JP3791121B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は過負荷時のトルクリミッターとしての機能を備えた動力伝達装置に関するもので、自動車用空調装置の冷凍サイクルの圧縮機駆動用動力伝達装置として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用空調装置における圧縮機として、0容量付近まで容量を変化させることができる可変容量圧縮機を用いる場合には、冷凍サイクルの能力制御のために、圧縮機を断続作動させる必要がなくなる。従って、このような可変容量圧縮機を用いるものでは、エンジンから圧縮機への動力伝達を断続するためのクラッチ機構が不要となる。
【0003】
一方、圧縮機の焼きつき故障等による圧縮機ロック等の異常が発生した時には、圧縮機駆動機構のベルトに過大なトルクが加わり、ベルトが切損する事態が起こる。特に、自動車の圧縮機駆動機構では、圧縮機以外の種々な補機(バッテリ充電発電機、エンジン冷却水用ウォータポンプ、パワーステアリング用油圧ポンプ等)と共通のベルトにて、エンジンからの動力が伝達されるようになっているので、駆動ベルトが一旦切損すると、自動車の走行不能という重大な故障を引き起こすことになる。
【0004】
そこで、圧縮機ロック等の過負荷時に伝達トルクが設定値以上に上昇すると、この伝達トルクの上昇に対応して、圧縮機への動力伝達経路を遮断するトルクリミッター機能を付加したものが特開平8−210250号公報にて提案されている。
この公報記載の従来技術は、ベルトが係合され、エンジンの駆動力により回転するプーリに連結された連結基板と、圧縮機回転軸に軸方向に移動可能に連結された駆動力受承体とを所定間隔をおいて対向配置するとともに、プーリ側の連結基板と、圧縮機側の駆動力受承体にそれぞれ凹部を形成し、この連結基板の凹部と駆動力受承体の凹部との間に転動ボールを配置するとともに、圧縮機側の駆動力受承体に対して、この駆動力受承体と連結基板との間の間隔が狭くなる方向に弾性手段(皿バネ)のバネ力を作用させるようにしている。
【0005】
そして、通常運転時は、上記両凹部の間に転動ボールを収容した状態を保持することにより、この転動ボールを介して、プーリ側の連結基板から圧縮機側の駆動力受承体に動力が伝達されて圧縮機が作動する。
一方、圧縮機ロック等の過負荷時に伝達トルクが設定値以上に上昇すると、上記弾性手段のバネ力に抗して、負荷トルクの軸方向成分により転動ボールが駆動力受承体を連結基板から脱出する方向に移動させる。これにより、転動ボールが上記両凹部のうち、いずれか一方の凹部から離脱する。例えば、圧縮機側の駆動力受承体の凹部から転動ボールが離脱する。すると、この転動ボールと圧縮機側の駆動力受承体との係合状態が解除され、プーリ側の連結基板が空回りするようになり、この結果、圧縮機への動力伝達が遮断される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、駆動力受承体を圧縮機回転軸に軸方向に移動可能に連結して、過負荷時には負荷トルクの軸方向成分により駆動力受承体を連結基板から脱出する方向に移動させる構成であるため、駆動力受承体と圧縮機回転軸との間にスプラインやキー結合による軸方向に移動可能な結合部を設定する必要がある。
【0007】
このスプラインやキー結合による結合部は、回転方向のガタをなくすためにどうしても軸方向の摺動部の摩擦力が大きくなってしまう。そのため、圧縮機過負荷時に、駆動力受承体がスムーズに軸方向に移動できず、所期の設計通りの離脱トルクにて動力伝達を遮断できない場合が生じる。
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、駆動力受承体のごとき軸方向摩擦移動部材を設定する必要がなく、過負荷時のトルクリミッター機能を設計通りの離脱トルクにて確実に発揮できる動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、駆動側回転部材(1、11、12)の半径方向の面(1c、11a)において円周方向に穴部(1d、1e)を複数設けるとともに、
従動側回転部材(6)の半径方向の面(6b)において円周方向に円錐状穴(6c)を複数設け、
