JP4163074B2 - 車両用運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ミリ波レーダ、赤外線レーザレーダ、ステレオカメラや単眼カメラ等を用いて車両前方の車外環境を認識し、認識した車外環境に基づいて自車走行レーン上の先行車の捕捉・離脱判定を行う車両用運転支援装置に関する。
近年、ミリ波レーダ、赤外線レーザレーダ、ステレオカメラや単眼カメラ等を用いて車両前方の車外環境を認識し、認識した車外環境に基づいて自車の走行制御等を行う車両用運転支援装置については様々な提案がなされており、特に、この種の車両用運転支援装置においては、先行車の認識結果に応じて定速走行制御や先行車に対する追従走行制御を行う車間距離制御クルーズコントロール(ACC;Adaptive Cruise Control)機能が広く実用化されている。
このようなACC機能の実行中において、車両用運転支援装置は、自車走行レーン上での先行車の捕捉時に捕捉した先行車に対する追従走行制御を行う一方、先行車の自車走行レーンからの離脱を判定すると、その制御を定速走行制御に移行する。
ところで、この種の車両用運転支援装置において、自車走行レーン上での先行車の捕捉が不能となる状態として、何らかの要因で先行車が一時的に消失(ロスト)した場合がある。従って、このような先行車の一時的な消失によって、実際には離脱していない先行車が自車走行レーンから離脱したと誤判定されることを防止するため、先行車が離脱したとの判定は、通常、先行車を捕捉不能な状態が設定保持時間経過した後になされる。そして、ACC制御では、先行車が捕捉不能状態となってから離脱判定がなされるまでの間、追従走行制御時の走行状態を保持することが一般的である。例えば、特許文献1には、追従走行制御中に先行車を補足できなくなったときは、所定時間(例えば、2秒)だけ現車速を保持して走行した後に、定速走行制御に移行する技術が開示されている。
特開平7−89366号公報
しかしながら、一般に、先行車の捕捉不能を判定して追従走行制御から定速走行制御へと移行するまでの保持時間は比較的長時間に設定されるため、ACC制御では、実際に自車走行レーンから先行車が離脱した場合の追従走行制御から定速走行制御への速やかな移行が困難となる。すなわち、一般に、先行車の離脱を判定するまでの保持時間は、一旦消失した先行車が再び捕捉されるまでの時間を見込んで比較的長時間に設定されるため、追従走行制御から定速走行制御への移行を、実際の先行車捕捉状態に応じて適切なタイミングで行うことが困難な場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、自車走行レーン上に捕捉した先行車の離脱判定を適切なタイミングで行うことのできる車両用運転支援装置を提供することを目的とする。
本発明は、認識した車外環境に基づいて自車走行レーン上に先行車を捕捉する先行車捕捉手段と、該先行車捕捉手段が自車走行レーン上で先行車を捕捉不能な状態になってから所定保持時間が経過したとき自車走行レーンからの先行車の離脱を判定する先行車離脱判定手段と、白線の認識度に応じて上記所定保持時間を可変とする保持時間変更手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の車両用運転支援装置は、自車走行レーン上に捕捉した先行車の離脱判定を適切なタイミングで行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一形態に係わり、図1は運転支援装置を搭載した車両の概略構成図、図2は車両用運転支援装置の概略構成を示す機能ブロック図、図3は先行車捕捉・離脱判定ルーチンを示すフローチャートである。
図1において、符号1は自動車等の車両(自車)を示し、この車両1には運転支援装置(ADA;Active Drive Assist system)2が搭載されている。図2に示すように、運転支援装置2は、ステレオカメラユニット3と、ミリ波レーダユニット4と、イメージプロセッシングユニット(IPU)5と、プレビューコントロールユニット(PCU)6と、エンジンコントロールユニット(ECU)7と、ビークルダイナミクスコントロールユニット(VDC)8と、統合ユニット9とを有し、これらがCAN(Controller Area Network)等の多重通信系で接続されている。また、統合ユニット9には、例えば、通信速度の異なる他の通信系(車体側通信系)を介して、センターディスプレイ10と、コンビネーションメータ11と、オーディオ装置12とが接続されている。
