JP2003314660A - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JP2003314660A JP2002124141A JP2002124141A JP2003314660A JP 2003314660 A JP2003314660 A JP 2003314660A JP 2002124141 A JP2002124141 A JP 2002124141A JP 2002124141 A JP2002124141 A JP 2002124141A JP 2003314660 A JP2003314660 A JP 2003314660A
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H35/00Gearings or mechanisms with other special functional features
    • F16H35/10Arrangements or devices for absorbing overload or preventing damage by overload
    • F16H2035/103Arrangements or devices for absorbing overload or preventing damage by overload with drive interruption by structural failure of overload preventing means, e.g. using shear pins

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応力分布が均一となるブリッジ部を形成する
ことで、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の
設定トルクにて破損できる動力伝達装置を実現する。 【解決手段】 出力ディスク8は、冷媒圧縮機1の回転
軸の外周側に結合されるインナリング31、このインナ
リング31よりブリッジ33を介してインナリング31
の外周側に形成されるアウタリング32を含むインナハ
ブ22を有し、出力ディスク8に過負荷トルクが生じた
際に優先的に破損する破損部37を、ブリッジ部33に
設け、しかも破損部37には上記過負荷トルクによる応
力分布を略均一にする凹状の打ち出し部33aが形成さ
れている。これにより、所定の設定トルクにて破損でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動源から回転装
置の回転軸へ回転動力を伝達する動力伝達装置に関する
もので、特に回転装置の回転軸がロックするなどの過負
荷トルクが生じると、駆動源から回転装置の回転軸への
動力伝達経路を遮断するトルクリミッタ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば0%容量まで冷媒の吐
出容量を変化させることが可能な可変容量型冷媒圧縮機
を備えた冷凍サイクルにおいては、駆動源であるエンジ
ンから冷媒圧縮機の駆動軸へ回転動力(トルク)の伝達
を断続するクラッチ機構が不要となる。しかるに、クラ
ッチ機構を廃止した場合には、冷媒圧縮機が焼き付き故
障を生起するなどして冷媒圧縮機の駆動軸のロックが発
生すると、通常の伝達トルクよりも非常に大きい過負荷
トルク(リミッタ作動トルク)が生じる。それによっ
て、冷媒圧縮機の駆動軸を駆動するための従動側回転体
であるプーリの回転が止まるので、エンジンに駆動され
るベルトが滑り、ベルトに摩耗が生じ、ベルトが発熱す
るなどしてベルトが破断する可能性がある。
【0003】そこで、冷媒圧縮機の駆動軸がロックする
などの過負荷トルクが生じ、プーリと冷媒圧縮機の駆動
軸との間に設定トルク以上のトルク差が生じると、エン
ジンから冷媒圧縮機の駆動軸への動力伝達経路を遮断す
るトルクリミッタ機構を備えた動力伝達装置として、例
えば、特開2002−054711号公報に開示されて
いる。この公報では、駆動源であるエンジンによりベル
ト駆動される駆動側回転体であるプーリとこのプーリに
結合され、回転装置である冷媒圧縮機の回転軸に結合さ
れる従動側回転体であるハブ部材とから構成されてい
る。
【0004】さらに、このハブ部材は、外周側(外径
側)にアフタハブおよび冷媒圧縮機の回転軸の外周に結
合するインナハブから構成され、このインナハブは、焼
結金属などの塑性材料で形成され、内周側(内径側)に
設けられた円環板状の内輪部、この内輪部よりも外周側
(外径側)に設けられた略円環板状の外輪部および内輪
部の外周と外輪部の内周とを連結する複数個のブリッジ
部を備えている。そして、インナハブに冷媒圧縮機の回
転軸がロックするなどの過負荷トルクが生じた際に、上
記ブリッジ部が優先的に破損するように構成されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発明者
らの研究によると、塑性的性質を持つ材料特性として、
リミッタ作動トルクは、ブリッジ部の応力分布と関係す
ることを見出した。すなわち、ブリッジ部が破損する際
は、応力集中部(亀裂開始部位)が材料特性の塑性域と
なることで、過負荷トルクの力を受け持つ力が減少(応
力が低くなる)する。そのために、リミッタ作動トルク
が上昇し設定トルク以上のトルクが作用したときに破損
するためベルト滑りなどの不具合を回避できなくなる問
題がある。
【0006】これを発明者らはシミュレーション解析
(仮想設計)によって設定トルクにおけるブリッジ部の
応力分布を求めることで、上記のような平板状のブリッ
