JPH0939627A - 幼児用椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 幼児の体格或いは幼児の成長に合わせて、最
適な位置でベルトによって上体を固定でき、自動車座席
への固定及び背負うのに適した幼児用椅子を提供する。 【構成】 垂直部３と水平部４を有する支承枠体２の垂
直部下方に座席部５が、可変係合部１６を介して上下移
動できるように取りつけられ、垂直部上部にヘッドレス
ト７と背当て部６が取りつけられて幼児用椅子１が構成
される。ベルト１０，１１が背当て部上端から座席部前
部にバックル１２を介して張り渡される。ヘッドレスト
及びベルトの上端の位置は固定されており、座席部が上
下移動することにより座席部の座面からベルトの上端ま
での距離が幼児の座高のあわせて調節される。垂直部の
下端に腰当部１３が形成され、また椅子背面に背負いバ
ンドが取りつけられて背負い子として使用される。 【効果】 幼児の体格に合わせたベルト位置の調節が一
操作で行える。調節に関係なく座った幼児の視線を一定
の高さに保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、幼児用の椅子特に自動
車の座席に載置して使用することができ、かつ背負うこ
ともできる幼児用椅子に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、乳幼児を自動車に載せ安全に運ぶ
ために、幼児用椅子を自動車の座席に載置してシートベ
ルト等で固定し、これに乳幼児を載せて専用のベルトで
支持する方法がとられている（例えば特開平5-254366号
公報）。幼児用椅子を必要とする乳幼児は、乳児から３
〜４歳までの幼児であるが、年齢によって体の大きさに
相当の差があるために座席部とベルトの上端の間隔が可
変調節できる構造が望ましい。上記公報には、かかる目
的を達成するために背当て部に３段のベルト挿通孔を形
成し、幼児の肩の位置に合わせて適当な挿通孔を選んで
ベルトを通す構造が開示されている。またこの種幼児用
椅子を、幼児を背負う背負い子として使用する椅子も公
知である（例えば実公平3-24127 号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一般に幼児がこの種椅
子に座ったとき、幼児の頭の位置は、その体の大きさに
よって様々である。前掲公開公報に開示の発明では、座
席部を固定しヘッドレスト及びベルトの上端を可変でき
る構造を採用している。即ち子供の成長に合わせてヘッ
ドレストの位置を上げ、同時にベルトの挿通孔を一段ま
たは二段上げるのである。このように係る構造では、ヘ
ッドレストとベルト挿通孔の２箇所の調節が必要であ
り、操作が面倒であるという問題がある。

【０００４】また上記構造においては、幼児の頭の位置
が上下に変わるために、その視線は必ずしも窓外を見る
のに適した位置にあるとは言えず、特に０〜１歳児では
窓外を全く見ることができないことも多いという問題が
ある。

【０００５】また前掲実用新案公報に開示の椅子は、背
負うことが可能なものであるが、後方への力が加わった
とき倒れやすく、座っている幼児にとって極めて危険で
あるという問題がある。

【０００６】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、座席部の高さ調整を一操作で行うこ
とができ、かつ背負い子として使用し床面等に置いたと
きも前方及び後方へ倒れにくい構造を実現したものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、左右に所定間
隔隔てて平行かつ垂直に配置された垂直部及び該垂直部
の下端から前方へ形成された水平部を有する支承枠体
と、該支承枠体の上記垂直部の下方位置に支持固定され
た座席部と、上記支承枠体の上記垂直部の中段位置に配
置された背当て部と、該背当て部の上部に形成されたヘ
ッドレストと、上記背当て部上端付近に水平方向に一定
間隔隔てて形成された一対の挿通孔と上記座席部の前方
中央に形成された他の挿通孔の間に張り渡されたベルト
とを有する、幼児を自動車の座席に着座した状態で支持
する幼児用椅子であって、上記支承枠体の上記垂直部と
上記座席部との間に、上記座席部を複数の高さの異なる
位置に変更可能な状態で支持する可変係合部を設けたも
のである。

【０００８】また本発明において、上記可変係合部は、
上記垂直部に上下方向に形成した複数の孔と、一端側が
上記座席部に取りつけられるとともに他端側に上記孔に
嵌合するピンが設けられた可撓性アームよりなり、上記
ピンが嵌合する上記孔を変えることにより上記座席部の
高さを変更調節する構造とすることができる。

