JP4294851B2 - オートクルーズ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、先行車との車間距離を制御する車間制御機能付きクルーズコントロール走行を行っている間に先行車を検知することができなくなったとき、該先行車を検知することができなくなった状況に従って、定速走行に移行する際の走行制御を変化させることのできるシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、車間制御機能付きクルーズコントロールシステム(以下、ACCシステムと呼ぶ)が提案され、実用化されてきている。ACCシステムは、レーダーやカメラ等を使用して先行車を検知し、先行車が検知されない場合には、設定された車速を維持する「定車速走行」を行い、先行車が検知された場合は、設定された車間距離を維持する「定車間走行」を行う。このような先行車の有無に従って車間距離および車速が調整される走行モードを、以下「車間制御モード」と呼ぶ。
【0003】
特開平11−42957号公報には、車間制御モードを実現するクルーズコントロールシステムの例が開示されている。このシステムでは、車間距離を3段階切り替えて設定することができ、現在いずれの車間距離が設定されているのかが運転者に一目でわかるように表示される。
【0004】
従来のACCシステムにおいては、設定車速より遅い先行車を追従しているときに先行車を何らかの原因で見失うと、一律に設定車速に復帰しようとして加速を開始する。図16は、このような状況を示している。図16の(a)において、自車400の前面部に搭載された物体検知装置(図示せず)は、自車の前方にレーザ光を照射し、先行車410のリフレクタ420で反射されたレーザ光を受光することにより、先行車410を検知する。自車400はACCシステムを搭載しており、検知された先行車410との車間距離が予め設定された車間距離になるよう、先行車410に追従して走行する。自車400の設定車速が100km/hに設定されている場合、先行車410の車速が80km/hならば、設定車間距離を維持するため、自車の車速は80km/hになるよう制御される。
【0005】
図16の(b)において、雨や雪などの巻き上げによって、先行車410を検知することができなくなったと仮定する。自車400のACCシステムは先行車が存在しなくなったと判定し、車速を設定車速である100km/hに上げようとして加速を開始する。その結果、図16の(c)に示されるように、自車400は先行車410に接近し、よって運転者に動揺をもたらすこととなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のACCシステムにおいては、設定車速より遅い先行車を追従しているときに先行車を何らかの原因で見失うと、実際には先行車が存在していても、一律に設定車速に復帰しようとして加速を開始する。運転者からすれば、実際に先行車が存在しているにもかかわらず加速が開始されるので、違和感を覚えることとなる。
【0007】
したがって、先行車が検知されなくなった時の状況に従って、定速走行に移行するまでの加速を制御することが必要とされている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1のオートクルーズ装置は、自車が追従すべき先行車を決定する先行車決定手段、該先行車決定手段によって先行車有りと判断されたとき、該先行車に対する自車の車間距離が予め設定された設定車間距離になるよう、予め設定された設定車速を上限として車速を制御する追従走行手段、前記先行車決定手段によって先行車無しと判断されたとき、現在の車速が前記設定車速になるよう車速を制御する定速走行手段を備えるオートクルーズ装置において、前記追従走行手段によって走行制御されている間、前記先行車決定手段によって、前回のサイクルで決定された先行車が今回のサイクルで決定されなかったとき、該先行車が決定されなかった状況を判定するロスト判定手段と、該ロスト判定手段によって判定された状況に従って、移行パラメータを設定する移行パラメータ設定手段とを備え、前記定速走行手段は、前記移行パラメータ設定手段によって移行パラメータが設定されたとき、該移行パラメータに従う走行制御を実行した後、前記設定車速による定速走行制御に移行するという構成をとる。
【0009】
この発明によると、先行車を決定することができなかった状況に従う走行制御が実行された後に定速走行が開始されるので、実際に先行車が存在する場合には、加速がいきなり開始されることを回避することができ、先行車が存在しない場合には、速やかに定速走行に移行することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明のオートクルーズ装置において、自車の前方にある物体を検知する物体検知手段と、自車の走行状態に基づいて自車の走行車線を推定する自車線推定手段とをさらに備えており、先行車決定手段は、物体検知手段によって検知された物体のうち、前記自車線推定手段によって推定された走行車線上にある移動物体を先行車と決定し、ロスト判定手段は、前回のサイクルにおいて決定された先行車が、今回のサイクルにおいて前記物体検知手段によって検知されなかったとき、先行車が前記推定走行車線上に存在するにかかわらず検知されることができない状況であると判定するという構成をとる。
【0011】
この発明によると、実際には先行車が自車の推定走行車線上の存在するにかかわらず先行車を検知することができなかった状況を判定することができるので、実際には先行車が存在すると想定した対応を行うことができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明のオートクルーズ装置において、自車の前方にある物体を検知する物体検知手段と、自車の走行状態に基づいて自車の走行車線を推定する自車線推定手段とをさらに備えており、先行車決定手段は、物体検知手段によって検知された物体のうち、前記自車線推定手段によって推定された走行車線上にある移動物体を先行車と決定し、ロスト判定手段は、前回のサイクルにおいて決定された先行車が、今回のサイクルにおいて、物体検知手段によって検知されたが、先行車決定手段によって決定されなかったとき、先行車が推定走行車線から外れたために先行車を検知することができない状況であると判定するという構成をとる。
【0013】
この発明によると、自車の推定走行車線から先行車が外れたために先行車を検知することができなかったという状況を判定することができるので、速やかに定速走行に移行することができるようになる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2の発明のオートクルーズ装置において、移行パラメータ設定手段は、前記設定車速まで加速する際の加速度を低く設定し、該低く設定された加速度を、移行パラメータとして設定するという構成をとる。
【0015】
この発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では加速度が低く設定されるので、通常の加速度でいきなり加速が開始されることを回避することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4の発明のオートクルーズ装置において、移行パラメータ設定手段は、前記設定した低加速度による走行が行われる時間を設定し、前記低く設定された加速度および該低加速度による走行が行われる時間を移行パラメータとして設定するという構成をとる。
【0017】
この発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では加速度が低く設定され、かつ低加速度による走行が行われる時間が設定されるので、緩やかな加速度でスムーズに定速走行へ移行することができるようになる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項2の発明のオートクルーズ装置において、移行パラメータ設定手段は、前記設定車速まで加速することを抑止する時間を設定し、該加速抑止時間を、移行パラメータとして設定するという構成をとる。
