JP4013628B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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    • F16H35/00Gearings or mechanisms with other special functional features
    • F16H35/10Arrangements or devices for absorbing overload or preventing damage by overload
    • F16H2035/103Arrangements or devices for absorbing overload or preventing damage by overload with drive interruption by structural failure of overload preventing means, e.g. using shear pins

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動源から回転装置の回転軸へ回転動力を伝達する動力伝達装置に関するもので、特に回転装置の回転軸がロックするなどの過負荷トルクが生じると、駆動源から回転装置の回転軸への動力伝達経路を遮断するトルクリミッタ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば0%容量まで冷媒の吐出容量を変化させることが可能な可変容量型冷媒圧縮機を備えた冷凍サイクルにおいては、駆動源であるエンジンから冷媒圧縮機の駆動軸へ回転動力(トルク)の伝達を断続するクラッチ機構が不要となる。しかるに、クラッチ機構を廃止した場合には、冷媒圧縮機が焼き付き故障を生起するなどして冷媒圧縮機の駆動軸のロックが発生すると、通常の伝達トルクよりも非常に大きい過負荷トルク(リミッタ作動トルク)が生じる。それによって、冷媒圧縮機の駆動軸を駆動するための従動側回転体であるプーリの回転が止まるので、エンジンに駆動されるベルトが滑り、ベルトに摩耗が生じ、ベルトが発熱するなどしてベルトが破断する可能性がある。
【0003】
そこで、冷媒圧縮機の駆動軸がロックするなどの過負荷トルクが生じ、プーリと冷媒圧縮機の駆動軸との間に設定トルク以上のトルク差が生じると、エンジンから冷媒圧縮機の駆動軸への動力伝達経路を遮断するトルクリミッタ機構を備えた動力伝達装置として、例えば、特開2002−054711号公報に開示されている。この公報では、駆動源であるエンジンによりベルト駆動される駆動側回転体であるプーリとこのプーリに結合され、回転装置である冷媒圧縮機の回転軸に結合される従動側回転体であるハブ部材とから構成されている。
【0004】
さらに、このハブ部材は、外周側(外径側)にアフタハブおよび冷媒圧縮機の回転軸の外周に結合するインナハブから構成され、このインナハブは、焼結金属などの塑性材料で形成され、内周側(内径側)に設けられた円環板状の内輪部、この内輪部よりも外周側(外径側)に設けられた略円環板状の外輪部および内輪部の外周と外輪部の内周とを連結する複数個のブリッジ部を備えている。そして、インナハブに冷媒圧縮機の回転軸がロックするなどの過負荷トルクが生じた際に、上記ブリッジ部が優先的に破損するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発明者らの研究によると、塑性的性質を持つ材料特性として、リミッタ作動トルクは、ブリッジ部の応力分布と関係することを見出した。すなわち、ブリッジ部が破損する際は、応力集中部(亀裂開始部位)が材料特性の塑性域となることで、過負荷トルクの力を受け持つ力が減少(応力が低くなる)する。そのために、リミッタ作動トルクが上昇し設定トルク以上のトルクが作用したときに破損するためベルト滑りなどの不具合を回避できなくなる問題がある。
【0006】
これを発明者らはシミュレーション解析(仮想設計)によって設定トルクにおけるブリッジ部の応力分布を求めることで、上記のような平板状のブリッジ部においてリミッタ作動トルクが上昇してしまうことを見出した。図11はインナハブ100に設定トルクをかけたときの内輪部110と外輪部120との継ぎ目であるブリッジ部130の応力分布を求めた特性図であって、図中、A1は応力が200〜250MPa、A2は250〜275MPa、A3は275〜300MPa、およびA4は300〜325MPaの応力の範囲を示したものである。
【0007】
この応力分布においては、設定トルク近傍で破損させるにはA3の応力値を受け持った部分から破損するものであるがこのA3の応力値以下のゾーンが大半を占めているため、このときには破損に至らずリミッタ作動トルクが上昇し、設定トルク以上のトルクが作用したときに破損することが分かった。これにより、ブリッジ部130の応力分布をA3の応力値で均一となるような断面形状とすることでリミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損させることを判明した。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであり、応力分布が均一となるブリッジ部を形成することで、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損できる動力伝達装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項7に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、駆動源から回転動力を受けて回転する駆動側回転体(7)と、回転装置(1)の回転軸に結合される従動側回転体(8)とを備え、駆動側回転体(7)と従動側回転体(8)とを連結して駆動側回転体(7)の回転を従動側回転体(8)に伝達する動力伝達装置であって、
