JP4322360B2 - 電圧安定化回路およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧安定化回路技術に関し、特にCMOSロジック、SRAM、DRAMなどに搭載されるレギュレータの低消費電力化と安定化に好適な電圧安定化回路およびそれを用いた半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、本発明者が検討した技術として、半導体装置の一例としてのDRAMなどにおいては、外部から供給される電源電圧を内部電圧発生回路を介して所定の電圧に降圧したり、あるいは所定の電圧に昇圧して所望の内部電圧を発生し、この発生された各種の内部電圧はメモリアレー用、周辺回路用などとして、各内部回路の動作電圧として用いられる。
【0003】
このようなDRAMなどの内部電圧発生回路に関する技術としては、たとえば特開平3−158912号公報に記載されるボルテージレギュレータなどが挙げられる。この公報の技術は、負荷電流に比例した電流を差動アンプ回路に流すように構成した負荷電流帰還型レギュレータ回路である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特開平3−158912号公報の技術について、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。図5、後述する図2を用いて説明する。図5は前記公報の負荷電流帰還型レギュレータ回路の概要を説明するための回路図であり、図2は負荷電流に対する差動アンプ回路電流の依存性を示す特性図である。
【0005】
図5のように、負荷電流帰還型レギュレータ回路は、基準電圧との電圧差に比例した電圧を出力するためのトランジスタM1〜M6からなる差動アンプ回路1と、この差動アンプ回路1からの出力電圧により制御され、これに対応した負荷電流による電圧を出力し、かつこの負荷電流を差動アンプ回路1に帰還するためのトランジスタM7からなる出力回路2と、この出力回路2の負荷電流に比例した電流を差動アンプ回路1に流すためのトランジスタM8,M9からなる電流比例回路11などから構成されている。
【0006】
このレギュレータ回路の動作は、まず、負荷電流ILが増加すると出力電圧VCLが基準電圧VCLRより低下するので、トランジスタM7のゲート電圧が低下する。一方、トランジスタM8はトランジスタM7とゲート、ソースが共通なので、トランジスタM8には負荷電流ILに比例した電流が流れる。この電流はトランジスタM9を流れ、それとカレントミラー回路を構成するトランジスタM6には負荷電流ILに比例した差動アンプ回路電流Isが流れる。
【0007】
ここで、トランジスタのサイズをW(M7):W(M8)=l:h、W(M9):W(M6)=i:nとすれば、Is=h/l×n/i×ILで表される。Isが大きくなると差動アンプ回路1はより高速にトランジスタM7のゲートを引き下げることができるので、出力電圧VCLはもとの基準電圧VCLRのレベルに復帰する。ここで、Is/IL=h/l×n/iを大きくすれば、負荷電流ILに対する差動アンプ回路電流Isの増加量はより大きくなり、より高速動作が可能になる。
【0008】
しかしながら、高速動作のため、その増加量を大きくすると、負荷の動作全体にわたって見たときに差動アンプ回路1で消費する差動アンプ回路電流Isが大きくなり(図2の比較例2)、また小さくすると負荷電流ILの平均電流以下の領域での帰還の応答する速度が遅くなる(図2の比較例1)。すなわち、差動アンプ回路電流Isと負荷電流ILとの比例係数が大きいと消費電流が大きくなり、差動アンプ回路電流Isと負荷電流ILとの比例係数が小さいと応答速度が遅くなるという問題が発生することが考えられる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、前記のような差動アンプ回路電流と負荷電流との比例係数に対する消費電流と応答速度との相反する関係に着目し、負荷電流が小さい領域と大きい領域とで差動アンプ回路電流を制御することで、消費電流を小さくしながら、応答速度を速くすることができる電圧安定化回路およびそれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
