JP4317960B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の処理を実行する制御装置を備えた遊技機に関し、詳しくは、制御装置のプログラム記憶容量を小さくするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、パチンコ機のように高度に電装化された遊技機では、多数の電装装置が装備され、これら電装装置は別途設けた制御装置により制御される。この制御装置には各電装装置を制御するための制御プログラムが記憶されており、制御装置はこの制御プログラムを適宜実行することで各電装装置に所定の動作を行わせる。
【0003】
上述した遊技機においては、遊技者にとって面白みの高い遊技機とするため遊技演出を多様化させたいという要求が強く、この要求を満足するためには電装装置に複雑で多様な動作を行わせる必要が生じる。したがって、制御装置で実行される処理も多種多様になり、それに伴い制御装置全体のプログラム記憶容量も大きくなるという問題が生じている。
このような問題を解決する一般的な方法としては、制御装置で実行される各処理の中で共通する部分のプログラムを共通化(サブルーチン化)し、各処理を実行する際に必要に応じてこのサブルーチン化したプログラムを実行する方法がある。このようなサブルーチン化する方法では、各処理に個別な処理に付いては個別の制御プログラムにより行われるが、共通する部分に付いては一つのプログラムで行われるためプログラム容量の削減に寄与する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したサブルーチン化して制御プログラムの容量を削減する方法が、単純には適用できないような場合が生じてきている。
すなわち、上述したサブルーチン化する方法では、サブルーチン化した処理を実行した後もとの処理に復帰する必要があるため、このための情報(以下、復帰情報という)をRAM等の所定領域(典型的には、スタック領域と呼ばれる領域)に記憶する必要がある。
一方、上述したパチンコ機のような遊技機においては、近年突発的な停電や不意の電源オフ等により制御装置で行われている処理が中断されるという不具合を防止することが望まれている。したがって、停電等の通電遮断時においては実行途中の処理に関する情報(復帰情報を含む)をRAMに保存し、通電回復後にこの保存した情報に基づいて中断された処理を再開する情報の保存機能を具備することが考えられている。このため、このような情報の保存機能を具備した遊技機においては、中断された処理を再開するためには中断された処理を再開するまでのあいだRAMに保存されている情報(復帰情報を含む)は上書きすることなく保存していなければならないこととなる。
ここで、通電遮断後の電源投入時には、通常制御装置の初期化処理が行われるため、復帰情報が格納されている位置を特定するための情報(典型的には、スタックポインタ)も初期化(先頭のアドレスに設定)されることとなる。このため、スタックポインタで特定されるレジスタには、中断された処理を再開するために必要な復帰情報が記憶されていることとなる。したがって、通電遮断後の復電処理においてサブルーチン化された処理を実行すると、保存されている復帰情報の上に新たな復帰情報が上書きされることとなる。このため、情報の保存機能を有する遊技機において通電回復時に復電処理を行う場合には、サブルーチン化されたプログラムを実行することができないこととなる。
【0005】
本発明は上述した実情に鑑みなされたものであり、その目的は、復帰情報を記憶する領域を複数の領域に区分けすることで、上述したような場合においてもサブルーチン化されたプログラムを実行できプログラム記憶容量を小さくすることができる遊技機を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記課題を解決するため本願発明に係る遊技機は、複数の処理を実行する制御装置を備えた遊技機において、その制御装置は、前記複数の処理毎の個別の処理を実行するための個別プログラムを記憶する個別プログラム記憶手段と、前記複数の処理のうちの少なくとも二以上の処理に共通する一部分の処理を実行するための共通プログラムを記憶する共通プログラム記憶手段と、その共通プログラムを実行することで中断される前記個別プログラムの実行を再開するために必要な復帰情報を記憶する復帰情報記憶手段と、前記個別プログラムを実行し、必要に応じて前記共通プログラムを実行し、その共通プログラムを実行することにより中断された前記個別プログラムの実行を再開するために必要な復帰情報を前記復帰情報記憶手段に記憶し、その共通プログラムの実行が終了したときにその記憶した復帰情報に基づいて前記中断された個別プログラムを再開する処理手段を備える。