【０００９】さらに本発明において、上記垂直部の下端
に、中央部分が前方に突出した湾曲形状を有するととも
に両端部分が後方水平方向へ突出した突出部を有する腰
当部が設けられるとともに、上記背当て部の背面と上記
垂直部の下端との間に一対の背負いバンドが張り渡され
てなる背負い構造を付加することができる。

【００１０】

【作用】上記幼児用椅子は、支承枠体の水平部が自動車
の座席に載置された状態でシートベルトにより座席に固
定される。子供の成長に合わせて、或いは体格の異なる
子供を座らせる場合に可変係合部が操作され、座席部の
位置が調節される。これにより頭部はヘッドレストに
て、また上体はベルトにて最適位置で支持され、十分な
体の保護機能が発揮される。この調節の際、頭部は上下
移動しないから、子供の視線の高さは窓外を見るのに適
した位置で固定される。

【００１１】可変係合部を、上記垂直部に上下方向に形
成した複数の孔と、一端側が上記座席部に取りつけられ
るとともに他端側に上記孔に嵌合するピンが設けられた
可撓性アームにて構成した場合、座席部の位置を調節す
るに際しては、可撓性アームのピン側を持ち上げてピン
を孔から抜き、座席部を上または下に移動させて最適位
置とした後、可撓性アームのピン側を押してピンを他の
孔に嵌合させて座席部を垂直部に固定する。

【００１２】垂直部の下端に、中央部分が前方に突出し
た湾曲形状を有する腰当部を設け、背当て部の背面と上
記垂直部の下端との間に一対の背負いバンドを張り渡し
たときは、子供を座らせた状態で背負いバンドにて背負
うことができる。このとき腰当部は背負い者の腰部に当
たってその湾曲面が腰部の湾曲面にそって当接し、背負
った椅子を安定化させる。また腰当部の両端部分が後方
水平方向へ突出した突出部を有するときは、椅子を床面
或いは地面に置いたとき、支承枠体の水平部及びこの突
出部により椅子が前方または後方へ倒れるのを防止しそ
の安定性を増す。

【００１３】

【実施例】図１及び図２において、１は、幼児を自動車
の座席に着座した状態で支持するとともに背負い子とし
ても使用できる幼児用椅子であって、２は、支承枠体で
左右に所定間隔例えば約30cm隔てて平行かつ垂直に配置
された垂直部３及び垂直部３の下端から前方へ形成され
た水平部４よりなる。５は、垂直部３の下方位置に支持
固定された座席部、６は、垂直部３の中段位置に支持固
定された背当て部、７は、背当て部６の上部に形成され
たヘッドレスト、８，８は、背当て部６上端付近に水平
方向に一定間隔隔てて形成された一対の挿通孔、９は、
座席部５の前方中央に形成された他の挿通孔、１０，１
１は、バックル１２を介して挿通孔８，８及び９の間に
張り渡されたベルトである。１３は、垂直部３の下端
に、中央部分が前方に突出した湾曲形状を有するととも
に両端部分が後方水平方向へ突出した突出部１４，１４
を有する腰当部であり、突出部１４，１４の先端と垂直
部３下端中央間の距離は、約 4cmである。１５，１５
は、背当て部６の背面と垂直部３の下端との間に張り渡
された一対の背負いバンドである。

【００１４】支承枠体４は、正面ほぼＵ字状のアルミパ
イプにて構成することができ、水平部３はこのアルミパ
イプの下方部分を前方（図１中矢印ａ方向）へ直角に折
り曲げて形成される。水平部４の前方への長さは、約25
cmとすることができる。座席部５は、左右の垂直部３に
可変係合部１６を介して固定されている。この座席部５
は、座面１７と左右及び背面に形成された壁部１８より
なる。背当て部６及びヘッドレスト７は一体形成され、
ほぼＴ字型を有している。Ｔ字の水平部分がヘッドレス
ト７を、垂直部分が背当て部６を構成する。ヘッドレス
ト７の左右両端は垂直部３に固定されている。背当て部
６の下端は座席部５の背面に位置している。１９は、ヘ
ッドレスト７の上部に取りつけられたハンドルである。
座席部５、背当て部６及びヘッドレスト７は、ポリプロ
ピレン等のプラスチックにて心材が形成され、その周囲
にスポンジシート等の緩衝部材が被覆せしめられて構成
される。座席部５についていえば、心材２０と緩衝部材
２１よりなる。緩衝部材２１は、座席部５の心材２０に
ホック或いは面状ファスナーにより取り外し可能な状態
で取りつけられている。背当て部６及びヘッドレスト７
についても同様の構造が採られている。