すなわち、本発明による電圧安定化回路は、基準電圧との電圧差に比例した電圧を出力する差動アンプ回路と、この差動アンプ回路からの出力電圧により制御され、これに対応した負荷電流による電圧を出力し、かつこの負荷電流を差動アンプ回路に帰還する出力回路と、自回路の主電流経路に電流制限用トランジスタを有し、出力回路の負荷電流に基づいて前記主電流経路の電流が制御される電流比例/制限回路とを備え、電流比例/制限回路は、負荷電流が所定値より小さい領域では、この負荷電流に比例した電流を、差動アンプ回路の主電流経路に流し、負荷電流が所定値より大きい領域では、電流制限用トランジスタにより制限された電流比例/制限回路の主電流経路の電流に比例した電流を、差動アンプ回路の主電流経路に流すものである。
【0013】
よって、差動アンプ回路電流と負荷電流との比例係数を大きくし、負荷電流を差動アンプ回路に伝達するカレントミラー構成に電流制限回路を入れることにより、負荷電流が小さい領域で、それに比例し、大きい領域で一定になる電流を差動アンプ回路に流すことができるので、スタンバイ時の消費電流を小さくすることができ、かつ過渡変動量を小さくすることができる。この結果、半導体装置のスタンバイ電流を小さくし、高速化を図ることができる。
【0014】
この構成において、さらなる安定化を実現するために、差動アンプ回路のカレントミラー回路に並列に接続され、負荷電流に比例した電流の値の半分の大きさの値の電流をカレントミラー回路の各トランジスタに流す同相利得キャンセル回路を有するものである。より出力電圧変動を小さくするために、差動アンプ回路からの出力電圧が基準電圧より低下したことを検出し、出力回路から差動アンプ回路への帰還よりも速く応答して電圧を出力する過渡変動量検出回路と、この過渡変動量検出回路からの出力電圧に基づいて差動アンプ回路の電流を制御する電流制御回路とを有するものである。これらの回路は、MOSトランジスタから構成するようにしたものである。
【0015】
また、本発明による半導体装置は、前記電圧安定化回路を含む内部電圧発生回路と、この内部電圧発生回路からの出力電圧により動作する所定の内部回路とがチップ上に搭載されて構成されるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一の部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の電圧安定化回路の実施の形態1であるレギュレータ回路を示す回路図、図2は本実施の形態1のレギュレータ回路において、負荷電流に対する差動アンプ回路電流の依存性を示す特性図である。
【0018】
まず、図1により、本実施の形態1のレギュレータ回路の構成の一例を説明する。
【0019】
本実施の形態1のレギュレータ回路は、たとえば負荷電流の帰還量を制限した負荷電流帰還型レギュレータ回路であって、基準電圧との電圧差に比例した電圧を出力する差動アンプ回路1と、この差動アンプ回路1からの出力電圧により制御され、これに対応した負荷電流による電圧を出力し、かつこの負荷電流を差動アンプ回路1に帰還する出力回路2と、この出力回路2の負荷電流に基づいて制御し、負荷電流が小さい領域では、この負荷電流に比例した電流を差動アンプ回路1に流し、負荷電流が大きい領域では、一定値に制限した電流を差動アンプ回路1に流す電流比例/制限回路3などから構成されている。
【0020】
差動アンプ回路1は、たとえばpMOS型のトランジスタM1,M2、nMOS型のトランジスタM3,M4,M5,M6などからなり、基準電圧VCLRと出力電圧VCLとを比較し、この電圧差に比例した電圧をトランジスタM1とトランジスタM3との共通接続されたドレインから出力回路2、電流比例/制限回路3に出力するように構成されている。トランジスタM1,M2はカレントミラー構成となっており、各ソースが電源電圧VDDに、各ドレインがトランジスタM3,M4の各ドレインにそれぞれ接続され、またゲート同士が接続されてトランジスタM2のドレインに接続され、さらにトランジスタM1のドレインが出力回路2のトランジスタM7、電流比例/制限回路3のトランジスタM8の各ゲートにそれぞれ接続されている。トランジスタM3,M4は、各ドレインがトランジスタM1,M2の各ドレインに、各ソースが共通にトランジスタM5,M6の各ドレインにそれぞれ接続され、またトランジスタM3のゲートが基準電圧VCLRに、トランジスタM4のゲートが出力回路2のトランジスタM7のドレインにそれぞれ接続されている。トランジスタM5,M6は、各ドレインが共通にトランジスタM3,M4の各ソースに、各ソースが接地電圧にそれぞれ接続され、またトランジスタM5のゲートが電源電圧VDDに、トランジスタM6のゲートが電流比例/制限回路3のトランジスタM9のゲートにそれぞれ接続されている。