そして、前記復帰情報記憶手段が複数の領域に区分けされており、前記個別プログラム毎にその区分けされた領域の一つが復帰情報を格納する領域として指定される。
【0007】
上記遊技機では、復帰情報を記憶する復帰情報記憶手段が複数の領域に区分けされ、個別プログラム毎に復帰情報を格納する領域が指定される。このため、一の個別プログラムを実行するあいだに共通プログラムを実行することで必要となる復帰情報を記憶する領域と、他の個別プログラムを実行するあいだに共通プログラムを実行することで必要となる復帰情報を記憶する領域とを別々の領域とすることができる。したがって、一の個別プログラムを実行することで記憶された復帰情報を変更することなく、他の個別プログラムを実行し、その実行中に共通プログラムを実行することができる。したがって、上述したような共通プログラムを実行する際の制限が無くなるため、プログラムの更なる共通化が図れプログラム記憶容量の軽減を図ることができる。
【0008】
ここで、上記「複数の処理」には、遊技機を制御する際に大きくベースとなる一つの処理と認識される処理(例えば、遊技処理、電源断時処理、復電処理等)から、これらの処理工程の一部を構成する処理(例えば、遊技処理の一部を構成するコマンド作成処理等)の両者が含まれる。
【0009】
ここで、復帰情報を格納する領域の指定方法は、特に制限があるわけではなく、ある個別プログラムの復帰情報を保存しながら他の個別プログラムを実行する際に共通化プログラムが実行できるように、これら二つの個別プログラムを実行するときの復帰情報を格納する領域が異なる領域となれば良い。
したがって、上述したような関係にする必要が無い個別プログラム同士の場合には、同一の領域に格納しても良く、また、別々の領域に格納する場合も、その格納方法はどのような方法をとっても良い。例えば、予め別々の領域を指定しても良いし、これとは別に、保存していた復帰情報を必要に応じて他の領域にコピーすることで結果として別々の領域になるようにしても良いし、また、状況に応じて格納する領域を適宜変更するような構成としても良い。
【0010】
上記の遊技機において、前記複数の処理には、遊技中に行われる遊技処理と、外部電源からの電力の供給が遮断されたときに中断された前記遊技処理を再開するための情報を保存する電源断時処理と、外部電源からの電力の供給が再開されたときに前記電源断時処理により保存した情報に基づいて前記遊技処理を再開させる復電処理が含まれている場合には、前記遊技処理において保存される復帰情報を記憶する領域と、前記復電処理において保存される復帰情報を記憶する領域が異なるように指定されていることが好ましい。
上述した構成によれば、遊技処理において保存される復帰情報と、復電処理において保存される復帰情報が別々の領域に記憶されるため、遊技処理を再開するために必要となる復帰情報を変更することなく、復電処理において共通プログラムを実行することができる。
【0011】
なお、本願発明の遊技機は、パチンコ機、スロットマシン等に適用すると特に効果的である。パチンコ機では、不正防止の観点から制御装置のプログラム記憶容量に制限があるためである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を第1種パチンコ機におけるメイン制御部に適用した一実施の形態について図1乃至図8を用いて説明する。ここで、図1は第1種パチンコ機の外観を示す正面図であり、図2は本実施の形態に係るパチンコ機の制御部の構成を示すブロック図であり、図3はメイン制御部のメモリマップを示す図であり、図4は電源部120の構成を説明するための図面であり、図5は通電時におけるメイン制御部100の処理のフローチャートであり、図6は通電遮断時におけるメイン制御部100の処理のフローチャートである。
図1に示すようにパチンコ機10の遊技盤面12には、図柄表示装置14、第1種始動口30、大入賞口34等が適宜配置されている。
第1種始動口30は始動口センサ56(図示しない;ただし、図2のブロック図に表示)を有し、パチンコ球が入賞すると通常の入賞口と同様に、遊技盤の裏側に設けられた賞球装置60(図示しない;ただし、図2のブロック図に表示)より賞球(賞品球)を払い出す。また、大入賞口34は開閉蓋36を有し、その開平蓋36はソレノイド50(図示しない;ただし、図2のブロック図に表示)により開閉駆動されるようになっている。開閉蓋36が開放される期間は、例えば大入賞口34にパチンコ球が所定個数(一般的には10個)入賞するか、開放してから30秒間を経過するまでのいずれか早いほうで終了する。
