JP4314773B2 - トランスファー用切替装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2輪駆動・4輪駆動の切り替え及び高速側・低速側での変速比の切り替えを行うトランスファー用切替装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、4輪駆動車において2輪駆動・4輪駆動を切り替えるトランスファーとしては種々のものが提案されており、特に4輪駆動時の悪路走行性能の向上のために変速比を高速側と低速側とで切り替え可能なトランスファーも知られている。
【0003】
図7は、こうした2輪駆動・4輪駆動の切替機構、高速側・低速側の切替機構を併せ備えたトランスファー90を示す部分断面図である。同図に示されるように、上記切替機構等を収容するトランスファー本体側のハウジング91には、運転席の近傍において凹部91aが形成されている。変速比を高速側と低速側とで切り替える変速切替用シャフト92及び2輪駆動・4輪駆動を切り替える分配切替用シャフト93は、図7において紙面と直交する方向に並設されており、それぞれその基端部を凹部91aに現出させている。これら変速切替用シャフト92及び分配切替用シャフト93は、軸線方向に移動されることでそれぞれ対応する切り替えを行う。
【0004】
変速切替用シャフト92及び分配切替用シャフト93の各基端部には、略有底筒状の取付具94,95が固着されている。この取付具94,95にはそれぞれ一側方向(図7の上下方向)に取付溝94a,95aが形成されており、シフトレバー96の係合ピン96aが連結されている。シフトレバー96は、例えば2輪駆動時において一側(図7の左側)に操作されることで取付具95を介して分配切替用シャフト93を軸線方向に引き戻し、4輪駆動へと切り替える。また、シフトレバー96は、4輪駆動時において他側(図7において紙面と直交する下側)に操作(セレクト)され、更に一側(図7の左側)に移動されることで取付具94を介して変速切替用シャフト92を軸線方向に引き戻し、変速比を高速側から低速側へと切り替える。
【0005】
ところで、こうした手動(マニュアル)操作による各切り替えの煩わしさを解消するために切り替え用のアクチュエータを採用したトランスファーも提案されており、例えば特開平10−109563号公報に記載されたものが知られている。
【0006】
この公報に記載のトランスファーは、変速切替用シャフト(Hi−Lo切替スリーブを操作するロッド)及び分配切替用シャフト(2−4切替スリーブを操作するロッド)に連結されるアクチュエータを備えている。すなわち、このアクチュエータはモータに回転駆動される大径ギヤ及び小径ギヤを備えており、それぞれ変速切替用シャフト及び分配切替用シャフトの各ラック部に噛合連結されている。従って、モータにより大径ギヤ及び小径ギヤが回転駆動されることにより変速切替用シャフト及び分配切替用シャフトがそれぞれ軸線方向に移動し、変速比の切り替え及び2輪駆動・4輪駆動の切り替えがそれぞれ行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このアクチュエータは、変速切替用シャフト及び分配切替用シャフトの各ラック部に直に大径ギヤ及び小径ギヤが噛合連結されてモータの駆動力を変速切替用シャフト及び分配切替用シャフトに直接伝達する構成を採用している。このため、シフトレバーが連結可能な従来品のトランスファー本体側に対し大幅な設計変形を余儀なくされている。
【0008】
本発明の目的は、トランスファー本体側の設計変更の負担を軽減することができるトランスファー用切替装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、シフトレバーが直結可能な取付部を有する分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトを備えたトランスファーに用いられる切替装置であって、前記分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトの各取付部にそれぞれ直結される取付部材を有する分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトと、前記分配切替用出力シャフトを往復移動させて前記分配切替用シャフトを介して2輪駆動・4輪駆動の切り替えを行うとともに、前記変速切替用出力シャフトを往復移動させて前記変速切替用シャフトを介して変速比の切り替えを行う駆動源とを備えたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、シフトレバーが直結可能な取付部を有する分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトを備え、前記分配切替用シャフトを往復移動させることにより2輪駆動・4輪駆動の切り替えを行うとともに、前記変速切替用シャフトを往復移動させることにより変速比の切り替えを行うトランスファーに用いられる切替装置であって、前記分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトの各取付部にそれぞれ直結される取付部材を有する分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトと、前記分配切替用出力シャフトを往復移動させることで前記分配切替用シャフトを往復移動させて前記2輪駆動・4輪駆動の切り替えを行うとともに、前記変速切替用出力シャフトを往復移動させることで前記変速切替用シャフトを往復移動させて前記変速比の切り替えを行う駆動源とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載のトランスファー用切替装置において、前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方を所定切替位置に位置決めする位置決め手段を備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のトランスファー用切替装置において、前記位置決め手段は、前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方の径方向に凹設された係止凹部と、該分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方の所定切替位置において該係止凹部に付勢される係止ボールにより構成されたことを要旨とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載のトランスファー用切替装置において、前記位置決め手段は、前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトのいずれか一方が往復移動するときに他方の往復移動を規制するインターロック構造を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のトランスファー用切替装置において、前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトは、前記駆動源の出力軸に設けられた2段欠歯ピニオンに噛合連結されて選択的に往復移動されることを要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1及び2に記載の発明によれば、シフトレバーが直結可能な分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトの各取付部にそれぞれ直結される取付部材を有する分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトを備えている。従って、トランスファー本体側に配設される分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトの各取付部にシフトレバー若しくは分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの取付部材を選択的に直結すれば、手動(マニュアル)での切替構造、駆動源を用いた切替構造のいずれにも対応可能である。このため、トランスファー本体側の設計変更の負担が軽減され、その汎用性も向上される。
【0015】
請求項又はに記載の発明によれば、上記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方を所定切替位置に位置決めする位置決め手段を備えている。従って、分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方を介した分配切替用シャフト若しくは変速切替用シャフトの所定切替位置での作動がより確実化される。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトのいずれか一方が往復移動するときに他方の往復移動を規制するインターロック構造を備えている。従って、分配切替用シャフト若しくは変速切替用シャフトの所定切替位置での作動が更に確実化される。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、上記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトは、前記駆動源の出力軸に設けられた2段欠歯ピニオンに噛合連結されて選択的に往復移動される。従って、例えば上記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトに対してそれぞれ個別に駆動源の出力軸を配設し、それぞれに設けられたピニオンにて分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトを独立で往復移動させる場合に比べてその駆動のための構成は簡易なものとされる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。図1は、本実施形態が適用されるトランスファー10を示す部分断面図である。同図に示されるように、このトランスファー10は、トランスファー本体側を構成する変速機構11、分配機構12、リアドライブシャフト13、フロントドライブシャフト14、アイドラシャフト15、並びにこれら変速機構11及び分配機構12等を収容するハウジング16と、シフトアクチュエータ17とを備えている。
【0019】
