JP4315834B2 - 低速電子線用蛍光体および蛍光表示管 - Google Patents

低速電子線用蛍光体および蛍光表示管 Download PDF

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Description

本発明は低速電子線により励起され蛍光を発する低速電子線蛍光体およびこの蛍光体を用いた蛍光表示管に関する。
オーディオ、家電製品、計測器、医療機器などの表示部に所定のパターンあるいはグラフィックを表示する表示素子や、バックライト、プリンタヘッド、ファックス用光源、複写機用光源などの各種光源、平面テレビ等に自発光型の素子として蛍光表示管が多用されている。
これら蛍光表示管に用いられる蛍光体として、ZnS:Ag,Cl(青色)やZnS:Cu,Al(緑色)などの硫化物蛍光体がある。硫化物蛍光体は電気を通しにくいので、In23 粉末などの導電性酸化物を混合し、硫化物蛍光体を低抵抗化して実用化している(特許文献1参照)。
また、カドミウムフリーの蛍光体で黄色系や赤色系の様々な色を出す場合、カドミウムフリーの赤色酸化物蛍光体(SrTiO3:Pr,Al)と硫化物蛍光体(緑ZnS:Cu,Alなど)を混合したものが開発されている(特許文献2参照)。
しかしながら上記硫化物蛍光体、例えばZnS系蛍光体は、電子線照射によりZnSが分解し、カソードが劣化する欠点がある。このカソード劣化を軽減するために、ZnS系硫化物蛍光体に酸化物蛍光体ZnO:Znを混合した混合蛍光体が知られている。しかし、この混合蛍光体はその輝度持続時間が、硫化物蛍光体単独使用の場合よりも極端に短くなるという問題がある。
特許第2971496号 特願2003−132584号公報
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、酸化物蛍光体と硫化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体であって、混合蛍光体の発光輝度の劣化を防止することができる低速電子線用蛍光体の提供を目的とする。
本発明の低速電子線用蛍光体は、酸化物蛍光体と、硫化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体であって、少なくとも上記酸化物蛍光体表面に金属酸化物膜が被覆されてなることを特徴とする。
上記金属酸化物膜は、有機チタン化合物および有機珪素化合物から選ばれた少なくとも1種の有機金属化合物を被覆後、焼成して得られることを特徴とする。
また上記金属酸化物膜は、上記酸化物蛍光体と上記金属酸化物膜との合計量に対して 0.001 〜 1.0 重量%となるように配合されていることを特徴とする。
本発明の蛍光表示管は、真空容器内に形成された上記低速電子線用蛍光体を含む蛍光体層に低速電子線を射突させて発光させる蛍光表示管であることを特徴とする。
本発明の低速電子線用蛍光体は、酸化物蛍光体と、硫化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体であって、少なくとも上記酸化物蛍光体表面に被覆された金属酸化物膜が、硫化物蛍光体から生成する分解ガスの侵入を防止する。このため、分解ガスと酸化物蛍光体との直接的な接触を防ぐことができるので、酸化物蛍光体の輝度の劣化を防止することができる。
この結果、酸化物蛍光体と硫化物蛍光体とを混合した蛍光体を用いた低速電子線用蛍光体において、その寿命改善を図ることができ、使用用途の幅が広がる。
上記金属酸化物膜は、有機チタン化合物および有機珪素化合物から選ばれた少なくとも1種の有機金属化合物を被覆後、焼成して得られ、かつ、上記金属酸化物膜は、上記酸化物蛍光体と上記金属酸化物膜との合計量に対して 0.001 〜 1.0 重量%となるように配合されているので、初期発光輝度と寿命特性のバランスに優れる。