従動側回転体(8)は、回転装置(1)の回転軸の外周側に結合される内輪部(31)、内輪部(31)よりブリッジ部(33)を介して内輪部(31)の外周側に形成される外輪部(32)を含むインナハブ(22)を有し、従動側回転体(8)に過負荷トルクが生じた際に優先的に破損する破損部(37)を、ブリッジ部(33)に設け、しかも破損部(37)には過負荷トルクによる応力分布を略均一にする溝部(33a)が形成されているとともに、溝部(33a)が内輪部(31)から外周側に延びる方向に略凹状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、この種のトルクリミッタ機構である破損部(37)が破損する際は、概して、亀裂開始部位の応力集中部が材料特性の弾性域から塑性域となることで、過負荷トルクの力を受け持つ力が減少(応力が低くなる)する。そのために、リミッタ作動トルクが上昇し設定トルク以上のトルクが作用したときに破損するためベルト滑りなどの不具合を回避できなくなる問題がある。
【0011】
そこで、本発明では、破損部(37)を、ブリッジ部(33)に設け、しかも破損部(37)には過負荷トルクによる応力分布を略均一にする略凹状の溝部(33a)が形成されていることにより、亀裂開始部位の応力集中部において、過負荷トルクの力を受け持つ力による設定トルクに相当するリミッタ作動トルクで破損させることができる。従って、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損させることができる。
【0012】
また、破損部(37)をブリッジ部(33)に設けることにより、トルクリミッタ機構が簡易な構造で実現することができるとともに、確実にリミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損させることができる。従って、回転装置(1)以外の種々なエンジン補機類と共通のVベルトにてエンジンからのトルクが伝達されるように構成されている場合でもVベルトの磨耗や破断を防止できるので、例えば自動車などの車両の走行不能という重大な故障を引き起こすことはない。
【0013】
請求項2に記載の発明では、溝部(33a)は、破損部(37)の破損方向に対し交差するように略凹状の溝を形成したことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、具体的に、溝部(33a)を略凹状に形成したことにより、過負荷トルクが生じた際に、破損部(37)の応力分布が略均一となることで上述した請求項1と同じ効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載の発明では、溝部(33a)は、破損部(37)の破損方向に対し交差するように略半円状の溝を形成したことを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、略半円状の溝を形成したことにより、上記略凹状の溝よりもより破損部(37)の応力分布が略均一となる。従って、より亀裂開始部位の応力集中部において、過負荷トルクの力を受け持つ力による設定トルクに相当するリミッタ作動トルクで破損させることができる。
請求項4に記載の発明では、溝部(33a)の外周に平坦部(33b)を形成したことを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、略半円状および略凹状の外周に平坦部(33b)を形成したことにより、成型加工によるバリが発生しにくいため、バリによる強度不足が生じない。
【0018】
請求項5に記載の発明では、インナハブ(22)は、内輪部(31)または外輪部(32)の強度をブリッジ部(33)の強度と比べて高く設定していることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、内輪部(31)または外輪部(32)の強度がブリッジ部(33)よりも高くなり、亀裂が強度の弱い方向に沿って進展する。従って、使用環境に左右されず、より確実にブリッジ部(33)の所定の位置で破損するので、リミッタ作動トルクのバラツキを小さくすることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、従動側回転体(8)は、その従動側回転体(8)において外径側に配設された樹脂製のアウタハブ(21)、および従動側回転体(8)において内径側に配設されて、アウタハブ(21)にインサート成形された金属製のインナハブ(22)を有し、インナハブ(22)とアウタハブ(21)との結合部には、周方向に所定の間隔で、アウタハブ(21)との結合力を高めるための複数の穴部(36)が設けられていることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、インナハブ(22)とアウタハブ(21)との結合力を高めることで、使用環境に左右されず、より確実にブリッジ部(33)の所定の位置で破損するので、リミッタ作動トルクのバラツキを小さくすることができる。
請求項7に記載の発明では、駆動源から回転動力を受けて回転する駆動側回転体(7)と、回転装置(1)の回転軸に結合される従動側回転体(8)とを備え、駆動側回転体(7)と従動側回転体(8)とを連結して駆動側回転体(7)の回転を従動側回転体(8)に伝達する動力伝達装置であって、
