JP2005029724A - 白色発光蛍光体及び蛍光表示管 - Google Patents
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Abstract
【目的】低速電子線用のZnO:Zn蛍光体と、従来高電圧用蛍光体において色純度の改良にしか用いられていなかったAuコロイド粒子を用いて、単一蛍光体の色変換により白色発光を実現する。
【構成】分散処理されたAuコロイド粒子のエタノール分散液とシリカ液を重量比でAuコロイド粒子分散液:シリカ液=2:8となるように混合し、その混合液をZnO:Zn蛍光体1に加えてかき混ぜ、オーブンで乾燥した。この蛍光体1の表面に被着したシリカ3の厚さは5nm以下であり、低速電子線(加速電圧12V〜200V)による蛍光体1への進入深さとされる5nmよりも薄い。シリカ3は蛍光体1の粒子の表面の全面を覆っているのではなく、Auコロイド粒子2を蛍光体1の表面に分散して固定している位置では約5nmであるが、それ以外では薄く、全く被着していない部分もある。シリカ中に分散したAuコロイド粒子のプラズモン吸収によりZnO:Zn蛍光体の発光色から特定色の光が吸収され、全体としての発光が白色にシフトした。
【選択図】 図1
【構成】分散処理されたAuコロイド粒子のエタノール分散液とシリカ液を重量比でAuコロイド粒子分散液:シリカ液=2:8となるように混合し、その混合液をZnO:Zn蛍光体1に加えてかき混ぜ、オーブンで乾燥した。この蛍光体1の表面に被着したシリカ3の厚さは5nm以下であり、低速電子線(加速電圧12V〜200V)による蛍光体1への進入深さとされる5nmよりも薄い。シリカ3は蛍光体1の粒子の表面の全面を覆っているのではなく、Auコロイド粒子2を蛍光体1の表面に分散して固定している位置では約5nmであるが、それ以外では薄く、全く被着していない部分もある。シリカ中に分散したAuコロイド粒子のプラズモン吸収によりZnO:Zn蛍光体の発光色から特定色の光が吸収され、全体としての発光が白色にシフトした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、Auコロイド粒子のもつプラズモン吸収を利用してZnO:Zn蛍光体の発光から特定の波長を吸収することにより白色の発光を得る低速電子線用の白色発光蛍光体と、これを利用した蛍光表示管に関するものである。
気密容器の内部で加速した電子線を蛍光体層に射突させて発光を得る蛍光表示管の技術分野においては、バックライト等の用途に供する等の目的で白色の発光が求められるようになっている。しかしながら、現在のところ、単一種類の蛍光体で白色を得ることはできず、以下に説明するような方法で白色光を得ていた。
1.まず、ZnO:Zn蛍光体による発光にピンクフィルタを組み合わせて特定の波長を吸収することにより白色の発光を得る方法が知られている。この方法で使用されるZnO:Zn蛍光体は510nmにピークを持ち410nm〜730nmの範囲に発光スペクトルを有しているため、ピンクフィルタのようなカラーフィルタでその広い発光スペクトルから任意の色を取り出すことができるのである。
しかしながら、この方法によれば、前記ピンクフィルタは黄〜緑〜青まで可視光の比較的幅広い領域で光を吸収するため、青、緑、黄色発光の蛍光体を同時に用いた場合にはその発光輝度を落としてしまうという問題点があった。例えば、ZnO:Znと青色発光のZnS:Znを同時に用いて従来のピンクフィルタを用いた場合には、ZnO:Znの発光を白色とするためには従来のピンクフィルタの成分吸収を60%ほどにする必要があり、ZnO:ZnとZnS:Znの輝度比は10:1にもなり、青の輝度が極端に低くなってしまう。
2.次に、特許文献1に示すように、青色発光蛍光体と黄色発光蛍光体により発光色を混合して白色を得る方法が提案されている。また、特許文献2に示すように、青色発光蛍光体と黄色発光蛍光体とZnO:Zn蛍光体により発光色を混合して白色を得る方法も提案されている。
しかしながら、上述した2色もしくは3色の蛍光体を用いて発光色を混合して白色を得る方法では、同時に使用される種類の異なる蛍光体にライフ特性の違いがあるため、使用時間の経過に伴って色ずれが生じ、色度が当初の値から変化してしまうという問題がある。また、黄色発光蛍光体にはカドミウムを含むものがあり、環境に対する負荷の点でも好ましくない。
