JP4322336B2 - 紙葉類の状態識別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、紙葉類の画像に対する画素単位の濃度データを読取ることにより、紙葉類の印刷状態を識別したり、紙葉類の汚れ具合を識別したり、紙葉類の表裏を識別する紙葉類の状態識別装置と紙葉類の汚れ具合識別装置と紙葉類の印刷状態識別装置と紙葉類の表裏識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、所定の画像が印刷されている有価証券(紙幣)等の紙葉類に対して、紙葉類の汚れ等を識別して汚れのひどい紙葉類を排除することにより、再流通させる際の紙葉類の品質を保持するようになっている。
【0003】
この際、落書きや紙葉類全体の平均的な汚れ等を判定するものはあったが、印刷されているインクの剥れや印刷されている部分が薄くなるなどの印刷状態の劣化については考慮されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、所定の画像が印刷されている紙葉類の状態を識別するものにおいて、印刷状態の劣化については考慮されていないという欠点を除去するもので、印刷状態の劣化についても考慮される紙葉類の状態識別装置と紙葉類の汚れ具合識別装置と紙葉類の印刷状態識別装置を提供することを目的としている。
【0005】
また、紙葉類の表裏を識別できる紙葉類の表裏識別装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の紙葉類の状態識別装置は、紙葉類の印刷状態の劣化具合や汚れ具合などの状態を識別するものにおいて、上記紙葉類の画素単位の濃度データを読取る読取手段と、この読取手段により読取った濃度データに対して、上記紙葉類の印刷領域の濃度データと印刷領域外の濃度データとを抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出された印刷領域の濃度データの濃度分布パターンにおけるピークを検出し、この検出したピーク間の距離により、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する第1の判定手段と、上記抽出手段により抽出された印刷領域外の濃度データにおける所定濃度値以上の画素数に基づいて、印刷領域外の落書きによる汚れ具合を判定する第2の判定手段と、上記抽出手段により抽出された印刷領域外の濃度データにおける各画素の濃度値の平均値に基づいて、印刷領域外の全体の汚れ具合を判定する第3の判定手段と、上記第1から第3の判定手段による判定結果に基づいて、上記紙葉類に対する印刷状態の劣化具合や汚れ具合などの状態を識別する識別手段とからなる。
【0009】
この発明の紙葉類の状態識別装置は、紙葉類の印刷状態の劣化具合を識別するものにおいて、上記紙葉類の画素単位の濃度データを読取る読取手段と、この読取手段により読取った濃度データに対して、上記紙葉類の印刷領域の濃度データを抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出した印刷領域を複数の領域に分割する分割手段と、上記複数の領域数分設けられ、それぞれが上記分割手段により分割された印刷領域の濃度データの濃度分布パターンにおけるピークを検出し、この検出したピーク間の距離により、分割された印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する判定手段と、上記複数の判定手段による判定結果に基づいて、上記紙葉類に対する印刷状態の劣化具合を識別する識別手段とからなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の第1の実施形態の紙葉類の状態識別装置を説明する。この紙葉類の状態識別装置は、紙葉類(所定の画像あらかじめ所定領域に印刷されている有価証券)としての対象物Pに印刷されている画像の状態や印刷部分以外の落書きや汚れにより、上記紙葉類の印刷状態の度合いや汚れの度合いを判定して印刷状態の劣化についても考慮した紙葉類の状態を識別するものである。
【0015】
図1は、この発明の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示している。
【0016】
上記紙葉類の状態識別装置は、CCD等により構成され対象物Pを撮像することにより画素単位の濃度データ(たとえば8ビットで256段階の濃度値を取る)を読取る画像入力部1と、画像入力部1により読取った画素単位の画像データを1画面分記憶する画像メモリ2と、画像メモリ2に記憶されている1画面分の画像データからあらかじめ決定されている印刷領域の画像データを抽出する印刷領域抽出部3と、画像メモリ2に記憶されている1画面分の画像データからあらかじめ決定されている印刷領域外の画像データを抽出する無印刷領域抽出部4と、印刷領域抽出部3からの印刷領域の画像データにより印刷インキ量を計測する印刷インキ量計測部5と、印刷インキ量計測部5により計測した印刷インキ量により印刷状態の劣化具合を判定する印刷状態劣化具合判定部6と、無印刷領域抽出部4からの印刷領域外の画像データにより落書きの度合を計測する落書き計測部8と、落書き計測部8による計測結果により汚れ具合を判定する汚れ具合判定部9と、無印刷領域抽出部4からの印刷領域外の画像データにより印刷領域外の平均的な汚れの度合い(印刷領域外の全体的なくすみ、濃度変化)を計測する全体汚れ計測部10と、全体汚れ計測部10による計測結果により汚れ具合を判定する汚れ具合判定部11と、印刷状態劣化具合判定部6により判定されている印刷状態の劣化具合と汚れ具合判定部9、11により判定されている汚れ具合とにより印刷状態の劣化具合や汚れ具合などの状態を総合的に判定する総合判定部7とから構成されている。
【0017】
総合判定部7は、各判定部からの判定結果の平均値を出力したり、各判定部からの判定結果に異なった重み付けをした結果を出力したり、各判定部からの極端な(非常に印刷が薄かったり、非常に汚れたりしている)判定結果を出力するようになっている。
【0018】
図2は、上記対象物Pの印刷されている画像(可視画像)例であり、図2(a)に表側の例を示し、三角形と丸と六角形と数字列の画像があらかじめ決まった領域に印刷されており、図2(b)に裏側の例を示し、台形が逆転した画像があらかじめ決まった領域に印刷されている。
【0019】
上記した構成において動作を説明する。
【0020】