従動側回転体(8)は、回転装置(1)の回転軸の外周側に結合される内輪部(31)、この内輪部(31)より複数のブリッジ部(33)を介して内輪部(31)の外周側に形成される外輪部(32)を含むインナハブ(22)を有しており、
複数のブリッジ部(33)には、インナハブ(22)に過負荷トルクが生じた際に優先的に破損する破損部(37)が設けられ、かつブリッジ部(33)は、複数のブリッジ部(33)を含む平面内において、内輪部(31)から外周側に延びる方向に略凹状の溝部(33a)が形成されていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明によれば、ブリッジ部(33)には、過負荷トルクによる応力分布を略均一にする略凹状の溝部(33a)による破損部(37)が形成されていることにより、亀裂開始部位の応力集中部において、過負荷トルクの力を受け持つ力による設定トルクに相当するリミッタ作動トルクで破損させることができる。従って、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損させることができる。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の動力伝達装置をコンプレッサプーリ装置に適用した一実施形態について、図1ないし図10に基づいて説明する。まず、図1および図2に示す、本実施形態のコンプレッサプーリ装置は、駆動源であるエンジンを搭載する自動車などの車両のエンジンルーム内に配設されて、エンジン補機(以下、冷媒圧縮機と称す。)へエンジンの回転動力を伝達する動力伝達装置で、後述するトルクリミッタ機構を備えている。
【0024】
ここで、図1に示すように、本実施形態で使用される冷媒圧縮機1は、本発明の回転装置に相当するもので、車両用空調装置の冷凍サイクルの一構成部品である。この冷媒圧縮機1は、冷媒圧縮部(図示せず)と、0%容量まで冷媒の吐出容量を変化させることが可能な吐出容量可変手段(図示せず)と、冷媒圧縮部および吐出容量可変手段を収容する円筒形状のコンプレッサハウジング(以下ハウジングと略す)1aとから構成された可変容量型冷媒圧縮機である。
【0025】
ハウジング1aは、例えばコンプレッサプーリ装置側から順に、フロントハウジング、シリンダおよびリヤハウジングなどよりなる。そして、冷媒圧縮部は、シャフト2を回転させることにより吸入した冷媒を圧縮し吐出する。そのシャフト2は、本発明の回転軸に相当するもので、先端部に外周ねじ部(雄ねじ部)3を有している。
【0026】
ハウジング1aの前端部には、中央部より軸方向外方側に突出するように円筒形状のスリーブ部4が一体的に形成されている。このスリーブ部4は、外周側においてボールベアリング5を保持する軸受保持部である。なお、スリーブ部4の外周には、ボールベアリング5をハウジング1の円環状の段差部分との間に挟み込んだ状態で係止するサークリップ6が嵌め込まれている。
【0027】
コンプレッサプーリ装置は、エンジンの運転時に常時回転するVプーリ(入力ディスク、ロータ)7と、このVプーリ7からトルクを受けると回転する出力ディスク8と、Vプーリ7と出力ディスク8との間に装着された複数個(本例では6個)のゴムダンパ9とから構成されている。
【0028】
このVプーリ7は、本発明の駆動側回転体に相当するもので、例えば鉄系の金属材料、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂材料またはアルミニウム系の金属材料により所定の形状に一体成形されている。このVプーリ7は、図1ないし図3に示すように、エンジンに常時駆動される略円筒形状の筒壁部11、この筒壁部11よりも内径側に設けられた側壁部12、およびこの側壁部12よりも内径側に設けられボールベアリング5の外周側を保持するための軸受保持部13などを有している。
【0029】
筒壁部11の外周には、多段式のVベルト(図示せず)が掛けられている。このため、筒壁部11の外周には、Vベルトの内周面に形成された複数のV字状溝部に対応した複数のV字状溝部14が形成されている。そして、そのVベルトは、エンジンのクランク軸に取付けられたクランクプーリ(図示せず)に掛け渡されている。なお、Vベルトは、コンプレッサプーリ装置だけでなく、他のエンジン補機類(例えばオルタネータ、エンジン冷却装置のウォータポンプ、パワーステアリング装置の油圧ポンプなど)のVプーリ装置にも共掛けされている。
【0030】
また、図3に示すように、側壁部12には、後述する複数個のゴム系の弾性体であるゴムダンパ9がそれぞれ装着される軸方向穴15が周方向に等間隔(例えば60°間隔)で複数個(本例では6個)形成されている。この軸方向穴15の周方向の両内壁面は、径方向の内径側から外径側に向かって徐々に間隔が拡がるように傾斜している。そして、複数個の軸方向穴15の両内壁面には、ゴムダンパ9に圧縮変形を与えるための一対の突起部70が設けられている。
【0031】
これらの突起部70は、通常作動時のトルク伝達を行うと共に、リミッタ作動時に後述するピン部23にトルク伝達を行う伝達部として機能する。一対の突起部70には、軸方向穴15の奥側から開口側に向けて一対の突起部70の隙間(間隔)を徐々に拡げるようにテーパ部が設けられ、ゴムダンパ9を軸方向穴15内に圧入し易くしている。
【0032】
そして、軸方向穴15の外径側端部で、且つ周方向の両端部には、ゴムダンパ9の外径側を保持するための一対の第1保持部(R部)71が設けられている。また、軸方向穴15の内径側端部で、且つ周方向の両端部には、ゴムダンパ9の内径側を保持するための一対の第2保持部(R部)72が設けられている。なお、これらの第1、第2保持部71、72は、R形状の内壁面を有している。また、周方向の一方側の第1保持部71には、後述するゴムダンパ9の外径側に設けられる球形状の凸部99が嵌め込まれる球面形状の凹部73が形成されている。
