JP4325302B2 - 脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部及びベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車椅子の背もたれ部又は座部に関する。より詳しくは、車椅子の座乗者の姿勢や体格に合わせて張り具合を調節することができるベルトを装着した脱着可能な背もたれ部又は座部に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車椅子の背もたれ部又は座部は、背もたれフレーム又は座部フレームに固定されたものが多く、背もたれ部や座部の張り強度や角度を被介護者の姿勢や疾患の状態に合わせて微妙な調整ができなかった。この問題を解決するために、特許文献1第3頁段落([0027])では、「図1中の背もたれ部材15およびシート部16におけるシート基材16aはともに塩化ビニル樹脂によってコーティングされたポリエステル繊維製布から形成されている。背もたれ部材15は車体フレーム8の左右一対の後部支柱8b(図5参照)に、シート部16は車体フレーム8の左右一対の中間梁部8d(図5参照)に掛け渡すように取り付けられている。」、「シート基材16aの上面にはクッション16bが着脱自在に貼着されている。貼着には面ファスナー16c等、公知の方法が採用される。」と記載されている。この方法によればシート部材の上にクッションを貼着して取り外し可能とすることを特徴としている。このようにすることによって、車椅子に貼着されたクッションを取り外して洗浄、乾燥がし易い効果を有するものである。
【0003】
特許文献2の第3頁段落([0017])に、「本願第1発明の更に好適な実施例においては、折返し部が複数のベルト状部材で構成されている。このベルト状部材を、バックフレームと後述するアームパイプや、サイドカバーとの間隙、及び、サイドフレームに設けたガイド孔に通して、バックレストシート及びヒップレストシートを本体フレームに取り付ける。この様に各シートを取り付けることによって、車椅子の使用中に、バックレストシートの上下の位置あるいはヒップレストシートの前後の位置がずれるといった不都合がなくなる。」、さらに、段落([0036])には、「図4は、本発明に係るヒップレストシートを展開した平面図である。ヒップレストシートは、腰掛け部(シート本体)と、カバーと、腰掛け部の両側に設けた左右4本のベルト状部材とで構成されている。」と記載されているように、特許文献2のシートは、シート本体にベルト状部材を設けたものである。
【0004】
特許文献1では、座部を取り外して洗浄がし易い効果があり、特許文献2においては、車椅子の使用中に、バックレストシートの上下の位置あるいはヒップレストシートの前後の位置がずれるといった不都合がなくなるという効果を有するものである。しかし、従来の張りベルト付きの座部(クッション等)は張り調整を行う場合に、ベルトを弛めると座位が中心よりずれるために、ずれを調整しながら張りベルトを両側のフレームに合わせて、固定する必要があった。特に、座部(クッション等)を中心にもってくるのが難しく、一度、座って調整しなければならないと云う問題点があった。このために、座部を未だ被介護者の体の状態、疾患の状態、体型、あるいは車椅子の長さや幅に合わせて、座部や背もたれ部の張り具合や角度を簡単に調節出来るものがなく、その出現が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−244335号公報(第3頁段落[0027]参照。)
【特許文献2】
特許第3038569号公報(第3頁段落[0017]参照。)
【0006】
【発明が解決する課題】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたもので、被介護者の体の状態、疾患の状態、体型、あるいは車椅子の長さや幅に合わせて座部や背もたれ部の張り具合や角度の微妙な調整が可能なベルトを装着した着脱可能な背もたれ部又は座部を提供するものである。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、背もたれ部又は座部フレームに逆U字型のフレームを用いて、ベルトの張設強度を個々に変更可能とすることにより、被介護者の体型、疾患に合わせて張り具合や角度を微妙に調整することができる座部又は背もたれ部を提供することに成功した。
【0008】
本発明の課題を解決する手段は、2本の逆U字型フレームと該2本の逆U字型フレームの一方側が外管と該外管に挿入された内管によって幅の調節が可能な少なくとも1本の連結フレームにより連結されたことを特徴とする脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部である。逆U字型フレームの一方側に外管と外管に挿入された内管を摺動させることによって横幅の調節が可能となった。また、逆U字型フレームに巻着するための巻着部と中央に長さ調節が可能なバックルが着設されたベルトを前記逆U字型フレームの両側にベルトの巻着部を巻着させることによって、ベルトの中央部の弾力性とベルトの張り具合によって、背もたれ部又は座部に微妙なクッション性を付与することが可能となった。
【0009】
本発明の課題を解決する別の手段は、2本の逆U字型フレームの一方側に外管と該外管に挿入された内管によって長さ調節可能な連結フレームを着設し、該連結フレームにヘッドレストを着設した背もたれ部と、該連結フレームにヘッドレストを着設した背もたれ部の他方端に、外管と該外管に挿入された内管によって長さ調節可能な連結フレームで連結された2本の逆U字型フレームよりなる座部を回動可能に連設したことを特徴とする脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部である。脱着可能な背もたれ部と座部を連接することによって、車椅子を収納する場合に背もたれ部と座部を簡単に取り外すことができる。
【0010】
本発明の課題を解決する別の手段は、逆U字型フレームの上端部と下端部に背もたれ部フレーム又は座部フレームに着設する狭着部を有することを特徴とする請求項1に記載の脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部である。逆U字型フレームの上端部と下端部に狭着部を着設したことによって、車椅子への脱着が容易となり、背もたれ部又は座部を取り外して車椅子を折り畳むことができる。脱着可能な背もたれ部又は座部のフレームに、背もたれ部フレーム又は座部フレームに狭着する狭着部を設けることにより、背もたれ部又は座部の着脱が容易となる。
【0011】
本発明の課題を解決する別の手段は、両端部に前記逆U字型フレームに巻着するための巻着部と中央に長さ調節が可能なバックルが着設されたベルトとよりなることを特徴とする脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のベルトである。脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部に長さ調節が可能なベルトを装着することによって、座乗者の病状、体格などに合わせてより繊細な調節が可能である。