ステレオカメラユニット3は、例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組の(左右の)CCDカメラを有して構成されている。これら左右のCCDカメラは、それぞれ車室内の天井前方に一定の間隔をもって取付けられ(図1参照)、車外の対象を異なる視点で撮像する。そして、ステレオカメラユニット3は、左右のCCDカメラで撮像した各画像(基準画像及び比較画像)にA/D変換やアフィン変換等を行い、これらの画像信号をIPU5に出力する。
ミリ波レーダユニット4は、例えば、車両1のフロントバンパ構造材に取付けられている(図1参照)。このミリ波レーダユニット4は送受信部(図示せず)を有し、送受信部は、車両1の水平方向に、所定の走査範囲で、一定の間隔毎にミリ波を送受信する。そして、ミリ波レーダユニット4は、送信したミリ波が立体物等の反射対象で反射されて戻ってくるまでの時間差を基に、自車前方の立体物の二次元分布情報からなるレーダ画像を生成し、これをIPU5に出力する。
IPU5は、ステレオカメラユニット3及びミリ波レーダユニット4からの各画像信号に基づいて、車外環境の認識を行う。
具体的に説明すると、IPU5は、ステレオ画像に基づき、三角測量の原理等を用いた周知の演算処理により、道路上の白線、道路に沿って存在するガードレールや縁石等の側壁、車両等の立体物を認識する。そして、IPU5は、認識された白線、側壁、立体物に係る各データに、それぞれのデータ毎に異なったIDを割り当て、これらをID毎に継続して監視する。その際、車両等の立体物は2以上の面がコーナーを介して連続して認識されることが多いため、IPU5は、このような車両等の可能性が高い立体物を、コーナー状立体物として別途登録する。
また、IPU5は、レーダ画像上の距離値が連続する部分を1つの立体物として抽出することで、レーダ画像に基づく立体物認識を行う。そして、IPU5は、認識された立体物に係る各データに、IDを割り当て、これらをID毎に継続して監視する。
そして、IPU5は、ステレオ画像に基づいて認識した立体物(以下、画像立体物と称す)とレーダ画像に基づいて認識した立体物(以下、レーダ立体物と称す)とを融合することで、最終的な立体物認識を行う。すなわち、IPU5は、各画像立体物と各レーダ立体物の位置や移動速度に基づいて、各画像立体物と各レーダ立体物の各組み合わせ全てについての同一確率の判定を行い、同一確率が所定以上で最も一致する画像立体物とレーダ立体物の各組み合わせをフュージョン立体物として認識する。これにより、IPU5では、画像立体物単体により認識された立体物、レーダ立体物単体により認識された立体物、画像立体物とレーダ立体物との組み合わせにより認識されたフュージョン立体物の何れかからなる各立体物を自車前方に認識する。
また、IPU5は、ステレオ画像に基づいて、霧、雨、雪、逆光等の撮像環境の検出やフロントガラス,カメラレンズの汚れ検出等を行うとともに、レーダ画像に基づいて、レーダの軸ズレ検出やレーダカバーの汚れ検出等を行う。
また、IPU5は、ステレオ画像から認識した白線、側壁等の情報や、VDC8から得られる自車1の走行状態情報等に基づいて自車走行レーンの推定を行い、さらに、推定した自車走行レーン上での先行車の捕捉・離脱判定を行う。
PCU6は、運転支援装置2の各機能を統括するもので、IPU5やVDC8から得られる情報等に基づいて警報や加減速制御等の要否判定を行う。そして、これらの判定結果に応じて、PCU6は、センターディスプレイ10やコンビネーションメータ11への表示信号の出力、コンビネーションメータ11、オーディオ装置12に接続するスピーカ11a、12aへのブザー(或いは音声)信号の出力、ECU7、VDC8への制御信号の出力等を適宜行うことで、各種運転支援機能を実現する。
例えば、PCU6は、自車走行レーン上に先行車を捕捉している場合において、先行車との車間距離が所定の警報車間距離以下になったとき、コンビネーションメータ11の警報灯を表示するとともに、スピーカ11aからブザーを出力する(車間距離警報機能)。
