JP5017970B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
この「半導体装置及びインバータ装置」は、半導体装置の冷却器の主面上に、内部に半導体素子を実装した電力基板を有する樹脂製パッケージを乗せて形成されており、この樹脂製パッケージの内部において、半導体素子の電極は、樹脂製パッケージの内部の電極に電気的に接続される。
この発明の目的は、各構成部品の取り付けスペースの拡大を防いで装置全体を小型化することができる電力変換装置を提供することである。
(第1実施の形態)
図1は、この発明の第1実施の形態に係る電力変換装置の回路構成を示す回路説明図である。図1に示すように、電力変換装置10は、電力変換回路11と、電力変換回路11の直流入力側に接続された平滑用のコンデンサ12を有している。コンデンサ12は、直流電源13に並列接続されている。電力変換回路11の交流出力側には、電動機14が接続されている。この電力変換回路11により、入力電力である、直流電源13の直流電力を、所望の周波数や電圧、電流の交流電力に変換し、この交流電力を駆動電力として電動機14に供給する。
つまり、蓋部19aは、コンデンサ12を支持する支持板として機能しており、コンデンサ12は、直接、蓋部19aに接合する他、別部材としての支持板(図示しない)を介して蓋部19aに接合してもよく、或いは支持板を、直接、主冷却器20に接合しても良い。
複数のコンデンサ12は、押さえ金具21により、蓋部19a、即ち、ケース19に保持されている。押さえ金具21は、絶縁材22を介して各コンデンサ12の電力変換回路11に対向する面に接触すると共に、端部を蓋部19aに接合しており(図7参照)、これにより、後述する支柱27若しくはフレーム30(図3参照)を接合させている。
即ち、電力変換装置10は、半導体素子15を実装した電力変換回路11と、電力変換回路11を載置した主冷却器20と、電力変換回路11を覆って主冷却器20に装着固定され、内面に装着したコンデンサ12を電力変換回路11に対向配置するケース19とを有している。
また、コンデンサ12と電力変換回路11を一体化することができる。一体化後、大きなコンデンサ12自体又はコンデンサ12を支持する支持板を、電力変換装置10のケース19又は主冷却器20に接合すれば、電力変換回路11を、主冷却器20に確実、且つ、容易に熱結合することができる。
また、押さえ金具21を有することにより、大電流を変換する電力変換装置においてコンデンサ12を単一でなく複数個並列接続する場合に、複数のコンデンサ12を保持した上に、蓋部19aに接合できるので、大型化することなく電流容量に合わせたコンデンサ12を設置することができる。この押さえ金具21に対し、電力変換回路11の支柱27若しくはフレーム30は容易に接合することができる。
これにより、以下の効果を得ることができる。
第1に、コンデンサ12の下側においてコンデンサ12と電力変換回路11の電気的な接続ができることにより、電気的に接続するためのサイズを小型化することができる。即ち、従来の、樹脂パッケージ内部の電極を介し、更に、コンデンサ12の外側で電極接続をする場合のように、大きなコンデンサ12の更に外側に接続領域や接続のための配線領域を設ける必要が無いので、サイズの小型化を図ることができる。
コンデンサ12の第1端子25と第2端子26の上に、電力変換回路11の高電位側直流端子23と低電位側直流端子24を載せた状態で電気的な接続を行なえば、コンデンサ12の外側に接続のための配線領域を設ける必要が無い。即ち、コンデンサ12に対し電力変換回路11を引っくり返した状態で、コンデンサ12の端子上に電力変換回路11を載せる。このコンデンサ12の第1端子25と第2端子26、及び電力変換回路11の高電位側直流端子23と低電位側直流端子24を、電力変換回路11の外側に位置させれば、両端子を容易に接続することができる。
第2に、電力変換回路11の内部の半導体素子15とコンデンサ12との電気的接続距離を著しく短縮することができる。
特に、コンデンサ12としてフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサを用いる場合は、下記理由により、この寄生インダクタンス低減効果が更に際立つ。
本構成では、コンデンサ12の第1端子25及び第2端子26と、電力変換回路11内部での高電位側直流端子23及び低電位側直流端子24の、位置を合わせることは容易である。そのため、コンデンサ部分での配線引き回し領域も必要とせず、更に、寄生インダクタンスを低減することができる。