上記変速機構11は、変速切替用シャフト21の先端側に固着された変速切替用フォーク22を介して変速切替用スリーブ23が軸線方向一側及び他側に選択的に移動されることで変速比を高速側若しくは低速側に切り替える。すなわち、上記リアドライブシャフト13にはスプライン24が固着されており、その一側及び他側(図1の左側及び右側)にはそれぞれエンジン側の駆動力が伝達される入力ギヤ25及び低速ギヤ26が軸支されている。一方、アイドラシャフト15には、これら入力ギヤ25及び低速ギヤ26に噛合連結されたアイドラギヤ27が軸支されている。変速切替用スリーブ23が軸線方向一側(図1の左側)に移動すると、入力ギヤ25は変速切替用スリーブ23を介してスプライン24(リアドライブシャフト13)に連結される。従って、リアドライブシャフト13は入力ギヤ25の回転数のまま高速で回転する。また、変速切替用スリーブ23が軸線方向他側(図1の右側)に移動すると、入力ギヤ25はスプライン24から切り離される。そして、低速ギヤ26は、変速切替用スリーブ23を介してスプライン24(リアドライブシャフト13)に連結される。従って、リアドライブシャフト13は、アイドラギヤ27及び低速ギヤ26を介した変速比(減速比)に応じた入力ギヤ25の回転数で低速回転する。
【0020】
上記分配機構12は、分配切替用シャフト31の先端側に固着された分配切替用フォーク32を介して分配切替用スリーブ33が軸線方向一側及び他側に選択的に移動されることで2輪駆動若しくは4輪駆動に切り替える。すなわち、上記リアドライブシャフト13にはスプライン34が固着されており、その他側(図1の右側)には分配出力用スプロケット35が軸支されている。一方、フロントドライブシャフト14には、分配入力用スプロケット36が固着されており、これら分配出力用スプロケット35及び分配入力用スプロケット36にはチェーン37が掛架されている。分配切替用スリーブ33が軸線方向一側(図1の左側)に移動すると、分配出力用スプロケット35はスプライン34(リアドライブシャフト13)から切り離される。従って、フロントドライブシャフト14には駆動力が分配されず、リアドライブシャフト13のみが回転する。そして、エンジンの駆動力が後輪のみへと伝達される(2輪駆動)。また、分配切替用スリーブ33が軸線方向他側(図1の右側)に移動すると、分配出力用スプロケット35は分配切替用スリーブ33を介してスプライン34(リアドライブシャフト13)に連結される。従って、フロントドライブシャフト14に駆動力が分配され、リアドライブシャフト13とともに回転する。そして、エンジンの駆動力が後輪及び前輪へと伝達される(4輪駆動)。
【0021】
ここで、上記ハウジング16には、運転席の近傍において凹部16aが形成されている。そして、この凹部16aの開口側は、略平坦となる取付面16bとなっている。図1において紙面と直交する方向に並設された変速切替用シャフト21及び分配切替用シャフト31は、それぞれその基端部を凹部16aに現出させている。これら変速切替用シャフト21及び分配切替用シャフト31の各基端部には、取付部を構成する略有底筒状の取付具41,42が固着されている。この取付具41,42にはそれぞれ一側方向(図1の上下方向)に取付溝41a,42aが形成されており、後述の態様で前記シフトアクチュエータ17が連結されている。なお、これら取付具41,42は、シフトレバー(96)の係合ピン(96a)が直結可能な取付具(94,95)を兼ねている(図7参照)。従って、シフトレバーの連結時には、その操作に応じて取付具41,42を介して変速切替用シャフト21若しくは分配切替用シャフト31が軸線方向に移動され、変速比の切り替え、2輪駆動・4輪駆動の切り替えが行われる。
【0022】
次に、本実施形態のシフトアクチュエータ17について図2〜図4を併せ参照して説明する。図2(a)及び図2(b)は、それぞれシフトアクチュエータ17を示す平面図及び側面図である。同図に示されるように、このシフトアクチュエータ17は、駆動源としての駆動ユニット46と、変速切替用出力シャフトとしての変速切替用ラック付シャフト47と、分配切替用出力シャフトとしての分配切替用ラック付シャフト48と、これら変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48が収容されて駆動ユニット46が取り付けられるハウジング49とを備えている。
【0023】
上記駆動ユニット46は減速機付電動モータを備えており、前記変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48に対応してその長手方向と略直交する方向に出力軸51を現出させている。この出力軸51には、上記変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48に選択的に噛合連結される2段欠歯ピニオン52が固着されている。詳述すると、上記2段欠歯ピニオン52には、第1ピニオン部52a及び同第1ピニオン部52aよりも小径となる第2ピニオン部52bが形成されている。そして、駆動ユニット46は、第1ピニオン部52aが変速切替用ラック付シャフト47に噛合連結されることでこれを軸線方向に移動させる。また、駆動ユニット46は、第2ピニオン部52bが分配切替用ラック付シャフト48に噛合連結されることでこれを軸線方向に移動させる。
【0024】