【0033】
そして、軸方向穴15の外径側端面は、後述するゴムダンパ9の外径側端面(第1凹状部74)との間に第1空隙が形成され、軸方向穴15の内径側端面は、後述するゴムダンパ9の内径側端面(第2凹状部75)との間に第2空隙が形成されている。なお、軸方向穴15とゴムダンパ9との第1、第2空隙の大きさを変更することにより、ゴムダンパ9のバネ特性(ダンパ特性)を変えることができる。
【0034】
次に、出力ディスク8は、本発明の従動側回転体に相当するもので、Vプーリ7の側壁部12よりも前方側で、側壁部12の前壁面に対向するように配置されたハブ部材である。この出力ディスク8は、図4および図5に示すように、外周側(外径側)に配された樹脂製のアウタハブ21、冷媒圧縮機1のシャフト2の外周に結合する金属製のインナハブ22、およびインナハブ22の前端面を覆うディスクカバー60などから一体に構成している。
【0035】
アウタハブ21は、例えばナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂またはフェノール系樹脂などの熱硬化性樹脂により所定の形状に一体成形されている。このアウタハブ21の後壁面からは、図1および図4に示したように、図示右側に突出する複数個(本例では6個)の上述した軸方向穴15内に差し込まれるピン部23が周方向に等間隔(例えば60°間隔)で形成されている。
【0036】
詳しくは、図5(b)に示すように、ピン部23の根元部分および中間部分は平板形状の断面を有し、その先端部分は円形状の断面を有している。そして、ピン部23の根元部分の周方向の両外壁面には、先端側に向けて外径が漸減するように一対のテーパ部76が設けられている。また、ピン部23の中間部分は、ゴムダンパ9内に挿入されて、その外壁面の一部に突起部77が設けられている。さらに、ピン部23の先端部分には、ゴムダンパ9の丸穴部95内に嵌め込まれる円柱形状の頭部79が設けられている。
【0037】
ここで、軸方向穴15の内壁面とピン部23の外壁面との間に挟み込まれるゴムダンパ9は、例えば塩素化ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムなどのゴム系弾性材からなり、かつ所定の形状となるように一体成形している。図6に示すように、ゴムダンパ9の外径側端部で、かつ周方向の両端部には、一対の第1保持部71に保持固定される一対の第1被保持部91が一対の第1保持部71の内壁面形状に対応した形状に形成されている。
【0038】
なお、第1被保持部91には、軸方向穴15の周方向の一方側の第1保持部71に形成された凹部73内に嵌め込まれる球形状の凸部99が一体的に形成されている。また、ゴムダンパ9の内径側端部で、かつ周方向の両端部には、一対の第2保持部72に保持固定される一対の第2被保持部92が一対の第2保持部72の内壁面形状に対応した形状に形成されている。
【0039】
そして、ゴムダンパ9には、軸方向穴15の両内壁面(一対の突起部70)に当接する一対の側壁部93が設けられている。これらの側壁部93の外壁面は、内径側から外径側に向かって徐々に両側壁部93の外形側の間隔が拡がるように傾斜している。また、一対の側壁部93の内壁面(対向面)は、内径側から外径側に向かって徐々に両側壁部93の外形線の間隔が拡がるように傾斜している。なお、一対の側壁部93の内壁面の傾斜よりも外壁面の傾斜の方が大きい。さらに、一対の側壁部93の内壁面の開口側には、奥側から開口側に向けて間隔が漸増するように一対のテーパ部94が設けられている。
【0040】
そして、ゴムダンパ9の一対の側壁部93の奥側には、略中央部分に丸穴部95が形成された底壁部(連結部)96が一体的に形成されている。この底壁部96の奥側面は、軸方向穴15の奥側の底壁面に当接すると共に、丸穴部95内にピン部23の頭部79が差し込まれる。そして、一対の側壁部93の内壁面(対向面)と底壁部96の底壁面との間には、ピン部23の一対のテーパ部76および平板状の中間部分よりも周方向の寸法がやや小さく、内径側から外径側に貫通した中空部97が設けられている。
【0041】
なお、ゴムダンパ9をVプーリ7に組み付ける組付け方法を説明すると、複数個のゴムダンパ9を、Vプーリ7の側壁部12の肉厚部分に形成された複数個の軸方向穴15内に差し込む。これにより、軸方向穴15の4隅に設けられた一対の第1、第2保持部71、72に、ゴムダンパ9の4隅に設けられた一対の第1、第2被保持部91、92が保持固定される。さらに、ゴムダンパ9の凸部99が軸方向穴15の内壁面に形成された凹部73内に嵌め込まれることで、一対の突起部70によって圧縮変形(弾性変形)が与えられたゴムダンパ9が軸方向穴15内に強固に保持固定される。
【0042】
次に、ディスクカバー60は、後述するインナハブ22の前端面、特に、後述する複数個の破損部(リミッタ破断部)37の前端面を覆うためのカバーであり、リミッタ作動トルクによりインナハブ22の破損部37が破断したときに、破片の飛散することを防止するカバーである。このディスクカバー60は、インナハブ22とともに、アウタハブ21の内径側に樹脂によるインサート成形により一体に構成している。具体的には、図7に示すように、ディスクカバー60の外周部にはアウタハブ21の内径側に埋設される被埋設部61が略円環状に設けられている。さらに、ディスクカバー60の外径側には、複数個(本例では3個)の鍔状部62と複数個(本例では3個)の切欠き部63とが交互に設けられている。
【0043】
