JP3789763B2 - 定電圧回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路に使用される定電圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、半導体装置などの電子回路に使用される従来の定電圧回路200の回路図である。定電圧回路200は、大きく分けて、差動回路S、当該差動回路Sに一定の駆動電流を流す定電流回路C、及び、差動回路Sの出力を増幅する2段増幅回路Aで構成される。差動回路Sは、Pチャンネルトランジスタ2,3により成るカレントミラーを備える,一対のNチャンネルトランジスタ4,5で構成される。定電流回路Cは、上記差動回路Sが作動するように定電流を流す負荷トランジスタ6で構成される。2段増幅回路Aは、トランジスタ9,10,11、及び、抵抗12,13で構成され、差動回路Sの出力を増幅してVoutとして出力する。トランジスタ10は、トランジスタ9に一定の駆動電流を流す。2個の抵抗12,13は、トランジスタ11に一定の駆動電流を流すと共に、抵抗分割回路を構成し、当該トランジスタ11の出力Voutを抵抗12、抵抗13の比で分割した帰還電圧Vfを差動回路Sに出力する。
【0003】
上記差動回路Sを構成するトランジスタ4のゲートにはVrefブロック1より基準電圧Vrefが供給される。トランジスタ5のゲートには、2段増幅器Aの出力Voutを抵抗12,13により抵抗分割した帰還電圧Vfが印加される。トランジスタ5のゲートに印加されるVfが増加した場合には、Pチャンネルトランジスタ9のゲートに印加される電圧が増加し、2段増幅器Aの出力Voutを減少させる。他方、帰還電圧Vfが減少した場合には、Pチャンネルトランジスタ9のゲートに印加される電圧が減少し、2段増幅器Aの出力Voutを増加させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、定電圧回路では電源電圧Vinに対するリップル除去能力が高いことが好ましい。当該リップル除去能力の向上は、差動回路Sの駆動電流量を増加して回路内の応答性を高めることで達成される。
【0005】
しかし、バッテリにより駆動され、特に内部に中央演算処理装置(CPU)を備える携帯情報端末等の機器の普及に伴い、小型、低消費電力型の定電圧回路が要求されている現在において、単純に駆動電流量を増加、即ち、消費電力量を増加させる当該手法は実用的でない。
【0006】
上記手法以外には、差動回路を構成するトランジスタ5のゲートの前段に、帰還電圧Vfの高周波成分を除去するため、RCフィルタを設ける方法が知られている。
【0007】
当該手法では、消費電力の増加を抑えることができるが、トランジスタに比してサイズの大きなRCフィルタをチップに追加する必要があり、装置の小型化の要請に反する結果を生じる。
【0008】
そこで、本発明は、トランジスタに比べて占有面積の大きなRCフィルタ等の追加を伴わず、チップ面積の増加を抑え、低消費電力で、かつ、高速動作可能な、即ち、リップル除去能力の高い定電圧回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の定電圧回路は、差動回路と、制御信号に応じて上記差動回路の駆動電流量を増減する定電流回路とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の定電圧回路は、上記第1の定電圧回路において、上記定電流回路は、上記差動回路の駆動電流を流す端子に互いに並列に接続され、常時動作する第1定電流回路と、制御信号に応じて動作する第2定電流回路とで構成される。
【0011】
本発明の第3の定電圧回路は、上記第2の定電圧回路において、上記第2定電流回路は、制御信号がゲートに印加されるスイッチングトランジスタを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の定電圧回路は、上記第1の定電圧回路において、上記定電流回路は、制御信号に応じて、差動回路に第1の駆動電流を流す第1定電流回路、又は、差動回路に第1の駆動電流よりも大きな第2の駆動電流を流す第2定電流回路を動作させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
(1)発明の概要
本発明の定電圧回路は、差動回路を機能させる駆動電流の流量を、要求されるリップル除去能力に応じて増減可能な定電流回路を備えることを特徴とする。具体的には、当該定電圧回路より出力される定電圧を電源とする機能ICが休止状態にある場合、当該機能ICより出力される制御信号に応じて、差動回路を駆動する定電流量を絞り込み、低消費電力モードで駆動させる。上記機能ICが作動状態にある場合、即ち安定した電圧の供給が必要な場合、当該機能ICより出力される制御信号に応じて、差動回路を駆動する定電流量を増加し、リップル除去能力を高めた動作モードで駆動する。このように、本発明の定電圧回路では、不要な場合にはリップル除去能力を下げて節電を図る一方で、必要な場合には従来の定電圧回路よりも駆動電流量を多くしてリップル除去能力を向上させる。
