JP4134470B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動源から回転装置の回転軸へ回転動力を伝達する動力伝達装置に関するもので、特に駆動側回転体と従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に、駆動側回転体から従動側回転体への回転動力(トルク)の伝達を遮断するリミッター機構を備えた動力伝達装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば0%容量まで冷媒の吐出容量を変化させることが可能な可変容量型冷媒圧縮機を備えた冷凍サイクルでは、エンジンから冷媒圧縮機への回転動力の伝達を断続するクラッチ機構の搭載が不要となる。しかし、クラッチ機構を廃止した場合には、冷媒圧縮機が焼き付き故障を生起する等して冷媒圧縮機の駆動軸のロックが発生すると、過負荷トルク(衝撃トルク)が生じる。これにより、冷媒圧縮機の駆動軸を駆動するためのプーリの回転が止まるので、エンジンに駆動されるベルトが滑り、ベルトに摩耗が生じ、ベルトが発熱する等してベルトが破断する可能性がある。
【0003】
そこで、冷媒圧縮機の駆動軸がロックする等の過負荷トルクが生じ、プーリと冷媒圧縮機の駆動軸との間に設定トルク以上のトルク差が生じると、エンジンから冷媒圧縮機の駆動軸への動力伝達経路を遮断するリミッター機構を備えたVベルトプーリ装置が提案されている。
【0004】
このVベルトプーリ装置としては、エンジンによりベルト駆動されるプーリ、このプーリに固定されたアウタハブ、このアウタハブとの間にゴム系の弾性体を介して連結されたフランジ部材、冷媒圧縮機の駆動軸に連結されたインナハブ、およびフランジ部材とインナハブとの間に設けられた多板の摩擦部材を備え、冷媒圧縮機の駆動軸がロックする等の過負荷トルクが生じると、フランジ部材からインナハブへの動力伝達経路を遮断するように構成されている。また、プーリ、アウタハブ、フランジ部材、インナハブおよび多板の摩擦部材等のVベルトプーリ装置を構成する主要部品が鉄系の金属材料により製作されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のリミッター機構を備えたVベルトプーリ装置においては、Vベルトプーリ装置全体の中でリミッター機構が占める割合が大きいので、製品コストが上昇するという問題が生じている。また、多板の摩擦部材を軸方向に配しているので、リミッター機構の軸方向寸法が大型化するという問題が生じている。そして、Vベルトプーリ装置を構成する主要部品の大部分は、鉄系の金属材料により製作されており、リミッター機構を簡素な構造にしても軽量化に至らないという問題が生じている。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、駆動側回転体と従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に、駆動側回転体から従動側回転体へのトルクの伝達を遮断するリミッター機構の小型化、軽量化および低コスト化を図ることのできる動力伝達装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、通常作動時には、駆動源から駆動側回転体にトルクが伝達されると、駆動側回転体の凹状嵌合部の開口側の内周からゴム系の弾性体にトルクが伝達され、更に、ゴム系の弾性体から従動側回転体の凸状嵌合部の根元側の外周にトルクが伝達される。そして、従動側回転体から回転装置の回転軸にトルクが伝達されることにより、回転装置の回転軸が回転する。
【0008】
駆動側回転体と従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた時には、駆動源から駆動側回転体にトルクが伝達されると、駆動側回転体の凹状嵌合部の奥側の内周から従動側回転体の凸状嵌合部の先端側の外周にトルク伝達による力を受ける。
【0009】
すると、従動側回転体の凸状嵌合部の根元部分に多大な応力が加わり、凸状嵌合部の根元部分が破損するため、駆動側回転体が従動側回転体に対してフリーで自転する。このように、駆動側回転体と従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた時には、リミッター機構が作動することにより、駆動側回転体から従動側回転体へのトルクの伝達が遮断される。
【0010】
そして、動力伝達装置を構成する駆動側回転体と従動側回転体とにそれぞれリミッター機構を構成する凹状嵌合部と凸状嵌合部とを一体的に設けることで、動力伝達装置の中でリミッター機構単独部品が占める割合が全くなく、または非常に少なく、部品点数および組付工数も非常に少なくなるので、リミッター機構を備えた動力伝達装置の製品コストを非常に低減することができる。
【0011】