この構成を有することにより、電力変換回路11とコンデンサ12との間の電気的接続部分の寄生インダクタンスを、更に低減することができ、また、接続部分の発熱も低減することができる。その上、コンデンサ12の温度上昇も一層下げることができる。
これらの効果は下記の理由による。
本構成では、電力変換回路11の内部で配線を引き回す必要が無いので、幅広い配線を電力変換回路11のサイズを大きくすることなく、主面側に突出させて直流端子として形成することは容易である。
本構成では、更に、コンデンサ12の端子に、電力変換回路11の高電位側直流端子23と低電位側直流端子24を載せているので、従来のネジ止めによらず、はんだ付けや溶接技術によって接合することは容易である。即ち、例えば、蓋部19a側を下にしてコンデンサ12上に電力変換回路11が配置されている状態で、上記接続工程を行なうならば、抵抗加熱溶接やはんだ付け技術或いはレーザ溶接技術等を用いて、これらの接続箇所を複数個又は面状に広く形成することができる。
以上より、電力変換装置10の大電力動作に対する余裕が大きくなる。また、コンデンサ12を温度上昇抑制のために過大にする必要が無いので、電力変換装置10を、更に小型化することができる。
この構成を有することにより、コンデンサ12を裏返した状態で、コンデンサ12の第1端子25及び第2端子26の上に電力変換回路11の高電位側直流端子23と低電位側直流端子24を載せる際、必ずしもこれらの端子の位置が電力変換回路11の重心に対して適切な位置にあるとは限らない。この場合でも、本構成により、電力変換回路11の支柱27(図3参照)をコンデンサ12に接合することにより、電力変換回路11の高電位側直流端子23と低電位側直流端子24をコンデンサ12の第1端子25及び第2端子26に容易に接合することができる。
特に、コンデンサ12としてアルミ電解コンデンサを用いる場合のように、コンデンサの2つの端子25,26を、コンデンサの側面の同じ側に出す構造においては、単に、コンデンサの端子に電力変換回路11の直流端子を載せるだけでは、電力変換回路11を安定させ難い。しかし、本構成によって、両端子の接合に係る工程を、確実、且つ、容易に行なうことができる。
この構成を有することにより、電力変換装置10を、更に小型化することができる。即ち、電力変換装置10のケース19又は主冷却器20に対して蓋部19aを固定する際に、ネジ止めする必要がない。このため、従来のネジ止めに要していたスペースを削減することができる。
よって、コンデンサ12を接合している蓋部19aを、十分な強度をもって主冷却器20に固定することができるので、ネジ止めスペース削減による効果に加え、更に、電力変換装置の小型化を図ることができる。
なお、本構成では、電力変換回路11とコンデンサ12を電気的に接続する工程は、コンデンサ12に蓋部19aを接合した後に、コンデンサ12を裏返した状態、即ち、蓋部19aの開口部が上を向く状態で行なう。よって、接続工程において、側壁19bが障害となることは無い。
更に、主冷却器20の壁部20aと蓋部19aの側壁19bを、確実に固定した状態で接合することができる。特に、この接合、及び電力変換回路11と主冷却器20の接合を同時に行なう際は、電力変換回路11と主冷却器20の間に加圧力を維持した状態で接合工程を実施することが望ましいが、本構成では、係止爪19cによって特別な治具等を用いなくても接合工程を実施することができる。
電力変換回路11は、複数個の電力基板29又はベースプレート(図示しない)を有している。各電力基板29(又はベースプレート)は、枠状のフレーム30で固定されており、フレーム30は、主面若しくは一部分を、コンデンサ12に接合している。
また、電力変換回路11の高電位側直流端子23と低電位側直流端子24は、撓み変形を可能にする屈曲部を有するように折り曲げて形成されており、コンデンサ12の第1端子25と第2端子26は、それぞれの端部がL字型形状に折り曲げて形成されると共に、端子端部の折り曲げ部分を、直接又は絶縁材31を介して蓋部19aに接合している。
また、大電流を変換する電力変換装置の場合、コンデンサ12の第1端子25及び第2端子26と、電力変換回路11の高電位側直流端子23と低電位側直流端子24との接続部の抵抗によって、ジュール熱が発生することがあり、この発熱によりコンデンサ12自体が過熱され、コンデンサ12の寿命に悪影響を与える可能性は否定できない。
図9は、この発明の第1実施の形態に係る電力変換装置の製造工程(その1)を示す説明図である。図10は、この発明の第1実施の形態に係る電力変換装置の製造工程(その2)を示す説明図である。図11は、この発明の第1実施の形態に係る電力変換装置の製造工程(その3)を示す説明図である。
