JP4292589B2 - ビスアゾ化合物及びそれを用いる繊維材料の染色又は捺染方法 - Google Patents

ビスアゾ化合物及びそれを用いる繊維材料の染色又は捺染方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維反応性の赤色系ビスアゾ化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、繊維材料の染色及び捺染のための種々の反応染料が知られている。例えば、繊維反応性の赤色系のビスアゾ染料としては、1個のトリアジン環の2位及び4位に、それぞれ、ベンゼン又はナフタレン/1−アミノ-8−ナフトール系のモノアゾ染料残基が対称形に接続された反応染料が、特開昭54−73827号公報等に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明者らは、セルロース等の繊維材料の染色又は捺染の処理において、上記公知の染料に比べて、染色性能(低塩濃度での染色性、再現性、均染性、ビルドアップ性、有効染着率及びウォッシュオフ性等)がより良好であり、且つ、諸堅牢性(耐塩素性、耐光性、耐汗性、耐汗日光性、耐酸加水分解性、耐アルカリ性、耐洗濯性及び耐過酸化洗濯性等)に優れた赤色の染色物を与えるような反応染料を開発すべく、鋭意研究した結果、2つのトリアジン環と、2個のモノアゾ染料残基と、前記2つのうちの末端のトリアジン環に2つのビニルスルホン系の反応基を有する特定構造のビスアゾ化合物が、目的とする性能を示すことを見出して、本発明を完成するに至った。
【0004】
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示されるビスアゾ化合物又はその塩を提供するものである。
【0005】
【化6】
Figure 0004292589
【0006】
〔式中、m及びnは互いに独立に0又は1を表し、R1、R2及びR3は互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、Dは置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいナフチルを表し、Bは下記一般式(B1)又は(B2)で示される基を表し、
【0007】
【化7】
Figure 0004292589
【0008】
(ここで、*印は、アゾ基に接続する結合を表し、R4は水素原子、低級アルキル、低級アルコキシ又はスルホを表し、p及びqは、互いに独立に、0又は1を表す。)
1及びU2は互いに独立に、下記一般式(U1)、(U2)、(U3)又は(U4)で示される連結基を表し、
【0009】
【化8】
Figure 0004292589
【0010】
(ここで、R5、R6及びR7は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、A1は置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、A2は置換されていてもよいアルキレンを表し、Q1は−O−、−S−又は−NR8−を表し、ここに、R8は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、r及びsは、互いに独立に、2、3又は4を表し、tは1〜6の整数を表し、**印は、−SO2−Y1又は−SO2−Y2に接続する結合を意味する。)
Xはハロゲノ、置換されていてもよいピリジニオ、下記式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)又は(X6)で示される基を表し、
【0011】
【化9】
Figure 0004292589
【0012】
(ここで、A3は脂肪族又は芳香族の2価の架橋基を表し、R9は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロヘキシル、置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいナフチルを表し、Q2は、−CH2−、−O−、−S−、−SO2−又は−NR14−を表し、ここに、R14は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、uは1、2又は3である。)
1、Y2及びY3は互いに独立に、−CH=CH2又は−CH2CH21を表し、ここにZ1はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
【0013】
また、本発明は、前記一般式(1)で示されるビスアゾ化合物又はその塩を用いて繊維材料を染色又は捺染する方法をも提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のビスアゾ化合物は、前記一般式(1)で示されるものであるが、式中、m及びnは互いに独立に、0又は1を表す。
【0015】
また、ビスアゾ化合物(1)において、R1、R2及びR3は互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、当該アルキルは、好ましくは、炭素数1〜4個のものであり、該アルキルの置換基としては、例えば、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4個のアルコキシ、ハロゲノ、カルバモイル、カルボキシ、アルコキシ(炭素数1〜4)カルボニル、アルキル(炭素数1〜4)カルボニルオキシ、スルホ及びスルファモイル等を挙げることができる。
上記アルキル、該アルキルの置換基としての炭素数1〜4個のアルコキシ、同じくアルコキシ(炭素数1〜4)カルボニル及び同じくアルキル(炭素数1〜4)カルボニルオキシは、直鎖状でもよく、又、分岐状でもよい。
【0016】
1、R2及びR3で表される置換されていてもよいアルキルの具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、3,4−ジヒドロキシブチル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、クロロメチル、ブロモメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、1,2−ジカルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、3−カルバモイルプロピル、4−カルバモイルブチル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニルプロピル、4−メトキシカルボニルブチル、4−エトキシカルボニルブチル、メチルカルボニルオキシメチル、エチルカルボニルオキシメチル、2−メチルカルボニルオキシエチル、2−エチルカルボニルオキシエチル、3−メチルカルボニルオキシプロピル、3−エチルカルボニルオキシプロピル、4−メチルカルボニルオキシブチル、4−エチルカルボニルオキシブチル、スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、スルファモイルメチル、2−スルファモイルエチル、3−スルファモイルプロピル及び4−スルファモイルブチル等を挙げることができる。
【0017】
1、R2及びR3として好ましくは、水素原子又は無置換のアルキルであり、とりわけ、水素原子、メチル及びエチルが特に好ましい。
【0018】
本発明におけるビスアゾ化合物(1)において、Dは置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいナフチルを表す。
フェニル及びナフチルの置換基としては、例えば、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐状のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、カルボキシ、スルホ、ハロゲノ、ニトロ、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH22などが挙げられる。ここに、Z2はアルカリの作用で脱離する基を表すが、Z2としては、具体的には、例えば、硫酸エステル、チオ硫酸エステル、燐酸エステル、酢酸エステル等の基、ハロゲノなどを挙げることができる。中でも、硫酸エステル基およびクロロが好ましい。
Dは、好ましくは、−SO2CH=CH2、−SO2CH2CH22(Z2は前記の意味を有する。)及びスルホの群から選ばれる少なくとも1個の置換基で置換されている、フェニル又はナフチルであり、この場合、さらに、前記例示した別の置換基、例えば、炭素数1〜4個のアルキル等を有していてもよい。
【0019】
