JP4295165B2 - ゴボウを原料とする飲食物原料 - Google Patents

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本発明は、ゴボウ等のキク科根菜類を原料とする飲食物原料であって、飲料や食品(本発明では「飲食物」という)の材料、或いは飲食物への添加物などとして用いる飲食物原料及びその製造方法に関する。
ゴボウ等のキク科の根菜類には、メトキシピラジン類に代表される土臭さや、重くてこもったような香気があるため、従来、飲食物原料、特に飲料の原料として利用されることはほとんどなかった。
ゴボウ等のキク科根菜類を飲食物原料として用いた従来例について探索すると、次のようなものがある。
例えば特許文献1には、ゴボウの乾燥粉砕物に、少なくとも1種類の果汁を含浸、吸着及び付着させて得られる果実−ゴボウ組成物をお茶として飲用する旨が開示されている。
特許文献2には、保存性が良好で且つ何処でも直ぐに飲用できる野菜抽出液の原料として、ゴボウなどの野菜を焙煎し、この焙煎した野菜類と焙煎したきのこ類とからなる焙煎野菜が開示されている。
特許文献3には、様々な薬理効果のある野菜水として、大根・人参・ごぼう ・干ししいたけ・大根の葉を適量に切断し、これらの野菜を鍋に投入し、野菜の量の数倍の水を投入し、水を投入した鍋を加熱させて煮込み、煮込んだ後に野菜を除去し野菜の煮汁のみを濾過して取り出し、ろ過された野菜の煮汁とトマトジュースとを容器内に充填し、加熱殺菌してなる野菜水が開示されている。
特許文献4には、ごぼうなどの香りが強くて不快な気持になる植物の匂いを少なくするために、野菜、果物、茶の葉などの食物となり得る植物の細胞に細胞分離酵素の働きで植物の細胞間物質の中に含まれる水に、前記細胞分離酵素を溶解させて、外部から水を加えることなくプロトペクチンを分解し、隣接する植物の細胞同士の接着状態を解離状態にし、当該植物の単細胞の分離組織にし、それらの植物の単細胞の分離組織により、その単細胞の組織内の内容物が、その単細胞の組織外に内部の栄養分が離散しないようにしてなる食用植物飲料が開示されている。
特許文献5には、植物汁を、特殊な陰イオン交換樹脂に接触処理させることにより、植物汁の嗜好性及びミネラル等の有益成分の濃度を維持しつつ硝酸濃度を低減する方法が開示されている。
特開平5−219888号公報 特開平7−255411号公報 特開平8−228736号公報 特開平9−220079号公報 特開2000−354475号公報
メトキシピラジン類に代表される土臭さの原因となる香気成分や、重くてこもったような香気成分は、不快感を引き起こす原因となることもあるが、このキク科根菜類特有の香気成分は風味上たいへん重要な要素ともなり得る成分であり、ゴボウ等の原料素材の特徴を活かす上でも有効利用が望まれる。
そこで本発明は、土臭さや重くてこもったような香気成分の印象を軽減し、かつそれでいてゴボウ等の原料素材の特徴的風味を活かした飲食物原料を提供せんとするものである。
本発明は、ゴボウの搾汁液を処理して得られた「調整ゴボウ搾汁液」を原料とする飲食物原料であって、
当該調整ゴボウ搾汁液が、下記試験Aで検出される成分(A),(B),(C)及び(D)を含有し、かつ各成分の濃度に関し、下記試験Bで測定される各成分のFDファクターが下記関係式1〜4の全てを満足することを特徴とする飲食物原料を提案する。
試験Aで検出される成分(A),(B),(C)及び(D)とは、「調整ゴボウ搾汁液」を減圧蒸留後、ポラパックQ充填剤(50〜80mesh)を用いたカラム濃縮法によって得られる香気成分濃縮物を、DB-WAX(30m×内径0.53mm、フィルム厚1μm)を装着した「においかぎガスクロマトグラフ」(ヒューレッドパッカード社製HP6890型)で、ヘリウムガスをキャリアガスとして試料をインジェクション後、40℃〜210℃まで5℃/分の割合で昇温させた時に検出される下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)である。
成分(A):試料注入時点を起点とするリテンションタイム14.8分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1357付近)に生じる香気成分
成分(B):試料注入時点を起点とするリテンションタイム17.1分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1450付近)に生じる香気成分
成分(C):試料注入時点を起点とするリテンションタイム19.0分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1528付近)に生じる香気成分
成分(D):試料注入時点を起点とするリテンションタイム19.6分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1553付近)に生じる香気成分
試験Bは、AEDA法によるガスクロマトグラフィ分析により、調整ゴボウ搾汁液中の各成分のFDファクターを測定する試験であり、関係式(1)〜(4)は次の通りである。
(式1):成分(D)のFDファクター/成分(C)のFDファクター≦75
(式2):成分(D)のFDファクター/成分(B)のFDファクター≦75
(式3):成分(B)のFDファクター/成分(A)のFDファクター≦15
(式4):成分(C)のFDファクター/成分(A)のFDファクター≦15
本発明は、ゴボウ搾汁液に含まれる不快感に関与する要素として、土臭さ(弱い/強い)と香気の印象(軽い/重い)に注目し、土臭さを低減し、香気の印象を軽くすることにより不快感の改善を図りつつ、素材の好的な風味を適度に残した嗜好性のある飲食物原料を得ることに成功した。本発明の飲食物原料は、ゴボウの栄養素や食物繊維などの薬理効果のある成分を多く含み、ゴボウの風味を残しつつ、それでいて不快感のない飲料或いは食品を提供することができる。
