JP4298822B2 - 発光性ガラスセラミックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導率や熱膨張特性や機械的強度を改善し、さらに発光波長を多様化した、ガラス相および/または結晶相に希土類元素を含有する新規な発光性ガラスセラミックスに関するものであり、特にレーザー発振用の発振媒体や励起光フィルター等に好適に用いることが可能な発光性ガラスセラミックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光性材料として用いられている材料としては、ガラス材料、単結晶材料、セラミックス材料がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ガラス材料は、その熱伝導性・熱膨張について問題があった。すなわち、低熱伝導率と高膨張係数を有するため、高強度の励起光を照射すると、発生した熱を逃がし難く、熱膨張により破損してしまったり、温度変化の激しい環境で使用した場合は、その熱疲労によって破損してしまうという問題を有していた。
具体的に挙げれば、例えば、レーザー発振媒体またはレーザー励起光の波長変換フィルターに用いられている発光性ガラス材料は、熱伝導率が低いため、レーザ照射により、材料が不均質な温度分布となり、熱応力により破損してしまうことがあった。
また、単結晶材料は、光学的活性成分を均一にドープすること、および大型の製品を製造することが困難であるという問題点があり、セラミックス材料は、その性質から粒界や気孔に起因する光散乱を生じやすいという問題があった。
【0004】
本発明は、従来の発光性材料における諸問題、すなわち低熱伝導率および高膨張係数に起因する、局部的な熱膨張やヒートショックによる破損等の熱的性質による問題や、光学活性成分の不均一分布、粒界や気孔による光の散乱の問題を解決し、しかもガラスと同等の成形性を持つ、製造の容易な発光性ガラスセラミックスを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、希土類元素をガラス相および/または結晶相に含み、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)、あるいはスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体であるガラスセラミックスが、熱的特性に優れ、光の散乱が少なく、しかもガラスと同等の成形性を有し、製造が容易であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、重量百分率で、SiO 2 50〜65%
Al 2 O 3 18〜30% ただし、Al 2 O 3 /SiO 2 0.30〜0.55の割合でこれら各組成成分が含まれるとともに、Na 2 O成分、K 2 O成分およびPbO成分を実質的に含まない発光性ガラスセラミックスであって、主結晶相がβ−石英(β−SiO 2 )もしくはβ−石英固溶体(β−SiO 2 固溶体)であり、ガラス相および/または結晶相に希土類元素を含み、
|△t|=[曲げ強度]×(1−[ポアソン比])/([熱膨張係数]×[ヤング率])により与えられる耐熱衝撃値|△t|(℃)において、|△t|≧150であることを特徴とする発光性ガラスセラミックスである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発光性ガラスセラミックスにおいて、
熱伝導率が1.1W/(m・K)以上であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックスにおいて、析出結晶の粒径が900オングストローム(Å)以下で、−60℃〜+160℃の温度範囲において、熱膨張係数が−10×10-7〜+20×10-7/℃であり、かつ、△L/L曲線(相対長さの変化)の最大変化率が2×10-5以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックスにおいて、重量百分率で、P 2O5 0〜10% ただし、SiO2+P2O5 50〜70% P2O5/SiO2 0〜0.18 Li2O 2〜6% MgO 0.2〜6% ZnO 0〜2% CaO 0〜4% BaO 0.5〜6% TiO2 1〜4% ZrO2 1〜4% As2O3+Sb2O3 0〜2%の割合でこれら各組成成分が含まれるとともに、前記各組成成分の合計量に対する外割で、1種または2種以上の希土類成分がその酸化物換算で0.1〜30%添加されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックスにおいて、ガラス原料を溶融、成形および徐冷後、核形成温度=650〜820℃、結晶化温度=750〜920℃にて熱処理して得られることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5に記載の発光性ガラスセラミックスにおいて、粉末X線回折法によるピーク面積から算出したβ−石英(β−SiO 2 )もしくはβ−石英固溶体(β−SiO 2 固溶体)結晶相の含有量が15%以上であることを特徴とする。