Dで表されるフェニルとしては、具体的には、無置換のフェニルや、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、カルボキシ、スルホ、ハロゲノ、ニトロ、−SO2CH=CH2及び−SO2CH2CH22(Z2は前記の意味を有する)の群から選ばれる1、2もしくは3個の置換基により置換されたフェニル等が挙げられる。
これらの中でも、遊離酸の形が、下記一般式(D1)及び(D2)で示される基が好ましい。
【0020】
【化10】
Figure 0004292589
【0021】
〔式中、R15は水素原子、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ又はカルボキシを表し、vは1又は2を表し、R16及びR17は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、カルボキシ、スルホ又はハロゲノを表し、Qは−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH22(Z2は前記の意味を有する)を表す。〕
【0022】
ここで、一般式(D1)で示される基としては、以下のものが例示される。
【0023】
【化11】
Figure 0004292589
【0024】
又、一般式(D2)で示される基としては、以下のものが例示される。
【0025】
【化12】
Figure 0004292589
【0026】
〔式中、Qは、前記の意味を表す。〕
【0027】
式(D1)及び(D2)で示される基の中でも、一般式(D1)のR15が水素原子、メチル、メトキシ又はカルボキシである場合、及び、一般式(D2)のR16及びR17が互いに独立に水素原子、メチル、メトキシ又はスルホであって、かつ、Qが−SO2CH2CH2OSO3Hである場合が、特に好ましい。
又、式(D1)及び(D2)の基の中、後者が、より好ましい。
【0028】
Dで表されるナフチルとして、好ましくは、無置換のナフチル、或いは、−SO2CH=CH2、−SO2CH2CH22(Z2は前記の意味を有する)及びスルホの群から選ばれる1、2もしくは3個の置換基により置換されたナフチルが挙げられる。
これらの中でも、遊離酸の形が、下記式(D3)又は(D4)で示される基が、好ましい。
【0029】
【化13】
Figure 0004292589
【0030】
〔式中、wは、1又は2を表し、xは、0又は1を表し、Qは、前記の意味を表す。〕
【0031】
ここで、一般式(D3)で示される基としては、以下のものが例示される。
【0032】
【化14】
Figure 0004292589
【0033】
又、一般式(D4)で示される基としては、以下のものが例示される。
【0034】
【化15】
Figure 0004292589
【0035】
〔Qは、前記の意味を表す。〕
【0036】
一般式(D4)で示される基としては、これらの例示のナフチル基の中でも、Qが−SO2CH2CH2OSO3Hであり、且つ、スルホで置換されていてもよい、ナフチルが、特に好ましい。
【0037】
又、本発明におけるビスアゾ化合物(1)において、式(1)中、Bは、前記一般式(B1)又は(B2)で示される基を表し、p及びqは互いに独立に0又は1を表し、*印はアゾ基に接続する結合を表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ又はスルホを表す。
【0038】
ここで、上記低級アルキル基や低級アルコキシとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシやsec−ブトキシ等が、挙げられる。
【0039】
上記Bの具体例としては、例えば、
【0040】
【化16】
Figure 0004292589
【0041】
〔式中、*印は、アゾ基に接続する結合を表す。〕
等の基を挙げることができる。
【0042】
中でも、2−スルホ−1,5−フェニレン(この場合、1−位で、アゾ基に結合している)等が、特に好ましい。
【0043】
本発明におけるビスアゾ化合物(1)において、U1及びU2は互いに独立に、前記式(U1)、(U2)、(U3)又は(U4)で示される連結基を表す。
これらの式中、R5、R6及びR7は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表すが、当該アルキルとしては、前記R1、R2及びR3で例示したものと同様の、置換されていてもよいアルキルが、挙げられる。
5としては、水素原子、メチル及びエチルである場合が好ましい、R6及びR7としては、水素原子、メチル及びエチルである場合が好ましく、中でも、水素原子である場合が特に好ましい。
【0044】
Uにおける前記式(U1)中、A1は置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表す。
かかる置換されていてもよいフェニレンとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ及びハロゲノの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレン等を挙げることができる。
好ましいフェニレンとしては、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、クロロ、ブロモ及びスルホの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレンが挙げられる。
【0045】
かかるフェニレンの具体例としては、例えば、
【0046】
【化17】
Figure 0004292589
【0047】
〔化17の式中、*印で示した結合は−NR5−(R5は前記の意味を有する。)に接続する結合を意味する。〕
等を挙げることができる。
とりわけ、メチル又はメトキシから選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいフェニレンが特に好ましい。
【0048】
前記一般式(U1)中の、A1で表される置換基されていてもよいナフチレンとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ及びハロゲノの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいナフチレン等を挙げることができる。
1で表される置換基されていてもよいナフチレンとしては、好ましくは、1又は2個のスルホにより置換されていてもよいナフチレンである。
かかるナフチレンの具体例としては、例えば、
【0049】
【化18】
Figure 0004292589
【0050】
〔化18の式中、*で示した結合は、−NR5−(R5は前記の意味を有する。)に接続する結合を意味する。〕
等を挙げることができる。
【0051】
1は、好ましくは、置換されていてもよいフェニレンであり、とりわけ、メチル及びメトキシから選ばれる1又は2個の基で置換されていてもよいフェニレンが好ましい。
【0052】
また、前記式(U2)中、A2は置換されていてもよいアルキレンを表すが、かかるアルキレンとしては、好ましくは、炭素数1〜4個のアルキル、ハロゲノ、ヒドロキシ、スルホ、シアノ、炭素数1〜4個のアルコキシ、炭素数1〜4個のアルコキシカルボニル、炭素数1〜4個のアルキルカルボニルオキシ及びカルバモイルの群から選ばれる置換基により置換されていてもよい炭素数2〜4個のアルキレン等が挙げられる。
2で表される置換されていてもよいアルキレンとしては、より好ましくは、無置換の炭素数2〜4個のアルキレンが挙げられ、中でも、エチレン及びトリメチレンが、特に好ましい。
【0053】
前記式(U3)中、Q1は−O−、−S−又は−NR8−を表し、ここでR8は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表す。
8で表される置換されていてもよいアルキルとしては、例えば、前記R1、R2及びR3で例示したものと同様の、炭素数1〜4個のアルキル等を挙げることができる。
又、R8で表される置換されていてもよいフェニルとしては、例えば、スルホで置換されていてもよいフェニルを挙げることができる。
8は、好ましくは、水素原子、メチル及びエチルである。
【0054】
前記一般式(U3)中、r及びsは互いに独立に2、3又は4である。
一般式(U3)で示される基としては、Q1が−O−であり、且つ、r及びsが、互いに独立に、2又は3であるものが好ましく、具体的には、
【0055】
#−CH2CH2−O−CH2CH2
#−CH2CH2−O−CH2CH2CH2
#−CH2CH2CH2−O−CH2CH2
#−CH2CH2CH2−O−CH2CH2CH2
【0056】
〔式中、#で示した結合は、−NR7−(R7は前記の意味を有する。)に接続する結合を意味する。〕