すなわち、対象物Pの画像を撮像することにより画素単位の濃度データが画像入力部1により読取られて画像メモリ2に順次記憶される。そして、対象物Pの1画面分の濃度データが画像メモリ2に記憶されると、印刷領域抽出部3が画像メモリ2に記憶されている1画面分の濃度データからあらかじめ決定されている印刷領域の画像データを抽出し、印刷インキ量計測部5へ出力する。また、無印刷領域抽出部4が画像メモリ2に記憶されている1画面分の濃度データからあらかじめ決定されている印刷領域外の画像データを抽出し、落書き計測部8と全体汚れ計測部10へ出力する。
【0021】
これにより、印刷インキ量計測部5は印刷領域の画像データにより印刷インキ量を計測し、この計測した印刷インキ量を印刷状態劣化具合判定部6へ出力する。すると、印刷状態劣化具合判定部6は供給される印刷インキ量に基づいて印刷状態の劣化のレベルを判定し、このレベルを総合判定部7へ出力する。
【0022】
また、落書き計測部8による計測結果により汚れ具合判定部9が判定した汚れ具合のレベルと、全体汚れ計測部10による計測結果により汚れ具合判定部11が判定した汚れ具合のレベルとが総合判定部7へ出力される。
【0023】
この結果、総合判定部7は、印刷状態劣化具合判定部6により判定されている印刷状態の劣化具合と汚れ具合判定部9、11により判定されている汚れ具合とにより印刷状態の劣化具合や汚れ具合などの状態を総合的に判定し、この判定結果を出力する。
【0024】
上記印刷インキ量計測部5と印刷状態劣化具合判定部6とにより、印刷領域の濃度データにおける濃度分布状態に基づいて、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する場合の構成例を、図3を用いて説明する。この場合、印刷インキ量計測部5は、ヒストグラム計測部21により構成され、印刷状態劣化具合判定部6は、基準ヒストグラム格納部22とヒストグラム形状比較部23により構成されている。
【0025】
この場合、上記印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域の濃度データの濃度分布パターンと、印刷状態の個々の劣化具合に基づく種々の濃度分布パターンとを比較することにより、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定するものである。
【0026】
ヒストグラム計測部21は、印刷領域抽出部3からの印刷領域の各画素の画像データにおける各濃度値ごとの数を計数することにより、図4の(a)(b)に示すような濃度分布としてのヒストグラムを生成し、ヒストグラム形状比較部23へ出力するものである。図4の(a)は、レベル1の印刷状態が薄い状態の濃度ヒストグラムであり、図4の(b)は、レベルNの印刷状態が濃い状態の濃度ヒストグラムである。
【0027】
基準ヒストグラム格納部22は、あらかじめ記憶されている種々の印刷状態の劣化レベルに対応した濃度分布としての基準ヒストグラムをヒストグラム形状比較部23へ出力するものである。
【0028】
ヒストグラム形状比較部23は、ヒストグラム計測部21からのヒストグラムの形状と基準ヒストグラム格納部22に記憶されている基準ヒストグラムの形状を比較して、一番近い形状の基準ヒストグラムに対応する印刷状態の劣化レベルを印刷状態の劣化具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0029】
上記印刷インキ量計測部5と印刷状態劣化具合判定部6とにより、印刷領域の濃度データにおける濃度分布状態に基づいて、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する場合の他の構成例を、図5を用いて説明する。この場合、印刷インキ量計測部5は、濃度分散算出部24により構成され、印刷状態劣化具合判定部6は、基準濃度分散格納部25と比較部26により構成されている。
【0030】
この場合、上記印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域の濃度データの濃度分布パターンにおける分布範囲の幅により、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定するものである。
【0031】
濃度分散算出部24は、印刷領域抽出部3からの印刷領域の各画素の画像データにおける各濃度値ごとの数を計数することにより、図7の(a)(c)(e)に示す濃度の異なる画像に対して、それぞれ図7の(b)(d)(f)に示すような濃度分布としてのヒストグラムを生成し、この濃度分布の幅を濃度分散値として比較部26へ出力するものである。図7の(b)は、画像が濃く、濃度分布の幅が広い場合の濃度ヒストグラムであり、図7の(d)は、図7の(a)よりも薄く中程度の濃さの濃度で、濃度分布の幅も図7の(b)よりも狭い濃度ヒストグラムであり、図7の(f)は、画像が最も薄い濃度で、濃度分布の幅が最も狭い場合の濃度ヒストグラムである。
【0032】
基準濃度分散格納部25は、あらかじめ記憶されている種々の印刷状態の劣化レベルに対応した濃度分布の基準幅を基準濃度分散値として比較部26へ出力するものである。基準濃度分散格納部25は、図6に示すように、各アドレスごとに、データとしての幅値に対して印刷状態の劣化レベルが格納されている。幅が狭い方が、薄い場合の劣化レベルすなわち、劣化が著しい場合であり、幅が広がっていくにしたがって、劣化レベルが大きくなり、印刷劣化のない状態に近付く。
【0033】
比較部26は、濃度分散算出部24からの濃度分布の幅と基準濃度分散格納部25に記憶されている濃度分布の基準幅とを比較して、一番近い形状の基準幅に対応する印刷状態の劣化レベルを印刷状態の劣化具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0034】
上記印刷インキ量計測部5と印刷状態劣化具合判定部6とにより、印刷領域の濃度データにおける濃度分布状態に基づいて、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する場合の他の構成例を、図8を用いて説明する。この場合、印刷インキ量計測部5は、ヒストグラム計測部27により構成され、印刷状態劣化具合判定部6は、ピーク検出部28とピーク間距離算出部29と基準ピーク間距離格納部30と比較部31により構成されている。
【0035】
この場合、上記印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域の濃度データの濃度分布パターンにおけるピークを検出し、この検出したピーク間の距離により、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定するものである。
【0036】