【0012】
本発明の課題を解決する別の手段は、ベルトの中央部に弾力性のある緩衝部材が着設されていることを特徴とする請求項4に記載の脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のベルトである。2本の逆U字型フレームに掛け渡したベルトの中央部に合成ゴム等の弾力性のある緩衝部材を装着することによって、座乗者の背中や臀部に当接するベルトやバックルが直接当たらず、長時間座していても痛くなく、不快感を与えない。
【0013】
本発明の課題を解決する別の手段は、前記逆U字型フレームの両側に前記ベルトの巻着部を巻着し、巻着部にバックルが着設されたベルトが装着されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部である。脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部に長さ調節が容易なベルトを装着することによって、脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部の使用勝手が一段と良くなる。
【0014】
【発明の実施の態様】
本発明の実施の態様を以下に図面を用いて説明する。本発明の脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部は、要旨を逸脱しない範囲において、以下の実施例に限定されるものではない。
【0015】
図1は本発明の脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100を着設した側面を示す。逆U字型フレーム11の開口部は補強フレーム15によって、補強されている。2本の逆U字型フレーム11は図2に示すように、裏側に相当する側に掛け渡された外管12a、13aとこの外管に挿入された内管12b,13bによって幅の調節が可能な少なくとも2本の連結フレーム12、13により連結されている。背もたれ部、又は座部の幅を調節する場合は、外管12a、13aに挿入された内管12b,13bを摺動させて所望の幅に調節して12c及び13cのネジを締めて固定する。脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100の大きさは車椅子に合うものであれば特にその大きさは限定されるものではないが、本発明においては、逆U字型フレームの上端からフレームの長い方の下端部までを52cm、短い方の下端部までを49cmとし、U字型フレームの幅を16cmとした脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100を作成した。
【0016】
図3は2本の逆U字型フレーム11により形成された背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部200を示す。図3に示す背もたれ部は2本の逆U字型フレーム11の一方側は角フレーム11aを張設して、ヘッドレスト19を軸着部17cに軸着した。ヘッドレスト19はヘッドレスト支持フレーム18のレバー18aを緩めてヘッドレスト支持フレーム18を前後に移動させて、ヘッドレスト19を座乗者の頭部に合わせて調節することができる。2本の逆U字型フレーム11により形成された背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部200の大きさは、背もたれ部の逆U字型の上から下までの高さが49cm、座面の長さは背もたれ部の外枠から座部の先端までが48cmで、逆U字型のU字の厚さは11cmとした。
【0017】
図4は2本の逆U字型フレーム11により形成された背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部200の背面を示す。2本の逆U字型フレーム11により形成された背もたれ部と座部は車椅子の背もたれフレームと座部フレームに狭着部14を狭着させて安定に保持することができる。背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部200の幅の調節は、座部の上側連結フレーム12と背もたれ部の上部の連結フレーム17と下側連結フレーム13の3カ所のネジ12c、13c又は調節レバー17bを緩めて調節する。車椅子を折り畳む時は、背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部200の狭着部14を背もたれフレームと座部フレームから離脱させることにより、車椅子は折り畳むことができる。背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部200は連結部材16のところから、背もたれ部の背面に二つ折りに折り畳むことができる。
【0018】
前述の脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100、又は背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部200に装着するベルト21は図5に示すような部材よりなっている。まず、巻着部22は2本の逆U字型フレーム11にベルト21を取着するため、逆U字型フレーム11に巻着して少なくとも1カ所を鋲又はネジ22bで固定する。ベルト21にはベルトの両側に2カ所づつ自由端21a、21bがあり、この自由端21a、21bを巻着部22のバックル22aに通して固定する。
【0019】
図6は巻着部22のバックル22aにベルト21の自由端21aを通して、2本の逆U字型フレーム11にベルト21を取着した例を示している。図7は2本の逆U字型フレーム11にベルト21を取着したその表側を示している。背もたれ部又は座部の体に当接するベルト21の表面にくる部分には合成ゴム等の緩衝部材24が装着されている。
【0020】
図8は2本の逆U字型フレーム11にベルト21を取着した状態を上面から示している。図8に示すようにベルト21は2本の逆U字型フレーム11を巻くように装着する。逆U字型フレーム11の背もたれ部又は座部に対してベルト21を深く取着したり、浅く取着する場合は、ベルトの自由端21aと21bの固定する長さをずらすことによって調節することができる。
【0021】
図9はベルト21を取着した逆U字型フレーム11の側面を示す。ベルトの巻着部22は逆U字型フレーム11に鋲又はネジ22bで固定され、固定された巻着部22のバックル22aにベルトの自由端が21aが固定されている。
【0022】
