JP4319811B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンや電動モータ等の駆動機器のトルクをポンプや圧縮機等の従動機器に伝達する動力伝達装置に関するものであり、車両用空調装置の圧縮機にエンジンの動力を伝達する動力伝達装置に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
動力伝達装置として、発明者等は、図6に示すものを試作検討した。
【0003】
しかし、連結フランジ部213に駆動シャフトが連結され、この駆動シャフトの自重をカップリング210で受けるので、カップリング210が微少に歪んでしまうおそれが高い。
【0004】
そして、カップリング210が歪んだまま連結フランジ部213及びカップリング210が高速で回転すると、連結フランジ部213とカップリング210ととを連結するリベット214周辺に偏心加重による応力が集中し易いため、リベット214周辺にてカップリング210が疲労破壊するおそれが高い。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規な動力伝達装置を提供し、第2には、動力伝達装置に疲労破壊が発生することを抑制することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、駆動側機器(300)から駆動力を受けて回転するカップリング(210)と、カップリング(210)と同軸上に配置されて、従動側機器(100)のシャフト(101)が連結されるセンターハブ(225)を有する第1ロータ(220)と、カップリング(210)と同軸上に配置されるとともに、カップリング(210)に連結されて、従動側機器(100)のハウジングに対して回転可能に支持された第2ロータ(230)とを備え、第2ロータ(230)に伝達された駆動力が、弾性材(250)を介して第1ロータ(220)へ伝達される動力伝達装置であって、
カップリング(210)は、筒状の筒部(211)、及び筒部(211)の軸方向一端側を閉塞するように筒部(211)に連結されたフランジ部(212)を有し、フランジ部(212)には、駆動側機器(300)の駆動シャフト(301)に連結された連結フランジ(213)が、棒状に形成された複数本の締結手段(214)を介して固定されており、締結手段(214)は、回転中心軸周りに円周状に配置され、
さらに、フランジ部(212)には、筒部(211)の軸方向に突出するように湾曲した補強リブ(217)が設けられており、補強リブ(217)は、複数本の締結手段(214)を囲むように回転中心を図心とした星形状に形成されるとともに、回転中心から放射状に延びる基準線(Lo)に対して傾いた方向に延びる部位(217a)と、基準線(Lo)に対して略直交する方向に延びる部位(217b)とを有し、前記複数本の締結手段(214)は、前記基準線(Lo)に対して傾いた方向に延びる部位(217a)と、前記基準線(Lo)に対して略直交する方向に延びる部位(217b)とに囲まれていることを特徴とする。
【0007】
これにより、動力伝達装置の大型化及び重量増を招くことなく、締結手段(214)周辺の剛性を高めることができる。延いては、締結手段(214)周辺にて動力伝達装置が疲労破壊することを未然に防止でき得る。
【0008】
また、締結手段(214)は、回転中心軸周りに円周状に配置されており、さらに、補強リブ(217)は、複数本の締結手段(214)を囲むように回転中心を図心とした星形状に形成されているとともに、回転中心から放射状に延びる基準線(Lo)に対して傾いた方向に延びる部位(217a)と、基準線(Lo)に対して略直交する方向に延びる部位(217b)とを有して構成されている。
【0009】
これにより、補強リブ(217)は、回転中心から放射状に延びる基準線(Lo)に対して傾いた方向に延びる部位(217a)と、基準線(Lo)に対して略直交する方向に延びる部位(217b)とを有して構成されるので、基準線(Lo)方向及び基準線(Lo)に対して略直交する方向の両者に対して剛性を高めることができ、締結手段(214)周辺にて動力伝達装置が疲労破壊することを確実に防止でき得る。
【0012】
請求項2に記載の発明では、補強リブ(217)は、複数本の締結手段(214)を囲むように回転中心周りに複数列設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明では、連結フランジ(213)の外縁側には、連結フランジ(213)の回転方向に突出した円筒状の連結フランジ筒部(218)が形成されていることを特徴とするものである。