【0019】
この発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では、加速を開始するタイミングを遅らせるので、いきなり加速が開始されることを回避することができる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項2の発明のオートクルーズ装置において、先行車までの距離を検出して該先行車の相対速度を算出する相対速度算出手段と、先行車決定手段によって、前回のサイクルで決定された先行車が今回のサイクルで決定されなかったとき、過去のサイクルで決定された先行車の相対速度に基づいて、所定期間の間、該先行車の補間データを作成する補間手段とをさらに備えており、移行パラメータ設定手段は、前記補正データが作成される所定期間の長さを移行パラメータとして設定し、定速走行手段は、前記所定期間の間、定速走行の実行を抑止し、追従走行手段は、該所定期間の間、前記補間手段から受け取った補間データに基づいて追従走行を実行するという構成をとる。
【0021】
この発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では、所定期間の間補間データに基づいて追従走行が行われるので、通常の加速度でいきなり加速が開始されることを回避することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項3の発明のオートクルーズ装置において、ロスト判定手段は、自車が車線変更を行った状況を判定し、移行パラメータ設定手段は、前記設定車速まで加速する際の加速度を高く設定し、該高く設定された加速度を、移行パラメータとして設定するという構成をとる。
【0023】
この発明によると、自車の走行車線から先行車が外れたために先行車を見失った状況では加速度が高く設定されるので、速やかに定速走行に移行することができる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項3の発明のオートクルーズ装置において、ロスト判定手段は、自車が車線変更を行った状況を判断し、移行パラメータ設定手段は、前記車速設定手段によって設定された車速までの加速を開始する時期を早めに設定し、該早めに設定された加速開始時期を、移行パラメータとして設定するという構成をとる。
【0025】
この発明によると、自車の走行車線から先行車が外れたために先行車を見失った状況では、加速開始タイミングが早まるので、速やかに定速走行に移行することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項8または請求項9の発明のオートクルーズ装置において、ヨーレートセンサをさらに備えており、ロスト判定手段は、ヨーレートセンサから検出されるヨーレートが、一方の方向に所定量以上変化した後に他方の方向に所定量以上変化した場合に、自車が車線変更を行ったと判定するという構成をとる。
【0027】
この発明によると、自車の車線変更が、ヨーレートの変化の向きおよび変化量に従って判定されるので、自車が車線変更を行ったかどうかを正確に判定することができ、よって走行車線上に存在する先行車を検知することができないのか、または先行車が走行車線から外れたために該先行車を検知することができなかったのかを正確に判断することができる。
【0028】
請求項11の発明は、請求項8または請求項9の発明のオートクルーズ装置において、自車の前方にある停止物を検知する停止物検知手段をさらに備えており、ロスト判定手段は、停止物検知手段によって検知された停止物の水平方向における位置が、一方の方向に所定量以上変化した後に他方の方向に所定量以上変化した場合に、自車が車線変更を行ったと判定するという構成をとる。
【0029】
この発明によると、自車の車線変更が、停止物の左右方向の位置の変化の向きおよび変化量に従って判定されるので、自車が車線変更を行ったかどうかを正確に判定することができ、よって走行車線上に存在する先行車を検知することができないのか、または先行車が走行車線から外れたために該先行車を検知することができなかったのかを正確に判断することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施形態に従う物体検知装置の構成をブロック図で示したものである。
【0031】
物体検知装置1は、送光部2、送光走査部3、受光部4および距離計測処理部5を備え、自車の前方にある物体の距離、方向および相対速度を検出する。送光部1は、レーザーダイオード10と、レーザーダイオード10から送出されたレーザ光を集光する送光レンズ11と、レーザーダイオード10を駆動するレーザーダイオード駆動回路12とを備える。送光走査部3は、レーザーダイオード10から送光レンズ11を介して出力されたレーザーを反射して、前方に光を照射する送光ミラー13と、送光ミラー13を上下軸を中心に往復回動させるモータ15と、該モータ15の駆動を制御するモータ駆動回路16とを備える。受光部4は、受光レンズ17と、受光レンズ17で収束された反射波を受けて電気信号に変換するフォトダイオード18と、フォトダイオード18の出力信号を増幅する受光アンプ回路19とを備える。
【0032】
距離計測処理部5は、レーザーダイオード駆動回路12およびモータ駆動回路16を制御する制御回路24と、ACCシステム30との間で通信を行う通信回路26と、レーザーの送光から受光までの時間をカウントするカウンタ回路27と、物体までの距離、物体の方向および相対速度を算出する中央演算処理装置(CPU)28とを備える。
【0033】
図1を参照して、物体検知装置1の動作を説明する。制御回路24は、LD駆動回路12に発光指令を出し、レーザーダイオード10をパルス発光(レーザー光の波長は、たとえば870nmである)させる。それと同時に、制御回路24は、発光タイミングをカウンタ回路27に送り、カウンタを起動する。レーザーダイオード10によって送出されたレーザー光は送光レンズ11で集光され、送光ミラー13に送られる。送光ミラー13はモーター15によって左右に駆動されており、こうしてレーザ光は、送光ミラー13によって左右に走査される。送光ミラー13によってレーザ光が送出された時の送光ミラー13の角度は、制御回路24を通ってCPU28に送られる。
【0034】
送出されたレーザ光は、前方にある物体のリフレクタ(先行車の場合、テールランプにリフレクタが埋め込まれている)で反射される。受光レンズ17は、反射されたレーザ光を受光し、受光された光はフォトダイオード18によって電気信号に変換され、さらに受光アンプ回路19によって増幅される。増幅された信号はカウンタ回路27に送られ、これによって、上記の送光タイミングで回り始めたカウンタが停止する。カウンタ値はCPU28に送られる。CPU28は、上記の送光ミラーの角度およびカウンタ値から、前方の物体の方向および物体までの距離を算出する。具体的には、以下の式によって物体までの距離が算出される。こうして、物体の位置が特定される。
【0035】
【数1】
距離=光の速度(約30万キロメートル/秒)×発光から受光までの経過時間/2
【0036】
図2は、物体検知装置1から照射されるレーザ光が走査する範囲を示す。図に示されるように、物体検知装置1は、先行車の巻き上げの影響や汚れを受けにくく、左右の車両を均等に検知することのできる自車のフロントグリル中央に設けられるのが好ましい。物体検知装置1から送出されたレーザ光は、左右方向に狭く、上下方向に58mrad(ミリラジアン、58mradは、約3.3度に対応する)の大きさを有する扇形のビームであり、所定の周期(たとえば、0.1秒)で左右方向に280mrad(約16度)の往復移動を行い、自車前方を走査する。
