JP2001161357A - 酸化還元酵素活性を有する植物組織処理物およびその製造法 - Google Patents

酸化還元酵素活性を有する植物組織処理物およびその製造法

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JP2001161357A
JP2001161357A JP2000302131A JP2000302131A JP2001161357A JP 2001161357 A JP2001161357 A JP 2001161357A JP 2000302131 A JP2000302131 A JP 2000302131A JP 2000302131 A JP2000302131 A JP 2000302131A JP 2001161357 A JP2001161357 A JP 2001161357A
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Atsushi Nagaki
篤 長岐
Akiyoshi Kawate
明美 川手
Hidetoshi Kubota
英俊 窪田
Toshiaki Kono
敏明 河野
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】食品加工に使用するための酸化還元酵素活性を
有する植物組織処理物を提供する。 【解決手段】リンゴ果実、ゴボウ、レタス、バナナの皮
等の植物組織から破砕、搾汁、遠心分離や篩による分画
をすることによりポリフェノールオキシダーゼ高活性
で、食品加工に使用可能な植物組織処理物を得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食品加工に使用する
ための酸化還元酵素活性特にポリフェノールオキシダー
ゼ高活性を有する植物組織処理物及びその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】果実、根菜類は生食用、ジュースをはじ
めとする加工食品用途及び砂糖をはじめとする工業用原
材料として多々利用されている。この様に、果実、根菜
類は糖類の蓄積を司る器官であり、これら蓄積物質の合
成能力にすぐれた器官であることは周知である。果実、
根菜は優れた合成能力を背景に、種々の酵素源としての
可能性を秘めているものの、パパイン等の例外を除き有
効利用が図られてきたとは言い難い。むしろ、目的とす
る物質の抽出残渣は産業廃棄物として扱われ、その効果
的な処理方法が求められてきた。
【0003】一方、微生物発酵法は有用酵素の生産起源
とし多用されている。しかし、微生物発酵によって生産
された酵素は特有の臭いや味を有しており、とりわけ食
品加工分野に使用する場合には問題となる。また、近年
の遺伝子工学の興隆に伴い、遺伝子技術を用いた有用酵
素の生産や酵素の特徴の改質操作が可能となり、工業的
に有益な酵素が生産され幅広い分野に応用されている。
この点についても、遺伝子操作技術を用いて作出された
食品用酵素は安全性の面で消費者に不安感を与える傾向
もあり、より安全性が確保された酵素が求められてい
る。
【0004】有用酵素の一例として、酸化還元酵素の中
でも特にポリフェノールオキシダーゼは、紅茶・ココア
の製造及び酒類のポリフェノールに起因するオリの生成
防止等の食品加工分野や、漆器加工、紙パルプ産業の工
業分野に利用することが期待されている。特に食品加工
分野では本酵素の利用法について報告例が多く、チョコ
レートやココアの製造工程において、渋味の原因物質と
推定されるポリフェノール(カテキン類など)にポリフ
ェノールオキシダーゼを作用させて、味質を改質するこ
とが可能であることが報告されている(特公平05-36012
号公報)。また、緑茶抽出物の主成分である(−)-エピ
ガロカテキンガレートの消臭機作を検討したHideyuki Y
asudaら(Biosci. Biotech, Biochem.,59(7), 1232-123
6, 1995)は、(−)-エピガロカテキンガレートによるメ
チルメルカプタンの消臭において、ポリフェノールオキ
シダーゼを添加することにより消臭活性が向上すること
を報告している。さらに、茶、ブドウ、リンゴ等の抽出
物とポリフェノールオキシダーゼ等のフェノール性化合
物酸化酵素を併用する事により、口臭などの消臭に有効
な消臭剤組成物が報告されている(特開平10-212221号
公報)。
【0005】ポリフェノールオキシダーゼは概ね、カテ
コールオキシダーゼ(EC 1.10.3.1)、ラッカーゼ(EC 1.1
0.3.2)、モノフェノールモノオキシダーゼ(EC 1.14.18.