そして、ディスクカバー60の内径側には、インナハブ22の軸方向の一端面より所定の隙間を隔てて、インナハブ22の軸方向の一端面(前端面)に対向して配された凸状の環状部64が設けられている。また、凸状の環状部64には、出力ディスク8を冷媒圧縮機1のシャフト2へ取り付けるためのハブ取り付け治具の係合部が係合可能な複数個(本例では3個)の丸穴部65が、等間隔(例えば120°間隔)で形成されている。さらに、ディスクカバー60の内周部には、冷媒圧縮機1のシャフト2の軸方向の一端面(前端面)とディスクカバー60とが干渉しないように丸穴部66が設けられている。また、凸状の環状部64を設けることで、複数の破損部(リミッタ破断部)37とディスクカバー60とが接触することはなくリミッタ作動トルクに悪影響を及ぼす恐れはない。
【0044】
なお、ここでは、ディスクカバー60の外径側をアウタハブ21の内径側に樹脂によるインサート成形により固定したが、ディスクカバー60の外径側をアウタハブ21の内径側または破損部37よりも外径側のインナハブ22の外径側に締結具を用いて締め付け固定しても良く、また、接着または溶接により接合しても良く、また、かしめなどにより機械的に固定しても良い。また、ディスクカバー60の材質については、破片を保持できる強度を持つものである以外に何ら制約はなく、例えば鉄系金属、アルミニウム合金、66ナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂材料またはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂材料などが考えられる。
【0045】
次に、本発明の要部となるインナハブ22について図5および図8に基づいて説明する。本実施形態のインナハブ22は、例えば焼結金属、鋳鉄またはアルミニウム製鋳物などの金属からなりプレス加工などによる一体成形で形成しアウタハブ21にインサート成形されている。このインナハブ22は、図8(a)に示すように、内周側(内径側)に形成される略円環板状の内輪部(以下、インナリングと称す。)31、このインナリング31よりも外周側(外径側)に形成される略円環板状の外輪部(以下、アウタリングと称す。)32、およびインナリング31の外周とアウタリング32の内周とを連結する複数個(本例では3個)のブリッジ(本発明のブリッジ部に相当する)33を有している。
【0046】
また、インナリング31の内周には、冷媒圧縮機1のシャフト2の外周ねじ部3に螺合する内周ねじ部35が形成されている。また、アウタリング32の表面は、アウタハブ21を構成する樹脂材料に覆われている。そして、アウタリング32には、アウタハブ21を構成する樹脂材料との結合力を高めるための複数個(本例では6個)の丸穴部36および複数個の円弧状切欠き部(凹状部)39が略円周方向に所定の間隔で設けられている。これらの丸穴部36は、周方向に等間隔(例えば、120°間隔)で形成されている。
【0047】
本実施形態の複数個のブリッジ33は、インナリング31の外周面よりアウタリング32の内周面にかけて径方向に放射状に設けられている。そして、各ブリッジ33の所定の位置(例えば各ブリッジ33とインナリング31との継ぎ目)には、出力ディスク8のインナハブ22に所定の過負荷トルク(リミッタ作動トルク)が働いた際に優先的に破損する複数個(本例では3個)のトルクリミッタ機構をなす破損部37を構成している。すなわち、この破損部37は、ブリッジ33のインナリング31側の根元部分に設けられ、インナハブ22が受けるトルク伝達による応力がその他の箇所に比べて高い部位である。
【0048】
因みに、これらの破損部37は、インナハブ22に通常の伝達トルク(例えば15Nm)よりも非常に大きい過負荷トルク(例えば90Nm前後)が生じた際に優先的に破損してインナハブ22の外径側と内径側とが分離することで、エンジンからVプーリを介して冷媒圧縮機1のシャフト2への動力伝達経路を遮断するトルクリミッタ機構を構成するものである。
【0049】
この破損部37を有するブリッジ33は、インナハブ22が受けるトルク伝達による応力がその他の箇所に比べて高い部位となるように形成している。具体的には、インナリング31の外周面とアウタリング32の内周面との間に、略円周方向に複数個(本例では3個)形成させた所定の形状の貫通孔38を備えている。しかも、この貫通孔38には、インナリング31の外周面側の一端側に所定の大きさの切欠き部38aおよび他端側に直線状の直線部38bを有している。
【0050】
従って、貫通孔38により形成されるブリッジ33は、インナハブ22に対して所定の角度θだけ傾けるとともに、回転方向に対して反対側のブリッジ面は直線で切欠き部38aがなく、回転方向側のブリッジ面は切欠き部38aを有し、切欠き部38aの上面から外側に向かってブリッジ33の幅が徐々に大きくなるように構成される。これにより、冷媒圧縮機1がロックなどの過負荷トルクが生じると、破損部37において、ブリッジ33の直線部38b側で引張り力と曲げ力が働き切欠き部38a側にて引張り力が働いて切欠き部38aと直線部38bとの間にて破損するものである。
【0051】
ここで、発明者らの研究によると、塑性的性質を持つ材料の材料特性として、リミッタ作動トルクは、破損部37における応力分布と関係することを見出した。つまり、破損部37が破損する際は、応力集中部(亀裂開始部位)が材料特性の弾性域から塑性域となることで、過負荷トルクの力を受け持つ力が減少(応力が低くなる)する。そのために、リミッタ作動トルクが上昇し設定トルク以上のトルクが作用したときに破損するためベルト滑りなどの不具合を回避できなくなる問題がある。
【0052】