【0021】
出力回路2は、たとえばpMOS型のトランジスタM7などからなり、差動アンプ回路1からの出力電圧によりゲート制御され、これに対応した負荷電流ILによる出力電圧VCLを出力し、かつこの負荷電流ILを差動アンプ回路1に帰還するように構成されている。トランジスタM7は、ソースが電源電圧VDDに、ドレインが差動アンプ回路1のトランジスタM4のゲートにそれぞれ接続され、またゲートが差動アンプ回路1のトランジスタM1のドレインに接続されている。
【0022】
電流比例/制限回路3は、たとえばpMOS型のトランジスタM8,M10、nMOS型のトランジスタM9などからなり、出力回路2の負荷電流ILに基づいて制御し、負荷電流ILが小さい領域では、この負荷電流ILに比例した差動アンプ回路電流Isを差動アンプ回路1に流し、負荷電流ILが大きい領域では、電流制限用のトランジスタM10(電流リミッタ)により一定値に制限した差動アンプ回路電流Isを差動アンプ回路1に流すように構成されている。トランジスタM8は、ソースが電源電圧VDDに、ドレインがトランジスタM10のソースにそれぞれ接続され、またゲートが差動アンプ回路1のトランジスタM1のドレインに接続されている。トランジスタM10は、ソースがトランジスタM8のドレインに、ドレインがトランジスタM9のドレインにそれぞれ接続され、またゲートが接地電圧に接続されている。トランジスタM9は、差動アンプ回路1のトランジスタM6とカレントミラー構成となっており、ドレインおよびゲートが共通にトランジスタM6のゲートに、ソースが接地電圧にそれぞれ接続されている。
【0023】
次に、本実施の形態1の作用について、レギュレータ回路の動作を説明する。合わせて、負荷電流ILに対する差動アンプ回路電流Isの依存性を図2に示す。
【0024】
まず、負荷電流ILが増加すると出力電圧VCLが基準電圧VCLRより低下するので、トランジスタM7のゲート電圧が低下する。一方、トランジスタM8はトランジスタM7とゲート、ソースが共通なので、トランジスタM8には負荷電流ILに比例した電流が流れる。この電流は電流制限用のトランジスタM10を介してトランジスタM9を流れ、それとカレントミラー回路を構成するトランジスタM6には負荷電流ILに比例した差動アンプ回路電流Isが流れる。
【0025】
たとえば、前記図5の比較例では、差動アンプ回路電流Isと負荷電流ILとの関係において、比例係数が大きいと差動アンプ回路1で消費する差動アンプ回路電流Isが大きくなり、逆に小さいと負荷電流ILの平均電流以下の領域での帰還の応答する速度が遅くなるという、消費電流と応答速度との間で相反する問題が発生する。
【0026】
これに対して、本実施の形態1においては、差動アンプ回路電流Isと負荷電流ILとの関係を、その比例係数を大きくして、さらに負荷電流ILの帰還ループに電流制限用のトランジスタM10を加えることで、負荷電流ILと差動アンプ回路電流Isとの関係を図2の実線で示す特性にする。これにより、負荷電流ILが、平均値(av)以下の最小値(min)付近では負荷電流ILに比例して十分に大きな差動アンプ回路電流Isを差動アンプ回路1に流すことができ、かつ平均値(av)付近ではその差動アンプ回路電流Isを一定値に制限できるので、高速応答性を維持しながら、差動アンプ回路1の消費電流を低減することができる。
【0027】
ここで、トランジスタM5は負荷電流ILが小さいときでも、負荷電流ILの帰還ループに、ある程度の応答速度を確保するためのトランジスタである。ここに流れる電流Ibは、レギュレータ回路の用途によっても変わるが、差動アンプ回路電流Isの最大値の1/5〜1/2が適当である。
【0028】
