JP4292686B2 - 冷媒冷却型両面冷却半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒冷却型両面冷却半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
端子を有し半導体チップを内蔵する半導体モジュ−ルの冷却性を向上するために、半導体モジュ−ルに水冷式の冷却部材を接触させてそれを冷却することが提案されている。
【0003】
また、両面から放熱を行う両面放熱型半導体モジュ−ルが特開平6−291223号公報に提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の水冷式半導体モジュ−ルでは、内部を水(又は冷媒)が貫流する冷媒内部貫流冷却部材と半導体モジュ−ルとの熱伝導性に優れた接合を図る必要があり、これには、半導体モジュ−ルの主面に露出する電極(兼伝熱)部材と冷媒内部貫流冷却部材とをはんだなどで接合することが最善であるが、冷媒内部貫流冷却部材は、冷凍サイクル装置や冷却水循環装置に接続する必要があり、このためこれら冷凍サイクル装置や冷却水循環装置と同電位(通常、接地電位)となる冷媒内部貫流冷却部材と半導体モジュ−ルの上記電極部材との間に電気絶縁性でなるべく熱伝導性に優れた絶縁スペ−サを介設する必要がある。
【0005】
ところが、このような絶縁スペ−サを用いると半導体モジュ−ルの電極部材と冷媒内部貫流冷却部材とを接合することができないので、半導体モジュ−ルの電極部材と冷媒内部貫流冷却部材との間の熱抵抗の低減のために、これら半導体モジュ−ルの電極部材や冷媒内部貫流冷却部材を絶縁スペ−サに強く、かつ、押し付け面各部で均一な圧力で押し付ける必要がある。
【0006】
しかし、このように半導体モジュ−ルや冷媒内部貫流冷却部材を絶縁スペ−サに強くかつ均一な圧力で押し付ける構造は全体構造の複雑化を招き、また押し付け力の適切な設定が容易ではなかった。すなわち、押し付け力が弱いと半導体モジュ−ルと冷却部材との間の熱抵抗が増大して冷却能力が低下し、押し付け力が強過ぎると半導体モジュ−ル内の半導体チップが割れてしまう。
【0007】
また、多数の半導体チップ又は両面冷却型半導体カ−ドモジュ−ルをそれぞれ両面冷却するためには、上記冷媒内部貫流冷却部材を多数分岐するなどの構造の複雑化を招き、製造費用の増大を招き、また、冷媒配管の接合箇所の増大から液漏れが生じる可能性も増大した。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、簡素な構造で優れた放熱能力を実現することができ、液漏れの心配も低減可能な冷媒冷却型両面冷却半導体装置を提供することをその目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置は、半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールと、扁平な断面形状を有して冷却流体が内部を流れる単一の冷媒チュ−ブと、を備え、前記冷媒チューブは、湾曲部とその湾曲部の両側で互いに平行に対向する一対の接触受熱面が形成される平坦部とを有するつづら折り状に湾曲して配置され、前記一対の接触受熱面にて前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュ−ルの両側の主面に絶縁スペ−サを介して密接することを特徴としている。すなわち、本構成は、両面放熱(冷却)型半導体モジュ−ル(又は半導体チップ)の両面に設けられる絶縁スペ−サを介してつづら折り状の冷媒チュ−ブに当接させて冷却する構成を採用している。
【0010】
このようにすれば、単一の冷媒チュ−ブで一個又は必要個数の両面放熱型半導体モジュ−ルの両面を一挙に冷却することができ、その上、冷媒チュ−ブの接合が不要となるので、冷媒チュ−ブ構造の構造の簡素化、組み立て作業の簡素化、液漏れの心配の解消を実現することができる。また、冷媒チュ−ブが扁平断面を有するので、半導体チップ又は両面冷却型半導体カ−ドモジュ−ルの主面との接触面積を増大することができるとともに、冷媒チュ−ブの厚さ方向への曲率半径の調節の自由度が高く、半導体チップ又は両面冷却型半導体カ−ドモジュ−ルの厚さの変化に対して容易に適応することができる。
【0011】
請求項2記載の請求項1記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において更に、前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールと前記冷媒チュ−ブとを前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールの厚さ方向に挟圧する挟圧部材を備えることを特徴としている。
【0012】