【0014】
(2)実施の形態
図1は、実施の形態に係る定電圧回路50を内蔵する携帯情報端末装置100の構成図である。定電圧回路50は、バッテリ40により供給される電源電圧Vinに対して、定電圧Voutを機能IC80に出力する。
【0015】
機能IC80は、中央演算処理装置(CPU)81により統括的に制御される電子回路であって、安定した電圧の供給が必要な状態、例えば、各機能を完全に作動させた動作モードと、多少ノイズの乗った電圧が供給されても動作内容に影響を与えない状態、例えば、必要最小限の機能部のみを作動させた低消費電力モードの2つの状態に切換える機能を備える。機能IC80は、上記動作モード時には、Highレベルの制御信号を出力すると共に、低消費電力モード時には、Lowレベルの制御信号を出力する。
【0016】
図2は、定電圧回路50の回路図である。理解の容易のため、上記「従来技術」の欄で説明した図3に示す従来の定電圧回路と同じ構成物には同じ参照番号を付してある。図示するように、定電圧回路50は、大きく分けて、差動回路S、当該差動回路Sの駆動電流を流す定電流回路C、及び、差動回路Sの出力を増幅する2段増幅回路Aで構成される。
【0017】
差動回路Sは、Pチャンネルトランジスタ2,3で構成されるカレントミラーを備える,一対のNチャンネルトランジスタ4,5で構成される。なお、差動回路Sは、一対のNチャンネルトランジスタのソース電極に所定の定電流を流すことによって動作するものであれば、他の周知の構成のものを採用しても良い。
【0018】
定電流回路Cは、上記差動回路Sを形成する一対のトランジスタ4,5のソースに対して、各々並列に接続され、常時動作している第1定電流回路c1、及び、制御信号に応じて動作する第2定電流回路c2で構成される。
【0019】
第1定電流回路c1は、他端の接地されたNチャンネルトランジスタ6で成る。トランジスタ6のゲートには常時基準電圧Vrefが供給されて常にオンされており、所定のゲート・ドレイン容量を有する負荷トランジスタとして機能する。当該構成の第1定電流回路により、電源入力端子20に印加される電源Vinの有する高周波帯域でのリップルを除去することができる。第1定電流回路を構成するNチャンネルトランジスタ6のドライブ能力は、節電のため、従来の定電圧回路に備えられるものよりも小さくする。
【0020】
第2定電流回路c2は、上記トランジスタ4,5のソース側より順に、ゲートに常時基準電圧Vrefが供給されているNチャンネルトランジスタ7、及び、ゲートが制御信号入力端子に接続され,ソース接地されているNチャンネルトランジスタ8が直列に接続されてなる。トランジスタ7,8のドライブ能力は、第1定電流回路c1と第2定電流回路c2を同時に作動させたときに流れる電流量が、従来の定電圧回路が備える定電流回路の流す電流量よりも多く、好ましくは10倍以上多くなるように設定する。
【0021】
なお、第1定電流回路c1と第2定電流回路c2の電流量、及び、そのバランスは、実際に使用する機能IC80からの要求に従い設定すれば良い。
【0022】
上記構成の第2定電流回路c2は、図1に示した機能IC80より送られてくる制御信号がHighレベルの場合に動作する。第2定電流回路c2が動作することにより、差動回路Sの駆動電流が増加して回路内の応答性能が向上し、リップル除去能力が高くなる。
【0023】
上記第2定電流回路c2を構成するトランジスタ7,8は、第1定電流回路が備えるトランジスタ6と同様に所定のゲート・ドレイン容量を有する負荷トランジスタとして機能する。当該構成の第2定電流回路がHighレベルの制御信号の入力に応じてオンした場合、電源入力端子20に印加される電源Vinの有する高周波帯域でのリップルを更に除去することができる。
【0024】
2段増幅回路Aは、トランジスタ9,10,11、及び、抵抗12,13で構成され、差動回路Sの出力を増幅してVoutとして出力する。トランジスタ10は、トランジスタ9に一定の駆動電流を流す。2個の抵抗12,13は、トランジスタ11に一定の駆動電流を流すと共に、抵抗分割回路を構成し、当該トランジスタ11の出力Voutを抵抗12,13の比で分割した帰還電圧Vfを差動回路Sに出力する。
【0025】
