JP4298836B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数のインク吐出口を並べて設けたインクジェットヘッドを使用し、このインクジェットヘッドを画像信号に基づいて駆動し、各インク吐出口から記録媒体に選択的にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置としては、例えば、オンデマンド型のインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタでは高速化を図ることが重要で、インクジェットヘッドのインク吐出口の数が多いほど高速印字が可能になる。インク吐出口の数を増やす技術としては、多数のインク吐出口を並べて設けたヘッドユニットを複数個、この各ヘッドユニットのインク吐出口の並びが略平行になるように一体配置して1個の長尺なインクジェットヘッドを形成する技術がある。そして、ヘッドの長さを記録用紙の幅に対応させることでラインヘッドとなり、高速印字が実現できる。
【0003】
ところでヘッドユニットは、図29に示すように多数のインク室1を設けたノズル部2と、各インク室1にインクを供給する共通インク室3を設けた本体部4と、共通インク室3にインクを供給するインク供給路5を備え、インク室1内に体積変動を与えることでインク室1のインク吐出口6からインク滴が吐出してドット印字を行うようになっている。また、インク室1で消費されたインクは共通インク室3から補充されるようになっている。
【0004】
インク室1内に体積変動を与える制御方式としては、圧電部材の歪み変形を利用した圧電制御方式や発熱体の発熱を利用した熱制御方式などがある。このような制御方式により体積変動を各インク室1毎に任意に与えることでオンデマンドに印字を行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インク吐出動作時のインク室1内での体積変動は、圧力変動となってインク室内を伝わり共通インク室3内にも伝播する。そして、複数のインク室がインク吐出を行った場合、特にヘッドの端のインク室1付近で共通インク室3からの影響が大きく、端部にある一定数のインク室1からのインクの吐出体積が増加する。
【0006】
このような現象が発生しても1個のヘッドユニットで構成されるインクジェットヘッドの場合は、端部にある一定数のインク室からのインクの吐出体積が変化して多少の濃度変化が生じても印字部分が端部となるため濃度むらが目立ちにくい。しかしながら、複数個のヘッドユニットを並べて一体配置したインクジェットヘッドの場合は、互いに隣接するヘッドユニットの端部が印字のライン方向に対して途中の位置となるので、この部分で濃度むらが生じるとすじ状の濃度むらとして目立つことになる。
【0007】
例えば、図30に示すように、ヘッドユニット7と8を並べて一体配置したインクジェットヘッドを使用して一定値の画像信号により印字した場合に、各ヘッドユニット7,8の境目におけるインク吐出口7a,8aからのインクの吐出体積が増加して印字濃度がd0からd1へと急激に高くなり、この部分がすじ状の濃度むらとして見えてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、各請求項記載の発明は、複数のヘッドユニットを並べて一体配置して形成されるインクジェットヘッドにおいて、各ヘッドユニットの端部のインク吐出口からのインク吐出体積の変動による濃度むらを低減でき、これにより記録品位を向上できるインクジェット記録ヘッドを提供する。
また、さらに記録媒体が移動する方向に延びるすじ状の濃度むらをより低減でき、これにより記録品位をさらに向上できるインクジェット記録ヘッドを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、多数のインク吐出口を並べて設けたヘッドユニットを複数個、それぞれのインク吐出口の並びが略平行になるように一体配置して形成したインクジェットヘッドを備え、このインクジェットヘッドに対して、そのヘッドの各インク吐出口の並びの方向であるライン方向とは直交する方向に記録媒体を相対移動させつつ画像信号に基づいて前記インクジェットヘッドを駆動し、各インク吐出口から記録媒体に選択的にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、隣合うヘッドユニットの端部の濃度変化が発生する可能性のあるP(但し、P≧1)個のインク吐出口を含むQ(但し、Q>P)個のインク吐出口が互いに記録媒体の移動方向において重なり合うように配置し、この重なり合ったQ個のインク吐出口においては、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により1ドットを形成するように制御するとともにこの重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度が、その他の重なり合わないインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度に対して一定の割合で増減するように重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合をライン方向の位置に対してヘッドユニットの端に近くなるほど小さくなるように可変することにある。
【0011】
請求項2記載の発明は、多数のインク吐出口を並べて設けたヘッドユニットを複数個、それぞれのインク吐出口の並びが略平行になるように一体配置して形成したインクジェットヘッドを備え、このインクジェットヘッドに対して、そのヘッドの各インク吐出口の並びの方向であるライン方向とは直交する方向に記録媒体を相対移動させつつ画像信号に基づいて前記インクジェットヘッドを駆動し、各インク吐出口から前記記録媒体に選択的にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、隣合うヘッドユニットの端部の濃度変化が発生する可能性のあるP(但し、P≧1)個のインク吐出口を含むQ(但し、Q>P)個のインク吐出口が互いに記録媒体の移動方向において重なり合うように配置し、この重なり合ったQ個のインク吐出口においては、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により1ドットを形成するように制御するとともにこの重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度が、その他の重なり合わないインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度に対して一定の割合で増減するように前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を、ライン方向とは直交する方向の位置に応じて予め記憶手段に設定し、この記憶手段に設定された内容に従って前記ライン方向とは直交する方向の位置における前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を、ライン方向とは直交する方向の位置に対してヘッドユニットの端に近いインク吐出口については増加する方向で繰返すように可変し、ヘッドユニットの端から遠いインク吐出口については減少する方向で繰返すように可変することにある。
【0012】
請求項3記載の発明は、多数のインク吐出口を並べて設けたヘッドユニットを複数個、それぞれのインク吐出口の並びが略平行になるように一体配置して形成したインクジェットヘッドを備え、このインクジェットヘッドに対して、そのヘッドの各インク吐出口の並びの方向であるライン方向とは直交する方向に記録媒体を相対移動させつつ画像信号に基づいて前記インクジェットヘッドを駆動し、各インク吐出口から記録媒体に選択的にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、隣合うヘッドユニットの端部の濃度変化が発生する可能性のあるP(但し、P≧1)個のインク吐出口を含むQ(但し、Q>P)個のインク吐出口が互いに記録媒体の移動方向において重なり合うように配置し、この重なり合ったQ個のインク吐出口においては、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により1ドットを形成するように制御するとともにこの重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度とその他の重なり合わないインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度がほぼ等しくなるように複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を可変し、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を、その割合の合計が増減変化するライン方向とは直交する位置に応じて予め記憶手段に設定し、この記憶手段に設定された内容に従ってライン方向とは直交する方向の位置における重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を可変することにある。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のインクジェット記録装置において、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合は、その割合の合計がライン方向の位置に対してヘッドユニットの端から順に増加、減少を繰返すように可変することにある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
この実施の形態は請求項1に対応した実施の形態について述べる。
図1はインクジェット記録装置全体の構成を示す図で、本体ケース11内に、一定の周速度で図中矢印で示す方向に回転するドラム12を設け、このドラム12に給紙ローラ13,14を介して給紙される記録媒体である記録紙15を巻付けるようになっている。
【0015】
すなわち、前記本体ケース11の底部に給紙カセット16を設け、この給紙カセット16の載置板17の上に載置した記録紙15を給送ローラ18により1枚ずつ取出して前記給紙ローラ13,14に給送し、また、前記本体ケース11の側方に開閉自在に装着した手差トレイ19から手差した記録紙15を給送ローラ20により前記給紙ローラ13,14に給送するようになっている。前記給送ローラ18による給送と前記給送ローラ20による給送の切替えを給送切替手段21により行っている。
【0016】
前記ドラム12には、前記給紙ローラ13,14から給紙される記録紙15をドラム面に吸着させる帯電ローラ22が対向配置されている。また、前記ドラム12には、ライン状に多数の記録素子を配列したインクジェット記録ヘッド23をこの記録ヘッド23の記録素子の配列方向である前記ドラム12の回転軸方向に移動自在に配置した印字機構24を対向配置している。従って、前記記録紙15はドラム12の回転によりインクジェット記録ヘッド23の記録素子の配列方向と略直交する方向に搬送されることになる。
【0017】
前記インクジェット記録ヘッド23は、図2及び図3に示すように、多数のインク吐出口23aを所定のピッチで並べて設けた3個のヘッドユニット231,232,233を共通基板234の両面に、ヘッドユニット232を一面側の中央部に、ヘッドユニット231,233を他面側の端側部にして張り合わせた構成のもので、前記ヘッドユニット232とヘッドユニット231,233との位置関係は、隣合うヘッドユニット232とヘッドユニット231の端部の濃度変化が発生する可能性のある、例えば、3(=P)個のインク吐出口を含む6(=Q)個のインク吐出口がこのインク吐出口の並びの方向であるライン方向xとは直交する方向yにおいて重なり合い、また、隣合うヘッドユニット232とヘッドユニット233の端部の濃度変化が発生する可能性のある、例えば、3(=P)個のインク吐出口を含む6(=Q)個のインク吐出口がこのインク吐出口の並びの方向であるライン方向xとは直交する方向yにおいて重なり合う位置関係になっている。
【0018】