そこで、本発明では、破損部37の形状を図8(b)に示すように、略凹状の溝部である打ち出し部33aを、破損部37に対し交差するように、詳しくは貫通穴38の直線部38bに対して略並行に外周側に延びる方向に形成したものである。この打ち出し部33aは、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損することのできる破損部37を形成するために、破損部37が受けるトルク伝達による応力が比較的に高い部位であるとともに、過負荷トルクが生じた際にその応力の応力分布が略均一となるようにしたものである。
【0053】
なお、略凹状の打ち出し部33aを成型加工により形成するときには、打ち出し部33aの外周に平坦部33bを形成することが望ましい。これにより、打ち出し部33aの成形加工時にバリが発生しにくくなるとともに、このバリによる強度不足が生ずることはない。
【0054】
具体的には、シミュレーション解析(仮想設計)によって、設定トルクにおける破損部37の応力分布を求め、その応力分布が切欠き部38aと直線部38bとの間において略均一となる形状を求めたものである。図9は発明者らが研究した略凹状の打ち出し部33aを形成したときの設定トルク直前における破損部37の応力分布を求めた特性図である。
【0055】
図9に示すように、図中、A1は応力が200〜250MPa、A2は250〜275MPa、A3は275〜300MPa、およびA4は300〜325MPaの応力の範囲を示したものであり、切欠き部38a側がA3の応力値を受け持つとその部分(亀裂開始部位)から破損が開始されるものである。
【0056】
これによると、切欠き部38aと直線部38bとの間において、A3の応力値を受け持った部分が大半を占め、特に、切欠き部38a側に僅かなA3の応力値以下のゾーンを有している分布となっている。その後、僅かなトルクをかけることで切欠き部38a側から亀裂が開始し破損に至る。従って、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損することのできる形状としてある。
【0057】
なお、シミュレーション解析(仮想設計)によれば、理想的な破損部37の形状は、図8(c)に示すように、略半円状の打ち出し部33aが望ましい。これによると、より応力分布の均一化が図れることで、より確実にリミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損することのできる形状としてある。ただし、この形状のときには、略凹状の形状よりも成形加工でのバリが発生しやすいため、溝の外周に平坦部33bを設けると良い。
【0058】
ここで、破損部37の形状が平板状(打ち出し部33aを形成せず)のときと、本発明による略凹状の打ち出し部33aを形成したときとのリミッタ作動トルクをシミュレーション解析で確認したので図10に基づいて説明する。図10はトルクと応力との関係を示す特性図である。図中、X1に示す特性が従来の形状である平板状であって、リミッタ作動トルク95Nmで破断応力315MPaにて破損し、X2に示す打ち出し部33aを形成した形状であり、リミッタ作動トルク85Nmで破断応力315MPaにて破損している。すなわち、本発明の形状のほうが約10%低いトルクで破損できるものである。また、実験でもこの結果は検証されている。なお、このときのX1に示す平板状の形状の応力分布は、図11に示すように、応力が275〜300MPaであるA3の応力値以下のゾーンが大半を占めている。
【0059】
次に、本実施形態のコンプレッサプーリ装置の作用について説明する。コンプレッサプーリ装置の通常作動時には、出力ディスク8のインナハブ22が駆動可能な状態に保持されている。従って、エンジンが始動することによりクランク軸が回転し、クランクプーリおよびVベルトを介してVプーリ7の筒壁部11にエンジンの回転動力(トルク)が伝達される。そして、Vプーリ7の側壁部12の軸方向穴15の周方向の内壁面からゴムダンパ9にトルクが伝わり、更に、ゴムダンパ9から出力ディスク8のアウタハブ21のピン部23の外周面にトルクが伝わる。これにより、アウタハブ21が回転するので、アウタハブ21にインサート成形されたインナハブ22のインナリング31、アウタリング32および複数個のブリッジ33も回転する。
【0060】
そして、インナハブ22のインナリング31の内周ねじ部35が冷媒圧縮機1のシャフト2の外周ねじ部3に螺合しているので、出力ディスク8のインナハブ22に追従して冷媒圧縮機1のシャフト2が回転する。このため、冷媒圧縮機1が、エバポレータ(冷媒蒸発器)より吸引した冷媒を圧縮して高温、高圧の冷媒ガスをコンデンサ(冷媒凝縮器)に向けて吐出するので、自動車などの車両の車室内の冷房がなされる。
【0061】
ここで、冷媒圧縮機1が焼き付き故障を生起するなどして冷媒圧縮機1のシャフト2のロックが生じると、出力ディスク8の回転が停止したままVプーリ7が回転をし続けようとするため、出力ディスク8のインナハブ22に通常の伝達トルク(例えば15Nm)よりも非常に大きい過負荷トルク(例えば90Nm:衝撃トルク)が発生する。すなわち、出力ディスク8のインナハブ22のインナリング31とアウタリング32との間に設定トルク以上のトルク差が発生すると、インナハブ22のブリッジ33のインナリング31側の根元部分に設けられた複数個の破損部37、つまりトルク伝達による応力がその他の箇所に比べて高い部位に多大な応力が加わり、複数個の破損部37は優先的に破損する(折れる)。
【0062】