である基が好ましい。
【0057】
とりわけ、
#−CH2CH2−O−CH2CH2
〔式中、#は前記の意味を有する。〕
である基が、特に好ましい。
【0058】
前記式(U4)中、tは1〜6の整数を表すが、中でも、2、3又は4であるものが、好ましい。
【0059】
このようなU1及びU2で示される連結基としては、互いに独立に、前記一般式(U1)又は(U2)で示される連結基である場合が好ましく、中でも、U1及びU2の少なくとも一方が前記一般式(U2)で示される連結基である場合が、特に好ましい。
【0060】
更に、U1及び/又はU2が前記式(U1)で示される基である場合、A1が、置換されていてもよいフェニレン、特にメチル、メトキシ及びスルホから選ばれる1又は2個の基で置換されていてもよいフェニレンであり、且つ、R5が、水素原子、メチル又はエチルであるものが好ましい。
【0061】
また、U1及び/又はU2が前記一般式(U2)で示される基である場合、A2が、エチレン又はトリメチレンであり、且つ、R6が、水素原子、メチル又はエチル、特に水素原子であるものが好ましい。
【0062】
本発明におけるビスアゾ化合物(1)において、Xは、ハロゲノ、置換されていてもよいピリジニオ、前記一般式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)又は式(X6)で示される基を表す。
ここで、ハロゲノとしては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ等を挙げることができる。
【0063】
また、置換されていてもよいピリジニオとしては、例えば、カルボキシ、カルバモイル、スルホ、ハロゲノ及び置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルの群から選ばれる基で置換されていてもよいピリジニオ等が挙げられる。
ここで、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルとしては、2−ヒドロキシエチル、2−スルホエチル等を挙げることができる。
【0064】
かかるピリジニオの具体例としては、ピリジニオ、2−、3−又は4−カルボキシピリジニオ、2−、3−又は4−カルバモイルピリジニオ、3−スルホピリジニオ、4−(2−スルホエチル)ピリジニオ、3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニオ、4−クロロピリジニオ、3−メチルピリジニオ、3,5−ジカルボキシピリジニオ等を挙げることができる。
好ましくはカルボキシ又はカルバモイルで置換されているピリジニオであり、とりわけ、3−又は4−カルボキシピリジニオが特に好ましい。
【0065】
前記一般式(X1)中、R9は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表すが、当該アルキルとしては、前記R1、R2及びR3で例示したものと同様の、置換されていてもよいアルキルが挙げられる。好ましいR9は、水素原子、メチル及びエチルである。
【0066】
また、式(X1)中、 A3は脂肪族又は芳香族の2価の架橋基を表す。
かかる脂肪族の2価の架橋基としては、置換されていても良く、又、炭素鎖が酸素原子で中断されていてもよい炭素数2〜6個のアルキレンが挙げられる。このようなアルキレンとしては、前記A2で例示したものと同様の、置換されていてもよいアルキレンのほか、エチレンオキシエチレン、エチレンオキシトリメチレン及びトリメチレンオキシトリメチレン等が挙げられる。
又、芳香族の2価の架橋基としては、前記A1で例示したものと同様の置換されていてもよいフェニレン及び置換されていてもよいナフチレンが挙げられる。A3は、好ましくは、メチル、メトキシ及びスルホからなる群より選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレン、又は、無置換の炭素数2〜3個のアルキレンである。
【0067】
前記一般式(X2)、(X4)又は(X5)で示される基中、R10、R11、R12及びR13は互いに独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロへキシル、置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいナフチルを表す。
かかるアルキルとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ、カルボキシ、スルファモイル、カルバモイル、ヒドロキシ、ハロゲノ、シアノ、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、置換されていてもよいフェニル及びスルファートの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよい炭素数1〜4個のアルキルが挙げられる。又、置換されていてもよいシクロヘキシルとしては、例えば、未置換のシクロヘキシルや、メチル及び水酸基等で置換されたシクロヘキシル等を挙げることができる。
置換されていてもよいフェニルとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ及びハロゲノの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニル等を挙げることができる。
【0068】
10、R11、R12及びR13で表される、置換されていてもよいアルキルの具体例としては、前記R1、R2及びR3で例示したアルキルの他、置換されていてもよいベンジル等を挙げることができる。
置換されていてもよいアルキルとしては、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、2−ヒドロキシエチル、、2−スルホエチル、2−メトキシエチル、2−カルボキシエチル、2−カルバモイルエチル、2−スルファモイルエチル、ベンジル、2−、3−又は4−スルホベンジル等である。
【0069】
前記一般式(X2)、(X4)又は(X5)で示される基中、R10、R11、R12及びR13が表す置換されていてもよいフェニルとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ、カルボキシ、ハロゲノ、ヒドロキシ、シアノ、カルバモイル、スルファモイル、カルボン酸エステル、2−ヒドロキシエチルスルホニル、アミノ、アシルアミノ、及びアルキル(炭素数1〜4)置換アミノの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニル等を挙げることができる。
【0070】
かかるフェニルの具体例として、好ましくは、例えばフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、2−、3−又は4−カルボキシフェニル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2−、3−又は4−スルホフェニル、2−スルホ−4−メトキシフェニル、2−、3−又は4−ヒドロキシフェニル等が挙げられる。
【0071】
前記一般式(X2)、(X4)又は(X5)で示される基中、R10、R11、R12及びR13が表す置換されていてもよいナフチルとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ、カルボキシ、ハロゲノ及びヒドロキシの群から選ばれる1、2又は3個の置換基により置換されていてもよいナフチル等を挙げることができる。
【0072】
かかるナフチルの具体例として、好ましくは、例えば2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−スルホ−1−ナフチル、1−、5−、6−、7−又は8−スルホ−2−ナフチル、1,5−、5,7−、6,8−、4,8−、4,7−、3,8−、4,6−、3,7−又は3,6−ジスルホ−2−ナフチル、4,6,8−、2,4,7−又は3,6,8−トリスルホ−1−ナフチル、1,5,7−、4,6,8−又は3,6,8−トリスルホ−2−ナフチル等が挙げられる。
【0073】
前記一般式(X3)で示される基中、Q2は−CH2−、−O−、−S−、−SO2−又は−NR14−を表す。ここで、R14は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表すが、かかるR14としては、例えば、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル、及びアルコキシ(炭素数1〜4)置換アルキル(炭素数1〜4)等を挙げることができる。
14としては、水素原子、メチル又はエチルが、特に好ましい。