なお、ヘッドユニット231,233のインク吐出口23aとヘッドユニット232のインク吐出口23aはライン方向に対して直線上に並ばないが、これに対してはヘッドユニット231,233とヘッドユニット232のインク吐出タイミングを調整することで各ヘッドユニット231,232,233の各インク吐出口23aが直線上に並んだときと同じ印字結果が得られるように制御することは容易にできる。
【0019】
前記印字機構24は、前記インクジェット記録ヘッド23を載置した往復移動機構25と、往復移動ロッド及びリニアモータを有するモータユニット26と、進退移動手段27からなり、前記進退移動手段27により前記インクジェット記録ヘッド23を前記ドラム12に対して進退移動させるとともに前記モータユニット26により往復移動機構25をドラム12の回転軸方向に移動制御して前記インクジェット記録ヘッド23をドラム12の回転軸方向に往復移動させるようになっている。
【0020】
また、前記ドラム12には、このドラム面と記録紙15との間に挿入可能な剥離爪28が配置され、この剥離爪28によって剥離した記録紙15を記録紙排出搬送機構29に排出するようになっている。前記記録紙排出搬送機構29は、記録紙15の非記録面に接するベルトコンベア30と前記記録紙15をベルトコンベア30の面に押圧する押圧手段31とで構成している。
【0021】
前記本体ケース11の側面上部には排出ローラ32が配置され、前記ベルトコンベア30により搬送された記録紙15を本体ケース11の外部に排出するようになっている。また、前記本体ケース11内には、各部に回転駆動を与えるメインモータ33、インク供給源となるインクカセット34、このインクカセット34からのインクを一時蓄えるインクバッファ35、このインクバッファ35のインクを前記インクジェット記録ヘッド23に供給するインク供給チューブ36等が収納されている。
【0022】
このインクジェット記録装置は、印刷時には、例えば、給紙カセット16から給紙ローラ18により記録紙15を取出して給紙ローラ13、14に送出す。この給紙ローラ13、14により記録紙15は回転するドラム12に給送されて巻付けられる。そして、記録紙15は帯電ローラ22によりドラム12の表面に吸着される。
【0023】
ドラム12の回転により記録紙15は、図4に示すように、インクジェット記録ヘッド23の各インク吐出口の並びの方向であるライン方向xとは直交する方向yに回転移動し、インクジェット記録ヘッド23の各インク吐出口から記録紙15に画像信号に基づいて所定のタイミングで選択的にインクを吐出して画像記録を行う。インクジェット記録ヘッド23の各インク吐出口のピッチは画像記録の解像度に比べて粗いので、ドラム12が1回転したときにインクジェット記録ヘッド23がドラム12の回転軸方向に例えばインク吐出口のピッチの1/2だけ移動するように制御し、ドラム12の2回転で1枚の記録紙15に対する印刷を行うことでインク吐出口のピッチの2倍の解像度で画像記録を行う。そして、画像記録を終了した記録紙15は剥離爪28によって剥離され、記録紙排出搬送機構29により搬送された後、排出ローラ32により外部に排出されることになる。
【0024】
図5はヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分を拡大して示す図で、ヘッドユニット232は端部の6個のインク吐出口a,b,c,d,e,fがQ個に相当し、そのうちの端の3個d,e,fが濃度変化が発生する可能性のあるP個に相当する。また、ヘッドユニット233は端部の6個のインク吐出口f,e,d,c,b,aがQ個に相当し、そのうちの端の3個f,e,dが濃度変化が発生する可能性のあるP個に相当する。
【0025】
前記各ヘッドユニット231,232,233の各インク吐出口23aからのインク吐出体積は、図6に示すように、インク室に体積変動を与える通電時間tを可変することにより変化させることができ、通電時間と吐出体積とが比例して変化するt1〜t2の間の通電時間を例えば7分割制御することで1〜7階調の制御を行い、これとインクを吐出させない0階調を含めて8階調の印字制御ができるようになっている。そして、入力画像信号を疑似中間調処理等を行うことで0〜7の8階調印字のために変換した画像信号を得ることができる。
【0026】
図7はヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分の6個のインク吐出口を含む18個のインク吐出口に対して7階調印字を行う入力画像信号の例を示すもので、中央部の7番目から12番目の6個はヘッドユニット232のインク吐出口a,b,c,d,e,f及びヘッドユニット233のインク吐出口f,e,d,c,b,aに相当している。
【0027】
例えば、7階調印字する場合に、ヘッドユニット232のインク吐出口a,b,c,d,e,fを7階調印字に設定し、ヘッドユニット233のインク吐出口f,e,d,c,b,aを0階調印字に設定すると、ヘッドユニット232の端の3個d,e,fについては印字濃度が急激に増加する可能性があるので、このままではライン方向xと直交する方向であるy方向にすじ状となる濃度むらが発生する。また、逆に、ヘッドユニット233のインク吐出口f,e,d,c,b,aを7階調印字に設定し、ヘッドユニット232のインク吐出口a,b,c,d,e,fを0階調印字に設定しても、ヘッドユニット233の端の3個f,e,dについては印字濃度が急激に増加する可能性があるので、このままでは同様にy方向にすじ状となる濃度むらが発生する。
【0028】
そこで、この実施の形態では、入力する8階調の画像信号がヘッドユニット232と233のインク吐出口が重複しているa〜fのインク吐出口に対応した画像信号であるか否かを判定し、インク吐出口a〜fに対応している画像信号であれば、この画像信号をヘッドユニット232のインク吐出口a〜fからのインク吐出とヘッドユニット233のインク吐出口f〜aからのインク吐出とで1ドットを形成するように画像信号を振分ける。また、重複しているインク吐出口a〜f以外のインク吐出口に対しては、従来通りに画像信号により1つのインク吐出口からのインク吐出制御を行う。
【0029】
図8はこれを実現する具体回路構成を示すブロック図で、8階調画像信号を補正回路41に入力するとともにライン方向xの位置信号を位置信号判定部42に入力している。前記位置信号判定部42は入力するライン方向位置信号がヘッドユニット232,233におけるインク吐出口の重複部分に位置するか否かを判定して前記補正回路41に制御信号を供給するようになっている。
【0030】
前記補正回路41は、図9に示すように、ルックアップテーブル(LUT)411、吐出階調変換を行わない場合に使用する第1のスイッチ回路412、吐出階調変換を行う場合に使用する第2のスイッチ回路413からなり、前記ルックアップテーブル411は、図10に示すように重複するインク吐出口a,b,c,d,e,fの個々に対応して入力階調0〜7に対して出力階調をどのように変換するかを示す情報を記憶している。
【0031】
前記第1のスイッチ回路412は、切替えスイッチで、前記位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜f以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号により8階調画像信号をヘッドユニット232に対応した第1のシフトレジスタ43に供給するかヘッドユニット233に対応した第2のシフトレジスタ44に供給するか切替え動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜fに対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作するようになっている。
【0032】
前記第2のスイッチ回路413は、同時にオン、オフする2連スイッチで、前記位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜f以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜fに対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオン動作して前記ルックアップテーブル411からの第1出力を前記第1のシフトレジスタ43に供給するとともに前記ルックアップテーブル411からの第2出力を前記第2のシフトレジスタ44に供給するようになっている。
【0033】
そして、前記第1のシフトレジスタ43の出力を第1のドライバ回路45に供給し、この第1のドライバ回路45でヘッドユニット232を駆動し、前記第2のシフトレジスタ44の出力を第2のドライバ回路46に供給し、この第2のドライバ回路46でヘッドユニット233を駆動するようになっている。
【0034】
このような構成において、例えば、ヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分の6個のインク吐出口a〜fを含む前後18個のインク吐出口に対して18ラインまで7階調印字の画像信号が入力した場合を想定する。なお、18個のインク吐出口を1番目から18番目のインク吐出口として述べる。
【0035】
先ず、1ライン目において、インク吐出口の1番目から6番目まではヘッドユニット232が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路412は8階調画像信号を第1のシフトレジスタ43に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路413はオフ動作する。従って、このときには、入力する8階調画像信号は補正回路41をそのまま通過して第1のシフトレジスタ43に供給される。
【0036】
また、インク吐出口の7番目から12番目まではヘッドユニット232のインク吐出口a〜fとヘッドユニット233のインク吐出口f〜aが紙送り方向yにおいて重複しており、ここでは両方のヘッドユニット232,233のインク吐出口からのインク吐出を組合わせて1ドットを形成するので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路412はオフ動作し、第2のスイッチ回路413はオン動作する。従って、このときには、入力する8階調画像信号はルックアップテーブル411により振分けられる。
【0037】
すなわち、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口a及びヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口aに対応する第1出力が6階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0038】
同様に、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口b及びヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口bに対応する第1出力が5階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0039】
同様に、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口c及びヘッドユニット233のインク吐出口dに対応する場合には、第1出力が4階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が3階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口d及びヘッドユニット233のインク吐出口cに対応する場合には、第1出力が3階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が4階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0040】