このため、インナハブ22のインナリング31とアウタリング32とが分離され、Vプーリ7、複数個のゴムダンパ9、出力ディスク8のアウタハブ21およびインナハブ22のアウタリング32がインナリング31に対してフリーで自転する。このように、インナハブ22のインナリング31とアウタリング32との間に設定トルク以上のトルク差が発生した時には、ブリッジ33に設けた破損部37が優先的に破損する。つまり、トルクリミッタ機構が作動することにより、Vプーリ7からコンプレッサのシャフト2へのトルクの伝達が遮断されるので、エンジンからコンプレッサのシャフト2への動力伝達経路が遮断される。
【0063】
なお、破損してインナハブ22のインナリング31およびブリッジ33の内径側より離れた出力ディスク8のアウタハブ21、インナハブ22のアウタリング32およびブリッジ33の外径側は、冷媒圧縮機1のシャフト2の軸方向に平行な軸線に対してコンプレッサ側が小径となるように複数個の破損部37が傾斜して設けられている。それによって、出力ディスク8のアウタハブ21、インナハブ22のアウタリング32およびブリッジ33の外径側がVプーリ7の筒壁部11の前端面よりも前方側(図1において図示左側)へ移動することはなく、Vプーリ7の筒壁部11よりも内径側に保持される。従って、出力ディスク8のアウタハブ21、インナハブ22のアウタリング32およびブリッジ33の外径側は、Vプーリ7の回転に伴って複数個のゴムダンパ9とともに回転する。
【0064】
以上の一実施形態の動力伝達装置によれば、トルクリミッタ機構である破損部37が破損する際は、概して、亀裂開始部位の応力集中部が材料特性の弾性域から塑性域となることで、過負荷トルクの力を受け持つ力が減少(応力が低くなる)する。そのために、リミッタ作動トルクが上昇し設定トルク以上のトルクが作用したときに破損するためベルト滑りなどの不具合を回避できなくなる問題がある。
【0065】
そこで、本発明では、破損部37を、ブリッジ33に設け、しかも破損部37には過負荷トルクによる応力分布を略均一にする溝部である打ち出し部33aが形成されていることにより、亀裂開始部位の応力集中部が過負荷トルクの力を受け持つ力が設定トルクに相当するリミッタ作動トルクで破損させることができる。従って、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損させることができる。
【0066】
また、打ち出し部33aをシミュレーション解析(仮想設計)によって略凹状の溝を形成するか、もしくは略半円状の溝を形成したことにより、過負荷トルクが生じた際に破損部37の応力分布が略均一にできることを見出した。従って、亀裂開始部位の応力集中部が過負荷トルクの力を受け持つ力が設定トルクに相当するリミッタ作動トルクで破損させることができる
また、破損部37をブリッジ33に設けることにより、トルクリミッタ機構が簡易な構造で実現することができるとともに、確実にリミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破損させることができる。従って、冷媒圧縮機1以外の種々なエンジン補機類と共通のVベルトにてエンジンからのトルクが伝達されるように構成されている場合でもVベルトの磨耗や破断を防止できるので、例えば自動車などの車両の走行不能という重大な故障を引き起こすことはない。
【0067】
また、破損部37をインナハブ22に一体に構成したことにより、トルクリミッタ機構を簡易な構造で構成でき、しかも部品点数を低減でき、組付工数を低減できるので、コンプレッサプーリ装置の製品コストを著しく低減することができる。
【0068】
また、インナハブ22は、インナリング31またはアウタリング32の強度をブリッジ33の強度と比べて高く設定していることにより、インナリング31またはアウタリング32の強度がブリッジ33よりも高くなり、亀裂が強度の弱い方向に沿って進展する。従って、使用環境に左右されず、より確実にブリッジ33の所定の位置で破損するので、リミッタ作動トルクのバラツキを小さくすることができる。
【0069】
また、出力ディスク8は、その出力ディスク8において外径側に配設された樹脂製のアウタハブ21、および出力ディスク8において内径側に配設されて、アウタハブ21にインサート成形された金属製のインナハブ22を有し、インナハブ22とアウタハブ21との結合部には、周方向に所定の間隔で、アウタハブ21との結合力を高めるための複数の穴部36が設けられていることにより、インナハブ22とアウタハブ21との結合力を高めることで、使用環境に左右されず、より確実にブリッジ33の所定の位置で破損するので、リミッタ作動トルクのバラツキを小さくすることができる。
【0070】
(他の実施形態)
以上の一実施形態では、破損部37をインナリング31とブリッジ33との繋ぎ目に設けたが、これに限らず、インナハブ22が受けるトルク伝達による応力がその他の箇所に比べて高い部位であれば、アウタリング32とブリッジ33との繋ぎ目、あるいはブリッジ33の途中に設けても良い。
【0071】
以上の実施形態では、本発明を、自動車などの車両に搭載されるエンジンなどの駆動源によりベルト駆動されるコンプレッサプーリ装置に適用した例を説明したが、本発明を、前記の車両または工場などの定位置に置かれる内燃機関や電動モータ等の駆動源によりベルト駆動または出力軸により直接駆動される動力伝達装置に適用しても良い。
【0072】
また、以上の実施形態では、駆動側回転体として多段式のVプーリ(所謂Vリブドプーリ)を用いたが、駆動側回転体として1個のV溝を有するVプーリを用いても良い。この場合には、そのVプーリの外周形状に対応した内周形状のVベルトを使用する。
【0073】