これにより、連結フランジ(213)側の締結手段(214)周辺部の剛性を高めることができ、締結手段(214)周辺にて連結フランジ(213)が疲労破壊することを未然に防止でき得る。
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、本発明に係る動力伝達装置200を据え置き型の空調装置に適用したものであって、図1は空調装置の模式図である。
【0014】
図1中、圧縮機100は、動力伝達装置200を介して駆動側機器をなす内燃機関300から動力を得て冷媒を吸入圧縮する従動側機器であり、放熱器110は圧縮機100から吐出した冷媒を冷却する高圧側熱交換器である。減圧器120は放熱器110から流出した高圧の冷媒を減圧する減圧手段であり、蒸発器130は減圧器120にて減圧された冷媒を蒸発させることにより冷凍能力を発揮する低圧側熱交換器である。
【0015】
なお、本実施形態では、減圧器120として、オリフィスやキャピラリーチューブ等の開度が固定された固定絞りを採用している。また、冷凍能力(循環冷媒流量)の制御は、内燃機関300の回転数を制御することにより行っている。
【0016】
次に、動力伝達装置200について述べる。
【0017】
図2は本実施形態に係る動力伝達装置200を示す図であり、図3は図2のA矢視図であり、図4は後述するカップリング210の断面図であり、図5はカップリング210の正面図である。
【0018】
カップリング210は駆動シャフト301(図1参照)を介して内燃機関300から駆動力を受けて回転する第1回転体である。このカップリング210は、図2に示すように、略円筒状のカップリング筒部211、及びこのカップリング筒部211の軸方向一端側(図2の左側)を閉塞するようにカップリング筒部211に一体形成されて連結されたカップリングフランジ部212を有して略コップ状に構成されたものである。
【0019】
また、本実施形態では、カップリング筒部211とカップリングフランジ部212とは、プレス加工にて1枚の板材から一体形成されているとともに、カップリングフランジ部212には、駆動シャフト301が連結されて駆動シャフト301の動力をカップリング210に伝達する第2回転体をなす連結フランジ213が棒状の締結手段をなすリベット214にて固定されている。
【0020】
そして、これらのリベット214は、図3、5に示すように、回転中心軸周りに円周状に配置されており、リベット214の近傍には、図2に示すように、カップリング筒部211の軸方向に突出するように湾曲した補強リブ217がプレス成形にてカップリングフランジ部212に一体形成されている。
【0021】
また、補強リブ217は、図3、5に示すように、複数本のリベット214を囲むように回転中心を図心とした星形状(歯車状)に複数例形成されている。なお、図心とは、周知のごとく、平面図形において面積モーメントが釣り合う点を言う。
【0022】
また、連結フランジ213の外縁側には、連結フランジ213の回転軸方向に突出した円筒状の連結フランジ筒部218が連結フランジ213の成形時に一体形成されている。なお、連結フランジ213はダイカスト成形後、所定箇所を切削することにより製造される。
【0023】
第1ロータ220はカップリング210の内周側にカップリング210と同軸上に配置されて回転するものであり、この第1ロータ220は、カップリング筒部211と同軸上に配置された筒状のロータ筒部221、及びこのロータ筒部221の軸方向端部のうちカップリングフランジ部212と同一側端部を閉塞するようにロータ筒部221に連結されたロータフランジ部222からなるアウタプレート223、並びにロータフランジ部222にピン224にて固定されたセンターハブ225等からなるものである。
【0024】
なお、センターハブ225は、圧縮機100のシャフト101にの外周面に形成されたスプラインにて回り止めされた状態でシャフトに挿入されているとともに、ボルトにてシャフトから脱落することが防止されている。
【0025】
また、第2ロータ230はカップリング筒部211の軸方向他端側(紙面右側)を閉塞するようにボルト231にてカップリング筒部211に連結されたものであり、この第2ロータ230は、圧縮機100のフロントハウジング102に設けられた圧縮機100の円筒部の外周側に装着(圧入)された転がりラジアル軸受け232を介して、第1ロータ220及びカップリング210と同軸上に回転可能に支持されている。
【0026】
そして、第2ロータ230には、第2ロータ230と一体的に回転するインナープレート240がピン又は溶接にて固定されており、このインナープレート240は、第2ロータ230からロータフランジ222側に突出してロータ筒部221の内周側に位置している。
【0027】