同様に、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口e及びヘッドユニット233のインク吐出口bに対応する場合には、第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が5階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口f及びヘッドユニット233のインク吐出口aに対応する場合には、第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が6階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0041】
また、インク吐出口の13番目から18番目まではヘッドユニット233が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路412は8階調画像信号を第2のシフトレジスタ44に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路413はオフ動作する。従って、このときには、入力する8階調画像信号は補正回路41をそのまま通過して第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0042】
このようにして、第1、第2のシフトレジスタ43,44に対する1ライン目の画像信号の取込みが終了すると、第1、第2のドライバ回路45,46によりヘッドユニット232,233がそれぞれ駆動され、各インク吐出口からのインク吐出が行われる。勿論、ヘッドユニット232と233とはインク吐出ラインがy方向にずれているのでインク吐出のタイミングが調整され、1ラインとして印字されることになる。そして、1ライン目の印字が終了すると、2ライン目についても同様の処理が行なわれ、これが18ライン目まで繰返されることになる。
【0043】
こうして、インク吐出口の1番目〜18番目について1ライン目〜18ライン目におけるヘッドユニット232とヘッドユニット233との階調振分け状態を示すと、図12に示すように、インク吐出口の1番目〜6番目については18ライン全て(7,0)となり、ヘッドユニット232のみで7階調の印字を行うことを示している。
【0044】
また、インク吐出口の7番目については18ライン全て(6,1)となり、ヘッドユニット232による6階調の印字とヘッドユニット233による1階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の8番目については18ライン全て(5,2)となり、ヘッドユニット232による5階調の印字とヘッドユニット233による2階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の9番目については18ライン全て(4,3)となり、ヘッドユニット232による4階調の印字とヘッドユニット233による3階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示している。
【0045】
また、インク吐出口の10番目については18ライン全て(3,4)となり、ヘッドユニット232による3階調の印字とヘッドユニット233による4階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の11番目については18ライン全て(2,5)となり、ヘッドユニット232による2階調の印字とヘッドユニット233による5階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の12番目については18ライン全て(1,6)となり、ヘッドユニット232による1階調の印字とヘッドユニット233による6階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示している。
さらに、インク吐出口の13番目〜18番目については18ライン全て(0,7)となり、ヘッドユニット233のみで7階調の印字を行うことを示している。
【0046】
このような印字記録を行うことにより、ヘッドユニット232のインク吐出口a〜f及びヘッドユニット233のインク吐出口f〜aが重複する範囲の印字濃度変化は、図11に示すように、d0からd2という少ない変化量で徐々に増加した後、同じく少ない変化量で徐々に減少する変化となり、しかも、d0からの最大変化量であるd3も図30に示す従来の変化量d1に比べて小さくなる。すなわち、ヘッドユニット232,233の一番端のインク吐出口fがインク吐出体積の変動の影響を最も大きく受ける可能性があるが、このインク吐出口fについては最も小さいインク吐出量である1階調とし、これと一緒にドットを形成する他方のヘッドユニットのインク吐出口aはインク吐出体積の変動がほとんどなく、これを6階調にして全体で7階調になるようにしているので、印字濃度の変化を最小限に制御できる。また、ヘッドユニット232,233のインク吐出口e,dもインク吐出体積の変動の影響を受ける可能性があるが、このインク吐出口e,dについてはそれぞれ2階調、3階調とし、これと一緒にドットを形成する他方のヘッドユニットのインク吐出口b,cはインク吐出体積の変動がほとんどなく、これをそれぞれ5階調、4階調にして全体で7階調になるようにしているので、ここでも印字濃度の変化を最小限に制御できる。
【0047】
このように、ヘッドユニット232のインク吐出口とヘッドユニット233のインク吐出口がライン方向xと直交する方向yにおいて重複するa〜fにおいて、ヘッドユニットの端に近くなるほどインク吐出口から吐出するインク吐出量の割合が小さくなるようにインク吐出量を可変することにより、ヘッドユニット232,233の端部での印字濃度の変化を小さく、かつ、なだらかにでき、これにより、濃度むらを低減でき、全体として記録品位を向上できる。
【0048】
なお、ここでは、ヘッドユニット232と233との境目での濃度むらの低減について述べたが、ヘッドユニット231と232との境目においても全く同様の画像信号処理を行うことで濃度むらを低減できることは勿論である。
【0049】
(第2の実施の形態)
この実施の形態は請求項2に対応した実施の形態について述べる。なお、この実施の形態もヘッドユニット232と233のインク吐出口の重複部分の6個を含む前後18個のインク吐出制御を例として述べ、前述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し異なる部分について述べる。
【0050】
図13に示すように、8階調画像信号並びに紙送り方向yの位置信号を補正回路51に入力するとともにライン方向xの位置信号を位置信号判定部42に入力している。
【0051】
前記補正回路51は、図14に示すように、ルックアップテーブル(LUT)511、吐出階調変換を行わない場合に使用する第1のスイッチ回路512、吐出階調変換を行う場合に使用する第2のスイッチ回路513からなり、前記ルックアップテーブル511は、図15の(a)、(b)、(c)に示すように、重複するインク吐出口a,b,c,d,e,fの個々に対応して入力階調0〜7に対して出力階調をどのように変換するかを示す情報を記憶した3つのテーブル511a,511b,511cにより構成している。
【0052】
図15の(a)に示すテーブル511aは、入力する紙送り方向位置信号が指定する紙送り方向yの位置y(p)がy(p)=3n−2(但し、n=1,2,3,…)のとき、すなわち、1ライン目、4ライン目、7ライン目…のとき選択されるテーブルであり、図15の(b)に示すテーブル511bは、入力する紙送り方向位置信号が指定する紙送り方向yの位置y(p)がy(p)=3n−1(但し、n=1,2,3,…)のとき、すなわち、2ライン目、5ライン目、8ライン目…のとき選択されるテーブルであり、図15の(c)に示すテーブル511cは、入力する紙送り方向位置信号が指定する紙送り方向yの位置y(p)がy(p)=3n(但し、n=1,2,3,…)のとき、すなわち、3ライン目、6ライン目、9ライン目…のとき選択されるテーブルである。
【0053】
前記第1のスイッチ回路512は、前述した第1のスイッチ回路412と同様、切替えスイッチで、位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜f以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号により8階調画像信号をヘッドユニット232に対応した第1のシフトレジスタ43に供給するかヘッドユニット233に対応した第2のシフトレジスタ44に供給するか切替え動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜fに対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作するようになっている。
【0054】
前記第2のスイッチ回路513は、前述した第2のスイッチ回路413と同様、同時にオン、オフする2連スイッチで、前記位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜f以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜fに対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオン動作して前記ルックアップテーブル511からの第1出力を前記第1のシフトレジスタ43に供給するとともに前記ルックアップテーブル511からの第2出力を前記第2のシフトレジスタ44に供給するようになっている。
【0055】
このような構成において、例えば、ヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分の6個のインク吐出口a〜fを含む前後18個のインク吐出口に対して18ラインまで7階調印字の画像信号が入力した場合を想定する。なお、18個のインク吐出口を1番目から18番目のインク吐出口として述べる。
【0056】
先ず、1ライン目において、インク吐出口の1番目から6番目まではヘッドユニット232が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路512は8階調画像信号を第1のシフトレジスタ43に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路513はオフ動作する。従って、このときには、入力する8階調画像信号は補正回路51をそのまま通過して第1のシフトレジスタ43に供給される。
【0057】
また、インク吐出口の7番目から12番目まではヘッドユニット232のインク吐出口a〜fとヘッドユニット233のインク吐出口f〜aが紙送り方向yおいて重複しており、ここでは両方のヘッドユニット232,233のインク吐出口からのインク吐出を組合わせて1ドットを形成するので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路512はオフ動作し、第2のスイッチ回路513はオン動作する。従って、このときには、入力する8階調画像信号はルックアップテーブル511により振分けられる。そして、振分けに使用するテーブル511a,511b,511cは入力する紙送り方向位置信号により決定される。
【0058】
従って、1ライン目を印字する場合にはテーブル511aが選択される。この場合は、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口a〜c及びヘッドユニット233のインク吐出口f〜dに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口a〜cに対応する第1出力が6階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口f〜dに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0059】
また、8階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口d〜f及びヘッドユニット233のインク吐出口c〜aに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口d〜fに対応する第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口c〜aに対応する第2出力が6階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0060】