また、PCU6は、自車走行レーンの白線と自車1との位置関係から、予め設定された前方距離内で、白線と自車1の外側側壁の延長線の間隔とが略”0”となると判定したとき、コンビネーションメータ11の警報灯を点灯表示するとともに、スピーカ11aからブザーを出力する(車線逸脱警報機能)。
また、PCU6は、ECU7やVDC8を通じた加減速制御によって、自車走行レーン上での先行車の捕捉時に先行車に対する追従走行制御を行うとともに、自車走行レーンからの先行車の離脱を判定したとき、設定車速での定速走行制御へと移行する(ACC機能;車間距離制御クルーズコントロール機能)。すなわち、本形態において、PCU6は、走行制御手段としての機能を有する。
また、PCU6は、自車1と白線との関係に基づいて自車走行レーン上でのふらつきを計測し、その周波数分析からよそ見や居眠りに関係の深いふらつきを検出したとき、車線逸脱警報の警報タイミングを早める。さらに、車線逸脱を検出した際にスピーカ12aからの音声による警報を行う(ふらつき警報機能)。
また、PCU6は、ドライバによるブレーキ踏み込み時の前後輪の車輪速差を検出し、この値が所定値を越えたとき、タイヤがスリップしやすい状態にあると判断し、センターディスプレイ10を通じてその旨を表示する(グリップ予測機能)。
また、PCU6は、自車走行レーン上を走行する先行車や、対向車との車間距離情報をセンターディスプレイ10を通じて表示する。また、先行車に自車が一定速度以上の速さで接近しているとき、スピーカ12aからブザーを出力する(視界支援機能)。
ここで、センターディスプレイ10には、タッチスイッチ機能が設けられており、PCU6は、ドライバによるタッチスイッチの操作に応じて、各運転支援機能の実行/解除やセンターディスプレイ10の表示切り替え等を行う。
次に、IPU5で実行される自車走行レーンに対する先行車捕捉・離脱判定について詳細に説明する。本形態において、IPU5は、自車走行レーン上に存在する立体物の抽出を行い、自車走行レーン上に立体物が抽出された場合には、その中から自車1に最も近距離な立体物を先行車として捕捉する。一方、IPU5は、自車走行レーン上での立体物の抽出不能時(先行車の捕捉不能時)に先行車のロストを判定するとともに、所定のカウント処理を行い、先行車の捕捉不能状態が連続して所定の保持時間t以上カウントされたとき、自車走行レーンからの先行車の離脱を判定する。この保持時間tのカウントに際し、IPU5は、自車走行レーン上に先行車が実在する場合に、この先行車を捕捉不能とさせ得る要因(先行車捕捉不能要因)を推定し、推定した各捕捉不能要因に応じてカウント速度を変更する。すなわち、IPU5は、先行車捕捉手段、先行車離脱判定手段、及び、カウント速度変更手段としての各機能を有する。
このような先行車の捕捉・離脱判定は、具体的には例えば図3に示す先行車捕捉・離脱判定ルーチンに従って行われる。このルーチンは、所定時間毎に実行されるもので、ルーチンがスタートすると、IPU5は、先ず、ステップS101において、先行車の選出を行う。すなわち、IPU5は、画像立体物及びレーダ立体物に基づいて認識した最終的な立体物の中から自車走行レーン上に存在する立体物を抽出し、自車走行レーン上に立体物が抽出された場合には、その立体物の中から自車1に最も近距離に位置する立体物を先行車として選出する。
続く、ステップS102において、IPU5は、上述のステップS101の処理で先行車が選出されたか否かを調べ、先行車が選出されている場合(すなわち、先行車有りと判定した場合)にはステップS103に進む一方、先行車が選出されていない場合(すなわち、先行車を捕捉不能な状態にあると判定した場合)にはステップS106に進む。
ステップS102からステップS103に進むと、IPU5は、車外環境の認識状態に応じて保持時間tを設定する。具体的に説明すると、IPU5は、例えば、霧や雨等の検出結果や白線の認識状態に応じて保持時間tを可変設定する。すなわち、霧や雨等の検出時には、視界の悪化によって車外環境の認識度が低下していると推定することができる。また、良好な視界下における白線の認識可能距離はステレオカメラユニット3の諸元等に基づいて略一義的に決定されることから、実際の白線認識距離が認識可能距離よりも短くなる程、車外環境の認識度が低下していると推定することができる。そこで、IPU5は、これら車外環境の認識度の低下が推定された場合には、保持時間tを、予め設定された基準保持時間(例えば、2秒)よりも長く設定する。
