JP5848083B2 - 高甘味度甘味料の味質改善剤 - Google Patents
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詳細には、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物などの高甘味度甘味料に対して、ピロリジン及び/又はピペリジンを含有することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質改善剤、及び甘味の後引き感の改善などの味質改善方法に関する。
しかし、ショ糖は良質な甘味とコク感を有するものの、最近の健康志向や低カロリー志向から、肥満や虫歯の原因として、敬遠されるようになってきている。
特に、飲料や菓子などの嗜好品においては、低カロリー化が進んでおり、これらについて、ショ糖と同等の良質な甘味を有し、かつ、低カロリー化できる甘味料が望まれている。
しかし、高甘味度甘味料の多くは、ショ糖と同等の味質、即ち良質な甘味とコク感を有しておらず、独特の苦味や渋味を有している、甘味の発現が遅い、甘味の後引き感がある等といった欠点を持っている。
そのため、高甘味度甘味料の味質を改善して、ショ糖の味質に近づけることが望まれている。
特許文献1では、スクラロースにクエン酸やリンゴ酸などの有機酸又はその塩を添加して、甘味の後引き感を調整する方法が開示されている。
さらに、高甘味度甘味料の味質を改善する方法として、ヘスペリジン(特許文献2)、ガラクトマンナン(特許文献3)、ルチン(特許文献4)、ニゲロオリゴ糖(特許文献5)、アミノ酸(L-アスパラギン酸など、特許文献6)、キナ酸(特許文献7)などを使用する方法も提案されている。
ピロリジンやピペリジンは、従来から香料として利用されており、ピロリジンについては、特許文献8に野菜フレーバーの製造に用いられることが記載され、また、ピペリジンについては、特許文献9に魚介類フレーバーの製造に用いられることが、さらに特許文献10には、ワリニルアルコール誘導体や、ステビアやアセスルファムカリウムなどの高甘味度甘味料と共に、飲食品の呈味増強剤として使用されることが記載されている。
しかしながら、これらの特許文献1〜10には、ピロリジンやピペリジンが、高甘味度甘味料の味質を改善することは記載も示唆もされていない。
また、特許文献2〜7に記載されている各成分を用いて高甘味度甘味料の味質を改善する方法も、十分な効果があるものではなかった。
項1.ピロリジン及び/又はピペリジンを含有することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質改善剤。
項2.高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムカリウム又はステビア抽出物である、項1記載の高甘味度甘味料の味質改善剤。
項3.味質改善が、甘味の後引き感の改善、コク感の増強、又は苦味や渋味の改善である、項1又は2記載の高甘味度甘味料の味質改善剤。
また、本発明は下記に掲げる高甘味度甘味料の味質改善方法に関するものである。
項4.高甘味度甘味料を含有する飲食品、医薬品又は医薬部外品に、項1に記載の高甘味度甘味料の味質改善剤を添加することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質改善方法。
項5.高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムカリウム又はステビア抽出物である、項4記載の高甘味度甘味料の味質改善方法。
項6.味質改善が、甘味の後引き感の改善、コク感の増強、又は苦味や渋味の改善である、項4又は5記載の高甘味度甘味料の味質改善方法。
さらに、本発明は下記に掲げる高甘味度甘味料含有組成物に関するものである。
項7.ピロリジン及び/又はピペリジン、並びに高甘味度甘味料を含有する、高甘味度甘味料含有組成物。
本発明の対象となる高甘味度甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア抽出物、ソーマチン、グリチルリチン、ネオテーム、ラカンカ(羅漢果)抽出物、サッカリン、サッカリンナトリウムなどを例示することができるが、スクラロース、アセスルファムカリウム、又はステビア抽出物に用いた場合に、その味質改善効果が顕著に認められるため好ましい。
本発明に用いるステビア抽出物は、南米原産のキク科多年生植物であるステビアレバウディアナ・ベルトニの葉や茎等から、水又は有機溶媒で抽出、精製されたものであり、ステビオサイド及びレバウディオサイドAを、甘味の主成分として含有するものである。
さらに、ステビア抽出物には、α−グルコシルトランスフェラーゼ等を用いて、上記ステビア抽出物にグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理ステビアも含まれる。
また、ラカンカ(羅漢果)抽出物は、中国南部の高冷地で栽培されているウリ科の果実の生又は乾燥したものからエタノールなどで抽出されるもので、モグロシドVを甘味の主成分として含有するものである。
高甘味度甘味料1質量部に対して、ピロリジンの添加量が1×10−6質量部より少ないと高甘味度甘味料の味質改善効果が十分ではなく、また、2×10−3質量部より多いと後味にピロリジンの匂いが残るので、いずれも好ましくない。