【0013】
本明細書においては、スピネル系結晶とは、(Mgおよび/またはZn)Al2O4、(Mgおよび/またはZn)2TiO4、さらにこれらの2結晶間の固溶体の混合物の中から選ばれる少なくとも1種以上を指している。
「2結晶間の固溶体」とは、(Mgおよび/またはZn)Al2O4、および(Mgおよび/またはZn)2TiO4のいずれかに含まれる構成元素のみからなり、前記構成元素がこれら2種類の結晶の一部を置換、あるいは侵入したものを言う。
また、スピネル系結晶の固溶体とは、前記スピネル系結晶にその他の成分が一部置換および/または侵入したものを指す。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックスにおいて、ガラス原料を溶融、成形および徐冷後、所望の部分に対して、レーザー光を照射するか、あるいはヒータ−等で加熱することによって、局部的な熱処理を行って、前記所望の部分だけを結晶化させたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態としての発光性ガラスセラミックスの一例を説明する。
まず、本発明の発光性ガラスセラミックスの耐熱衝撃値|△t|および熱伝導率、熱膨張係数、相対長さの最大変化率(△L/L)、主結晶相および原ガラスの組成範囲を上記のように限定した理由について述べる。
【0019】
まず、|△t|=[曲げ強度]×(1−[ポアソン比])/([熱膨張係数]×[ヤング率])で表される耐熱衝撃値|△t|についてであるが、この値はニューガラスハンドブック(P405〜406、編集:ニューガラスハンドブック編集委員会、発行:丸善)に中に記載されている、耐熱衝撃の指標を図るものであり、この値が大きいほど、温度差に対する耐性があると判断されるものである。
【0020】
本発明者が各種試験を行ったところ、高強度の励起光が照射される、レーザー発振媒体や励起光波長変換用フィルターとして用いるためには、少なくともこの|△t|の値が150以上でなければならず、好ましくは200以上、更に好ましくは250以上であった。ところで、従来のいわゆる結晶化していない発光性のガラスの耐熱衝撃値を検討したところ、ほとんどのものが100以下であり、高いものでも130以下という値となっている。
【0021】
これに対し、本発明の発光性ガラスセラミックスは、いずれも前記|△t|の値が従来のガラスより格段に高いものである。つまり、|△t|の値が150以上であり耐熱衝撃性が非常に良好なガラスセラミックスであり、高強度の励起光が照射されても、発熱に起因する局部的な熱膨張による破損、熱衝撃、断続的に入射する励起光や経時的な熱疲労にも耐え得るものである。
【0022】
次に、熱伝導率であるが、従来の発光性のガラス材料の熱伝導率は1.1W/(m・K)以下と、熱伝導率が低いものばかりであり、高強度の励起光を長時間照射すると、熱拡散し難いため局部的に高温となり、最終的には熱膨張による歪みから破損してしまう。これに対し、本発明の発光性ガラスセラミックスは、いずれも1.1W/(m・K)以上であるため、従来品よりも熱拡散しやすく局部的な歪みが抑制されやすい。
【0023】
次に、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である本発明の発光性ガラスセラミックスについてであるが、この結晶相は低膨張率を実現するために不可欠な結晶相であり、これによって高強度の励起光照射による局部的な熱膨張歪みを低減でき、破損防止を図ることができる。また低膨張であるため、耐熱衝撃値も非常に高くなり、破損しにくく、更に繰り返し照射による熱疲労にも良好な結果を示す。
粉末X線回折法によるピーク面積から算出した、β−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)結晶相の含有量は、好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上である。
【0024】
次にガラスセラミックス析出結晶の結晶粒径についてであるが、透明性を維持するために重要な因子である結晶粒径については、ガラス相の屈折率と、析出結晶のそれとの差が重要な因子となる。すなわち、双方の屈折率の差が大きい場合は結晶粒径を小さくしなければ透明性を得ることはできず、逆に双方の屈折率の差が小さい場合には、析出結晶が大きくなっても透明性を維持することができる。
【0025】
主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である本発明によるガラスセラミックス場合、ガラス相の屈折率(nd)は1.52〜1.55、またβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)の屈折率(nd)は1.53〜1.54であり、双方の屈折率の差(Δnd)は0.01〜0.02と非常に小さい。したがって、透明性を維持するための析出結晶粒径は900オングストローム(Å)以下と比較的大きい粒径となる。