本発明の蛍光表示管は、真空容器内に形成された蛍光体層に低速電子線を射突させて発光させる蛍光表示管において、該蛍光体層が上記低速電子線用蛍光体を含むので、製造時において輝度の劣化がなく、また、使用時において輝度の変化が少なく表示品位の一定した蛍光表示管が得られる。
本発明は、導電性の低い硫化物蛍光体の初期輝度を向上させる目的で、硫化物蛍光体と、酸化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体が、硫化物蛍光体単独使用時に比べて初期輝度は向上するものの、蛍光体の耐久性の良否をきめる指標となる輝度半減時間が、大幅に減少することに着目して鋭意、改良検討を行なった結果、見出したものである。
すなわち、酸化物蛍光体表面に金属酸化膜であるSiO2 膜およびTiO2 膜を形成することにより、硫化物蛍光体と、酸化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体が、硫化物蛍光体と同等の輝度半減時間を確保できることを見出して、上記蛍光体の寿命改善を達成する本発明にいたったものである。
上記蛍光体の寿命改善は、酸化物蛍光体上に被覆されたSiO2 膜およびTiO2 膜が、保護膜となり、硫化物蛍光体から発生する分解ガスが酸化物蛍光体に接触することを防止するために、酸化物蛍光体の劣化が軽減されることによると考えられる。
本発明に使用できる低速電子線用蛍光体粒子は、酸化物蛍光体と、硫化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体である。
本発明に使用できる蛍光体は、蛍光表示管に用いられる低速電子線によって容易に発光する蛍光体を使用できる。例えば、硫化物蛍光体として、(Zn,Cd)S系を母体とする(Zn,Cd)S:Ag,Cl蛍光体、ZnS系を母体とする(ZnS:Mn、ZnS:Au,Al、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Cu,Al)蛍光体、また、酸化物蛍光体として(Zn,Mg)O:Zn蛍光体、ZnGa24:Mn蛍光体、(Zn,Mg)Ga24:Mn蛍光体、(Zn,Al)Ga24:Mn蛍光体、ZnSiO4:Mn蛍光体、SrTiO3:Pr,Al蛍光体、SnO2:Eu蛍光体、Y22S:Eu蛍光体などを例示できる。なお、蛍光体の平均粒子径は、 0.5 〜 5 μm である。
本発明に使用できる低速電子線用蛍光体における硫化物蛍光体の混合割合は、金属酸化物膜が被覆された酸化物蛍光体および硫化物蛍光体、並びに必要に応じて加えられる顔料の全体に対して、 90 重量%以下が好ましい。硫化物蛍光体の混合割合が 90 重量%をこえる蛍光体を用いた蛍光表示管は、電子線照射により硫化物蛍光体が分解することによるカソードの劣化が大きい。
本発明に使用できる顔料は、フィルター機能を有し、かつ陽極基板製造時の焼成温度に耐える顔料であれば使用できる。そのような顔料としては無機顔料が好ましい。
無機顔料の中で青色顔料としては、アルミン酸コバルト(Al23−CoO)系顔料、群青、紺青、セルリアンブルー、キーコックブルー等が、赤色顔料としては、酸化第二鉄系顔料、ZnO−Fe23−Cr23等が、緑色顔料としては、TiO2−NiO−CoO−ZnO系顔料、CoO−Al23−Cr23−TiO2系顔料、Cr23系顔料等が例示できる。
本発明に使用できる金属酸化物膜は、金属酸化物を形成できる化合物を蛍光体表面に塗布、焼成することにより形成できる。
金属酸化物を形成できる化合物としては、有機金属化合物、無機金属化合物が挙げられる。
有機金属化合物としては、有機金属アルコラート、アセチルアセトナト金属錯体、または有機金属アルコラートとアセチルアセトナト金属錯体との混合物が挙げられる。具体的にはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、シリコン、チタン、ジルコニウム、バリウム等の有機金属化合物が例示できる。
無機金属化合物としては、In23、ZnO、ITO、SnO2、Nb25、TiO2WO3 等を焼成により生成できる塩化物、炭酸塩等が例示できる。