駆動側回転部材(1、11、12)の穴部(1d、1e)内を挿通可能な外径を有する複数のボール(8)を、この穴部(1d、1e)に嵌合係止した状態にて従動側回転部材(6)の円錐状穴(6c)の傾斜壁面に当接させ、
駆動側回転部材(1、11、12)に保持されたバネ手段(9)によりボール(8)を所定のバネ荷重にて円錐状穴(6c)の傾斜壁面に押しつけ、
さらに、従動側回転部材(6)の半径方向の面(6b)において円錐状穴(6c)に隣接して円周方向にボール収納用穴(6f)を複数設け、
バネ手段はボール(8)側の径が小さくなっている円錐バネ(9)により構成し、
前記穴部(1d、1e)は、円錐バネ(9)の最小径部側の部位に円錐バネ(9)の最大径部よりも小径になっている穴部(1d)を有しており、
従動側機器(3)の通常運転時には、円錐バネ(9)のばね荷重により複数のボール(8)をそれぞれ円錐状穴(6c)の傾斜壁面に押しつけて、駆動側回転部材(1、11、12)から複数のボール(8)の嵌合部を経て従動側回転部材(6)に動力を伝達し、
一方、従動側機器(3)の過負荷時には、円錐状穴(6c)の傾斜壁面からボール(8)に加わる軸方向荷重が円錐バネ(9)のばね荷重を上回ることにより、ボール(8)が円錐バネ(9)に抗して円錐状穴(6c)の傾斜壁面から脱出する方向に移動し、駆動側回転部材(1、11、12)が従動側回転部材(6)に対して空転することによりボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込み、駆動側回転部材(1、11、12)から従動側回転部材(6)への動力伝達を遮断するようになっており、
さらに、ボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込んだ状態では、円錐バネ(9)が小径の穴部(1d)の壁面により係止されて保持されることを特徴としている。
【0009】
これによると、円錐バネ(9)に抗してボール(8)が移動し、ボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込むことにより、動力伝達を遮断できるため、従来技術における駆動力受承体のごとき軸方向摩擦移動部材を設定する必要がなく、過負荷時のトルクリミッター機能を設計通りの離脱トルクにて確実に発揮できる。
【0010】
しかも、ボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込むことを円錐バネ(9)のバネ荷重にて常に確実に行わせることができる。
さらには、ボール(8)は動力遮断後、停止状態となる従動側回転部材(6)のボール収納用穴(6f)内に落ち込むようにしているから、ボール(8)はボール収納用穴(6f)内で以後回転せず、停止したまま保持される。そのため、ボール(8)は収納用穴(6f)内に安定的に保持され、がた付くことがないので、騒音等を発生する恐れもない。
上記に加えて、請求項1記載の発明では、バネ手段としてボール(8)側の径が小さくなっている円錐バネ(9)を用い、かつ、駆動側回転部材(1、11、12)の穴部(1d、1e)のうち、円錐バネ(9)の最小径部側の部位に、円錐バネ(9)の最大径部よりも小径になっている穴部(1d)を設け、
従動側機器(3)の過負荷時にボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込み、駆動側回転部材(1、11、12)から従動側回転部材(6)への動力伝達が遮断される際に、円錐バネ(9)を小径の穴部(1d)の壁面により係止して保持するようになっている。
つまり、請求項1記載の発明では、ボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込んだ際に、円錐バネ(9)が伸びると、円錐バネ(9)の径が大きくなっている部分を利用して、小径の穴部(1d)の壁面により円錐バネ(9)を確実に係止して保持できる。これにより、動力伝達遮断時にボール押圧用の円錐バネ(9)が駆動側回転部材(1、11、12)より抜け出ることを防止できる。