また、13番目から18番目までのインク吐出口についてはヘッドユニット233が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路512は8階調画像信号を第2のシフトレジスタ44に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路513はオフ動作する。従って、このときには、入力する8階調画像信号は補正回路51をそのまま通過して第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0061】
このようにして、第1、第2のシフトレジスタ43,44に対する1ライン目の画像信号の取込みが終了すると、第1、第2のドライバ回路45,46によりヘッドユニット232,233がそれぞれ駆動され、各インク吐出口からのインク吐出が行われる。勿論、ヘッドユニット232と233とはインク吐出ラインがy方向にずれているのでインク吐出のタイミングが調整され、1ラインとして印字されることになる。
【0062】
そして、インク吐出口の1番目から6番目については常にヘッドユニット232が単独で印字を行うので、2ライン目以降も1ライン目と同様の処理が行なわれる。また、インク吐出口の13番目から18番目については常にヘッドユニット233が単独で印字を行うので、2ライン目以降も1ライン目と同様の処理が行なわれる。
【0063】
しかし、インク吐出口の7番目から12番目についてはルックアップテーブル511を使用するため各ライン毎に処理が異なる。
すなわち、2ライン目を印字する場合にはテーブル511bが選択される。この場合は、ヘッドユニット232のインク吐出口a〜cに対応する第1出力が5階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口f〜dに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0064】
また、ヘッドユニット232のインク吐出口d〜fに対応する第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口c〜aに対応する第2出力が5階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0065】
また、3ライン目を印字する場合にはテーブル511cが選択される。この場合は、ヘッドユニット232のインク吐出口a〜cに対応する第1出力が4階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口f〜dに対応する第2出力が3階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0066】
また、ヘッドユニット232のインク吐出口d〜fに対応する第1出力が3階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口c〜aに対応する第2出力が4階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0067】
このようにして、インク吐出口の7番目から12番目については、(3n−2)ライン目を印字するときにはテーブル511aのデータに従って階調の振分けが行なわれ、(3n−1)ライン目を印字するときにはテーブル511bのデータに従って階調の振分けが行なわれ、3nライン目を印字するときにはテーブル511cのデータに従って階調の振分けが行なわれる。なお、n=1,2,3…である。
【0068】
こうして、インク吐出口の1番目〜18番目について1ライン目〜18ライン目におけるヘッドユニット232とヘッドユニット233との階調振分け状態を示すと、図16に示すように、インク吐出口の1番目〜6番目については18ライン全て(7,0)となり、ヘッドユニット232のみで7階調の印字を行うことを示している。
【0069】
また、インク吐出口の7番目から9番目については、(3n−2)ライン目が(6,1)となり、ヘッドユニット232による6階調の印字とヘッドユニット233による1階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、(3n−1)ライン目が(5,2)となり、ヘッドユニット232による5階調の印字とヘッドユニット233による2階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、3nライン目が(4,3)となり、ヘッドユニット232による4階調の印字とヘッドユニット233による3階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示している。
【0070】
また、インク吐出口の10番目から12番目については、(3n−2)ライン目が(1,6)となり、ヘッドユニット232による1階調の印字とヘッドユニット233による6階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、(3n−1)ライン目が(2,5)となり、ヘッドユニット232による2階調の印字とヘッドユニット233による5階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、3nライン目が(3,4)となり、ヘッドユニット232による3階調の印字とヘッドユニット233による4階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示している。
【0071】
このような印字記録を行うことにより、ヘッドユニット232のインク吐出口a〜f及びヘッドユニット233のインク吐出口f〜aが重複する範囲の印字濃度変化は、第1の実施の形態の場合と同様に、ライン方向xに対して従来に比べて変化量を小さくできる。しかも、ライン方向xと直交する紙送り方向yに対しても微妙な濃度変化を与えることができる。従って、人の目に対して紙送り方向に伸びるすじ状の濃度むらが認識されにくくなり、全体として濃度むらを低減でき、記録品位を向上できる。
【0072】
なお、ここでは、ヘッドユニット232と233との境目での濃度むらの低減について述べたが、ヘッドユニット231と232との境目においても全く同様の画像信号処理を行うことで濃度むらを低減できることは勿論である。また、この実施の形態ではルックアップテーブルに3種類のテーブルを設け、(3n−2)ライン、(3n−1)ライン、3nライン毎に使用するテーブルを異ならせて階調値の振分けを行ったが必ずしもこれに限定するものではない。また、テーブルの値も限定するものではない。
【0073】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は請求項4に対応した実施の形態について述べる。この実施の形態は16階調の印字制御を行う場合を例として述べる。なお、この実施の形態においてもインクジェット記録装置の全体構成は前述した図1と同様である。
【0074】
この記録装置で使用するインクジェット記録ヘッドの各ヘッドユニットは、通電時間と吐出体積とが比例して変化するの間の通電時間を例えば15分割制御することで1〜15階調の制御を行い、これとインクを吐出させない0階調を含めて16階調の印字制御ができるようになっている。そして、入力画像信号を疑似中間調処理等を行うことで0〜15の16階調印字のために変換した画像信号を得ることができる。
【0075】
図17はヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分を拡大して示す図で、ヘッドユニット232は端部の8個のインク吐出口a,b,c,d,e,f,g,hがQ個に相当し、そのうちの端の4個e,f,g,hが濃度変化が発生する可能性のあるP個に相当する。また、ヘッドユニット233は端部の8個のインク吐出口h,g,f,e,d,c,b,aがQ個に相当し、そのうちの端の4個h,g,f,eが濃度変化が発生する可能性のあるP個に相当する。
【0076】
この実施の形態では、入力する16階調の画像信号がヘッドユニット232と233のインク吐出口が重複しているa〜hのインク吐出口に対応した画像信号であるか否かを判定し、インク吐出口a〜hに対応している画像信号であれば、この画像信号をヘッドユニット232のインク吐出口a〜hからのインク吐出とヘッドユニット233のインク吐出口h〜aからのインク吐出とで1ドットを形成するように画像信号を振分ける。また、重複しているインク吐出口a〜h以外のインク吐出口に対しては、従来通りに画像信号により1つのインク吐出口からのインク吐出制御を行う。
【0077】
図18はこれを実現する具体回路構成を示すブロック図で、16階調画像信号を補正回路61に入力するとともにライン方向xの位置信号を位置信号判定部42に入力している。前記位置信号判定部42は入力するライン方向位置信号がヘッドユニット232,233におけるインク吐出口の重複部分に位置するか否かを判定して前記補正回路61に制御信号を供給するようになっている。
【0078】
前記補正回路61は、図19に示すように、ルックアップテーブル(LUT)611、吐出階調変換を行わない場合に使用する第1のスイッチ回路612、吐出階調変換を行う場合に使用する第2のスイッチ回路613からなり、前記ルックアップテーブル611は、図20に示すように重複するインク吐出口a,b,c,d,e,f,g,hの個々に対応して入力階調0〜15に対して出力階調をどのように変換するかを示す情報を記憶している。ここで、ここの出力階調数は、事前に印字濃度変化が発生する可能性があるヘッドユニット232,233の端部の4個e,f,g,hを含む全てのインク吐出口a〜hのインク吐出量を求めておき、これを踏まえて決定する。
【0079】
前記第1のスイッチ回路612は、切替えスイッチで、前記位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜h以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号により16階調画像信号をヘッドユニット232に対応した第1のシフトレジスタ43に供給するかヘッドユニット233に対応した第2のシフトレジスタ44に供給するか切替え動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜hに対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作するようになっている。
【0080】
前記第2のスイッチ回路613は、同時にオン、オフする2連スイッチで、前記位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜h以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口a〜hに対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオン動作して前記ルックアップテーブル611からの第1出力を前記第1のシフトレジスタ43に供給するとともに前記ルックアップテーブル611からの第2出力を前記第2のシフトレジスタ44に供給するようになっている。
【0081】
そして、前記第1のシフトレジスタ43の出力を第1のドライバ回路45に供給し、この第1のドライバ回路45でヘッドユニット232を駆動し、前記第2のシフトレジスタ44の出力を第2のドライバ回路46に供給し、この第2のドライバ回路46でヘッドユニット233を駆動するようになっている。
【0082】
このような構成において、例えば、ヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分の8個のインク吐出口a〜hを含む前後20個のインク吐出口に対して20ラインまで15階調印字の画像信号が入力した場合を想定する。なお、20個のインク吐出口を1番目から20番目のインク吐出口として述べる。
【0083】