【0013】
遊技盤面12の略中央には、図1に示すように図柄表示装置14が組み付けられている。この図柄表示装置14には、図柄表示器22と、特別図柄の変動保留回数を表示する保留球ランプ28等が設けられている。
図柄表示器22は液晶表示器で構成され、その画面上に3つの特別図柄が所定条件下で変動表示される。この図柄表示器22に変動表示される特別図柄は、変動停止時の図柄の組合せにより大当り遊技状態(大入賞口34が開放される状態)に移行するか否かを遊技者に認識させる役割を果たす。ここで、特別図柄として用いる図柄には、文字(英数字や漢字等)、記号、図形、絵柄等があるが、本実施の形態では数字(0〜9)を用いている。
なお、本実施の形態における図柄表示器22としては液晶表示器を用いたが、これ以外にもCRT表示器、LED表示器、プラズマ表示器等を使用することができる。
【0014】
なお、遊技機10には、図1に示すように、上述した遊技盤面12以外にも、賞球や貸球を含むパチンコ球を一時的に貯留する下皿40、タバコの吸い殻を入れる灰皿42、賞球の受皿である上皿46、上皿46の内部に設けられて遊技状態に応じて効果音を発生するスピーカ52等が設けられている。また、パチンコ機10正面の適宜の位置には、パチンコ機10の遊技状態に応じて発光するランプ類16等を備える。なお、これら装置の構造等については、公知のパチンコ機に設けられたものと同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0015】
次に、パチンコ機10によるパチンコ遊技を実現するための電装系の構成について、図2、図3、図4を参照しながら説明する。
図2に示すように、パチンコ機10の電装系は、パチンコ機10全体を制御するメイン制御部100と、このメイン制御部100と接続された各種電装装置(ゲートセンサ54、始動口センサ56、ソレノイド50、図柄表示器22、賞球装置60等)と、メイン制御部100及びメイン制御部100に接続された各種電装装置に電力を供給する電源部120とで構成される。
【0016】
メイン制御部100は、CPU102と、CPU102とバス114を介して接続されるROM104、RAM106、入力処理回路108、出力処理回路110、通信制御回路112等を有する。
CPU102は、ROM104に格納されている各種制御プログラムを実行してパチンコ機10を制御する。ROM104に格納されている制御プログラムには、図3に示すようにパチンコ遊技を実現するための処理(パチンコ遊技処理)、停電時にRAM106の内容を保存するための処理(停電処理)、停電復帰時にRAM106に保存した内容に基づき停電前の遊技を再開する処理(復電処理)等を実現するためのプログラムが含まれている。具体的には、上述したパチンコ遊技処理、停電処理、復電処理は、これらの各処理毎に個別の処理を行う個別プログラム(遊技処理プログラム記憶領域M1,電源断時処理プログラム記憶領域M2,復電処理プログラム記憶領域M3に格納)と、これらの各処理において共通するサブルーチン化された処理を行う共通プログラム〔例えば、RAM106の異常判定処理(チェックサムの算出等)を行うプログラム〕により実現される。
【0017】
RAM106は、図3に示すように、先頭のアドレスから順に、上述した各プログラムを実行するための作業を行う作業領域Wと、未使用領域Nを挟んで上述したパチンコ遊技処理を実行する際に使用されるスタック領域S1と、上述した復電処理を実行する際に使用されるスタック領域S2とが設けられている。
作業領域Wには、アドレス7F00H〜7FAAHまでが割付けられ、上述した各プログラムを実行する際に必要となるデータ(例えば、各種乱数、ラウンド数、保留球数、確率変動データ等)や入出力信号が格納される。
また、スタック領域S1には、アドレス7FC6H〜7FF1Hまでの領域が割付けられている。このスタック領域S1には、パチンコ遊技処理中にサブルーチン化した共通プログラムを実行するよう命令が出される際に、その共通プログラムを実行後に戻るべき場所を特定するための復帰情報(本実施形態では、アドレス)が格納される。この復帰情報が格納される位置は、スタックポインタにより特定され、このスタックポインタは、初期設定時に各スタック領域の末尾のアドレスに設定され、スタック領域に復帰情報が格納される毎に1ずつ減算されるようになっている。したがって、多重にサブルーチン化した共通プログラムが実行されると、スタック領域の末尾から順に若いアドレスに向かって復帰情報が格納されることとなる。なお、スタック領域に格納された復帰情報を用いてもとの処理に戻るとスタックポインタの値は1加算される。