また、駆動側回転体の凹状嵌合部内に従動側回転体の凸状嵌合部を嵌め合わすことでリミッター機構を構成しているので、駆動側回転体の軸方向寸法よりも凸状嵌合部の軸方向寸法を短くすることで、リミッター機構の軸方向寸法を縮小化することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、従動側回転体にスリットを設けることで、駆動側回転体と従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に、凸状嵌合部の根元部分で折れ易くなり、リミッター機構を瞬時に作動完了することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、駆動側回転体を、鉄系の金属材料または樹脂材料により所定の形状に一体成形し、また、従動側回転体を、熱可塑性樹脂材料または熱硬化性樹脂材料により所定の形状に一体成形することにより、少なくとも従動側回転体の使用材料を鉄系の金属材料から軽量で安価な樹脂材料に変更することができる。これにより、リミッター機構を備えた動力伝達装置の軽量化および低コスト化を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、駆動側回転体の周方向に所定の間隔で設けられた複数個の凹状嵌合部内に、従動側回転体の周方向に所定の間隔で設けられた複数個の凸状嵌合部をそれぞれ嵌め合わし、それらの凹状嵌合部の開口側の内周とそれらの凸状嵌合部の根元側の外周との間に複数個の弾性体をそれぞれ挟み込むことで動力伝達装置を構成しているので、複数個の弾性体を介して駆動側回転体から従動側回転体へのトルクの伝達がスムーズに行われる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、駆動側回転体は、開口側から奥側に向けて軸方向に形成された凹状嵌合部を有し、従動側回転体は、根元側から先端側に向けて軸方向に突出するように延長されて、凹状嵌合部内に緩やかに嵌め合わされる凸状嵌合部を有し、弾性体は、前記凹状嵌合部の内周と前記凸状嵌合部の外周との間に挟み込まれている。そして、凹状嵌合部の周方向の両内壁面に設けた一対の突起部に、凹状嵌合部の奥側から開口側に向けて一対の突起部間の隙間が徐々に拡がるようにテーパ部を設けることにより、ゴム系の弾性体を凹状嵌合部に挿入する際に、一対の突起部のテーパ部の存在によって弾性体が凹状嵌合部内に容易に挿入できる。そして、凹状嵌合部内に挿入された弾性体は、一対の突起部によって圧縮変形が与えられる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、凹状嵌合部の径方向の外径側端部で且つ周方向の両端部に、弾性体の径方向の外径側端部で且つ周方向の両端部に設けた一対の被保持部を保持する一対の保持部を設けることにより、凹状嵌合部内に弾性体が強固に保持されるので、駆動側回転体の回転に伴って発生する遠心力に対する抵抗力が増加するので、凹状嵌合部から弾性体が抜け出すことはない。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、凸状嵌合部の根元部分に、先端側に向けて外径が漸減するようにテーパ部を設け、凸状嵌合部の中間部分に、弾性体の中空部内に挿入される被挿入部を設け、凸状嵌合部の先端部分に、弾性体の穴部内に嵌め込まれる被嵌合部を設けることにより、駆動側回転体の凹状嵌合部内にゴム系の弾性体を嵌め込んだ後に、駆動側回転体の凹状嵌合部内に従動側回転体の凸状嵌合部を装着する。それによって、駆動側回転体の凹状嵌合部内に従動側回転体の凸状嵌合部を装着したと同時に、弾性体が凹状嵌合部の開口側の内周と凸状嵌合部の根元側の外周との間に挟み込まれて圧縮変形する。
【0018】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
〔第1実施例の構成〕
図1ないし図4は本発明の第1実施例を示したもので、図1はVベルトプーリ装置の主要構成を示した図で、図2および図3はVベルトプーリ装置の全体構成を示した図である。
【0019】
本実施例のVベルトプーリ装置は、エンジン(本発明の駆動源に相当する)を搭載する自動車等の車両のエンジンルーム内に配設されて、車両用空調装置の冷凍サイクルの一構成部品を成す冷媒圧縮機(以下コンプレッサと言う)1へエンジンの回転動力(トルク)を伝達する動力伝達装置である。
【0020】
なお、コンプレッサ1は、本発明の回転装置に相当するもので、0%容量まで冷媒の吐出容量を変化させることが可能な可変容量型冷媒圧縮機で、コンプレッサハウジング3内で回転自在に支持された駆動軸(本発明の回転軸に相当する)2を回転させることにより、冷媒蒸発器(エバポレータ)より吸入した冷媒を圧縮し、冷媒凝縮器(コンデンサ)で高温、高圧の冷媒ガスを吐出する。コンプレッサハウジング3は、Vベルトプーリ装置の内周に向けて突出する円筒状の突出部4を有している。
【0021】
ここで、Vベルトプーリ装置は、エンジンのクランク軸に取り付けられたクランクプーリ(図示せず)に掛け渡された多段式のVベルト(図示せず)に、他のエンジン補機(例えばオルタネータ、エンジン冷却装置のウォータポンプ、パワーステアリング装置の油圧ポンプ)の各Vベルトプーリ装置と共掛けされている。
【0022】
本実施例のVベルトプーリ装置は、エンジンによりベルト駆動されるVベルトプーリ本体(Vリブドプーリ本体、ロータ)5、このVベルトプーリ本体5からコンプレッサ1の駆動軸2へトルクを伝達する出力ディスク(ハブ部材)6、およびVベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の内周と出力ディスク6の複数本のピン部8の外周との間に挟み込まれたゴム系の弾性体(ゴム部材、以下ゴムダンパーと言う)9等から構成されている。
【0023】