先ず、1ライン目において、インク吐出口の1番目から6番目まではヘッドユニット232が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路612は16階調画像信号を第1のシフトレジスタ43に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路613はオフ動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号は補正回路61をそのまま通過して第1のシフトレジスタ43に供給される。
【0084】
また、インク吐出口の7番目から14番目まではヘッドユニット232のインク吐出口a〜hとヘッドユニット233のインク吐出口h〜aが紙送り方向yにおいて重複しており、ここでは両方のヘッドユニット232,233のインク吐出口からのインク吐出を組合わせて1ドットを形成するので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路612はオフ動作し、第2のスイッチ回路613はオン動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号はルックアップテーブル611により振分けられる。
【0085】
すなわち、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口a及びヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口aに対応する第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0086】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口b及びヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口bに対応する第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0087】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口c及びヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する場合には、第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口d及びヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する場合には、第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0088】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口e及びヘッドユニット233のインク吐出口dに対応する場合には、第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口f及びヘッドユニット233のインク吐出口cに対応する場合には、第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0089】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口g及びヘッドユニット233のインク吐出口bに対応する場合には、第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口h及びヘッドユニット233のインク吐出口aに対応する場合には、第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0090】
また、インク吐出口の15番目から20番目まではヘッドユニット233が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路612は16階調画像信号を第2のシフトレジスタ44に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路613はオフ動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号は補正回路61をそのまま通過して第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0091】
このようにして、第1、第2のシフトレジスタ43,44に対する1ライン目の画像信号の取込みが終了すると、第1、第2のドライバ回路45,46によりヘッドユニット232,233がそれぞれ駆動され、各インク吐出口からのインク吐出が行われる。勿論、ヘッドユニット232と233とはインク吐出ラインがy方向にずれているのでインク吐出のタイミングが調整され、1ラインとして印字されることになる。そして、1ライン目の印字が終了すると、2ライン目についても同様の処理が行なわれ、これが20ライン目まで繰返されることになる。
【0092】
こうして、インク吐出口の1番目〜20番目について1ライン目〜20ライン目におけるヘッドユニット232とヘッドユニット233との階調振分け状態を示すと、図22に示すように、インク吐出口の1番目〜6番目については20ライン全て(15,0)となり、ヘッドユニット232のみで15階調の印字を行うことを示している。
【0093】
また、インク吐出口の7番目については20ライン全て(14,1)となり、ヘッドユニット232による14階調の印字とヘッドユニット233による1階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の8番目については20ライン全て(12,2)となり、ヘッドユニット232による12階調の印字とヘッドユニット233による2階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の9番目については20ライン全て(14,1)となり、ヘッドユニット232による14階調の印字とヘッドユニット233による1階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の10番目については20ライン全て(12,2)となり、ヘッドユニット232による12階調の印字とヘッドユニット233による2階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示している。
【0094】
また、インク吐出口の11番目については20ライン全て(2,12)となり、ヘッドユニット232による2階調の印字とヘッドユニット233による12階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の12番目については20ライン全て(1,14)となり、ヘッドユニット232による1階調の印字とヘッドユニット233による14階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の13番目については20ライン全て(2,12)となり、ヘッドユニット232による2階調の印字とヘッドユニット233による12階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示し、インク吐出口の14番目については20ライン全て(1,14)となり、ヘッドユニット232による1階調の印字とヘッドユニット233による14階調の印字の組合わせで1ドットを形成することを示している。
【0095】
さらに、インク吐出口の15番目〜20番目については20ライン全て(0,15)となり、ヘッドユニット233のみで15階調の印字を行うことを示している。
【0096】
このような印字記録を行うことにより、ヘッドユニット232のインク吐出口a〜h及びヘッドユニット233のインク吐出口h〜aが重複する範囲の印字濃度変化は、図21に示すように、d0からd2という少ない変化量で増加した後、その増加分を打ち消すようにd2´まで減少し、また、d2まで増加した後、その増加分を打ち消すようにd2´まで減少するというように、全体の平均濃度が一定になるように増加と減少を繰返す変化となる。
【0097】
しかも、d0からの最大変化量であるd2も図30に示す従来の変化量d1に比べて小さくなる。すなわち、ヘッドユニット232,233の一番端のインク吐出口hがインク吐出体積の変動の影響を最も大きく受ける可能性があるが、このインク吐出口hについては最も小さいインク吐出量である1階調とし、これと一緒にドットを形成する他方のヘッドユニットのインク吐出口aはインク吐出体積の変動がほとんどなく、これを14階調にして全体で15階調になるようにしているので、印字濃度の増加の変化d2を最小限に制御できる。また、平均濃度を一定にするため、この増加分d2を打つ消すようにインク吐出量を減少させる必要があるので、先ず、ヘッドユニット232,233のインク吐出口b及びヘッドユニット232,233のインク吐出口gで形成される1ドットの吐出量を全体で14階調として1階調下げている。さらに、増加分d2と減少分d2´が等しくなるようなインク吐出口からのインク吐出階調数の振り分けについては予め決定しておく。
【0098】
同様に、ヘッドユニット232,233のインク吐出口fについてインク吐出量を1階調とし、これと一緒にドットを形成する他方のヘッドユニットのインク吐出口cを14階調にして全体で15階調になるようにしているので、印字濃度の増加の変化d2も最策制御できる。また、平均濃度を一定にするため、この増加分d2を打つ消すように、ヘッドユニット232,233のインク吐出口d及びヘッドユニット232,233のインク吐出口eで形成される1ドットの吐出量を全体で14階調として1階調下げている。ここでも、増加分d2と減少分d2´が等しくなるようなインク吐出口からのインク吐出階調数の振り分けについては予め決定しておく。
【0099】
このように、ヘッドユニット232のインク吐出口とヘッドユニット233のインク吐出口がライン方向xと直交する方向yにおいて重複するa〜hにおいて、ヘッドユニット232,233のインク吐出口aとヘッドユニット232,233のインク吐出口hからのインク吐出で最小限の濃度増加に抑え、ヘッドユニット232,233のインク吐出口bとヘッドユニット232,233のインク吐出口gからのインク吐出で濃度増加分を打ち消すように濃度を減少させているので、全体として平均濃度を一定にできる。同様に、ヘッドユニット232,233のインク吐出口cとヘッドユニット232,233のインク吐出口fによるインク吐出量は増加するのに対し、ヘッドユニット232,233のインク吐出口dとヘッドユニット232,233のインク吐出口eによるインク吐出量は減少するので、全体として平均濃度を一定にできる。
【0100】
このようにしてヘッドユニット232と233との重なり部分における領域の平均濃度を重ならない部分の領域の平均濃度とほぼ等しくできるので、濃度むらを低減でき、全体として記録品位を向上できる。
【0101】
なお、ここでは、ヘッドユニット232と233との境目での濃度むらの低減について述べたが、ヘッドユニット231と232との境目においても全く同様の画像信号処理を行うことで濃度むらを低減できることは勿論である。
【0102】
(第4の実施の形態)
この実施の形態は請求項3に対応した実施の形態について述べる。この実施の形態は16階調の印字制御を行う場合を例として述べる。なお、この実施の形態においてもインクジェット記録装置の全体構成は前述した図1と同様である。
【0103】
この記録装置で使用するインクジェット記録ヘッドの各ヘッドユニットは、通電時間と吐出体積とが比例して変化するの間の通電時間を例えば15分割制御することで1〜15階調の制御を行い、これとインクを吐出させない0階調を含めて16階調の印字制御ができるようになっている。そして、入力画像信号を疑似中間調処理等を行うことで0〜15の16階調印字のために変換した画像信号を得ることができる。
【0104】