ヒストグラム計測部27は、印刷領域抽出部3からの印刷領域の各画素の画像データにおける各濃度値ごとの数を計数することにより、図7の(a)(c)(e)に示す濃度の異なる画像に対して、それぞれ図7の(b)(d)(f)に示すような濃度分布としてのヒストグラムを生成し、ピーク検出部28へ出力するものである。
【0037】
ピーク検出部28は、ヒストグラム計測部27からの濃度ヒストグラムにおけるピーク検出するものであり、このピーク検出信号がピーク間距離算出部29へ出力される。
【0038】
ピーク間距離算出部29は、ピーク検出部28からのピーク検出信号により、ピーク間の距離を算出するものであり、このピーク間の距離が比較部31へ出力される。
【0039】
基準ピーク間距離格納部30は、あらかじめ記憶されている種々の印刷状態の劣化レベルに対応した濃度分布としての基準ヒストグラムの基準ピーク間距離を比較部31へ出力するものである。
【0040】
比較部31は、ピーク間距離算出部29からのピーク間の距離と基準ピーク間距離格納部30に記憶されている基準ピーク間距離とを比較して、一番近いの基準ピーク間距離に対応する印刷状態の劣化レベルを印刷状態の劣化具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0041】
上記印刷インキ量計測部5と印刷状態劣化具合判定部6とにより、印刷領域の濃度データにおける濃度の変化量に基づいて、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する場合の構成例を、図9を用いて説明する。この場合、印刷インキ量計測部5は、微分画像作成部32と微分画像のヒストグラム計測部33とにより構成され、印刷状態劣化具合判定部6は、基準微分ヒストグラム格納部34とヒストグラム形状比較部35により構成されている。
【0042】
この場合、上記印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域の濃度データの変化量に基づく分布パターンと、印刷状態の個々の劣化具合に基づく種々の変化量に基づく分布パターンとを比較することにより、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定するものである。
【0043】
微分画像作成部32は、印刷領域抽出部3からの印刷領域の各画素の画像データにおける各濃度値を微分することにより、変化点をとらえた画像データを生成し、ヒストグラム計測部33へ出力するものである。
【0044】
ヒストグラム計測部33は、微分画像作成部32からの変化点をとらえた画像データに基づいて変化量ヒストグラムを生成し、ヒストグラム形状比較部35へ出力するものである。
【0045】
たとえば、図10の(a)(c)(e)に示す線の濃度が異なる画像に対して、それぞれ図10の(b)(d)(f)に示すような変化量ヒストグラムを生成するようになっている。図10の(b)は、濃い線に対して分布が広い変化量ヒストグラムであり、図10の(d)は、普通の濃さの線に対して分布が普通(標準)の変化量ヒストグラムであり、図10の(f)は、薄い線に対して分布が狭い変化量ヒストグラムである。
【0046】
たとえば、図10の(a)に示す濃い線の変化部分の濃度データが、図11(a)に示すように、一番薄い「255」の値と一番濃い「0」の値とが隣り合わせている。この濃度データを隣り合う濃度データで微分することにより、図11(b)に示すように、変化部分の濃度データとして「255」が記憶され他の部分に「0」が記憶された画像データとなり、その変化量のヒストグラムとしては、図10の(b)に示すように、「0」と「255」の部分が多いものとなる。
【0047】
また、図8の(c)に示す普通の濃さの線の変化部分の濃度データが、図11(c)に示すように、一番薄い「255」の値と普通の濃さの「50」の値とが隣り合わせている。この濃度データを隣り合う濃度データで微分することにより、図11(d)に示すように、変化部分の濃度データとして「205」が記憶され他の部分に「0」が記憶された画像データとなり、その変化量のヒストグラムとしては、図8の(d)に示すように、「0」と「205」の部分が多いものとなる。
【0048】
基準微分ヒストグラム格納部34は、あらかじめ記憶されている種々の印刷状態の劣化レベルに対応した基準変化量ヒストグラムをヒストグラム形状比較部35へ出力するものである。
【0049】
ヒストグラム形状比較部35は、ヒストグラム計測部33からの変化量ヒストグラムの形状と基準微分ヒストグラム格納部34に記憶されている基準変化量ヒストグラムの形状を比較して、一番近い形状の基準変化量ヒストグラムに対応する印刷状態の劣化レベルを印刷状態の劣化具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0050】
上記印刷インキ量計測部5と印刷状態劣化具合判定部6とにより、印刷領域の濃度データにおける濃度の変化量に基づいて、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する場合の他の構成例を、図12を用いて説明する。この場合、印刷インキ量計測部5は、微分画像作成部36により構成され、印刷状態劣化具合判定部6は、微分値の全体積分算出部37と基準の微分値の全体積分格納部38と比較部39により構成されている。
【0051】
この場合、上記印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域の濃度データの変化量の総和により、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定するものである。
【0052】
微分画像作成部36は、印刷領域抽出部3からの印刷領域の各画素の画像データにおける各濃度値を微分することにより、変化点をとらえた画像データを生成し、微分値の全体積分算出部37へ出力するものである。
【0053】
微分値の全体積分算出部37は、微分画像作成部32からの変化点をとらえた画像データに基づいて変化量の総和を算出して、比較部39へ出力するものである。
【0054】
基準の微分値の全体積分格納部38は、あらかじめ記憶されている種々の印刷状態の劣化レベルに対応した基準の変化量を比較部31へ出力するものである。
【0055】
比較部39は、微分値の全体積分算出部37からの変化量の総和と基準の微分値の全体積分格納部38に記憶されている基準の変化量とを比較して、一番近いの基準の変化量に対応する印刷状態の劣化レベルを印刷状態の劣化具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0056】