本構成によれば、1個の挟圧部材で1個又は複数の半導体モジュ−ル(半導体チップ)両側の冷媒チュ−ブの接触受熱面を同一圧力(半導体モジュ−ル(半導体チップ)両側の電極部材の面積を等しいとした場合)で半導体モジュ−ル(半導体チップ)に押し付けることができ、簡素な構造で押し付け圧力のばらつきが小さい挟圧構造を実現することができるとともに、更にこの押し付け力の均一化により半導体モジュ−ル(半導体チップ)の熱を均等に両側の冷媒チュ−ブに放散することができるので優れた冷却性能を実現することができる。
【0013】
請求項3記載の構成によれば請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において更に、前記冷媒チュ−ブは、挟圧によって変形容易であり、且つ、冷媒チュ−ブの微小凹凸や反りになじんで熱抵抗を低減する、良熱伝導性の軟質材を介し介して前記絶縁スペーサに接することを特徴としている。
【0014】
本構成によれば、冷媒チュ−ブの接触受熱面は、軟質材を介して絶縁スペ−サに密着するので、もし冷媒チュ−ブに反りや表面凹凸などがあったとしても、冷媒チュ−ブは上記挟圧力によりその各部において局所的に容易に変形して絶縁スペ−サの表面になじむことができ、これら両者間の熱抵抗を低減することができる。
【0015】
更に、半導体モジュ−ル(半導体チップ)の電極部材表面とそれと軟質の絶縁スペ−サを介して対面する冷媒チュ−ブの平坦な接触受熱面との間の距離が面方向各部において変動しても、同様に軟質材の局所的変形によりこれらの距離差を低減して両者間の熱抵抗を低減することができ、優れた冷却性能をもつ半導体装置を実現することができる。なお、この軟質材は、冷媒チュ−ブと別々に作製されてもよく、一体に作製されてもよい。
【0016】
請求項4記載の構成によれば請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において更に、前記冷媒チュ−ブは、互いに所定間隔を隔てて流路方向へ延設される内部隔壁に区画される複数の冷却流体流路を有することを特徴としている。
【0017】
本構成によれば、冷媒チュ−ブの接触受熱面各部の押圧を一定化することができる。
【0018】
請求項5記載の構成によれば請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において更に、前記挟圧部材は、前記冷媒チュ−ブの厚さ方向における最も外側の外面に個別に接する一対の押さえ板と、前記両押さえ板を貫通するスル−ボルトと、前記スル−ボルトに螺着されるナットとを有することを特徴としている。
【0019】
本構成によれば、一個の挟圧構造(挟圧部材)で厚さ方向に多段に重なった冷媒チュ−ブ、半導体モジュ−ル(半導体チップ)にそれぞれ等しい挟圧力を付与することができるので、コンパクトで簡素な挟圧構造で全体として優れた大電流制御半導体装置を実現することができる。
【0020】
請求項6記載の構成によれば請求項2乃至5のいずれか記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において更に、前記挟圧部材は、板ばね部材を含むことを特徴としている。
【0021】
本構成によれば、簡単に一定の挟圧力を得ることができるとともに、半導体チップ又は両面放熱(冷却)型半導体モジュ−ルの脱着が極めて簡単となり、交換などの作業性が格段に向上する。
【0022】
好適な態様において、板ばね部材は、両端部が前記両押さえ板を弾性付勢するコ字状金属板からなる。このようにすれば、たとえばばね板などを折り曲げるなどして簡素に作製できる上、板ばね部材それ自体で挟圧力を発生できるため、全体構造が簡素となる。
【0023】
請求項7記載の構成によれば請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、前記半導体チップ又は両面放熱型半導体モジュ−ルは、三相インバータ回路を構成し、前記冷媒チュ−ブの反半導体チップ側の平坦面に他の発熱部品の平坦面を密接させ、前記挟圧部材で、前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールと前記冷媒チュ−ブと前記発熱部品とを挟圧する構造を有することを特徴としている。
【0024】
本構成によれば、挟圧構造を複雑化することなく、更に他の発熱部品も良好に冷却することができる。また、半導体モジュ−ル(半導体チップ)の一時的な大発熱に対してこの発熱部品は冷媒チュ−ブを通じてヒ−トシンクとしての機能を果たすことができ、更に好都合である。
【0025】
請求項8記載の構成によれば請求項7記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において更に、前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールは三相インバ−タ回路の一部又は全部をなし、前記発熱部品は、前記三相インバ−タ回路の正負直流電源端間に接続される平滑コンデンサからなることを特徴としている。
【0026】
本構成によれば、コンパクトで平滑コンデンサ及び半導体モジュ−ル(半導体チップ)の冷却性に優れた三相インバータ回路装置を実現することができる。
【0027】