図23はヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分を拡大して示す図で、ヘッドユニット232は端部の12個のインク吐出口A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,LがQ個に相当し、ヘッドユニット233は端部の12個のインク吐出口l,k,j,i,h,g,f,e,d,c,b,aがQ個に相当する。
【0105】
また、ここでは濃度変化が発生する可能性のあるP個に相当する4個のインク吐出口は、連続印字を行っている場合と連続印字を行わない場合とで変化する。すなわち、連続印字を行っている場合は、ヘッドユニットの端部の4個のインク吐出口が該当し、連続印字を行わない場合は、印字を行うインク吐出口の最初の4個のインク吐出口が該当する。例えば、ヘッドユニット233の一番端のインク吐出口lが0階調、つまり、印字を行わない場合は濃度変化が発生する可能性がある4個のインク吐出口はk,j,i,hとなり、また、インク吐出口lが0階調以外で印字を行う場合は濃度変化が発生する可能性がある4個のインク吐出口はl,k,j,iとなる。
【0106】
この実施の形態では、入力する16階調の画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口A〜Lとヘッドユニット233のインク吐出口l〜aが重複しているインク吐出口に対応した画像信号であるか否かを判定し、重複しているインク吐出口に対応している画像信号であれば、この画像信号をヘッドユニット232のインク吐出口A〜Lからのインク吐出とヘッドユニット233のインク吐出口l〜aからのインク吐出とで1ドットを形成するように画像信号を振分ける。また、重複しているインク吐出口A〜L、l〜a以外のインク吐出口に対しては、従来通りに画像信号により1つのインク吐出口からのインク吐出制御を行う。
【0107】
図24はこれを実現する具体回路構成を示すブロック図で、16階調画像信号を補正回路71に入力するとともにライン方向xの位置信号を位置信号判定部42に入力している。前記位置信号判定部42は入力するライン方向位置信号がヘッドユニット232,233におけるインク吐出口の重複部分に位置するか否かを判定して前記補正回路71に制御信号を供給するようになっている。
【0108】
前記補正回路71は、図25に示すように、ルックアップテーブル(LUT)711、吐出階調変換を行わない場合に使用する第1のスイッチ回路712、吐出階調変換を行う場合に使用する第2のスイッチ回路713からなり、前記ルックアップテーブル711は、図26に示すように重複するインク吐出口A〜L、l〜aの個々に対応して入力階調0〜15に対して出力階調をどのように変換するかを示す情報を記憶した3つのテーブル711a,711b,711cにより構成している。
【0109】
図26の(a)に示すテーブル711aは、入力する紙送り方向位置信号が指定する紙送り方向yの位置が(3n−2)ラインのとき、すなわち、1ライン目、4ライン目、7ライン目、…のとき選択されるテーブルであり、図26の(b)に示すテーブル711bは、入力する紙送り方向位置信号が指定する紙送り方向yの位置が(3n−1)ラインのとき、すなわち、2ライン目、5ライン目、8ライン目、…のとき選択されるテーブルであり、図26の(c)に示すテーブル711cは、入力する紙送り方向位置信号が指定する紙送り方向yの位置が(3n)ラインのとき、すなわち、3ライン目、6ライン目、9ライン目、…のとき選択されるテーブルである。なお、ここでは、n=1、2、3、…である。
【0110】
前記第1のスイッチ回路712は、切替えスイッチで、前記位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号により16階調画像信号をヘッドユニット232に対応した第1のシフトレジスタ43に供給するかヘッドユニット233に対応した第2のシフトレジスタ44に供給するか切替え動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口に対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作するようになっている。
【0111】
前記第2のスイッチ回路713は、同時にオン、オフする2連スイッチで、前記位置信号判定部42からの制御信号により制御され、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口以外に対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオフ動作し、前記位置信号判定部42が重複するインク吐出口に対応する位置であることを判断したときには制御信号によりオン動作して前記ルックアップテーブル711からの第1出力を前記第1のシフトレジスタ43に供給するとともに前記ルックアップテーブル711からの第2出力を前記第2のシフトレジスタ44に供給するようになっている。
【0112】
そして、前記第1のシフトレジスタ43の出力を第1のドライバ回路45に供給し、この第1のドライバ回路45でヘッドユニット232を駆動し、前記第2のシフトレジスタ44の出力を第2のドライバ回路46に供給し、この第2のドライバ回路46でヘッドユニット233を駆動するようになっている。
【0113】
このような構成において、例えば、ヘッドユニット232とヘッドユニット233との境目の部分の12個のインク吐出口A〜L、l〜aを含む前後20個のインク吐出口に対して20ラインまで15階調印字の画像信号が入力した場合を想定する。なお、20個のインク吐出口を1番目から20番目のインク吐出口として述べる。
【0114】
先ず、1ライン目において、インク吐出口の1番目から4番目まではヘッドユニット232が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路712は16階調画像信号を第1のシフトレジスタ43に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路713はオフ動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号は補正回路71をそのまま通過して第1のシフトレジスタ43に供給される。
【0115】
また、インク吐出口の5番目から16番目まではヘッドユニット232のインク吐出口A〜Lとヘッドユニット233のインク吐出口l〜aが紙送り方向yにおいて重複しており、ここでは両方のヘッドユニット232,233のインク吐出口からのインク吐出を組合わせて1ドットを形成するので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路712はオフ動作し、第2のスイッチ回路713はオン動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号はルックアップテーブル711により振分けられる。そして、振り分けに使用するテーブル711a,711b,711cは入力する紙送り方向位置信号により決定される。
【0116】
従って、1ライン目を印字する場合はテーブル711aが選択される。この場合は、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口A〜D及びヘッドユニット233のインク吐出口l〜iに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口A〜Dに対応する第1出力が15階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口l〜iに対応する第2出力が0階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0117】
次に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口E及びヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Eに対応する第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口F及びヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Fに対応する第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0118】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口G及びヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Gに対応する第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口H及びヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Hに対応する第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0119】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口I及びヘッドユニット233のインク吐出口dに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Iに対応する第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口dに対応する第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口J及びヘッドユニット233のインク吐出口cに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Jに対応する第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口cに対応する第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0120】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口K及びヘッドユニット233のインク吐出口bに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Kに対応する第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口bに対応する第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口L及びヘッドユニット233のインク吐出口aに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Lに対応する第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口aに対応する第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0121】
また、インク吐出口の17番目から20番目まではヘッドユニット233が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路712は16階調画像信号を第2のシフトレジスタ44に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路713はオフ動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号は補正回路71をそのまま通過して第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0122】
このようにして、第1、第2のシフトレジスタ43,44に対する1ライン目の画像信号の取込みが終了すると、第1、第2のドライバ回路45,46によりヘッドユニット232,233がそれぞれ駆動され、各インク吐出口からのインク吐出が行われる。勿論、ヘッドユニット232と233とはインク吐出ラインがy方向にずれているのでインク吐出のタイミングが調整され、1ラインとして印字されることになる。そして、1ライン目の印字が終了すると、2ライン目の印字を開始する。
【0123】