また、以上の実施形態では、本発明を、車両用空調装置の冷凍サイクルの一構成部品をなす冷媒圧縮機1のシャフト2を常時駆動するトルクリミッタ機構を備えたコンプレッサプーリ装置(動力伝達装置)に適用した例を説明したが、本発明を、その他の回転装置(例えばオルタネータ、ウォータポンプ、油圧ポンプ、ブロワまたはファン)を常時駆動するリミッタ機構を備えた動力伝達装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるコンプレッサプーリ装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるコンプレッサプーリ装置を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるVプーリ7の主要構造を示す部分正面図である。
【図4】本発明の一実施形態における出力ディスク8の主要構造を示す縦断面図である。
【図5】(a)は図4に示す出力ディスク8のV矢視図、(b)は出力ディスク8の主要構造を示す部分側面図である。
【図6】(a)および(b)はゴムダンパ9の構成を示す正面図および断面図である。
【図7】(a)および(b)はディスクカバー60の構成を示す正面図および断面図である。
【図8】(a)は本発明の一実施形態におけるインナハブ22の全体構成を示す正面図、(b)は、インナハブ22の主要構造を示す断面図、(c)はインナハブ22の主要構造の理想的な形状を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態における過負荷トルクを伝達したときのインナハブ22の応力分布を示す特性図である。
【図10】本発明の一実施形態における破損部37のトルクと応力との関係を示す特性図である。
【図11】従来技術における過負荷トルクを伝達したときのインナハブの応力分布を示す特性図である。
【符号の説明】
1…冷媒圧縮機(回転装置)
7…Vプーリ(駆動側回転体)
8…出力ディスク(従動側回転体)
21…アウタハブ
22…インナハブ
31…インナリング(内輪部)
32…アウタリング(外輪部)
33…ブリッジ(ブリッジ部)
33a…打ち出し部(溝部)
33b…平坦部
36…穴部
37…破損部

Claims (7)

  1. 駆動源から回転動力を受けて回転する駆動側回転体(7)と、回転装置(1)の回転軸に結合される従動側回転体(8)とを備え、
    前記駆動側回転体(7)と前記従動側回転体(8)とを連結して前記駆動側回転体(7)の回転を前記従動側回転体(8)に伝達する動力伝達装置であって、
    前記従動側回転体(8)は、前記回転装置(1)の回転軸の外周側に結合される内輪部(31)、前記内輪部(31)よりブリッジ部(33)を介して前記内輪部(31)の外周側に形成される外輪部(32)を含むインナハブ(22)を有し、前記従動側回転体(8)に過負荷トルクが生じた際に優先的に破損する破損部(37)を、前記ブリッジ部(33)に設け、しかも前記破損部(37)には前記過負荷トルクによる応力分布を略均一にする溝部(33a)が形成されているとともに、前記溝部(33a)が前記内輪部(31)から外周側に延びる方向に略凹状に形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記溝部(33a)は、前記破損部(37)の破損方向に対し交差するように略凹状の溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記溝部(33a)は、前記破損部(37)の破損方向に対し交差するように略半円状の溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  4. 前記溝部(33a)の外周に平坦部(33b)を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
  5. 前記インナハブ(22)は、前記内輪部(31)または前記外輪部(32)の強度を前記ブリッジ部(33)の強度と比べて高く設定していることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  6. 前記従動側回転体(8)は、その従動側回転体(8)において外径側に配設された樹脂製の前記アウタハブ(21)、および前記従動側回転体(8)において内径側に配設されて、前記アウタハブ(21)にインサート成形された金属製の前記インナハブ(22)を有し、前記インナハブ(22)と前記アウタハブ(21)との結合部には、周方向に所定の間隔で、前記アウタハブ(21)結合力を高めるための複数の穴部(36)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  7. 駆動源から回転動力を受けて回転する駆動側回転体(7)と、回転装置(1)の回転軸に結合される従動側回転体(8)とを備え、
    前記駆動側回転体(7)と前記従動側回転体(8)とを連結して前記駆動側回転体(7)の回転を前記従動側回転体(8)に伝達する動力伝達装置であって、
    前記従動側回転体(8)は、前記回転装置(1)の回転軸の外周側に結合される内輪部(31)、前記内輪部(31)より複数のブリッジ部(33)を介して前記内輪部(31)の外周側に形成される外輪部(32)を含むインナハブ(22)を有しており、
    前記複数のブリッジ部(33)には、前記インナハブ(22)に過負荷トルクが生じた際に優先的に破損する破損部(37)が設けられ、かつ前記ブリッジ部(33)は、前記複数のブリッジ部(33)を含む平面内において、前記内輪部(31)から外周側に延びる方向に略凹状の溝部(33a)が形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
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