従って、本実施の形態1のレギュレータ回路によれば、pMOS型のトランジスタM8,M10、nMOS型のトランジスタM9などからなる電流比例/制限回路3を有し、差動アンプ回路電流Isと負荷電流ILとの比例係数を大きくできるので、負荷電流ILの帰還速度が速くでき、この結果、過渡変動量が減る。よって、スタンバイ時の消費電流を小さくすることができ、かつ過渡変動量を小さくすることができる。この結果、半導体装置のスタンバイ電流を小さくし、高速化を図ることができる。
【0029】
(実施の形態2)
図3は本発明の電圧安定化回路の実施の形態2であるレギュレータ回路を示す回路図である。
【0030】
本実施の形態2のレギュレータ回路は、前記実施の形態1と同様に、たとえば負荷電流の帰還量を制限した負荷電流帰還型レギュレータ回路であって、前記実施の形態1との相違点は、差動アンプ回路1のカレントミラー回路に並列に接続され、負荷電流ILに比例した差動アンプ回路電流Isの値の半分の大きさの値の電流をカレントミラー回路の各トランジスタに流す同相利得キャンセル回路を追加して有する点である。
【0031】
すなわち、本実施の形態2のレギュレータ回路は、図3に示すように、pMOS型のトランジスタM1,M2、nMOS型のトランジスタM3,M4,M5,M6からなる差動アンプ回路1と、pMOS型のトランジスタM7からなる出力回路2と、pMOS型のトランジスタM8,M10、nMOS型のトランジスタM9からなる電流比例/制限回路3と、トランジスタM1,M2と並列に接続し、それぞれに差動アンプ回路電流Isの半分の電流を流すようにしたpMOS型のトランジスタM11,M12からなる同相利得キャンセル回路4と、バイアスを整合するためのpMOS型のトランジスタM13、nMOS型のトランジスタM14,M15からなるバイアス整合回路5などから構成されている。
【0032】
たとえば、前記実施の形態1のレギュレータ回路(図1)において、差動アンプ回路電流Isと負荷電流ILとの比を大きくし過ぎると、正帰還量が大きくなり回路は不安定になる。すなわち、この回路では、負荷電流ILが増加し、差動アンプ回路電流Isが増加すると、トランジスタM7のゲート、すなわちノードAの電位が下がり、トランジスタM8の電流が増加し、さらに差動アンプ回路電流Isが増加し、ノードAの電位が下がる、といった正帰還がかかっている。よって、差動アンプ回路電流Isと負荷電流ILとの比が大きくなると、この正帰還量が増えて回路は不安定になる。
【0033】
そこで、本実施の形態2のように、トランジスタM1,M2と並列にトランジスタM11,M12を接続し、それぞれに差動アンプ回路電流Isの半分の電流を流すようにすると、差動アンプ回路電流Isが増加したとき、トランジスタM3,M4の電流もその分増加するが、それと同じ量の電流がトランジスタM11,M12から流し込まれるので、ノードAの電位は変化せずに正帰還はかからなくなる。
【0034】
ここで、トランジスタM14はトランジスタM15のドレイン−ソース間の電位差を小さくし、トランジスタM15のドレインコンダクタンスによる電流の増加を抑える働きをしている。これにより、正確なIs/2の電流をトランジスタM11,M12に供給することができる。もし、これがなければ、トランジスタM11,M12にはIs/2より大きな電流が流れ、負帰還がかかり、ノードAの電位の降下が抑えられ、出力電圧VCLの過渡変動量は増加する。
【0035】
従って、本実施の形態2のレギュレータ回路によれば、pMOS型のトランジスタM11,M12からなる同相利得キャンセル回路4と、pMOS型のトランジスタM13、nMOS型のトランジスタM14,M15からなるバイアス整合回路5とを有し、トランジスタM1,M2は同相利得が低減して位相余裕が増加するので、前記実施の形態1の特徴である低消費電力化と高速化に加えて、さらなる安定化を実現することができる。これは言い換えると、通常レギュレータの出力端に付ける安定化容量をより小さくすることができることを意味している。
【0036】
(実施の形態3)
図4は本発明の電圧安定化回路の実施の形態3であるレギュレータ回路を示す回路図である。
【0037】
本実施の形態3のレギュレータ回路は、前記実施の形態1と同様に、たとえば負荷電流の帰還量を制限した負荷電流帰還型レギュレータ回路であって、前記実施の形態1との相違点は、差動アンプ回路1からの出力電圧が基準電圧VCLRより低下したことを検出し、出力回路2から差動アンプ回路1への帰還よりも速く応答して電圧を出力する過渡変動量検出回路と、この過渡変動量検出回路からの出力電圧に基づいて差動アンプ回路1の電流を制御する電流制御回路とを追加して有する点である。