1)の3種類の酵素群に分類する事ができる。それぞれ、
カテコールオキシダーゼはカテコールをo-キノンに、ラ
ッカーゼはカテコールをo-キノンに及びジハイドロキノ
ンをp-キノンに、モノフェノールモノオキシダーゼ(別
名チロシナーゼ)はモノフェノールをo-キノンに酸化す
る酵素である。これまでポリフェノールオキシダーゼは
主に微生物起源のラッカーゼが開発されてきた。生産菌
として、コリオラス属(特開昭58-47489号公報)、ミリ
オコッカム属(特開昭60-62980号公報)、イルペックス
属、オウリキュラリア属、ガノデルム属、コプリナス
属、ダエダレオプシス属、フラムリナ属(以上特開昭60
-156385号公報)、ムコール属(特開昭61-115488号公
報)、ケトミウム属(特開昭62-205783号公報)、バチ
ルス属、ミロセシウム属(以上特開平9-322784号公報)
等、担子菌類を中心として特定のカビ、細菌が用いられ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の微生物起源のポ
リフェノールオキシダーゼ特にラッカーゼを製造する際
には、培養法により大量に調製できる利点があるもの
の、上述の様にポリフェノールに対する選択性がカテコ
ールオキシダーゼより広いこと及び、生成物阻害によっ
て失活しないので、反応後別途加熱等による失活工程を
行わなければならない。また、食品に使用する場合には
微生物発酵特有の不適当な臭いや味を有すること、これ
らの生産菌について食経験がないものは安全性の面で消
費者に不安感を与えうることなど、必ずしも好ましくな
い特徴も有しており、より食品加工に適した素材の開発
が求められていた。
【0007】一方、多くの植物にラッカーゼではなくカ
テコールオキシダーゼが含まれていることは広く知られ
ている(村田容常ら 日本食品科学工学会誌 45巻 17
7〜185 1998年)。これらカテコールオキシダーゼは果
実等の切断面の褐変現象を司っており、その基質として
植物起源のポリフェノールを選択的に取り得ることや、
元来食経験の豊かな植物を用いることからその安全性に
危惧がないことが期待されていた。これらの植物に含ま
れるポリフェノールオキシダーゼを採取する方法がこれ
まで行われており、界面活性剤等を含む緩衝液中で粉砕
抽出後遠心分離あるいは濾過によって果汁を回収し、さ
らに遠心分離あるいは塩析や透析によって粗精製する方
法が開発されている(A.Sanchez-Ferrer et al. Analyt
ical Biochemistry 184, 279〜282 1990年、及び村田容
常ら 日本食品科学工学会誌 45巻 177〜185 1998
年、及びO.Arslan et al. Journal of Agricultural an
d Food Chemistry 46,1239〜1241 1998年、等)。しか
し、これらの方法は実験室規模の方法で大量調製には適
さないこと、食品添加物として認められていない界面活
性剤を用いていること、及び粗精製後の酵素活性も安定
性や保存性が低くそのため冷凍保存しなければならない
ことなど工業規模で大量に利用するには必ずしも適して
いるとは言い難い。
【0008】また、含水アセトン中で植物体を粉砕し、
真空乾燥することによって粗酵素粉末を調製することも
できるが、この場合食品添加剤として認められていない
溶媒(アセトン)を使用するので、この製造法による酵
素剤は食品加工に使用できない。また、得られる粗酵素
粉末は比重が低く、さまざまな加工に用いる際に扱いに
くい性状である。この様に食品加工に使用するための酵
素の製造方法は極めて限定されている。以上のように、
食品加工に有用なポリフェノールオキシダーゼを産業上
利用可能な様式で提供することが求められている。
【0009】一方、果実や野菜を原料としたジュース等
の加工産業において、その工程で発生する植物残渣はこ