また、電力基板29を主冷却器20に接合固定すると共に、コンデンサ12も、壁部20aと側壁19bにより主冷却器20に接合固定できるので、電力基板29やコンデンサ12の固定に係るスペースを削減することができる。また、これらの作業は、容易、且つ、簡略に行うことができる。
(第2実施の形態)
第1に、半導体素子15の温度上昇を抑制することができる。従来は、半導体素子15を実装した電力基板29を、ベースプレートという支持基板上に実装保持している場合が多かったが、この場合、ベースプレートと電力基板の間の絶縁領域やベースプレート自体の熱抵抗が大きく、半導体素子15の温度上昇に与える影響も大きい。
これに対し、本構成では、電力基板29を、その上面側から保持するので、半導体素子15から電力基板29を介して主放熱器104迄の経路における熱抵抗を、著しく低減することができる。
第2に、金属板41を直流バスバ電極とするならば、直流バスバ電極等の配線領域の寄生インダクタンスを顕著に低減することができる。一般に、バスバ電極の寄生インダクタンスは、バスバ電極を幅広く短く直線形状で形成すれば小さくできるが、従来の電力変換装置では、半導体素子への干渉を防ぐため、直流バスバ電極を細長く曲げ形状で形成せざるを得ない場合が多かった。
更に、本構成は、3相インバータ回路等の電力変換装置のように、電位が異なる複数の電力基板29で構成される場合、上述した第1と第2の効果に加えて、次の効果も得ることができる。
これに対し、本構成では、電位の異なる電力基板29のそれぞれ上面側を、電気的な絶縁を取った上で、直流バスバ電極又はベースプレートという電力変換装置全体に渡る金属板41に固定することは容易である。よって、3相インバータ回路のように電位が異なる複数の電力基板29を用いる電力変換回路11においても、半導体素子15から主冷却器20迄の熱抵抗路を、顕著、且つ、容易に小さくすることができる。
これに対し、本構成では、この場合も幅広い形状の直流バスバ電極、例えば、平板状で電力基板29全体と同等の広さを有する直流バスバ電極を設けることは、容易である。よって、直流バスバ電極の寄生インダクタンスを顕著に低減することができ、電力変換装置40の大電力動作に対する安定性を著しく向上させることができる。
(第3実施の形態)
この電力変換装置45により、第2実施の形態で得られる効果に加えて、以下の効果も得ることができる。
第2に、半導体素子15と上面冷却器46の固定に必要とするサイズを低減することができる。即ち、上面冷却器46は、コンデンサ12側に固定されており、電力変換回路11も、一旦、上面冷却器46側に固定された後、コンデンサ12をケース19又は主冷却器20に接続することにより、主冷却器20に密着固定される。よって、半導体素子15と上面冷却器46を固定するための特別な固定用部品を必要とせず、更に、この部品を設けるためのスペースも必要としない。
これに対し、本構造では、複数の半導体素子15或いは電力基板29を、上面冷却器46で保持することができるので、ベースプレートや絶縁領域を廃止することができ、熱抵抗が、更に下がることになる。
(第4実施の形態)
図14は、この発明の第4実施の形態に係る電力変換装置の側面構造を示す説明図である。図14に示すように、電力変換装置50は、電力変換回路11として、第1の電力変換回路51と第2の電力変換回路52の2つの電力変換回路を有する。そして、コンデンサ12の一面側に、第1の電力変換回路51を配置すると共に、コンデンサ12の他面側に、第2の電力変換回路52を配置する。また、第1の電力変換回路51を冷却する第1の主冷却器53と、第2の電力変換回路52を冷却する第2の主冷却器54が、それぞれ電力変換装置50のケースを兼ねて設けられている。その他の構成及び作用は、電力変換装置45と同様である。
電力変換装置50を、例えば、電動ハイブリッド自動車に用いる場合、発電機側の電力変換回路と、駆動輪側、即ち、力行側の電力変換回路の2つを組み合わせ、これら2つの電力変換回路の直流端子を共通の平滑コンデンサに接続して、電力変換装置を構成することがある。
この場合も、中央にコンデンサ12を配置し、そのコンデンサ12の両側に、電力変換回路51と電力変換回路52を設ければ良い。これにより、電力変換回路を2つ有する場合でも、前述した効果を全て得ることができる上に、装置全体をより小型化することができる。
11 電力変換回路
12 コンデンサ
13 直流電源
14 電動機
15 半導体素子
16 スイッチ回路
17 IGBT
17a 抵抗
18 FRD
19 ケース
19a 蓋部
19b,57 側壁