3.次に、蛍光体の発光色を変えるために、蛍光体に顔料を添加して発光色を変換する方法がある。しかし、ZnO:Zn蛍光体の顔料添加による色変換としては、青色顔料の混合により青色、緑色で実用化されているものの、白色発光を実現したものはない。
特許文献3では、UV発光表示素子及び高電圧用冷陰極管(ブラウン管)において発光の色純度を向上させるために、Auコロイド粒子をシリカ中に混合したもので表面をコーティングした蛍光体が開示されている。ここでは、シリカに対するAuコロイド粒子の割合がモル比で1.0〜8.0%とされ、これによって赤色発光蛍光体の表面をコーティングし、Auコロイド粒子で赤以外の不要な色を吸収して赤色発光の純度を向上させている。
しかしながら、特許文献3の発明は蛍光体の本来の発光色の純度を向上させることを目的とし、そのため不要な色の光を吸収すべくAuコロイド粒子を用いたものであって、蛍光体に顔料を添加して白色発光を実現するものではない。特許文献3では、発明の対象となる蛍光体として低速電子線用のZnO:Zn蛍光体は想定されておらず、またシリカに対するAuコロイド粒子の割合がモル比で1.0〜8.0%と設定されていることから、図5に示すように蛍光体粒子10の全表面を被覆するシリカ11の膜厚は低速電子線が通過できない程度に厚く、蛍光体粒子10の表面を全面的に覆ったシリカ11の層の内部にAuコロイド粒子12が混合された状態にある。
また、低速電子線用の蛍光体であるZnO:Zn蛍光体に単にピンク色の顔料を混ぜたとしても、その発光色は変わらず、白色発光も得られない。これは、蛍光表示管のように低速電子線を用いる場合には電子の射突による到達深さが浅く、蛍光体の表面が発光するだけなので、蛍光体の内側にピンクの顔料を設けても色変換には何ら寄与せず無意味だからである。
本発明は上述した問題点を踏まえてなされたものであって、低速電子線用のZnO:Zn蛍光体と、従来高電圧用蛍光体において色純度の改良にしか用いられていなかったAuコロイド粒子を用いて、単一蛍光体の色変換により白色発光を実現することを目的としている。
請求項1に記載された白色発光蛍光体は、ZnO:Zn蛍光体の表面に、低速電子線が通過して蛍光体に到達しうる厚さに設定されたSiO2 により、Auコロイド粒子が分散した状態で固着されたことを特徴とする。
請求項2に記載された白色発光蛍光体は、請求項1記載の白色発光蛍光体において、前記Auコロイド粒子の前記SiO2 に対する量が8.0〜45molであることを特徴とする。
請求項3に記載された白色発光蛍光体は、請求項1記載の白色発光蛍光体において、前記ZnO:Zn蛍光体の表面に固着した前記SiO2 の膜が5nm以下の厚さであることを特徴とする。
請求項4に記載された白色発光蛍光体は、請求項1記載の白色発光蛍光体において、前記Auコロイド粒子の表面が凝集防止処理されていることを特徴とする。
請求項5に記載された白色発光蛍光体は、請求項4記載の白色発光蛍光体において、前記Auコロイド粒子の表面にポリマーが被着されていることを特徴とする。
請求項6に記載された蛍光表示管は、請求項1に記載の白色発光蛍光体において、導電剤としてZnOの微粉末を添加したことを特徴とする。
請求項7に記載された蛍光表示管は、請求項1乃至6に記載の白色発光蛍光体から選択された白色発光蛍光体及び青色系発光蛍光体と、ピンクフィルタとを有している。
請求項8に記載された蛍光表示管は、請求項1乃至6に記載の白色発光蛍光体から選択された白色発光蛍光体を有している。
本発明によれば、特定の比率でシリカ中に分散したAuコロイド粒子を用いて、低速電子線用のZnO:Zn蛍光体をコーティングしたので、Auコロイド粒子のプラズモン吸収によって単一種類の蛍光体であるZnO:Zn蛍光体の発光色を白色に変換することができた。
本発明を実施するための最良の形態の一つである第1の例を図1〜図4を参照して説明する。
