JP2013123400A - 高甘味度甘味料の呈味改善剤 - Google Patents

高甘味度甘味料の呈味改善剤 Download PDF

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祥子 坂巻
Toshimitsu Nishikura
利光 西倉
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Abstract

【課題】
飲食品又は口腔衛生製品の本来の風味を変化させることなく、高甘味度甘味料特有の不快な後味を少ない添加量で効果的に抑制する高甘味度甘味料の呈味改善剤を提供する。
【解決手段】
ゴボウ抽出物を高甘味度甘味料を含有する飲食品又は口腔衛生製品に添加することにより、高甘味度甘味料に特有の不快な後味が効果的に抑制され、飲食品や口腔衛生製品の呈味を改善することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高甘味度甘味料の呈味改善剤に関するものである。更に詳しくは、高甘味度甘味料の不快な後味を改善する呈味改善剤に関するものである。
近年の健康指向の高まりからアスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームなどの低カロリーの高甘味度甘味料を使用した商品が増加している。このような高甘味度甘味料は、ショ糖の数十倍から数千倍の甘味度を有するという優れた性能を持つ反面、後味として甘味が長く持続するため味の切れが悪く、結果として呈味の質がショ糖に比べて劣るという欠点を有している。そのため、高甘味度甘味料の汎用的使用に関しては、その後味の改善が最大の課題となっている。
高甘味度甘味料の後味改善については、種々の提案がなされている。特許文献1では、スピラントール又はスピラントールを含有している精油を添加することで、高甘味度甘味料の呈味を改善させることが記載されている。しかし、スピラントールはキク科オランダセンニチなどに含まれる辛味成分であり、飲食品本来の風味に影響を与えてしまう問題があった。
特許文献2では、イヌリンを添加することにより、高甘味度甘味料を含有した飲料の味質を改善させることが記載されている。しかし、イヌリンは高甘味度甘味料の味質を改善するだけではなく、飲食品本来のよい風味もマスキングしてしまうため、好ましいものではなかった。
特許文献3および特許文献4では、ダバナオイル、ショウガ抽出物などの精油や天然物抽出物による味質の改善方法が提案されているが、いずれも改善剤の風味が飲食品の風味に影響を与えてしまうため、好ましいものではなかった。
このような既存の方法は、少ない添加量では高甘味度甘味料の不快な後味を改善できず、添加量を増やすと飲食品本来の風味を変化させるといった問題点を有していた。
特開2006−223104号公報 特開2007−209268号公報 特開2011−24428号公報 特開2011−30535号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、飲食品又は口腔衛生製品の本来の風味を変化させることなく、高甘味度甘味料特有の不快な後味を少ない添加量で効果的に抑制する高甘味度甘味料の呈味改善剤を提供することを主たる課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴボウ抽出物が高甘味度甘味料の不快な後味を効果的に抑制できることを見出し、本発明に至った。
高甘味度甘味料を含有する飲食品や口腔衛生製品に、本発明の呈味改善剤を添加することで、高甘味度甘味料に特有の不快な後味が効果的に抑制され、飲食品や口腔衛生製品の呈味を改善することができる。
本発明における呈味改善剤とは、ゴボウを溶媒抽出して得た抽出物を有効成分とするものである。
原料のゴボウはキク科ゴボウ属に属する植物で、その根部の生又は乾燥したものを用い、形状はブロック、フレーク、チップ、粉末などの何れでもよいが、取り扱いの簡便性から乾燥フレークを用いることがより好ましい。
抽出に用いる溶媒は水又は親水性有機溶媒、あるいは水と親水性有機溶媒の混合溶媒であれば特に限定はない。例えば、水、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、グリセリンなどがあげられる。中でも水、エタノール又はエタノールと水の混合溶媒が好ましく、エタノールと水の混合溶媒のエタノール濃度は30から70容量%が好ましい。