ジ部においてリミッタ作動トルクが上昇してしまうこと
を見出した。図11はインナハブ100に設定トルクを
かけたときの内輪部110と外輪部120との継ぎ目で
あるブリッジ部130の応力分布を求めた特性図であっ
て、図中、A1は応力が200〜250MPa、A2は
250〜275MPa、A3は275〜300MPa、
およびA4は300〜325MPaの応力の範囲を示し
たものである。
【0007】この応力分布においては、設定トルク近傍
で破損させるにはA3の応力値を受け持った部分から破
損するものであるがこのA3の応力値以下のゾーンが大
半を占めているため、このときには破損に至らずリミッ
タ作動トルクが上昇し、設定トルク以上のトルクが作用
したときに破損することが分かった。これにより、ブリ
ッジ部130の応力分布をA3の応力値で均一となるよ
うな断面形状とすることでリミッタ作動トルクを上昇す
ることなく所定の設定トルクにて破損させることを判明
した。
【0008】そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みた
ものであり、応力分布が均一となるブリッジ部を形成す
ることで、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定
の設定トルクにて破損できる動力伝達装置を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記、目的を達成するた
めに、請求項1ないし請求項6に記載の技術的手段を採
用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、駆動源
から回転動力を受けて回転する駆動側回転体(7)と、
回転装置(1)の回転軸に結合される従動側回転体
(8)とを備え、駆動側回転体(7)と従動側回転体
(8)とを連結して駆動側回転体(7)の回転を従動側
回転体(8)に伝達する動力伝達装置であって、従動側
回転体(8)は、回転装置(1)の回転軸の外周側に結
合される内輪部(31)、内輪部(31)よりブリッジ
部(33)を介して内輪部(31)の外周側に形成され
る外輪部(32)を含むインナハブ(22)を有し、従
動側回転体(8)に過負荷トルクが生じた際に優先的に
破損する破損部(37)を、ブリッジ部(33)に設
け、しかも破損部(37)には上記過負荷トルクによる
応力分布を略均一にする溝部(33a)が形成されてい
ることを特徴としている。
【0010】請求項1に記載の発明によれば、この種の
トルクリミッタ機構である破損部(37)が破損する際
は、概して、亀裂開始部位の応力集中部が材料特性の弾
性域から塑性域となることで、過負荷トルクの力を受け
持つ力が減少(応力が低くなる)する。そのために、リ
ミッタ作動トルクが上昇し設定トルク以上のトルクが作
用したときに破損するためベルト滑りなどの不具合を回
避できなくなる問題がある。
【0011】そこで、本発明では、破損部(37)を、
ブリッジ部(33)に設け、しかも破損部(37)には
過負荷トルクによる応力分布を略均一にする溝部(33
a)が形成されていることにより、亀裂開始部位の応力
集中部が過負荷トルクの力を受け持つ力が設定トルクに
相当するリミッタ作動トルクで破損させることができ
る。従って、リミッタ作動トルクを上昇することなく所
定の設定トルクにて破損させることができる。
【0012】また、破損部(37)をブリッジ部(3
3)に設けることにより、トルクリミッタ機構が簡易な
構造で実現することができるとともに、確実にリミッタ
作動トルクを上昇することなく所定の設定トルクにて破
損させることができる。従って、回転装置(1)以外の
種々なエンジン補機類と共通のVベルトにてエンジンか
らのトルクが伝達されるように構成されている場合でも
Vベルトの磨耗や破断を防止できるので、例えば自動車
などの車両の走行不能という重大な故障を引き起こすこ
とはない。
【0013】請求項2に記載の発明では、溝部(33
a)は、破損部(37)の破損方向に対し交差するよう
に略凹状の溝を形成したことを特徴としている。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、具体的
に、溝部(33a)を略凹状に形成したことにより、過
負荷トルクが生じた際に、破損部(37)の応力分布が
略均一となることで上述した請求項1と同じ効果を奏す
る。
【0015】請求項3に記載の発明では、溝部(33
a)は、破損部(37)の破損方向に対し交差するよう
に略半円状の溝を形成したことを特徴としている。
【0016】請求項3に記載の発明によれば、略半円状
の溝を形成したことにより、上記略凹状の溝よりもより
破損部(37)の応力分布が略均一となる。従って、よ
り亀裂開始部位の応力集中部が過負荷トルクの力を受け
持つ力が設定トルクに相当するリミッタ作動トルクで破
損させることができる請求項4に記載の発明では、溝部
(33a)の外周に平坦部(33b)を形成したことを
特徴としている。
【0017】請求項4に記載の発明によれば、略半円状
および略凹状の外周に平坦部(33b)を形成したこと
により、成型加工によるバリが発生しにくいため、バリ
による強度不足が生じない。
【0018】請求項5に記載の発明では、インナハブ
(22)は、内輪部(31)または外輪部(32)の強
度をブリッジ部(33)の強度と比べて高く設定してい
ることを特徴としている。
【0019】請求項5に記載の発明によれば、内輪部
(31)または外輪部(32)の強度がブリッジ部(3
3)よりも高くなり、亀裂が強度の弱い方向に沿って進
展する。従って、使用環境に左右されず、より確実にブ
