンオキサイドの共重合、ビスフェノール構造を有するポリエーテル等が挙げられ、ポリオルガノシロキサン分子鎖のケイ素原子との結合は直接または2価の有機基のいずれの形態で結合されてもよいが、結合安定性から、アルキレン基で結合されているのが好ましい。又変性ポリエーテルシリコーンオイルの製造方法には特に制限はなく、公知の製造方法、例えば特開平7−133354、特開平9−268230、特開平10−60117により得ることができる。
また、本発明で用いられるポリエ−テル変性シリコーンオイルの25℃における動粘度は、10〜10000cStのものが好ましい。
【0023】
グリシジル( メタ) アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)はどの重合法によって製造してもよい。たとえば公知の塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法などの方法があげられる。ゴム強化スチレン系樹脂(A)の製造は、乳化重合法が好ましい。
【0024】
グリシジル( メタ) アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)のラテックスからポリマーを回収する場合には、通常の方法、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのようなアルカリ土類金属塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムのようなアルカリ金属塩、塩酸、硫酸、リン酸のような無機酸、または酢酸、ギ酸、シュウ酸のような有機酸を添加することでラテックスを凝固させたのち、脱水乾燥する方法で行なうことができる。またスプレー乾燥法も使用することができる。また、ヒンダードアミンおよび(または)紫外線吸収剤、酸化防止剤などを、分散液の状態でグリシジル( メタ) アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)のラテックスあるいはスラリーなどに添加することもできる。
【0025】
本発明の摺動性ゴム強化スチレン系樹脂組成物には、通常よく知られた顔料、安定剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤などの添加剤を適宜使用することができる。とくにスチレン系樹脂に用いられるフェノール系、硫黄系、燐系の安定剤を添加することができ、特にフェノール系酸化防止剤を0.2〜5部添加するのが本願の樹脂組成物の熱安定性から好ましい。また、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、アミド、牛脂などの滑剤は成形用樹脂として、より高性能なものとするために用いることができる。これらの安定剤、滑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物は、グリシジル( メタ) アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)に未変性シリコーンオイル(B)及びポリエーテル変性シリコーンオイル(C)、必要に応じてヒンダードアミンおよび(または)紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、滑剤、顔料などを配合し、バンバリーミキサー、ロールミル、1軸押出機、2軸押出機など公知の溶融混練機で混練し、たとえば射出成形、押出成形、真空成形、ブロー成形などの既知の加工法で成形加工することができる。
【0027】
本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物は、成形加工性、成形時の耐発色性が良好で、成形品の摩擦係数が低く、機械的強度、低温耐衝撃性も良好で、自動車部品、異型押出の建材などに好適に使用することができる。
【0028】
【実施例】
つぎに、本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物を実施例に基いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、とくに示さない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
【0029】
実施例および比較例で用いた原料の略号を以下にまとめて示す。
【0030】
St:スチレン
αMSt:α−メチルスチレン
AN:アクリロニトリル
PMI:フェニルマレイミド
MMA:メチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
tDM:tert−ドデシルメルカプタン
CHP:クメンヒドロキシパーオキサイド
シリコーンオイル1:信越化学工業(株)製の未変シリコーンオイル、商品名KF96H−1万(25℃の動粘度:10000cSt)
シリコーンオイル2:信越化学工業(株)製の未変シリコーンオイル、商品名KF96H−1000(25℃の動粘度:1000cSt)
シリコーンオイル3:信越化学工業(株)製のポリエーテル変性シリコーンオイル、商品名KF―352(25℃の動粘度:1600cSt)。
【0031】
ゴム強化スチレン系樹脂(A)の合成
(イ)グラフト共重合体a1、a2、a3、a4及びa5の合成
撹拌機および冷却機付きの反応容器に窒素気流中でつぎの物質を仕込んだ。
【0032】
水 250部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部
硫酸第一鉄 0.0025部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.01部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 2.0部
ゴム(固形分で) 各表1に記載した量