上記印刷インキ量計測部5と印刷状態劣化具合判定部6とにより、印刷領域の濃度データにおける濃度の変化量に基づいて、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する場合の他の構成例を、図13を用いて説明する。この場合、印刷インキ量計測部5は、微分画像作成部40により構成され、印刷状態劣化具合判定部6は、微分値の分散算出部41と基準の微分値の分散格納部42と比較部43により構成されている。
【0057】
この場合、上記印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域の濃度データの変化量に基づく分布パターンにおける分布範囲の幅により、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定するものである。
【0058】
微分画像作成部40は、印刷領域抽出部3からの印刷領域の各画素の画像データにおける各濃度値を微分することにより、変化点をとらえた画像データを生成し、微分値の分散算出部41へ出力するものである。
【0059】
微分値の分散算出部41は、微分画像作成部40からの変化点をとらえた画像データに基づいて変化量ヒストグラムを生成し、この生成した変化量ヒストグラムの幅(微分値の分散幅)を比較部43へ出力するものである。
【0060】
たとえば、図10の(a)(c)(e)に示す線の濃度が異なる画像に対して、それぞれ図10の(b)(d)(f)に示すような変化量ヒストグラムを生成するようになっている。図10の(b)は、濃い線に対して分布が広い変化量ヒストグラムであり、図10の(d)は、普通の濃さの線に対して分布が普通(標準)の変化量ヒストグラムであり、図10の(f)は、薄い線に対して分布が狭い変化量ヒストグラムである。
【0061】
基準の微分値の分散格納部42は、あらかじめ記憶されている種々の印刷状態の劣化レベルに対応した基準変化量ヒストグラムの幅(微分値の分散)を比較部43へ出力するものである。
【0062】
比較部43は、微分値の分散算出部41からの変化量ヒストグラムの幅と基準の微分値の分散格納部42に記憶されている基準変化量ヒストグラムの幅とを比較して、一番近い形状の基準変化量ヒストグラムの幅に対応する印刷状態の劣化レベルを印刷状態の劣化具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0063】
上記落書き計測部8と汚れ具合判定部9とにより、印刷領域外の濃度データにおける所定濃度値以上の画素数に基づいて、印刷領域外の落書きによる汚れ具合を判定する場合の構成例を、図14を用いて説明する。この場合、落書き計測部8は、二値画像作成部44と画素数計数部45により構成され、汚れ具合判定部9は、基準の画素数格納部46と比較部47により構成されている。
【0064】
この場合、上記無印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域外の濃度データにおける所定濃度値以上の画素数と、汚れ具合に基づく種々の基準画素数とを比較することにより、印刷領域外の落書きによる汚れ具合を判定するものである。
【0065】
二値画像作成部44は、無印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域外の濃度データを所定のしきい値で2値化した画像データを作成し、画素数計数部45へ出力するものである。
【0066】
画素数計数部45は、二値画像作成部44からの画素数(所定のしきい値以下の黒画素数)を計数し、計数結果を比較部47へ出力するものである。
【0067】
基準の画素数格納部46は、あらかじめ記憶されている種々の汚れ具合のレベルに対応した基準の画素数を比較部47へ出力するものである。
【0068】
比較部47は、画素数計数部45からの画素数と基準の画素数格納部46に記憶されている基準の画素数とを比較して、一番近いの基準の画素数に対応する汚れ具合のレベルを汚れ具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0069】
上記全体汚れ計測部10と汚れ具合判定部11とにより、印刷領域外の濃度データにおける各画素の濃度値の平均値により、印刷領域外の濃度データにおける平均的な汚れの度合い、つまり印刷領域外の全体的なくすみ、濃度変化による汚れ具合を判定する場合の構成例を、図15を用いて説明する。この場合、全体汚れ計測部10は平均輝度計測部48により構成され、汚れ具合判定部11は基準の平均輝度格納部49と比較部50により構成されている。
【0070】
この場合、上記無印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域外の濃度データにおける平均輝度と、汚れ具合に基づく種々の基準の平均輝度とを比較することにより、印刷領域外のくすみや濃度変化による汚れ具合を判定するものである。
【0071】
平均輝度計測部48は、無印刷領域抽出部3により抽出された印刷領域外の濃度データの平均値を算出することにより、平均輝度を計測し、比較部50へ出力するものである。
【0072】
基準の平均輝度格納部49は、あらかじめ記憶されている種々の汚れ具合のレベルに対応した基準の平均輝度を比較部50へ出力するものである。
【0073】
比較部50は、平均輝度計測部48からの平均輝度と基準の平均輝度格納部49に記憶されている基準の平均輝度とを比較して、一番近いの基準の平均輝度に対応する汚れ具合のレベルを汚れ具合の判定結果として総合判定部7へ出力するものである。
【0074】
次に、この発明の第2の実施形態の紙葉類の汚れ具合識別装置を説明する。この紙葉類の汚れ具合識別装置は、紙葉類つまり対象物Pの印刷部分以外の落書きや汚れにより、上記汚れの度合いを判定して識別するものである。
【0075】
図16は、この発明の紙葉類の汚れ具合識別装置の概略構成を示している。
【0076】
すなわち、画像入力部51と、画像メモリ52と、画像メモリ52に記憶されている1画面分の画素単位の濃度データを所定の濃度レベルで2値化することにより印刷領域のラベル付けを行う印刷領域ラベル付け処理部53と、画像メモリ2に記憶されている1画面分の画像データから上記印刷領域ラベル付け処理部53によりラベル付けされた印刷領域以外の画像データを抽出する領域抽出部54と、落書き計測部55と、全体汚れ計測部58と、汚れ具合判定部56、59と、汚れ具合判定部56、59により判定されている汚れ具合により汚れ具合などの状態を総合的に判定する総合判定部57とから構成されている。
【0077】
上記画像入力部51と、画像メモリ52と、落書き計測部55と、全体汚れ計測部58と、汚れ具合判定部56、59とは、第1の実施形態の画像入力部1と、画像メモリ2と、落書き計測部8と、全体汚れ計測部10と、汚れ具合判定部9、11と同一なため説明を省略する。