【0074】
又、前記一般式(X3)中、uは1、2又は3の整数を意味する。
【0075】
前記式(X3)で示される基の具体例としては、例えば、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、n−アルキルピペラジノ及びモルホリノ等を挙げることができる。
中でも、Q2が−CH2−又は−O−であり、かつ、uが2である場合、つまり、ピペリジノ又はモルホリノが特に好ましい。
【0076】
本発明におけるビスアゾ化合物(1)において、Xが−NR1011で示される前記式(X2)で示される基である場合、このような基(X2)を形成するのに用いられるアミン化合物(HNR1011)としては、例えば次のようなものを挙げることが出来る。
【0077】
イ)アンモニア;
ロ)下記の芳香族アミン類
1−アミノベンゼン、1−アミノ−2−、−3−又は−4−メチルベンゼン、1−アミノ−2,4−、−3,4−又は−3,5−ジメチルベンゼン、1−アミノ−2−、−3−又は−4−エチルベンゼン、1−アミノ−2−、−3−又は−4−メトキシベンゼン、1−アミノ−2−、−3−又は−4−エトキシベンゼン、1−アミノ−2−、−3−又は−4−クロロベンゼン、1−アミノ−2−、−3−又は−4−ブロモベンゼン、1−アミノ−2−、−3−又は−4−フルオロベンゼン、3−又は4−アミノフェニルメタンスルホン酸、2−、3−又は4−アミノベンゼンスルホン酸、3−又は4−メチルアミノベンゼンスルホン酸、3−又は4−エチルアミノベンゼンスルホン酸、5−アミノベンゼン−1,3−ジスルホン酸、6−アミノベンゼン−1,3−又は−1,4−ジスルホン酸、4−アミノベンゼン−1,2−ジスルホン酸、4−アミノ−5−メチルベンゼン−1,2−ジスルホン酸、2−、3−又は4−アミノ安息香酸、5−アミノベンゼン−1,3−ジカルボン酸、5−アミノ−2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−アミノ−2−エトキシベンゼンスルホン酸、N−メチルアミノベンゼン、N−エチルアミノベンゼン、1−メチルアミノ−3−又は−4−メチルベンゼン、1−エチルアミノ−3−又は−4−メチルベンゼン、1−メチルアミノ−2−、−3−又は−4−クロロベンゼン、1−エチルアミノ−2−、−3−又は−4−クロロベンゼン、1−(2−ヒロドキシエチル)アミノ−3−メチルベンゼン、3−又は4−メチルアミノ安息香酸、1−アミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1−アミノ−2,5−ジメトキシベンゼン、2−、3−又は4−アミノフェノール、1−アミノ−3−又は−4−アセチルアミノベンゼン、2,4−又は2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、1−アミノベンゼン−3−又は−4−(β−ヒドロキシエチルスルホン)、2−、4−、5−、6−、7−又は8−アミノナフタレン−1−スルホン酸、1−、4−、5−、6−、7−又は8−アミノナフタレン−2−スルホン酸、7−メチルアミノナフタレン−2−スルホン酸、7−エチルアミノナフタレン−2−スルホン酸、7−ブチルアミノナフタレン−2−スルホン酸、7−イソブチルアミノナフタレン−2−スルホン酸、4−、5−、6−、7−又は8−アミノナフタレン−1,3−ジスルホン酸、2−、3−又は4−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸、4−又は8−アミノナフタレン−1,6−ジスルホン酸、4−アミノナフタレン−1,7−ジスルホン酸、3−又は4−アミノナフタレン−2,6−ジスルホン酸、3−又は4−アミノナフタレン−2,7−ジスルホン酸、6−又は7−アミノナフタレン−1,3,5−トリスルホン酸、4−、7−又は8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、4−アミノナフタレン−1,3,7−トリスルホン酸等;
【0078】
ハ)下記の脂肪族アミン類
メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、アリルアミン、2−クロロエチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−アミノエタノール、2−メチルアミノエタノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−アセチルアミノエチルアミン、1−アミノ−2−プロパノール、3−メトキシプロピルアミン、1−アミノ−3−ジメチルアミノプロパン、2−アミノエタンスルホン酸アミド、2−アミノエタンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、2−メチルアミノエタンスルホン酸アミド、2−メチルアミノエタンスルホン酸、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸、2−スルファートエチルアミン、アミノ酢酸、メチルアミノ酢酸、3−アミノプロピオン酸、3−アミノプロピオン酸アミド、3−メチルアミノプロピオン酸、3−メチルアミノプロピオン酸アミド、ε−アミノカプロン酸、ベンジルアミン、2−、3−又は4−スルホベンジルアミン、2−、3−又は4−クロロベンジルアミン、2−、3−又は4−メチルベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、1−フェニルエチルアミン、2−フェニルエチルアミン、1−フェニル−2−プロピルアミン等。
【0079】
かかる式 HNR1011で示されるアミン化合物として、特に好ましいものとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、2−、3−又は4−クロロアニリン、N−メチル−2−、−3−又は−4−クロロアニリン、N−エチル−2−、−3−又は−4−クロロアニリン、2−、3−又は4−メチルアニリン、2−、3−又は4−エチルアニリン、2−、3−又は4−メトキシアニリン、2−、3−又は4−エトキシアニリン、2−、3−又は4−ヒドロキシアニリン、アニリン−2−、−3−又は−4−スルホン酸、3−又は4−メチルアミノベンゼンスルホン酸、3−又は4−エチルアミノベンゼンスルホン酸、2−、3−又は4−カルボキシアニリン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、タウリン、N−メチルタウリン、モノ−又はジ−エタノールアミン、2−スルファモイルエチルアミン、2−カルバモイルエチルアミンを挙げることができる。
これらの中でも、とりわけ、、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、2−、3−又は4−クロロアニリン、N−メチル−2−、−3−又は−4−クロロアニリン、N−エチル−2−、−3−又は−4−クロロアニリン、2−、3−又は4−メチルアニリン、2−、3−又は4−エチルアニリン、2−、3−又は4−メトキシアニリン、2−、3−又は4−エトキシアニリン、2−、3−又は4−ヒドロキシアニリン、アニリン−2−、−3−又は−4−スルホン酸、3−又は4−メチルアミノベンゼンスルホン酸、3−又は4−エチルアミノベンゼンスルホン酸、2−、3−又は4−カルボキシアニリン等が、特に好ましい。
【0080】
更に、Yが前記一般式(X2)で示される基である場合、R10及びR11で示される基は、一方が置換されていてもよいフェニルであることが好ましく、より好ましくは、R10が、水素原子、メチル又はエチルであり、かつ、R11が炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、スルホ、カルボキシ、ハロゲノ、ヒドロキシ、シアノ及びアシルアミノの群から選ばれる基で置換されていてもよいフェニルである場合が、特に好ましい。
【0081】
Yが、−OR12で示される前記一般式(X4)である場合、−OR12基を形成するのに用いられる化合物(即ち、HOR12)としては、例えば、次のようなものを挙げることが出来る。
【0082】
ニ)下記のフェノール類やナフトール類
フェノール、1−ヒドロキシ−2−、−3−又は−4−メチルベンゼン、1−ヒドロキシ−3,4−又は−3,5−ジメチルベンゼン、1−ヒドロキシ−2−、−3−又は−4−エチルベンゼン、1−ヒドロキシ−2−、−3−又は−4−メトキシベンゼン、1−ヒドロキシ−2−、−3−又は−4−エトキシベンゼン、1−ヒドロキシ−2−、−3−又は−4−クロロベンゼン、3−又は4−ヒドロキシフェニルメタンスルホン酸、3−又は4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼン−1,4−ジスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼン−1,2−ジスルホン酸、4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼン−1,2−ジスルホン酸、3−又は4−ヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジカルボン酸、5−ヒドロキシ−2−エトキシベンゼンスルホン酸;