2ライン目を印字する場合には、今度はテーブル711bが選択される。この場合は、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口A、B及びヘッドユニット233のインク吐出口l、kに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口A、Bに対応する第1出力が15階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口l、kに対応する第2出力が0階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口C及びヘッドユニット233のインク吐出口jに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Cに対応する第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口jに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0124】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口D及びヘッドユニット233のインク吐出口iに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Dに対応する第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口iに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0125】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口E及びヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Eに対応する第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口F及びヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Fに対応する第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0126】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口G及びヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Gに対応する第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口H及びヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Hに対応する第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0127】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口I及びヘッドユニット233のインク吐出口dに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Iに対応する第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口dに対応する第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口J及びヘッドユニット233のインク吐出口cに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Jに対応する第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口cに対応する第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0128】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口K、L及びヘッドユニット233のインク吐出口b,aに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口K、Lに対応する第1出力が0階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口b,aに対応する第2出力が15階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0129】
また、インク吐出口の17番目から20番目まではヘッドユニット233が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路712は16階調画像信号を第2のシフトレジスタ44に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路713はオフ動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号は補正回路71をそのまま通過して第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0130】
このようにして、第1、第2のシフトレジスタ43,44に対する2ライン目の画像信号の取込みが終了すると、第1、第2のドライバ回路45,46によりヘッドユニット232,233がそれぞれ駆動され、各インク吐出口からのインク吐出が行われる。そして、2ライン目の印字が終了すると、3ライン目の印字を開始する。
【0131】
3ライン目を印字する場合には、今度はテーブル711cが選択される。この場合は、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口A及びヘッドユニット233のインク吐出口lに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Aに対応する第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口lに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0132】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口B及びヘッドユニット233のインク吐出口kに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Bに対応する第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口kに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口C及びヘッドユニット233のインク吐出口jに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Cに対応する第1出力が14階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口jに対応する第2出力が1階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0133】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口D及びヘッドユニット233のインク吐出口iに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Dに対応する第1出力が12階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口iに対応する第2出力が2階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口E及びヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Eに対応する第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口hに対応する第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0134】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口F及びヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Fに対応する第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口gに対応する第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口G及びヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Gに対応する第1出力が2階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口fに対応する第2出力が12階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0135】
同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口H及びヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口Hに対応する第1出力が1階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口eに対応する第2出力が14階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。同様に、16階調画像信号がヘッドユニット232のインク吐出口I〜L及びヘッドユニット233のインク吐出口d〜aに対応する場合には、ヘッドユニット232のインク吐出口I〜Lに対応する第1出力が0階調印字の画像信号として第1のシフトレジスタ43に供給され、ヘッドユニット233のインク吐出口d〜aに対応する第2出力が15階調印字の画像信号として第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0136】
また、インク吐出口の17番目から20番目まではヘッドユニット233が単独で印字を行うので、この場合には位置信号判定部42からの制御信号により、第1のスイッチ回路712は16階調画像信号を第2のシフトレジスタ44に供給するように切替え動作し、第2のスイッチ回路713はオフ動作する。従って、このときには、入力する16階調画像信号は補正回路71をそのまま通過して第2のシフトレジスタ44に供給される。
【0137】
こうして、第1、第2のシフトレジスタ43,44に対する3ライン目の画像信号の取込みが終了すると、第1、第2のドライバ回路45,46によりヘッドユニット232,233がそれぞれ駆動され、各インク吐出口からのインク吐出が行われる。そして、3ライン目の印字が終了すると、4ライン目の印字を開始するが、4ライン目は1ライン目と同一の処理となる。
【0138】
このようにして、インク吐出口の5番目から16番目については、(3n−2)ラインを印字するときにはテーブル711aのデータに従って階調の振り分けが行われ、(3n−1)ラインを印字するときにはテーブル711bのデータに従って階調の振り分けが行われ、(3n)ラインを印字するときにはテーブル711cのデータに従って階調の振り分けが行われる。なお、各テーブル711a,711b,711cで振り分けるインク吐出階調は前述した実施の形態と同様、予めインク吐出量を調べ、その関係から決定する。インク吐出口の1番目〜20番目について1ライン目から20ライン目におけるヘッドユニット232とヘッドユニット233との階調振り分け状態を示すと、図28に示すようになる。
【0139】