反応缶を撹拌しながら窒素気流下で60℃まで昇温させた。60℃に到達後、表1に示す組成の混合物を連続的に4時間で滴下した。滴下終了後、さらに60℃で1時間撹拌を続け、重合を終了させてグラフト共重合体a1、a2、a3及びa4を得た。なお、使用したゴムは、平均粒径0.1μm、ゲル含有率90%でラテックス状のものである。また、ポリアクリル酸エステルはブチルアクリレート99部およびアリルメタクリレート1部の共重合体で、平均粒は0.1μmのラテックス状のものである。
【0033】
【表1】
Figure 0004334743
(ロ)スチレン系共重合体 b1〜b4の合成
撹拌機および冷却機付きの反応容器に窒素気流中でつぎの物質を仕込んだ。
【0034】
水 250部
ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.4部
硫酸第一鉄 0.0025部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.01部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3.0部
反応缶を撹拌しながら窒素気流下で60℃まで昇温させた。60℃に到達後、表2に示す組成の混合物を連続的に6時間で滴下した。但し、b1のみはαMSt75部を先に一括で仕込み残り混合物を連続滴下した。滴下終了後、さらに60℃で1時間撹拌を続け、重合を終了させてスチレン系共重合体b1〜b4を得た。
【0035】
【表2】
Figure 0004334743
(ハ)ゴム強化スチレン系樹脂(ラテックスブレンド)A1〜A7の調製
前記の(イ)、(ロ)で得られたグラフト共重合体a1〜a5及びスチレン系共重合体b1〜b4のラテックスを表3に示す組成で均一に混合し、フェノール系の抗酸化剤を加え、塩化カルシウム水溶液で凝固、熱凝集させたのち、水洗、脱水、乾燥し、グラフト共重合体(a)とスチレン系共重合体(b)の混合したパウダー状のゴム強化スチレン系樹脂A1〜A7を得た。
【0036】
なお、得られたゴム強化スチレン系樹脂A1〜A7のメチルエチルケトン(MEK)可溶分の0.3g/100mlジメチルフォルムアミド(DMF)溶液を用いて、30℃で測定した還元粘度[η](dl/g)を表3に示す。
【0037】
【表3】
Figure 0004334743
実施例1〜12
前記(ハ)で製造したゴム強化スチレン系樹脂A1〜A7、未変性シリコーンオイルおよびポリエーテル変性シリコーンオイルを表4に示す組成で配合し、カーボンブラック(三菱化学(株)製、30番)0.3部をさらに添加して、スーパーミキサーにてブレンドし、40mm押出機にてペレットを作製した。このペレットから150トン射出成形機にて、スクリュー回転数100rpm、ノズル設定温度260℃の条件で試験片(150mm×100mm×2mmの平板)を成形し、摩擦係数の評価に供した。
【0038】
摩擦係数の評価は、新東科学( 株) 製の一定荷重測定器・HEIDON14DRを使用し、荷重条件を1000g、測定速度を30mm/秒および測定長さを10mmに設定し、相手材をPMMA樹脂、ポリカーボネート樹脂およびネオプレン(登録商標)ゴムを2cm×2cmの大きさに切削し、一定荷重測定器の治具に取り付けて、静摩擦抵抗値及びΔμを測定した。結果を表4および表5に示す。
【0039】
表4
Figure 0004334743
【0040】
表5
Figure 0004334743
比較例1〜5実施例1〜12と同様の方法で表6に示す組成物を製造し評価した。結果を表6に示す。
【0041】
表6
Figure 0004334743
【0042】
【発明の効果】
ゴム強化スチレン系樹脂に、ポリオルガノシロキサン構造を持った未変性シリコーンオイルおよびポリオルガノシロキサン構造中の側鎖の一部およびまたは、ポリオルガノシロキサン構造の片末端部分、又はポリオルガノシロキサン構造の両末端部分に、ポリエーテル結合を持つ、ポリエ−テル変性シリコーンオイルを配合することにより、摩擦係数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スティックスリップ現象の説明図である。
【図2】スティックスリップのモデル図である。

Claims (5)

  1. (A)グリシジル(メタ)アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対して、
    (B)ポリオルガノシロキサン構造:
    Figure 0004334743
    (式中、Rはアルキル基、アリール基又は水素基、nは3〜200の整数を表す。)を持つ未変性シリコーンオイル0.1〜10重量部及び
    (C)ポリオルガノシロキサン構造中の側鎖または末端に、ポリエーテル結合を持つ、ポリエ−テル変性シリコーンオイル0.1〜10重量部を配合してなるゴム強化スチレン系樹脂組成物。
  2. グリシジル(メタ)アクリレート変性ゴム強化スチレン系樹脂(A)がそのメチルエチルケトン(MEK)可溶分の0.3g/100mlジメチルフォルムアミド(DMF)溶液を用いて、30℃で測定した還元粘度[η]0.25〜2dl/gである請求項1記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物。
  3. 未変シリコーンオイル(B)の25℃における動粘度が10〜100000cStである請求項1又は2記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物。
  4. ポリエ−テル変性シリコーンオイル(C)の25℃における動粘度が10〜10000cStである請求項1、2または3記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1、2、3または4記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物に更にフェノール系酸化防止剤を0.2〜5重量部配合した熱安定化ゴム強化スチレン系樹脂組成物。
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