リッジ部(33)の所定の位置で破損するので、リミッ
タ作動トルクのバラツキを小さくすることができる。
【0020】請求項6に記載の発明では、従動側回転体
(8)は、その従動側回転体(8)において外径側に配
設された樹脂製のアウタハブ(21)、および従動側回
転体(8)において内径側に配設されて、アウタハブ
(21)にインサート成形された金属製のインナハブ
(22)を有し、インナハブ(22)とアウタハブ(2
1)との結合部には、周方向に所定の間隔で、アウタハ
ブ(21)との結合力を高めるための複数の穴部(3
6)が設けられていることを特徴としている。
【0021】請求項6に記載の発明によれば、インナハ
ブ(22)とアウタハブ(21)との結合力を高めるこ
とで、使用環境に左右されず、より確実にブリッジ部
(33)の所定の位置で破損するので、リミッタ作動ト
ルクのバラツキを小さくすることができる。
【0022】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の動力伝達装置をコ
ンプレッサプーリ装置に適用した一実施形態について、
図1ないし図10に基づいて説明する。まず、図1およ
び図2に示す、本実施形態のコンプレッサプーリ装置
は、駆動源であるエンジンを搭載する自動車などの車両
のエンジンルーム内に配設されて、エンジン補機(以
下、冷媒圧縮機と称す。)へエンジンの回転動力を伝達
する動力伝達装置で、後述するトルクリミッタ機構を備
えている。
【0024】ここで、図1に示すように、本実施形態で
使用される冷媒圧縮機1は、本発明の回転装置に相当す
るもので、車両用空調装置の冷凍サイクルの一構成部品
である。この冷媒圧縮機1は、冷媒圧縮部(図示せず)
と、0%容量まで冷媒の吐出容量を変化させることが可
能な吐出容量可変手段(図示せず)と、冷媒圧縮部およ
び吐出容量可変手段を収容する円筒形状のコンプレッサ
ハウジング(以下ハウジングと略す)1aとから構成さ
れた可変容量型冷媒圧縮機である。
【0025】ハウジング1aは、例えばコンプレッサプ
ーリ装置側から順に、フロントハウジング、シリンダお
よびリヤハウジングなどよりなる。そして、冷媒圧縮部
は、シャフト2を回転させることにより吸入した冷媒を
圧縮し吐出する。そのシャフト2は、本発明の回転軸に
相当するもので、先端部に外周ねじ部(雄ねじ部)3を
有している。
【0026】ハウジング1aの前端部には、中央部より
軸方向外方側に突出するように円筒形状のスリーブ部4
が一体的に形成されている。このスリーブ部4は、外周
側においてボールベアリング5を保持する軸受保持部で
ある。なお、スリーブ部4の外周には、ボールベアリン
グ5をハウジング1の円環状の段差部分との間に挟み込
んだ状態で係止するサークリップ6が嵌め込まれてい
る。
【0027】コンプレッサプーリ装置は、エンジンの運
転時に常時回転するVプーリ(入力ディスク、ロータ)
7と、このVプーリ7からトルクを受けると回転する出
力ディスク8と、Vプーリ7と出力ディスク8との間に
装着された複数個(本例では6個)のゴムダンパ9とか
ら構成されている。
【0028】このVプーリ7は、本発明の駆動側回転体
に相当するもので、例えば鉄系の金属材料、フェノール
樹脂などの熱硬化性樹脂材料またはアルミニウム系の金
属材料により所定の形状に一体成形されている。このV
プーリ7は、図1ないし図3に示すように、エンジンに
常時駆動される略円筒形状の筒壁部11、この筒壁部1
1よりも内径側に設けられた側壁部12、およびこの側
壁部12よりも内径側に設けられボールベアリング5の
外周側を保持するための軸受保持部13などを有してい
る。
【0029】筒壁部11の外周には、多段式のVベルト
(図示せず)が掛けられている。このため、筒壁部11
の外周には、Vベルトの内周面に形成された複数のV字
状溝部に対応した複数のV字状溝部14が形成されてい
る。そして、そのVベルトは、エンジンのクランク軸に
取付けられたクランクプーリ(図示せず)に掛け渡され
ている。なお、Vベルトは、コンプレッサプーリ装置だ
けでなく、他のエンジン補機類(例えばオルタネータ、
エンジン冷却装置のウォータポンプ、パワーステアリン
グ装置の油圧ポンプなど)のVプーリ装置にも共掛けさ
れている。
【0030】また、図3に示すように、側壁部12に
は、後述する複数個のゴム系の弾性体であるゴムダンパ
9がそれぞれ装着される軸方向穴15が周方向に等間隔
(例えば60°間隔)で複数個(本例では6個)形成さ
れている。この軸方向穴15の周方向の両内壁面は、径
方向の内径側から外径側に向かって徐々に間隔が拡がる
ように傾斜している。そして、複数個の軸方向穴15の
両内壁面には、ゴムダンパ9に圧縮変形を与えるための
一対の突起部70が設けられている。
【0031】これらの突起部70は、通常作動時のトル
ク伝達を行うと共に、リミッタ作動時に後述するピン部
23にトルク伝達を行う伝達部として機能する。一対の
突起部70には、軸方向穴15の奥側から開口側に向け
て一対の突起部70の隙間(間隔)を徐々に拡げるよう
にテーパ部が設けられ、ゴムダンパ9を軸方向穴15内
に圧入し易くしている。
【0032】そして、軸方向穴15の外径側端部で、且
つ周方向の両端部には、ゴムダンパ9の外径側を保持す
るための一対の第1保持部(R部)71が設けられてい
る。また、軸方向穴15の内径側端部で、且つ周方向の
両端部には、ゴムダンパ9の内径側を保持するための一
対の第2保持部(R部)72が設けられている。なお、
これらの第1、第2保持部71、72は、R形状の内壁
面を有している。また、周方向の一方側の第1保持部7
1には、後述するゴムダンパ9の外径側に設けられる球