【0078】
上記印刷領域ラベル付け処理部53は、たとえば、図17(a)に示すような入力画像に対して所定の濃度レベルで2値化し、濃度の濃い領域を抽出する。抽出された領域に対し、隣接している画素同士を統合し、グループ化する。図17(b)は、濃度の薄い領域、すなわち、2値化で除去された領域は「0」、印刷領域に「1」、小領域に「2」がラベル付けされた例である。
【0079】
ここで言う、小領域とは、たとえば紙葉類に書かれた落書きやセンサの不具合によって生じるノイズなどによるもので、所定の面積未満の領域である。ここでは「2」がラベル付けされたもので所定の面積未満と言うことで小領域として取り扱われることとなる。
【0080】
この結果、領域抽出部54は、上記印刷領域ラベル付け処理部53により、所定の面積以上の領域を印刷領域として除去し、残った領域の画素単位の濃度データを画像メモリ2から抽出して落書き計測部55と、全体汚れ計測部58へ出力するようになっている。
【0081】
この第2の実施形態は、ラベリング処理により、印刷領域を抽出し、抽出されなかった領域に対し、落書きと平均輝度による汚れを計測するものである。
【0082】
次に、この発明の第3の実施形態の紙葉類の印刷状態識別装置を説明する。この紙葉類の印刷状態識別装置は、紙葉類つまり対象物Pに印刷されている濃い画像の状態により、上記紙葉類の印刷状態の度合いを判定して印刷状態の劣化について識別するものである。
【0083】
図18は、この発明の紙葉類の印刷状態識別装置の概略構成を示している。
【0084】
すなわち、画像入力部61と、画像メモリ62と、画像メモリ52に記憶されている1画面分の画素単位の濃度データを所定の濃度レベル(濃い濃度レベル)のしきい値で2値化することにより薄い印刷画像を除去した濃い印刷部分の領域データを抽出する抽出領域学習部(しきい値処理部により構成される)63と、抽出領域学習部63からの濃い印刷部分の領域データを記憶する計測領域格納メモリ64と、画像メモリ62に記憶されている1画面分の画像データから上記計測領域格納メモリ64からの領域データにより濃い印刷画像の印刷領域の画像データを抽出する印刷領域抽出部65と、印刷インキ計測部66と、印刷状態劣化具合判定部67とから構成されている。
【0085】
上記画像入力部61と、画像メモリ62と、印刷インキ計測部66と、印刷状態劣化具合判定部67とは、第1の実施形態の画像入力部1と、画像メモリ2と、印刷インキ計測部5と、印刷状態劣化具合判定部6と同一なため説明を省略する。
【0086】
すなわち、まず、図19(a)に示すような、汚れや印刷劣化のない対象物Pの画像を撮像することにより画素単位の濃度データが画像入力部61により読取られて画像メモリ62に順次記憶される。そして、対象物Pの1画面分の濃度データが画像メモリ62に記憶されると、抽出領域学習部63により画像メモリ62に記憶されている1画面分の画素単位の濃度データを所定の濃度レベル(濃い濃度レベル)のしきい値で2値化することにより、図19(b)に示すように、薄い印刷画像(丸画像部分)を除去した濃い印刷部分の領域データを抽出し、この濃い印刷部分の領域データを計測領域格納メモリ64に記憶する。
【0087】
この後、対象物Pの画像を撮像することにより画素単位の濃度データが画像入力部61により読取られて画像メモリ62に順次記憶される。そして、対象物Pの1画面分の濃度データが画像メモリ62に記憶されると、印刷領域抽出部65は画像メモリ62に記憶されている1画面分の画像データから上記計測領域格納メモリ64からの領域データにより濃い印刷画像の印刷領域の画像データを抽出し、印刷インキ量計測部66へ出力する。
【0088】
これにより、印刷インキ量計測部66は濃い印刷画像の印刷領域の画像データにより印刷インキ量を計測し、この計測した印刷インキ量を印刷状態劣化具合判定部67へ出力する。すると、印刷状態劣化具合判定部67は供給される印刷インキ量に基づいて印刷状態の劣化のレベルを判定して判定結果として出力する。 この第3の実施形態では、インキのはがれ状態(劣化の状態)を計測する領域を、印刷の濃い領域としているものである。
【0089】
次に、この発明の第4の実施形態の紙葉類の印刷状態識別装置を説明する。この紙葉類の印刷状態識別装置は、紙葉類つまり対象物Pに印刷されている複数の部分領域ごとの画像の状態により、上記紙葉類の印刷状態の度合いを判定して印刷状態の劣化について識別するものである。
【0090】
図20は、この発明の紙葉類の印刷状態識別装置の概略構成を示している。
【0091】
すなわち、画像入力部71と、画像メモリ72と、印刷領域抽出部73と、領域抽出部73により抽出した印刷画像の印刷領域の画像データをあらかじめきめられている複数の領域に分割して出力する領域分割部74と、領域分割部74により領域分割された個々の画像データの印刷インキの計測を行う印刷インキ計測部75a、…と、対応する各印刷インキ計測部75a、…からの印刷状態の劣化具合を判定する印刷状態劣化具合判定部76a、…と、印刷状態劣化具合判定部76a、…からの各分割部分の印刷状態の劣化具合により全体の印刷状態の劣化具合を総合判定する総合判定部77とから構成されている。
【0092】
上記画像入力部71と、画像メモリ72と、印刷領域抽出部73と、印刷インキ計測部75a、…と、印刷状態劣化具合判定部76a、…とは、第1の実施形態の画像入力部1と、画像メモリ2と、印刷領域抽出部3と、印刷インキ計測部5と、印刷状態劣化具合判定部6と同一なため説明を省略する。
【0093】
領域分割部74は、図21(a)に示す入力画像に対して、図21(b)から(e)に示すような部分領域に4分割されるようになっていたり、図22(a)に示す入力画像に対して、図22(b)から(e)に示すような画像ごとの部分領域に4分割されるようになっている。
【0094】
すなわち、対象物Pの画像を撮像することにより画素単位の濃度データが画像入力部71により読取られて画像メモリ72に順次記憶される。そして、対象物Pの1画面分の濃度データが画像メモリ72に記憶されると、印刷領域抽出部73が画像メモリ72に記憶されている1画面分の濃度データからあらかじめ決定されている印刷領域の画像データを抽出し、領域分割部74へ出力する。
【0095】
領域分割部74は、領域抽出部73により抽出した印刷画像の印刷領域の画像データを図21(b)から(e)や図22(b)から(e)に示すように部分領域に分割してそれぞれ別々に印刷インキ量計測部75a、…へ出力する。
【0096】
これにより、印刷インキ量計測部75a、…は供給される印刷領域の画像データにより印刷インキ量を計測し、この計測した印刷インキ量を印刷状態劣化具合判定部76、…aへ出力する。すると、印刷状態劣化具合判定部76a、…は供給される印刷インキ量に基づいて印刷状態の劣化のレベルを判定し、このレベルを総合判定部77へ出力する。