Δndが小さくても、析出結晶粒径が900オングストローム(Å)を超えると、ガラスセラミックスの透明性が著しく低下する。特にレーザー発振用媒体として、厚板状やブロック状で使用する場合には透明性という要素が重要となる。好ましくは850オングストローム(Å)以下、更に好ましくは800オングストローム(Å)以下である。
【0026】
次に、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である本発明によるガラスセラミックスの熱膨張係数および相対長さの最大変化率についてであるが、このガラスセラミックスにおいては、熱膨張による歪みに起因するガラスの破損を防止する方法として、熱膨張係数を低減すること、そして相対長さの最大変化率を小さくするという方法を採っている。その好ましい値は、−60℃〜+160℃の温度範囲で、熱膨張係数α=−10×10-7〜+20×10-7/℃、△L/L(相対長さの最大変化率)≦2×10-5としている。このような範囲であれば、高強度の光照射を受けての熱膨張による破壊を防止することができる。好ましくは、熱膨張係数α=−7×10-7〜+18×10-7/℃、△L/L(相対長さの最大変化率)≦1.8×10-5、より好ましくは、熱膨張係数α=−5×10-7〜+15×10-7/℃、△L/L(相対長さの最大変化率)≦1.5×10-5である。
【0027】
次に、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である本発明によるガラスセラミックスの組成について述べる。まず、PbOについては環境上好ましくない成分であり、Na2O、K2Oについては、熱が加えられた場合や時間の経過とともにアルカリ成分が溶出するので、実質上含んではならない。
【0028】
SiO2成分は主結晶相を構成する重要な成分であるが、その量が50%未満では、得られるガラスセラミックスの結晶粒径が粗大化し、透明性が悪化する。また65%を越えるとガラスの溶融清澄が困難となり、製品の化学的均質性が悪化する。好ましくは52〜62%、更に好ましくは55〜61%の範囲である。
【0029】
P2O5成分は、SiO2成分と共存させることによりガラスセラミックスの△L/L曲線を平坦安定化させ、さらにガラスの溶融清澄を向上させる効果を有するが、その量が10%を超えるとガラスセラミックスの結晶粒子が粗大化し、著しく透明性が悪化する。好ましくは0〜8%、更に好ましくは3〜7%の範囲である。
【0030】
また上記△L/L曲線の平坦化および溶融清澄性の改善効果を著しく向上させるには、SiO2+P2O5の量を50〜70%とするのがよい。好ましくは56〜70%、更に好ましくは61〜66%の範囲である。
【0031】
さらに前記目的のためには、SiO2成分に対するP2O5成分の重量比は0〜0.18の範囲にするのがよい。好ましくは0〜0.15、更に好ましくは0.06〜0.12の範囲である。
【0032】
Al2O3成分は耐失透性を改善する成分であるが、その量が18%未満ではガラスの溶融が困難となり、ガラスの耐失透性が悪化する。また30%を超えても、やはりガラスの溶融が困難となり、耐失透性が悪化する。好ましくは20〜27%、更に好ましくは22.5〜25%の範囲である。
【0033】
さらに前記目的のためには、SiO2成分に対するAl2O3成分の重量比は0.30〜0.55の範囲にするのがよい。好ましくは0.34〜0.49、更に好ましくは0.36〜0.42の範囲である。
【0034】
Li2O、MgO、ZnOの3成分は、β−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)結晶の生成において重要な成分であるが、これらの3成分は上記に述べた、SiO2成分に対するP2O5成分の限定された重量比と相まって、ガラスセラミックスの△L/L曲線を平坦安定化させ、更にガラス溶融時の清澄を向上させる効果を有する。
【0035】
Li2O成分は、その量が2%未満の場合にはガラスの溶融性悪化によって製品の均質性が劣化し、加えて所望の微細な結晶を析出し難くなる。逆に6%を超えると上記効果が得られず、析出結晶の粒径が粗大化し、ガラスセラミックスの透明性が著しく悪化する。好ましくは2.5〜5.5%、更に好ましくは3〜5%の範囲である。
【0036】
MgO成分は、その量が0.2%未満の場合には前記の効果が得られず、加えてガラスの溶融性が悪化し製品の均質性が劣化する。逆に6%を超えても前記効果は得られず、所望の結晶相が析出し難くなる。好ましくは0.3〜5%、更に好ましくは0.5〜4%の範囲である。
【0037】
ZnO成分は、その量が2%を超えると前記効果が得られず、ガラスの耐失透性が悪化し、所望の結晶相が析出し難くなる。好ましくは0.1〜1.7%、更に好ましくは0.2〜1.5%の範囲である。
【0038】
なお、Li2O+MgO+ZnOの3成分の合計量は4〜6.5%の範囲とすると更に好ましい。
【0039】
CaO、BaOの2成分は、基本的にβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)結晶成分以外のガラスマトリックスとして残存する成分であり、△L/L曲線の平坦安定化、ガラス溶融時の清澄向上に対して、ガラスマトリックス相の微調整成分として重要である。