19c,57a 係止爪
20 主冷却器
20a,53a,54a 壁部
20b,53b,54b 被係止溝
21 押さえ金具
22 絶縁材
23 高電位側直流端子
24 低電位側直流端子
25 第1端子
26 第2端子
27 支柱
28 接着剤
29 電力基板
30 フレーム
31 絶縁接着シート
32,47 接着剤
41 金属板
42 絶縁物
46 上面冷却器
48 電極
51 第1の電力変換回路
52 第2の電力変換回路
53 第1の主冷却器
53a,54a カバー
54 第2の主冷却器
55 押さえ部
56 支持部
Claims (15)
- 半導体素子を実装した電力変換回路と、
前記電力変換回路を載置した冷却器と、
前記電力変換回路を覆って前記冷却器に装着固定され、内面に装着保持したコンデンサを前記電力変換回路に対向配置するケースと、
前記電力変換回路と前記コンデンサの間に配置され、主面を絶縁物を介して前記コンデンサに接合し裏面を前記電力変換回路に接合した、前記電力変換回路のバスバ電極又はベースプレートと
を有する電力変換装置。 - 前記コンデンサは、前記ケースに直接或いは前記ケースに接合した支持板を介して、装着保持されている請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換回路は、前記電力変換回路の主面側に突出する高電位側直流端子及び低電位側直流端子を有し、
前記コンデンサは、前記高電位側直流端子の上に配置されて電気的に接続された第1端子、及び前記低電位側直流端子の上に配置されて電気的に接続された第2端子を有する請求項1または2に記載の電力変換装置。 - 前記高電位側直流端子と前記第1端子を、前記低電位側直流端子と前記第2端子を、それぞれはんだ付け又は溶接により接続した請求項3に記載の電力変換装置。
- 前記高電位側直流端子及び前記低電位側直流端子は、撓み変形を可能にする屈曲部を有するように折り曲げて形成されている請求項3または4に記載の電力変換装置。
- 前記第1端子及び前記第2端子は、それぞれの端部がL字型形状に折り曲げて形成されると共に、端子端部の折り曲げ部分を前記ケースに接合している請求項3から5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記半導体素子の上に、前記半導体素子と低熱抵抗材料で接合した上面冷却器を配置した請求項1から6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換回路は、前記電力変換回路の主面側に突出して形成され、前記コンデンサに接合して前記コンデンサを固定する支柱を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換回路は、前記コンデンサに接合されたフレームにより固定される、複数個の電力基板又は前記ベースプレートを有する請求項1から8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記コンデンサは、前記コンデンサの前記電力変換回路に対向する面及び前記ケースに接触させると共に、前記支柱に接合した押さえ金具により装着保持された複数個を有する請求項8に記載の電力変換装置。
- 前記コンデンサは、前記コンデンサの前記電力変換回路に対向する面及び前記ケースに接触させると共に、前記フレームに接合した押さえ金具により装着保持された複数個を有する請求項9に記載の電力変換装置。
- 前記ケースは、蓋部の裏面側に突出する側壁の下端に形成された係止爪を、前記蓋部の裏面に対向する前記冷却器の主面に突出する壁部に形成された被係止溝に係止させて、前記冷却器に固定される請求項1から11のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換回路のバスバ電極或いは電流センサを、前記ケースに固定した請求項1から12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換回路は、前記コンデンサの一面側に配置した第1の電力変換回路と他面側に配置した第2の電力変換回路の2個からなる請求項1から13のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記第1の電力変換回路を冷却する第1の冷却器と、該第2の電力変換回路を冷却する第2の冷却器を有し、前記第1の冷却器及び前記第2の冷却器は前記ケースを兼ねている請求項14に記載の電力変換装置。
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