上記構成の定電圧回路50において、差動回路Sを構成するトランジスタ4のゲートには、Vrefブロック1より基準電圧Vrefが供給される。トランジスタ5のゲートには、2段増幅器Aの出力Voutを抵抗12,13により抵抗分割した帰還電圧Vfが印加される。トランジスタ5のゲートに印加されるVfが増加した場合には、Pチャンネルトランジスタ9のゲートに印加される電圧が増加し、2段増幅器Aの出力Voutを減少させる。他方、Vrefに比べてVfが減少した場合には、Pチャンネルトランジスタ9のゲートに印加される電圧が減少し、2段増幅器Aの出力Voutを増加させる。
【0026】
なお、定電圧回路50では、外部より入力される制御信号に応じて第2定電流回路c2を追加的に動作させる構成を採用するが、第2定電流回路c2の代わりに、差動回路Sを構成するトランジスタ4,5のソースに対して、上記第1定電流よりも大きな第2定電流を流す第2定電流回路c2’を採用し、制御信号に応じて第1定電流回路c1、又は、第2定電流回路c2’を動作させる構成を採用しても良い。
【0027】
上述したように、機能IC80は、低消費電力モード時には、定電圧回路50に対してLowレベルの制御信号を出力して、第1定電流回路のみを作動させてリップル除去能力を低めに設定し、消費電力量を抑えた低消費電力モードで駆動させる。一方、機能IC80は、安定した電圧の供給が必要な動作モード時には、定電圧回路50に対してHighレベルの制御信号を出力して第1定電流回路及び第2定電流回路の両方を作動させて電流量を増加させ、リップル除去能力を大幅に向上させた動作モードで駆動する。このように、定電圧回路50では、安定した電圧の供給が必要とされる時にはリップル除去能力を向上させる一方で、特に安定した電圧の供給が要求されない場合には、省電力モードで動作させることができる。
【0028】
なお、上記定電圧回路50では、動作モードの切り換えを機能IC80内のCPU81の判断で出力する制御信号に応じて行う構成を採用したが、スイッチ等を用いてマニュアルでモード切り換えを行う構成を採用しても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明の第1の定電圧回路は、要求されるリップル除去能力に応じて差動回路の駆動電流量を増減可能な構成を採用することで、不要な場合にはリップル除去能力を下げて節電を図る一方で、安定した電圧の供給が必要な場合には駆動電流量を増加して、より高いリップル除去能力を発揮させることができる。
【0030】
本発明の第2の定電圧回路は、安定した電圧の供給が必要とされる場合には、通常動作している第1定電流回路に加えて第2定電流回路を動作させる。これにより、安定した電圧の供給が不要な場合にはリップル除去能力を下げて節電を図る一方で、安定した電圧の供給が必要な場合には駆動電流量を増加して、より高いリップル除去能力を発揮させることができる。
【0031】
本発明の第3の定電圧回路は、第2定電流回路のスイッチングトランジスタをスイッチングすることで、安定した電圧の供給が不要な場合にはリップル除去能力を下げて節電を図る一方で、安定した電圧の供給が必要な場合には駆動電流量を増加して、より高いリップル除去能力を発揮させることができる。
【0032】
本発明の第4の定電圧回路は、安定した電圧の供給が必要とされる場合には、通常動作している第1定電流回路に換えて、第1定電流回路よりも電流量の多い第2定電流回路を動作させる。これにより、安定した電圧の供給が不要な場合にはリップル除去能力を下げて節電を図る一方で、安定した電圧の供給が必要な場合には駆動電流量を増加して、より高いリップル除去能力を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 定電圧回路を内蔵する装置の構成を示す図である。
【図2】 定電圧回路の回路図である。
【図3】 従来の定電圧回路の回路図である
【符号の説明】
1 基準電圧Vref供給源、2,3,9,11 Pチャンネルトランジスタ、4,5,6,7,10 Nチャンネルトランジスタ、12,13 抵抗、20,21,22,23 電源電圧Vccの入力端子、 50 定電圧回路、80 機能IC、100 携帯型情報端末、S 差動回路、C 定電流回路、c1 第1定電流回路、c2 第2定電流回路、A 2段増幅回路。

Claims (1)

  1. 低消費電力モードと動作モードとを有する機能ICに電力供給する定電圧回路であって、
    差動回路と、
    前記差動回路の出力を受けて定電圧を出力する増幅回路と、
    前記差動回路の駆動電流を供給する定電流回路と、を有しており、
    前記定電流回路は、互いに並列に接続された第1、第2の定電流回路とからなり、第2定電流回路には、モード制御信号に応じて第2定電流回路をオン、オフするスイッチング手段を設けたことを特徴とする定電圧回路。
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