【００１５】ベルト１０，１１は、座席部５の前部であ
って挿通孔９の上部に配置された前述のバックル１２に
着脱可能な状態で連結されており、座席部５に座った幼
児の肩から腰部に延び、幼児の上半身を固定する。ベル
ト１０，１１は、挿通孔８，８を通して、背当て部６の
心材の背面と緩衝部材との間を通って下方に延び、座席
部５の背面に設けられた挿通孔２２（図２）を通って座
席部５の心材２０と緩衝部材２１の間に入り、座席部５
の裏面において挿通孔２３（図３）より緩衝部材２１よ
り外部へ引き出され、金具２４に固定される。一方バッ
クル１２から下方に連結されたベルト１１は、挿通孔９
を通して座席部５の裏面に伸び、金具２４に接続され
る。バックル１２は、上方のベルト１０と下方のベルト
１１とを連結または解除する。ベルト１０，１１は、バ
ックル１２及び金具２４を介して閉ループを形成してお
り、そのループの大きさは、金具２４部分で調節され
る。２５は、バックル１２の両側に連結された補助ベル
トで、座席部５の左右両側に形成された挿通孔２６，２
６を介して、座席部５の裏面に伸ばされ、繋がってい
る。この補助ベルト２５は、幼児の腰部を固定するもの
である。

【００１６】図４に示すように、可変係合部１６は、支
承枠体２の垂直部３に上下方向に所定間隔例えば cm隔
てて３個形成された円形の小孔２７，２７，２７と、上
端側が上記座席部心材２０にネジ２８に取りつけられる
とともに下端側に上記小孔２７に嵌合するピン２９が設
けられたプラスチック製可撓性アーム３０にて構成され
る。可撓性アーム３０の下端には指引掛部３１が形成さ
れている。ピン２９が嵌合する小孔２７を他の小孔２７
に変える場合は、図Ａに示すように可撓性アーム３０の
指引掛部３１を矢印ａ方向に引き上げ、ピン２９を小孔
２７から抜き、座席部５を垂直部３に対して例えば上方
に移動させ、ピン２９が１つ上の小孔２７上にきたと
き、可撓性アーム３０の指引掛部３１を矢印ｂ方向に押
し下げて、ピン２９を小孔２７に嵌合させる。小孔２７
の位置は、座席部５の座面１７からベルト１０，１０の
上端即ち挿通孔８，８までの距離が幼児の座高に一致す
るものが選ばれるのである。このようにして座席部５
は、垂直部３に対し上下方向に移動せしめられるととも
に、垂直部３に固定される。

【００１７】図５は、幼児用椅子１を自動車座席３２に
固定した状態を示し、支承枠体２の垂直部３が座席３２
の背当て部３３にあてられ、水平部４が座面３４に載置
されてシートベルト３５にて固定される。すなわちシー
トベルト３５は、垂直部３と背当て部６及び座席部５の
間を通されて、支承枠体２部分が座席３２に固定される
のである。

【００１８】図６は、幼児用椅子１を背負い子として使
用した場合を示し、幼児３６をベルト１０，１１及び補
助ベルト２５で座席部５に固定した状態で、背負い者３
７が背負いベルト１５を肩に掛けて椅子１の背面を背中
に当てて背負うのである。このとき腰当部１４は、背負
い者３７の腰部に当たり、椅子１の安定を増し幼児の座
り心地をよくするとともに背負い易くする作用をなす。
また背負い者３７が、背負いベルト１５を肩から外し椅
子１を床面または地面に置いたときは水平部４及び突出
部１４により、椅子１は床面または地面に、前後に倒れ
にくい安定な状態で載置される。ヘッドレスト７の上部
に設けられたハンドル部１７は、椅子１の持ち運びの際
の把手として利用される。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、幼児の体
格に合わせて座席部を調節する際、座席部を支承枠体の
垂直部に対して上下方向に移動させるだけでよい。すな
わち、従来ヘッドレスト及びベルトの上端位置の２箇所
を変更する必要があったのに対し、本発明では１箇所の
みであるからその操作が簡略化される。