これらの水又は親水性有機溶媒、あるいは水と親水性有機溶媒の混合溶媒は、原料のゴボウに対して1から50質量倍を使用し、抽出効率と固液分離の効率を見て適宜きめればよい。抽出操作は従来既知の抽出方法をそのまま採用することができる。
抽出温度及び時間は特に限定されず、抽出に用いる溶媒及び原料の使用量によって適宜決定すればよい。
抽出後の後処理としては、清澄化ならびに防腐の目的で、抽出物にエタノールを添加することも出来る。
また、水溶性の不溶解物の沈殿防止の目的で、抽出物に水を添加することも出来る。
抽出物のゴボウ由来の香気が強く感じられる場合は、脱臭処理をすることができる。例えば、活性炭処理で香気成分を除去する方法が挙げられる。その場合、活性炭の使用量が多いと脱臭効果は高くなるが、高甘味度甘味料の後味改善効果が低下してしまうことから、活性炭使用量は抽出液に対して1から5質量%が好ましい。
本発明の呈味改善剤は、その有効成分の必要量が飲食品又は口腔衛生製品に対して微量であることから、取り扱いの利便性を考慮し溶剤や増量剤を加えることもできる。
本発明の呈味改善剤は、飲食品などの形態に応じて、従来既知の方法で濃縮又は乳化して用いてもよく 、或いは既知の基材と混合・乳化等を行い乾燥して粉末製剤としてもよい。
本発明において高甘味度甘味料とはショ糖の数十倍から数千倍の高い甘味を有する甘味料をいい、甘草抽出物、ラカンカ抽出物、ステビア、ソーマチン、グリチルリチン、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム 、スクラロース、アリテーム、ネオテーム又はそれらの混合物などを例示することができる。本発明の呈味改善剤は高甘味度甘味料の種類には制限されずに使用できる。
本発明の呈味改善剤を添加し得る飲食品又は口腔衛生製品は特に限定されない。例えば、飲食品としては、好適には、柑橘果汁や野菜果汁等を含む果実飲料又は野菜ジュース、コーラやジンジャエール又はサイダー等の炭酸飲料、スポーツドリンク等の清涼飲料水、コーヒー、紅茶や抹茶等の茶系飲料、ココアや乳酸菌飲料等の乳飲料などの飲料一般; ヨーグルト、ゼリー、プディング及びムース等のデザート類; ケーキ、クラッカー、ビスケット、パイや饅頭等といった洋菓子及び和菓子を含む焼菓子や蒸菓子等の菓子類; 米菓、スナック類; アイスクリームやシャーベット等の冷菓並びに氷菓;チューインガム、ハードキャンディ、ヌガーキャンディ、ゼリービーンズ、等を含む糖菓一般; 果実フレーバーソースやチョコレートソースを含むソース類; バタークリーム、フラワーペーストやホイップクリーム等のクリーム類; イチゴジャムやマーマレード等のジャム; 菓子パン等を含むパン; 焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼き等に用いられるタレ、トマトケチャップ、ソース、麺つゆ、砂糖代替甘味料等の調味料一般; 蒲鉾等の練り製品、ソーセージ等の食肉加工品、レトルト食品、缶詰、漬け物、佃煮、珍味、惣菜並びに冷凍食品等を含む農畜水産加工品などが例示される。口腔衛生製品としては、口内清涼剤、うがい剤、歯磨き等の医薬部外品、シロップ剤等の医薬品を挙げることができる。
本発明の呈味改善剤を、高甘味度甘味料を含有する飲食品または口腔衛生製品へ使用する場合の添加量は、ゴボウ抽出物の形態と飲食品や口腔衛生製品の種類や剤形に応じて適宜決定すればよい。
本発明の呈味改善剤は、対象の飲食品などの風味に悪影響を及ぼさない限りにおいて、他の呈味改善剤と併用することもできる。また、本発明の呈味改善剤は飲食品又は口腔衛生製品に添加する前に、他の添加物と配合することもできる。
本発明の呈味改善剤と配合できる他の添加物としては、抗酸化剤、安定剤、抗菌剤、その他品質保持剤、界面活性剤、可溶化剤、色素、香料などが挙げられる。
(ゴボウ水抽出物の調製)
ゴボウ乾燥フレーク0.5kgに水2.5kgを加え、80℃で1時間攪拌抽出し、30℃まで冷却した後、60メッシュの金網によって固液分離して抽出液を得た。続いてその抽出液を0℃にて24時間冷却し、遠心分離によって固液分離後、濾紙濾過に供し、1.7kgの抽出液を得た。得られた抽出液に95容量%のエタノールを1kg添加し、析出した固形分を遠心分離により除去し、濾紙濾過に供してゴボウ水抽出物を得た。