また、Vベルトプーリ装置は、コンプレッサ1が焼き付き故障を生起する等してコンプレッサ1の駆動軸2のロックが発生し、過負荷トルク(衝撃トルク)が生じた際、すなわち、Vベルトプーリ本体5と出力ディスク6との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に、エンジンからコンプレッサ1の駆動軸2への動力伝達経路を遮断するリミッター機構を備えている。
【0024】
先ず、本実施例のVベルトプーリ本体5を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。ここで、図4はVベルトプーリ本体と複数個のゴムダンパーを示した図である。このVベルトプーリ本体5は、本発明の駆動側回転体に相当するもので、例えばフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂材料、鉄系の金属材料またはアルミニウム系の金属材料により所定の形状に一体成形されている。
【0025】
このVベルトプーリ本体5は、エンジンに常時駆動される略円筒形状の筒壁部(Vリブドプーリ部)11、およびこの筒壁部11のコンプレッサ1側端部より径方向の内方側へ延長された円環状の側壁部12を有している。筒壁部11の外周には、Vベルトの内周面に形成された複数個のV字状溝部に対応した複数個のV字状溝部13が形成されている。
【0026】
側壁部12の内周に設けられた円筒状部分12aは、コンプレッサハウジング3の突出部4の外周にベアリング14を介して回転自在に支持されている。そして、側壁部12には、軸方向の肉厚が厚い略円筒形状の肉厚部(リブ部)15と軸方向の肉厚が薄い肉薄部16とが周方向に等間隔(例えば90°間隔)で交互に配設されている。なお、肉薄部16は、材料費軽減のため肉厚を薄くしている。
【0027】
複数個の肉厚部15内には、軸方向に貫通した複数個(本例では4個)の凹状部7がそれぞれ形成されている。これらの凹状部7は、本発明の凹状嵌合部に相当する。複数個の凹状部7の開口側(図1において図示左端側)には、ゴムダンパー9を収容すると共に、通常作動時のトルク伝達を行う円筒形状の伝達穴17が形成されている。
【0028】
また、凹状部7の奥側(図1において図示右端側)には、出力ディスク6のピン部8の先端部分が緩やかに嵌め込まれると共に、リミッター作動時にピン部8にトルク伝達を行う、伝達穴17の内径よりも小さい嵌合穴18が形成されている。
【0029】
そして、凹状部7の伝達穴17と嵌合穴18との間には、ゴムダンパー9の軸方向の位置ずれを防止するためにゴムダンパー9の一端部を係止する段差(係止部)19、およびこの段差19と嵌合穴18とを結ぶ円錐台形状の連結穴20が形成されている。
【0030】
先ず、本実施例の出力ディスク6を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。この出力ディスク6は、本発明の従動側回転体に相当するもので、例えば66ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂材料またはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂材料により所定の形状に一体成形されている。
【0031】
出力ディスク6は、コンプレッサ1の駆動軸2の先端部の外周に嵌め合わされるボス部21、このボス部21より径方向の内方および外方に延長された円環板形状の側壁部22、並びに側壁部22の外周部の端面より軸方向に延長された複数本(本例では4本)のピン部8を有している。ボス部21の内周には、コンプレッサ1の駆動軸2の先端部の外周スプラインにスプライン嵌合する内周スプラインが形成されている。
【0032】
側壁部22の内周には、コンプレッサ1の駆動軸2の先端部に形成された内周ねじ部にねじ込まれる固定用ボルト23の軸部が挿通する挿通穴24が形成されている。これにより、側壁部22の内周部分が固定用ボルト23の頭部(六角部)によって駆動軸2の先端部に締め付けられることにより、出力ディスク6と駆動軸2とが固定される。
【0033】
複数本のピン部8は、本発明の凸状嵌合部に相当するもので、それぞれ丸棒(円柱)形状に形成され、側壁部22の外周部の内側端面(Vベルトプーリ本体5の側壁部12側端面)に形成された略円環状のスリット25の内側より軸方向に突出し、Vベルトプーリ本体5の凹状部7の伝達穴17内に緩やかに嵌め合わされる根元部分、凹状部7の連結穴20内に緩やかに嵌め合わされる中間部分、および凹状部7の嵌合穴18に緩やかに嵌め合わされる先端部分を有している。
【0034】
なお、リミッター機構を構成する凹状部7およびピン部8は、Vベルトプーリ本体5の側壁部12および出力ディスク6の側壁部22の周方向(同一円周上)に等間隔(例えば90°間隔)となるように配設されている。また、凹状部7およびピン部8は、Vベルトプーリ本体5の軸方向寸法、つまり筒壁部11の軸方向寸法よりも短くされており、Vベルトプーリ本体5の筒壁部11の内周に収容される。
【0035】
また、側壁部22の外周部の外側端面(Vベルトプーリ本体5の側壁部12側に対して逆側端面)には、複数本のピン部8に対応した箇所に、上記のスリット25と共にVベルトプーリ本体5に衝撃トルクが発生した際にピン部8を根元部分で破損させる(折る)ことにより、出力ディスク6の側壁部22と複数本のピン部8とを分離するための多角形状または円形状のスリット26が形成されている。