なお、本発明の飲食物原料を製造する手段は特に限定するものではない。例えば、ゴボウの搾汁液を珪藻土処理したり、その珪藻土処理の前もしくは後にイオン交換樹脂と接触処理したりすることにより、土臭さを低減し香気間のバランスの改変を図り、かつ香気の印象を軽くするように調整して本発明の飲食物原料を得ることができる。
本発明の飲食物原料は、各種飲食物の原料或いは素材として広く利用することができるばかりか、添加剤としても利用できる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について説明するが、本発明の実施形態が以下の例に限定されるものではない。
本発明の飲食物原料は、ゴボウの搾汁液を処理して得られた「調整ゴボウ搾汁液」を原料とする飲食物原料であり、その調整ゴボウ搾汁液が所定の香気成分を所定の濃度で含有することを特徴とする飲食物原料である。
本発明の原材料は、主にゴボウ(学名:Arctium lappa L.)の主根である。葉柄や若芽などには、メトキシピラジン類に代表されるゴボウ特有の香気成分が含まれないため、葉柄や若芽などは含有させることは任意である。
ちなみに、ゴボウの主根には、炭水化物17.6%(糖質として16.2%、粗繊維として1.4%)が含まれ、その糖質の45%程度がイヌリン(水溶性食物繊維:分子量1800程度:多糖類の一種であり、グルコースにフラクトースが複数結合したもの)からなり、その他少量のパルミチン酸などが含まれる(食品成分表参照)。そのため、本発明の飲食物原料にもこれらの成分が含まれることになる。
特に、ゴボウに含まれるイヌリンや粗繊維は、腸内で乳酸菌の繁殖を促し整腸作用を示すことが知られている、また、排便を促し、便秘に効果があるばかりか、余分な脂肪の吸収を妨げ、動脈硬化の予防、肥満防止、糖尿病予防、血中コレステロールの低下にも効果があると言われている。また、古くから、麻疹や利尿剤としても利用されている。
本発明の飲食物原料においては、上記「調整ゴボウ搾汁液」が、下記試験Aで検出される成分(A),(B),(C)及び(D)を含有し、かつ各成分の濃度に関し、下記試験Bで測定される各成分のFDファクターが下記関係式(1)〜(4)の全てを満足することを特徴とするものである。
試験Aで検出される成分(A),(B),(C)及び(D)とは、試験A、すなわち「調整ゴボウ搾汁液」を減圧蒸留後、ポラパックQ充填剤(50〜80mesh)を用いたカラム濃縮法によって得られる香気成分濃縮物を、DB-WAX(30m×内径0.53mm、フィルム厚1μm)を装着した「においかぎガスクロマトグラフ」(ヒューレッドパッカード社製HP6890型)でヘリウムガスをキャリアガスとして試料をインジェクション後、40℃〜210℃まで5℃/分の割合で昇温させる試験において、検出される下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)である。
ここで、成分(A)は、試料注入時点を起点とするリテンションタイム14.8分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1357付近)に生じる香気成分であり、甘いアーモンド臭を有する香気成分である。
成分(B)は、前記リテンションタイム17.1分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1450付近)に生じる香気成分であり、ナッツ臭を有する香気成分である。
成分(C)は、前記リテンションタイム19.0分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1528付近)に生じる香気成分であり、こもったような土臭さを有する香気成分であり、2-sec-Butyl-3-methoxypyrazineを含む香気成分である。
成分(D)は、前記リテンションタイム19.6分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1553付近)に生じる香気成分であり、ツンとした青臭い土臭さを有する香気成分であり、2-Isobutyl-3-methoxypyrazineを含む香気成分である。
試験Bは、AEDA法によるガスクロマトグラフィ分析により、調整ゴボウ搾汁液中の各成分のFDファクターを測定する試験であり、関係式(1)〜(4)は次の通りである。
関係式(1)は、(成分(D)のFDファクター/成分(C)のFDファクター)≦75であり、好ましくは≦25である。
関係式(2)は、(成分(D)のFDファクター/成分(B)のFDファクター)≦75であり、好ましくは≦25である。
関係式(3)は、(成分(B)のFDファクター/成分(A)のFDファクター)≦15であり、好ましくは1≦(成分(B)のFDファクター/成分(A)のFDファクター)≦5である。
関係式(4)は、(成分(C)のFDファクター/成分(A)のFDファクター)≦15であり、好ましくは1≦(成分(C)のFDファクター/成分(A)のFDファクター)≦5である。
好ましくは、上記「調製ゴボウ搾汁液」は、純水を用いてBrix2に調製した時、1NTU以上250NTU未満、特に1NTU以上100NTU未満の濁度を示すものであるのがよい。
また、上記「調製ゴボウ搾汁液」の固形分の50〜80%をイヌリン(水溶性食物繊維:分子量1800程度)が占めるように調製するのが好ましい。
(製造方法)
次に、本発明の飲食物原料の製造方法について説明する。
但し、本発明が提案する飲食物原料は、上記条件を満足するものであれば製造方法を特に限定するものではない。