また、アウタプレート223の外周面(ロータ筒部221)は、複数箇所の凹凸を有すように波打った異形状に形成され、これに対応するようにインナープレート240の外周面も、複数箇所の凹凸を有すように波打った異形状に形成されている。
【0028】
そして、両プレート223、240間には、アウタプレート223の内周面及びインナープレート240の外周面接触して両プレート223、240に凹凸部にて機械的に係合するゴム等の弾性変形可能な弾性材(本実施形態では、塩素化ブチルゴム)製のダンパー250が配設されており、第ロータ230に伝達されたトルクは、ダンパー250を介して第1ロータ220に伝達される。
【0029】
また、アウタープレート223のうち、ダンパー250が装着された部位には、アウタープレート223の剛性を低下させるための切り欠き(図示せず。)を設けることにより、その他の部位に比べて剛性を低下させた低剛性部が設けられている。
【0030】
そして、第1ロータ220に作用するトルクが所定値以上となったときに、ロータ筒部221(アウタープレート223)の径寸法が拡大するように低剛性部が変形してダンパー250の係合状態が開放される。
【0031】
つまり、本実施形態では、ダンパー250によりインナープレート240からアウタープレート223に伝達されるトルク変動を吸収するとともに、アウタプレート223及びダンパー250の変形を利用して所定値以上のトルクが伝達されしまうことを防止するトルクリミッタ機構を構成している。
【0032】
ところで、カップリング筒部211の軸方向他端側(第2ロータ230側)には、第2ロータ230を連結するための連結フランジ部215が、カップリング筒部211から径外方側に延出するようにプレス加工にて一体成形されているとともに、ロータ筒部221(アウタープレート223)の径寸法が拡大するように変形した際に、ロータ筒部221の先端がカップリング筒部211に干渉してしまうことを防止する逃がし空間260が設けられている。
【0033】
この逃がし空間260は、カップリング筒部211と第2ロータ230との接合部(連結フランジ部215)において、プレス加工にてカップリング210を成形する際に、連結フランジ部215とカップリング筒部211とを繋ぐ繋ぎ部(曲げR部)216が円弧状に成形されることを利用したものである。
【0034】
具体的には、繋ぎ部216が円弧状に成形されることによって、繋ぎ部216と第2ロータ230との間に形成される隙間を、カップリングフランジ部212側にずらして逃がし空間260としたものである。
【0035】
次に、本実施形態に係る動力伝達装置200の概略作動を述べる。
【0036】
カップリング210に伝達されたトルクは、第2ロータ230、インナープレート240及びダンパー250を介して第1ロータ220に伝達され、センターハブ225から圧縮機100のシャフト101に伝達される。
【0037】
このとき、ダンパー250によりトルク変動が吸収されるととともに、伝達トルクが所定値以上となったときには、ロータ筒部221の径寸法が拡大するように変形してダンパー250の係合状態が開放されてトルクの伝達が遮断される。
【0038】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0039】
本実施形態では、リベット214の近傍にカップリング筒部211の軸方向に突出するように湾曲した補強リブ217が設けられているので、カップリング210の大型化及び重量増を招くことなく、リベット214周辺の剛性を高めることができる。延いては、リベット214周辺にてカップリング210が疲労破壊することを未然に防止でき得る。
【0040】
また、補強リブ217は、複数本のリベット214を囲むように回転中心を図心とした星形状に複数形成されているので、補強リブ217は、図3、5に示すように、回転中心から放射状に延びる基準線Loに対して傾いた方向に延びる部位217aと、基準線Loに対して略直交する方向に延びる部位217bとを有して構成されることとなる。
【0041】
したがって、基準線Lo方向及び基準線Loに対して略直交する方向の両者に対して剛性を高めることができるので、リベット214周辺にてカップリング210が疲労破壊することを確実に防止でき得る。
【0042】
また、連結フランジ213の外縁側には、連結フランジ213の回転軸方向突出した円筒状の連結フランジ筒部218が連結フランジ213と一体形成されているので、連結フランジ213側のリベット214周辺部の剛性を高めることができ、リベット214周辺にて連結フランジ213が疲労破壊することを未然に防止でき得る。