れまで有効な利用方法がなく、廃棄物として処分されて
いた。特にリンゴジュースの製造工程では、果実の約40
%が搾りかすとして発生し廃棄物となっていた。その一
部は肥料や飼料として利用されたり、あるいは食物繊維
素材(村田智子 月刊フードケミカル 15巻 1号 40
〜43 1999年)の原料として用いられたりしていたが、
より有効な活用方法が望まれていた。また、リンゴ等の
果樹栽培において、果実が未熟であるうちに一部の果実
を残して廃棄する摘果作業が行われ、多量の未熟果実が
廃棄されている。特開平7-285876、特開平8-259453で
は、未熟果実からの搾汁果汁や抽出液をイオン交換カラ
ムなどで精製し、ポリフェノール画分を得る方法を開示
しているが、さらなる活用方法が望まれていた。なお、
ここであげた植物残渣や未熟果実の利用方法において、
植物中に含まれるポリフェノールオキシダーゼなどの酸
化還元酵素の存在は、得られた素材を褐変化するなどの
影響のため、除去あるいは失活させる方が望ましいと考
えられ、上記の廃棄対象とされてきた素材を酵素の製造
原料とする試みは従来なされていなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、食品加工
に使用するためのより安全で植物天然物由来ポリフェノ
ールに対して選択性の高いポリフェノールオキシダーゼ
等の起源として植物の果実、根茎、葉類に着目し、産業
上利用可能な様式で提供するため、より高活性のポリフ
ェノールオキシダーゼに代表される酸化還元酵素及びそ
の製造方法を鋭意検討した。その結果、ポリフェノール
オキシダーゼやパ−オキシダーゼに代表される酸化還元
酵素はその植物組織を構成する微細細胞器官(プラスチ
ドあるいはクロロプラストのチラコイド等)に存在する
(M.Murata et al. Bioscience Biotechnology and Bio
chemistry,61巻 1495〜1499 1997年 及びT.Kieselba
chet al. Journal of Biochemical Chemistry ,273巻
6710〜6716 1998年)事実に着目し、ポリフェノールオ
キシダーゼ活性に代表される高い酸化還元酵素活性を有
する植物組織処理物を得て発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で採取を目的とする微細細
胞器官としては、一般的にはプラスチドと称されるもの
を利用することができる。これらのプラスチドは、植物
組織を搾汁して得られた植物残渣や、搾汁によって原料
から得られた液中に混入する微小な不溶物に存在してい
る。以下、本明細書中でポリフェノールオキシダーゼ高
活性含有画分をPPO高含有画分と定義する。PPO高含有画
分とは、例えば以下に説明するパルプ、不溶物画分、篩
別パルプなどが挙げられる。
【0012】ここで、植物組織を皮や種を含む状態ある
いは皮や種を除去した状態で、ハンマーミルや下ろし金
などで破砕して得られた粗製物を破砕液と定義し、植物
組織を搾汁して得られた植物残渣をパルプと定義する。
また、搾汁によって植物組織から得られた液を搾汁液と
定義する。搾汁液中に混入する微少な不溶物は遠心分離
により沈殿するが、その沈殿物を不溶物画分と定義す
る。遠心分離の条件は特に限定されないが、10,000 g、
5−15分で1乃至2回遠心分離することが望ましい。ま
た、搾汁液を遠心分離して得られる上清画分を搾汁液上
清と定義する。なお、不溶物画分は回転篩、振動篩や他
のろ過装置でも回収は可能である。しかし、本明細書中
では、遠心分離して得られた不溶物画分と篩で分別した
不溶物画分を区別するために、60から100メッシュの篩
で回収した不溶物画分を篩別パルプと定義する。
【0013】ポリフェノールオキシダーゼ活性は、日本
食品科学工学会誌15巻5号199〜206頁(1968年)等に記
載されている方法を参照して測定できる。すなわち、0.
05Mリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解した(-)-エピカテキン溶
液(1.7mg/ml)25mlを基質として、これに搾汁液0.5gも
しくは植物組織粉末0.1gを添加・混合して20℃、5分間
反応させた後、2.5ml反応液を採取して10%(V/V)硫酸0.
5mlを加え反応を停止し、420nmの吸光度を測定する。反
応液の420nmの吸光度を5分間に1.00上昇させる活性を1
単位(unit)とする。本明細書中で、PPO高含有画分と
は、ポリフェノールオキシダーゼ活性が凍結乾燥などの
乾燥処理をしていない試料の重量(以下、新鮮重とい
う)当り0.9units/g〜10.0units/g、かつ凍結乾燥
などによって水分を除去した試料の重量(以下、乾燥粉
末重量という)当り2.9units/g〜12.0units/gのも
のをいう。
【0014】以下に、高酸化還元酵素活性を有する植物
組織処理物の製造法を示す。
【0015】ポリフェノールオキシダーゼ活性に代表さ
れる高酸化還元酵素活性を有する植物組織処理物の原料
として、果実(成熟果または未熟果)、葉、茎、根茎な
ど、適当な植物組織を用いることができる。植物種とし
ては特定されるものではないが、好ましくは、リンゴ、
ナシ、モモ、オウトウ、ウメ、スモモ、アンズ、ビワ等
のバラ科植物をはじめ、カキ、ブドウ、バナナ、クリ、
ゴボウ、ホウレンソウ、アーティチョーク、ベルベット
ビーン、ジャガイモ、サツマイモ、マングビーン、エン
ドウ、ダイズ、カカオ、タバコ、トマト、レタス等が利
用できる。
【0016】以下により詳しく述べる植物組織の破砕は
一般的な方法を用いることができる。すなわち、原料を
洗浄した後、ハンマーミル、グラインダー等の植物組織
を破砕しうる装置を使って破砕を行う。この際、破砕処
理前に原料にアスコルビン酸や亜硫酸塩その他の抗酸化
剤、あるいはNaClやKClなど水中に溶解後塩化物イオン
を与える中性塩のいずれかの水溶液をスプレーなどの方
法によって加えることにより、高活性の酸化還元酵素活
性を有する植物組織処理物を収率高く得ることができ
る。また、本発明において亜硫酸塩とは、ナトリウム塩
とカリウム塩とがあり、ナトリウム塩としては亜硫酸水
素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム
が挙げられ、好ましくは亜硫酸ナトリウムがよい。ま
た、カリウム塩としてはメタ重亜硫酸カリウムが挙げら
れる。
【0017】破砕後搾汁の工程によってパルプと搾汁液
の分離を行う。搾汁機としてはプレス機、プレスロール
フィルター、遠心分離器など、一般的に搾汁に使用可能
な装置を用いることができる。
【0018】不溶物画分は、固形分当たりの酸化還元酵
素活性が高い。パルプまたは篩別パルプは固形分20%(W
/W)まで搾汁により水分を除くことが望ましい。
【0019】PPO高含有画分は、そのままあるいは搾汁
液も含んだ状態で、アスコルビン酸や亜硫酸塩その他の
抗酸化剤、あるいはNaClやKClなど水中に溶解後塩化物
イオンを与える中性塩のいずれかを添加して冷蔵あるい
は冷凍することにより、このまま高活性な酸化還元酵素
として用いることができる。さらに保存性を高め、産業
上の利用価値を高めるため乾燥・粉砕工程により粉末形
態にすることもできる。
【0020】乾燥は通常用いられる方法、加熱乾燥、真
空乾燥、真空凍結乾燥などを用いることができるが、よ