【0038】
すなわち、本実施の形態3のレギュレータ回路は、図4に示すように、pMOS型のトランジスタM1,M2、nMOS型のトランジスタM3,M4,M5,M6からなる差動アンプ回路1と、pMOS型のトランジスタM7からなる出力回路2と、pMOS型のトランジスタM8,M10、nMOS型のトランジスタM9からなる電流比例/制限回路3と、pMOS型のトランジスタM11,M12からなる同相利得キャンセル回路4と、pMOS型のトランジスタM13、nMOS型のトランジスタM14,M15からなるバイアス整合回路5と、サイズが小さく高速なpMOS型のトランジスタM16〜M19、nMOS型のトランジスタM20〜M24からなる過渡変動量検出回路6と、この過渡変動量検出回路6の出力電圧により差動アンプ回路1の電流を制御するようにしたnMOS型のトランジスタM25〜M28からなる電流制御回路7などから構成されている。
【0039】
この過渡変動量検出回路6は、出力電圧VCLが基準電圧VCLRより低下したとき、レギュレータ回路本体の帰還ループよりも速く応答し、その出力端子となるトランジスタM16とトランジスタM22との共通接続されたドレインにハイレベルを出力する。トランジスタM25はその出力を受け、差動アンプ回路1の電流Is2を制御する。また、トランジスタM26は、前記実施の形態2で述べた正帰還キャンセル回路に並列に接続され、負荷電流帰還回路のトランジスタM15と同様、その電流を制御する。ここで、トランジスタM27,M28は、トランジスタM10と同様、差動アンプ回路1の電流を制御するための電流リミッタである。
【0040】
なおここで、図4では、トランジスタM10,M27,M28はエンハンスメント型のpMOSおよびnMOSの使用を想定しているが、ゲートとソースを接続したデプレッション型のpMOSまたはnMOSを使用してもよい。この場合には、よりよい電流リミッタ特性が得られる。
【0041】
従って、本実施の形態3のレギュレータ回路によれば、pMOS型のトランジスタM16〜M19、nMOS型のトランジスタM20〜M24からなる過渡変動量検出回路6と、nMOS型のトランジスタM25〜M28からなる電流制御回路7とを有し、出力が低下したときの差動アンプ回路電流Is2を増加させて過渡変動量を低減できるので、前記実施の形態1の特徴である低消費電力化と高速化に加えて、出力電圧VCLの変動に対してより高速に差動アンプ回路1の電流Is2を増加させることができるので、よりその出力電圧変動を小さくすることができる。これは言い換えると、通常レギュレータの出力端に付ける安定化容量を前記実施の形態2よりもさらに小さくすることができることを意味している。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0043】
たとえば、前記実施の形態のレギュレータ回路は、CMOSロジック、SRAM、DRAMなどのアクティブ時とスタンバイ時の電流の比が大きい製品に適用して効果的であり、内部電圧発生回路として降圧電源回路を含んだ製品全般に広く適用可能である。この半導体装置は、レギュレータ回路を含む内部電圧発生回路、この内部電圧発生回路からの出力電圧により動作する所定の内部回路とがチップ上に搭載されて構成される。
【0044】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0045】
(1).負荷電流が小さい領域では、この負荷電流に比例した電流を差動アンプ回路に流し、負荷電流が大きい領域では、一定値に制限した電流を差動アンプ回路に流す電流比例/制限回路を有することで、負荷電流の帰還量を制限し、スタンバイ時の消費電流を小さくすることができ、かつ過渡変動量を小さくすることができるので、半導体装置のスタンバイ電流を小さくし、高速化を図ることが可能となる。
【0046】
(2).負荷電流に比例した電流の値の半分の大きさの値の電流を差動アンプ回路のカレントミラー回路の各トランジスタに流す同相利得キャンセル回路を有することで、各トランジスタは同相利得が低減して位相余裕が増加するので、さらなる安定化を実現することが可能となる。
【0047】