本発明の飲食物原料は、例えば、ゴボウを剥皮し、加熱処理し、この加熱処理済み剥皮物を搾汁し、得られた搾汁液に対して、珪藻土接触処理して「調製ゴボウ搾汁液」を得る方法、或いは、前記の搾汁液に対して珪藻土接触処理と共にイオン交換樹脂接触処理を施して「調製ゴボウ搾汁液」を得る方法によって製造することができる。以下、詳述する。
ただし、ここで説明する製造方法はあくまでも一例である。各工程の順序を入れ替えることも可能であるし、また各工程間に別の工程を挿入することも可能である。例えば珪藻土接触処理とイオン交換樹脂接触処理の順番を逆にすることも可能である。
(剥皮)
原料のゴボウは、必要に応じて洗浄し、薄皮を剥皮する。剥皮は、付着している土壌(菌を含む)を除去するのが主な目的であるため、精度の高い洗浄をすることによって剥皮を省くことも可能である。但し、薄皮を剥皮することによって強い香気を軽減することができるため、強い香気をより軽減する必要のある場合には、剥皮するのが好ましい。
(加熱処理)
剥皮した根菜は、必要に応じて適宜切断又は細断し、所定条件の下、加熱処理を施して酵素失活させる。酵素失活させることによって、搾汁液の液色及び性状を調整することができると共に、強い香気を軽減することもできる。
加熱手段としては、空気雰囲気、不活性ガス雰囲気、或いは水蒸気雰囲気などの雰囲気において、ブランチング(ゆで)処理、或いはチューブラー、ニーダー、スチームインジェクション、釜、オートクレーブなどによる加熱手段、その他の加熱手段を採用することができる。
加熱条件は、所望の液色、性状、香気が得られるように酵素失活させることを基準に適宜調整すればよいが、目安としては、品温が約80℃〜100℃の温度範囲を維持するように行うのが好ましく、特に95℃〜100℃の範囲に到達後、約5分〜20分間保持するようにするのがよい。
なお、加熱処理は、搾汁の後に行うことも可能である。
(搾汁処理)
搾汁処理は、ゴボウを破砕して搾汁するか、或いは裏ごしすることによって、液状物(搾汁液)を得るように処理すればよい。例えばデカンター、スクリュープレス、ジューサー等、現在公知の搾汁機を用いて搾汁することができる。また、クラッシャーによる破砕及びデカンターによる搾汁を行って粗搾汁液を得、この粗搾汁液を濾過するようにしてもよい。
搾汁液は、必要に応じて濾過して固形分を除去するようにしてもよい。この際、濾過の手段及びその条件は、固形分をどの程度除去するかによって適宜選択すればよく、篩による濾過、ネル濾過、その他の濾過手段を採用することができる。
また、搾汁液は、必要に応じて減圧濃縮器、攪拌型薄膜式濃縮器、或いはプレート式濃縮器などの公知の濃縮器により常法に従って濃縮するようにしてもよい。
また、搾汁液はいったん冷凍保管するようにしてもよい。但し、解凍後に加熱撹拌するのが好ましい。ゴボウ搾汁液を冷凍すると、有効成分が凍結により析出することがあり、そのまま濾過すると有効成分が飲食物原料から除去されるため、凍結により析出した成分を加熱して再溶解するのが好ましい。例えばゴボウ搾汁液を冷凍すると、イヌリンが凍結によって析出するため、解凍後のゴボウ搾汁液をイヌリンの溶解温度(60〜70℃)よりも高い温度(例えば75℃以上)に加熱攪拌してイヌリンを再溶解させるようにするのが好ましい。
(珪藻土濾過)
珪藻土濾過は、濾過助剤として珪藻土を使用する濾滓濾過である。
用いる珪藻土は、珪藻土の原鉱を粉砕・乾燥処理したもの、粉砕・乾燥処理したものに更に焼成又は融剤焼成処理を施したものなど、濾過助剤として使用される珪藻土であれば用いることが可能であるが、特にDarcy0.05〜0.5の珪藻土濾過助剤を用いるのが好ましい。Darcy0.05〜0.5の珪藻土濾過助剤を用いることにより、より一層清澄な調製ゴボウ搾汁液を製造することができる。なお、「Darcy0.05〜0.5の珪藻土濾過助剤」とは、Darcyの透過率Kが0.05〜0.5の範囲内にある珪藻土濾過助剤の意である。「Darcyの透過率K」は濾過助剤の透過性を示す指標の一つであり、水透過法或いは空気透過法により求めることができる。現在、「Darcy」はこの値を指定して珪藻土濾過助剤を購入できる程一般的に用いられている珪藻土の物性指標となっている。
珪藻土濾過の方法としては、濾過担体表面に珪藻土からなる助剤層(プリコート)を形成し、必要に応じて珪藻土濾過剤を原液に注入(ボディフィード)しながら、原液を前記助剤層に送るようにすればよい。
プリコートは、濾過操作の前に、助剤を清澄な液体に分散させ、これを循環させて、濾過担体の表面に厚さ数mmの助剤の層を形成する処理であり、これによって懸濁固形分が濾材に直接付着して汚染することを防ぐことができる。
プレコートに用いる珪藻土の量は、ろ過器のろ過断面積やろ過器の形状により必要に応じて調節するのが好ましい。他方、ボディーフィードに用いる珪藻土の量は、吸引ろ過の場合処理液体重量の3%以上で、処理速度の観点からは好ましくは5〜7%程度の添加量を目安とするのが好ましい。
また、ボディフィードは、常温程度で行い、珪藻土を処理汁液に添加後3〜5分間撹拌接触させ、迅速に処理を行うようにするのが好ましい。
(イオン交換処理)
必要に応じて、珪藻土濾過の前或いは後に、ゴボウ搾汁液をイオン交換処理するのが好ましい。但し、イオン交換処理を必要としない場合もある。
イオン交換処理の方法としては、ゴボウ搾汁液をイオン交換樹脂と接触させることができれば特に限定するものではなく、例えばイオン交換樹脂を充填した管内を通液させたり、イオン交換樹脂と混合し攪拌したり、イオン交換樹脂からなるイオン交換膜を通過させたり、その他の手段を適宜採用することができる。
イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂のいずれでもよく、本発明の用途においてはいずれも略同等の効果を得ることができる。