【0040】
CaO成分は、その量が4%を超えると、前記効果は得られず、しかもガラスの耐失透性も悪化する。好ましくは0〜3%、更に好ましくは0〜2%の範囲である。
【0041】
BaO成分は、その量が0.5%未満では前記効果が得られず、逆に6%を超えても、ガラスの耐失透性および溶融性が悪化する。好ましくは0.5〜5%、更に好ましくは0.5〜4%の範囲である。
【0042】
TiO2およびZrO2成分は、いずれも析出結晶の核形成剤として不可欠であるが、これらの量がそれぞれ1%未満では所望の結晶を析出させることができず、逆にそれぞれ4%を超えると耐失透性が低下し、ガラスセラミックスの透明性が著しく低下する。好ましくはTiO2、ZrO2共に、それぞれ1.5〜4%、更に好ましくはTiO2、ZrO2共に、それぞれ1.5〜3%の範囲である。
【0043】
As2O3およびSb2O3成分は、ガラス溶融の際の清澄剤として添加し得るが、その量は2%までである。好ましくは0.3〜2%、更に好ましくは0.3〜1.5%の範囲である
【0044】
希土類成分は、光学活性成分となる重要な成分であり、1種または2種以上の酸化物換算での添加量は、前記ガラスセラミックス成分の合計量の外割で0.1〜30%としなければならない。好ましくは、0.1〜25%、更に好ましくは0.1〜20%の範囲である。
【0045】
前記希土類元素成分の中でも特に発光特性の好ましい元素は、Nd、Eu、Dy、Er、Tb、Ce、Yb、Smの中から選ばれる1種または2種以上である。なお、レーザー発振用媒体、レーザー励起光用波長変換フィルター、放射線用シンチレーター、太陽電池のカバーガラス、照明用・ディスプレイ用蛍光体、エレクトロルミネッセンス材料、紫外線センサー材料等の用途に用いるための希土類元素成分は、光学活性成分の高濃度化による、あるいは活性成分同士による、発光効率の低下に注意して、その種類および量について選択しなければならない。
【0046】
なお、前記各成分の他に、溶融性や透過率の改善等を目的として、本発明によるガラスセラミックスの所望の特性を損なわない範囲で、SrO、B2O3、F2、La2O3、Bi2O3、WO3、Y2O3、SnO2成分を1種または2種以上の合計で2%まで、CoO、NiO、MnO2、Fe2O3、Cr2O3等の着色成分を1種または2種以上の合計で2%まで、それぞれ添加させることができる。
【0047】
次に、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である本発明によるガラスセラミックスの核形成温度については、650℃を下回ると所望の結晶相が析出せず、820℃を超えると、逆に析出結晶相の異常成長を引き起こし、均一な結晶粒度分布を有する結晶相が得られない。好ましくは、650〜820℃であり、更に好ましくは680〜800℃である。
【0048】
また、結晶化温度については、750℃を下回ると所望の粒径まで成長できず、920℃を超えると、結晶粒が成長しすぎて透明性が失われれてしまい、また機械的強度(曲げ強度)の低下を招いたり、所望の熱膨張率が得られなくなる。好ましくは、750〜920℃、更に好ましくは770〜900℃である。
【0049】
次いで、主結晶相がスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体である本発明によるガラスセラミックスについてであるが、この結晶相は前述のβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)を主結晶相とするガラスセラミックスに比べて低膨張ではないが、曲げ強度を向上させるために不可欠な結晶相である。スピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体は、歪みに強く、更に耐熱衝撃性を向上させることができるので、高強度なレーザー励起光を照射しても、不均一な熱膨張による破損、熱衝撃、断続的に入射する励起光、経時的な熱疲労にも耐え得るものである。粉末X線回折法によるピーク面積から算出したスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体結晶相の含有量は、好ましくは、15%以上、更に好ましくは20%以上である。
【0050】
次いで、主結晶相がスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体である発光性ガラスセラミックスの析出結晶の結晶粒径について述べる。
このガラスセラミックスのガラス相の屈折率(nd)は1.59前後であるのに対し、析出結晶の屈折率(nd)は1.75前後とその差(Δnd)は0.16と前記ガラスセラミックスよりも大きいものとなっており、前述の理由により、透明性を維持するためにはその析出結晶の粒径を小さいものとしなければならない。