り高活性を達成するためには、真空凍結乾燥を用いるこ
とが望ましい。また、乾燥によって水分を0.1−5.0%(W
/W)、望ましくは0.1―3.0%(W/W)に減少させることで、
より安定性を増すことができる。なお、実施例の水分
は、(株)島津製作所電子式水分計EB-280MOCで測定して
いる。
【0021】粉砕工程はカッターミル、ピンミルなど乾
式の粉砕機であればいずれも使用することができる。粉
砕終了後はビニール袋またはアルミラミネート袋等に密
封し、25℃以下の遮光できる場所で保存することが望ま
しい。
【0022】上述の工程によって得られた高い酸化還元
酵素活性をもつ植物組織処理物は、様々な食品加工分野
で利用できる。本発明で得られる植物組織処理物は、PP
O高含有画分を含むことを特徴とするため、高い活性を
維持したまま保存、加工することが可能である。
【0023】
【実施例】実施例1 リンゴ完熟果を原料とした方法 リンゴ完熟果(「むつ」)33.1kgをハンマーミルで破砕
し、プレス機(ろ布のメッシュサイズは約3mm×3mm)を
用いて搾汁し、パルプとして10.9kg、搾汁液として22.2
kgを得た。搾汁液には搾汁後直ちに22.2gのアスコルビ
ン酸を加えた。
【0024】搾汁液を遠心分離(10,000 g、10分間)して
清澄となった上清を搾汁液上清として回収した。得られ
た沈殿に0.1%(W/V)アスコルビン酸水溶液を加えて攪拌
し、再度遠心分離によって上清を除いた。その後沈殿を
回収して不溶物画分を得た。上記のハンマーミルでは均
一な破砕液を調製することが困難であったので、完熟果
20gを下ろし金ですり下ろし、搾汁せず全量を回収して
破砕液を得た。破砕液、パルプ、搾汁液上清、搾汁液、
不溶物画分をそれぞれ凍結乾燥し、乾燥後粉砕して植物
組織乾燥粉末を得た。
【0025】上述のポリフェノールオキシダーゼ活性測
定方法により、破砕液、パルプ、搾汁液上清、搾汁液、
不溶物画分の凍結乾燥処理前の活性(以下、新鮮重当た
りの活性という)と、凍結乾燥処理後の活性(以下、乾
燥粉末重量当たりの活性という)を測定し、両者を比較
した(表1)。
【0026】
【表1】 その結果、新鮮重当たりの活性については0.41-1.02(un
it/g)であった。また、乾燥粉末の活性は3.01-9.36(uni
t/g)であった。乾燥粉末の活性は新鮮重当たりの活性よ
り高い活性を示した。搾汁液上清はほとんど活性を示さ
なかった。
【0027】実施例2 リンゴ未熟果を原料とした方法 リンゴ未熟果(「ふじ」、開花1.5ヶ月後に採取)2.02k
gを0.05%(W/V)アスコルビン酸水溶液に浸漬して軽く滴
をきった後、家庭用ジューサー(松下電器産業(株)ナシ
ョナルジューサーMJ-C15)で破砕・搾汁し、パルプとし
て0.73kg、搾汁液として1.30kgを得た。
【0028】搾汁液を遠心分離(10,000 g、10分間)して
清澄となった上清を搾汁液上清として回収後、沈殿を得
た。この段階で沈殿中に残留している低糖類は、後に沈
殿を凍結乾燥したときに吸湿の原因となるため、直ちに
これに0.05%(W/V)アスコルビン酸水溶液650mlを加えて
攪拌し、再度同条件で遠心分離して上清を除いた。この
上清は廃棄した。この作業により得られた沈殿を回収
し、搾汁液中の不溶物画分を得た。上記の家庭用ジュー
サーでは均一な破砕液を得ることが困難であったので、
未熟果20gを下ろし金ですり下ろし全量を回収したもの