スタック領域S2には、アドレス7FF0H〜7FFFHまでの領域が割付けられている。このスタック領域S2も、基本的にはスタック領域S1と同一の機能を有し、スタック領域S2には、復電処理中にサブルーチン化した共通プログラムを実行した際の復帰情報が格納されるようになっている。
なお、このRAM106に格納された情報は、後述する電源部120のコンデンサ等のバックアップ用回路に通電中に貯えた備蓄電力により、通電が遮断された後もその記憶した情報を保持することができるようになっている。
【0018】
入力処理回路108は、ゲートセンサ54、始動口センサ56等のセンサから出力された信号や、後述する停電検出部130から出力された停電信号を受信し、メイン制御部100内で処理可能なデータ形式に変換する機能を有する。出力処理回路110は、CPU102からバス114を介して送られてきた駆動データを受けて、ソレノイド50等のパチンコ機10に配設された電装装置を駆動する。通信制御回路112は、表示制御部200や賞球制御部300等にCPU102で作成されたコマンドを送信するための回路である。
また、表示制御部200は、通信制御回路112から送信されたコマンドを受けて図柄表示器22を制御するものであり、賞球制御部300は、通信制御回路112から送信されたコマンドを受けて賞球装置60を制御するものである。
その他、音制御部400は、メイン制御部100から送られてくるコマンドに基づいて遊技演出として適時効果音を発生する制御を行う。例えば、図柄表示器22の図柄変動にあわせてその演出にあった効果音を発生し、その変動効果音発生中に始動口へ入賞した場合には、現在の効果音の音量を絞り、同時に入賞音を単発的に発生するよう制御が行われる。また、大当り中においては、次のラウンドへ移行するための特定入賞口への入賞音を、大当り中の演出効果音の音量を絞って同時に発生したり、また、最終ラウンド中に入賞した場合においては、逆にその入賞音を絞って遊技者には認識されない音量で発生したり、あるいは大当り中の演出効果音を絞って、その入賞音を異なった音に変えて同時に発生するよう制御が行われる。このように本実施の形態の音制御部400は、複数の効果音を発生する条件が整った場合において、アピールしたい効果音のほうを遊技者により認識しやすく報知する制御が行われる。
なお、これらの表示制御部200、図柄表示器22、賞球制御部300、賞球装置60、音制御部400、スピーカ52は、従来公知のパチンコ機と同一であり、特に本発明を特徴付けるものではないのでここではその説明を省略する。
【0019】
電源部120は、外部電源から供給されるAC24V電源をパチンコ機10に装備された各電装品それぞれに応じた電圧の直流供給電源に整流・平滑化する電圧変圧部140と、停電その他の理由によって外部電源からの通電が遮断されたときにパチンコ機10の各制御部(メイン制御部100、賞球制御部300等)に向けて停電信号を出力する停電検出部130とを備える。
電圧変圧部140は、図4に示すようにAC24V電源の波形を整流する整流回路142a,142bと、整流回路142a,142bにより整流された脈流波形を平滑化する平滑回路(ダイオードD1,D2,D3,D4とコンデンサC1,C2,C3,C4で構成)と、平滑回路により平滑化された波形を定電圧化する定電圧回路IC1、IC2、IC3とで構成される。
このような電圧変圧部140において通常時には、定電圧回路IC1により生成される+5Vの信号がメイン制御部100に対して供給される。また、停電等の通電遮断時においては、コンデンサC1に通電中に備蓄した電力が、メイン制御部100に対して供給され、これによりメイン制御部100は通電遮断後の処理を行うことが可能となる。
さらに、定電圧回路IC1から出力される+5Vの信号は、並列に分離されてダイオードD5およびコンデンサC5を介してメイン制御部100の情報保存用出力端子VBBに接続される。そして、このコンデンサC5に備蓄された電力は、停電等の通電遮断時においてメイン制御部100のRAM106に供給され、RAM106に記憶された情報が保持される。
【0020】
次に、上述したように構成されるメイン制御部100の処理について説明する。最初にパチンコ機10への電源投入が行われ、通常のパチンコ遊技処理を実行する際のメイン制御部100の処理について説明する。
【0021】
(1)パチンコ遊技処理