図3に示されるように、上記分配切替用ラック付シャフト48の基端部には、上記第2ピニオン部52bに対応して分配切替用ラック部48aが形成されている。そして、この分配切替用ラック付シャフト48は、第2ピニオン部52bが分配切替用ラック部48aに噛合連結されることで同第2ピニオン部52bの回動に連動して軸線方向に移動する(図3(a)〜(f))。また、分配切替用ラック付シャフト48は、第2ピニオン部52bの欠歯の部分が分配切替用ラック部48aに対向することでその連結が切り離され、第2ピニオン部52bを空転させて当該位置に停止する(図3(f)〜(g))。
【0025】
上記分配切替用ラック付シャフト48の先端部には、その長手方向と略直交する方向に伸びる取付部材48bが設けられている。図1に示されるように、分配切替用ラック付シャフト48は、取付部材48bが前記取付具42の取付溝42aに嵌め込まれることで分配切替用シャフト31に連結される。従って、上記分配切替用シャフト31は、分配切替用ラック付シャフト48が軸線方向に移動することで一体となって軸線方向に移動する。
【0026】
ここで、例えば駆動ユニット46により第2ピニオン部52bが一側方向(図3において反時計回り方向)に回転駆動されたとする。このとき、分配切替用ラック付シャフト48(取付部材48b)は分配切替用シャフト31とともに軸線方向一側(図1及び図3の右側)に移動する。これにより、分配切替用フォーク32を介して分配切替用スリーブ33が分配出力用スプロケット35に結合され、リアドライブシャフト13の回転がフロントドライブシャフト14へと伝達されるようになる。
【0027】
図4に示されるように、上記変速切替用ラック付シャフト47の基端部には、上記第1ピニオン部52aに対応して変速切替用ラック部47aが形成されている。そして、この変速切替用ラック付シャフト47は、第1ピニオン部52aの欠歯の部分が変速切替用ラック部47aに対向することでその連結が切り離され、第1ピニオン部52aを空転させて当該位置に停止する(図4(a)〜(b))。なお、第2ピニオン部52bによる分配切替用ラック付シャフト48の軸線方向の移動、すなわち2輪駆動・4輪駆動の切り替えは、第1ピニオン部52aが空転している間に完了されるのはいうまでもない。また、変速切替用ラック付シャフト47は、第1ピニオン部52aが変速切替用ラック部47aに噛合連結されることで同第1ピニオン部52aの回動に連動して軸線方向に移動する(図4(b)〜(f))。
【0028】
上記変速切替用ラック付シャフト47の先端部には、その長手方向と略直交する方向に伸びる取付部材47bが設けられている。図1に示されるように、変速切替用ラック付シャフト47は、取付部材47bが前記取付具41の取付溝41aに嵌め込まれることで変速切替用シャフト21に連結される。従って、上記変速切替用シャフト21は、変速切替用ラック付シャフト47が軸線方向に移動することで一体となって軸線方向に移動する。
【0029】
ここで、例えば駆動ユニット46により第1ピニオン部52aが一側方向(図4において反時計回り方向)に回転駆動されたとする。このとき、変速切替用ラック付シャフト47(取付部材47b)は変速切替用シャフト21とともに軸線方向一側(図1及び図4の右側)に移動する。これにより、変速切替用フォーク22を介して変速切替用スリーブ23が低速ギヤ26に結合され、リアドライブシャフト13は低速で回転するようになる。
【0030】
図3及び図4にそれぞれ示されるように、上記変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48の軸線方向略中間部には、それぞれ径方向一側(図3、図4の各上側)に凹設された係止凹部47c,48cが形成されている。これら係止凹部47c,48cは、低速側若しくは4輪駆動への切替時における変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48の軸線方向の位置決めのためのものである。すなわち、前記ハウジング49には、低速側若しくは4輪駆動の切替状態における係止凹部47c,48cの位置に対応して一側(図3、図4の各上側)に突設された略有蓋筒状のばね収容部49a,49bが設けられている。これらばね収容部49a,49bにはそれぞればね53が収容されており、その先端にはディテントボール54が対応するラック付シャフト47,48に付勢されている。
【0031】
ここで、例えば分配切替用ラック付シャフト48が4輪駆動の切替位置に至るまでの間では、ディテントボール54は分配切替用ラック付シャフト48上をその軸線に沿って転動或いは摺動する(図3(a)〜(d))。そして、分配切替用ラック付シャフト48が4輪駆動の切替位置に達すると、ディテントボール54はばね53に付勢されて係止凹部48cに係止される(図3(e)〜(g))。これより、分配切替用ラック付シャフト48は当該切替位置に位置決めされ、振動等に伴う位置ずれが抑制されている。また、これと同時に第2ピニオン部52bの欠歯の噛合始めの位相合わせがなされる。
【0032】
また、変速切替用ラック付シャフト47が高速側の切替位置に配置されるときでは、ディテントボール54はばね53に付勢されて係止凹部47cに係止されている(図4(a)〜(b))。これより、変速切替用ラック付シャフト47は当該切替位置に位置決めされ、振動等に伴う位置ずれが抑制されている。また、これと同時に第1ピニオン部52aの欠歯の噛合始めの位相合わせがなされる。そして、変速切替用ラック付シャフト47が低速側の切替位置へと移動を開始すると、ディテントボール54はばね53の付勢力に抗して係止凹部47cから外れ、変速切替用ラック付シャフト47上をその軸線に沿って転動或いは摺動する(図4(c)〜(f))。