したがって、透明性を維持するためには析出結晶粒径は300オングストローム(Å)以下でなければならない。300オングストローム(Å)を超えると、ガラスセラミックスの透明性が著しく低下するため、特にレーザー発振用媒体として厚板状やブロック状で使用する場合に、問題となる。好ましくは280オングストローム(Å)以下、更に好ましくは250オングストローム(Å)である。
【0051】
次に、主結晶相がスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体である発光性ガラスセラミックスの熱膨張係数についてであるが、このガラスセラミックスにおいては、熱膨張による歪みに起因するガラスの破損を防止する方法として、熱膨張係数はある程度の値の範囲としながら曲げ強度を向上させるという方法を採っている。
よって、−60℃〜+160℃の温度範囲における熱膨張係数αを、α=+25×10-7〜+85×10-7/℃としている。これは曲げ強度を向上させてもこの範囲以上の値では熱膨張による破壊が生じやすくなるためである。またこの系のガラスセラミックスにおいては、析出結晶に起因する特性により、これ以下の熱膨張係数とすることは困難である。好ましくは、熱膨張係数α=+30×10-7〜+80×10-7/℃、より好ましくは、熱膨張係数α=+35×10-7〜+75×10-7/℃である。
【0052】
次いで、主結晶相がスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体である発光性ガラスセラミックスの組成についてである。
【0053】
また、PbOについては環境上好ましくない成分であり、Li2O、Na2O、K2O等のアルカリ成分については、熱が加えられた場合や時間の経過とともにアルカリ成分が溶出するので、実質上含んではならない。
【0054】
SiO2成分はその量が30%未満の場合には、得られるガラスセラミックスの結晶相の粒径が粗大化しやすいうえ、化学的耐久性および硬度が低下し、逆に65%を超えると原ガラスの溶融が困難になる。好ましくは35〜65%、更に好ましくは40〜62%の範囲である。
【0055】
Al2O3成分は、主結晶相であるスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体を形成する重要な成分であるが、その量が5%未満では製品の化学的耐久性および硬度が低下し、逆に35%を超えると原ガラスの失透傾向が増大すると同時に溶融性が悪化し、均質なガラスを得難くなる。好ましくは10〜30%、更に好ましくは15〜25%の範囲である。
【0056】
ZnO成分は、上記Al2O3成分と共に原ガラスの熱処理により、主結晶であるスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体を生成し、製品の強度、硬度および耐火・耐熱性を向上させ、更に透明性を維持させる効果を有する極めて重要な成分である。しかし、その量が5%未満では上記効果が得られず、また35%を超えると原ガラスが不安定になる。好ましくは8〜30%、更に好ましくは10〜25%の範囲である。
【0057】
MgO成分は、スピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体を生成する重要な成分であるが、その量が1%未満では原ガラスが不安定になるとともに溶融性が悪化し、さらに製品の硬度が低下する。逆に20%を超えると製品中の結晶粒が粗大化して透明性を失い、原ガラスの失透傾向が増大する。好ましくは3〜18%、更に好ましくは5〜18%の範囲である。
【0058】
BaO成分は溶融性を改善する効果があるが、熱処理による結晶粒径の粗大化を防ぎつつ、その効果を得るには、0.3〜4%とするべきである。好ましくは0.3〜3.5%、更に好ましくは0.5〜3%の範囲である。
【0059】
TiO2成分は、スピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体を生成する重要な成分であり、更に、核形成剤として不可欠であるが、その量が1%未満では所望の結晶相を生成させることができず、15%を越えると原ガラスが不安定になり、耐失透性が著しく低下する。好ましくは2〜11%、更に好ましくは3〜9%の範囲である。
【0060】
As2O3および/またはSb2O3成分は、原ガラスの溶融の際の清澄剤として添加し得るが、これらの1種または2種の合計量は3%までである。好ましくは0.1〜2%、更に好ましくは0.3〜1.5%の範囲である
【0061】
希土類成分は、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である前記ガラスセラミックスの場合と同様に、光学活性成分となる重要な成分であり、1種または2種以上の酸化物換算での添加量は、前記ガラスセラミックス成分の合計量の外割で0.1〜30%としなければならない。好ましくは、0.1〜25%、更に好ましくは0.1〜20%の範囲である。
【0062】
前記希土類元素成分の中で特に発光特性に好ましい元素についても、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である前記ガラスセラミックスの場合と同様である。