電源投入されると、電源部120からメイン制御部100に通電が開始され、メイン制御部100に印可される電圧が所定の電圧となると次に説明する処理を開始する。このメイン制御部100の処理を図5に基づいて説明する。
なお、図5においてステップS08〜ステップS14までの処理がパチンコ遊技処理に相当するが、ここでは電源投入時から(ステップS01から)説明する。また、ステップS01〜ステップS05及びステップS15、ステップS16の一連の処理は復電処理に相当するが、この復電処理については後で詳細に説明する。
【0022】
図5に示すように、電源が投入された後、メイン制御部100では、まずスタックポインタにアドレス8000Hが設定される(S01)。したがって、この状態でサブルーチン化された共通プログラムが実行されると、その復帰情報はアドレス8000Hに格納される。
次ぎに、メイン制御部100の初期化処理が行われる(S02)。具体的には、CPU102の初期化、各入出力ポートの初期化が行われる。そして、RAM106の異常を判定するためにチェックサムが算出される(S03)。チェックサムは、RAM106の各レジスタの値を所定の方法で加算した加算値であり、このチェックサムを算出する処理は、既に述べたようにサブルーチン化した共通プログラムを実行することにより行われる。したがって、ステップS03のチェックサムを算出する際の復帰情報は、ポインタ値を1減算してRAM106のアドレス7FFFH(スタック領域S2の末尾)に格納される。
次いでRAM消去スイッチがON(操作)されたかどうかを判断する(S04)。ここで、RAM消去スイッチとは、電源遮断時において保存した情報を消去するために操作されるスイッチである。すなわち、保存した情報を利用して遊技を再開する必要がないとき(例えば、営業終了により電源OFFした翌日の営業開始時等)に操作されるスイッチであり、パチンコ機10への電源投入時に操作され、メイン制御部100に信号を出力する。したがって、ステップS04でメイン制御部100は、RAM消去スイッチを操作することで出力された信号を受信したかどうかを判断する。
RAM消去スイッチが操作されていた場合〔ステップS04でYES〕にはステップS06に進み、RAM消去スイッチが操作されていない場合〔ステップS04でNOの場合〕には、次ぎにRAM106に異常があるかないかを判断する(S05)。すなわち、RAM106に保存した情報が何らかの原因で破壊されていた場合には、その情報を利用して遊技を再開することができないので、まずRAM106の情報が利用できるか否かを判断する。具体的な方法としては、ステップS03で算出したチェックサム値が正常値と一致するか否かで判断する。RAM106に異常があった場合〔ステップS05でYESの場合〕にはステップS06に進み、RAM106に異常が無かった場合〔ステップS05でNOの場合〕には保存した情報に基づいて処理を再開する処理に移行する(S15、S16)。この、ステップS15及びステップS16の処理の内容については後で説明する。
ステップS06に進むと、メイン制御部100はRAM106をクリアし(S06)、次いでスタックポインタの値にアドレス7FF0Hが設定される(S07)。したがって、ステップS08からのパチンコ遊技処理においては、ポインタ値を1減算してスタック領域S1の末尾(アドレス7FF1H)から順に復帰情報が格納される。
【0023】
パチンコ遊技処理では、まず、次ぎに出力データ作成処理を行う(S10)。この出力データ作成処理では、パチンコ機10に装備された各種センサ(ゲートセンサ54、始動口センサ56等)から出力された検出信号に基づいて電動役物(大入賞口34を開閉するためのソレノイド50等)を駆動するための出力データ(駆動データ)の作成を行う。この作成された出力データは、別途メイン制御部100内に設けたCTC割込みタイマによる割込み処理(以下、単にCTC割込み処理という)により、各電装装置に出力される。
出力データ作成処理が終了すると、次いでコマンド作成処理を行う(S11)。コマンド作成処理では、パチンコ機に装備された各種センサ(ゲートセンサ54、始動口センサ56等)から出力された検出信号に基づいて、表示制御部200や賞球制御部300等のサブ制御部に送信するコマンドを作成する。例えば、賞球制御部200には賞球の払出を命じる賞球コマンドを作成し、図柄制御部に対しては特別図柄の変動を命じる図柄変動コマンドを作成する。この作成されたコマンドは、同じくCTC割込み処理により各制御部に送信される。
コマンド作成処理が終了すると、次いで外部情報作成処理を行う(S12)。この外部情報作成処理では、大当り回数や確率変動中、球切れ報知等を遊技者、ホール店員等に報知するために報知装置(図柄表示器22、ランプ16、スピーカ52、外部コンピュータ等)に出力する情報の作成を行う。この作成された情報も、CTC割込み処理により各装置に向かって出力される。