【0033】
前記ハウジング49は、上記ラック付シャフト47,48を軸線方向に摺動自在に支持するシャフト支持部55と、同ラック付シャフト47,48の取付部材47b,48bを覆う蓋体部56とを有している。シャフト支持部55は、前記2段欠歯ピニオン52に対応して開口しており、これによりラック付シャフト47,48のラック部47a,48aが露出されてピニオン部52a,52bとの噛合がなされている。また、蓋体部56の開口端面は前記ハウジング16の取付面16bに対応して略平坦となる取付面56aとなっている。
【0034】
従って、シフトアクチュエータ17は、ラック付シャフト47,48の取付部材47b,48bが取付溝41a,42aに嵌め込まれ、蓋体部56の取付面56aがハウジング16の取付面16bに当接する態様で同ハウジング16に固定されている。そして、シフトアクチュエータ17の駆動力は、変速機構11若しくは分配機構12へと選択的に伝達される。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、トランスファー本体側に配設される分配切替用シャフト31及び変速切替用シャフト21の各取付具41,42にシフトレバー(96)若しくは変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48の取付部材47b,48bを選択的に直結できる。これにより、手動(マニュアル)での切替構造、駆動ユニット46を用いた切替構造のいずれにも対応可能である。このため、トランスファー本体側の設計変更の負担を軽減し、その汎用性も向上できる。
【0036】
(2)本実施形態では、変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48を所定切替位置に位置決めする構造(係止凹部47c,48c及びディテントボール54等)を備えている。従って、変速切替用ラック付シャフト47及び分配切替用ラック付シャフト48を介した変速切替用シャフト21の高速側の切替位置及び分配切替用シャフト31の4輪駆動の切替位置での作動をより確実化できる。
【0037】
(3)本実施形態では、分配切替用ラック付シャフト48及び変速切替用ラック付シャフト47は、駆動ユニット46の出力軸51に設けられた2段欠歯ピニオン52に噛合連結されて選択的に往復移動される。従って、分配切替用ラック付シャフト48(分配切替用シャフト31)及び変速切替用ラック付シャフト47(変速切替用シャフト21)の駆動のための構成を簡易なものにできる。
【0038】
(4)本実施形態では、ラック付シャフト47,48の軸線方向の移動に応じて同ラック付シャフト47,48上を転動或いは摺動するディテントボール54によりこれらの軸線方向の位置決めを行った。従って、ラック付シャフト47,48が過剰に噛み込まれてロッキングされることも回避できる。
【0039】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・前記実施形態において、図5及び図6に示されるように、ラック付シャフト47,48の軸線方向の位置決め用にインターロック構造61を追加してもよい。詳述すると、ラック付シャフト47,48を区画する隔壁62に連通孔62aを形成する。また、ラック付シャフト47,48に、各所定の切替位置において相反する径方向に凹設された係止凹部47d,48dを形成する。そして、連通孔62aに、隔壁62の厚さ及び一方の係止凹部47d,48dの深さを加算した長さの直径を有する略球体のインターロックピン63を収容する。図6(a)に示されるように、ラック付シャフト47,48の係止凹部47d,48dが略対向配置されていると、両係止凹部47d,48dの深さ分、径方向においてインターロックピン63は遊嵌されている。そして、図6(b)に示されるように、一方のラック付シャフト48が軸線方向に移動すると、インターロックピン63は係止凹部48dに沿ってラック付シャフト47の係止凹部47d側に押し出される。これにより、ラック付シャフト47は、係止凹部47dにおいて押し出されたインターロックピン63により係止される。このように変更することで、前記実施形態の(1)〜(4)と同様の効果に加え、分配切替用シャフト31及び変速切替用シャフト21の所定切替位置での作動を更に確実化できる。なお、インターロックピン63は、球体に限らず略楕円球体や係止凹部47d,48dに対向する先端が曲成された略円柱体のものを採用してもよい。
【0040】
・前記実施形態において、変速切替用ラック付シャフト47を低速側の切替位置に位置決めする構造を採用してもよい。
・前記実施形態において、分配切替用ラック付シャフト48を2輪駆動の切替位置に位置決めする構造を採用してもよい。
【0041】
・前記実施形態において、駆動ユニット46とラック付シャフト47,48との連結構造は一例であってその他の構造を採用してもよい。
・前記実施形態においては、減速機付電動モータを備えた駆動ユニット46を採用したが、例えば油圧や負圧を利用した駆動源であってもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項に記載の発明によれば、トランスファー本体側の設計変更の負担を軽減することができる。