【0063】
さらに、主結晶相がβ−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)である前記ガラスセラミックスの場合と同様に、前記各成分の他に、溶融性や透過率の改善等を目的として、本発明によるガラスセラミックスの所望の特性を損なわない範囲で、SrO、B2O3、F2、La2O3、Bi2O3、WO3、Y2O3、SnO2成分を1種または2種以上の合計で2%まで、CoO、NiO、MnO2、Fe2O3、Cr2O3等の着色成分を1種または2種以上の合計で2%までそれぞれ添加させることができる。
【0064】
次いで、主結晶相がスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体である本発明によるガラスセラミックスの核形成温度については、650℃を下回ると所望の結晶相が析出せず、720℃を超えると、逆に析出結晶相の異常成長を引き起こし、均一な結晶粒度分布を有する結晶相が得られない。好ましくは、650〜720℃であり、更に好ましくは680〜700℃である。
【0065】
また結晶化温度については、750℃を下回ると所望の粒径まで成長できず、880℃を超えると、結晶粒が成長しすぎて透明性が失われれてしまい、また機械的強度(曲げ強度)の低下を招いたり、所望の熱膨張率が得られなくなる。好ましくは、750〜880℃、更に好ましくは770〜860℃である。
【0066】
本発明の発光性ガラスセラミックスの製造方法は、上述のような組成となるように原材料を混合して溶解した後に、成形して徐冷することにより原ガラスを得る。次いで、徐冷されたガラスに、二段階熱処理を行う。
すなわち、前記原ガラスに対して、前記結晶核形成温度における結晶核形成のための一次熱処理と、前記結晶化温度における結晶成長のための二次熱処理とを行うことにより、光学活性成分としての希土類元素を含むガラスセラミックス(結晶化ガラス)を得ることができる。
【0067】
また、前記熱処理においては、前記ガラス全体を前記核形成温度および結晶化温度まであげる必要はなく、たとえば、レーザ光照射や、ガラスの一部だけを加熱可能なヒータを用いて、ガラスの任意の部分、すなわち、所望する部分を前記核形成温度および結晶化温度まで上昇させ、ガラスの任意の部分だけを結晶化させるものとしてもよい。
【0068】
【実施例】
次に本発明の好適な実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0069】
表1は本発明による発光性ガラスセラミックスの各実施例1−1〜1−5におけるガラス組成(重量%)と、これらガラスセラミックスの核形成温度、結晶化温度、熱伝導率、熱膨張係数、相対長さの最大変化率△L/L、主結晶相、10mm厚のガラスセラミックスでの波長587.56nmにおける光線透過率、励起光波長、この励起光波長を照射したときの主発光波長および発光色、製造時のガラスの溶融温度および溶融時間を示すものである。
【0070】
表1中の実施例1−1〜1−5のガラスは次のようにして製造した。
まず、いずれも、表中の組成比になるように、酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の原料を混合し、これを通常の溶解装置を用いて約1450℃〜1530℃の温度で溶解し撹拌均質化した後、鉄板上にキャストし冷却して、原ガラスの成形体を得た。その後、β−石英(β−SiO2)もしくはβ−石英固溶体(β−SiO2固溶体)を主結晶相とするガラスセラミックスについては、650〜820℃で熱処理して結晶核形成後、750〜920℃で熱処理して結晶化を行い、スピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体を主結晶相とするガラスセラミックスについては、650〜720℃で熱処理して結晶核形成後、750〜880℃で熱処理することにより、所望の発光性ガラスセラミックスを得た。
上記実施例の発光性ガラスセラミックスの組成成分において、SiO2+P2O5、P2O5/SiO2、Al2O3/SiO2の値は、たとえば、実施例1−1および2−3のデータを挙げれば、いずれも、SiO2+P2O5=66.0、P2O5/SiO2=0.1、Al2O3/SiO2=0.375である。
【0071】
得られたガラスセラミックスはいずれも透明性を有し、実施例1−1〜1−3のガラスセラミックスの析出結晶粒径は約800オングストローム(Å)であり、実施例1−4および1−5のガラスセラミックスのそれは、250オングストローム(Å)以下であった。
また、実施例1−1〜1−5のガラスセラミックスは、587.56nmの光に対して、少なくとも60%以上、高いものでは80%以上の光線透過率が得られ、十分な透明性を有するものであるとともに、励起光(365nm)を照射することにより発光し、光学活性を有することが示された。
【0072】
加えて、実施例1−1〜1−5の発光性ガラスセラミックスは、熱伝導率が1.1W/(m・K)以上であった。