【0083】
2−、4−、5−、6−、7−又は8−ヒドロキシナフタレン−1−スルホン酸、1−、4−、5−、6−、7−又は8−ヒドロキシナフタレン−2−スルホン酸、4−、5−、6−、7−又は8−ヒドロキシナフタレン−1,3−ジスルホン酸、2−、3−又は4−ヒドロキシナフタレン−1,5−ジスルホン酸、4−又は8−ヒドロキシナフタレン−1,6−ジスルホン酸、4−ヒドロキシナフタレン−1,7−ジスルホン酸、3−又は4−ヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸、3−又は4−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸、6−又は7−ヒドロキシナフタレン−1,3,5−トリスルホン酸、4−、7−又は8−ヒドロキシナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、4−ヒドロキシナフタレン−1,3,7−トリスルホン酸;
【0084】
ホ)下記の脂肪族アルコール類
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、2−クロロエタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロパノール、3−エトキシプロパノール、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、3−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、2−シアノエタノール、2−スルファートエタノール、グリコール酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、ベンジルアルコール、2−、3−又は4−クロロベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、2−、3−又は4−スルホベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、1−フェニル−2−プロパノール。
【0085】
Yが、−SR13で示される前記一般式(X5)である場合、−SR13基を形成するのに用いられる化合物(HSR13)としては、例えば、式(X4)を形成するのに用いられる化合物として先に例示した、フェノール類、ナフトール類、脂肪族アルコール類における水酸基を、それぞれメルカプト基に変更した化合物等を挙げることができる。
【0086】
本発明におけるビスアゾ化合物(1)において、Xは、ハロゲノ、置換されていてもよいピリジニオ、前記一般式(X1)又は前記一般式(X2)であるものが好ましい。
かかるハロゲノとしては、フルオロ、クロロが特に好ましい。
又、かかる置換されていてもよいピリジニオとしては、3−カルボキシピリジニオが好ましい。
Yが、式(X1)である場合は、R9が水素原子、メチル及びエチルであり、A3が置換されていてもよいフェニレン、特にメチル、メトキシ及びスルホから選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレン、又は、無置換の炭素数2〜3個のアルキレンである場合が好ましい。
Yが、式(X2)である場合は、R10及びR11の一方が水素原子、メチル又はエチルであって、他方が置換されていてもよいフェニル、特に炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、スルホ、カルボキシ、ハロゲノ、ヒドロキシ、シアノ及びアシルアミノの群から選ばれる基で置換されていてもよいフェニルである場合が好ましい。
【0087】
本発明におけるビスアゾ化合物(1)中のY1及びY2、及び、前記一般式(X1)中のY3は、互いに独立に、−CH=CH2又は−CH2CH21を表し、ここにZ1はアルカリの作用で脱離する基である。
1は具体的には、例えば、硫酸エステル、チオ硫酸エステル、燐酸エステル、酢酸エステル等の基、ハロゲノなどを挙げることができる。中でも、硫酸エステル基およびクロロが好ましい。
好ましいY1、Y2及びY3はの具体例としては、−CH=CH2、−CH2CH2Cl又は−CH2CH2OSO3Hなどを挙げることができ、中でも、−CH2CH2OSO3Hが、特に好ましい。
【0088】
本発明におけるビスアゾ化合物(1)において、D又はBとアゾ基を介して連結しているアミノナフトールスルホン酸類としては、例えば、H酸、K酸、J酸、γ酸、スルホJ酸及びN−メチルJ酸等を挙げることができる。これらの中でも、H酸、K酸、J酸が特に好ましい。
【0089】
また、本発明におけるビスアゾ化合物(1)は、遊離酸の形であっても、その塩の形であっても、又は、それらの混合物の形であってもよい。好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びそれらを含有する混合物であり、中でもナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩及びそれらを含有する混合物が好ましい。
【0090】
さらに、本発明におけるビスアゾ化合物は、一般式(1)で示されるものであれば特に限定されないが、下記一般式(2)で示されるものが好ましい。
【0091】
【化19】
Figure 0004292589
【0092】
〔式中、R3、D、B、U1、U2、X、Y1及びY2は、上記の意味を有する。〕
中でも、以下に示される化合物等が、特に好ましい。
【0093】
【化20】
Figure 0004292589
【0094】
〔式中、R16、R17、X、U1、U2、Y1、Y2、Q及びxは前記の意味を有する。又、[ ]外に存在する2つの残基は、[ ]内に示した2つのアゾ基のいずれに結合していてもよいことを示す。〕
化20に例示した化合物群のうち、とりわけ、次の第一〜第四の条件である場合が特に好ましい。
第一に、R16及びR17が、互いに独立に、水素、メチル、メトキシ又はスルホである。
第二に、U1及びU2の一方が前記式(U1)又は(U2)であって、もう一方が前記式(U2)であり、しかもここにおいて、式(U1)中のR5が、水素原子、メチル又はエチルであり、かつ、A1が、メチル、メトキシ及びスルホから選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニレンであって、そして、式(U2)中のR6が水素原子であり、かつ、A2がエチレン又はトリメチレンである。
第三に、Xがフルオロ、クロロ、置換されていてもよいピリジニオ、前記式(X1)又は(X2)であり、しかもここにおいて、式(X1)中のR9が水素原子、メチル又はエチルであり、かつ、A3が、メチル、メトキシ及びスルホから選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニレン、又は無置換の炭素数2〜3のアルキレンであって、そして、式(X2)中のR10が水素原子、メチル又はエチルであり、かつ、R11が、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、スルホ、カルボキシ、ハロゲノ、ヒドロキシ、シアノ及びアシルアミノの群から選ばれる基で置換されていてもよいフェニルである。
第四に、Qが−SO2CH2CH2OSO3Hである。
【0095】
本発明のビスアゾ化合物(1)の製造方法は特に限定されないが、例えば次の4つの方法を例示することができる。
第一の製造方法は、遊離酸の形が、下記一般式(3)
【0096】
【化21】
Figure 0004292589
【0097】
〔式中、m、n、R1、R2、R3、D、B及びXは、前記の意味を有する。〕
で示されるビスアゾ中間化合物と、下記一般式(4)
H−U1−SO2−Y1 (4)
【0098】
〔式中、U1及びY1は前記の意味を有する。〕
で示されるアミン化合物と、下記一般式(5)
【0099】
H−U2−SO2−Y2 (5)
〔式中、U2及びY2は前記の意味を有する。〕
で示されるアミン化合物を、2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンと任意の順序で縮合させる方法である。
【0100】
第二の製造方法は、遊離酸の形が,下記一般式(6)
【0101】