このような印字記録を行うことにより、ヘッドユニット232のインク吐出口A〜L及びヘッドユニット233のインク吐出口l〜aが重複する範囲の印字濃度変化は図27に示すようになる。すなわち、ライン方向xに対しては、前述した第3の実施の形態と同様に、d0からd2という少ない変化量で増加した後、その増加分を打ち消すようにd2´まで減少し、また、d2まで増加した後、その増加分を打ち消すようにd2´まで減少するというように、全体の平均濃度が一定になるように増加と減少を繰返す変化となり、しかも、d0からの変化量は図30に示す従来の変化量d1に比べて小さくなる。なお、図27の(a)は(3n−2)ラインの印字濃度変化を示し、図27の(b)は(3n−1)ラインの印字濃度変化を示し、図27の(c)は(3n)ラインの印字濃度変化を示している。
【0140】
しかも、ライン方向xと直交する紙送り方向yに対してもライン毎に印字濃度の増加と減少の変化を与える点を異ならせているため、人の目に対して紙送り方向に延びるすじ状の濃度むらが目立たなくなり、これにより全体の濃度むらをより低減でき、全体として記録品位をさらに向上できる。
【0141】
なお、ここでは、ヘッドユニット232と233との境目での濃度むらの低減について述べたが、ヘッドユニット231と232との境目においても全く同様の画像信号処理を行うことで濃度むらを低減できることは勿論である。
また、この実施の形態ではルックアップテーブル711に3種類のテーブル711a,711b,711cを設け、(3n−2)ライン、(3n−1)ライン、3nライン毎に使用するテーブルを異ならせて階調値の振り分けを行ったが必ずしもこれに限定するものではない。また、各テーブルの値もこの実施の形態に限定するものではない。
【0142】
なお、前述した各実施の形態では通電時間の制御によりインク吐出体積を可変して階調印字するインクジェットヘッドを使用した例について述べたが必ずしもこれに限定するものではなく、同一体積のインク滴を複数個吐出させ、この吐出するインク滴の数を制御することで階調印字する、いわゆる、マルチドロップ式のインクジェットヘッドを使用してもよい。また、インク吐出口からのインク吐出量により8階調印字、16階調印字する例について述べたが必ずしもこれに限定するものではない。
【0143】
また、前述した各実施の形態は3つのヘッドユニットを並べて配置して1つのインクジェットヘッドを構成する場合について述べたが必ずしもこれに限定するものではなく、2つや4つ以上のヘッドユニットを並べて配置して1つのインクジェットヘッドを構成する場合であってもよい。
【0144】
また、前述した各実施の形態はヘッドユニットの端部のインク室からのインク吐出体積が増加し印字濃度が高くなって発生する濃度むらを低減する場合について述べたが、本発明の制御を適用すればヘッドユニットの端部のインク室からのインク吐出体積が減少し印字濃度が低くなって発生する濃度むらを低減することに対しても容易に対処できるものである。
【0145】
【発明の効果】
各請求項記載の発明によれば、複数のヘッドユニットを並べて一体配置して形成されるインクジェットヘッドにおいて、各ヘッドユニットの端部のインク吐出口からのインク吐出体積の変動による濃度むらを低減でき、これにより記録品位を向上できる。
また、請求項3記載の発明によれば、さらに、記録媒体が移動する方向に延びるすじ状の濃度むらをより低減でき、これにより記録品位をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すインクジェット記録装置の構成を示す概略構成図。
【図2】同実施の形態におけるインクジェットヘッドの外観を示す斜視図。
【図3】同実施の形態におけるインクジェットヘッドの各ヘッドユニットのインク吐出口の位置関係を示す図。
【図4】同実施の形態におけるインクジェットヘッドの配置と紙送り方向の関係を示す図。
【図5】同実施の形態におけるヘッドユニット間のインク吐出口の重複部分を含むインク吐出口の配置関係を示す図。
【図6】同実施の形態におけるインクジェットヘッドのインク吐出体積の制御特性を示す図。
【図7】同実施の形態における入力画像信号例を示す図。
【図8】同実施の形態における要部回路構成を示すブロック図。
【図9】図8における補正回路の構成を示すブロック図。
【図10】図9における補正回路のルックアップテーブルの構成を示す図。
【図11】同実施の形態におけるインク吐出口の重複部分の印字濃度変化を示す図。
【図12】同実施の形態におけるヘッドユニットのインク吐出口と補正後の吐出階調数との関係を示す図。
【図13】本発明の第2の実施の形態における要部回路構成を示すブロック図。
【図14】図13における補正回路の構成を示すブロック図。
【図15】図14における補正回路のルックアップテーブルの構成を示す図。
【図16】同実施の形態におけるヘッドユニットのインク吐出口と補正後の吐出階調数との関係を示す図。
【図17】本発明の第3の実施の形態におけるヘッドユニット間のインク吐出口の重複部分を含むインク吐出口の配置関係を示す図。
【図18】同実施の形態における要部回路構成を示すブロック図。
【図19】図18における補正回路の構成を示すブロック図。
【図20】図19における補正回路のルックアップテーブルの構成を示す図。
【図21】同実施の形態におけるインク吐出口の重複部分の印字濃度変化を示す図。
【図22】同実施の形態におけるヘッドユニットのインク吐出口と補正後の吐出階調数との関係を示す図。
【図23】本発明の第4の実施の形態におけるヘッドユニット間のインク吐出口の重複部分を含むインク吐出口の配置関係を示す図。
【図24】同実施の形態における要部回路構成を示すブロック図。
【図25】図24における補正回路の構成を示すブロック図。
【図26】図25における補正回路のルックアップテーブルの構成を示す図。
【図27】同実施の形態におけるインク吐出口の重複部分の印字濃度変化を示す図。
【図28】同実施の形態におけるヘッドユニットのインク吐出口と補正後の吐出階調数との関係を示す図。
【図29】インクジェットヘッドユニットの構成例を示す断面図。
【図30】従来におけるインクジェットヘッドの課題を説明するための図。
【符号の説明】
23a…インク吐出口
231〜233…ヘッドユニット
23…インクジェットヘッド
41…補正回路
42…位置信号判定部
411…ルックアップテーブル
412…第1のスイッチ回路
413…第2のスイッチ回路
Claims (4)
- 多数のインク吐出口を並べて設けたヘッドユニットを複数個、それぞれのインク吐出口の並びが略平行になるように一体配置して形成したインクジェットヘッドを備え、このインクジェットヘッドに対して、そのヘッドの各インク吐出口の並びの方向であるライン方向とは直交する方向に記録媒体を相対移動させつつ画像信号に基づいて前記インクジェットヘッドを駆動し、各インク吐出口から前記記録媒体に選択的にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
隣合うヘッドユニットの端部の濃度変化が発生する可能性のあるP(但し、P≧1)個のインク吐出口を含むQ(但し、Q>P)個のインク吐出口が互いに記録媒体の移動方向において重なり合うように配置し、この重なり合ったQ個のインク吐出口においては、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により1ドットを形成するように制御するとともにこの重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度が、その他の重なり合わないインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度に対して一定の割合で増減するように前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合をライン方向の位置に対してヘッドユニットの端に近くなるほど小さくなるように可変することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 多数のインク吐出口を並べて設けたヘッドユニットを複数個、それぞれのインク吐出口の並びが略平行になるように一体配置して形成したインクジェットヘッドを備え、このインクジェットヘッドに対して、そのヘッドの各インク吐出口の並びの方向であるライン方向とは直交する方向に記録媒体を相対移動させつつ画像信号に基づいて前記インクジェットヘッドを駆動し、各インク吐出口から前記記録媒体に選択的にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
隣合うヘッドユニットの端部の濃度変化が発生する可能性のあるP(但し、P≧1)個のインク吐出口を含むQ(但し、Q>P)個のインク吐出口が互いに記録媒体の移動方向において重なり合うように配置し、この重なり合ったQ個のインク吐出口においては、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により1ドットを形成するように制御するとともにこの重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度が、その他の重なり合わないインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度に対して一定の割合で増減するように前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を、ライン方向とは直交する方向の位置に応じて予め記憶手段に設定し、この記憶手段に設定された内容に従って前記ライン方向とは直交する方向の位置における前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を、ライン方向とは直交する方向の位置に対してヘッドユニットの端に近いインク吐出口については増加する方向で繰返すように可変し、ヘッドユニットの端から遠いインク吐出口については減少する方向で繰返すように可変することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 多数のインク吐出口を並べて設けたヘッドユニットを複数個、それぞれのインク吐出口の並びが略平行になるように一体配置して形成したインクジェットヘッドを備え、このインクジェットヘッドに対して、そのヘッドの各インク吐出口の並びの方向であるライン方向とは直交する方向に記録媒体を相対移動させつつ画像信号に基づいて前記インクジェットヘッドを駆動し、各インク吐出口から前記記録媒体に選択的にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
隣合うヘッドユニットの端部の濃度変化が発生する可能性のあるP(但し、P≧1)個のインク吐出口を含むQ(但し、Q>P)個のインク吐出口が互いに記録媒体の移動方向において重なり合うように配置し、この重なり合ったQ個のインク吐出口においては、重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により1ドットを形成するように制御するとともにこの重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度とその他の重なり合わないインク吐出口からのインク吐出により形成される画像領域の平均濃度がほぼ等しくなるように複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を可変し、
前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を、その割合の合計が増減変化するライン方向とは直交する位置に応じて予め記憶手段に設定し、この記憶手段に設定された内容に従って前記ライン方向とは直交する方向の位置における前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合を可変することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記重なり合う複数のインク吐出口からのインク吐出量の割合は、その割合の合計がライン方向の位置に対してヘッドユニットの端から順に増加、減少を繰返すように可変することを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
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