【0037】
図3は、物体検知装置によって実行される、物体を検知して物体の位置および相対速度を算出する方法を示すフローチャートである。物体検知は、所定のサイクル(たとえば、100ミリ秒)で繰り返し実行される。
【0038】
ステップ101において、検知エリア内のすべての反射物を検出して反射物メモリに記憶し、所定の範囲内(たとえば、左右方向および前後方向ともに±1.5m以内)に存在する反射物データに同じ仮ナンバーを付ける(102)。次に、同じ仮ナンバーが付与された反射物データを1つのターゲットとし、ターゲットごとに、反射物データの距離の平均値、左右位置の平均値、および左右幅(左右両端に位置する2個の反射物データ間の距離)を算出し、ターゲットメモリに保存する(103)。
【0039】
ステップ104において、移動物ターゲットの引継を行う。具体的にいうと、前回のサイクルのターゲットメモリから移動物ターゲットを読み出し、その位置と相対速度とから、該移動物ターゲットの今回のサイクルにおける位置を予測する。今回のサイクルで検知されたターゲットのうち、予測した位置に最も近いターゲットを、前回検知された移動物ターゲットと同一と判定し、前回の位置と今回の位置との差分に基づいて相対速度を算出する。
【0040】
次に、ステップ105において、停止物ターゲットの引継を行う。具体的にいうと、前回のサイクルのターゲットメモリから停止物ターゲットを読み出し、その位置と相対速度とから、該停止物ターゲットの今回のサイクルにおける位置を予測する。今回検知されたターゲットのうち、予測した位置に最も近いターゲットを、前回検知された停止物ターゲットと同一と判定し、前回の位置と今回の位置との差分に基づいて相対速度を算出する。
【0041】
ステップ106において、新規ターゲットの引継を行う。具体的にいうと、前回のサイクルのターゲットメモリから新規ターゲットを読み出し、今回検知されたターゲットのうち、前回検知された新規ターゲットの位置に最も近いターゲットを同一とする。前回検知された新規ターゲットと、今回検知され同一と判定されたターゲットとから、相対速度を算出する。
【0042】
ステップ107において、今回検知されたターゲットにおいて、前回のサイクルから引き継ぐべきターゲットが存在しない(すなわち、前回のサイクルでは検知されたが、今回のサイクルでは、対応するターゲットが検知されなかった)とき、前回検知されたターゲットについて補間処理を行う。補間処理は、過去の相対速度に基づいて今回のサイクルのターゲットの位置を予測することによって行うことができる。
【0043】
一方、ステップ108では、今回検知されたターゲットのうち、前回のサイクルで存在しないターゲット(すなわち、今回のサイクルで新たに検知されたターゲット)に対して、新しいターゲットナンバーを付与する。
【0044】
ステップ109において、ターゲットのそれぞれについて自車速と相対速度とを比較し、自車速の負の値に近い相対速度を有するターゲットを停止物ターゲットとし、自車速の負の値から離れた相対速度を有するターゲットを移動物ターゲットとする(属性の判定)。
【0045】
こうして、物体検知装置1によって、レーザーダイオードの検知エリア内にある物体のそれぞれについて求められた物体の位置、相対速度および属性は、ACCシステム30に転送される。
【0046】
物体検知は、他の任意の方法によって実現することができる。たとえば、レーザーレーダの代わりにミリ波レーダを使用することができる。または、CCDカメラのような撮像装置を使用して、物体の位置および相対速度を求めることもできる。または、レーダー装置と撮像装置を組合せることにより、自車前方にある物体を認識することもできる。
【0047】
図4は、図1に示されるACCシステム30の機能ブロック図である。ACCシステム30は、先行車を検知しない場合は設定車速を維持する定車速走行を行い、先行車を検知した場合は設定された車間距離を維持する定車間走行を行うシステムである。ACCシステム30は、実際には、中央演算処理装置(CPU)、制御プログラムおよび制御データを格納する読み出し専用メモリ(ROM)、CPUの演算作業領域を提供し様々なデータを一時記憶することができるランダムアクセスメモリ(RAM)を備える電子制御ユニット(ECU)によって実現される。
【0048】
ACCシステム30の入力には、物体検知装置1、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ41、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ42、および運転者がウィンカーを点灯させるときに操作するウィンカースイッチ44が接続されている。さらに、ACCシステム30の入力には、車間制御に関して運転者が操作することができるクルーズコントロールスイッチ43が接続されている。クルーズコントロールスイッチ43は、車間制御機能のオン/オフ状態を切り替えるクルーズスイッチ61、運転者が車間距離を設定する時に操作するディスタンススイッチ62、運転者が車速の設定、車間制御機能の一時的解除、および車間制御機能の再開を行う時に操作するセット・リジューム・キャンセルスイッチ63から構成される。
【0049】
ACCシステム30の出力には、車速制御部55からの指示に従ってエンジンスロットルを制御するスロットルアクチュエータ46、およびブレーキを作動させるブレーキアクチュエータ47が接続されている。さらに、ACCシステム30の出力には、車間制御部52からの指示に従って車間制御の作動状態および設定状態を表示するディスプレイ48、および車間制御部52からの指示に従ってブザーを発する警告ブザー49が接続されている。
【0050】
ACCシステム30は、先行車決定部51、車間制御部52、および車速制御部55を備える。先行車決定部51は、ヨーレートセンサ41および車輪速センサ42から受け取ったヨーレートおよび車速に基づいて自車の走行軌跡を推定する。一方、先行車決定部51は、物体検知装置1によって検知された移動物体のそれぞれの位置および相対速度を受け取る。先行車決定部51は、物体検知装置1から受け取ったそれぞれの物体のうち、推定した自車の走行軌跡上に存在する移動物体の中で最も自車に近い物体を先行車と決定する。
【0051】
車間制御部52は、クルーズスイッチ61がON状態にされたことに応答して、車間制御を開始する。車間制御に従って走行する車間制御モードは、2つの走行モード、すなわち追従走行モードおよび定速走行モードに大別されることができ、それぞれの走行モードは、追従走行部53および定速走行部54によって制御される。
【0052】
追従走行モードは、設定車速を上限として、先行車との車間距離が設定車間距離を維持するよう先行車を追従する走行モードである。追従走行部53は、先行車決定部51から受け取った車間距離と、ディスタンススイッチ62を介して受け取った設定車間距離との差を算出し、該差がゼロになるよう目標車速を算出する。定速走行モードは、先行車が存在しないとき、設定車速を維持するよう走行するモードである。定速走行部54は、先行車決定部51による先行車無しの判定に応答して、現在の車速が設定車速になるよう目標車速を算出する。
【0053】
追従走行部53および定速走行部54は、必要に応じて、減速制御および加速制御を行う。言い換えると、追従走行部53は、先行車の車速が自車の車速よりも遅いとき、先行車に接近しすぎないよう減速制御を行い、先行車の車速が自車の車速よりも速いとき、先行車に追従するよう加速制御を行う。これらの加減速制御は、現在の車間距離と設定車間距離を比較し、設定車間距離になるよう目標車速を調整することによって達成される。
【0054】