【化22】
Figure 0004292589
【0102】
〔式中、m、R1及びDは前記の意味を有する。〕
で示される化合物と、遊離酸の形が、下記一般式(7)
【0103】
【化23】
Figure 0004292589
【0104】
〔式中、n、R2、R3、B、U1、U2、Y1及びY2は前記の意味を有する。〕
で示される化合物を、2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンと任意の順序で縮合させる方法、又は、一般式(6)で示される化合物と、一般式(7)で示される化合物と、下記一般式(8)、(9a)、(9b)、(9c)、(9d)又は(10)
【0105】
【化24】
Figure 0004292589
【0106】
〔式中、A3、R9、R10、R11、R12、R13、Q2、u及びY3は前記の意味を有する。R’は水素、カルボキシ、カルバモイル、スルホ、ハロゲノ又は置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルを表し、yは1又は2である。〕
で示される化合物のいずれかを、2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンと任意の順序で縮合させる方法である。
【0107】
第三の製造方法は、遊離酸の形が、下記一般式(11)
【0108】
【化25】
Figure 0004292589
【0109】
〔式中、m、n、R1、R2、D及びXは前記の意味を有する。〕
で示される化合物に、常法によりジアゾ化した下記一般式(12)
【0110】
【化26】
Figure 0004292589
【0111】
〔式中、B、R3、U1、U2、Y1及びY2は前記の意味を有する。〕
で示される化合物を、常法によりカップリングさせる方法である。
【0112】
第四の製造方法は、下記一般式(13)
【0113】
【化27】
Figure 0004292589
【0114】
〔式中、m、n、R1、R2、R3、B、U1、U2、X、Y1及びY2は前記の意味を有する。〕
で示される化合物に、常法によりジアゾ化した下記一般式(14)
【0115】
D−NH2 (14)
【0116】
〔式中、Dは前記の意味を有する。〕
で示される化合物を、常法によりカップリングさせる方法である。
【0117】
以上の4つの製造方法に於いて、原料となる化合物、例えば、一般式(3)、(6)、(7)、(11)、(12)及び(13)は、それ自身公知の方法で製造することができる。すなわち、公知のジアゾ化反応及び公知のカップリング反応によってまたは、公知の2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンとアミン化合物との縮合反応によって、さらには必要に応じて、それらの反応を任意に組み合わせることによって、それぞれの原料化合物を製造することができる。
【0118】
本発明のビスアゾ化合物(1)及びその原料を得るに当たり、用いる2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンの具体化合物としては、例えば、塩化シアヌル、フッ化シアヌル等を挙げることができる。
【0119】
また、2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンにかかわる縮合反応においては、上述したように、その縮合順序は特に制限されるものではない。また、かかる縮合反応の条件も特に制限されないが、例えば、一番初めの縮合反応は温度−10℃ないし40℃でpH1ないし10の条件下で実施し、二番目の縮合反応は温度0℃ないし70℃でpH2ないし10の条件下で実施し、三番目の縮合反応は温度10℃ないし100℃でpH2ないし9の条件下で実施することを例示することができる。
【0120】
更に、本発明におけるビスアゾ化合物(1)中のY1、Y2、及び、前記一般式(X1)中のY3で表される基のうち、少なくとも一つ、場合によっては二つ又は三つが−CH2CH21であって、アルカリの作用で脱離する基Z1が、例えば、硫酸エステルや燐酸エステルのようなエステルである場合、当該エステル基の形成は、前述した4つの製造方法の縮合反応やカップリング反応の後に行ってもよい。即ち、前述した4つの製造方法において使用した原料化合物である、一般式(4)、(5)、(7)、(8)、(12)及び(13)で示される化合物のかわりに、Y1、Y2及びY3の少なくとも一つ、場合によっては二つ又は三つを−CH2CH2−OH に置き換えた化合物を用い、前述した方法に従って合成を行って本発明化合物の前駆体を得、その後、例えば、常法にしたがってエステル化を行うことによっても一般式(1)の化合物を得ることができる。
【0121】
本発明のビスアゾ化合物(1)は、例えば、繊維材料を染色又は捺染する染料として用いることができる。かかる材料としては、ヒドロキシル基及び/又はカルボンアミド基を含有するものであれば特に限定されないが、例えば、天然又は再生セルロース繊維材料、天然又は合成ポリアミド繊維材料、ポリウレタン繊維材料、皮革、及びこれらを含有する混紡材料等を挙げることができる。
【0122】
天然セルロース繊維材料として、具体的には、木綿、あるいはその他の植物繊維、例えばリネン、麻、ジュート及びラミー繊維等を挙げることができる。
【0123】
再生セルロース繊維材料として、具体的には、レーヨン、ポリノジック、キュプラ繊維、及び商品名「テンセル」、「タフセル」、「モダール」、「セルティマ」等を挙げることができる。
【0124】
天然又は合成ポリアミド繊維材料として、具体的には、羊毛、その他の動物毛、絹、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6、ポリアミド−11、ポリアミド−4等を挙げることができる。
【0125】
また、これらを含有する混紡材料としては、これらの繊維材料の混紡材料の他、これらの繊維材料と、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維との混紡材料等も例示することができる。
【0126】
本発明化合物は、上述の材料上に、特に上述の繊維材料上に、物理化学的性状に応じた方法で染色又は捺染することができる。
【0127】
具体的には、例えば、上述の繊維材料上に、吸尽染色法、コールドバッチアップ法、連続染色法、捺染法等の方法により染色又は捺染する方法を挙げることができる。
例えばセルロース繊維材料上に吸尽染色する場合、炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、重炭酸ソーダ、苛性ソーダのような酸結合剤の存在下、必要に応じて、芒硝や食塩等の中性塩を加え、さらに必要に応じて、溶解助剤、浸透剤又は均染剤等を併用し、比較的低い温度で染色する方法等が例示される。ここで酸結合剤、中性塩等の添加は、一度に行ってもよく、又常法により分割して行ってもよい。
【0128】
セルロース繊維上にコールドバッチアップ法で染色する場合においては、芒硝や食塩等の中性塩、及び、苛性ソーダやケイ酸ソーダ等の酸結合剤を用いてパジング後、密閉包装材料中に一定温度で放置して処理する方法等が例示される。
【0129】
セルロース繊維上に連続染色法で染色する場合においては、炭酸ソーダや重炭酸ソーダ等の酸結合剤の存在下、公知の方法で室温又は高められた温度でパジング後、スチーミング又は乾熱により処理する一相パジング法や、本発明の化合物が溶解されているパジング液に繊維を浸漬後、芒硝や食塩等の中性塩、及び、苛性ソーダやケイ酸ソーダ等の酸結合剤をパジングし、スチーミング又は乾熱することにより処理する二相パジング法等が例示される。
【0130】
セルロース繊維上に捺染を行う場合においては、一相で、重曹等の結合剤を含有する捺染ペーストで印捺し、次い80℃以上の高温でスチーミングする方法や、二相で、例えば中性又は弱酸性の捺染ペーストで印捺し、これを電解質含有のアルカリ性浴に通過させた後、又はアルカリ性の電解質含有パジング液でオーバーパジングし、その後スチーミング又は乾熱することにより処理する方法等が例示される。ここで、捺染ペーストには、例えばアルギン酸ソーダや澱粉エーテル等の糊剤及び/又は乳化剤を含んでいてもよく、また必要に応じて、例えば尿素等の捺染助剤及び/又は分散剤を含んでいてもよい。
【0131】