【0036】
複数個のゴムダンパー9は、本発明のゴム系の弾性体に相当するもので、例えば塩素化ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム等を円筒形状となるように一体成形されている。これらのゴムダンパー9は、Vベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の伝達穴17の内周に嵌め合わされ、且つ出力ディスク6の複数本のピン部8の根元部分の外周に嵌め合わされて、Vベルトプーリ本体5から出力ディスク6へのトルク変動を吸収する。
【0037】
〔第1実施例の作用〕
次に、本実施例のリミッター機構を備えたVベルトプーリ装置の作用を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
【0038】
Vベルトプーリ装置の通常作動時には、ゴムダンパー9を介してVベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の伝達穴17と出力ディスク6の複数本のピン部8の根元部分とが駆動連結されている。したがって、エンジンが始動することによりクランク軸が回転し、Vベルトを介してVベルトプーリ本体5の筒壁部11にエンジンの回転動力(トルク)が伝達される。
【0039】
そして、出力ディスク6の複数本のピン部8は、ゴムダンパー9を介してVベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の伝達穴17からその根元部分付近、つまり根元部分に近い部位(図1において荷重点A)でトルク伝達による力を受ける。
【0040】
このように、ゴムダンパー9を介してVベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の伝達穴17から複数本のピン部8の根元部分へトルクが伝達されると、出力ディスク6もVベルトプーリ本体5に追従して回転するので、エンジンの回転動力がコンプレッサ1の駆動軸2に伝達される。このため、コンプレッサ1が吸引した冷媒を圧縮して高温、高圧の冷媒ガスを吐出するので、自動車等の車両の車室内の冷房が成される。
【0041】
コンプレッサ1が焼き付き故障を生起する等してコンプレッサ1の駆動軸2のロックが発生した時、出力ディスク6の回転が停止したままVベルトプーリ本体5が回転を続けるため、Vベルトプーリ本体5と出力ディスク6との間に過負荷トルク(衝撃トルク)が生じる。
【0042】
すなわち、Vベルトプーリ本体5と出力ディスク6との間に設定トルク以上のトルク差が生じると、Vベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の嵌合穴18の内周から出力ディスク6の複数本のピン部8の先端部分、つまり複数本のピン部8の根元部分から遠い部位(図1において荷重点B)がトルク伝達による力を受ける。
【0043】
すると、出力ディスク6の複数本のピン部8の根元部分に多大な応力が加わり、複数本のピン部8の根元部分が破損する(折れる)ため、出力ディスク6の側壁部22と複数本のピン部8とが分離され、Vベルトプーリ本体5およびゴムダンパー9が出力ディスク6に対してフリーで自転する。このように、Vベルトプーリ本体5と出力ディスク6との間に設定トルク以上のトルク差が生じた時には、リミッター機構が作動することにより、Vベルトプーリ本体5から出力ディスク6へのトルクの伝達が遮断されるので、エンジンからコンプレッサ1の駆動軸2への動力伝達経路が遮断される。
【0044】
なお、破損して側壁部22の内側端面より離れた複数のピン部8は、その根元部分の周囲がゴムダンパー9に囲まれており、また、複数のピン部8の先端部分は複数個の凹状部7の嵌合穴18に保持されるので、破損して側壁部22の内側端面より離れた複数のピン部8もVベルトプーリ本体5の回転に伴ってゴムダンパー9と共に回転する。
【0045】
そして、これらのピン部8およびゴムダンパー9の回転は、Vベルトプーリ本体5の回転に何ら障害を与えるものではないので、複数本のピン部8の根元部分が破損した段階でリミッター作動が瞬時に完了し、Vベルトプーリ本体5から出力ディスク6への動力伝達経路は瞬時に完全に遮断されることになる。
【0046】
これにより、コンプレッサ1の駆動軸2がロックする等してVベルトプーリ本体5と出力ディスク6との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際にVベルトプーリ本体5の回転速度の低下を抑えることができるので、Vベルトプーリ本体5とVベルトとの間で速度差が生じることはない。これにより、Vベルトプーリ本体5とVベルトとの間で滑りが発生することはなく、Vベルトに摩耗および破断が生じることはない。
【0047】
〔第1実施例の効果〕
以上のように、本実施例のリミッター機構を備えたVベルトプーリ装置は、少なくとも出力ディスク6の使用材料を鉄系の金属材料よりも安価で軽量な樹脂材料へ変更しているので、Vベルトプーリ装置の軽量化および低コスト化を達成することができる。また、リミッター機構をVベルトプーリ本体5および出力ディスク6に一体的に設けることにより、Vベルトプーリ装置の主要部品の他にリミッター機構を構成する多板の摩擦部材等が不要となる。これにより、リミッター機構の部品点数を低減でき、組付工数を低減できるので、更に製品価格を低減することができる。