【0011】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の動力伝達装置において、ボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込んだ状態では、円錐バネ(9)が駆動側回転部材(1、11、12)から抜け出てこないようになっていることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1または2に記載の動力伝達装置において、ボール(8)がボール収納用穴(6f)内に落ち込んだ状態では、円錐バネ(9)の最小径部が小径の穴部(1d)内に位置して保持されていることを特徴とする。
特に、請求項記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の動力伝達装置において、駆動側回転部材を、回転駆動源からの回転力がベルトを介して伝達され回転するプーリ(1)と、このプーリ(1)の内周側に間隔をおいて配置された円筒状のロータ(11)と、このプーリ(1)とロータ(11)との間を一体に連結する弾性変形可能なゴム部材(12)とにより構成することを特徴としている。
【0012】
これによると、ゴム部材(12)の弾性変形により圧縮機等の従動側機器(3)のトルク変動を吸収できる。従って、トルクリミッター機能とトルク変動吸収機能とを両立させることができる
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図5は本発明を自動車空調用圧縮機の動力伝達装置に適用した第1実施形態を示すものであり、図1は通常の動力伝達状態を示し、図5は過負荷時の動力伝達の遮断状態を示している。1は駆動側回転部材をなすプーリで、図示しないベルトを介して自動車エンジン(回転駆動源)から回転力を受けて回転するものである。このプーリ1には多重Vベルトが係合される多重V溝を持ったプーリ部1aが一体形成されており、鉄系金属で製作されている。
【0015】
また、プーリ1の内周円筒部1bには、ベアリング2が配置され、このベアリング2によりプーリ1は圧縮機(従動側機器)3のフロントハウジング4の円筒突出部4a上に回転自在に支持されている。
5は圧縮機3の回転軸、5aは軸シール装置で、圧縮機3のフロントハウジング4の円筒突出部4aの内周側と回転軸5との間に配置され、圧縮機3の内部から外部へ冷媒が漏れるのを防止するためのものである。
【0016】
6は従動側回転部材をなすハブで、鉄系金属にて内周円筒部6aと、この内周円筒部6aの一端部(反圧縮機側の端部)から半径方向外側へ延びる円板部(半径方向の面)6bとを有する形状に形成されている。このハブ6の内周円筒部6aは回転軸5に対してインボリュートスプライン結合等により回転方向に回り止めして嵌合し、かつボルト7により回転軸5に一体に締結されている。
【0017】
プーリ1のうち、圧縮機3とは反対側の側面の内周寄り部分にはリング状の突出部(半径方向の面)1cが形成されており、この突出部1cには回転軸5を中心とする円周方向に略等間隔で複数(本例では8個、図2参照)の円筒状穴1dが開けてある。この円筒状穴1dの内径は図3に拡大図示するように金属製のボール8の外径より若干大きくして、ボール8を円筒状穴1d内に嵌合係止できるようにしてある。
【0018】
そして、円筒状穴1dと同一位置において、円筒状穴1dより圧縮機3側の部位には、円筒状穴1dより内径を大きくしたバネ収納用の円筒状穴1eが開けてある。この円筒状穴1e内部にはコイルバネ径が円錐状に変化する円錐バネ(バネ手段)9が収納されている。
この円錐バネ9の底辺部(最大径部)はサークリップ10により保持され、円錐バネ9の頂部(最小径部)がボール8に当接して、ボール8に対してハブ6側の方向(図3の左方向)にバネ荷重Fsを加えるようになっている。なお、サークリップ10は例えばC字形状の半径方向に弾性変形可能な止め輪であって、プーリ1の円筒状穴1eの内壁面に設けたリング状の溝部1f(図3)に弾性的に脱着可能に嵌着、固定されている。
【0019】
一方、ハブ6の円板部6bは上記したプーリ1の突出部1cに対して所定間隔L(図3)を隔てて対向するように配置されており、この円板部6bには、8個のボール8に対応した部位に円錐状穴6cが開けてある。この円錐状穴6cはプーリ1側の内径が大きくて、反プーリ側の径が小さくなっており、ボール8の球面の一部が円錐状穴6c内に嵌入されて、ボール8の球面が円錐状穴6cの傾斜壁面に当接して、ボール8に加わる円錐バネ9のバネ荷重Fsを受ける。