次ぎに、ステップS13では乱数更新処理を行う。この乱数更新処理では、初期値乱数の作成・更新やハズレ図柄の作成・更新を行う。このステップS13の処理が終わると、次ぎにチェックサムを算出する(S14)。このチェックサムの算出はステップS03の処理で実行したときと同様、サブルーチン化された共通プログラムを実行することにより行われる。そして、チェックサム算出後、ステップS08の処理に戻ってステップS08からステップS14までのパチンコ遊技処理を繰り返す。
なお、上述した各CTC割込み処理が実行されたときにおいても、もとの処理に復帰するための復帰情報が保存されるが、その保存する場所は、ステップS07で指定されるスタック領域S1に格納されることとなる。
【0024】
(2)電源遮断時の処理
次に、停電や不意の電源OFFによりパチンコ機10への電源供給が遮断された時のパチンコ機10の動作を説明する。
外部電源からパチンコ機10への電力供給が遮断されると、電源部120の停電検出部130からメイン制御部100に停電信号が出力される。停電検出部130から出力された停電信号は、メイン制御部100のNMI端子(ノンマスカラブルインタラプト端子)に入力し、メイン制御部100では停電処理が行われる。なお、停電信号出力後の所定時間(停電処理を行うために必要となる時間)のあいだメイン制御部100に供給される電力は、既に述べたように電源部120のコンデンサC1に通電時に蓄えられる電力により賄われる。
【0025】
以下、メイン制御部100において実行される停電処理について図6に基づいて説明する。
図6に示すように、停電信号を受信したメイン制御部100は、まず停電信号受信時に実行している処理の場所を特定するための情報(プログラム中のアドレス)を、RAM106のスタック領域S1に格納する(S20)。次いで、現在のスタックポインタの値をRAM106の作業領域Wに記憶する(S21)。したがって、後述する復電処理においては、ステップS21で記憶したスタックポインタの値によってステップS20で格納した情報(アドレス)が特定され、通電が遮断されたときの処理が再開されることとなる。
このような処理が完了すると、次いでチェックサムを算出する(S22)。このチェックサムを算出する処理は、サブルーチン化された共通プログラムを実行することにより行われ、その復帰情報はステップS20で記憶したアドレスの次ぎのアドレスに格納される。このようにステップS21以降の処理においてもスタックポインタの値が更新されることとなるが、復電処理においてはステップS21で記憶したスタックポインタの値が使用されるため、この影響を受けることは無い。
そして、メイン制御部100はステップS22で算出したチェックサムをRAM106の所定のアドレスに記憶し(S23)、最後にRAM106へのアクセスを禁止して停電処理を終了する(S24)。
なお、RAM106には、通電遮断時において別途電源部120に設けた情報保存用電源(コンデンサC5により構成)から電力が供給され、RAM106に記憶した情報が所定時間保持される。
【0026】
(3)通電回復時の復電処理
次に、上述した停電処理によりRAM106に保存した情報を利用して中断された処理を再開するメイン制御部100の復電処理について、図5を参照して説明する。
本実施の形態に係るパチンコ機10において、RAM106に保存した情報を使用して中断された処理を再開するためには、RAM消去スイッチを操作することなくパチンコ機10への電源投入を行う。電源投入が行われると、メイン制御部100は、図5のS01〜S05、S15、及びS16の処理(復電処理)を実行する。
具体的には、メイン制御部100は、図5に示すように、まずスタックポインタにアドレス8000Hを設定する(S01)。したがって、復電処理においてサブルーチン化された共通プログラムが実行されると、その復帰情報はスタック領域S2のアドレス7FFFHから順に格納される。
次ぎに、メイン制御部100の初期化処理が行われ(S02)、RAM106の異常を判定するためにチェックサムが算出される(S03)。このチェックサムを算出する処理は、既に述べたようにサブルーチン化した共通プログラムを実行することにより行われ、その復帰情報はスタック領域S2のアドレス7FFFHに格納される。
次いでRAM消去スイッチがON(操作)されたかどうかが判断される(S04)。ここで、復電処理が有効となるのは、RAM消去スイッチが操作されないときであるため、ステップS04の判定はNOとなりステップS05の処理に進む。