【0048】
そして、リミッター機構を構成する複数個の凹状部7および複数本のピン部8をVベルトプーリ本体5の筒壁部11の内周に収まる軸方向寸法としているので、Vベルトプーリ本体5の軸方向寸法よりも大きくなってしまう多板式の摩擦部材を備えた従来のVベルトプーリ装置と比較して、軸方向寸法を縮小化することができ、リミッター機構を備えたVベルトプーリ装置のサイズをコンパクト化することができる。
【0049】
ここで、リミッター機構を備えたVベルトプーリ装置が、コンプレッサ1以外の種々なエンジン補機(例えばオルタネータ、ウォータポンプ、油圧ポンプ等)と共通のVベルトにて、エンジンからの回転動力が伝達されるように構成されている場合でも、Vベルトプーリ本体5と出力ディスク6との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に瞬時にリミッター作動が完了する。これにより、Vベルトの摩耗や破断を防止できるので、自動車等の車両の走行不能という重大な故障を引き起こすことはない。
【0050】
〔第2実施例〕
図5ないし図8は本発明の第2実施例を示したもので、図5ないし図7はリミッター機構を備えたVベルトプーリ装置の全体構成を示した図で、図8はVベルトプーリ本体と複数個のゴムダンパーを示した図である。
【0051】
本実施例のVベルトプーリ本体5の複数個の肉厚部35にそれぞれ設けられた複数個(本例では8個)の凹状部7は、略長方形状の中空部を成し、Vベルトプーリ本体5の側壁部32の周方向(同一円周上)に等間隔(例えば45°間隔)で配設され、開口側に伝達穴37を有し、奥側に、伝達穴37の内径よりも小さい嵌合穴38を有している。なお、伝達穴37の穴壁面には、略U字形状のゴムダンパー9の回転方向の両側壁部分にそれぞれ当接することで通常作動時にトルクをゴムダンパー9に伝える凸部37a、37bが形成されている。
【0052】
そして、凹状部7の伝達穴37と嵌合穴38との間には、ゴムダンパー9の軸方向の位置ずれを防止するためにゴムダンパー9の一端部を係止する段差(係止部)39、および伝達穴37と嵌合穴38とを結ぶ中間穴40が形成されている。なお、凹状部7は、伝達穴37、中間穴40、嵌合穴38の順で内径が小さくなるように形成されている。また、肉厚部(リブ部)35よりも肉厚が薄い肉薄部36は、材料費軽減のために設けられている。
【0053】
本実施例の出力ディスク6に設けられた複数個(本例では8個)のピン部8は、それぞれ長方形状(平板状)に形成され、側壁部22に形成された略円環状のスリット45の内側より軸方向に突出し、Vベルトプーリ本体5の凹状部7の伝達穴37内に緩やかに嵌め合わされる根元部分、および凹状部7の嵌合穴38に緩やかに嵌め合わされる先端部分を有している。
【0054】
また、側壁部22の外周部の外側端面には、複数本のピン部8に対応した箇所に、上記のスリット45を伴って、Vベルトプーリ本体5に衝撃トルクが発生した際に、ピン部8をその根元部分で破損させる(折る)ことにより、出力ディスク6の側壁部22と複数本のピン部8とを分離するための針形状のスリット46が形成されている。
【0055】
本実施例の複数個のゴムダンパー9は、略U字形状となるように一体成形されている。これらのゴムダンパー9は、開口部分がVベルトプーリ本体5の側壁部22の径方向の外方に位置し、閉塞部分がVベルトプーリ本体5の側壁部22の径方向の内方に位置し、両側壁部分が凸部37a、37bに当接して保持されており、Vベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の伝達穴37の内周と出力ディスク6の複数本のピン部8の根元部分の外周との間に挟み込まれている。
【0056】
通常作動時には、Vベルトを介してVベルトプーリ本体5の筒壁部11にエンジンの回転動力(トルク)が伝達されると、ゴムダンパー9を介してVベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の伝達穴37の凸部37a、37bから複数本のピン部8の根元部分付近の荷重点Aがトルク伝達による力を受ける。これにより、ゴムダンパー9を介してVベルトプーリ本体5から出力ディスク6へのトルクの伝達が成される。
【0057】
また、リミッター作動時、すなわち、Vベルトプーリ本体5と出力ディスク6との間に設定トルク以上のトルク差が生じた時には、Vベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の嵌合穴38の内周から出力ディスク6の複数本のピン部8の先端部分の荷重点Bがトルク伝達による力を受ける。
【0058】
すると、出力ディスク6の複数本のピン部8の根元部分に多大な応力が加わり、複数本のピン部8の根元部分が破損する。これにより、Vベルトプーリ本体5から出力ディスク6へのトルクの伝達が遮断されるので、エンジンからコンプレッサ1の駆動軸2への動力伝達経路が遮断される。
【0059】
〔第3実施例の構成〕
図9ないし図12は本発明の第3実施例を示したもので、図9(a)〜図9(c)はゴムダンパーを示した図で、図10および図11はVベルトプーリ本体(ロータ)の全体構成を示した図で、図12(a)は出力ディスクの全体構成を示した図で、(b)は出力ディスクの主要構成を示した図である。
【0060】