【0020】
また、円錐状穴6cの頂部側(小径側)には円筒状穴6dが形成してあり、この円筒状穴6dを設けることにより、ボール8の中心線8a上の面が円板部6bに対して点接触で当接するのを防止して、ボール8の円周方向の面が円錐状の穴6cの壁面に線接触で当接するようにしている。
そして、円板部6bには、円錐状穴6cに隣接して、円周方向に円錐状穴6cと同一間隔で矩形状の突出壁部6eが形成されている。この突出壁部6eは円板部6bの円板面から反圧縮機側へ突出するものであって、その内部に、ボール収納用の円筒状穴6fを形成している。この円筒状穴6fは圧縮機過負荷時に円錐状穴6cから離脱したボール8を収納し保持するものであって、ボール8の外径より若干大きい内径および深さを持っている。
【0021】
なお、図2から理解されるように、円錐状穴6c、円筒状穴6d、円筒状穴6f、円筒状穴1d、1e、ボール8、および円錐バネ9は、回転軸5を中心とする同一円周上に略等間隔で複数(8個つづ)配置されている。
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。車両エンジンが運転されると、車両エンジンのクランクプーリからの駆動力が図示しないベルトを介してプーリ1に伝達され、プーリ1がベアリング2上で回転する。ここで、円筒状穴1dとボール8と円錐状穴6cとの嵌合部においてボール8が円錐バネ9のバネ力Fsにより円錐状穴6cの壁面に押しつけられて、ボール8の円周方向への移動が阻止されているので、駆動力はプーリ1からボール8の嵌合部を経てハブ6に伝達され、ハブ6から回転軸5に伝達されて圧縮機3が作動する。
【0022】
ところで、ボール8には図3に示すように、エンジンからの駆動トルクTに応じて円錐状穴6cの傾斜壁面で発生する軸方向成分の荷重Fbと、円錐バネ9によるバネ荷重Fsが作用する。上記軸方向荷重Fbは、円錐状穴6cの壁面の傾斜角をθとし、円錐状穴6cの傾斜壁面による回転方向成分の荷重をFtとすると、次の数式1で表すことができる。
【0023】
【数1】
Fb=Ft・tanθ
そして、回転方向成分の荷重をFtは、ボール8の数をNとし、ボール8の配置部位の半径であるピッチ半径をr(図1参照)とすると、次の数式2で表すことができる。
【0024】
【数2】
Ft=T/(r・N)
自動車用空調装置の場合、通常の運転状態での駆動トルクTの最大値はおおよそ2kgf・mで、その時のFbは本実施形態では約2kgfとなるように各諸元が決定されており、圧縮機3のロック時にプーリ1に係合しているベルトがスリップし始める駆動トルクはおおよそ5kgf・mであると言われている。従って、ベルトがスリップしないためには、駆動トルクは5kgf・m以下、すなわちFbは約5kgf以下となる。
【0025】
従って、円錐バネ9によるバネ荷重Fsは、約2kgfと約5kgfとの間に設定すればよく、本実施形態では約3.5kgfに設定している。
通常の運転状態では、図4(a)(図1、図3と同じ状態)に示すように、ボール8が円錐バネ9のバネ力Fsにより円錐状穴6cの壁面に押しつけられて、エンジンからの駆動力がプーリ1からボール8の嵌合部を経てハブ6に伝達され、ハブ6から圧縮機3の回転軸5に伝達される。
【0026】
しかし、圧縮機3がロック等を起こして,過大な負荷トルクがボール8の嵌合部に作用すると、円錐状穴6cの傾斜壁面で発生する軸方向成分の荷重Fbが円錐バネ9によるバネ荷重Fsの設定値(約3.5kgf)を上回るので、この軸方向荷重Fbにより円錐バネ9が圧縮されて、ボール8が円錐状穴6cの傾斜壁面に沿って図4(b)に示すようにプーリ1の円筒状穴1dを右方向へ移動する。この結果、ボール8と円錐状穴6cとの円周方向の係止状態が解除されるため、プーリ1がハブ6から離脱して空転し、ハブ6側への回転伝達が遮断される。
【0027】
そして、プーリ1の空転によりボール8が円錐状穴6cに隣接して形成された円筒状穴6fの部位まで移動すると、図4(c)に示すように、ボール8は円錐バネ9のバネ荷重Fsにより円筒状穴6f内に落ち込むので、動力伝達の遮断状態が以後確実に維持される。図5はこの動力伝達の遮断状態を示している。