また、実施例1−1〜1−3の発光性ガラスセラミックスは、−60℃〜+160℃において、熱膨張係数が、−10×10-7〜+20×10-7/℃の範囲内にあり、かつ、△L/L曲線(相対長さの変化)の最大変化率が2×10-5以下であった。
さらに、実施例1−4および1−5の発光性ガラスセラミックスは、−60℃〜+160℃において、熱膨張係数が、25×10-7〜85×10-7/℃の範囲内であった。
【0073】
【表1】
【0074】
表2および表3は本発明の発光性ガラスセラミックスの中でも、特にレーザー発振した実施例2−1〜2−4におけるガラス組成(重量%)と、これらのガラスセラミックスの核形成温度、結晶化温度、熱伝導率、熱膨張係数、相対長さの最大変化率△L/L、主結晶相、励起光源、この励起光源によってレーザ発振した際の主発光波長、10mm厚のガラスセラミックスでの前記発光波長と同じ波長の光に対する光線透過率、製造時のガラスの溶融温度および溶融時間を示すものである。
これら実施例のガラスセラミックスは、実施例1−1〜1−3のガラスセラミックスと同様の製造方法で製造した。
実施例2−1〜2−4の発光性ガラスセラミックスの析出結晶粒径はいずれも800オングストローム(Å)以下であり、透明性を有していた。
【0075】
さらに、表2および表3の発光性ガラスセラミックスは、熱伝導率が1.1W/(m・K)以上であるとともに、−60℃〜+160℃において、熱膨張係数が、−10×10-7〜+20×10-7/℃の範囲内にあり、かつ、△L/L曲線(相対長さの変化)の最大変化率が2×10-5以下であった。
【0076】
また、以下のようにして、これらの発光性ガラスセラミックスについて、レーザ発振媒体としてレーザ発振が行えるか否か確認した。
実施例2−1〜2−4の発光性ガラスセラミックスを直径6mm、長さ50mmのロッド状に加工後、高精度に研磨し、レーザー発振用ガラスセラミックスロッドとした。励起光源はキセノンフラッシュランプを用いた。出力側に反射率60%、反射側に反射率100%のミラーを用い、共振器とした。検出器はGeフォトダイオードを用いた。いずれの実施例のガラスセラミックスにおいても、表2、3に示すレーザ発振波長で、パルス発振によるレーザー発振が確認された。パルスくり返し数は2.5pulse/sであった。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
表4は、実施例2−1、1−4の発光性ガラスセラミックス、およびオハラ製光学ガラスの機械的特性を測定した結果の一覧である。
表4に示すように、β−石英固溶体を主結晶相とする実施例2−1の発光性ガラスセラミックスは、比較例のガラス製品に比べて熱膨張係数がきわめて低いとともに曲げ強度が大きく、耐熱衝撃値|Δt|が極めて高い。
また、スピネル系結晶を主結晶相とする実施例1−4の発光性ガラスセラミックスは、比較例のガラス製品に比べれば熱膨張係数が低く、また、曲げ強度も大きく、耐熱衝撃値|Δt|が高い。
すなわち、比較例においては、耐熱衝撃値|Δt|が高くとも100程度であるのに対して、これら実施例においては、前記|Δt|が150以上となっており、これら実施例による発光性ガラスセラミックスが優れた熱的性質を有することが示された。
【0080】
【表4】
【0081】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明の発光性ガラスセラミックスは、環境上好ましくないPbO成分を含まない特定組成のSiO2−Al2O3−TiO2−RemOn系ガラス(Reは希土類元素の中から選ばれる1種または2種以上)を溶融成形加工後、熱処理して得られるものであり、緻密であることから、均質性に優れ、また低熱膨張性、耐熱性、熱伝導率等の熱的性質、および機械的強度、化学的耐久性に優れており、さらにこれらの特性を高次元でバランス良く維持しつつ、原ガラスの溶融性を大幅に改善することができ、成形性および量産性に優れている。
【0082】
さらに、本発明の発光性ガラスセラミックスの中でも特にスピネル系結晶もしくはスピネル系結晶の固溶体を主結晶相とするものは、実質的にアルカリ成分を含有していないため、アルカリ成分の経時的溶出がなく、装置に組み込んだ際に、ガラスセラミックスを原因とする腐食の心配がない。
また本発明の発光性ガラスセラミックスについては、光散乱が小さいため透明性に優れ、光学的均質性にも優れている。
【0083】
このことから、本発明の発光性ガラスセラミックスは、高エネルギー光の照射が必要な場合や、使用する環境における温度変化が激しい場合や、化学的耐久性が必要とされる場合等に、有効な発光性材料であり、特に透明性が要求されるものについては好適である。
例えば、透明性、低熱膨張性、耐熱性、熱伝導率性、化学的耐久性に優れていることから、レーザー発振媒体、励起光用フィルター、波長変換材料、放射線用シンチレーター、蛍光物質に対する標準試料、蛍光表示板、装飾照明、太陽電池のカバーガラス、超高圧水銀灯やエキシマレーザー等の光軸調整用、蛍光オプティカルファイバー、紫外線−可視光変換イメージセンサーに応用できる。
【0084】