形状の凸部99が嵌め込まれる球面形状の凹部73が形
成されている。
【0033】そして、軸方向穴15の外径側端面は、後
述するゴムダンパ9の外径側端面(第1凹状部74)と
の間に第1空隙が形成され、軸方向穴15の内径側端面
は、後述するゴムダンパ9の内径側端面(第2凹状部7
5)との間に第2空隙が形成されている。なお、軸方向
穴15とゴムダンパ9との第1、第2空隙の大きさを変
更することにより、ゴムダンパ9のバネ特性(ダンパ特
性)を変えることができる。
【0034】次に、出力ディスク8は、本発明の従動側
回転体に相当するもので、Vプーリ7の側壁部12より
も前方側で、側壁部12の前壁面に対向するように配置
されたハブ部材である。この出力ディスク8は、図4お
よび図5に示すように、外周側(外径側)に配された樹
脂製のアウタハブ21、冷媒圧縮機1のシャフト2の外
周に結合する金属製のインナハブ22、およびインナハ
ブ22の前端面を覆うディスクカバー60などから一体
に構成している。
【0035】アウタハブ21は、例えばナイロン樹脂な
どの熱可塑性樹脂またはフェノール系樹脂などの熱硬化
性樹脂により所定の形状に一体成形されている。このア
ウタハブ21の後壁面からは、図1および図4に示した
ように、図示右側に突出する複数個(本例では6個)の
上述した軸方向穴15内に差し込まれるピン部23が周
方向に等間隔(例えば60°間隔)で形成されている。
【0036】詳しくは、図5(b)に示すように、ピン
部23の根元部分および中間部分は平板形状の断面を有
し、その先端部分は円形状の断面を有している。そし
て、ピン部23の根元部分の周方向の両外壁面には、先
端側に向けて外径が漸減するように一対のテーパ部76
が設けられている。また、ピン部23の中間部分は、ゴ
ムダンパ9内に挿入されて、その外壁面の一部に突起部
77が設けられている。さらに、ピン部23の先端部分
には、ゴムダンパ9の丸穴部95内に嵌め込まれる円柱
形状の頭部79が設けられている。
【0037】ここで、軸方向穴15の内壁面とピン部2
3の外壁面との間に挟み込まれるゴムダンパ9は、例え
ば塩素化ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴ
ムなどのゴム系弾性材からなり、かつ所定の形状となる
ように一体成形している。図6に示すように、ゴムダン
パ9の外径側端部で、かつ周方向の両端部には、一対の
第1保持部71に保持固定される一対の第1被保持部9
1が一対の第1保持部71の内壁面形状に対応した形状
に形成されている。
【0038】なお、第1被保持部91には、軸方向穴1
5の周方向の一方側の第1保持部71に形成された凹部
73内に嵌め込まれる球形状の凸部99が一体的に形成
されている。また、ゴムダンパ9の内径側端部で、かつ
周方向の両端部には、一対の第2保持部72に保持固定
される一対の第2被保持部92が一対の第2保持部72
の内壁面形状に対応した形状に形成されている。
【0039】そして、ゴムダンパ9には、軸方向穴15
の両内壁面(一対の突起部70)に当接する一対の側壁
部93が設けられている。これらの側壁部93の外壁面
は、内径側から外径側に向かって徐々に両側壁部93の
外形側の間隔が拡がるように傾斜している。また、一対
の側壁部93の内壁面(対向面)は、内径側から外径側
に向かって徐々に両側壁部93の外形線の間隔が拡がる
ように傾斜している。なお、一対の側壁部93の内壁面
の傾斜よりも外壁面の傾斜の方が大きい。さらに、一対
の側壁部93の内壁面の開口側には、奥側から開口側に
向けて間隔が漸増するように一対のテーパ部94が設け
られている。
【0040】そして、ゴムダンパ9の一対の側壁部93
の奥側には、略中央部分に丸穴部95が形成された底壁
部(連結部)96が一体的に形成されている。この底壁
部96の奥側面は、軸方向穴15の奥側の底壁面に当接
すると共に、丸穴部95内にピン部23の頭部79が差
し込まれる。そして、一対の側壁部93の内壁面(対向
面)と底壁部96の底壁面との間には、ピン部23の一
対のテーパ部76および平板状の中間部分よりも周方向
の寸法がやや小さく、内径側から外径側に貫通した中空
部97が設けられている。
【0041】なお、ゴムダンパ9をVプーリ7に組み付
ける組付け方法を説明すると、複数個のゴムダンパ9
を、Vプーリ7の側壁部12の肉厚部分に形成された複
数個の軸方向穴15内に差し込む。これにより、軸方向
穴15の4隅に設けられた一対の第1、第2保持部7
1、72に、ゴムダンパ9の4隅に設けられた一対の第
1、第2被保持部91、92が保持固定される。さら
に、ゴムダンパ9の凸部99が軸方向穴15の内壁面に
形成された凹部73内に嵌め込まれることで、一対の突
起部70によって圧縮変形(弾性変形)が与えられたゴ
ムダンパ9が軸方向穴15内に強固に保持固定される。
【0042】次に、ディスクカバー60は、後述するイ
ンナハブ22の前端面、特に、後述する複数個の破損部
(リミッタ破断部)37の前端面を覆うためのカバーで
あり、リミッタ作動トルクによりインナハブ22の破損
部37が破断したときに、破片の飛散することを防止す
るカバーである。このディスクカバー60は、インナハ
ブ22とともに、アウタハブ21の内径側に樹脂による
インサート成形により一体に構成している。具体的に
は、図7に示すように、ディスクカバー60の外周部に
はアウタハブ21の内径側に埋設される被埋設部61が
略円環状に設けられている。さらに、ディスクカバー6
0の外径側には、複数個(本例では3個)の鍔状部62
と複数個(本例では3個)の切欠き部63とが交互に設
けられている。
【0043】そして、ディスクカバー60の内径側に