本願発明の冷媒冷却型両面冷却半導体装置に至る試験的な例として、半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールと、各前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュ−ルに絶縁スペ−サを介して密接するとともに冷却流体が内部を流れる冷媒配管と、前記半導体チップ又は絶縁スペ−サ両面冷却型半導体モジュ−ルと前記冷媒配管とを密閉収容するケ−スとを備え、前記冷媒配管は、前記ケ−スにそれぞれ固定されて前記ケ−スの外部に突出するとともに外部冷却機構の配管が着脱自在に連結される両端部を有する冷媒冷却型両面冷却半導体装置が考えられる。
【0028】
このような構成では、冷媒チュ−ブと外部冷却機構(放熱装置)とは、ケ−スの外で脱着可能に連結されるので、この連結部からの液漏れが生じた場合でも回路に短絡などの悪影響を与えるのを防止することができ、また、装置の部分的交換が可能と考えられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の冷媒冷却型両面冷却半導体装置の好適な実施態様を図面を参照して以下説明する。
【0030】
図1はこの冷媒冷却型両面冷却半導体装置の要部分解厚さ方向断面図を示す。
(半導体モジュ−ルの構成)
1は、両面冷却型半導体モジュール、2は冷媒チュ−ブ、3は金属製又は良熱伝導性のスペ−サである。
【0031】
両面冷却型半導体モジュ−ル1において、101aはIGBT素子が形成された半導体チップ、101bはフライホイルダイオ−ドが形成された半導体チップ、102はヒ−トシンク及び電極(この実施例ではエミッタ側)を兼ねる金属伝熱板、103はヒ−トシンク及び電極(この実施例ではコレクタ側)を兼ねる金属伝熱板、104ははんだ層、102aは金属伝熱板102の半導体チップ側へ突出する突出部、102bは金属伝熱板102の突出端子部、103bは金属伝熱板103の突出端子部、105は制御電極端子、108はボンディングワイヤ、8は絶縁板(絶縁スペ−サ)、109は封止樹脂部である。
【0032】
半導体チップ101a、101bは、金属伝熱板103の内側の主面上にはんだ層104で接合され、半導体チップ101a、101bの残余の主面には、金属伝熱板102の突出部102aがはんだ層104で接合され、これによりIGBTのコレクタ電極面及びエミッタ電極面にフライホイルダイオ−ドのアノ−ド電極面及びカソ−ド電極面がいわゆる逆並列に接続されている。金属伝熱板102、103にはたとえばMoやWが用いられている。はんだ層104を他の接合機能材料に置換してもよい。
【0033】
二つの突出部102aは、半導体チップ101a、101bの厚さの差を吸収する厚さの差をもち、これにより金属伝熱板102の外主面は平面となっている。
【0034】
封止樹脂部109はたとえばエポキシ樹脂からなり、これら金属伝熱板102、103の側面を覆ってモ−ルドされており、これにより半導体チップ101a、101bは封止樹脂部109でモ−ルドされている。ただし、金属伝熱板102、103の外主面すなわち接触受熱面は完全に露出している。
【0035】
突出端子部102b、103bは封止樹脂部109から図1中、右方に突出し、いわゆるリ−ドフレ−ム端子である複数の制御電極端子105は、IGBTが形成された半導体チップ101aのゲ−ト(制御)電極面と制御電極端子105とを接続している。
【0036】
絶縁スペ−サである絶縁板8は、この実施例では窒化アルミニウムフィルムで構成されているが、他の絶縁フィルムでもよい。絶縁板8は金属伝熱板102、103を完全に覆って密着しているが、絶縁板8と金属伝熱板102、103とは、単に接触するだけでもよいし、シリコングリスなどの良熱伝導材を塗布してもよいし、それらを種々の方法で接合させてもよい。更に、絶縁板8を冷媒チュ−ブ側に密接させてもよい。
【0037】
冷媒チュ−ブ2は、アルミニウム合金を引き抜き成形法あるいは押し出し成形法で成形された板材を必要な長さに切断して作製されている。冷媒チュ−ブ2の厚さ方向断面は、図1に示すように、互いに所定間隔を隔てて流路方向に延在する多数の隔壁21で区画された流路22を多数有している。
【0038】
スペ−サ(本発明でいう軟質材)3は、この実施例では、はんだ合金などの軟質の金属板とされているが、冷媒チュ−ブ2の接触面に塗布などにより形成したフィルム(膜)としてもよい。この軟質のスペ−サ3の表面は、後述する挟圧により容易に変形して、絶縁材8の微小凹凸や反り、冷媒チュ−ブ2の微小凹凸や反りになじんで熱抵抗を低減する。なお、スペ−サ3の表面などに公知の良熱伝導性グリスなどを塗布してもよく、スペ−サ3を省略してもよい。
(冷媒冷却型両面冷却半導体装置の構成)上述した両面冷却型半導体モジュ−ルを用いた冷媒冷却型両面冷却半導体装置の例を図2、図3を参照して以下に説明する。図2は、この半導体装置の蓋を外した平面図を示し、図3はその縦断面図を示す。
【0039】
1は半導体モジュ−ル、2は冷媒チュ−ブ、4は一端開口のケ−ス、5は平滑コンデンサ、6は押さえ板、7はスル−ボルト、10はナット、11は蓋、23は入り口側の冷媒配管、24は出口側の冷媒配管、27は冷媒配管固定用のナット、23aは冷媒配管23の先端部である。