【0097】
これにより、総合判定部77は印刷状態劣化具合判定部76a、…により判定されている印刷状態の劣化具合を総合的に判定し、この判定結果を出力する。たとえば、汚いと判定された領域数があらかじめ設定された領域数を上回った場合、識別対象を汚いと判定する。また、1つでも薄くなっている場合、すなわち印刷が劣化した場合に識別対象を汚いと判定することにより、微小な対象(例えば図22(c)の数字部分)が薄くなっている場合でも対処できる。
【0098】
この第4の実施形態では、インキのはがれ状態を、複数の部分領域にわけて判定することで、微小な領域のインキはがれも判定可能となる。
【0099】
次に、この発明の第5の実施形態の紙葉類の汚れ具合識別装置を説明する。この紙葉類の汚れ具合識別装置は、紙葉類つまり対象物Pの可視と赤外の差分により、汚れの度合いを判定して識別するものである。
【0100】
図23は、この発明の紙葉類の汚れ具合識別装置の概略構成を示している。
【0101】
すなわち、赤外除去フィルタ81aとCCD81b等により構成され対象物Pを撮像することにより可視画像に対する画素単位の濃度データ(たとえば8ビットで256段階の濃度値を取る)を読取る可視画像入力部81と、赤外透過フィルタ82aとCCD82b等により構成され対象物Pを撮像することにより赤外画像に対する画素単位の濃度データ(たとえば8ビットで256段階の濃度値を取る)を読取る赤外画像入力部82と、可視画像入力部81により読取った可視画像に対する画素単位の画像データを1画面分記憶する画像メモリ83、赤外画像入力部82により読取った赤外画像に対する画素単位の画像データを1画面分記憶する画像メモリ84と、画像メモリ83に記憶されている1画面分の画素単位の濃度データと画像メモリ84に記憶されている1画面分の画素単位の濃度データとの差分をとることにより、差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成する差分画像作成部85と、差分画像作成部85の差分画像の各濃度差データを所定のしきい値で2値化することにより濃度差の大きい画素だけを「1」とする処理を行うしきい値処理部86と、しきい値処理部86により「1」となっている画素数(面積)を計数しこの計数結果を出力する面積計測部87と、面積計測部87による計数結果により汚れ具合を判定する汚れ具合判定部88とから構成されている。
【0102】
赤外では、印刷インクの部分は吸収し、用紙部分や汚れ部分は反射するようになっており、可視では、印刷インクの部分や汚れ部分は吸収し、用紙部分は反射するようになっている。
【0103】
これにより、可視画像入力部81では、図24(a)に示すように、印刷インクの部分や汚れ部分の画像が読取られ、画像メモリ83に記憶され、赤外画像入力部82では、図24(b)に示すように、印刷インクの部分の画像のみが読取られ画像メモリ84に記憶される。
【0104】
差分画像作成部85は、図24(a)に示す可視画像と図24(b)に示す赤外画像の差分をとることにより、図24(c)に示す差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成する。
【0105】
すなわち、対象物Pを撮像することにより可視画像に対する画素単位の濃度データが可視画像入力部81により読取られて画像メモリ83に順次記憶される。また、対象物Pを撮像することにより赤外画像に対する画素単位の濃度データが赤外画像入力部82により読取られて画像メモリ84に順次記憶される。
【0106】
そして、差分画像作成部85は、画像メモリ83に記憶されている図24(a)に示す可視画像と画像メモリ84に記憶されている図24(b)に示す赤外画像の差分をとることにより、図24(c)に示す差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成ししきい値処理部86へ出力する。しきい値処理部86は、差分画像作成部85の差分画像の各濃度差データを所定のしきい値で2値化することにより濃度差の大きい画素だけを「1」とする処理を行う。ついで、面積計測部87は、しきい値処理部86により「1」となっている画素数を計数した計数結果を汚れ具合判定部88へ出力する。汚れ具合判定部88は、面積計測部87による計数結果に対応するレベルの汚れ具合を出力する。
【0107】
この第5の実施形態では、可視画像と赤外画像の濃度データの差分によりインクなどの汚れを判定する。これにより、印刷領域上の汚れも判定できる。
【0108】
次に、この発明の第6の実施形態の紙葉類の汚れ具合識別装置を説明する。この紙葉類の汚れ具合識別装置は、紙葉類つまり対象物Pの部分領域の可視と赤外の差分により、汚れの度合いを判定して識別するものである。
【0109】
図25は、この発明の紙葉類の汚れ具合識別装置の概略構成を示している。
【0110】
この構成は、第5の実施形態における画像メモリ83、84の後段に、それぞれ第1の領域限定部91、第2の領域限定部92を設けられているものである。第1の領域限定部91は、画像メモリ83に記憶されている可視画像に対する1画面分の画素単位の濃度データからあらかじめ決められている領域の濃度データを出力するものであり、第2の領域限定部92は、画像メモリ84に記憶されている赤外画像に対する1画面分の画素単位の濃度データからあらかじめ決められている領域の濃度データを出力するものであり、差分画像作成部85は、第1の領域限定部91により領域が限定された画素単位の濃度データと第2の領域限定部92により領域が限定された画素単位の濃度データとの差分をとることにより、差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成するものであり、他の構成は第5の実施形態と同一である。
【0111】
これにより、画像メモリ83に記憶されている図26(a)に示す可視画像に対して、第1の領域限定部91から領域が限定された図26(c)に示す可視画像が差分画像作成部85へ出力され、画像メモリ84に記憶されている図26(b)に示す赤外画像に対して、第2の領域限定部92から領域が限定された図26(d)に示す可視画像が差分画像作成部85へ出力され、差分画像作成部85でそれらの差分をとることにより、図26(e)に示す差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)が作成される。
【0112】
すなわち、対象物Pを撮像することにより可視画像に対する画素単位の濃度データが可視画像入力部81により読取られて画像メモリ83に順次記憶される。また、対象物Pを撮像することにより赤外画像に対する画素単位の濃度データが赤外画像入力部82により読取られて画像メモリ84に順次記憶される。