まず、分散処理された粒径10nmのAuコロイド粒子のエタノール分散液(2.5wt%)とシリカ液(2.5wt%)を、重量比でAuコロイド粒子分散液:シリカ液=2:8(シリカに対しAuコロイド粒子は8.0mol%)となるように混合し、その混合液をZnO:Zn蛍光体1に対して0.2加えた。混合液が蛍光体に均一にからんで均一に着色するまで、混合液を加えた蛍光体をかき混ぜる。この蛍光体を110℃のオーブンに入れて30分間乾燥した。この作業を再度繰り返し、最後に550℃で60分の焼成を行なった。得られた蛍光体は粉砕して粉末状にする。この蛍光体の粉末は、明るいピンク色に着色され、Auコロイド粒子が均一に分散されていることを示唆している。なお、粒子が凝集をはじめると色は紫がかった色になる。
まず、分散処理された粒径10nmのAuコロイド粒子のエタノール分散液(2.5wt%)とシリカ液(2.5wt%)を、重量比でAuコロイド粒子分散液:シリカ液=2:8(シリカに対しAuコロイド粒子は8.0mol%)となるように混合し、その混合液をZnO:Zn蛍光体1に対して0.2加えた。混合液が蛍光体に均一にからんで均一に着色するまで、混合液を加えた蛍光体をかき混ぜる。この蛍光体を110℃のオーブンに入れて30分間乾燥した。この作業を再度繰り返し、最後に550℃で60分の焼成を行なった。得られた蛍光体は粉砕して粉末状にする。この蛍光体の粉末は、明るいピンク色に着色され、Auコロイド粒子が均一に分散されていることを示唆している。なお、粒子が凝集をはじめると色は紫がかった色になる。
なお、本発明において、前記コロイド粒子とは、その大きさが、好ましくは10の−5乗〜10の−7乗cmの大きさの粒子を言う。ただし、本発明に適用し得る限界を考慮すると、この大きさの範囲はさらに広がり、液体中で沈殿してしまうほど大きくもなく、かといって、原子や通常の分子(低分子、10の−8乗cmレベルの大きさ)ほども小さくない粒子が本発明で定義するコロイド粒子である。なお、本発明におけるコロイド粒子は上述したように広い概念であり、その粒径から見れば、原子・分子が数個から数千個程度集まったもので分子単位やいわゆるバルク状態では見ることができない特性を有するいわゆるナノ粒子(クラスター)をも含む概念である。
なお、上記Auコロイド粒子は分散処理されていたが、ここでいう分散処理とは例えばAuコロイド粒子の表面にポリマーをコーティングし、Auコロイド粒子同士が凝集しないように処理することをいう。
図1は、上述した製法で得られた本発明の蛍光体を模式的に示した図であり、図2はこの蛍光体を低加速SEMにより撮影した顕微鏡写真である。これらの図から分かるように、この蛍光体1は、Auコロイド粒子(Auナノ粒子)2が過度に凝集することなく適度に分散されて、固着剤であるシリカ(SiO2 )3によって蛍光体1の表面に固着された構造になっている。
図1において、蛍光体1の表面に被着したシリカ3の厚さは5nm以下であり、低速電子線(加速電圧12V〜200V)による蛍光体1への進入深さとされる5nmよりも薄い。また、シリカ3は蛍光体1の粒子の表面の全面を覆っているのではなく、Auコロイド粒子2を蛍光体1の表面に固定している位置では比較的厚くなっており、約5nm程度であるが、それ以外の部分では約5nm以下であり、場所によっては全く被着していないために蛍光体1の粒子の表面が露出している部分もある。
図2では、蛍光体上にAuコロイド粒子が3〜4個存在する程度であり、この例では完全には分散されていないものの、蛍光体の表面を覆い隠すように密に凝集することはなく、低速電子線が蛍光体に到達して発光させられる状態である。
前述のようにして得られた蛍光体の粉末をペースト状にし、ガラスパネルに適当なパターンで印刷し、従来通りの工程に従って蛍光表示管を作成した。蛍光表示管は、内部が高気密状態に保持された箱型乃至パネル状の外囲器を有する自発光素子であり、その外囲器の内部には、蛍光体を有する陽極、制御電極、電子放出源となる陰極等の電極類等が収納配置されている。蛍光体を有する陽極は、外囲器の一部を構成する陽極基板の内面に形成される。陰極に通電し、陽極に所定の電圧を与えると、陰極から電子が放出され、加速されて蛍光体に射突する。蛍光体の発光は透光性を有する外囲器越しに視認される。ここで、電子の加速電圧である陽極電圧は12V〜200V程度であり、ブラウン管などに比べて低電圧である。従って、係る低速電子線が蛍光体に射突してこれを発光させる際には、該電子は蛍光体の表面から5nm程度しか進入していない。