本実施例のVベルトプーリ本体(ロータ)5の側壁部12の肉厚部15内には、複数個(本例では6個)の凹状部7がそれぞれ形成されている。これらの凹状部7の周方向の両内壁面は、径方向の内径側から外径側に向かって徐々に間隔が拡がるように傾斜している。
【0061】
そして、複数個の凹状部7の周方向の両内壁面には、ゴムダンパー9に圧縮変形を与えるための一対の突起部(伝達部)51が設けられている。これらの突起部51は、通常作動時のトルク伝達を行うと共に、リミッター作動時にピン部8にトルク伝達を行う伝達部として機能する。そして、一対の突起部51には、凹状部7の奥側から開口側に向けて一対の突起部51間の隙間(間隔)が徐々に拡がるようにテーパ部52が設けられ、ゴムダンパー9を凹状部7内に挿入し易くしている。なお、テーパ部52を含む突起部51の形状を球面形状にしても良い。
【0062】
そして、複数個の凹状部7の径方向の外径側端部で、且つ周方向の両端部には、ゴムダンパー9の外径側を保持するための一対の第1保持部(R部)53が設けられている。また、複数個の凹状部7の径方向の内径側端部で、且つ周方向の両端部には、ゴムダンパー9の内径側を保持するための一対の第2保持部(R部)54が設けられている。なお、これらの第1、第2保持部53、54は、R形状の内壁面を有している。
【0063】
そして、複数個の凹状部7の径方向の外径側端面は、ゴムダンパー9の外径側端面との間に第1空隙55が形成され、また、複数個の凹状部7の径方向の内径側端面は、ゴムダンパー9の内径側端面との間に第2空隙56が形成されている。なお、凹状部7とゴムダンパー9との第1、第2空隙55、56の大きさを変更することにより、ゴムダンパー9のバネ特性(ダンパー特性)を変えることができる。
【0064】
そして、本実施例の出力ディスク6の側壁部22の外周部の端面からは、複数個の凹状部7内に差し込まれる複数本(本例では6本)のピン部8が軸方向に突出している。これらのピン部8の根元部分および中間部分は平板形状の断面を有し、その先端部分は円形状の断面を有する。
【0065】
そして、複数本のピン部8の根元部分の周方向の両外壁面には、先端側に向けて外径が漸減するように一対のテーパ部61が設けられている。また、複数本のピン部8の中間部分には、ゴムダンパー9の中空部71内に挿入される被挿入部62が設けられている。その被挿入部62の周方向の両外壁面は、ゴムダンパー9の内壁面に当接する。さらに、複数本のピン部8の先端部分には、ゴムダンパー9の丸穴部72内に嵌め込まれる円柱形状の頭部(本発明の被嵌合部に相当する)63が設けられている
【0066】
そして、Vベルトプーリ本体5の複数個の凹状部7の内壁面と出力ディスク6の複数本のピン部8の外壁面との間に挟み込まれるゴムダンパー9は、例えば塩素化ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム等を所定の形状となるように一体成形されている。
【0067】
ゴムダンパー9の径方向の外径側端部で、且つ周方向の両端部には、一対の第1保持部53に保持固定される一対の第1被保持部73が一対の第1保持部53の内壁面形状に対応した形状に形成されている。また、ゴムダンパー9の径方向の内径側端部で、且つ周方向の両端部には、一対の第2保持部54に保持固定される一対の第2被保持部74が一対の第2保持部54の内壁面形状に対応した形状に形成されている。
【0068】
そして、ゴムダンパー9には、凹状部7の周方向の両内壁面(一対の突起部51)に当接する一対の側壁部75が設けられている。これらの側壁部75の外壁面は、径方向の内径側から外径側に向かって徐々に両側壁部75の外形線の間隔が拡がるように傾斜している。また、一対の側壁部75の内壁面(対向面)は、径方向の内径側から外径側に向かって徐々に両側壁部75の外形線の間隔が拡がるように傾斜している。なお、一対の側壁部75の内壁面の傾斜よりも外壁面の傾斜の方が大きい。さらに、一対の側壁部75の内壁面の開口側には、奥側から開口側に向けて間隔が漸増するように一対のテーパ部76が設けられている。
【0069】
そして、ゴムダンパー9の一対の側壁部75の奥側には、略中央部分に丸穴部72が形成された底壁部(連結部)77が一体的に形成されている。この底壁部77の奥側面は、凹状部7の奥側の底壁面に当接すると共に、丸穴部72内にピン部8の頭部63が差し込まれる。そして、一対の側壁部75の内壁面と底壁部77の底壁面との間には、ピン部8の一対のテーパ部61および被挿入部62よりも周方向の寸法がやや小さく、径方向の内径側から外径側に貫通した中空部71が設けられている。
【0070】
〔第3実施例の組付方法〕
次に、本実施例のVベルトプーリ本体(ロータ)5に出力ディスク6およびゴムダンパー9を組み付ける組付方法を図9ないし図12に基づいて簡単に説明する。
【0071】
先ず、複数個のゴムダンパー9を、Vベルトプーリ本体(ロータ)5の側壁部12の肉厚部15に形成された複数個の凹状部7内に差し込む(図10の二点鎖線を参照)。ここで、凹状部7の内壁面には、後でゴムダンパー9に圧縮変形を与えるために一対の突起部51が設けられているが、一対の突起部51の開口側には一対のテーパ部52が設けられているので、ゴムダンパー9を凹状部7内に挿入し易くなっている。
【0072】