【0043】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、据え置き型の空調装置に本発明に係る動力伝達装置を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両用空調装置等のその他のものにも適用することができる。
【0044】
また、上述の実施形態では、ダンパー250をゴム(塩素化ブチルゴム)製としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、樹脂や金属等のその他材料にて構成してもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、カップリング210から第2ロータ230を経由して第1ロータ220にトルクが伝達されるタイプの継ぎ手であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、これとは逆に第1ロータ220から第2ロータ230を経由してカップリング210にトルクが伝達されるタイプの継ぎ手に適用してもよい。
【0046】
また、上述の実施形態では、補強リブ217は、図2の左側に突出するように湾曲したものであったが、これとは逆に紙面右側に突出するように湾曲させて補強リブ217を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る動力伝達装置を示す図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るカップリングの断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るカップリングの正面図である。
【図6】試作検討品に係る動力伝達装置を示す図である。
【符号の説明】
210…カップリング、211…カップリング筒部、
212…カップリングフランジ部、214…リベット、
213…連結フランジ部、220…第1ロータ、
221…ロータ筒部、222…ロータフランジ部、
223…アウタープレート、230…第2ロータ、
240…インナープレート、250…ダンパー。

Claims (3)

  1. 駆動側機器(300)から駆動力を受けて回転するカップリング(210)と、
    前記カップリング(210)と同軸上に配置されて、従動側機器(100)のシャフト(101)が連結されるセンターハブ(225)を有する第1ロータ(220)と、
    前記カップリング(210)と同軸上に配置されるとともに、前記カップリング(210)に連結されて、前記従動側機器(100)のハウジングに対して回転可能に支持された第2ロータ(230)とを備え、
    前記第2ロータ(230)に伝達された前記駆動力が、弾性材(250)を介して前記第1ロータ(220)へ伝達される動力伝達装置であって、
    前記カップリング(210)は、筒状の筒部(211)、及び前記筒部(211)の軸方向一端側を閉塞するように前記筒部(211)に連結されたフランジ部(212)を有し、
    前記フランジ部(212)には、前記駆動側機器(300)の駆動シャフト(301)に連結された連結フランジ(213)が、棒状に形成された複数本の締結手段(214)を介して固定されており、
    前記締結手段(214)は、回転中心軸周りに円周状に配置され、
    さらに、前記フランジ部(212)には、前記筒部(211)の軸方向に突出するように湾曲した補強リブ(217)が設けられており、
    前記補強リブ(217)は、前記複数本の締結手段(214)を囲むように回転中心を図心とした星形状に形成されるとともに、回転中心から放射状に延びる基準線(Lo)に対して傾いた方向に延びる部位(217a)と、前記基準線(Lo)に対して略直交する方向に延びる部位(217b)とを有し、前記複数本の締結手段(214)は、前記基準線(Lo)に対して傾いた方向に延びる部位(217a)と、前記基準線(Lo)に対して略直交する方向に延びる部位(217b)とに囲まれていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記補強リブ(217)は、前記複数本の締結手段(214)を囲むように回転中心周りに複数列設けられていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記連結フランジ(213)の外縁側には、前記連結フランジ(213)の回転方向に突出した円筒状の連結フランジ筒部(218)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の動力伝達装置。
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