本例の蛍光体を用いた蛍光表示管と、他の蛍光体を有する蛍光表示管を駆動・発光させ、これらと各種フィルタとを組合せて、輝度や色度を観察・評価した。
蛍光体については、本例の蛍光体(Auを分散したZnO:Zn、以下Au−ZnOと略す。)、ZnO:Zn蛍光体、ZnS:Zn蛍光体 (青色発光)の3種類を比較する。フィルタについては、フィルタなし、比較例のピンクフィルタ1(吸収率60%、ND有り)、ピンクフィルタ2(吸収率60%、ND無し)、ピンクフィルタ3(吸収率30%、ND無し)の4種類を前記各種蛍光体の発光に組み合わせる。
蛍光体については、本例の蛍光体(Auを分散したZnO:Zn、以下Au−ZnOと略す。)、ZnO:Zn蛍光体、ZnS:Zn蛍光体 (青色発光)の3種類を比較する。フィルタについては、フィルタなし、比較例のピンクフィルタ1(吸収率60%、ND有り)、ピンクフィルタ2(吸収率60%、ND無し)、ピンクフィルタ3(吸収率30%、ND無し)の4種類を前記各種蛍光体の発光に組み合わせる。
図3は、実験結果の一部を示すCIE色度図である。ZnO:Znの色度図上の位置と、このZnO:Znをピンクフィルタ2(吸収率60%、ND無し)によってホワイトにした時の位置と、本例のAuコロイドを分散したZnO:Zn蛍光体をピンクフィルタ3(吸収率30%、ND無し)によってホワイトにした時の位置とを比較したものである。比較例としてピンクフィルタ1(吸収率60%、ND有り)の位置も示す。これから分かるように、ホワイトを得るに必要なピンクフィルタの成分吸収率は、Au−ZnOはZnO:Znの場合の60%に比べて半分で済む。
色度(X,Y)と輝度Lを各例ごとに示す。
ZnO:Znの発光:(0.2421,0.4159)、 5236
ZnO:Znとピンクフィルタ2(吸収率60%、ND無し)によるホワイト:(0.3005,0.3516)、1368
本例のAuコロイドを分散したZnO:Zn蛍光体とピンクフィルタ3(吸収率30%、ND無し)によるホワイト:(0.3048,0.3656)、1097
ZnO:Znの発光:(0.2421,0.4159)、 5236
ZnO:Znとピンクフィルタ2(吸収率60%、ND無し)によるホワイト:(0.3005,0.3516)、1368
本例のAuコロイドを分散したZnO:Zn蛍光体とピンクフィルタ3(吸収率30%、ND無し)によるホワイト:(0.3048,0.3656)、1097
図4は、各種蛍光体における各種ピンクフィルタごとの輝度を比較した表を示している。ホワイトを得ることだけを考慮すれば、ピンクフィルタの吸収率は、図3に示したようにAu−ZnOはZnO:Znの半分でよい。すなわち、Au−ZnOは30%、ZnO:Znは60%の成分吸収率のピンクフィルタを使用すればよい。従って、それぞれの蛍光体に30%、60%のピンクフィルタを使用し、略同じ色度のホワイトを得たとすれば、Au−ZnOはホワイトの輝度はZnO:Znよりもやや落ちるが、ZnS:Znの青色の輝度をピンクフィルタ2(吸収率60%、ND無し)を用いる場合に比べて1.8倍にすることができる。
このように、本例のAuコロイド粒子を分散したZnO:Zn蛍光体によれば、単一種類の蛍光体で高い純度の白色発光が得られる。これは、Auコロイド粒子によるプラズモン吸収によってZnO:Zn蛍光体が放出する光の中から特定の波長の光が吸収され、全体としての色度を白色側にシフトさせるからであると考えられる。
このように、本例のAuコロイド粒子を分散したZnO:Zn蛍光体によれば高純度の白色発光が得られるので、吸収率の低い (要するに色の薄い)ピンクフィルタで十分な補足的効果が得らる。すなわち、得られる白色の純度が高いといっても、ユーザーごとに用途等も異なり、求める白色の色度が一義的ではないので、薄いピンクフィルタを用いて若干の色度調整が必要になるが、本例によれば従来と異なり同時に使用される青色発光蛍光体の青色発光を過剰に減衰させてしまうことがなく、青の輝度が白色の輝度に比べて極端に低くなってしまうことがない。
また、本例のAuコロイド粒子を分散したZnO:Zn蛍光体によれば、単一の蛍光体で白色発光を実現しているので、複数種類の蛍光体を組み合わせて白色を得ている場合に比べ、使用による経年変化によって色度が変化するおそれがない。