これらの化合物の中で、特に蛍光体表面に酸化物膜を形成しやすく、かつ生成する金属酸化物膜が蛍光表示管に使用される蛍光体と反応しない金属酸化物膜が得られる有機金属化合物であることが好ましい。
有機金属化合物の中でも、SiO2 膜およびTiO2 膜を形成できる有機金属アルコラート、具体的にはSiアルコラートおよびTiアルコラートを用いることが好ましい。
有機金属アルコラート等を溶解させた印刷ペーストに微小顔料付着蛍光体粒子を混ぜて印刷、乾燥、焼成することでも金属酸化物膜を被覆できる。
有機金属アルコラートは、アルコールの水酸基の水素を金属で置換した化合物であり、金属酸化物膜を形成できる金属のアルコラートであれば使用できる。好適なアルコラートとしては、エチラート、メチラート等が挙げられる。
有機金属アルコラート溶液には、該有機金属アルコラートを安定化させることができるバインダー樹脂を配合できる。好適なバインダー樹脂としては、セルローズ誘導体であり、エチルセルローズ、メチルセルローズ、酢酸セルローズ、カルボキシメチルセルローズ等が挙げられる。これらの中で、エチルセルローズが有機金属アルコラートとの親和性等に優れるため好ましい。
また、有機金属アルコラートを溶解する溶媒としては、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートなどのカルビトール類、α-テルピネオール、2-フェノキシエタノールなどの高沸点溶媒が挙げられる。
硫化物蛍光体と、酸化物蛍光体と、必要に応じて加えられる顔料との混合方法は、公知の方法を用いることができる。特に硫化物蛍光体と、酸化物蛍光体と、必要に応じて加えられる顔料との混合方法は、溶剤などを加えることなく混合するドライブレンド方法が好ましい。例えば、タンブラー型ミキサーでドライブレンドすることが好ましい。
硫化物蛍光体および上記金属酸化物膜が被覆された酸化物蛍光体を混合して得られた蛍光体を用い、印刷ペーストなどの周知の方法で陽極基板を形成できる。印刷ペーストは、バインダー樹脂を含み、低速電子線用蛍光体が分散している有機金属アルコラートの溶液として得られる。バインダー樹脂としては印刷性に優れるエチルセルローズ等を使用できる。この印刷ペーストを用いて印刷、乾燥、焼成する工程は、陽極パターン上に公知の方法によって行なうことができる。
本発明の蛍光表示管について図1および図2により説明する。図1は蛍光表示管の断面図を、図2は蛍光表示管を構成する陽極基板の部分拡大断面図をそれぞれ示す。
蛍光表示管1は、陽極基板7と、この陽極基板7上方にグリッド8と陰極9とを設け、フェースガラス10およびスペーサガラス11を用いて封着して真空引きして形成される。陰極9より発生した低速電子線が陽極基板7上の蛍光体層6に射突して発光する。
陽極基板7は、ガラス基板2上に銀を主成分とする導電性ペーストを印刷塗布法により、またはアルミニウムの薄膜法により配線層3を形成した後、スルーホール4aを除くほぼ全面にわたって低融点フリットガラスペーストの印刷塗布法により絶縁層4を形成し、このスルーホール4aを介して電気的に接続された陽極電極5をグラファイトペーストの印刷塗布法により形成する。この陽極電極5上に、蛍光体層6を印刷塗布法より塗布したのち約 500 ℃で焼成して陽極基板7が得られる。
図2に示すように、陽極電極5上に蛍光体層6が形成され、蛍光体層6は、硫化物蛍光体粒子6a表面に金属酸化物粒子6bが被覆された硫化物蛍光体と、酸化物蛍光体粒子6c表面に金属酸化物膜6dが被覆された酸化物蛍光体との混合体として存在する。
以下に示す実施例1〜実施例3で得られた蛍光表示管の評価は、陽極電圧 26 V 、デューティー 1/12 で初期輝度と 3000 時間点灯後の輝度維持率の測定値により行なった。初期輝度(相対値)は 85 以上を、3000 時間点灯後の輝度維持率は 65 %以上を使用可能とした。
実施例1:
酸化物蛍光体粒子であるZnO:Znに、金属酸化物膜を形成するSiのアルコラート溶液(高純度化学製、テトラエトキシシラン)を所定量添加し、 30 分間、撹拌した。所定量はSiO2 膜被覆後の酸化物蛍光体ZnO:Znに対して被覆されたSiO2 が表1に示す量になるように、Siのアルコラート溶液(高純度化学製、テトラエトキシシラン)の混合量を7段階変化させた。次に 150 ℃で乾燥後 500 ℃の大気中で焼成してSiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを得た。この酸化物蛍光体ZnO:Znを、In23 を10重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Cl(青色)に重量比で1対1の割合になるように混合して、タンブラー型ミキサーでドライブレンドした。さらに、印刷用ビヒクルを加えて、 30 分間、撹拌してペースト状の蛍光体を得た。
得られた蛍光体を蛍光表示管の陽極上に印刷塗布して、約 500 ℃で焼成して蛍光表示管を得た。得られた蛍光表示管の初期輝度と 3000 時間点灯後の輝度維持率を測定し、結果を表1および図3に示す。なお、図3は、表1の結果をグラフ化したものである。
Figure 0004315834
表1および図3に示すように、酸化物蛍光体中のSiO2 の割合が 0.001 〜 1.0 重量%のときに、初期輝度(相対値)および 3000 時間後の輝度維持率が高いことがわかる。これは、酸化物蛍光体ZnO:Zn上に被覆されたSiO2 膜が、保護膜となり、硫化物蛍光体から発生する分解ガスが酸化物蛍光体に接触することを防止するために、酸化物蛍光体の劣化が軽減されることによると考えられる。SiO2 の割合が 0.001 重量%未満では、保護膜が薄いため、3000 時間後の輝度維持率が低くなり、1.0 重量%をこえると、保護膜が厚いため低速電子線が十分に蛍光体層に進入せず発光が抑えられ初期輝度(相対値)が低くなった。
参考例1:
酸化物蛍光体粒子であるZnO:Znに、金属酸化物膜を形成するTiのアルコラート溶液(日本曹達製、NTi−500)を所定量混合し、 30 分間、撹拌した。所定量はTiO2 膜被覆後の酸化物蛍光体ZnO:Znに対して被覆されたTiO2 が表2に示す量になるように、Tiのアルコラート溶液(日本曹達製、NTi−500)の混合量を7段階変化させた。次に 150 ℃で乾燥後 500 ℃の大気中で焼成してTiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを得た。混合後の蛍光体全体を 100 重量%としたとき、この酸化物蛍光体ZnO:Znを 40 重量%と、In23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Cl(青色)を 50 重量%と、青色顔料であるアルミン酸コバルトを 10 重量%との割合になるように混合して、タンブラー型ミキサーでドライブレンドした。さらに、印刷用ビヒクルを加えて、 30 分間、撹拌してペースト状の蛍光体を得た。
得られた蛍光体を蛍光表示管の陽極上に印刷塗布して、約 500 ℃で焼成して蛍光表示管を得た。得られた蛍光表示管の初期輝度と 3000 時間点灯後の輝度維持率を測定し、結果を表2および図4に示す。なお、図4は、表2の結果をグラフ化したものである。
Figure 0004315834
表2および図4に示すように、蛍光体中のTiO2 の割合が 0.001 〜 1.0 重量%のときに、初期輝度(相対値)が高く、 3000 時間後の輝度維持率も高いことがわかる。これは、酸化物蛍光体ZnO:Zn上に被覆されたTiO2 膜が、保護膜となり、硫化物蛍光体から発生する分解ガスが酸化物蛍光体に接触することを防止するために、酸化物蛍光体の劣化が軽減されることによると考えられる。TiO2 の割合が 0.001 重量%未満では、保護膜が薄いため、3000 時間後の輝度維持率が低くなり、1.0 重量%をこえると、保護膜が厚いため低速電子線が十分に蛍光体層に進入せず発光が抑えられ初期輝度(相対値)が低くなった。
実施例2:
酸化物蛍光体粒子であるZnO:Znに、金属酸化物膜を形成するSiのアルコラート溶液(高純度化学製、テトラエトキシシラン)を所定量混合し、 30 分間、撹拌した。この所定量は実施例1で混合したSiのアルコラート溶液量の半分とした。すなわち、SiO2 膜および後述のTiO2 膜の双方被覆後の酸化物蛍光体ZnO:Znに対して被覆されたSiO2 が表3に示す量になるように、Siのアルコラート溶液(高純度化学製、テトラエトキシシラン)の混合量を7段階変化させた。次に 150 ℃で乾燥後 500 ℃の大気中で焼成してSiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを得た。
次に、SiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znに、金属酸化物膜を形成するTiのアルコラート溶液(日本曹達製、NTi−500)を所定量混合し、 30 分間、撹拌した。この所定量は実施例2で混合したTiのアルコラート溶液量の半分とした。すなわち、TiO2 膜および前述のSiO2 膜の双方被覆後の酸化物蛍光体ZnO:Znに対して被覆されたTiO2 が表3に示す量になるように、Tiのアルコラート溶液(日本曹達製、NTi−500)の混合量を7段階変化させた。次に、 150 ℃で乾燥後 500 ℃の大気中で焼成してSiO2 膜およびTiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを得た。
混合後の蛍光体全体を 100 重量%としたとき、SiO2 膜およびTiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを 40 重量%と、In23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Cl(青色)を 50 重量%と、次に、青色顔料であるアルミン酸コバルトを 10 重量%との割合になるように混合して、タンブラー型ミキサーでドライブレンドした。さらに、印刷用ビヒクルを加えて、 30 分間、撹拌してペースト状の蛍光体を得た。
得られた蛍光体を蛍光表示管の陽極上に印刷塗布して、約 500 ℃で焼成して蛍光表示管を得た。得られた蛍光表示管の初期輝度と 3000 時間点灯後の輝度維持率を測定し、結果を表3および図5に示す。なお、図5は、表3の結果をグラフ化したものである。
Figure 0004315834
表3および図5に示すように、蛍光体中のSiO2 およびTiO2 の混合酸化物の配合割合が、それぞれ 0.0005 〜 0.5 重量%のときに、初期輝度(相対値)が高く、 3000 時間後の輝度維持率も高いことがわかる。これは、酸化物蛍光体ZnO:Zn上に被覆されたSiO2 膜およびTiO2 膜が、保護膜となり、硫化物蛍光体から発生する分解ガスが酸化物蛍光体に接触することを防止するために、酸化物蛍光体の劣化が軽減されることによると考えられる。SiO2 およびTiO2 の混合酸化物の配合割合が 0.0005 重量%未満では、保護膜が薄いため、3000 時間後の輝度維持率が低くなり、0.5 重量%をこえると、保護膜が厚いため低速電子線が十分に蛍光体層に進入せず発光が抑えられ初期輝度(相対値)が低くなった。
以下に示す実施例3、実施例4および比較例1〜比較例3で得られた蛍光表示管の評価は、陽極電圧 50 V 、デューティー 1/30 で初期輝度と、輝度が半減する時間と、輝度ムラ発生時間との測定値により行なった。初期輝度(相対値)は 20 以上を、輝度が半減する時間は 3000 時間以上を、輝度ムラ発生時間は 5000 時間以上を使用可能とした。
実施例3:
酸化物蛍光体粒子であるZnO:Znに、金属酸化物膜を形成するSiのアルコラート溶液(高純度化学製、テトラエトキシシラン)をSiO2 膜被覆後の酸化物蛍光体に対してSiO2 が 0.5 重量%になるように混合し、 30 分間、撹拌した。 150 ℃で乾燥後 500 ℃の大気中で焼成してSiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを得た。この酸化物蛍光体ZnO:Znを、In23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Cl(青色)に重量比で1対1の割合になるように混合して、タンブラー型ミキサーでドライブレンドした。