は、インナハブ22の軸方向の一端面より所定の隙間を
隔てて、インナハブ22の軸方向の一端面(前端面)に
対向して配された凸状の環状部64が設けられている。
また、凸状の環状部64には、出力ディスク8を冷媒圧
縮機1のシャフト2へ取り付けるためのハブ取り付け治
具の係合部が係合可能な複数個(本例では3個)の丸穴
部65が、等間隔(例えば120°間隔)で形成されて
いる。さらに、ディスクカバー60の内周部には、冷媒
圧縮機1のシャフト2の軸方向の一端面(前端面)とデ
ィスクカバー60とが干渉しないように丸穴部66が設
けられている。また、凸状の環状部64を設けること
で、複数の破損部(リミッタ破断部)37とディスクカ
バー60とが接触することはなくリミッタ作動トルクに
悪影響を及ぼす恐れはない。
【0044】なお、ここでは、ディスクカバー60の外
径側をアウタハブ21の内径側に樹脂によるインサート
成形により固定したが、ディスクカバー60の外径側を
アウタハブ21の内径側または破損部37よりも外径側
のインナハブ22の外径側に締結具を用いて締め付け固
定しても良く、また、接着または溶接により接合しても
良く、また、かしめなどにより機械的に固定しても良
い。また、ディスクカバー60の材質については、破片
を保持できる強度を持つものである以外に何ら制約はな
く、例えば鉄系金属、アルミニウム合金、66ナイロン
樹脂などの熱可塑性樹脂材料またはフェノール樹脂など
の熱硬化性樹脂材料などが考えられる。
【0045】次に、本発明の要部となるインナハブ22
について図5および図8に基づいて説明する。本実施形
態のインナハブ22は、例えば焼結金属、鋳鉄またはア
ルミニウム製鋳物などの金属からなりプレス加工などに
よる一体成形で形成しアウタハブ21にインサート成形
されている。このインナハブ22は、図8(a)に示す
ように、内周側(内径側)に形成される略円環板状の内
輪部(以下、インナリングと称す。)31、このインナ
リング31よりも外周側(外径側)に形成される略円環
板状の外輪部(以下、アウタリングと称す。)32、お
よびインナリング31の外周とアウタリング32の内周
とを連結する複数個(本例では3個)のブリッジ(本発
明のブリッジ部に相当する)33を有している。
【0046】また、インナリング31の内周には、冷媒
圧縮機1のシャフト2の外周ねじ部3に螺合する内周ね
じ部35が形成されている。また、アウタリング32の
表面は、アウタハブ21を構成する樹脂材料に覆われて
いる。そして、アウタリング32には、アウタハブ21
を構成する樹脂材料との結合力を高めるための複数個
(本例では6個)の丸穴部36および複数個の円弧状切
欠き部(凹状部)39が略円周方向に所定の間隔で設け
られている。これらの丸穴部36は、周方向に等間隔
(例えば、120°間隔)で形成されている。
【0047】本実施形態の複数個のブリッジ33は、イ
ンナリング31の外周面よりアウタリング32の内周面
にかけて径方向に放射状に設けられている。そして、各
ブリッジ33の所定の位置(例えば各ブリッジ33とイ
ンナリング31との継ぎ目)には、出力ディスク8のイ
ンナハブ22に所定の過負荷トルク(リミッタ作動トル
ク)が働いた際に優先的に破損する複数個(本例では3
個)のトルクリミッタ機構をなす破損部37を構成して
いる。すなわち、この破損部37は、ブリッジ33のイ
ンナリング31側の根元部分に設けられ、インナハブ2
2が受けるトルク伝達による応力がその他の箇所に比べ
て高い部位である。
【0048】因みに、これらの破損部37は、インナハ
ブ22に通常の伝達トルク(例えば15Nm)よりも非
常に大きい過負荷トルク(例えば90Nm前後)が生じ
た際に優先的に破損してインナハブ22の外径側と内径
側とが分離することで、エンジンからVプーリを介して
冷媒圧縮機1のシャフト2への動力伝達経路を遮断する
トルクリミッタ機構を構成するものである。
【0049】この破損部37を有するブリッジ33は、
インナハブ22が受けるトルク伝達による応力がその他
の箇所に比べて高い部位となるように形成している。具
体的には、インナリング31の外周面とアウタリング3
2の内周面との間に、略円周方向に複数個(本例では3
個)形成させた所定の形状の貫通孔38を備えている。
しかも、この貫通孔38には、インナリング31の外周
面側の一端側に所定の大きさの切欠き部38aおよび他
端側に直線状の直線部38bを有している。
【0050】従って、貫通孔38により形成されるブリ
ッジ33は、インナハブ22に対して所定の角度θだけ
傾けるとともに、回転方向に対して反対側のブリッジ面
は直線で切欠き部38aがなく、回転方向側のブリッジ
面は切欠き部38aを有し、切欠き部38aの上面から
外側に向かってブリッジ33の幅が徐々に大きくなるよ
うに構成される。これにより、冷媒圧縮機1がロックな
どの過負荷トルクが生じると、破損部37において、ブ
リッジ33の直線部38b側で引張り力と曲げ力が働き
切欠き部38a側にて引張り力が働いて切欠き部38a
と直線部38bとの間にて破損するものである。
【0051】ここで、発明者らの研究によると、塑性的
性質を持つ材料の材料特性として、リミッタ作動トルク
は、破損部37における応力分布と関係することを見出
した。つまり、破損部37が破損する際は、応力集中部
(亀裂開始部位)が材料特性の弾性域から塑性域となる
ことで、過負荷トルクの力を受け持つ力が減少(応力が
低くなる)する。そのために、リミッタ作動トルクが上
昇し設定トルク以上のトルクが作用したときに破損する
ためベルト滑りなどの不具合を回避できなくなる問題が
ある。
【0052】そこで、本発明では、破損部37の形状を