【0113】
そして、画像メモリ83に記憶されている図26(a)に示す可視画像に対して、第1の領域限定部91から領域が限定された図26(c)に示す可視画像が差分画像作成部85へ出力され、画像メモリ84に記憶されている図26(b)に示す赤外画像に対して、第2の領域限定部92から領域が限定された図26(d)に示す可視画像が差分画像作成部85へ出力される。
【0114】
これにより、差分画像作成部85でそれらの差分をとることにより、図26(e)に示す差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成ししきい値処理部86へ出力する。しきい値処理部86は、差分画像作成部85の差分画像の各濃度差データを所定のしきい値で2値化することにより濃度差の大きい画素だけを「1」とする処理を行う。ついで、面積計測部87は、しきい値処理部86により「1」となっている画素数を計数した計数結果を汚れ具合判定部88へ出力する。汚れ具合判定部88は、面積計測部87による計数結果に対応するレベルの汚れ具合を出力する。
【0115】
この第6の実施形態では、識別対象の部分領域の可視と赤外の差分により、赤インクなどの汚れを判定するものである。これにより、赤外画像では見えない印刷領域を除外した汚れの判定が可能となる。
【0116】
次に、この発明の第7の実施形態の紙葉類の汚れ具合識別装置を説明する。この紙葉類の汚れ具合識別装置は、紙葉類つまり対象物Pの可視と赤外の差分に対して、複数の部分領域に分けて、汚れの度合いを判定して識別するものである。
【0117】
図27は、この発明の紙葉類の汚れ具合識別装置の概略構成を示している。
【0118】
この構成は、第5の実施形態における差分画像作成部85の後段に、差分画像作成部85により作成した差分画像の各濃度差データをあらかじめきめられている複数の領域に分割して出力する領域分割部93が設けられ、さらに後段に領域分割部93により分割された差分画像の各濃度差データを所定のしきい値で2値化することにより濃度差の大きい画素だけを「1」とする処理を行う複数のしきい値処理部86a、86b、…が設けられ、さらに後段に対応するしきい値処理部86a、86b、…により「1」となっている画素数を計数した計数結果を汚れ具合判定部88へ出力する複数の面積計測部87a、87b、…が設けられている。
【0119】
汚れ具合判定部88は、各面積計測部87a、87b、…からの計数結果に対応するレベルの汚れ具合を総合的に判定し、この判定結果を出力するものである。
【0120】
すなわち、対象物Pを撮像することにより可視画像に対する画素単位の濃度データが可視画像入力部81により読取られて画像メモリ83に順次記憶される。また、対象物Pを撮像することにより赤外画像に対する画素単位の濃度データが赤外画像入力部82により読取られて画像メモリ84に順次記憶される。
【0121】
そして、差分画像作成部85は、画像メモリ83に記憶されている図24(a)に示す可視画像と画像メモリ84に記憶されている図24(b)に示す赤外画像の差分をとることにより、図24(c)に示す差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成し領域分割部91へ出力する。領域分割部91は差分画像の各濃度差データをあらかじめきめられている複数の領域に分割し、各分割内容をしきい値処理部86a、…にそれぞれ別々に出力する。
【0122】
これにより、各しきい値処理部86a、…はそれぞれ供給される差分画像の各濃度差データを所定のしきい値で2値化することにより濃度差の大きい画素だけを「1」とする処理を行う。各しきい値処理部86a、…のしきい値は、部分領域の位置により可変とすることができる。ついで、面積計測部87a、…は、対応するしきい値処理部86a、…により「1」となっている画素数を計数した計数結果を汚れ具合判定部88へ出力する。
【0123】
汚れ具合判定部88は、各面積計測部87a、87b、…からの計数結果に対応するレベルの汚れ具合を総合的に判定し、この判定結果を出力する。
【0124】
たとえば、汚いと判定された領域数があらかじめ設定された領域数を上回った場合、識別対象を汚いと判定する。
【0125】
また、部分領域の位置により、汚れ具合判定に関わる寄与度が可変であるようにしても良い。
【0126】
この第7の実施形態では、可視と赤外の差分画像に対して、複数の部分領域にわけて汚れ判定することで、微小な領域の汚れも判定可能となる。
【0127】
また、可視と赤外の差分画像に対して、複数の部分領域にわけて汚れを判定し、汚れ具合判定部88で総合判定する場合、視覚特性を利用し(中心領域寄与度大、無印刷領域寄与度大など)、領域により総合判定に与える影響を可変にすることにより、より人間の判断に近い判定が可能となる。
【0128】
次に、この発明の第8の実施形態の紙葉類の表裏識別装置を説明する。この紙葉類の表裏識別装置は、紙葉類つまり対象物Pの可視と赤外の差分により、表裏の判定を行うものである。
【0129】
図28は、この発明の紙葉類の表裏識別装置の概略構成を示している。
【0130】
この構成は、第5の実施形態における差分画像作成部85の後段に、差分画像作成部85により作成した差分画像の各濃度差データをあらかじめきめられている領域の部分だけ抽出する領域抽出部94が設けられ、さらに後段に領域抽出部94により抽出された差分画像の各濃度差データにより所望の画像があるか否かにより表裏を判定する表裏判定部95が設けられている。
【0131】
すなわち、対象物Pを撮像することにより可視画像に対する画素単位の濃度データが可視画像入力部81により読取られて画像メモリ83に順次記憶される。また、対象物Pを撮像することにより赤外画像に対する画素単位の濃度データが赤外画像入力部82により読取られて画像メモリ84に順次記憶される。
【0132】
そして、差分画像作成部85は、画像メモリ83に記憶されている可視画像と画像メモリ84に記憶されている赤外画像の差分をとることにより、差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成し領域抽出部94へ出力する。領域抽出部94は差分画像の各濃度差データをあらかじめきめられている領域の部分だけ抽出し表裏判定部95へ出力する。
【0133】
これにより、表裏判定部95は領域抽出部94からの差分画像の各濃度差データにより所望の画像があるか否かにより表裏を判定する。
【0134】