続くステップS104において、IPU5は、ステップS101で先行車として選出した立体物のIDを保管し、ステップS105に進み、現在、自車走行レーン上に先行車を捕捉している状態にあると判定した後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS102で先行車を捕捉不能な状態にあると判定してステップS106に進むと、IPU5は、先行車が捕捉不能となる直前にステップS103で設定された保持時間tが未だ有効であるか否か、すなわち、後述する各カウント処理によって、先行車を捕捉不能な状態となってから未だ保持時間t以上のカウントがなされていないか否か(保持時間t>0であるか否か)を調べる。
そして、ステップS106において、保持時間t≦0であり、すなわち保持時間tが無効であると判定すると、IPU5は、ステップS107に進み、現在、自車走行レーン上に先行車が存在しない(すなわち、先行車が離脱状態にある)と判定した後、ルーチンを抜ける。なお、ACC制御の実行時において、先行車の離脱判定がなされると、PCU6は、ドライバ入力等によって設定された設定車速での定速走行制御を行い、追従走行制御から定速走行制御への移行時に自車速が設定車速に満たない場合には速やかに加速を行う。
一方、ステップS106において、保持時間t>0であり、すなわち保持時間tが有効であると判定すると、IPU5は、ステップS108に進み、自車走行レーン上の先行車を捕捉し得る自車1の舵角の閾値θを設定する。すなわち、自車走行レーンがカーブしている場合等において、自車1の舵角が大きいと、自車走行レーンがステレオカメラユニット3やミリ波レーダユニット4の検出範囲から一時的に外れてしまう場合がある。そして、このような場合、自車走行レーン上に先行車が実在したとしても、その捕捉が一時的に不能となる。そこで、IPU5は、自車走行レーンの形状に基づくカーブへの進入を想定し、このカーブ進入時の自車1の舵角(絶対値)に対し、ステレオカメラユニット3やミリ波レーダユニット4による自車走行レーン上の立体物認識を保証し得る閾値θを設定する。
そして、ステップS109に進むと、IPU5は、現在の自車1の舵角(絶対値)が閾値θ以下であるか否かを調べ、舵角(絶対値)が閾値θ以上であると判定すると、ステップS116にジャンプし、現在、自車走行レーン上の先行車をロスト状態にあると判定した後、ルーチンを抜ける。なお、ACC制御の実行時において、先行車のロスト判定がなされると、PCU6は、定速走行制御に移行することなく追従走行制御を保持し、先行車のロスト判定がなされる直前の車速を維持する。
一方、ステップS109において、現在の自車1の舵角(絶対値)が閾値θ以下であると判定すると、IPU5は、ステップS110に進み、ステップS114までの処理を用いて保持時間のカウントを行う。ここで、本形態において、保持時間のカウントは、ステップS103で設定した保持時間tから、後述の各カウント値T0〜T3を減算することにより行われる。
すなわち、ステップS110において、IPU5は、予め設定された基準カウント値T0を用いて保持時間tの減算を行う(t=t−T0)。
続くステップS111において、IPU5は、白線の認識状態(白線の認識距離)に基づくカウント値T1の設定を行い、設定したカウント値T1を用いて保持時間tの減算を行う(t=t−T1)。ここで、カウント値T1は、白線の認識度が高く白線が遠方まで認識されている程大きな値に設定され、白線の認識距離が所定距離以下の場合には”0”に設定される。すなわち、白線の認識度が高い状況下においては、少なくともステレオ画像に基づく立体物認識が安定して行われていることが推定でき、実際に自車走行レーン上に存在する先行車の一時的な消失(ロスト)を要因として先行車が捕捉不能となるとは考えにくい。そこで、IPU5は、白線の認識度が高い程、カウント値T1を大きく設定し、保持時間tのカウント速度を速める。