また、ゴムダンパー9の第1、第2被保持部73、74が凹状部7の第1、第2保持部53、54に強固に保持されることにより、ゴムダンパー9が凹状部7から脱落することはなく、また、ゴムダンパー9に遠心力に対する抵抗力を具備させることもできる。
【0073】
次に、出力ディスク6の側壁部22をVベルトプーリ本体5の側壁部12に近づけて、複数本のピン部8をピン部8の一対のテーパ部61がゴムダンパー9の一対のテーパ部76に当接するまで、複数個の凹状部7(ゴムダンパー9の中空部71)内に差し込む。
【0074】
このとき、ゴムダンパー9の一対の側壁部75の内壁面の開口側に設けた一対のテーパ部76によって、ピン部8の頭部63および被挿入部62がスムーズに差し込まれ、更に、ピン部8の頭部63がゴムダンパー9の底壁部77の略中央部分に設けた丸穴部72に嵌め合わされる。
【0075】
このように、出力ディスク6をVベルトプーリ本体5に組み付けることによって、出力ディスク6をVベルトプーリ本体5に装着すると同時に、凹状部7の内壁面に形成された一対の突起部51とピン部8の被挿入部62の外壁面との間にゴムダンパー9が挟み込まれてゴムダンパー9の一対の側壁部75に圧縮変形が与えられる。なお、出力ディスク6のピン部8にゴムダンパー9を先に装着してから、出力ディスク6のピン部8およびゴムダンパー9をVベルトプーリ本体5の凹状部7内に嵌め込むようにしても良い。
【0076】
〔第3実施例の効果〕
以上により、本実施例のリミッター機構を備えたVベルトプーリ装置においては、簡単に出力ディスク6のピン部8を凹状部7に挿入し易くなるので、組付作業性、生産性を向上することができる。
【0077】
また、Vベルトプーリ本体5の凹状部7内にゴムダンパー9を挿入した際に、凹状部7の4隅に設けられた第1、第2保持部53、54内に、ゴムダンパー9の4隅に設けられた第1、第2被保持部73、74が保持固定されるので、容易にゴムダンパー9を保持できる。それによって、生産性を向上でき、且つ品質面をも向上することができる。
【0078】
〔変形例〕
本実施例では、本発明を、自動車等の車両に搭載されるエンジンによりベルト駆動されるVベルトプーリ装置に適用した例を説明したが、本発明を、工場等の定位置に置かれる内燃機関や電動モータ等の駆動源によりベルト駆動または出力軸により直接駆動される動力伝達装置に適用しても良い。また、本実施例では、多段式のVベルトプーリ(Vリブドプーリ)を用いたが、1個のV溝を有するVベルトプーリを用いても良い。この場合には、Vベルトプーリに対応した形状のVベルトを使用する。
【0079】
本実施例では、駆動側回転体としてエンジンによりベルト駆動されるVベルトプーリ本体5を適用し、従動側回転体としてコンプレッサ1の駆動軸2を直接駆動する出力ディスク6を適用した例を説明したが、駆動側回転体として駆動源の出力軸に装着されるハブ部材を用い、従動側回転体として回転装置の回転軸に装着されたプーリに掛け渡されるベルトにトルクを伝達するプーリを用いても良い。例えばコンプレッサが故障したら、コンプレッサ専用ベルトの駆動を停止すれば良いので、エンジンのクランク軸に装着されたハブ部材(駆動側回転体)とコンプレッサ専用ベルトが掛けられるクランクプーリ(従動側回転体)との動力伝達経路を遮断する。
【0080】
本実施例では、本発明を、車両用空調装置の冷凍サイクルの一構成部品を成すコンプレッサ1を常時駆動するリミッター機構を備えたVベルトプーリ装置(動力伝達装置)に適用した例を説明したが、本発明を、その他の回転装置(例えばオルタネータ、ウォータポンプ、油圧ポンプ、ブロワまたはファン)を常時駆動するリミッター機構を備えた動力伝達装置に適用しても良い。
【0081】
本実施例では、根元部分から先端部分にかけて同一の外径とされた丸棒状または平板状のピン部8を設けた例を説明したが、図13に示すように、Vベルトプーリ本体5の凹状部7の伝達穴17内に緩やかに嵌め合わされる根元部分から凹状部7の嵌合穴18に緩やかに嵌め合わされる先端部分へ向かって徐々に外径が大きくなるようにそれぞれ円錐台形状に形成されたピン部8を設けて、リミッター作動時に根元部分で折れ易くしても良い。また、ピン部8の外形形状の変更に応じて凹状部7の中空形状を変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】Vベルトプーリ装置の主要構成を示した断面図である(第1実施例)。
【図2】Vベルトプーリ装置の全体構成を示した平面図である(第1実施例)。
【図3】図2のA−A断面図である(第1実施例)。
【図4】Vベルトプーリ本体と複数個のゴムダンパーを示した平面図である(第1実施例)。
【図5】Vベルトプーリ装置の全体構成を示した平面図である(第2実施例)。
【図6】図5のB−B断面図である(第2実施例)。
【図7】図5のC−C断面図である(第2実施例)。
【図8】Vベルトプーリ本体と複数個のゴムダンパーを示した平面図である(第2実施例)。
【図9】(a)はゴムダンパーを示した側面図で、(b)はゴムダンパーを示した平面図で、(c)は(b)のD−D断面図である(第3実施例)。
【図10】Vベルトプーリ本体(ロータ)の全体構成を示した平面図である(第3実施例)。
【図11】図10のE−E断面図である(第3実施例)。
【図12】(a)は出力ディスクの全体構成を示した平面図で、(b)は出力ディスクの主要構成を示した側面図である(第3実施例)。
【図13】Vベルトプーリ装置の主要構成を示した断面図である(変形例)。
【符号の説明】
1 コンプレッサ(回転装置)