図8(b)に示すように、略凹状の溝部である打ち出し
部33aを、破損部37に対し交差するように、詳しく
は貫通穴38の直線部38bに対して略並行に外周側に
延びる方向に形成したものである。この打ち出し部33
aは、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の設
定トルクにて破損することのできる破損部37を形成す
るために、破損部37が受けるトルク伝達による応力が
比較的に高い部位であるとともに、過負荷トルクが生じ
た際にその応力の応力分布が略均一となるようにしたも
のである。
【0053】なお、略凹状の打ち出し部33aを成型加
工により形成するときには、打ち出し部33aの外周に
平坦部33bを形成することが望ましい。これにより、
打ち出し部33aの成形加工時にバリが発生しにくくな
るとともに、このバリによる強度不足が生ずることはな
い。
【0054】具体的には、シミュレーション解析(仮想
設計)によって、設定トルクにおける破損部37の応力
分布を求め、その応力分布が切欠き部38aと直線部3
8bとの間において略均一となる形状を求めたものであ
る。図9は発明者らが研究した略凹状の打ち出し部33
aを形成したときの設定トルク直前における破損部37
の応力分布を求めた特性図である。
【0055】図9に示すように、図中、A1は応力が2
00〜250MPa、A2は250〜275MPa、A
3は275〜300MPa、およびA4は300〜32
5MPaの応力の範囲を示したものであり、切欠き部3
8a側がA3の応力値を受け持つとその部分(亀裂開始
部位)から破損が開始されるものである。
【0056】これによると、切欠き部38aと直線部3
8bとの間において、A3の応力値を受け持った部分が
大半を占め、特に、切欠き部38a側に僅かなA3の応
力値以下のゾーンを有している分布となっている。その
後、僅かなトルクをかけることで切欠き部38a側から
亀裂が開始し破損に至る。従って、リミッタ作動トルク
を上昇することなく所定の設定トルクにて破損すること
のできる形状としてある。
【0057】なお、シミュレーション解析(仮想設計)
によれば、理想的な破損部37の形状は、図8(c)に
示すように、略半円状の打ち出し部33aが望ましい。
これによると、より応力分布の均一化が図れることで、
より確実にリミッタ作動トルクを上昇することなく所定
の設定トルクにて破損することのできる形状としてあ
る。ただし、この形状のときには、略凹状の形状よりも
成形加工でのバリが発生しやすいため、溝の外周に平坦
部33bを設けると良い。
【0058】ここで、破損部37の形状が平板状(打ち
出し部33aを形成せず)のときと、本発明による略凹
状の打ち出し部33aを形成したときとのリミッタ作動
トルクをシミュレーション解析で確認したので図10に
基づいて説明する。図10はトルクと応力との関係を示
す特性図である。図中、X1に示す特性が従来の形状で
ある平板状であって、リミッタ作動トルク95Nmで破
断応力315MPaにて破損し、X2に示す打ち出し部
33aを形成した形状であり、リミッタ作動トルク85
Nmで破断応力315MPaにて破損している。すなわ
ち、本発明の形状のほうが約10%低いトルクで破損で
きるものである。また、実験でもこの結果は検証されて
いる。なお、このときのX1に示す平板状の形状の応力
分布は、図11に示すように、応力が275〜300M
PaであるA3の応力値以下のゾーンが大半を占めてい
る。
【0059】次に、本実施形態のコンプレッサプーリ装
置の作用について説明する。コンプレッサプーリ装置の
通常作動時には、出力ディスク8のインナハブ22が駆
動可能な状態に保持されている。従って、エンジンが始
動することによりクランク軸が回転し、クランクプーリ
およびVベルトを介してVプーリ7の筒壁部11にエン
ジンの回転動力(トルク)が伝達される。そして、Vプ
ーリ7の側壁部12の軸方向穴15の周方向の内壁面か
らゴムダンパ9にトルクが伝わり、更に、ゴムダンパ9
から出力ディスク8のアウタハブ21のピン部23の外
周面にトルクが伝わる。これにより、アウタハブ21が
回転するので、アウタハブ21にインサート成形された
インナハブ22のインナリング31、アウタリング32
および複数個のブリッジ33も回転する。
【0060】そして、インナハブ22のインナリング3
1の内周ねじ部35が冷媒圧縮機1のシャフト2の外周
ねじ部3に螺合しているので、出力ディスク8のインナ
ハブ22に追従して冷媒圧縮機1のシャフト2が回転す
る。このため、冷媒圧縮機1が、エバポレータ(冷媒蒸
発器)より吸引した冷媒を圧縮して高温、高圧の冷媒ガ
スをコンデンサ(冷媒凝縮器)に向けて吐出するので、
自動車などの車両の車室内の冷房がなされる。
【0061】ここで、冷媒圧縮機1が焼き付き故障を生
起するなどして冷媒圧縮機1のシャフト2のロックが生
じると、出力ディスク8の回転が停止したままVプーリ
7が回転をし続けようとするため、出力ディスク8のイ
ンナハブ22に通常の伝達トルク(例えば15Nm)よ
りも非常に大きい過負荷トルク(例えば90Nm:衝撃
トルク)が発生する。すなわち、出力ディスク8のイン
ナハブ22のインナリング31とアウタリング32との
間に設定トルク以上のトルク差が発生すると、インナハ
ブ22のブリッジ33のインナリング31側の根元部分
に設けられた複数個の破損部37、つまりトルク伝達に
よる応力がその他の箇所に比べて高い部位に多大な応力
が加わり、複数個の破損部37は優先的に破損する(折
れる)。
【0062】このため、インナハブ22のインナリング
31とアウタリング32とが分離され、Vプーリ7、複