ステップS05では、RAM106に異常があるかないかを判断する(S05)。復電処理を実行する場合にはステップS05の判定がNOとなるので、次ぎにステップS15に進んで、スタックポインタの値を停電処理におけるステップS21(図6参照)で記憶した値に設定する(S15)。そして、ステップS15で設定したスタックポインタの値に基づいてレジスタ〔図6に示す電源断時処理のステップS20で退避したレジスタ〕を復帰させ(S16)、復電処理を終了する。
したがって、上述した復電処理が終了すると、メイン制御部100はステップS15で設定されたスタックポインタにより指定される復帰情報(停電処理のステップS20で格納したアドレス)に基づいて処理を開始することとなり、メイン制御部100の処理が通電遮断時に中断されたアドレスに戻り中断された処理が再開される。
【0027】
次ぎに、上述した本発明に係るスタック領域の利用技術を理解し易くするために、図7及び図8を用いて具体的に説明する。図7、8はサブルーチン処理に移るときのプログラムとスタックの関係を説明する図である。図7及び図8の例では、サブルーチン処理として1バイトのデータ転送処理が行われる例を示している。
図7に示すプログラムでは、まずプログラムカウンタ(以下、単にPCという)0100番地にジャンプする命令で始まる〔PC0000番地〕。そして、PC0100番地に移ると、スタックポインタの値が8000番地に設定される。これにより、この後の命令でサブルーチン処理が行われると、8000番地から1を減算した7FFF番地から順に復帰情報(PCの番地)が格納されることとなる。
そして、PC0200番地になるとラベル「DATA」のサブルーチン処理が行われる。この際、スタック領域には、このサブルーチン処理が終了したときに戻ってくるPCの番地0203が格納される。すなわち、スタック領域7FFF番地に02が格納され、7FFE番地に03が格納される。
サブルーチン処理では、7F00番地の内容(データ)が7F50番地へ転送され、その処理が終了するとRET命令によりスタック領域に格納されている情報(PCの値)に基づいてもとの処理に戻る。すなわち、PC0203番地に戻って処理を再開することとなる。
さらに、処理が進み遊技処理に移行すると、PC0300番地でスタックポインタが7FF0番地に設定される。これにより、この後に行われる遊技処理においてサブルーチン処理が行われると、7FF0番地から1を減算した7FEF番地に復帰情報(PCの値)が格納されることとなる。
すなわち、PC0400番地に進みラベル「DATA」のサブルーチン処理が行われると、スタック領域の所定の番地にサブルーチン処理が終了したときに戻ってくるPCの値0403が格納される。すなわち、スタック領域7FEF番地に04が格納され、7FEE番地に03が格納される。そして、サブりーチン処理が終了すると、PC0403番地に戻って処理を再開する。
【0028】
また、図8に示す電源断時のプログラムでは、まずNMI端子に停電信号を受信すると、実行処理中のPCの番地が(図8に示す例では、PC0450番地)がスタック領域に格納される。すなわち、PC0300番地で指定されているスタック領域の7FEF番地に04が格納され、7FEE番地に05が格納される。
そして、PC0066番地となると、ラベル「DATA」のサブルーチン処理がコールされる。この際、前述の場合と同様に、サブルーチン処理が終了した後に戻ってくるPCの番地をスタック領域に格納する。すなわち、スタック領域7FED番地に00が格納され、7FEC番地に69が格納される。
そして、このサブルーチン処理が終了するとPC0069番地に戻って処理が再開される。そして、この電源断時の処理はHALT命令によりCPUが停止して終了する。
電源断時の処理が終了したときに、スタック領域に格納されている情報は7FEF番地以降に格納されている。したがって、通電回復時に行われる復電処理で使用されるスタック領域は7FFF番地と違うため、電源断時にスタック領域に保存した情報を変更することはなく、復電処理においてサブルーチン化されたプログラムを実行することができる(図7に示す例では、ラベル「DATA」のサブルーチン処理が復電回復直後から呼び出せ実行できる。)。
【0029】
上述したことから明らかなように、本実施の形態に係るパチンコ機10では、パチンコ遊技処理においてはRAM106のスタック領域S1を使用し、復電処理においてはスタック領域S2を使用する。したがって、復電処理においてサブルーチン化された共通プログラムを使用してもスタック領域S1に格納されている情報(中断された処理を再開するための情報)は変更されない。したがって、復電処理からサブルーチン化された共通プログラム(チェックサムの算出処理)を行うことができ、メイン制御部100のプログラム記憶容量を小さくすることが可能となる。