【0040】
扁平な冷媒チュ−ブ2が、つづら折り状に湾曲してケ−ス4内に配置され、冷媒チュ−ブ2の平坦で互いに平行で互いに対向する接触受熱面20、20のペアが左右方向に3対形成されている。2a、2b、2cはこの冷媒チュ−ブ2の湾曲部である。
【0041】
これら3対の接触受熱面20、20のうち、最も右側に位置する接触受熱面20、20のペア、すなわち、冷媒チュ−ブ2の湾曲部2aの両側の平坦部分は、図2、図3では図示しないスペ−サ3を介して3つの両面冷却型半導体モジュ−ル1の両面に密着している。これら3つの両面冷却型半導体モジュ−ル1は、三相インバ−タ回路の上ア−ムを構成する。
【0042】
これら3対の接触受熱面20、20のうち、最も左側に位置する接触受熱面20、20のペア、すなわち、冷媒チュ−ブ2の湾曲部2cの両側の平坦部分は、図2、図3では図示しないスペ−サ3を介して3つの両面冷却型半導体モジュ−ル1の両面に密着している。これら3つの両面冷却型半導体モジュ−ル1は、三相インバ−タ回路の下ア−ムを構成する。
【0043】
これら3対の接触受熱面20、20のうち、中央に位置する接触受熱面20、20のペア、すなわち、冷媒チュ−ブ2の湾曲部2bの両側の平坦部分は、2個の扁平な平滑コンデンサ5の外表面に密着している。
【0044】
各半導体スイッチング素子は上述のように1個のIGBT素子に1個のフライホイルダイオ−ドを逆並列接続して構成されている。
【0045】
平滑コンデンサ5は、上記三相インバ−タ回路の正負直流電源端間に接続される平滑コンデンサであり、電源ラインを通じて直流電源側にスイッチングノイズが入力されるのを抑止するためのものである。
【0046】
上述したように、各両面冷却型半導体モジュ−ル1はその両面を冷媒チュ−ブ2の接触受熱面20に密着しており、更に冷媒チュ−ブ2の左右最外側の平坦面には押さえ板6が当接され、両押さえ板6、6の上端部及び下端部にはそれぞれスル−ボルト7が積層方向に挿通され、ナット10により締結されている。
【0047】
ナット10の締結力は冷媒チュ−ブ2による半導体モジュ−ル1の挟圧力が所定値となるように調節されている。すなわち、本実施例によれば、押さえ板6、スル−ボルト7及びナット10からなる挟圧部材は、冷媒チュ−ブ2による半導体モジュ−ル1の挟圧力を設定する機能と、三相インバータ回路装置を支持する構造部材としての機能とを有している。
【0048】
図3に示すように、冷媒チュ−ブ2の両端は入り口側の冷媒配管23、出口側の冷媒配管25に接合されており、冷媒配管23の先端部23aと冷媒配管24の図示しない先端部はケ−ス4の底部から下方に突出している。これら先端部23aには図3に示すように螺子面が形成されて図示しない外部の冷凍サイクル装置の冷媒配管が連結可能となっている。なお、この冷媒チュ−ブ2はこの冷凍サイクル装置のエバポレ−タの一部又は全部を構成している。27は冷媒配管23、24をケ−ス4の底部に締結、固定するナットである。
【0049】
本実施例によれば、三相インバ−タ回路の両ア−ムが等しい流量の冷媒で冷却されるので両ア−ム間の放熱能力のばらつきを低減することができる。
【0050】
また、同一ア−ムの各両面冷却型半導体モジュ−ル1間の冷却能力の差を低減することができる。
【0051】
更に、各両面冷却型半導体モジュ−ル1は共通の挟圧部材で挟圧されるため、各半導体モジュ−ル1と冷媒チュ−ブ2との間の単位面積当たりの挟圧力は略等しく、挟圧面積も等しいので、半導体モジュ−ル1に対する冷媒チュ−ブ2の挟圧力の差を低減することができる。
【0052】
これらの結果、各半導体モジュ−ル1間の冷却能力の差が小さく、コンパクトで優れた冷却性を有する半導体装置を実現することができる。
【0053】
また、平滑コンデンサ5も良好に冷却できる他、平滑コンデンサ5は、両面冷却型半導体モジュ−ル1が過渡的に大発熱する場合に冷媒チュ−ブ2を通じて熱吸収することができ、いわゆるヒ−トシンクとして機能することもできる。
【0054】
(変形態様)
上記実施例の半導体モジュ−ル1は半導体チップに置換しても同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
【実施例2】
他の実施例を図4、図5を参照して以下に説明する。図4は、この半導体装置の蓋を外した平面図を示し、図5はその縦断面図を示す。
(装置構成)
図4は、この半導体装置の蓋を外した平面図を示し、図5はその縦断面図を示す。
【0056】
この実施例の装置は、モジュール1、冷媒チュ−ブ2、平滑コンデンサ5、押さえ板6のセットを実施例1と同一配列とし、このセットを3つの板ばね部材9で一挙に挟持させたものである。板ばね部材9は、ケ−ス4の底部に平行な姿勢で配置される一個の中央板部90bと、この中央板部90bの両端部からそれぞれそれと直角に延設されて互いに対面する一対の平板状の両端部90a、90aとからなる。91は、大型板ばね部材90の中央板部90bに凹設された条溝部である。
【0057】