数個のゴムダンパ9、出力ディスク8のアウタハブ21
およびインナハブ22のアウタリング32がインナリン
グ31に対してフリーで自転する。このように、インナ
ハブ22のインナリング31とアウタリング32との間
に設定トルク以上のトルク差が発生した時には、ブリッ
ジ33に設けた破損部37が優先的に破損する。つま
り、トルクリミッタ機構が作動することにより、Vプー
リ7からコンプレッサのシャフト2へのトルクの伝達が
遮断されるので、エンジンからコンプレッサのシャフト
2への動力伝達経路が遮断される。
【0063】なお、破損してインナハブ22のインナリ
ング31およびブリッジ33の内径側より離れた出力デ
ィスク8のアウタハブ21、インナハブ22のアウタリ
ング32およびブリッジ33の外径側は、冷媒圧縮機1
のシャフト2の軸方向に平行な軸線に対してコンプレッ
サ側が小径となるように複数個の破損部37が傾斜して
設けられている。それによって、出力ディスク8のアウ
タハブ21、インナハブ22のアウタリング32および
ブリッジ33の外径側がVプーリ7の筒壁部11の前端
面よりも前方側(図1において図示左側)へ移動するこ
とはなく、Vプーリ7の筒壁部11よりも内径側に保持
される。従って、出力ディスク8のアウタハブ21、イ
ンナハブ22のアウタリング32およびブリッジ33の
外径側は、Vプーリ7の回転に伴って複数個のゴムダン
パ9とともに回転する。
【0064】以上の一実施形態の動力伝達装置によれ
ば、トルクリミッタ機構である破損部37が破損する際
は、概して、亀裂開始部位の応力集中部が材料特性の弾
性域から塑性域となることで、過負荷トルクの力を受け
持つ力が減少(応力が低くなる)する。そのために、リ
ミッタ作動トルクが上昇し設定トルク以上のトルクが作
用したときに破損するためベルト滑りなどの不具合を回
避できなくなる問題がある。
【0065】そこで、本発明では、破損部37を、ブリ
ッジ33に設け、しかも破損部37には過負荷トルクに
よる応力分布を略均一にする溝部である打ち出し部33
aが形成されていることにより、亀裂開始部位の応力集
中部が過負荷トルクの力を受け持つ力が設定トルクに相
当するリミッタ作動トルクで破損させることができる。
従って、リミッタ作動トルクを上昇することなく所定の
設定トルクにて破損させることができる。
【0066】また、打ち出し部33aをシミュレーショ
ン解析(仮想設計)によって略凹状の溝を形成するか、
もしくは略半円状の溝を形成したことにより、過負荷ト
ルクが生じた際に破損部37の応力分布が略均一にでき
ることを見出した。従って、亀裂開始部位の応力集中部
が過負荷トルクの力を受け持つ力が設定トルクに相当す
るリミッタ作動トルクで破損させることができるまた、
破損部37をブリッジ33に設けることにより、トルク
リミッタ機構が簡易な構造で実現することができるとと
もに、確実にリミッタ作動トルクを上昇することなく所
定の設定トルクにて破損させることができる。従って、
冷媒圧縮機1以外の種々なエンジン補機類と共通のVベ
ルトにてエンジンからのトルクが伝達されるように構成
されている場合でもVベルトの磨耗や破断を防止できる
ので、例えば自動車などの車両の走行不能という重大な
故障を引き起こすことはない。
【0067】また、破損部37をインナハブ22に一体
に構成したことにより、トルクリミッタ機構を簡易な構
造で構成でき、しかも部品点数を低減でき、組付工数を
低減できるので、コンプレッサプーリ装置の製品コスト
を著しく低減することができる。
【0068】また、インナハブ22は、インナリング3
1またはアウタリング32の強度をブリッジ33の強度
と比べて高く設定していることにより、インナリング3
1またはアウタリング32の強度がブリッジ33よりも
高くなり、亀裂が強度の弱い方向に沿って進展する。従
って、使用環境に左右されず、より確実にブリッジ33
の所定の位置で破損するので、リミッタ作動トルクのバ
ラツキを小さくすることができる。
【0069】また、出力ディスク8は、その出力ディス
ク8において外径側に配設された樹脂製のアウタハブ2
1、および出力ディスク8において内径側に配設され
て、アウタハブ21にインサート成形された金属製のイ
ンナハブ22を有し、インナハブ22とアウタハブ21
との結合部には、周方向に所定の間隔で、アウタハブ2
1との結合力を高めるための複数の穴部36が設けられ
ていることにより、インナハブ22とアウタハブ21と
の結合力を高めることで、使用環境に左右されず、より
確実にブリッジ33の所定の位置で破損するので、リミ
ッタ作動トルクのバラツキを小さくすることができる。
【0070】(他の実施形態)以上の一実施形態では、
破損部37をインナリング31とブリッジ33との繋ぎ
目に設けたが、これに限らず、インナハブ22が受ける
トルク伝達による応力がその他の箇所に比べて高い部位
であれば、アウタリング32とブリッジ33との繋ぎ
目、あるいはブリッジ33の途中に設けても良い。
【0071】以上の実施形態では、本発明を、自動車な
どの車両に搭載されるエンジンなどの駆動源によりベル
ト駆動されるコンプレッサプーリ装置に適用した例を説
明したが、本発明を、前記の車両または工場などの定位
置に置かれる内燃機関や電動モータ等の駆動源によりベ
ルト駆動または出力軸により直接駆動される動力伝達装
置に適用しても良い。
【0072】また、以上の実施形態では、駆動側回転体
として多段式のVプーリ(所謂Vリブドプーリ)を用い
たが、駆動側回転体として1個のV溝を有するVプーリ
を用いても良い。この場合には、そのVプーリの外周形
状に対応した内周形状のVベルトを使用する。
【0073】また、以上の実施形態では、本発明を、車