陰イオン交換樹脂としては、アンモニウム塩などの陰イオン交換基を有する樹脂を用いることができ、例えば基体がスチレン系樹脂で官能基として4級アンモニウムを有するI
型又はII型の強塩基性アニオン交換樹脂や、基体がアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂で
、官能基として3級アミン又は1,2級ポリアミンを有する弱塩基性アニオン交換樹脂などを用いることができる。具体的には、ダイアイオン・SAシリーズ(SA−10A,−11A,−12A,−20A,−21A等),PAシリーズ(PA−306,−308,−312,−316,−318,−406,−408,−412,−416,−418等),WAシリーズ(WA−10,−11,−20,−21,−30等)、アンバーライト・IRAシリーズ(IRA−400,−410,−900等)を例示することができる。
他方、陽イオン交換樹脂としては、スルホン酸基(−SO3H)、リン酸基(−PO(OH)2)、カルボキシル基(−COOH)などの陽イオン交換基を有する樹脂を用いることができる。例えば基体がスチレン系樹脂で官能基がスルホン酸を有する強酸性カチオン交換樹脂や、基体がアクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂で、官能基としてアクリル酸又はメタクリル酸を有する弱酸性カチオン交換樹脂などを用いることができる。具体的には、ダイヤイオンSK1B等のSKシリーズ、ダイヤイオンPK208等のPKシリーズ(以上、三菱化学社製)、ダウエックス50W・X1等の50Wシリーズ、ダウエックスHCRシリーズ、ダウエックスHGRシリーズ(以上、ダウケミカル社製)、アンバーライトIR−120B等の100番台のシリーズ、アンバーライトIR−200C等の200番台のシリーズ(以上、ローム・アンド・ハース社製)などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
(後処理)
以上のようにして得られた「調整ゴボウ搾汁液」は、殺菌等の一般的な処理を施して飲食物原料とすることができる。また、必要に応じて濃度、糖度、pHなどを調整し、必要に応じて濃縮し、必要に応じて凍結乾燥又は噴霧乾燥し、必要に応じて冷蔵又は冷凍保管して、飲食物原料としてもよい。
(用途)
本発明の飲食物原料は、そのままの形態で飲料、食品、食品添加剤或いは調味料などとして利用することも可能であるし、また、他の飲料素材や食品素材と混合して飲料、食品、食品添加剤或いは調味料などとすることもできる。具体的な例としては、砂糖、塩などの調味料や香料、保存料、その他の野菜汁或いは野菜エキスなどを加えて野菜飲料(ジュース)として提供することができる。また、ゼリーやヨーグルト、ジャム、パンなどに添加することもできる。いずれにしろ、本発明の飲食物原料を含有する飲食物は、ゴボウの薬理作用やゴボウの風味を備えたものとなる。
なお、本発明の飲食物原料及びその製造方法は、ゴボウ以外の根菜類であって、メトキシピラジン類に代表される土臭さのある香気成分(「2-sec-Butyl-3-methoxypyrazine」や「2-Isobutyl-3-methoxypyrazine」など)を含有するその他の天然物、例えばキクイモやヤーコンなどのキク科根菜を原料としする場合にも適用可能であり、同様の組成又は同様の製造方法で飲食物原料を得ることができる。
次に、比較例及び実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明が以下の実施例に限定されるものでない。
(比較例1)
ゴボウ青果(宮崎県産)をたわしで洗って泥を落とし薄皮を除去した後、10〜15cmの長さにカットし、次いでオートクレーブにて98℃15分の加熱処理を実施した。得られた加熱カット物を家庭用ジューサーで搾汁し、ゴボウ粗搾汁液を得た。これを106μmふるい(140メッシュ)を通過ろ過し、Brix10に調製してゴボウジュースを得た。
(比較例2)
比較例1において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、さらに合成吸着剤処理する以外は比較例1と同様にゴボウジュースを調製した。
合成吸着剤には、水に湿潤状態のダイヤイオンHP20(芳香族系合成吸着剤:三菱化学(株)製)を、Brix15のゴボウ搾汁液700mLに対し70mL使用し、バッチ式で30分間接触処理後、ろ過を行って合成吸着剤を除去した。ろ液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
(比較例3)
比較例1において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、活性炭処理及び珪藻土処理を行う以外は比較例1と同様にゴボウジュースを調製した。
活性炭には白鷺ニューゴールド(武田薬品工業(株)製)を使用し、これを、Brix15のゴボウ搾汁液700mLに対して21g(3%)添加後、バッチ式で15分間撹拌後遠心分離を行い、次いで珪藻土処理を行って活性炭を完全に除去した。ろ液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
(実施例1)
比較例1において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、珪藻土処理後、陰イオン交換樹脂処理した以外は、比較例1と同様にしてゴボウジュースを調製した。