また、定速走行部54は、たとえば設定車速よりも遅い車速で先行車に追従していた状況において先行車がいなくなったとき、設定車速になるよう加速制御を行い、先行車が存在しない状況で設定車速が新たに低く設定されたとき、該新たに設定された車速になるよう減速制御を行う。これらの加減速制御は、現在の車速と設定車速を比較し、設定車速になるよう目標車速を調整することによって達成される。
【0055】
車間制御部52は、現在のACCシステムの設定状況および作動状況をディスプレイ48に表示する。また、車間制御部52は、先行車に近づきすぎた場合など運転者に注意を促す必要がある場合には、警告ブザー49を駆動する。
【0056】
車速制御部55は、車間制御部52から受け取った目標車速になるよう、スロットルアクチュエータ46を制御する。減速をする場合に、スロットル制御による減速でも減速度が足りないときは、車速制御部55はブレーキアクチュエータ47を駆動してブレーキを作動させる。
【0057】
ACCシステム30は、さらに車線変更判定部56、ロスト判定部57および移行パラメータ設定部58を備え、先行車を検知することができなかった状況に従う走行制御を実行する。
【0058】
以下の説明において、「先行車が検知された」というのは、特に限定の無い限り、先行車が、物体検知装置1によって物体として検知され、かつ先行車決定部51によって先行車として決定されたことを示す。したがって、「先行車が検知されない」というのは、特に限定の無い限り、物体検知装置1によって物体として検知されない場合、または先行車決定部51によって先行車として決定されない場合の両方が含まれる。
【0059】
車線変更判定部56は、自車の走行状態に基づいて、自車が車線変更を行ったかどうか判断する。たとえば、車線変更部56は、以下の場合に自車が車線変更を行ったと判定することができる。
1)ウィンカースイッチ44から、ウィンカースイッチが右または左にオンにされたことを示す信号を受け取った。
2)ヨーレートセンサ47によって検出されたヨーレートが、一方の方向に所定量以上変化した後、他方の方向に所定量以上変化した。
3)物体検知装置1によって検知された停止物の左右方向の移動量が、一方の方向に所定量以上変化した後、他方の方向に所定量以上変化した(この判断方法については、図9を参照して後述する)。
【0060】
ロスト判定部57は、先行車決定部51によって先行車が決定されなかった(これを先行車ロスト、または単にロストと呼ぶ)状況を判定する。具体的には、先行車ロストが、先行車決定部51によって推定された走行軌跡上に先行車が存在する状況で発生したのか、それとも先行車が推定走行軌跡から外れた状況で発生したのかを判断する。さらに後者の場合、車線変更判定部56による判定結果に基づいて、先行車ロストが、先行車または自車の車線変更のいずれに起因するかを判断する。その後、ロスト判定部57は、先行車ロストが発生した状況に従って、ロスト後の対応策を選択する。
【0061】
移行パラメータ設定部58は、ロスト判定部57によって選択された対応策に従って、該対応策で使用するパラメータを設定する。パラメータには、加速度や加速度の持続時間などを含めることができる。
【0062】
移行パラメータ設定部58によって設定されたパラメータは車間制御部52に渡される。車間制御部52は、移行パラメータに従って目標車速を算出し、これを車速制御部55に渡す。こうして、先行車ロストが発生した状況に従う走行制御が実行される。移行パラメータに従う走行制御を完了した後、定速走行部54は、現在の車速が設定車速になるよう通常の加減速制御を実行する。現在の車速が設定車速になった後は、該設定車速による定速走行を行う。
【0063】
次に、クルーズコントロールスイッチ43およびディスプレイ48について簡単に説明する。図5は、車内のステアリングホイール近傍を示す。図に示されるように、クルーズスイッチ61およびディスタンススイッチ62は、ステアリングホイールの右下に配置されており、セット・リジューム・キャンセルスイッチ63は、ステアリングホイール上に配置されている。コンビネーション・メーター71の手前にはディスプレイ48が配置されており、ディスプレイ48には、ACCシステムの設定状態および作動状態が表示される。
【0064】
図6の(a)に示されるスイッチは、ON/OFFシーソー型のクルーズスイッチの例である。ON側を押すとACCシステムが起動され、「ON」の横にある表示灯66が点灯する。OFF側を押すと表示灯66が消灯し、ACCシステムがオフ状態にされる。
【0065】
図6の(b)に示されるディスタンススイッチ62は、車間距離を設定するためのスイッチである。設定車間距離は、長・中・短の3段階に切り替えることができる。車間距離は、車頭時間(自車が、現在の車速で走行した場合に現在の先行車の位置に達するまでの時間)で表され、「長」は2.5秒に対応し、「中」は2.1秒に対応し、「短」は1.7秒に対応する。たとえば、自車の車速を80km/hとすると、「長」は約56mに対応し、「中」は約47mに対応し、「短」は約38mに対応する。ディスタンススイッチのLONG(ロング)側を押すと、設定車間距離は1段階だけ長くなり、SHORT(ショート)側を押すと、設定車間距離は1段階だけ短くなる。
【0066】
図6の(c)に示されるセット・リジューム・キャンセルスイッチ63は、SET/DECELスイッチ、CANCELスイッチおよびRES/ACCELスイッチから構成される。SET/DECELスイッチは車速を設定するためのスイッチであり、アクセルペダルを加減して所望の車速になったときにSET/DECELスイッチを押して離すと、離したときの車速が設定車速としてセットされる。車速を設定した後、RES/ACCELスイッチを1回押すたびに、所定量(たとえば、2km/h)だけ設定車速を上げることができ、反対にSET/DECELスイッチを1回押すたびに、所定量(たとえば、2km/h)だけ設定車速を下げることができる。CANCELスイッチは、ACCシステムによる車間制御を一時的に解除するためのスイッチである。解除した後も、設定車速がディスプレイ48(図7)に表示されている場合は、RES/ACCELスイッチを押すことにより、車間制御を再開することができる。
【0067】
図7の(a)は、ディスプレイ48の表示例を示す。参照番号75で示されるRADER/OFF表示は、ACCシステムが自動で解除されたときに所定時間(たとえば、5秒間)だけ表示される。参照番号76の領域には、設定車速が表示される。設定車速まで加速している間は、車速が点滅表示される。参照番号77で示される「NO TARGET」表示は、先行車が検知されないときに表示される。
【0068】
参照番号78の車の表示は先行車を示し、先行車が検知されている場合に表示される。参照番号80の車の表示は、自車を示す。先行車78と自車80の間の参照番号79で示される領域には、設定車間距離が表示される。設定車間距離は、3段階(長、中および短)のバーで表示される(図7の(b)を参照)。すなわち、バーが3本のときは設定車間距離が長に、2本のときは中に、1本のときは短に設定されていることを示す。参照番号81で示される「BRAKE」表示は、先行車に接近しすぎたときなど運転者によるブレーキ操作が必要なときに、警告ブザーと共に点滅表示する。
【0069】
図8は、先行車決定部51によって実行される先行車決定方法を説明するための図である。三角形の領域92は、自車90に搭載された物体検知装置によって検知されることのできる検知エリアを示す。一方、先行車決定部51は、ヨーレートセンサ41および車輪速センサ42によって検出されたヨーレートおよび車速から等速円運動を仮定することにより、自車の走行軌跡(推定自車軌跡と呼ぶ)93を算出する。次に、先行車決定部51は、推定自車軌跡93を中心に所定幅を持たせた領域(たとえば、推定自車軌跡93を中心に±2mの領域)を、推定自車線94として算出する(すなわち、2本の曲線95に挟まれた領域)。先行車決定部51は、物体検知装置によって検知された移動物体のうち、推定自車線94と検知エリア92とが重なり合う領域に存在する物体の中で自車に最も近い物体を先行車91と決定する。こうして、先行車が検知される。なお、道路の曲率が変化する場合は、先行車が推定自車線上から外れてしまうので、ある条件の下に補間を行うのが好ましい。