を破砕液とした。さらに破砕液、パルプ、搾汁液上清、
搾汁液、不溶物画分をそれぞれ凍結乾燥し、乾燥粉末を
得た。
【0029】上述の活性測定法により、各画分の新鮮重
当たりの活性と乾燥粉末重量当たりの活性を測定し、両
者を比較した(表2)。
【0030】
【表2】
【0031】その結果、新鮮重当たりの活性については
0.65-9.14(unit/g)であった。また、乾燥粉末の活性は
2.98-11.42(unit/g)であった。不溶物画分の乾燥粉末
重量当たりの活性が新鮮重当たりの活性に比較して異常
に低いのは、操作中の酸化反応を抑制する目的で加えた
アスコルビン酸が乾燥工程によって濃縮され、活性測定
の際に反応を抑制したためと推定される。
【0032】実施例3 再搾汁後の完熟リンゴ篩別パル
プを原料とした方法 リンゴジュース製造工程において、完熟リンゴ果実を粉
砕・搾汁して得られた果汁中に含まれる微細な不溶物
を、60から100メッシュ程度のスクリーンを有する振動
篩で回収し、篩別パルプを得た。篩別パルプから再度搾
汁機で果汁を回収し、固形分20%(W/W)程度に調整し
た。これを5.0kg採取し、-20℃で凍結後、5日間凍結乾
燥した。凍結乾燥後1.0kgの乾固物を回収し、これを粉
砕機(パワーミル;昭和技研製、丸穴スクリーン(丸穴
径1.5mm)使用)で粉砕した。得られた乾燥粉末重量当た
りの活性は6.5(unit/g)であった。
【0033】実施例4 ゴボウを原料とした方法 ゴボウ252gを家庭用ジューサー(実施例2と同機種)で
破砕・搾汁し、パルプとして117g、搾汁液として135gを
得た。搾汁液には搾汁後直ちに135mgのアスコルビン酸
を加えた。さらに1%(W/V)クエン酸水溶液を加えてpH
4.3に調整した。
【0034】搾汁液を遠心分離(10,000 g、10分間)し、
清澄となった上清を搾汁液上清として回収した。沈殿に
0.1%(W/V)アスコルビン酸水溶液を加えて攪拌し、再度
遠心分離によって上清を除いた。この作業を2回繰り返
した後、沈殿を回収して搾汁液中の不溶物画分を得た。
不溶物画分は凍結乾燥を行い、乾燥粉末を得た。
【0035】上述の活性測定法により、搾汁液、搾汁液
上清、不溶物画分の新鮮重当たりの活性と、不溶物画分
の乾燥粉末重量当たりの活性を測定した(表3)。
【0036】
【表3】
【0037】その結果、新鮮重当たりの活性は2.47-3.0
6(unit/g)であった。また、不溶物画分の乾燥粉末の活
性は11.64(unit/g)と高い活性を示した。
【0038】実施例5 レタスを原料とした方法 レタス385gを家庭用ジューサー(実施例2と同機種)で破
砕・搾汁し、パルプとして89g、搾汁液として287gを得
た。搾汁液には搾汁後直ちに287mgのアスコルビン酸を
加えた。さらに1%(W/V)クエン酸水溶液を加えてpH 4.3
に調整した。
【0039】搾汁液を遠心分離(10,000 g、10分間)し、
清澄となった上清を搾汁液上清として回収した。沈殿に
0.1%(W/V)アスコルビン酸水溶液を加えて攪拌し、再度
遠心分離によって上清を除いた。この作業を2回繰り返
した後、沈殿を回収して搾汁液中の不溶物画分を得た。
不溶物画分は凍結乾燥を行い、乾燥粉末を得た。
【0040】上述の活性測定法により、搾汁液、搾汁液
上清、不溶物画分の新鮮重当たりの比活性と不溶物画分
の乾燥粉末重量当たりの活性を測定した(表4)。
【0041】
【表4】
【0042】その結果、新鮮重当たりの活性は1.22−1.