珪藻土には珪藻土C(詳しくは試験3参照)を使用し、陶器製のロート(φ150mm)を吸引びん上にセットし、アスピレーターで減圧濾過を行った。具体的には、先ず、ろ過助剤KCフロック(武田薬品工業(株)製)を、ろ過断面積に対して400g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、ろ紙をひいたロートに通過させて層をプレコートし、次いで同様に珪藻土Cを600g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、前述の層へ通過させて珪藻土層をプレコートした。次に、ボディーフィード法に従ってBrix15のゴボウ搾汁液に対してその液重量の6%の珪藻土Cを直接添加し、処理温度15〜30℃程度で3分〜5分間接触撹拌した後、吸引ろ過にて迅速にろ過し、ろ液を得た。次いで水に湿潤状態の陰イオン交換樹脂ダイヤイオンPA316(スチレン系強塩基性陰イオン交換樹脂:三菱化学(株)製)を70mL使用し、ガラスカラム(20mmI.D.×225mm)にイオン交換樹脂を充填後、Brix15のゴボウ搾汁液700mLをSV=5〜7で供給しながらカラム排出液を回収し、回収液をBrix10に調製してゴボウジュースとした。
[試験1]
比較例1、2、3および実施例1で製造した各ゴボウジュースの官能テストを、後述の官能テストの実施方法1に従って行った。各処理の概要を表1に示し、パネラー(研究員10名)の官能評価結果の平均値を表2に示した。
なお、表2では、未処理品(比較例1)と比較して1%の危険率で評価されたことを「**」で示し、5%の危険率で評価されたことを「*」で示した。
Figure 0004295165
Figure 0004295165
比較例1(未処理)は土臭さ、ゴボウらしさにおいてかなり強く、また甘さもやや出ていた。それと比較して、比較例2はまだ土臭さがやや残っており、逆に比較例3は、活性炭処理の吸着能力が強すぎるため、土臭さだけでなく甘さ、ごぼうらしさも有意にあるかないかの程度になっており、若干受け入れやすくはなっているが味気ないものになってしまっていた。
それに対し、実施例1は、ゴボウらしさも残っており、また許容度においても有意に好結果であった。
以上の結果から、土臭さが弱くなることで許容度は上がるが、土臭さ・甘さがほとんどなくなってしまったものよりも、土臭さ・甘さをある程度残存していた方が好まれることがわかる。よって、活性炭や合成吸着剤による処理よりも土臭さを低減し、好ましい風味を得ることができるという点で、珪藻土処理後に陰イオン交換樹脂処理を行う方法がより有効であると言える。
(比較例4)
ゴボウ青果(宮崎県産)をたわしで洗い泥を落とし薄皮を除去した後、10〜15cmの長さにカットし、次いでオートクレーブにて98℃15分の加熱処理を実施し、得られた加熱カット物を家庭用ジューサーで搾汁してゴボウ粗搾汁液を得た。これを106μmふるい(140メッシュ)を通過ろ過し、Brix10に調製してゴボウジュースとした。
(実施例2)
比較例4において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、珪藻土処理した以外は、比較例4と同様にしてゴボウジュースを調製した。
珪藻土には珪藻土Bを使用し、陶器製のロート(φ150mm)を吸引びん上にセットし、アスピレーターで減圧濾過を行った。具体的には、先ずろ過助剤KCフロック(武田薬品工業(株)製)を、ろ過断面積に対して400g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、ろ紙をひいたロートに通過させて層をプレコートし、次いで同様に珪藻土Bを600g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、前述の層へ通過させて珪藻土層をプレコートした。次いで、ボディーフィード法に従ってBrix15のゴボウ搾汁液に対してその液重量の6%の珪藻土Bを直接添加し、処理温度15〜30℃程度で3分〜5分間接触撹拌した後、吸引ろ過にて迅速にろ過し、ろ液を得た。回収液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
(実施例3)
珪藻土として珪藻土Cを使用した以外は、実施例2と同様にして処理を行い、回収液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
[試験2]
比較例4、実施例2及び3で得た各ゴボウジュースを、後述の官能テストの実施方法1に従って官能テストを行った。各処理の概要と濁度を表3に示し、その官能評価結果はパネラー(研究員7名)の平均値として表4に示した。
なお、表4では、未処理品(比較例4)と比較して1%の危険率で評価されたことを「**」で示し、5%の危険率で評価されたことを「*」で示した。
Figure 0004295165
Figure 0004295165
未処理液(比較例4)は土臭さ、ゴボウらしさにおいてかなり強く、また甘さもやや出ていた。一方、珪藻土接触処理した実施例2、3は濁度に差があるものの未処理液(比較例4)と比べ有意に土臭さが弱くなっている。
以上の結果より、各珪藻土との接触処理によって、未処理液(比較例4)よりも有意に土臭さがわずかにある程度まで低減した液を得ることが可能であることが確認された。
[試験3]
ゴボウ青果(宮崎県産)をゴボウ専用洗浄機で洗浄して泥を落とした後、適当な長さにカットし、次いで20分間の湯浴ブランチング後、クラッシャーによる破砕およびデカンターによる搾汁を行い、ゴボウ粗搾汁液を得た。それを250μmふるい(60メッシュ)へ通過ろ過後、Brix40°まで濃縮し冷凍保管した。この冷凍保管品を解凍後一度80℃まで加熱撹拌し、その後Brix15°まで希釈して以下に示す珪藻土ろ過処理を実施した。