【0070】
図9は、車線変更判定部56によって実行される判定方法のうちの1つ、すなわち、物体検知装置によって検知された停止物の左右方向の移動量が、一方の方向に所定量以上変化した後、他方の方向に所定量以上変化した場合に、自車が車線変更を行ったと判定する方法を説明するための図である。この実施例では、停止物の左右方向の位置の移動量を、自車と停止物とがなす角度の変化を検出することによって計測する。図9は、自車200が、右側の追い越し車線に車線変更する様子を示す。自車200の右側前方には、停止物210が存在すると仮定する。
【0071】
図9の(a)において、自車200は、矢印220の方向に向かって走行している。自車200に搭載された物体検知装置は停止物210を検知し、その距離D1、および左右位置w1を検出する。ここで、左右位置w1は、自車200を中心にして右側にある場合を+で表し、左側にある場合を−で表す。自車の走行方向と停止物とがなす角(これを、停止物角と呼ぶ)θ1は、sinθ1=w1/D1で表される。
【0072】
次に、図9の(b)に示されるように、自車200は、車線変更を行おうとして矢印221の向きに進路を変える。物体検知装置は停止物210を検知し、その距離D2および左右位置w2を検出する。停止物角θ2は、sinθ2=w2/D2で表される。その後、図9の(c)に示されるように、自車200は車線変更を完了し、矢印222の向きに戻って走行する。物体検知装置は停止物210を検知し、その距離D3および左右位置w3を検出する。停止物角θ3は、sinθ3=w3/D3で表される。
【0073】
図9の(d)のグラフは、図9の(a)〜(c)における停止物角θの遷移を示す。停止物角のsinθは、自車が車線変更を行おうとして向きを変えるにつれて負の方向に変化し、自車が車線変更を完了しようとして再び向きを戻すにつれて正の方向に変化する。このことは、停止物が自車の左側に存在する場合も同じである。したがって、停止物角が、所定量以上負の方向に変化した後、所定量以上正の方向に変化した場合、自車が右側車線に車線変更したと判定することができる。この停止物角の単位時間当たりの変化量を横移動角と呼ぶとすると、横移動角が所定値より小さい負の値を示した後、所定値より大きい正の値を示した場合、自車が右側車線に車線変更したと判定することができる。反対に、横移動角が所定値より大きい正の値を示した後、所定値より小さい負の値を示した場合、自車が左車線に車線変更したと判定することができる。
【0074】
図10は、ロスト判定部によって判定される3つの状況を示す図である。三角形の領域260は、自車250に搭載された物体検知装置が検知することのできる検知エリアを示し、2本の曲線(または直線)275で挟まれた領域270は推定自車線を示し、グレイで塗りつぶされた領域280は、検知エリア260と推定自車線270が重なり合う領域を示す。
【0075】
図10の(a)は、先行車251が、検知エリア260内に含まれ、かつ推定自車線270内に含まれる状況を示す(自車250が走行車線上を直進しているので、推定自車線270は、実際の走行車線と同じ領域を示す)。このような状況における先行車ロスト(先行車決定部が先行車を決定することができないこと)は、先行車が実際には存在するにもかかわらず、物体検知装置が何らかの原因で先行車を物体として検知することができなかった状況を示している。
【0076】
図10の(b)および(c)は、先行車251が、検知エリア260内には含まれるが、推定自車線270内には含まれない状況を示す。このような状況における先行車ロストは、先行車が推定自車線から外れたために先行車決定部が先行車を決定することができなかった状況を示している。自車が車線変更したかどうかを判定することにより、図10の(b)の先行車251による車線変更に起因して先行車ロストが発生した状況と、図10の(c)の自車250による車線変更に起因して先行車ロストが発生した状況とを区別することができる。
【0077】
図11に、先行車ロストが発生する状況、原因、対応策および移行パラメータを一覧にして示す。図11において使用される所定時間の値は例示であり、他の任意の値を使用することができる。また、図11に示される左向きの矢印は、該矢印が示された欄の左欄に示される制御と同じ制御が継続して行われることを示す。また、図11における「表示1」および「表示2」は、たとえば例として図12に示される表示1および表示2がディスプレイに表示されることを示す。表示1は追従走行が行われている状態を示し、表示2は、推定自車線上に先行車が検知されていない状態を示す。
【0078】
移行パラメータは、前述したように、定速走行モードに移行する際に使用されるパラメータである。したがって、ロスト後所定期間(図11の例では、ロスト発生後1秒の間)に先行車が再び検知された場合には設定されない。この場合には、追従走行が再開される。
【0079】
図10を参照して述べたように、先行車ロストが発生する状況は、A)推定自車線上に存在する先行車を検知することができない、およびB)先行車が推定自車線上から外れために先行車を検知することができない、の2つに大別される。
【0080】
ロスト状況Aは、物体検知装置が先行車を検知することができない状況を示しており、原因としては以下のようなものが考えられる。
1)降雨、降雪、霧、雨などの巻き上げ
2)先行車の汚れやリフレクタの破損
3)先行車のリフレクタの位置が高すぎる、または低すぎる、または幅は広い
4)道路の勾配が急である、または自車が上下にピッチングした
5)検知できない車両による割り込みが起こった
6)検知エリア外の小さなコーナーに進入した
【0081】
ロスト状況Bは、推定自車線上に先行車が存在しないために先行車決定部が先行車を決定することができない状況を示しており、これは、以下の2つの要因に基づいて発生する。
7)先行車が車線変更した
8)自車が車線変更した
【0082】
ロスト状況AおよびBが組合わさって先行車ロストが発生することもありうるが、この場合は、結果的にはロスト状況Bのみが起こった場合と同じとみなすことができる。
【0083】
次に、ロスト状況A、すなわち推定自車線上で先行車ロストが発生した場合の対応策を考える。この場合は、実際には先行車が存在するにもかかわらず、物体検知装置が先行車を検知することができない状況であるので、まだ先行車が存在すると想定した対応を行う。
【0084】
対応策1:先行車検知データの補間時間を設定する。
先行車は実際には存在するので、一時的にロストしても再度検知することがありうる。したがって、再度検知する可能性のある時間を予め設定し(図11の例では、ロスト後1秒まで)、その間は、それまでの検知データに基づいて先行車の動きを予測して、補間データを作成する。補間データは、前回(またはそれ以前)のサイクルにおいて検知された先行車の相対速度に基づいて、今回のサイクルにおける該先行車の位置を予測することによって作成されることができる。補間中に先行車を検知することができなかった場合は、補間期間の終了後、運転者に先行車ロストを通知し(たとえば、警告ブザーと共に、図12の表示2にディスプレイの表示を切り替えることにより)、設定車速に向けて加速を開始する。移行パラメータとしては、補間処理が行われる期間(図11の例では、ロスト後1秒間)が設定される。一方、補間中に再度先行車を検知した場合は追従走行が再開される。この場合、運転者は、先行車ロストを認識することはない。
【0085】
対応策2:加速抑止フラグを、所定時間の間オンにする。