円筒状穴6f内に落ち込んだボール8は停止状態にあるハブ6側に保持されるから、以後回転しない。そのため、ボール8は円筒状穴6f内に安定的に収納、保持され、がた付くことがないので、騒音等を発生する恐れもない。
【0028】
また、円筒状穴6f内にボール8が落ち込んだ後、円錐バネ9はプーリ1とともに回転するが、円錐バネ9の径が円錐状に拡大しているため、図4(c)および図5に示すように、円筒状穴1eより小径になっている円筒状穴1dの内壁にて円錐バネ9が係止され、保持されるので、円錐バネ9がプーリ1より抜け出てくることもない。
【0029】
なお、ボール8、円筒状穴1d、円錐状穴6c、円錐バネ9等の表面には、錆付き防止、耐食性向上、摩擦低減等の目的のために、適宜の表面処理(例えば、フッ素樹脂コーティング等)を施してもよい。
(第2実施形態)
図6は第2実施形態を示すもので、第2実施形態では、第1実施形態のプーリ1を、プーリ1と円筒形状のロータ11に分割し、プーリ1のプーリ部1aの内周側に所定間隔を開けてロータ11を同心状に配置するとともに、このプーリ1のプーリ部1aの内周側とロータ11の外周側との間を、弾性変形可能なゴム部材12により一体に連結している。
【0030】
ここで、ゴム部材12は円筒状に1つに繋がった形状でも、円周方向に複数に分割された形状でもよく、ゴム部材12はプーリ部1aの内周側とロータ11の外周側に焼き付き接着等の方法で固着されている。このゴム部材12の弾性変形により圧縮機3のトルク変動を減衰させ、騒音を低減する。
そして、第2実施形態では、ロータ11の半径方向内側に延びる側壁部11aに、第1実施形態の円筒状穴1d、1eを設けて、サークリップ10により保持した円錐バネ9のバネ荷重Fsにてボール8をハブ6側の円錐状穴6cの傾斜壁面に押しつける点は第1実施形態と同じである。
【0031】
従って、第2実施形態によると、第1実施形態と同じ作動機構にて圧縮機3の過負荷時のトルクリミッター機能を果たすことができ、しかも、圧縮機3の通常運転時にはゴム部材12の弾性変形によりトルク変動低減機能をも発揮できる。よって、第2実施形態では、圧縮機ロックのような過負荷時のトルクリミッター機能と、通常運転時におけるトルク変動低減機能とを両立することができる。
【0032】
(第3実施形態)
図7、図8は第3実施形態を示すもので、第1実施形態では円錐バネ9を保持する保持部材として、半径方向に弾性変形可能な止め輪形状のサークリップ10を用い、このサークリップ10を円筒状穴1eの内壁面に設けたリング状の溝部1fに脱着可能に嵌着、固定しているが、第3実施形態では図8に示すように一体に繋がった1つのリング状止め輪10aを用いるとともに、円筒状穴1eの端部に、円周方向に繋がった1つのリング状の穴部1gを形成し、このリング状の穴部1gにリング状止め輪10aを図7に示すように打ち込み固定する。
【0033】
第3実施形態によると、第1実施形態によるリング状溝1fを形成する溝加工が不要になるとともに、リング状溝1fに8個のサークリップ10を弾性変形させて嵌着、固定する組付作業が不要となり、1つのリング状止め輪10aを打ち込み固定するだけでよい。従って、第1実施形態に比して機械加工の工数、および組付工数を低減でき、製造コストを低減できる
(他の実施形態)
なお、本発明は自動車用空調装置の圧縮機への動力伝達装置に限らず、種々な用途のものに広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す縦断面図で、通常運転時の状態を示す。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】第1実施形態において、過負荷運転時におけるトルクリミッタ−作動の経過を説明する説明図である。
【図5】第1実施形態において過負荷運転時のトルクリミッタ−作動後の動力遮断状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す縦断面図で、通常運転時の状態を示す。
【図7】本発明の第3実施形態を示す縦断面図で、通常運転時の状態を示す。
【図8】第3実施形態に用いる止め輪の斜視図である。
【符号の説明】
1…プーリ(駆動側回転部材)、1d、1e…円筒状穴、3…圧縮機、
5…回転軸、6…ハブ(従動側回転部材)、6c…円錐状穴、6f…円筒状穴、