同様に、高甘味度甘味料1質量部に対して、ピペリジンの添加量が2×10−8質量部より少ないと高甘味度甘味料の味質改善効果が十分ではなく、また、5×10−6質量部より多いと後味にピペリジンの匂いが残るので、いずれも好ましくない。
これらを改善することで、高甘味度甘味料の味質をショ糖の味質に近づけることができる。
本発明の対象となる飲食品としては、特に制限はされないが、好適には、柑橘果汁や野菜果汁等を含む果実飲料又は野菜ジュース、コーラやジンジャエール又はサイダー等の炭酸飲料、スポーツドリンク、ニアウオーター等の清涼飲料水、コーヒー、紅茶や抹茶等の茶系飲料、ココアや乳酸菌飲料等の乳飲料などの飲料一般;ヨーグルト、ゼリー、プディング及びムース等のデザート類;ケーキ、クラッカー、ビスケット、パイや饅頭等といった洋菓子及び和菓子を含む焼菓子や蒸菓子等の菓子類;米菓、スナック類;アイスクリームやシャーベット等の冷菓並びに氷菓;チューインガム、ハードキャンディ、ヌガーキャンデー、ゼリービーンズ、等を含む糖菓一般;果実フレーバーソースやチョコレートソースを含むソース類;バタークリーム、フラワーペーストやホイップクリーム等のクリーム類;イチゴジャムやマーマレード等のジャム;菓子パン等を含むパン;焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼き等に用いられるタレ、トマトケチャップ、ソース、麺つゆ等の調味料一般;蒲鉾等の練り製品、ソーセージ等の食肉加工品、レトルト食品、漬け物、佃煮、珍味、惣菜並びに冷凍食品等を含む農畜水産加工品を、広く例示することができるが、特に上記の各種飲料が好ましい。
また、本発明の対象となる医薬品としては、シロップ剤等、医薬品部外品としては、口内清涼剤、うがい剤、歯磨き等を挙げることができる。
高甘味度甘味料は、これらの飲食品や医薬品、医薬品部外品中に単独又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その種類によるが、通常0.0001〜1質量%含有され、ピロリジン及び/又はピペリジンを含有する味質改善剤は、上記割合で配合されることにより、上記の高甘味度甘味料の味質改善を行なうことができる。
飲食品に添加する際の両者の配合の時期や順序には特に制限はなく、必ずしも同一の食品中に高甘味度甘味料と味質改善剤が添加されている必要もなく、異なる食品にそれぞれ別々に含まれる場合であっても、食する時点において高甘味度甘味料と味質改善剤が共存していれば足りる。
この例としては、高甘味度甘味料を含有するヨーグルトに、別添のピロリジン及び/又はピペリジン含有する味質改善剤のソースをかけ、混ぜ合わせて食する場合などが挙げられる。
高甘味度甘味料1質量部に対し、ピロリジンであれば、1×10−6×〜2×10−3質量部、好ましくは3×10−6〜5×10−4質量部を添加し、ピペリジンであれば、2×10−8〜5×10−6質量部、好ましくは5×10−8〜1×10−6質量部を添加する。
この高甘味度甘味料含有組成物は、高甘味度甘味料とピロリジン及び/又はピペリジンとが上記割合で添加されていればよく、粉末状、顆粒状、固形状、液状といった剤型を問わず、また、一剤であるか二剤であるかも問わない。
この高甘味度甘味料含有組成物には、本発明の効果を阻害しない限度において、その他の香料、色素、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、カルシウム類、ミネラル類など、食品・食品添加物類を含むこともできる。
なお、以下の記載において、「%」は質量%を、「部」は質量部をそれぞれ示し、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を示す。
各濃度の高甘味度甘味料水溶液に対して、ピロリジン3ppb又はピペリジン0.1ppbを添加した水溶液を調製し、各水溶液を飲用したときの味質について、以下の4段階で評価した。
なお、各高甘味度甘味料の濃度は、スクラロース0.015%添加と同等の甘味になるよう調製した。
◎:顕著に味質が改善される ○:味質が改善される
△:やや味質が改善される ×:無添加区と比べて効果がない、又は異味がある
0.014%のスクラロース水溶液に、ピロリジン又はピペリジンをそれぞれ表3、表4の濃度で添加し、官能にて無添加区と比較して、実施例1と同じ基準で味質改善効果を評価した。
ピロリジン、ピペリジンはエタノールに溶解させ、1%溶液を調製した。
表5の1〜7の成分を水に撹拌溶解して、93℃まで加熱し、次いで8〜10の成分を加えて全量を100Lに合わせ、容器に充填してニアウオーターを製造した。
各ニアウオーターを官能評価した結果を、表7に示した。
Claims (3)
- ピロリジン及び/又はピペリジンを含有することを特徴とする、スクラロース又はステビア抽出物の甘味の後引き感の改善剤又はコク感の増強剤。
- スクラロース又はステビア抽出物を含有する飲食品、医薬品又は医薬部外品に、ピロリジン及び/又はピペリジンを添加することを特徴とする、スクラロース又はステビア抽出物の甘味の後引き感の改善方法又はコク感の増強方法。
- ピロリジン及び/又はピペリジン、並びにスクラロース又はステビア抽出物を含有する、スクラロース又はステビア抽出物含有組成物。
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