【0043】
請求項のいずれかに記載の発明によれば、分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方を介した分配切替用シャフト若しくは変速切替用シャフトの所定切替位置での作動をより確実化できる。
【0044】
請求項に記載の発明によれば、分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの駆動のための構成を簡易なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用されるトランスファーの部分断面図。
【図2】同実施形態の平面図及び側面図。
【図3】同実施形態の動作を示す説明図。
【図4】同実施形態の動作を示す説明図。
【図5】同実施形態の別例を示す部分断面図。
【図6】同実施形態の別例の動作を示す説明図。
【図7】従来形態の部分断面図。
【符号の説明】
17 シフトアクチュエータ
21 変速切替用シャフト
31 分配切替用シャフト
41,42 取付部を構成する取付具
46 駆動源としての駆動ユニット
47 変速切替用出力シャフトとしての変速切替用ラック付シャフト
48 分配切替用出力シャフトとしての分配切替用ラック付シャフト
47b,48b 取付部材
47c,48c 位置決め手段を構成する係止凹部
51 出力軸
52 2段欠歯ピニオン
54 位置決め手段を構成する係止ボールとしてのディテントボール
61 位置決め手段を構成するインターロック構造
96 シフトレバー

Claims (6)

  1. シフトレバーが直結可能な取付部を有する分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトを備えたトランスファーに用いられる切替装置であって、
    前記分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトの各取付部にそれぞれ直結される取付部材を有する分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトと、
    前記分配切替用出力シャフトを往復移動させて前記分配切替用シャフトを介して2輪駆動・4輪駆動の切り替えを行うとともに、前記変速切替用出力シャフトを往復移動させて前記変速切替用シャフトを介して変速比の切り替えを行う駆動源とを備えたことを特徴とするトランスファー用切替装置。
  2. シフトレバーが直結可能な取付部を有する分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトを備え、前記分配切替用シャフトを往復移動させることにより2輪駆動・4輪駆動の切り替えを行うとともに、前記変速切替用シャフトを往復移動させることにより変速比の切り替えを行うトランスファーに用いられる切替装置であって、
    前記分配切替用シャフト及び変速切替用シャフトの各取付部にそれぞれ直結される取付部材を有する分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトと、
    前記分配切替用出力シャフトを往復移動させることで前記分配切替用シャフトを往復移動させて前記2輪駆動・4輪駆動の切り替えを行うとともに、前記変速切替用出力シャフトを往復移動させることで前記変速切替用シャフトを往復移動させて前記変速比の切り替えを行う駆動源とを備えたことを特徴とするトランスファー用切替装置。
  3. 請求項1又は2に記載のトランスファー用切替装置において、
    前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方を所定切替位置に位置決めする位置決め手段を備えたことを特徴とするトランスファー用切替装置。
  4. 請求項3に記載のトランスファー用切替装置において、
    前記位置決め手段は、前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方の径方向に凹設された係止凹部と、該分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトの少なくとも一方の所定切替位置において該係止凹部に付勢される係止ボールにより構成されたことを特徴とするトランスファー用切替装置。
  5. 請求項3又は4に記載のトランスファー用切替装置において、
    前記位置決め手段は、前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトのいずれか一方が往復移動するときに他方の往復移動を規制するインターロック構造を備えたことを特徴とするトランスファー用切替装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のトランスファー用切替装置において、
    前記分配切替用出力シャフト及び変速切替用出力シャフトは、前記駆動源の出力軸に設けられた2段欠歯ピニオンに噛合連結されて選択的に往復移動されることを特徴とするトランスファー用切替装置。
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