以上説明した例では、シリカに対しAuコロイド粒子が8.0mol%であったが、これは下限であり、これ以上の割合でAuコロイド粒子が含まれれば、相対的にシリカの量が少なくなり、Auコロイド粒子(Auナノ粒子)を蛍光体の表面に固着しているシリカの厚さが低速電子線(加速電圧12V〜200V)による蛍光体への進入深さとされる5nm以下となる。この場合、部分的にこれ以下の厚さになる箇所や、全くシリカが被着していない部分が存在する可能性もある。
また、Auコロイド粒子を凝集せずに蛍光体に固着させるためには、シリカに対するAuコロイド粒子の割合を45mol%未満とする必要がある。シリカに対してAuコロイド粒子を45mol%以上入れると、Auコロイド粒子が蛍光体表面で凝集してZnOの発光色は青色の方にシフトして白色とならない。
また、本例では、低速電子線用として実用輝度が得られるAuコロイド粒子の濃度は、蛍光体に対して0.05wt%である。
本例において、蛍光体の発光色をホワイトに近づけるためには、Auコロイド粒子を分散したシリカ液の蛍光体に対するコーティング量を増やすことが必要であるが、コーティング量を増やせばコーティング成分であるシリカ(SiO2 )が絶縁体であるために蛍光体自体の導電性が下がってしまい、蛍光表示管の駆動・発光時に蛍光体に電荷がチャージして表示に支障が生じるという問題が発生することが想定される。
そこで、本例では、Auコロイド粒子及びシリカの蛍光体に対するコーティング量に対応し、必要に応じて前記コーティング中に導電剤を添加することとした。本発明者等は導電剤としてIn2 O3 とZnOの各微粉末を候補として選択し、実験に供した。
本例では、蛍光体に対して0.1wt%のAuを分散し、このAuを含めた蛍光体に対して前記導電剤を0.6wt%添加した。In2 O3 を添加した本例の蛍光体と、ZnOを添加した本例の蛍光体と、導電剤を添加しない本例の蛍光体をそれぞれ用い、前述したような蛍光表示管をそれぞれ製造して発光状態を観察し評価した。
その結果、導電剤を添加しない場合には、蛍光体の導電性が不十分となり、隣接する陽極導体と陽極導体の間にある蛍光体層が絶縁性のために発光しない場合があることが判明した。また、In2 O3 を添加した本例の蛍光体とZnOを添加した本例の蛍光体では、蛍光体層の絶縁性が緩和され、発光することが確認された。しかしながら、In2 O3 を添加した本例の蛍光体の場合には、蛍光体の着色が抜けたようになって若干緑色を帯びてしまい、色の変換もホワイトの方向にはシフトしないことが確認された。これは、In2 O3 の微粒子がAuコロイド粒子と反応を起こしたためと考えられる。一方、ZnOを添加した本例の蛍光体では、蛍光体の着色も導電剤が無い場合と同じ状態を維持しており、発光色もほぼ同じである。このように、本例の蛍光体において導電剤を添加する場合には、ZnOの微粒子を添加すると望ましい効果が得られることが判明した。
1 蛍光体
2 Auコロイド粒子
3 シリカ
2 Auコロイド粒子
3 シリカ
Claims (8)
- ZnO:Zn蛍光体の表面に、低速電子線が通過して蛍光体に到達しうる厚さに設定されたSiO2 により、Auコロイド粒子が分散した状態で固着されたことを特徴とする白色発光蛍光体。
- 前記Auコロイド粒子の前記SiO2 に対する量が8.0〜45molである請求項1記載の白色発光蛍光体。
- 前記ZnO:Zn蛍光体の表面に固着した前記SiO2 の膜が5nm以下の厚さである請求項1記載の白色発光蛍光体。
- 前記Auコロイド粒子の表面が凝集防止処理されている請求項1記載の白色発光蛍光体。
- 前記Auコロイド粒子の表面にポリマーが被着されている請求項4記載の白色発光蛍光体。
- 導電剤としてZnOの微粉末を添加した請求項1記載の白色発光蛍光体。
- 請求項1乃至6に記載の白色発光蛍光体から選択された白色発光蛍光体及び青色系発光蛍光体と、ピンクフィルタとを有する蛍光表示管。
- 請求項1乃至6に記載の白色発光蛍光体から選択された白色発光蛍光体を有する蛍光表示管。
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