先行車は実際には存在するので、先行車をロストしたことを運転者に通知し、かつ設定車速に向けて加速を開始する時期を所定時間だけ遅らせる。こうして、運転者には、次の動作を取る時間的余裕が与えられる。次の動作としては、たとえば先行車を追い越す動作を始める、車間制御を解除して(たとえば、キャンセルスイッチをオンにすることにより)運転者自身によって車速を調整する、設定車速を先行車の車速よりも遅くして定速走行を行う、などが考えられる。
【0086】
移行パラメータとしては、加速抑止フラグをオンにする持続時間(すなわち、加速開始を遅らせる時間であり、図11の例では、ロスト後1秒間)が設定される。加速抑止フラグがオンにされている時間内に再度先行車を検知した場合は、追従走行が再開される。この場合、運転者はすでにロストしたことを通知されているが、車両の走行制御は変更されないので、運転者は違和感無く追従走行を継続することができる。
【0087】
対応策3:加速度を低くする。
先行車は実際には存在するので、先行車をロストしたことを運転者に通知し、かつ設定車速に向けて緩やかな加速度で加速を開始する。加速が緩やかに行われるので、運転者に次の動作を取らせる時間的余裕を与えることができる。次の動作としては、たとえば先行車を追い越す動作を始める、車間制御を解除して(たとえば、キャンセルスイッチをオンにすることにより)運転者自身によって車速を調整する、設定車速を先行車の車速よりも遅くして定速走行を行う、などが考えられる。
【0088】
ロスト後所定時間内に先行車を検知することができない場合は、該所定時間経過後に通常の加速度に戻し、加速走行を継続する。移行パラメータとしては、車間制御部による通常の加速制御よりも低めに設定された加速度、および該低加速度を持続する期間(図11の例では、ロスト後5秒間)が設定される。ロスト後所定時間内に再度先行車を検知することができた場合は、追従走行を再開する。この場合、運転者はすでにロストしたことを通知されているが、車間距離の変化が小さいので、運転者は違和感無く追従走行を継続することができる。
【0089】
ロスト状況B、すなわち推定自車線から外れて先行車ロストが発生した場合であって、このロストが、先行車の車線変更に起因する場合の対応策は、以下のようなものが考えられる。
【0090】
対応策4:正常な状態における先行車ロストに相当するので、車間制御部による通常の加速制御と同じ方法で、設定車速まで加速が開始される。移行パラメータとしては、通常の加速度が設定される。
【0091】
次に、ロスト状況B、すなわち推定自車線から外れて先行車ロストが発生した場合であって、これが、自車の車線変更に起因する場合の対応策を考える。この場合は、自車が自ら先行車ロストを発生させた状況に相当するので、速やかに設定車速まで加速する。対応策としては以下のものが考えられる。
【0092】
対応策5:加速開始までの時間を短くする。
通常の車間制御が、自車が推定自車線から外れた時点で先行車無しと判定され、設定車速まで加速を始めるのに対し、この対応策は、先行車および自車の動き(たとえば、ヨーレートの変化)から自車の車線変更を予測し、完全に自車が推定自車線を外れる前から運転者に先行車ロストを通知し、加速を開始する。その結果、加速中に推定自車線上に先行車が検知されなかった場合は、設定車速に復帰するまでの時間が通常の車間制御よりも短くなる。移行パラメータとしては、加速開始タイミング(図11の例では、ロスト前3秒)が設定される。一方、加速中に再度推定自車線上に先行車が検知された場合は、追従走行が再開される。
【0093】
対応策6:加速度を高くする。
通常の車間制御が、自車が推定自車線から外れた時点で先行車無しと判定され、設定車速まで加速を始めるのに対し、この対応策は、先行車および自車の動きから自車の車線変更を予測し、予め決められた加速度よりも高い加速度で加速を開始する。その結果、加速中に推定自車線上に先行車が検知されなかった場合は、設定車速に復帰するまでの時間が、通常の車間制御よりも短くなる。移行パラメータとしては、通常の車間制御による加速制御よりも高めに設定された加速度が設定される。一方、加速中に再度推定自車線上に先行車が検知された場合は、追従走行が再開される。
【0094】
図11に示される対応策はそれぞれ独立しているので、組み合わせて実行することが可能である。
【0095】
図13は、先行車をロストしたときの状況に従って加速を制御するフローチャートを示す。このフローチャートは、一定のサイクル(たとえば、100ミリ秒)で繰り返し実行される。ステップ301および302は、図3を参照して前述したように、物体検知装置によって実行される物体検知処理を示す。すなわち、検知エリア内のターゲットをすべて検知してターゲットメモリに記憶し、該記憶されたターゲットデータを移動物と停止物とに分類する。一方、図8を参照して前述したように、先行車決定部により、ヨーレートおよび車速に基づいて自車の推定自車線が算出される(303)。ステップ304において車線変更判定ルーチンを実行し、自車が車線を変更したかどうかを判断する。ステップ305において、ステップ302で分類された移動物ターゲットのうち、ステップ303で算出された推定自車線上に存在するものを先行車と決定する。
【0096】
ステップ306に進み、先行車決定部によって先行車が決定されたならば、車間制御部によって実現される定車間走行(すなわち、設定車間を維持する走行)を実行する(307)。すなわち、先行車と自車の現在の車間距離と、ディスタンススイッチを介して設定された設定車間距離とを比較し、前者が後者より大きければ加速制御を行い(309)、前者と後者が同じならば定速制御を行い(311)、前者が後者より小さければ減速制御を行う(312)。
【0097】
ステップ306において先行車無しと判定されたならば、ロスト判定ルーチンを実行して先行車ロストの状況を判定し(313)、判定されたロスト状況に従って加速度を設定する。ステップ314に進み、ロスト判定ルーチンによって設定された加速度に従って制御された自車の現在の車速と、セット・リジューム・キャンセルスイッチを介して設定された設定車速とを比較する。前者が後者より大きければ減速制御を行い(315)、前者と後者が同じならば定速制御を行い(316)、前者が後者より小さければ加速制御を行う(317)。こうして、先行車ロストが発生した状況に従って設定された加速度により走行制御され、車速が設定車速に到達した後は、設定車速による定速走行が実行される。
【0098】
図14は、図13のステップ304で実行される車線変更判定ルーチンのフローチャートである。複雑になるのを回避するため、この実施例においては、左側通行の交通環境を想定しており、左車線を走行していた自車が右側の追い越し車線に車線変更すると仮定する。
【0099】
ステップ351において、ウィンカースイッチが右側にオンにされたかどうか判断する。オンされたならば、ステップ365に進み、車線変更フラグをオンにする。オンにされていなければ、ステップ352に進む。
【0100】
ステップ352〜357は、ヨーレート値に基づいて車線変更が行われたかどうかを判断するステップである。自車が左車線から右車線に車線変更した場合には、自車は右に旋回した後左に旋回するので、ヨーレート値は、正の値を示した後に負の値を示す(右に旋回する方向を正とし、左に旋回する方向を負とする)。この例では、ヨーレート値が+2度/秒以上の値を示したあと、6秒以内に−2度/秒以上を示した場合に、車線変更有りと判定する。しかし、これらの値は例示であり、他の任意の値を設定することができる。
【0101】
ステップ352において、現在のヨーレート値と−2度/秒を比較する。上記のように、車線変更するとき、自車は最初に右に旋回するので、ヨーレートは正の値を示す。したがってステップ354に進み、現在のヨーレート値と+2度/秒を比較する。ヨーレート値が+2度/秒以上を示したならば、右ヨーフラグをオンにする(355)。次のサイクルでこのルーチンに入ったとき、同様にステップ352において、現在のヨーレート値と−2度/秒を比較する。車線変更が終了しつつあるときのヨーレート値は−2度/秒より低い値を示すので、ステップ353に進み、右ヨーフラグがオンかどうか判断する。右ヨーフラグがオンならば、所定時間(この例では、6秒)以内に右に旋回した後に左に旋回したことを示すので(ステップ355において右ヨーフラグがオンにされてから6秒以内)、ステップ365に進み、車線変更フラグをオンにする。こうして、ヨーレート値の変化から、自車が車線変更を行ったかどうかを判断する。