すなわち、珪藻土ろ過処理は、表5に示す特性の異なる各種の珪藻土を使用し、陶器製のロート(φ90mm)を吸引びん上にセットし、アスピレーターで減圧濾過を行った。具体的には、先ずろ過助剤KCフロック(武田薬品工業(株)製)を、ろ過断面積に対して400g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、ろ紙をひいたロートに通過させて層をプレコートし、次いで同様に各種珪藻土を600g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、前述の層へ通過させ珪藻土層をプレコートした。次いで、ボディーフィード法に従ってBrix15のゴボウ搾汁液に対してその液重量の6%の各種珪藻土を直接添加し、処理温度15〜30℃程度で3分〜5分間接触撹拌した後、吸引ろ過にて迅速にろ過し、ろ液を得た。回収液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
製造した各ゴボウジュースと未処理(比較例)のものに対し、後述の方法による濁度の測定を実施した。濁度と各珪藻土の特徴とを表5に示す。
Figure 0004295165
表5より、各珪藻土処理を実施することにより濁度が大幅に改善されたことがわかる。またI、IIIの珪藻土処理では更に清澄度の高いものが得られた。
本発明で用いる珪藻土は、珪藻土の原鉱を粉砕・乾燥処理したもの、粉砕・乾燥処理したものに更に焼成または融剤焼成処理を施したものなど、ろ過助剤として使用される珪藻土であれば用いることが可能であり、本発明範囲において十分な減臭効果があるが、Darcy0.5未満の珪藻土ろ過助剤を用いるのがより好ましいといえる。Darcy0.5未満の珪藻土ろ過助剤を用いることにより、より一層清澄な飲料を製造することができる。
なお「Darcy0.5未満の珪藻土ろ過助剤」とは、Darcyの透過率Kが0.5未満である珪藻土ろ過助剤の意である。
また、Darcyの透過率Kは、ろ過助剤の透過性を示す指標の一つであり、水透過法或いは空気透過法によって求めることができる。
(比較例5)
ゴボウ青果(宮崎県産)をたわしで洗い泥を落とし薄皮を除去した後、10〜15Cmの長さにカットして、次いでオートクレーブにて98℃15分間の加熱処理を実施し、得られた加熱カット物を家庭用ジューサーで搾汁してゴボウ粗搾汁液を得た。これを106μmふるい(140メッシュ)を通過ろ過し、Brix10に調製しゴボウジュースとした。
(比較例6)
比較例5において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、陰イオン交換樹脂処理した以外は、比較例5と同様にしてゴボウジュースを調製した。
イオン交換樹脂として、水に湿潤状態の陰イオン交換樹脂PA316(三菱化学(株)製)を150mL使用し、このイオン交換樹脂をガラスカラム(20mmI.D.×240mm)に充填後、Brix15のゴボウジュース1500mLをSV=5〜7で供給しながらカラム排出液を回収した。回収液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
(実施例4)
比較例5において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、珪藻土ろ過した以外は比較例5と同様にしてゴボウジュースを調製した。
珪藻土には珪藻土Cを使用し、陶器製のロート(φ150mm)を吸引びん上にセットし、アスピレーターで減圧濾過を行った。具体的には、まずろ過断面積に対してろ過助剤KCフロック(武田薬品工業株式会社)を400g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、ろ紙をひいたロートに通過させ層をプレコートし、次いで同様に珪藻土Cを600g/m2となるように適当な量の水に懸濁させ、前述の層へ通過させ珪藻土層をプレコートする。次いでボディーフィード法に従ってBrix15のゴボウ搾汁液に対してその液重量の6%の珪藻土Cを直接添加し、処理温度15〜30℃程度で3分〜5分間接触撹拌した後、吸引ろ過にて迅速にろ過し、ろ液をBrix10に調製してゴボウジュースとした。
(実施例5)
比較例5において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、珪藻土処理後、陰イオン交換樹脂処理した以外は、比較例5と同様にしてゴボウジュースを調製した。
陰イオン交換樹脂として、水に湿潤状態のダイヤイオンPA316(三菱化学(株)製)を150mL使用し、この陰イオン交換樹脂をガラスカラム(20mmI.D.×240mm)に充填後、Brix13のゴボウジュース1500mLをSV=5〜7で供給しながらカラム排出液を回収した。回収液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
(実施例6)
比較例5において通過ろ過したゴボウ搾汁液を、珪藻土処理後、陽イオン交換樹脂処理した以外は、比較例5と同様にしてゴボウジュースを調製した。
陽イオン交換樹脂として、水に湿潤状態の陽イオン交換樹脂ダイヤイオンPK216(三菱化学(株)製)を200mL使用し、この陽イオン交換樹脂をガラスカラムに充填後、Brix13のゴボウ搾汁液1500mLをSV=7〜8で供給しながらカラム排出液を回収した。回収液をBrix10に調製しゴボウジュースとした。
[試験4]
各処理によって得られたゴボウジュースの減臭効果を評価する方法として、後述する方法による香気の測定と官能テストを実施した。各処理の概要を表6に示す。
Figure 0004295165
(香気成分の比較)
次に比較例5〜6および実施例4〜6について、後述するサンプル中の香気の測定法に従って、「においかぎガスクロマトグラフィ」による香気分析を実施し、その結果検出されたにおい閾値の小さい主要な香気成分とそのにおいの特性等についてまとめたものを表7に示す。