セルロース繊維上に本発明化合物を染色又は捺染する場合、用いられる酸結合剤は特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と無機又は有機酸との水溶性塩基性塩、あるいは加熱状態でアルカリを遊離する化合物等を例示できる。特に、アルカリ金属の水酸化物及び弱ないし中程度の強さの無機又は有機酸のアルカリ金属塩が挙げられ、これらの中でも、ナトリウム又はカリウムの水酸化物、ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましい。このような酸結合剤として具体的には、上述した炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、重炭酸ソーダ、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、重曹の他に、苛性カリ、蟻酸ソーダ、炭酸カリ、第一又は第二燐酸ソーダ、トリクロロ酢酸ソーダなども挙げられる。
【0132】
合成又は天然のポリアミド繊維上や、ポリウレタン繊維上に吸尽染色する場合においては、酸性〜弱酸性の染浴中、pH値の制御下、本発明の化合物を吸尽させ、次いで60〜120℃程度の温度下、中性〜アルカリ性のpH値に変化させる方法等が例示される。ここで必要に応じて、均染剤等、例えば塩化シアヌルと3倍モル量のアミノベンゼンスルホン酸又はアミノナフタレンスルホン酸との縮合生成物あるいは、例えばステアリルアミンとエチレンオキサイドとの付加生成物等の均染剤等を用いても差し支えない。
【0133】
本発明化合物は、特にセルロース繊維材料を染色又は捺染する際に、再現性に優れており、均染性やウオッシュオフ性が良好であり、高いビルドアップ性を有し、且つ、有効染着率が高いものである。又、低塩濃度で染色し得るという利点がある。
【0134】
さらに、本発明化合物を用いることにより、各種の堅牢度、特に耐塩素性、耐光性、耐汗性、耐汗日光性、耐酸加水分解性、耐アルカリ性、耐洗濯性や耐過酸化洗濯性が良好な染色物及び捺染物が得られる。
【0135】
本発明化合物は、所望の色相を得るために、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で、他の染料と混合して使用することができる。混合して使用する染料としては、反応染料であれば特に制約はないが、例えば、反応基としてスルファトエチルスルホン基、ビニルスルホン基、モノクロロトリアジン基、モノフルオロトリアジン基、モノニコチン酸トリアジン基、ジクロロトリアジン基、ジフルオロモノクロロピリミジン基、および、トリクロロピリミジン基の少なくとも1種を、少なくとも1つ以上有する染料、又はSumifix、SumifixSupra、Remazol、Levafix、Procion、Cibacron、Basilen、Drimarene、Kayacion、Kayacelon Reactなどの冠称名で市販されている染料、更には、特開昭50-178号、特開昭51-17538号、特開昭56-9483号、特開昭56-15481号、特開昭56-118976号、特開昭56-128380号、特開昭57-2365号、特開昭57-89679号、特開昭57-143360号、特開昭58-191755号、特開昭59-15451号、特開昭59-96174号、特開昭59-161463号、特開昭60-6754号、特開昭60-123559号、特開昭60-229957号、特開昭 60-260654号、特開昭61-126175号、特開昭61-155469号、特開昭61-225256号、特開昭63-77974号、特開昭63-225664号、特開平1-185370号、特開平3-770号、特開平5-247366号、特開平6-287463号の各公報に記載されている染料及びC.I.Reactive Blue19、C.I.Reactive Black5で表される染料等が例示される。
【0136】
【発明の効果】
本発明のビスアゾ化合物は、反応染料として有用であり、例えば、ビルドアップ性や均染性等の染色性に優れており、又、本発明の方法によれば、諸堅牢度に優れた赤色の染色物や捺染物が再現性よく得られる。
【0137】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、部及び%は各々重量部及び重量%を表す。
【0138】
実施例1
常法により、2−(2−スルホフェニル)アゾ−1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン−3,6−ジスルホン酸42.3部と塩化シアヌル18.4部を縮合させ、次に1−アミノ−8−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸31.9部を縮合させる。一方、常法によりジアゾ化した2−(3−アミノ−4−スルホフェニル)アミノ−4−〔3−(2−スルファートエチルスルホニル)フェニル〕アミノ−6−〔2−(2−スルファートエチルスルホニル)エチル〕アミノ−1,3,5−トリアジン77.8部をカップリングさせた後、塩析して、遊離酸の形で下式で示されるビスアゾ化合物を得る。このビスアゾ化合物を用いて木綿を染色すると、濃い赤色の色調を持つ染色物が得られる。
【0139】
【化28】
Figure 0004292589
【0140】
(λmax=552nm、水性媒体中)
【0141】
実施例2
遊離酸の形で、2−(2−スルホフェニルアゾ)−1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに表1〜表6の第2欄に記載の化合物を、1−アミノ−8−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに同表第3欄に記載の化合物を、2−(3−アミノ−4−スルホフェニル)アミノ−4−〔3−(2−スルファートエチルスルホニル)フェニル〕アミノ−6−〔2−(2−スルファートエチルスルホニル)エチル〕アミノ−1,3,5−トリアジンの代わりに同表第4欄に記載の化合物を、各々用いて、実施例1と同様の方法で合成し、各々対応するビスアゾ化合物を得る。又、これらのビスアゾ化合物を用いて木綿を染色すると、同表第5欄に示す色調を持つ染色物を得る。
なお、上記の合成に際しては、塩化シアヌルに対する一次的縮合、二次的縮合及び三次的縮合の順序を任意に替えて行っても、得られる結果は同じである。
また、第4欄に記載の化合物の代わりに、それぞれ対応するヒドロキシエチルスルホニル体を用いて同様に合成し、最後に常法により硫酸エステル化することによっても、得られる結果は同じである。
【0142】
実施例3
実施例1及び実施例2で、塩化シアヌルの代わりにフッ化シアヌルを用いる以外は、全く同じ方法で合成すると、それぞれ対応するビスアゾ化合物を得る。又、これらのビスアゾ化合物を用いて木綿を染色すると、濃い赤色の色調を持つ染色物を得る。
【0143】
実施例4
常法により、2−(2−スルホフェニル)アゾ−1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン−3,6−ジスルホン酸42.3部と塩化シアヌル18.4部を縮合させ、次に1−アミノ−8−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸31.9部を縮合させ、さらにアニリン9.3部を縮合させる。縮合反応生成物を、常法によりジアゾ化した2−(3−アミノ−4−スルホフェニル)アミノ−4−〔3−(2−スルファートエチルスルホニル)フェニル〕アミノ−6−〔2−(2−スルファートエチルスルホニル)エチル〕アミノ−1,3,5−トリアジン77.8部とカップリング反応させた後、塩析して、遊離酸の形で下式で示されるビスアゾ化合物を得る。このビスアゾ化合物を用いて木綿を染色すると、濃い赤色の色調を持つ染色物が得られる。
【0144】
【化29】
Figure 0004292589
【0145】
(λmax=554nm、水性媒体中)
【0146】
実施例5
遊離酸の形で、2−(2−スルホフェニルアゾ)−1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに表7〜表12の第2欄に記載の化合物を、アニリンの代わりに同表第3欄に記載の化合物を、1−アミノ−8−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸の代わりに同表第4欄に記載の化合物を、2−(3−アミノ−4−スルホフェニル)アミノ−4−〔3−(2−スルファートエチルスルホニル)フェニル〕アミノ−6−〔2−(2−スルファートエチルスルホニル)エチル〕アミノ−1,3,5−トリアジンの代わりに同表第5欄に記載の化合物を、各々用いて、実施例1と同様の方法で合成し、各々対応するビスアゾ化合物を得る。又、これらのビスアゾ化合物を用いて木綿を染色して、同表第6欄に示す色調を持つ染色物を得る。
なお、上記の合成に際しては、塩化シアヌルに対する一次的縮合、二次的縮合及び三次的縮合の順序を任意に替えて行っても、得られる結果は同じである。
また、第5欄に記載の化合物の代わりに、それぞれ対応するヒドロキシエチルスルホニル体を用いて同様に合成し、最後に常法により硫酸エステル化することによっても、得られる結果は同じである。