【００２０】また本発明によれば、ヘッドレスト及びベ
ルトの上端は所定の位置に保たれるから、調節後も頭部
は上下移動せず、幼児の視線の高さは一定である。それ
故この椅子を自動車の座席に載置して使用したとき、幼
児の視線を窓外を見るのみ適した高さに維持することが
できる。

【００２１】また本発明によれば、座席部と垂直部の間
にピンを取りつけた可撓性アームとピンが嵌合する複数
の小孔よりなる可変係合部が設けられ、ピンが嵌合する
小孔を変えることにより座席部の位置が変更できかつ座
席部が固定できるからその操作が簡単となる。

【００２２】さらに本発明に係る幼児用椅子を背負い子
として使用したときは、腰当部が背負い者の腰部に当た
って椅子を安定させるから、幼児の座り心地をよくする
とともに背負い者にとっても背負いやすくなる。また腰
当部の両端に水平方向に突出部が設けられているから、
椅子を床面又は地面に置いたとき水平部とともに前後へ
倒れることを防ぎ、幼児を安全な姿勢に保つことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例に係る幼児用椅子を示す前面斜視
図である。

【図２】同実施例に係る幼児用椅子を示す背面斜視図で
ある。

【図３】同実施例に係る幼児用椅子を示す底面図であ
る。

【図４】図２のＡ−Ａ線断面に対応する可変係合部を示
す断面図であり、図Ａは、ピンを小孔から外した状態
を、図Ｂは、ピンを小孔へ嵌合した状態を示す。

【図５】幼児用椅子を自動車の座席に固定した状態を示
す斜視図である。

【図６】幼児用椅子を背負い子として使用した場合を示
す側面図である。

【符号の説明】

１………幼児用椅子 ２………支承枠体 ３………垂直部 ４………水平部 ５………座席部 ６………背当て部 ７………ヘッドレスト ８，９，２２，２３，２６………挿通孔 １０，１１………ベルト １３………腰当部 １４………突出部 １５………背負いバンド １６………可変係合部 １７………ハンドル ２０………心材 ２１………緩衝部材 ２４………金具 ２５………補助ベルト ２７………小孔 ２９………ピン ３０………可撓性アーム ３２………自動車座席 ３５………シートベルト ３７………背負い者

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右に所定間隔隔てて平行かつ垂直に配
   置された垂直部及び該垂直部の下端から前方へ形成され
   た水平部を有する支承枠体と、該支承枠体の上記垂直部
   の下方位置に支持固定された座席部と、上記支承枠体の
   上記垂直部の中段位置に配置された背当て部と、該背当
   て部の上部に形成されたヘッドレストと、上記背当て部
   上端付近に水平方向に一定間隔隔てて形成された一対の
   挿通孔と上記座席部の前方中央に形成された他の挿通孔
   の間に張り渡されたベルトとを有する、幼児を自動車の
   座席に着座した状態で支持する幼児用椅子であって、上
   記支承枠体の上記垂直部と上記座席部との間に、上記座
   席部を複数の高さの異なる位置に変更可能な状態で支持
   する可変係合部を設けたことを特徴とする幼児用椅子
2. 【請求項２】 上記可変係合部は、上記垂直部に上下方
   向に所定間隔隔てて形成された複数の小孔と、一端側が
   上記座席部に取りつけられるとともに他端側に上記小孔
   に嵌合するピンが設けられた可撓性アームよりなり、上
   記ピンが嵌合する上記小孔を変えることにより上記座席
   部の高さを変更調節することを特徴とする請求項１記載
   の幼児用椅子
3. 【請求項３】 上記垂直部の下端に、中央部分が前方に
   突出した湾曲形状を有するとともに両端部分が後方水平
   方向へ突出した突出部を有する腰当部が設けられるとと
   もに、上記背当て部の背面と上記垂直部の下端との間に
   一対の背負いバンドが張り渡されてなる背負い構造を有
   する請求項１または２記載の幼児用椅子