両用空調装置の冷凍サイクルの一構成部品をなす冷媒圧
縮機1のシャフト2を常時駆動するトルクリミッタ機構
を備えたコンプレッサプーリ装置(動力伝達装置)に適
用した例を説明したが、本発明を、その他の回転装置
(例えばオルタネータ、ウォータポンプ、油圧ポンプ、
ブロワまたはファン)を常時駆動するリミッタ機構を備
えた動力伝達装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるコンプレッサプー
リ装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるコンプレッサプー
リ装置を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるVプーリ7の主要
構造を示す部分正面図である。
【図4】本発明の一実施形態における出力ディスク8の
主要構造を示す縦断面図である。
【図5】(a)は図4に示す出力ディスク8のV矢視
図、(b)は出力ディスク8の主要構造を示す部分側面
図である。
【図6】(a)および(b)はゴムダンパ9の構成を示
す正面図および断面図である。
【図7】(a)および(b)はディスクカバー60の構
成を示す正面図および断面図である。
【図8】(a)は本発明の一実施形態におけるインナハ
ブ22の全体構成を示す正面図、(b)は、インナハブ
22の主要構造を示す断面図、(c)はインナハブ22
の主要構造の理想的な形状を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態における過負荷トルクを伝
達したときのインナハブ22の応力分布を示す特性図で
ある。
【図10】本発明の一実施形態における破損部37のト
ルクと応力との関係を示す特性図である。
【図11】従来技術における過負荷トルクを伝達したと
きのインナハブの応力分布を示す特性図である。
【符号の説明】
1…冷媒圧縮機(回転装置) 7…Vプーリ(駆動側回転体) 8…出力ディスク(従動側回転体) 21…アウタハブ 22…インナハブ 31…インナリング(内輪部) 32…アウタリング(外輪部) 33…ブリッジ(ブリッジ部) 33a…打ち出し部(溝部) 33b…平坦部 36…穴部 37…破損部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸淵 昭 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3J062 AA31 AB12 AC01 BA19 CF21 CF25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動源から回転動力を受けて回転する駆
    動側回転体(7)と、回転装置(1)の回転軸に結合さ
    れる従動側回転体(8)とを備え、 前記駆動側回転体(7)と前記従動側回転体(8)とを
    連結して前記駆動側回転体(7)の回転を前記従動側回
    転体(8)に伝達する動力伝達装置であって、前記従動
    側回転体(8)は、前記回転装置(1)の回転軸の外周
    側に結合される内輪部(31)、前記内輪部(31)よ
    りブリッジ部(33)を介して前記内輪部(31)の外
    周側に形成される外輪部(32)を含むインナハブ(2
    2)を有し、前記従動側回転体(8)に過負荷トルクが
    生じた際に優先的に破損する破損部(37)を、前記ブ
    リッジ部(33)に設け、しかも前記破損部(37)に
    は前記過負荷トルクによる応力分布を略均一にする溝部
    (33a)が形成されていることを特徴とする動力伝達
    装置。
  2. 【請求項2】 前記溝部(33a)は、前記破損部(3
    7)の破損方向に対し交差するように略凹状の溝を形成
    したことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 前記溝部(33a)は、前記破損部(3
    7)の破損方向に対し交差するように略半円状の溝を形
    成したことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装
    置。
  4. 【請求項4】 前記溝部(33a)の外周に平坦部(3
    3b)を形成したことを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の動力伝達装置。
  5. 【請求項5】 前記インナハブ(22)は、前記内輪部
    (31)または前記外輪部(32)の強度を前記ブリッ
    ジ部(33)の強度と比べて高く設定していることを特
    徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  6. 【請求項6】 前記従動側回転体(8)は、その従動側
    回転体(8)において外径側に配設された樹脂製の前記
    アウタハブ(21)、および前記従動側回転体(8)に
    おいて内径側に配設されて、前記アウタハブ(21)に
    インサート成形された金属製の前記インナハブ(22)
    を有し、前記インナハブ(22)と前記アウタハブ(2
    1)との結合部には、周方向に所定の間隔で、前記アウ
    タハブ(21)結合力を高めるための複数の穴部(3
    6)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載
    の動力伝達装置。
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