図10は脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100を車椅子の背もたれ部フレーム26に装着した状態を示す。脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100には、さらに、逆U字型フレームの上端部と下端部に背もたれ部レーム26に着設する狭着部14を有すると共に、背もたれ部フレーム26の下端部に脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100の下端部に着設された連結管13を受ける狭着部25が着設されている。それぞれの狭着部14を背もたれ部フレーム26と狭着させ、さらに脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100の下端部に着設された連結管13を受ける狭着部25を狭着させることによって脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100を安定に保持することができる。
【0023】
図11は脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100の下端部に着設された連結管13を受ける狭着部25の形状を示す。車椅子側の狭着部25は座部フレーム33かそれよりも低い位置に着設して、脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100を安定に保持するように取着する。
【0024】
座部に脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100を装着する場合も図12に示すように座部フレーム33に乗せるように装着する。しかし、車椅子の走行時に脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部100が前後に動いたりずれたりしないように装着しなければならない。
【0025】
【発明の効果】
逆U字型フレームの一方側に外管と外管に挿入された内管を摺動させることによって横幅の調節が可能となった。また、逆U字型フレームに巻着するための巻着部と中央に長さ調節が可能なバックルが着設されたベルトを前記逆U字型フレームの両側にベルトの巻着部を巻着させ、これにベルトを着設することによって、ベルトの中央部の弾力性とベルト毎に張り具合を換えることによって、被介護者の体格、体調に合わせて背もたれ部又は座部に微妙なクッション性を付与することが可能となった。
【0026】
逆U字型フレームの上端部と下端部に狭着部を着設したことによって、車椅子への脱着が容易となり、背もたれ部又は座部を取り外して車椅子を折り畳むことができる。
【0027】
2本の逆U字型フレームに掛け渡したベルトの中央部に合成ゴム等の弾力性のある緩衝部材を装着することによって、バックルなどの体に当接する部分が直接体に当たらず不快感を与えない。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のフレームの側面図。
【図2】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のフレームの背面図。
【図3】背もたれ部と座部を連設した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部の側面斜視図。
【図4】背もたれ部と座部を連接した脱着可能な車椅子の背もたれ部と座部の背面図。
【図5】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のベルト背面の部分斜視図。
【図6】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のフレームにベルトを着設した部分背面図。
【図7】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のフレームに着設した部分正面図。
【図8】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のフレームにベルトを着設した部分上面図。
【図9】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部のフレームにベルトを着設した部分側面図。
【図10】ベルトを着設した脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部を背もたれフレームに装着した部分斜視図。
【図11】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部を取着する車椅子背面の狭着部を示す部分斜視図。
【図12】脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部を座部に取着した斜視図。
【符号の説明】
100:脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部
200:連設された脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部
11:逆U字型フレーム
11a:角フレーム
12:上側連結フレーム
12a:上側外管
12b:上側内管
12c:調節部
13:下側連結フレーム
13a:下側外管
13b:下側内管
13c:調節部
14:狭着部
15:補強フレーム
16:連結部材
17:連結フレーム
17a:調節フレーム
17b:調節レバー
17c:軸着部
18:ヘッドレスト支持フレーム
18a:ヘッドレスト調節レバー
19:ヘッドレスト
21:ベルト
22:巻着部
22a:巻着部のバックル
22b:巻着部のバックル
23:バックル
24:緩衝部材
25:狭着部
26:背もたれ部フレーム
27:把持部
31:主車輪
32:キャスター
33:座部フレーム
34:アームレスト
35:前部フレーム
36:下部フレーム
37:背もたれ部
38:座部

Claims (2)

  1. 開口部を補強フレーム15で補強された2本の逆U字型フレーム11と該2本の逆U字型フレーム11の一方側外管12aと該外管12aに挿入された内管12bを摺動させることによって幅の調節が可能な少なくとも2本の連結フレーム12により連結した座部と、ヘッドレスト19を着設した連結フレーム17で上部を連結された背もたれ部と、該背もたれ部の下部を外管13aと該外管13aに挿入された内管13bを摺動させることによって長さ調節可能な連結フレーム13で連結された2本の逆U字型フレームよりなる背もたれ部に前記座部を回動可能に連設し、前記逆U字型フレームの上端部と下端部に背もたれ部フレーム又は座部フレームに着設する狭着部14を複数個有することを特徴とする脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部。
  2. 両端部に前記逆U字型フレームに巻着するための巻着部と中央に長さ調節が可能なバックルが着設されたベルトの中央部に弾力性のある緩衝部材が着設されているベルトを装着したことを特徴とする請求項1に記載の脱着可能な車椅子の背もたれ部又は座部。
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