(ゴボウ含水エタノール抽出物の調製)
ゴボウ乾燥フレーク0.5kgに、30容量%、40容量%、60容量%、70容量%の含水エタノールそれぞれを2.5kg加え、60℃で1時間攪拌抽出し、30℃まで冷却後60メッシュの金網によって固液分離して抽出液を得た。それらの抽出液を0℃にて24時間冷却し、析出した固形分を遠心分離により除去し、濾紙濾過に供して各ゴボウ含水エタノール抽出物を得た。
実施例1で調整した各ゴボウ抽出物を、市販品のミルクティー(アセスルファムカリウム、ステビア、スクラロース入り)に0.1質量%添加した供試品1〜5を調製し、各ミルクティーを飲用した時の甘味料の不快な後味について、無添加品をコントロールとして官能評価を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2013123400
表1の結果から、いずれのサンプルでも高甘味度甘味料の不快な後味の改善効果が認められた。
(活性炭処理ゴボウ抽出物の調製)
ゴボウ乾燥フレーク0.3kgに、60容量%の含水エタノールを5.0kg加え、60℃で1時間攪拌抽出し、30℃まで冷却後60メッシュの金網によって固液分離して抽出液を得た。得られた抽出液を0℃にて24時間冷却し、析出した固形分を遠心分離により除去し、抽出液3.7kgを得た。続いて、得られた抽出液に水を0.2kg添加し、抽出液3.9kgを得た。この抽出液に粒状活性炭1.5質量%を加え、1時間攪拌した後60メッシュの金網によって活性炭を分離し、濾紙濾過に供して活性炭処理ゴボウ抽出物3.5kgを得た。
砂糖の10質量%水溶液に相当する甘さに調整した各種高甘味度甘味料水溶液に対して、実施例3のゴボウ抽出物をそれぞれの濃度で添加した水溶液を調製し、それら水溶液を飲用した時の甘味料の後味改善効果について、無添加品をコントロールとして習熟した6名のパネルにより官能評価を行い、その結果を表3に示した。なお、表3中の評価の点数は、表2の採点基準で採点(1〜7点)した各パネルの平均点である。
Figure 2013123400
Figure 2013123400
表3の結果から、ゴボウ抽出物を添加することにより、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア、スクラロースのいずれに対しても後味の改善効果が認められた。
(比較例 イヌリン含水エタノール溶液の調製)
イヌリン10gに40容量%含水エタノール100gを加えて攪拌し、0℃にて24時間冷却し、析出したイヌリンを濾紙濾過によって固液分離して100gのイヌリン含水エタノール溶液を得た。
処方1の高甘味度甘味料入り紅茶飲料に、比較例のイヌリン含水エタノール溶液と実施例3のゴボウ抽出物をそれぞれ添加し、各紅茶飲料を飲用した時の高甘味度甘味料の後味改善効果と紅茶飲料の風味への影響について評価した。その結果を表4に記載した。
(処方1)
Figure 2013123400
Figure 2013123400
表4の結果から、実施例3を添加した紅茶飲料の方がいずれの添加量でも高い甘味料の後味改善効果が認められた。また、風味への影響は、比較例添加品では紅茶飲料の風味を低減させてしまうが、実施例3添加品では紅茶飲料への風味への影響がなく、顕著な効果が認められた。

Claims (4)

  1. ゴボウ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、高甘味度甘味料の呈味改善剤。
  2. ゴボウ抽出物が水抽出物または含水エタノール抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の呈味改善剤。
  3. 高甘味度甘味料がアセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア、スクラロースから選択される1種または、2種類以上である請求項1または請求項2に記載の呈味改善剤。
  4. ゴボウ抽出物を脱臭処理することを特徴とする、請求項1から請求項3に記載の呈味改善剤の製造方法。
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