本実施例によれば、一層簡単に各部材を組み立てることができるとともに、各部材にばらつきが小さい挟圧力を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の両面冷却型半導体モジュール及び冷媒チュ−ブの組み立て厚さ方向断面図である。
【図2】図1に示す半導体モジュ−ルを用いた冷媒間接冷却型半導体装置の平面図である。
【図3】図2に示す冷媒間接冷却型半導体装置の縦断面図である。
【図4】図1に示す半導体モジュ−ルを用いた冷媒間接冷却型半導体装置の他の実施例を示す平面図である。
【図5】図4に示す冷媒間接冷却型半導体装置の縦断面図である。
【図6】図5に示す板ばね部材の側面図である。
【符号の説明】
1:両面冷却型半導体モジュール
2:冷媒チュ−ブ
6:押さえ板(挟圧部材)
7:スル−ボルト(挟圧部材)
9:板ばね部材(挟圧部材)
10:ナット(挟圧部材)
Claims (8)
- 半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールと、
扁平な断面形状を有して冷却流体が内部を流れる単一の冷媒チュ−ブと、
を備え、
前記冷媒チューブは、湾曲部とその湾曲部の両側で互いに平行に対向する一対の接触受熱面が形成される平坦部とを有するつづら折り状に湾曲して配置され、前記一対の接触受熱面にて前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュ−ルの両側の主面に絶縁スペ−サを介して密接することを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。 - 請求項1記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、
前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールと前記冷媒チュ−ブとを前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールの厚さ方向に挟圧する挟圧部材を備えることを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。 - 請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、
前記冷媒チュ−ブは、挟圧によって変形容易であり、且つ、冷媒チュ−ブの微小凹凸や反りになじんで熱抵抗を低減する、良熱伝導性の軟質材を介して前記絶縁スペーサに接することを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。 - 請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、
前記冷媒チュ−ブは、互いに所定間隔を隔てて流路方向へ延設される内部隔壁に区画される複数の冷却流体流路を有することを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。 - 請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、
前記挟圧部材は、前記冷媒チュ−ブの厚さ方向における最も外側の外面に個別に接する一対の押さえ板と、前記両押さえ板を貫通するスル−ボルトと、前記スル−ボルトに螺着されるナットとを有することを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。 - 請求項2記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、
複数の前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュ−ルは、三相インバータ回路を構成し、
前記冷媒チュ−ブの反半導体チップ側の平坦面に他の発熱部品の平坦面を密接させ、前記挟圧部材で、前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールと前記冷媒チュ−ブと前記発熱部品とを挟圧する構造を有することを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。 - 請求項2乃至5のいずれか記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、
前記挟圧部材は、板ばね部材を含むことを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。 - 請求項6記載の冷媒冷却型両面冷却半導体装置において、
前記半導体チップ又は両面冷却型半導体モジュールは三相インバ−タ回路の一部又は全部をなし、
前記発熱部品は、前記三相インバ−タ回路の正負直流電源端間に接続される平滑コンデンサからなることを特徴とする冷媒冷却型両面冷却半導体装置。
Priority Applications (11)
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