続くステップS112において、IPU5は、ウインカー(図示せず)の操作状態に基づくカウント値T2の設定を行い、設定したカウント値T2を用いて保持時間tの減算を行う(t=t−T2)。ここで、カウント値T2は、ウインカーがONされている場合に例えばT2=T0に設定され、ウインカーがOFFされている場合に”0”に設定される。すなわち、ウインカーがONされている場合には、自車1が車線変更動作を行っていることが推測でき、このような車線変更動作時には、先行車が自車走行レーンから実際に離脱することが一般的であるため、先行車の一時的な消失を要因として先行車が捕捉不能となることは考えにくい。そこで、IPU5は、ウインカー操作に基づいて自車1の車線変更動作を検出した際には、カウント値T2を例えばT0に設定し、保持時間tのカウント速度を速める。
続くステップS113において、IPU5は、現在認識している全ての立体物の中に、ステップS104で保管した先行車IDと同じIDを持つ立体物Nが存在するか否かを調べる。すなわち、先行車の車線変更等によって自車走行レーンでの先行車の捕捉が不能となった場合には、一般に、その直前まで先行車として捕捉されていた立体物と同じIDの立体物Nが自車走行レーン外に存在する。そして、このように自車走行レーン外に立体物Nが認識されている場合には、先行車の一時的な消失を要因として先行車が捕捉不能となることは考えにくい。
そこで、IPU5は、保管した先行車IDと同じIDを持つ立体物Nが自車走行レーン外に存在すると判定した場合には、ステップS114に進み、立体物Nに基づくカウント値T3の設定を行い、設定したカウント値T3を用いて保持時間tの減算を行う(t=t−T3)。ここで、カウント値T3は、立体物Nが近距離に位置する程大きな値に設定される。すなわち、立体物Nが自車1に対して近距離に位置する程、他の立体物が立体物Nとして誤認識されている可能性が低いので、IPU5は、立体物Nが自車1に対して近距離である程、カウント値T3の値を大きく設定し、保持時間tのカウント速度を速める。
一方、ステップS113において、自車走行レーン外に立体物Nを認識していないと判定した場合、IPU5は、そのままステップS115に進む。
そして、ステップS113或いはステップS114からステップS115に進むと、IPU5は、上述の各カウント処理(減算処理)後の保持時間tが有効であるか否か、すなわち、先行車を捕捉不能な状態となってから未だ保持時間t以上のカウントがなされていないか否か(保持時間t>0であるか否か)を調べる。
そして、ステップS115において、保持時間t>0であり、すなわち保持時間tが有効であると判定すると、IPU5は、ステップS116に進み、現在、自車走行レーン上の先行車をロスト状態にあると判定した後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS115において、保持時間t≦0であり、すなわち保持時間tが無効であると判定すると、IPU5はステップS107に進み、現在、自車走行レーン上に先行車が存在しない(すなわち、先行車が離脱状態にある)と判定した後、ルーチンを抜ける。
このような形態によれば、自車走行レーン上に捕捉していた先行車が捕捉不能となってから所定の保持時間tが保持された後に自車走行レーンからの先行車の離脱を判定する先行車捕捉・離脱判定において、IPU5は、自車走行レーン上から先行車を捕捉不能とさせ得る要因を推定し、推定した各要因に応じて保持時間tのカウント速度を変更することにより、実際の先行車捕捉状態に応じた適切なタイミングで先行車の離脱判定をすることができる。すなわち、IPU5は、先行車を捕捉不能とさせる要因が先行車の一時的な消失によるものではないと推定される状況下、換言すれば、自車1や先行車の車線変更等を要因として自車走行レーン上に先行車を捕捉不能となったと推定可能な状況下での先行車の離脱判定を速やかに行うことができる。従って、ACC機能実行時の追従走行制御から定速走行制御への移行等を、実際の先行車捕捉状態に応じて適切なタイミングで行うことができる。
その際、IPU5は、自車走行レーンの形状等に基づいて閾値θを設定し、先行車を捕捉不能な状態が自車1の舵角に基づいて明らかに先行車の一時的な消失に起因するものであると判定される場合には、先行車の離脱を判定しないことにより、先行車捕捉・離脱判定の精度をさらに向上することができる。