【0030】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られることなく、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0031】
例えば、上述した実施の形態においては、メイン制御部100においてパチンコ遊技処理と復電処理に異なるスタック領域を指定し使用した例であったが、当然のことながら本発明の技術は、停電時に所定の情報を保存して通電回復時にその情報を利用して復電処理を実行する他の制御部(例えば、賞球装置60を制御する賞球制御部300、図柄表示器22を制御する図柄制御部200等)に適用することができる。
【0032】
また、上述した実施の形態は本発明をパチンコ機に適用した例であったが、本発明はこの他にも、例えば、アレンジホール機(一定数の鋼球を遊技盤上に射出して所定の当たり状態を成立させるもの)、スロットマシン、雀球遊技機、パチスロ機等の各種遊技機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係るパチンコ機の外観正面図
【図2】 図1に示すパチンコ機の制御系の構成を示すブロック図
【図3】 メイン制御部のメモリマップを示す図
【図4】 電源部の構成を説明するための図
【図5】 メイン制御部における通電時の処理のフローチャート
【図6】 メイン制御部における通電遮断時のフローチャート
【図7】 サブルーチン処理に移るときのプログラムとスタックの関係を説明する図
【図8】 電源断時の処理においてサブルーチン処理に移るときのプログラムとスタックの関係を説明する図
【符号の説明】
10・・パチンコ機
100・・メイン制御部
200・・賞球制御部
Claims (2)
- 複数の処理を実行する制御装置を備えた遊技機において、
その制御装置は、前記複数の処理毎の個別な処理を実行するための個別プログラムを記憶する個別プログラム記憶手段と、
前記複数の処理の少なくとも二以上の処理に共通する一部分の処理を実行するための共通プログラムを記憶する共通プログラム記憶手段と、
その共通プログラムを実行することで中断される前記個別プログラムの実行を再開するために必要な復帰情報を記憶する復帰情報記憶手段と、
前記個別プログラムを実行し、必要に応じて前記共通プログラムを実行し、その共通プログラムを実行することにより中断された前記個別プログラムの実行を再開するために必要な復帰情報を前記復帰情報記憶手段に記憶し、その共通プログラムの実行が終了したときにその記憶した復帰情報に基づいて前記中断された個別プログラムを再開する処理手段を備え、
前記復帰情報記憶手段が複数の領域に区分けされており、
前記複数の処理には、遊技中に行われる遊技処理と、外部電源からの通電が遮断されたときに中断された前記遊技処理を再開するための情報を保存する電源断時処理と、外部電源からの電力の供給が再開されたときに前記電源断時処理により保存した情報に基づいて前記遊技処理を再開させる復電処理が含まれており、
前記遊技処理において復帰情報が記憶される領域と、前記復電処理において復帰情報が記憶される領域とが異なるように指定されている遊技機。 - 外部電源からの通電が遮断されたときにRAMに記憶されている情報を保存し、外部電源からの電力の供給が再開されたときにその保存された情報を用いて通電遮断により中断された処理を再開する制御装置を備えた遊技機において、
その制御装置は、
遊技中に行われる遊技処理と、
外部電源からの通電が遮断されたときに中断された遊技処理を再開するための情報を保存する電源断時処理と、
外部電源からの電力の供給が再開されたときに電断断時処理により保存した情報に基づいて遊技処理を再開させる復電処理と、を実行し、
復電処理と電源断時処理には共通的に実行される共通処理が含まれる一方で、復電処理と電源断時処理と遊技処理のそれぞれには個別に実行される個別処理が含まれており、
RAMには、遊技処理と電源断時処理と復電処理のそれぞれの処理を実行するときに一時的に復帰情報を格納するためのスタック領域を有しており、
復電処理実行時において使用するスタック領域と、電源断時処理又は遊技処理時において使用するスタック領域とが異なることを特徴とする遊技機。
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