表7より、成分の濃度による感じ方の違いはあると思われるが、主に甘い香りとナッツ系の香りと土臭さが特徴的である。
Figure 0004295165
ここでKI(Kovats index)とは、保持時間インデックス(RI)として広く用いられているものであり、昇温条件の測定では飽和炭化水素系列(Cn2n+2)の保持時間をあらかじめ測定し、試料AがCnとCn+1の間に現れた場合のRIは次式のように示される。RIp=100(TA−Tn)/(Tn+1−Tn)+100n、ただしTA、Tn、TN+1はそれぞれ試料A、Cnの炭化水素、Cn+1の炭化水素が示す保持時間を表す。また成分については標準物質とのGC上の保持時間の比較により特定した。
次に、表7に示した4つの香気成分の各例のFDファクター(希釈倍率)についてまとめたものを表8に示す。
ここでFDファクターとは、においの質を感じ取れる限界の希釈倍率である。例えば、表8の比較例5における香気成分Aは625倍希釈試料(54倍希釈)で匂いが初めて認められなくなった、香気成分Dは78125倍希釈試料(57倍希釈)で匂いが認められなくなったことを示しており、その匂い濃縮物に関しては成分DはAに比べて53倍匂い寄与率が高いことを意味する。
Figure 0004295165
各処理によって得られたゴボウジュースの官能評価を後述の官能テストの実施方法2に従って実施した。また表8より、試料の前処理方法(調製方法)や主観的な官能評価だけに依存しない評価方法として、香気成分間のFDファクター(希釈倍率)の比率について一定の基準を設定した。その基準について下記の[評価基準]に示し、その評価基準に従った判定と前述の官能結果の平均値をまとめたものを表9に示す。
なお、官能評価結果は、比較例5を基準(0として)に評価し、パネラー(研究員10名)の平均値を示した。
また未処理品(比較例5)と比較して1%の危険率で評価されたことを「**」で示し、5%の危険率で評価されたことを「*」で示した。
[評価基準]
香気成分間のFDファクターの比率について、下記の条件を満たすものを良好、不可の2段階で評価した。
良好・・条件1を満たす。
不可・・条件1を満たさない。
[条件1]
1−1:香気成分DのFDファクター/香気成分CのFDファクター≦75
1−2:香気成分DのFDファクター/香気成分BのFDファクター≦75
1−3:香気成分BのFDファクター/香気成分AのFDファクター≦15
1−4:香気成分CのFDファクター/香気成分AのFDファクター≦15
Figure 0004295165
表9より、比較例6は各項目において比較例5(未処理)との間に有意な差は見られず、陰イオン交換処理のみでは減臭効果がないことがわかる。
実施例4、実施例5および実施例6では、土臭さが有意に軽減されており、また、香気の印象においても有意に軽減されている。
また判定基準である4つのFDファクターに関する条件1−1〜1−4は、FDファクターの減少とそのバランスの変化が土臭さと香気の印象に関係していることを示しているといえる。
続いて実施例4、実施例5および実施例6について後述する官能テストの実施方法2に従って、さらに官能評価を行った結果を表10に示す。なお、官能評価結果は、比較例5を基準(0として)に評価し、パネラー(研究員10名)の平均値を示した。
また表10では、実施例4と比較して1%の危険率で評価されたことを「**」で示し、5%の危険率で評価されたことを「*」で示し、10%の危険率で評価されたことを「#」で示した。
Figure 0004295165
表9、表10より、実施例4、実施例5および実施例6はともに良好な評価であるが、それらの不快感を比較した場合、実施例5では不快感が弱くなる傾向があり、さらに実施例6では不快感が有意に弱くなっている。よって珪藻土ろ過後にイオン交換を行うことでさらに改善効果があり、たいへん良好なゴボウジュースが得られる結果となった。
<濁度の測定方法>
各サンプルとも蒸留水で5倍希釈してBrix2とし、80℃まで加熱した後に室温まで放冷後、NEPHELOMETER(セントラルアナライト社156型)で濁度を測定した。(濁度単位:NTU)濁度値は大きいほど濁りが強いことを意味する。
<サンプル中の香気の測定>
各処理によって得られたゴボウジュース(Brix10)1500mL用いて減圧蒸留(湯浴設定40℃、1時間)を行い、香気成分を捕集後あらかじめ吸着剤ポラパックQ(50〜80mesh/Waters社製)が充填されたガラスカラム(20mmI.D.×100mm)に通液し、次いでエーテル100mLを通液することにより吸着した香気成分を回収した。回収液に無水硫酸ナトリウムを加え一晩冷蔵保管して脱水後、窒素気流下で100μLまで濃縮してGCサンプルとした。
前処理によって濃縮した香気濃縮物をストレートから順次エーテルを用いて5倍希釈して注入サンプルとし、表11に示す装置および条件で香気成分を分離し「におい嗅ぎガスクロマトグラフィ」を実施した。(AEDA法:Aroma Extra Dilution Analysis法)
そして、においの質を感じ取れる限界の希釈倍率(FDファクター)を各香気成分について算出した。
Figure 0004295165
<官能テストの実施方法1>
官能テストは各項目について評価基準の当てはまる数値を記入した。許容度については優、良、可、不可の4点で評価した。具体的には各処理液を60mLずつガラス瓶に採取し、香気を嗅ぐことにより評価した。
[評価基準]
0点:まったくない
1点:あるかないかの程度である
2点:わずかにある
3点:ややある
4点:かなりある
5点:強烈にある
[許容度]
0点:不可
1点:可
2点:良
3点:優
<官能テストの実施方法2>