得られた蛍光体を蛍光表示管の陽極上に印刷塗布して、約 500 ℃で焼成して蛍光表示管を得た。
実施例4:
酸化物蛍光体粒子であるZnO:Znに、金属酸化物膜を形成するSiのアルコラート溶液(高純度化学製、テトラエトキシシラン)をSiO2 膜および後述のTiO2 膜の双方被覆後の酸化物蛍光体ZnO:Znに対して被覆されたSiO2 が 0.25 重量%になるように、混合し、 30 分間、撹拌した。次に 150 ℃で乾燥後 500 ℃の大気中で焼成してSiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを得た。
次に、SiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znに、金属酸化物膜を形成するTiのアルコラート溶液(日本曹達製、NTi−500)を、TiO2 膜および前述のSiO2 膜の双方被覆後の酸化物蛍光体ZnO:Znに対して被覆されたTiO2 が 0.25 重量%になるように、混合し、 30 分間、撹拌した。次に、 150 ℃で乾燥後 500 ℃の大気中で焼成してSiO2 膜およびTiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znを得た。
この酸化物蛍光体ZnO:Znを、In23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Cl(青色)に重量比で1対1の割合になるように混合して、タンブラー型ミキサーでドライブレンドした。
得られた蛍光体を蛍光表示管の陽極上に印刷塗布して、約 500 ℃で焼成して蛍光表示管を得た。
比較例1および比較例2:
比較例1は酸化物蛍光体粒子であるZnO:Znを、比較例2は硫化物蛍光体ZnS:Ag,Clをそれぞれ単独で使用して、蛍光表示管の陽極上に実施例4と同様に印刷塗布して、約 500 ℃で焼成して蛍光表示管を得た。
比較例3:
比較例3は比較例1の酸化物蛍光体粒子であるZnO:Znと、比較例2の硫化物蛍光体ZnS:Ag,Clとを、重量比で1対1の割合になるように混合して、タンブラー型ミキサーでドライブレンドした。さらに、印刷用ビヒクルを加えて、 30 分間、撹拌してペースト状の蛍光体を得た。
得られた蛍光体を蛍光表示管の陽極上に印刷塗布して、約 500 ℃で焼成して蛍光表示管を得た。
実施例3、実施例4および比較例1〜比較例3にて得られた蛍光表示管の初期輝度、輝度半減時間および輝度ムラ発生時間を測定し、結果を表4に示す。
Figure 0004315834
表4に示すように、比較例1の酸化物蛍光体であるZnO:Znから得られた蛍光表示管を、相対的な評価の基準とする。比較例1は初期輝度(相対値)、輝度半減時間、輝度ムラ発生時間の全評価項目において、優れた結果を示すが、酸化物蛍光体ZnO:Zn単独使用の比較例1の場合、緑色発光しか得られない。
比較例2のIn23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Clから得られた蛍光表示管は、比較例1に比べて初期輝度(相対値)、輝度ムラ発生時間ともに極端に低下した。これは電子線照射によりカソード電極から放出された電子が蛍光体層に衝突して発光が生じる際に、硫化物蛍光体ZnSの一部が分解されて、S,SO,SO2 等の硫化物系ガスが飛散して、カソード電極表面に付着し、その表面に硫化物と酸化物固溶体との化合物を形成し、その出力特性を劣化させるためである。