【0102】
ステップ356において、6秒以上経過した右ヨーフラグをオフにする。6秒というのは、車線変更に要する時間を余裕を持って設定した値である。ステップ357において、3秒以上経過した車線変更フラグをオフにする。車線変更フラグは、車線変更を完了した際に立てられるフラグである(ステップ365においてたてられる)。3秒というのは、その後のロスト判定処理が終了するのに要する時間を余裕を持って設定した値である。
【0103】
次に、ステップ358〜364は、停止物の横移動角に基づいて、自車が車線変更を行ったかどうかを判定するステップである。前述したように、横移動角とは、自車と停止物とがなす角度の単位時間あたりの変化量を示す。自車が右側車線に車線変更をするとき、自車は右に旋回した後左に旋回するので、停止物の横移動角は、負の値を示した後に正の値を示す(図9を参照して前述したように、自車が右に旋回したときの停止物の横移動角を負とする)。この実施例では、より正確に車線変更を判定するため、以下の式に示されるように、物体検知装置によって検知されたすべての停止物についての横移動角の平均を算出し、該平均値に従って車線変更が行われたかどうか判断する。
【0104】
【数2】
全停止物ターゲットの横移動角の平均値=
Σ(全停止物ターゲットの横移動角)/全停止物ターゲットの数
【0105】
この実施例では、横移動角が−2度/秒以上の値を示したあと、6秒以内に+2度/秒以上を示した場合に、車線変更有りと判定する。しかし、これらの値は例示であり、他の任意の値を設定することができる。
【0106】
ステップ359において、全停止物の横移動角の平均値と+2度/秒を比較する。上記のように、車線変更するとき、自車は最初に右に旋回するので、該平均値は負の値を示す。したがってステップ361に進み、該平均値と−2度/秒を比較する。横移動角の平均値が−2度/秒以下の値を示したならば、左移動フラグをオンにする(362)。
【0107】
次にこのルーチンに入ったとき、同様にステップ359において、現在の横移動角の平均値と+2度/秒を比較する。車線変更が終了しつつあるときは、該平均値は+2度/秒以上の値を示すので、ステップ369に進み、左移動フラグがオンかどうか判断する。左移動フラグがオンならば、所定時間(この例では、6秒)以内に右に旋回した後左に旋回したことを示すので(ステップ362において左移動フラグがオンにされてから6秒以内)、ステップ365に進み、車線変更フラグをオンにする。こうして、横移動角の平均値から、自車が車線変更を行ったかどうかを判定する。
【0108】
ステップ363において、6秒以上経過した左移動フラグをオフにし、ステップ364において、3秒以上経過した車線変更フラグをオフにする。
【0109】
図14の車線変更判定ルーチンにおいて、ステップ351のウィンカースイッチに基づく車線変更判定、ステップ352〜357のヨーレートに基づく車線変更判定、およびステップ358〜364の停止物の横移動角に基づく車線変更判定は、それぞれ独立しているので、これらを並列に実行することができ、また、これらのうち任意のものを組み合わせて車線変更を判定することができる。
【0110】
図15は、図13のステップ313で実行されるロスト判定ルーチンのフローチャートである。この実施例では、推定自車線上で先行車ロストが発生した時の対応策として、加速度を下げる対応策(図11の対応策3)を実行する。このときの低加速度は、0.05G(grav)に設定され、低加速度の持続時間は、ロスト後5.0秒と設定する。また、先行車が推定自車線上から外れたためにロストした時の対応策は、加速度を上げる対応策(図11の対応策6)を実行する。このときの高加速度は、0.13Gに設定される。高加速度の持続時間は設定されず、よって設定車速になるまで加速が継続される。さらに、車間制御による通常の加速制御で使用される加速度を、0.09Gと設定する。
【0111】
ステップ371において、前回のサイクルにおいて先行車が決定されたかどうかを判断する。先行車が決定されていたならば、今回のサイクルにおいて先行車ロストが発生したことを示すので、その先行車が、今回のサイクルで物体検知装置により検知エリア内に検知されたかどうか判断する(372)。検知されていなければ、自車の推定自車線上で先行車ロストが発生したことを示すので、対応策3を実行する。すなわち、加速度を0.05Gという低い値に設定し、ロー加速度タイマをリセットしてスタートさせる(374、375)。ロー加速度タイマは、低加速度で走行する時間を設定したタイマである。こうして、低い加速度による走行が所定時間行われるので、運転者は余裕を持って次の動作を行うことができる。
【0112】
ステップ372において、今回のサイクルで物体検知装置により検知エリア内に先行車が検知されたならば、推定自車線上から外れて先行車ロストが発生したことを示すので、車線変更が行われたかどうかを判断する(376)。車線変更フラグがオンならば、自車が車線変更したことに起因してロストが発生したことを示すので、対応策6を実行する。すなわち、ステップ377において加速度を0.13Gという高い値に設定し、設定車速に速やかに復帰できるようにする。一方、ステップ376において車線変更フラグがオンでなければ、先行車が車線変更したことに起因してロストが発生したことを示すので、ステップ378において加速度を通常の値0.09Gに設定する。
【0113】
ステップ371に戻り、前回のサイクルで先行車が決定されなかったならば、ステップ380以降のロスト発生後の走行制御処理を実行する。すなわち、先行車ロストが発生している間はステップ380以降のステップが繰り返し実行され、先行車ロストが発生した状況に従って設定された加速度が見直される。
【0114】
ステップ380において、自車の現在の車速と設定車速とを比較する。自車の車速が設定車速以上ならば、設定車速まで加速が終了していることを示すので、ステップ284に進み、加速度の設定を通常の値0.09Gに戻す。一方、自車の車速が設定車速より小さければ、加速が継続中ということを示すので、ステップ381に進み、前回のサイクルにおける加速度の設定を確認する(381)。前回の設定が低い加速度設定(すなわち0.05G)ならば、対応策3が実行中であることを示すので、ステップ382に進み、ロー加速度タイマが5秒経過したかどうか判断する(382)。5秒経過したならば、加速度を低くして走行すべき所定時間が経過したことを意味するので、タイマを停止し(383)、加速度を通常の値にする(384)。タイマが5秒経過していなければ、そのままこのルーチンを抜ける(382)。
【0115】
ステップ381において、前回の加速度が通常の値0.09Gに設定されているならば、対応策4が実行中ということを示す。この場合、ステップ385において車線変更が行われたかどうか再び判断する。車線変更フラグがオンならば、自車による車線変更の完了が、ロスト発生後に車線変更判定ルーチンによって認識されたことを示すので、加速度を高い値0.13Gに設定し(386)、速やかに設定車速まで車速を復帰させる。車線変更フラグがオフならば、先行車による車線変更に起因してロストが発生したことを示すので、そのままこのルーチンを抜ける。ステップ381において、前回の加速度が高い値0.13Gに設定されているならば、対応策6が実行中であることを示すので、現在の加速度を維持し、このルーチンを抜ける。
【0116】