2 駆動軸(回転軸)
5 Vベルトプーリ本体(駆動側回転体)
6 出力ディスク(従動側回転体)
7 凹状部(凹状嵌合部)
8 ピン部(凸状嵌合部)
9 ゴムダンパー(ゴム系の弾性体)
25 スリット
26 スリット
45 スリット
46 スリット

Claims (7)

  1. 駆動源により回転駆動されて環板状の駆動側回転体と回転装置の回転軸に連結されて環板状の従動側回転体との間にゴム系の弾性体が装着され、
    前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に、前記駆動側回転体から前記従動側回転体へのトルクの伝達を遮断するリミッター機構を備えた動力伝達装置であって、
    前記駆動側回転体は、開口側から奥側に向けて軸方向に形成された凹状嵌合部を有し、
    前記従動側回転体は、根元側から先端側に向けて軸方向に突出するように延長されて、前記凹状嵌合部内に、前記凹状嵌合部と周方向に隙間を持って嵌め合わされる凸状嵌合部を有し、
    前記弾性体は、前記凹状嵌合部の開口側の内周と前記凸状嵌合部の根元側の外周との間に挟み込まれ
    通常作動時には、前記凸状嵌合部の根元部分に近い部位が、弾性体を介して、トルク伝達による力を受け、
    前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際には、前記凸状嵌合部の根元部分から遠い部位が、前記凹状嵌合部の内周と当接し、トルク伝達による力を受けることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1に記載の動力伝達装置において、
    前記従動側回転体には、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に、前記凸状嵌合部の根元部分で折れるようにスリットが形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の動力伝達装置において、
    前記駆動側回転体は、鉄系の金属材料または樹脂材料により所定の形状に一体成形され、
    前記従動側回転体は、熱可塑性樹脂材料または熱硬化性樹脂材料により所定の形状に一体成形されたことを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれかに記載の動力伝達装置において、
    前記凹状嵌合部は、複数個設けられ、前記駆動側回転体の周方向に所定の間隔で配設され、
    前記凸状嵌合部は、複数個設けられ、前記従動側回転体の周方向に前記凹状嵌合部と略同一の間隔で配設され、
    前記弾性体は、複数個設けられ、前記複数個の凹状嵌合部の開口側の内周と前記複数個の凸状嵌合部の根元側の外周との間にそれぞれ挟み込まれていることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 駆動源により回転駆動されて環板状の駆動側回転体と回転装置の回転軸に連結されて環板状の従動側回転体との間にゴム系の弾性体が装着され、
    前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に設定トルク以上のトルク差が生じた際に、前記駆動側回転体から前記従動側回転体へのトルクの伝達を遮断するリミッター機構を備えた動力伝達装置であって、
    前記駆動側回転体は、開口側から奥側に向けて軸方向に形成された凹状嵌合部を有し、
    前記従動側回転体は、根元側から先端側に向けて軸方向に突出するように延長されて、前記凹状嵌合部内に、前記凹状嵌合部と周方向に隙間を持って嵌め合わされる凸状嵌合部を有し、
    前記弾性体は、前記凹状嵌合部の内周と前記凸状嵌合部の外周との間に挟み込まれ、
    前記凹状嵌合部の周方向の両内壁面には、前記弾性体に圧縮変形を与えるための一対の突起部が設けられ、
    これらの突起部には、前記凹状嵌合部の奥側から開口側に向けて前記一対の突起部間の隙間が徐々に拡がるようにテーパ部が設けられていることを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項に記載の動力伝達装置において、
    前記凹状嵌合部の径方向の外径側端部で且つ周方向の両端部には、前記弾性体を保持する一対の保持部が設けられ、
    前記弾性体の径方向の外径側端部で且つ周方向の両端部には、前記一対の保持部に保持される一対の被保持部が設けられていることを特徴とする動力伝達装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の動力伝達装置において、
    前記弾性体には、前記凹状嵌合部の周方向の両内壁面に当接する一対の側壁部、これらの側壁部の奥側に設けられて、略中央部分に穴部を有する底壁部、および前記一対の側壁部の内壁面と前記底壁部の底壁面との間に形成された中空部が設けられ、
    前記凸状嵌合部の根元部分には、先端側に向けて外径が漸減するようにテーパ部が設けられ、前記凸状嵌合部の中間部分には、前記弾性体の中空部内に挿入される被挿入部が設けられ、前記凸状嵌合部の先端部分には、前記弾性体の穴部内に嵌め込まれる被嵌合部が設けられていることを特徴とする動力伝達装置。
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