比較例3は比較例2の出力特性の劣化を防止する目的で、In23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Clと酸化物蛍光体であるZnO:Znとを混合した。比較例3は、比較例2に比して初期輝度(相対値)、輝度ムラ発生時間は改善されるものの、輝度半減時間が極端に低下した。これは高輝度な酸化物蛍光体であるZnO:Znの混合により初期の輝度やカソード劣化は改善されるものの、経時により硫化物蛍光体ZnSの一部が分解されて、S,SO,SO2 等の硫化物系ガスが飛散して、近傍のZnO:Znに付着し、その影響でZnO:Znの劣化を加速するものと考えられる。
実施例3は比較例3におけるZnO:Znの劣化を防止する目的で、In23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Clと、SiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znとを混合した。実施例3は比較例3に比して初期輝度(相対値)、輝度ムラ発生時間は同等で、輝度半減時間は 2000 時間とかなり改善された。
実施例4は実施例3の輝度半減時間を改善する目的で、In23 を 10 重量%含む硫化物蛍光体ZnS:Ag,Clと、SiO2 膜およびTiO2 膜が被覆された酸化物蛍光体ZnO:Znとを混合した。その結果、輝度半減時間は 5000 時間と実用レベルに改善された。これは、酸化物蛍光体ZnO:Zn上に被覆されたSiO2 膜およびTiO2 膜が、保護膜となり、硫化物蛍光体から発生する分解ガスが酸化物蛍光体に接触することを防止するために、酸化物蛍光体の劣化が軽減されることによると考えられる。
本発明の低速電子線用蛍光体は、初期発光輝度および寿命特性に優れるので、所定のパターンあるいはグラフィックを表示する表示素子として、または、各種光源、自発光型の素子などとして使用する各種蛍光表示管用の蛍光体として好適に利用できる。
蛍光表示管の断面図である。 陽極基板の部分拡大断面図である。 SiO2 の配合割合に対する初期輝度(相対値)および輝度維持率を示す図である。 TiO2 配合割合に対する初期輝度(相対値)および輝度維持率を示す図である。 SiO2 およびTiO2 の配合割合に対する初期輝度(相対値)および輝度維持率を示す図である。
符号の説明
1 蛍光表示管
2 ガラス基板
3 配線層
4 絶縁層
5 陽極電極
6 蛍光体層
7 陽極基板
8 グリッド
9 陰極
10 フェースガラス
11 スペーサガラス

Claims (4)

  1. 酸化物蛍光体と、硫化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体であって、
    前記酸化物蛍光体表面に有機チタン化合物および有機珪素化合物を被覆後、焼成して得られる金属酸化物膜が被覆されてなり、
    前記金属酸化物膜は、前記酸化物蛍光体と前記金属酸化物膜との合計量に対して 0.001 〜 1.0 重量%となるように配合されてなり、
    前記酸化物蛍光体がZnO:Zn蛍光体であり、
    前記硫化物蛍光体は導電性酸化物が含まれていることを特徴とする低速電子線用蛍光体。
  2. 酸化物蛍光体と、硫化物蛍光体とを混合した低速電子線用蛍光体であって、
    前記酸化物蛍光体表面に有機珪素化合物を被覆後、焼成して得られる金属酸化物膜が被覆されてなり、
    前記金属酸化物膜は、前記酸化物蛍光体と前記金属酸化物膜との合計量に対して 0.001 〜 1.0 重量%となるように配合されてなり、
    前記酸化物蛍光体がZnO:Zn蛍光体であり、
    前記硫化物蛍光体は導電性酸化物が含まれていることを特徴とする低速電子線用蛍光体。
  3. 前記有機金属化合物が金属アルコラートであることを特徴とする請求項1記載の低速電子線用蛍光体。
  4. 真空容器内に形成された蛍光体層に低速電子線を射突させて発光させる蛍光表示管において、前記蛍光体層が請求項1ないし請求項3のいずれか一項記載の低速電子線用蛍光体を含み形成されてなることを特徴とする蛍光表示管。
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