また、結晶化をレーザー光照射で行うことにより原ガラスの任意の位置に微細な形状で部分的に結晶化を行う場合には、レーザー光を原ガラスに対して任意の形状で発することによって、発光性ガラスセラミックスの装飾性を一段と向上させることができる。
【0085】
他にも、希土類元素の種類とその量および種類の組み合わせを選択することによって、発光波長の制御が可能なので、照明用・ディスプレイ用蛍光体、エレクトロルミネッセンス材料に応用できる。例えば、添加する希土類元素と析出結晶の結晶化度によって発光色が異なることを利用して、赤、緑、青を発光する3種以上の希土類を含有した原ガラスを板状に成形し、次いで、照射するレーザー光の強度を変えることによって結晶化度を制御して結晶化させ、各発光色のマトリックスを形成した本発明のガラスセラミックス基板を得る。これに、画像形成用に制御された電子線、あるいは紫外線を照射することにより、カラー画像表示することも可能である。
【0086】
本発明の発光性ガラスセラミックスは、この様な優れた特性を有することから、各種用途への応用が可能であり、特に透明なものについては、レーザー媒体、励起光用波長変換フィルター、放射線用シンチレーター、太陽電池のカバーガラス、照明用・ディスプレイ用蛍光体、エレクトロルミネッセンス材料等に好適である。
【0087】
さらに本発明の発光性ガラスセラミックスは、ガラス製造の工程を経るため、板状、薄板状、ファイバー状、薄層チューブ等、各種形状に原ガラスを成形した後、熱処理を経てガラスセラミックスとすることが可能であるため、成形の自由度が非常に高い。なお、成形した原ガラス自体を発光性透明ガラスとして用いることも可能である。
【0088】
他にも、製造したガラスセラミックスを粉砕して、粉体として用いるという方法がある。
さらに、原ガラスを粉体とした後、結晶化の熱処理を行う方法も可能であるため、粉砕した原ガラスを適当なバインダーと共に、目的の基板等に塗布後、熱処理を経ることにより、焼成と結晶化を同時に行うことも可能である。
【0089】
以上のように、本発明の発光性ガラスセラミックスは、その熱に対する物理特性、製造の容易性、結晶化範囲が任意選択可能である点、透明性など、従来の発光性ガラスセラミックスにはない、優位性を持っている。
Claims (7)
- 重量百分率で、
SiO 2 50〜65%
Al 2 O 3 18〜30%
ただし、Al 2 O 3 /SiO 2 0.30〜0.55
の割合でこれら各組成成分が含まれるとともに、
Na 2 O成分、K 2 O成分およびPbO成分を実質的に含まない発光性ガラスセラミックスであって、
主結晶相がβ−石英(β−SiO 2 )もしくはβ−石英固溶体(β−SiO 2 固溶体)であり、
ガラス相および/または結晶相に希土類元素を含み、
|△t|=[曲げ強度]×(1−[ポアソン比])/([熱膨張係数]×[ヤング率])により与えられる耐熱衝撃値|△t|(℃)において、|△t|≧150であることを特徴とする発光性ガラスセラミックス。 - 熱伝導率が1.1W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1に記載の発光性ガラスセラミックス。
- 析出結晶の粒径が900オングストローム(Å)以下で、−60℃〜+160℃の温度範囲において、熱膨張係数が−10×10-7〜+20×10-7/℃であり、かつ、△L/L曲線(相対長さの変化)の最大変化率が2×10-5以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックス。
- 重量百分率で、
P 2O5 0〜10%
ただし、SiO2+P2O550〜70%
P2O5/SiO2 0〜0.18
Li2O 2〜6%
MgO 0.2〜6%
ZnO 0〜2%
CaO 0〜4%
BaO 0.5〜6%
TiO2 1〜4%
ZrO2 1〜4%
As2O3+Sb2O3 0〜2%
の割合でこれら各組成成分が含まれるとともに、
前記各組成成分の合計量に対する外割で、1種または2種以上の希土類成分がその酸化物換算で0.1〜30%添加されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックス。 - ガラス原料を溶融、成形および徐冷後、核形成温度=650〜820℃、結晶化温度=750〜920℃にて熱処理して得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックス。
- 粉末X線回折法によるピーク面積から算出したβ−石英(β−SiO 2 )もしくはβ−石英固溶体(β−SiO 2 固溶体)結晶相の含有量が15%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックス。
- ガラス原料を溶融、成形および徐冷後、所望の部分に対して、レーザー光を照射するか、あるいはヒータ−等で加熱することによって、局部的な熱処理を行って、前記所望の部分だけを結晶化させたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光性ガラスセラミックス。
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