このように、先行車ロストが発生した状況に従う加速制御が実行される。高い加速度が設定されても、車速が設定車速に到達した時点で通常の加速度に戻され、定速走行に移行する。また、低い加速度が設定されても、タイマが切れる時点で通常の加速度に戻され、定速走行に移行する(低加速度が設定された場合、タイマが切れる前に設定車速に到達したときは、その時点で通常の加速度に戻すようにしてもよい)。こうして、ロスト状況に従う走行制御が実行された後に、定速走行が実行される。したがって、実際に先行車が存在しているにかかわらず先行車ロストが発生した場合は、設定車速に復帰しようとして加速が急に開始されるという事態が回避され、先行車が存在しないで先行車ロストが発生した場合は、速やかに定速走行に移行することができる。
【0117】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、先行車を決定することができなかった状況に従う走行制御が実行された後に定速走行が開始されるので、実際に先行車が存在する場合には、加速がいきなり開始されることを回避することができ、先行車が存在しない場合には、速やかに定速走行に移行することができる。
【0118】
請求項2の発明によると、実際には先行車が自車の推定走行車線上の存在するにかかわらず先行車を検知することができなかった状況を判定することができるので、実際には先行車が存在すると想定した対応を行うことができるようになる。
【0119】
請求項3の発明によると、自車の推定走行車線から先行車が外れたために先行車を検知することができなかったという状況を判定することができるので、速やかに定速走行に移行することができるようになる。
【0120】
請求項4の発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では、加速度が低く設定されるので、通常の加速度でいきなり加速が開始されることを回避することができる。
【0121】
請求項5の発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では、加速度が低く設定され、かつ低加速度による走行が行われる時間が設定されるので、緩やかな加速度でスムーズに定速走行へ移行することができるようになる。
【0122】
請求項6の発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では、加速を開始するタイミングを遅らせるので、いきなり加速が開始されることを回避することができる。
【0123】
請求項7の発明によると、自車の走行車線上に存在する先行車を見失った状況では、所定期間の間補間データに基づいて追従走行が行われるので、通常の加速度でいきなり加速が開始されることを回避することができる。
【0124】
請求項8の発明によると、自車の走行車線から先行車が外れたために先行車を見失った状況では、加速度が高く設定されるので、速やかに定速走行に移行することができる。
【0125】
請求項9の発明によると、自車の走行車線から先行車が外れたために先行車を見失った状況では、加速開始タイミングが早まるので、速やかに定速走行に移行することができる。
【0126】
請求項10の発明によると、自車の車線変更が、ヨーレートの変化の向きおよび変化量に従って判定されるので、自車が車線変更を行ったかどうかを正確に判定することができ、よって走行車線上に存在する先行車を見失ったのか、先行車が走行車線から外れたために該先行車を見失ったのかを正確に判断することができる。
【0127】
請求項11の発明によると、自車の車線変更が、停止物の左右方向の位置の変化の向きおよび変化量に従って判定されるので、自車が車線変更を行ったかどうかを正確に判定することができ、よって走行車線上に存在する先行車を見失ったのか、先行車が走行車線から外れたために該先行車を見失ったのかを正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における物体検知装置を示すブロック図。
【図2】この発明の一実施例における物体検知装置によって検知されるエリアを示す図。
【図3】この発明の一実施例における物体検知方法を示すフローチャート。
【図4】この発明の一実施例におけるACCシステムの機能ブロック図
【図5】この発明の一実施例における、ACCシステムを操作するためのスイッチおよびACCシステムについての情報を表示するディスプレイの配置を示す図。
【図6】この発明の一実施例における、クルーズスイッチ、ディスタンススイッチおよびセット・リジューム・キャンセルスイッチの形態を示す図。
【図7】この発明の一実施例におけるディスプレイの表示例を示す図。
【図8】この発明の一実施例における、先行車を決定する方法を示す図。
【図9】この発明の一実施例における、車線変更を停止物の左右方向の向きおよび移動量から判定する方法を示す図。
【図10】この発明の一実施例における、ロスト判定部によって判定されるロスト状況を示す図。
【図11】先行車がロストされた状況、原因、対応策を一覧として示す図。
【図12】この発明の一実施例における、(a)追従走行が行われている時、および(b)先行車が検知されない時の、ディスプレイの表示例を示す図。
【図13】この発明の一実施例における、先行車をロストした時の状況に従って走行を制御する方法を示すフローチャート。
【図14】この発明の一実施例における車線変更判定を示すフローチャート。
【図15】この発明の一実施例におけるロスト判定を示すフローチャート。
【図16】先行車を検知することができない状況の例を示す図。
【符号の説明】
1 物体検知装置 51 先行車決定部
52 車間制御部 53 追従走行部
54 定速走行部 55 車速制御部
56 車線変更判定部 57 ロスト判定部
58 移行パラメータ設定部

Claims (1)

  1. 自車が追従すべき先行車を決定する先行車決定手段、該先行車決定手段によって先行車有りと判断されたとき、該先行車に対する自車の車間距離が予め設定された設定車間距離になるよう、予め設定された設定車速を上限として車速を制御する追従走行手段、前記先行車決定手段によって先行車無しと判断されたとき、現在の車速が前記設定車速になるよう車速を制御する定速走行手段を備えるオートクルーズ装置において、
    前記自車の前方にある物体を検知する物体検知手段と、
    前記自車の走行状態に基づいて自車の走行車線を推定する自車線推定手段と、を備えており、
    前記先行車決定手段は、前記物体検知手段によって検知された物体のうち、前記自車線推定手段によって推定された走行車線上にある移動物体を先行車と決定し、
    さらに、先行車までの距離を検出して該先行車の相対速度を算出する相対速度算出手段と、
    前記追従走行手段によって走行制御されている間、前回のサイクルで決定された先行車が、前記物体検知手段によって今回のサイクルで検知されず、かつ、前記先行車決定手段によって今回のサイクルで決定されなかったとき、先行車が前記推定された走行車線上に存在するにもかかわらず前記物体検知手段によって検知されることができない状況であると判定するロスト判定手段と、
    過去のサイクルで決定された先行車の前記相対速度に基づいて、所定期間の間、該先行車の今回のサイクルにおける位置を予測した補間データを作成する補間手段と、
    前記ロスト判定手段によって前記状況が判定されたことに応じて、前記補間データが作成される前記所定期間の長さを設定する設定手段と、を備え、
    前記定速走行手段は、前記設定された所定期間の間、定速走行の実行を抑止し、前記追従走行手段は、該設定された所定期間の間、前記補間手段から受け取った補間データに基づいて追従走行を実行し、
    前記定速走行手段は、前記所定期間にわたる前記補間データに基づく追従走行制御を実行した後、前記設定車速による定速走行制御に移行する、
    オートクルーズ装置。
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