官能テストは各項目について未処理品(比較例5)と比較して強いか弱いかを官能評価した。具体的には各処理液を60mLずつガラス瓶に採取しそれを湯浴(30〜35℃)に浸漬し、しばらく置いた後香気を嗅ぐことにより評価した。
[評価基準]
−3点:非常に弱い
−2点:かなり弱い
−1点:やや弱い
0点:どちらでもない・未処理品と同等
+1点:やや強い
+2点:かなり強い
+3点:非常に強い

Claims (5)

  1. ゴボウを剥皮し、加熱処理し、搾汁して得られる搾汁液に対して珪藻土接触処理して得られる調整ゴボウ搾汁液を原料とする飲食物原料であって、
    当該調整ゴボウ搾汁液は、下記試験Aで検出される成分(A),(B),(C)及び(D)を含有し、かつ各成分の濃度に関し、下記試験Bで測定される各成分のFDファクターが下記関係式1〜4の全てを満足することを特徴とする飲食物原料。

    試験A:調整ゴボウ搾汁液を減圧蒸留後、ポラパックQ充填剤(50〜80mesh)を用いたカラム濃縮法によって得られる香気成分濃縮物を、DB-WAX(30m×内径0.53mm、フィルム厚1μm)を装着した「においかぎガスクロマトグラフ」(ヒューレッドパッカード社製HP6890型)で、ヘリウムガスをキャリアガスとして試料をインジェクション後、40℃〜210℃まで5℃/分の割合で昇温させた時に検出される成分(A)、(B)、(C)及び(D)。
    成分(A):試料注入時点を起点とするリテンションタイム14.8分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1357付近)に生じる香気成分
    成分(B):試料注入時点を起点とするリテンションタイム17.1分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1450付近)に生じる香気成分
    成分(C):試料注入時点を起点とするリテンションタイム19.0分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1528付近)に生じる香気成分
    成分(D):試料注入時点を起点とするリテンションタイム19.6分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1553付近)に生じる香気成分

    試験B:AEDA法によるガスクロマトグラフィ分析により、調整ゴボウ搾汁液中の各成分のFDファクターを測定する。
    (式1):成分(D)のFDファクター/成分(C)のFDファクター≦75
    (式2):成分(D)のFDファクター/成分(B)のFDファクター≦75
    (式3):成分(B)のFDファクター/成分(A)のFDファクター≦15
    (式4):成分(C)のFDファクター/成分(A)のFDファクター≦15
  2. ゴボウを剥皮し、加熱処理し、搾汁して得られる搾汁液に対して珪藻土接触処理とイオン交換樹脂接触処理とを併用して得られる調整ゴボウ搾汁液を原料とする飲食物原料であって、
    当該調整ゴボウ搾汁液は、下記試験Aで検出される成分(A),(B),(C)及び(D)を含有し、かつ各成分の濃度に関し、下記試験Bで測定される各成分のFDファクターが下記関係式1〜4の全てを満足することを特徴とする飲食物原料。

    試験A:調整ゴボウ搾汁液を減圧蒸留後、ポラパックQ充填剤(50〜80mesh)を用いたカラム濃縮法によって得られる香気成分濃縮物を、DB-WAX(30m×内径0.53mm、フィルム厚1μm)を装着した「においかぎガスクロマトグラフ」(ヒューレッドパッカード社製HP6890型)で、ヘリウムガスをキャリアガスとして試料をインジェクション後、40℃〜210℃まで5℃/分の割合で昇温させた時に検出される成分(A)、(B)、(C)及び(D)。
    成分(A):試料注入時点を起点とするリテンションタイム14.8分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1357付近)に生じる香気成分
    成分(B):試料注入時点を起点とするリテンションタイム17.1分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1450付近)に生じる香気成分
    成分(C):試料注入時点を起点とするリテンションタイム19.0分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1528付近)に生じる香気成分
    成分(D):試料注入時点を起点とするリテンションタイム19.6分付近(炭化水素を指標としたKI値換算で1553付近)に生じる香気成分

    試験B:AEDA法によるガスクロマトグラフィ分析により、調整ゴボウ搾汁液中の各成分のFDファクターを測定する。
    (式1):成分(D)のFDファクター/成分(C)のFDファクター≦75
    (式2):成分(D)のFDファクター/成分(B)のFDファクター≦75
    (式3):成分(B)のFDファクター/成分(A)のFDファクター≦15
    (式4):成分(C)のFDファクター/成分(A)のFDファクター≦15
  3. 調整ゴボウ搾汁液を純水を用いてBrix2に調製した時、1NTU以上250NTU未満の濁度を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の飲食物原料。
  4. ゴボウを剥皮し、加熱処理し、搾汁して得られる搾汁液に対して珪藻土接触処理とイオン交換樹脂接触処理とを併用するゴボウ搾汁液の製造方法。
  5. 前記珪藻土接触処理した後、前記イオン交換樹脂接触処理をする請求項4に記載のゴボウ搾汁液の製造方法。
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