99(unit/g)であった。また、不溶物画分の乾燥粉末の活
性は3.20(unit/g)であった。
【0043】実施例6 バナナの皮を原料とした方法 バナナの皮352gを家庭用ジューサー(実施例2と同機種)
で破砕・搾汁し、パルプとして213g、搾汁液として117g
を得た。搾汁液には搾汁後直ちに117mgのアスコルビン
酸を加えた。さらに1%(W/V)クエン酸水溶液を加えてpH
4.3に調整した。
【0044】搾汁液を遠心分離(10,000 g、10分間)し、
清澄となった上清を搾汁液上清として回収した。沈殿に
0.1%(W/V)アスコルビン酸水溶液を加えて攪拌し、再度
遠心分離によって上清を除いた。この作業を2回繰り返
した後、沈殿を回収して搾汁液中の不溶物画分を得た。
不溶物画分は凍結乾燥を行い、乾燥粉末を得た。
【0045】上述の活性測定法により、搾汁液、搾汁液
上清、不溶物画分の新鮮重当たりの活性と不溶物画分の
乾燥粉末重量当たりの活性を測定した(表5)。
【0046】
【表5】
【0047】その結果、搾汁液、搾汁液上清の新鮮重当
たりの活性はそれぞれ、0.80と0.22(unit/g)であった。
不溶物画分の乾燥粉末の活性は4.58(unit/g)であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によって、高い酸化還元酵素活性
特にポリフェノールオキシダーゼ活性を有する植物組織
処理物の提供およびその製造法の提供が可能となる。ま
た、本植物組織処理物の原料として食経験の豊富な植物
を用いれば、食品加工分野に応用することが可能であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 河野 敏明 埼玉県坂戸市千代田5丁目3番1号 明治 製菓株式会社生物科学研究所内 Fターム(参考) 4B050 DD13 LL02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品加工に使用するための酸化還元酵素活
    性を有する植物組織処理物。
  2. 【請求項2】酸化還元酵素がポリフェノールオキシダー
    ゼであるところの請求項1記載の植物組織処理物。
  3. 【請求項3】植物組織が、リンゴの果実、ゴボウ、レタ
    ス、またはバナナの皮由来である請求項1及び請求項2
    記載の植物組織処理物。
  4. 【請求項4】ポリフェノールオキシダーゼ高活性を含有
    する請求項1乃至3記載の植物組織処理物。
  5. 【請求項5】新鮮重当りのポリフェノールオキシダーゼ
    活性が0.9units/g〜10.0units/g、かつ乾燥粉末重
    量当りのポリフェノールオキシダーゼ活性が2.9units/
    g〜12.0units/gである、PPO高含有画分である請求項
    1乃至4記載の植物組織処理物。
  6. 【請求項6】植物組織を破砕し、抗酸化剤、あるいは塩
    化物イオンを与える中性塩を含む溶液を加え、搾汁し、
    遠心分離又はろ過によりPPO高含有画分を製造する方
    法。
  7. 【請求項7】植物組織がリンゴであるところの請求項6
    記載のPPO高含有画分を製造する方法。
  8. 【請求項8】抗酸化剤がアスコルビン酸または亜硫酸塩
    であるところの請求項6及び請求項7記載のPPO高含有
    画分を製造する方法。
  9. 【請求項9】PPO高含有画分が新鮮重当りのポリフェノ
    ールオキシダーゼ活性が0.9units/g〜10.0units/
    g、かつ乾燥粉末重量当りのポリフェノールオキシダー
    ゼ活性が2.9units/g〜12.0units/gである、請求項
    6乃至8記載のPPO高含有画分を製造する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003009784A (ja) * 2001-06-28 2003-01-14 Meiji Seika Kaisha Ltd 食品の消臭及び風味改良方法
JP2005312366A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Ito En Ltd ゴボウを原料とする飲食物原料
WO2022270635A1 (ja) * 2021-06-25 2022-12-29 天野エンザイム株式会社 食品の褐色化剤

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