【0147】
染色例1
実施例1〜5で得られるそれぞれのビスアゾ化合物0.3部を、各々200部の水に溶解し、芒硝20部を加え、さらに木綿10部を加えて60℃に昇温する。60℃に達してから、30分経過後、炭酸ソーダ4部を加え、同温度で1時間染色し、次いで水洗い及びソーピングを行う。水洗い時及びソーピング時のウォッシュオフ性は良好であり、染色排水の着色量はわずかである。得られる染色物は、均一で、濃い赤色であり、耐塩素性、耐光性、耐汗性、耐汗日光性、耐酸加水分解性、耐アルカリ性、耐洗濯性、耐過酸化洗濯性の諸堅牢度は、いずれも良好である。
【0148】
染色例2
染色例1において、芒硝の使用量を20部から10部に変更する以外は、全く同じ方法で染色を行い、得られる染色物は、各々、染色例1で得られた染色物と同等の品質を有している。
【0149】
染色例3
染色例1において、芒硝の使用量を20部から4部に変更する以外は、全く同じ方法で染色を行い、得られる染色物は、各々、染色例1で得られた染色物と同等の品質を有している。
【0150】
染色例4
染色例1〜3の各々において、染色の温度を60℃から70℃に変更する以外は、全く同じ方法で染色を行い、得られる染色物は、各々、染色例1〜3で得られた染色物と同等の品質を有している。
【0151】
染色例5
染色例1〜3の各々において、染色の温度を60℃から80℃に変更する以外は、全く同じ方法で染色を行い、得られる染色物は、各々、染色例1〜3で得られた染色物と同等の品質を有している。
【0152】
染色例6
染色例1〜5の各々において、各ビスアゾ化合物0.3部を用いる代わりに、各ビスアゾ化合物0.3部、及び、スルホン化度110%、平均重合度1.8のメチルナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のナトリウム塩0.06部を用いる以外は、全く同じ方法で染色を行い、得られる染色物は、各々、染色例1〜5で得られた染色物と同等の品質を有している。
【0153】
染色例7
実施例1〜5で得られるそれぞれのビスアゾ化合物を用いて、以下の組成をもつ色糊を作る。
【0154】
色糊組成
ビスアゾ化合物 5部
尿素 5部
アルギン酸ソーダ(5%)元糊 50部
熱湯 25部
重曹 2部
バランス(水) 13部
【0155】
この色糊をシルケット加工綿ブロード上に印捺し、中間乾燥後、100℃で5分間スチーミングを行い、湯洗い、ソーピング、湯洗い、そして乾燥して、仕上げ、得られる捺染物は、均一で、濃い赤色であり、耐塩素性、耐光性、耐汗性、耐汗日光性、耐酸加水分解性、耐アルカリ性、耐洗濯性、耐過酸化洗濯性の諸堅牢度は、いずれも良好である。
【0156】
【表1】
Figure 0004292589
【0157】
【表2】
Figure 0004292589
【0158】
【表3】
Figure 0004292589
【0159】
【表4】
Figure 0004292589
【0160】
【表5】
Figure 0004292589
【0161】
【表6】
Figure 0004292589
【0162】
【表7】
Figure 0004292589
【0163】
【表8】
Figure 0004292589
【0164】
【表9】
Figure 0004292589
【0165】
【表10】
Figure 0004292589
【0166】
【表11】
Figure 0004292589
【0167】
【表12】
Figure 0004292589

Claims (12)

  1. 下記一般式(2)で示されるビスアゾ化合物又はその塩。
    Figure 0004292589
    〔式中、R3は互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、Dは、下記の式(D2):
    Figure 0004292589
    (式中、R16及びR17は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、カルボキシ、スルホ又はハロゲノを表し、Qは−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH22(Zはアルカリの作用で脱離する基を表す。)を表す。)
    で表される基を表し、
    Bは下記一般式(B1)又は(B2)で示される基を表し、
    Figure 0004292589
    (ここで、*印は、アゾ基に接続する結合を表し、R4は水素原子、低級アルキル、低級アルコキシ又はスルホを表し、p及びqは、互いに独立に、0又は1を表す。)
    及び は互いに独立に、下記一般式(U1)、(U2)、(U3)又は(U4)で示される連結基を表し、
    Figure 0004292589
    (ここで、R5、R6及びR7は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、Aは置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、Aは置換されていてもよいアルキレンを表し、Q1は−O−、−S−又は−NR8−を表し、ここに、R8は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、r及びsは、互いに独立に、2、3又は4を表し、tは1〜6の整数を表し、**印は、−SO2−Y1又は−SO2−Y2に接続する結合を意味する。)Xはハロゲノ、置換されていてもよいピリジニオ、または下記式(X1)又は(X2)で示される基を表し、
    Figure 0004292589
    (ここで、A3は脂肪族又は芳香族の2価の架橋基を表し、R9は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、R10およびR11は、互いに独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロヘキシル、置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいナフチルを表す。)
    1、Y2及びY3は互いに独立に、−CH=CH2又は−CH2CH21を表し、ここにZ1はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
  2. 及び が、互いに独立に、一般式(U1)又は(U2)で示される基である請求項1記載の化合物又はその塩。
  3. 及び の少なくとも一方が、一般式(U2)で示される基である請求項1又は2記載の化合物又はその塩。
  4. 及び が、一般式(U2)で示される基であり、かつ、A2がエチレン又はトリメチレンであり、R6が水素原子である請求項1〜のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  5. Xが、フルオロ又はクロロである請求項1〜のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  6. Xが、一般式(X1)又は(X2)で示される基である請求項1〜のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  7. Xが一般式(X1)で示される基であり、かつ、R9が水素原子、メチル又はエチルであり、Aがエチレン、トリメチレン又は置換されていてもよいフェニレンである請求項1〜4及び6のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  8. Xが一般式(X2)で示される基であり、かつ、R10及びR11の一方が水素原子、メチル又はエチルであり、他方が置換されていてもよいフェニルである請求項1〜4及び6のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  9. Bが、一般式(B1)で示される基であり、Rが水素原子であり、且つ、pが0である請求項1〜8のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  10. が、互いに独立に、水素原子、メチル又はエチルである請求項1〜9のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  11. 1及びY2が、互いに独立に、−CH=CH2又は−CH2CH2OSO3Hである請求項1〜10のいずれかに記載の化合物又はその塩。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の化合物又はその塩を用いることを特徴とする繊維材料の染色又は捺染方法。
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