たとえば、図2(a)に示す対象物Pの表が読取られ、図29(a)に示す可視画像が画像メモリ83に記憶され、図29(b)に示す赤外画像が画像メモリ84に記憶された場合、差分画像作成部85は、図29(c)に示す差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成し、この差分画像から丸画像の部分を領域抽出部94により抽出し、表裏判定部95へ出力する。
【0135】
これにより、表裏判定部95は差分画像から抽出した画像が丸画像であるため、対象物Pが表であると判定する。
【0136】
また、図2(b)に示す対象物Pの表が読取られ、図29(d)に示す可視画像が画像メモリ83に記憶され、図29(e)に示す赤外画像が画像メモリ84に記憶された場合、差分画像作成部85は、図29(f)に示す差分画像(1画面分の画素単位の濃度差データ)を作成し、この差分画像から丸画像の部分を領域抽出部94により抽出し、表裏判定部95へ出力する。
【0137】
これにより、表裏判定部95は差分画像から抽出した画像が丸画像でないため、対象物Pが裏であると判定する。
【0138】
この第8の実施形態では、対象特有の情報を利用した表裏判定を行うことができる。
【0139】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、所定の画像が印刷されている紙葉類の状態を識別するものにおいて、印刷状態の劣化についても考慮される紙葉類の状態識別装置と紙葉類の汚れ具合識別装置と紙葉類の印刷状態識別装置を提供できる。
【0140】
また、紙葉類の表裏を識別できる紙葉類の表裏識別装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図2】対象物の印刷されている画像例を示す図。
【図3】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図4】濃度ヒストグラムを示す図。
【図5】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図6】基準濃度分散格納部の記憶例を示す図。
【図7】濃度の異なる画像に対する濃度ヒストグラムを示す図。
【図8】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図9】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図10】線の濃度が異なる画像に対する変化量ヒストグラムを示す図。
【図11】変化部分の濃度データを説明するための図。
【図12】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図13】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図14】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図15】印刷インキ量計測部と印刷状態劣化具合判定部の構成例を示すブロック図。
【図16】この発明の第2の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図17】入力画像の例とラベル付けの例を示す図。
【図18】この発明の第3の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図19】入力画像の例としきい値処理後の例を示す図。
【図20】この発明の第4の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図21】入力画像の例と領域分割例を示す図。
【図22】入力画像の例と領域分割例を示す図。
【図23】この発明の第5の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図24】可視画像の例と赤外画像の例と差分画像の例を示す図。
【図25】この発明の第6の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図26】可視画像の例と赤外画像の例と可視画像の領域限定の例と赤外画像の領域限定の例と差分画像の例を示す図。
【図27】この発明の第7の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図28】この発明の第8の実施形態の紙葉類の状態識別装置の概略構成を示す図。
【図29】可視画像の表と赤外画像の表と可視画像の裏と赤外画像の裏と差分画像の例を示す図。
【符号の説明】
1…画像入力部
2…画像メモリ
3…印刷領域抽出部
4…無印刷領域抽出部
5…印刷インキ量計測部
6…印刷状態劣化具合判定部
7…総合判定部
8…落書き計測部
9、11…汚れ具合判定部
10…全体汚れ計測部
Claims (2)
- 紙葉類の印刷状態の劣化具合や汚れ具合などの状態を識別する紙葉類の状態識別装置において、
上記紙葉類の画素単位の濃度データを読取る読取手段と、
この読取手段により読取った濃度データに対して、上記紙葉類の印刷領域の濃度データと印刷領域外の濃度データとを抽出する抽出手段と、
この抽出手段により抽出された印刷領域の濃度データの濃度分布パターンにおけるピークを検出し、この検出したピーク間の距離により、印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する第1の判定手段と、
上記抽出手段により抽出された印刷領域外の濃度データにおける所定濃度値以上の画素数に基づいて、印刷領域外の落書きによる汚れ具合を判定する第2の判定手段と、
上記抽出手段により抽出された印刷領域外の濃度データにおける各画素の濃度値の平均値に基づいて、印刷領域外の全体の汚れ具合を判定する第3の判定手段と、
上記第1から第3の判定手段による判定結果に基づいて、上記紙葉類に対する印刷状態の劣化具合や汚れ具合などの状態を識別する識別手段と、
を具備することを特徴とする紙葉類の状態識別装置。 - 紙葉類の印刷状態の劣化具合を識別する紙葉類の状態識別装置において、
上記紙葉類の画素単位の濃度データを読取る読取手段と、
この読取手段により読取った濃度データに対して、上記紙葉類の印刷領域の濃度データを抽出する抽出手段と、
この抽出手段により抽出した印刷領域を複数の領域に分割する分割手段と、
上記複数の領域数分設けられ、それぞれが上記分割手段により分割された印刷領域の濃度データの濃度分布パターンにおけるピークを検出し、この検出したピーク間の距離により、分割された印刷領域の印刷状態の劣化具合を判定する判定手段と、
上記複数の判定手段による判定結果に基づいて、上記紙葉類に対する印刷状態の劣化具合を識別する識別手段と、
を具備することを特徴とする紙葉類の状態識別装置。
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