9…円錐バネ(バネ手段)、10…サークリップ(保持部材)、11…ロータ、
12…ゴム部材。

Claims (6)

  1. 回転駆動源からの回転力を受けて回転する駆動側回転部材(1、11、12)と、
    従動側機器(3)の回転軸(5)に連結された従動側回転部材(6)と、
    前記駆動側回転部材(1、11、12)の半径方向の面(1c、11a)において円周方向に複数設けられた穴部(1d、1e)と、
    前記従動側回転部材(6)のうち、前記半径方向の面(1c、11a)と対向するように形成された半径方向の面(6b)において円周方向に複数設けられた円錐状穴(6c)と、
    前記駆動側回転部材(1、11、12)の穴部(1d、1e)内を挿通可能な外径を有し、かつこの穴部(1d、1e)に嵌合係止した状態にて前記従動側回転部材(6)の円錐状穴(6c)の傾斜壁面に当接する複数のボール(8)と、
    前記駆動側回転部材(1、11、12)に保持され、前記ボール(8)を所定のバネ荷重にて前記円錐状穴(6c)の傾斜壁面に押しつける複数のバネ手段(9)と、
    前記従動側回転部材(6)の前記半径方向の面(6b)において前記円錐状穴(6c)に隣接して円周方向に複数設けられたボール収納用穴(6f)とを備え、
    前記バネ手段は前記ボール(8)側の径が小さくなっている円錐バネ(9)からなり、
    前記穴部(1d、1e)は、前記円錐バネ(9)の最小径部側の部位に前記円錐バネ(9)の最大径部よりも小径になっている穴部(1d)を有しており、
    前記従動側機器(3)の通常運転時には、前記円錐バネ(9)のばね荷重により前記複数のボール(8)をそれぞれ前記円錐状穴(6c)の傾斜壁面に押しつけて、前記駆動側回転部材(1、11、12)から前記複数のボール(8)の嵌合部を経て前記従動側回転部材(6)に動力が伝達され、
    一方、前記従動側機器(3)の過負荷時には、前記円錐状穴(6c)の傾斜壁面から前記ボール(8)に加わる軸方向荷重が前記円錐バネ(9)のばね荷重を上回ることにより、前記ボール(8)が前記円錐バネ(9)に抗して前記円錐状穴(6c)の傾斜壁面から脱出する方向に移動し、前記駆動側回転部材(1、11、12)が前記従動側回転部材(6)に対して空転することにより前記ボール(8)が前記ボール収納用穴(6f)内に落ち込み、前記駆動側回転部材(1、11、12)から前記従動側回転部材(6)への動力伝達が遮断されるようにし、
    さらに、前記ボール(8)が前記ボール収納用穴(6f)内に落ち込んだ状態では、前記円錐バネ(9)が前記小径の穴部(1d)の壁面により係止されて保持されることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記ボール(8)が前記ボール収納用穴(6f)内に落ち込んだ状態では、前記円錐バネ(9)が前記駆動側回転部材(1、11、12)から抜け出てこないようになっていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記ボール(8)が前記ボール収納用穴(6f)内に落ち込んだ状態では、前記円錐バネ(9)の最小径部が前記小径の穴部(1d)内に位置して保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記駆動側回転部材は、回転駆動源からの回転力がベルトを介して伝達され回転するプーリ(1)と、このプーリ(1)の内周側に間隔をおいて配置された円筒状のロータ(11)と、このプーリ(1)とロータ(11)との間を一体に連結する弾性変形可能なゴム部材(12)とからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の動力伝達装置。
  5. 前記ロータ(11)の半径方向の面(11a)に前記複数の穴部(1d、1e)が設けられ、前記円錐バネ(9)は前記ロータ(11)に保持されていることを特徴とする請求項に記載の動力伝達装置。
  6. 前記従動側機器は自動車用空調装置の冷凍サイクルの圧縮機(3)であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の動力伝達装置。
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