(3).差動アンプ回路からの出力電圧が基準電圧より低下したことを検出し、出力回路から差動アンプ回路への帰還よりも速く応答して電圧を出力する過渡変動量検出回路と、この過渡変動量検出回路からの出力電圧に基づいて差動アンプ回路の電流を制御する電流制御回路とを有することで、出力電圧の変動に対してより高速に差動アンプ回路の電流を増加させることができるので、より一層、出力電圧変動を小さくすることが可能となる。
【0048】
(4).前記(1) 〜(3) により、CMOSロジック、SRAM、DRAMなどの降圧電源回路を含んだ半導体装置において、消費電流を小さくしながら、応答速度を速くすることができるので、低消費電力化と高速化、さらなる安定化、より一層の出力電圧変動の低減を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧安定化回路の実施の形態1であるレギュレータ回路を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1のレギュレータ回路において、負荷電流に対する差動アンプ回路電流の依存性を示す特性図である。
【図3】本発明の電圧安定化回路の実施の形態2であるレギュレータ回路を示す回路図である。
【図4】本発明の電圧安定化回路の実施の形態3であるレギュレータ回路を示す回路図である。
【図5】本発明の前提となるレギュレータ回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 差動アンプ回路
2 出力回路
3 電流比例/制限回路
4 同相利得キャンセル回路
5 バイアス整合回路
6 過渡変動量検出回路
7 電流制御回路
11 電流比例回路
M1〜M28 トランジスタ
Claims (6)
- 基準電圧との電圧差に比例した電圧を出力する差動アンプ回路と、
前記差動アンプ回路からの出力電圧により制御され、これに対応した負荷電流による電圧を出力し、かつこの負荷電流を前記差動アンプ回路に帰還する出力回路と、
自回路の主電流経路に電流制限用トランジスタを有し、前記出力回路の負荷電流に基づいて前記主電流経路の電流が制御される電流比例/制限回路とを備え、
前記電流比例/制限回路は、
前記負荷電流が所定値より小さい領域では、前記負荷電流に比例した電流を、前記差動アンプ回路の主電流経路に流し、前記負荷電流が前記所定値より大きい領域では、前記電流制限用トランジスタにより制限された前記電流比例/制限回路の主電流経路の電流に比例した電流を、前記差動アンプ回路の主電流経路に流すことを特徴とする電圧安定化回路。 - 請求項1記載の電圧安定化回路であって、前記所定値は、前記負荷電流の最小値と前記負荷電流の平均値との間の値に設定されることを特徴とする電圧安定化回路。
- 請求項1または請求項2記載の電圧安定化回路であって、前記差動アンプ回路のカレントミラー回路に並列に接続され、前記負荷電流に比例した電流の値の半分の大きさの値の電流を前記カレントミラー回路の各トランジスタに流す同相利得キャンセル回路を有することを特徴とする電圧安定化回路。
- 請求項1または請求項2記載の電圧安定化回路であって、前記差動アンプ回路からの出力電圧が前記基準電圧より低下したことを検出し、前記出力回路から前記差動アンプ回路への帰還よりも速く応答して電圧を出力する過渡変動量検出回路と、前記過渡変動量検出回路からの出力電圧に基づいて前記差動アンプ回路の電流を制御する電流制御回路とを有することを特徴とする電圧安定化回路。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電圧安定化回路であって、前記差動アンプ回路、前記出力回路、前記電流比例/制限回路、前記同相利得キャンセル回路、前記過渡変動量検出回路、前記電流制御回路は、MOSトランジスタから構成されることを特徴とする電圧安定化回路。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電圧安定化回路を用いた半導体装置であって、前記電圧安定化回路を含む内部電圧発生回路と、前記内部電圧発生回路からの出力電圧により動作する所定の内部回路とがチップ上に搭載されていることを特徴とする半導体装置。
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