また、IPU5は、車外環境の認識状態に応じて保持時間tを可変設定することにより、より適切なタイミングで先行車の離脱を判定することができる。
なお、上述の形態においては、白線の認識度、自車1の車線変更動作、及び、捕捉不能となった先行車の自車走行レーン外での認識状態を用いて各先行車捕捉不能要因(先行車消失の可能性等)を推定した一例について説明したが、本発明はこれに限らず、これらの事象を適宜選択的に用いて先行車捕捉不能要因を推定してもよく、さらに他の事象に基づいて先行車の捕捉不能要因を推定してもよいことは勿論である。
運転支援装置を搭載した車両の概略構成図 車両用運転支援装置の概略構成を示す機能ブロック図 先行車捕捉・離脱判定ルーチンを示すフローチャート
符号の説明
1 … 車両(自車)
2 … 運転支援装置
3 … ステレオカメラユニット
4 … ミリ波レーダユニット
5 … イメージプロセシングユニット(先行車捕捉手段、先行車離脱判定手段、カウント速度変更手段)
6 … プレビューコントロールユニット(走行制御手段)
7 … エンジンコントロールユニット
8 … ビークルダイナミクスコントロールユニット
9 … 統合ユニット
10 … センターディスプレイ
11 … コンビネーションメータ
11a … スピーカ
12 … オーディオ装置
12a … スピーカ
t … 保持時間
T0〜T3 … カウント値
代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (9)

  1. 認識した車外環境に基づいて自車走行レーン上に先行車を捕捉する先行車捕捉手段と、
    該先行車捕捉手段が自車走行レーン上で先行車を捕捉不能な状態になってから所定保持時間が経過したとき自車走行レーンからの先行車の離脱を判定する先行車離脱判定手段と、
    白線の認識度に応じて上記所定保持時間を可変とする保持時間変更手段と、を備えたことを特徴とする車両用運転支援装置。
  2. 上記保持時間変更手段は、上記先行車が自車走行レーン外で認識されているとき上記所定保持時間からの減算値を変更することを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
  3. 上記保持時間変更手段は、自車の走行動作に基づいて上記所定保持時間からの減算値を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用運転支援装置。
  4. 上記保持時間変更手段は、自車の車線変更を検出したとき上記所定保持時間からの減算値を変更することを特徴とする請求項3記載の車両用運転支援装置。
  5. 上記先行車離脱判定手段は、自車の舵角が設定舵角以上であるとき、上記所定保持時間の経過とは無関係に、自車走行レーンからの先行車の離脱を判定しないことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両用運転支援装置。
  6. 上記先行車離脱判定手段は、車外環境の認識状態に応じて上記所定保持時間を可変設定することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の車両用運転支援装置。
  7. 自車走行レーン上に捕捉した先行車に対する追従走行制御と、設定車速での定速走行制御とを選択的に実行し、先行車の自車走行レーンからの離脱判定時に上記追従走行制御から上記定速走行制御へと移行する走行制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の車両用運転支援装置。
  8. 上記保持時間変更手段は、上記白線の認識度が高い程、上記所定保持時間を短く変更することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の車両用運転支援装置。
  9. 上記保持時間変更手段は、上記所定保持時間から減算される値を上記白線の認識度に応じて設定することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の車両用運転支援装置。
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