JP4290725B2 - 環状ポリスルフィドを加硫剤として含むタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

環状ポリスルフィドを加硫剤として含むタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は環状ポリスルフィドを加硫剤として含み、硫黄加硫可能なゴムの各種加硫物性(例えば場合によっては他の特定の成分と組合せて、耐熱老化性、発熱性、破断特性、耐疲労特性、ウェット性能、グリップ性能、氷雪路制動性、高速耐久性、転がり抵抗、横断安定性、高硬度、高強度、高伸びなど)を改良したタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
硫黄加硫による架橋ゴムはポリスルフィド結合を含むため、耐熱性と加硫もどり性が劣る。これらの耐熱性と加硫もどり性の問題を改良するため、テトラスルフィドポリマーや環状ポリスルフィドなどの加硫剤が有効であることが知られている(非特許文献1及び特許文献1)。特に環状ポリスルフィドは架橋効率の面から好まれるが、いままで報告されている環状ポリスルフィドの製造法はその長い製造工程や高い原料が用いられるなどの問題により実用性に欠けている(特許文献2及び特許文献3)。
近年、空気入りタイヤについての種々の改良が行なわれている。そのような種々の改良の中で、耐熱老化性をあげようとして特許文献4にはEV架橋(即ち加硫促進剤を多量配合してポリスルフィド結合の比率を減らす)する方法が提案されているが、これには動的疲労性に劣るという問題があった。そこで耐熱老化性と動的疲労性のトレードオフを解決する方法が特許文献3に記載されているが、未だ十分とはいえないのが現状である。
また、空気入りタイヤのタイヤトレッド用ゴムとしては、耐摩耗性やグリップ力の向上が必要であるため引張強さや破断伸びの大きいゴム組成物が求められていた。一方、タイヤトレッド用のゴムは劣化しやすく、経時変化によってトレッドが硬化し、グリップが低下するばかりでなく、場合によってはトレッドの剥離などを引き起こす危険もあった。高性能タイヤのグリップ持続性を改良するために、例えば加硫剤や加硫促進剤による検討がされているが、特にフィラー量が多いゴム組成物においては、グリップの高さと持続性を満足いくレベルで両立させることはできていない(特許文献5及び特許文献6参照)。
アンダートレッド用のゴムとしては、高速耐久性の向上のために、高い引張強さ及び破断伸びを示すゴム組成物が求められていた。一方で、操縦安定性改良のための高硬度なアンダートレッドや、低燃費性改善のための低tanδなアンダートレッドも要求されており、これらの物性はトレードオフの関係にあった。このような観点から、高硬度で、かつ、強度、伸びが高く、tanδの上昇のないゴム組成物が望まれている。
更に近年の空気入りタイヤについての種々の改良の中でビードフィラー用のゴムとしては、耐疲労性の向上のために、高い引張強さ及び破断伸びを示すゴム組成物が求められている(例えば特許文献7参照)。一方で、操縦安定性改良のための高硬度なビードフィラーや、低燃費性改善のための低tanδなビードフィラーも要求されており(例えば特許文献8参照)、これらの物性はトレードオフの関係にあった。このような観点から、高硬度で、かつ、強度、伸びが高くtanδの上昇のないゴム組成物が望まれている。
更に、従来の空気入りタイヤのインナーライナーにはブチルゴム又はハロゲンブチルゴムなどのブチルゴム類が一般に使用されているが(例えば特許文献9参照)、ブチルゴム類はカーボンブラックなどの補強性に乏しいため、ブチルゴム類の組成物は機械物性に劣り、その利用用途に限界があった。
更に、空気入りタイヤのベルトコートコンパウンドには高い剛性が求められるが、剛性を上げようとしてカーボンブラックを増量したり、加硫剤である硫黄や加硫促進剤を増量すると、伸びが低下して耐疲労性が悪化し、その結果、ベルトの端部でセパレーションが起こりタイヤに不具合が発生するので、高い剛性及び伸びを確保する必要性がある(特許文献10)。また、高い接着性を付与するために硫黄を大量に配合することが提案されているが(特許文献11)、それが原因で耐熱老化性の悪化を招いており、耐熱老化性を上げるには老化防止剤を増量すれば良いが、ワイヤ(金属)との接着を阻害するおそれがあるという問題がある。
特開平10−120788号 特開昭58−122944号公報 特開2002−293783号公報 特開平6−57040号公報 特開2001−348461号公報 特開平10−151906号公報 特開2002−105249号公報 特開平5−51487号公報 特開平10−87884号公報 特開2001−226528号公報 特開2000−233603号公報 山崎升ら:日本ゴム協会1981年研究発表会要旨集、P.532−17
従って、本発明は従来の硫黄加硫の少なくとも一部に代えて環状ポリスルフィドを用いることにより、前述のような従来の空気入りタイヤ業界における種々の問題点を解決して、加硫ゴムの各種物性を改善したタイヤトレッド用に適したゴム組成物及びそれをタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に従えば硫黄加硫可能なジエン系ゴム(A)100重量部加硫剤として式(I):
Figure 0004290725
(式中、Rは置換もしくは非置換のC2〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C20オキシアルキレン基又は芳香族環を含むアルキレン基を示し、nは1〜20の整数であり、xは平均2〜6の数である)
の環状ポリスルフィド(B)0.1〜30重量部を含んでなり、更にカーボンブラック及び/又はシリカを合計量で100〜200重量部を含み、そして前記式(I)で表される環状ポリスルフィド(B)と硫黄(D)とを合計量が、ジエン系ゴム(A)100重量部当り、0.5〜5重量部でかつ環状ポリスルフィド(B)と硫黄(D)との合計量に対する環状ポリスルフィド(B)の量の比が0.1以上(重量比)であるゴム組成物が提供される。
本明細書中及び添付した請求の範囲中において使用する単数形(a,an,the)は、文脈からそうでないことが明白な場合を除いては複数の対象を含むものと理解されたい。
本発明においては、ゴム組成物中の加硫剤として従来の硫黄の少なくとも一部(場合によっては全部)に代えて、前記式(I)の環状ポリスルフィド(B)を配合する。このような環状ポリスルフィドは例えば以下のようにして製造することができる。即ち、前記式(I)の環状ポリスルフィドは、式:X−R−X(式中、Xは、それぞれ独立に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは塩素、臭素のハロゲン原子を表し、Rは、置換もしくは非置換のC2〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C20のオキシアルキレン基又は芳香族環を含むアルキレン基、好ましくは前記置換もしくは非置換のC2〜C18、更に好ましくはC4〜C10のアルキレン基を示し、これらの置換基としてはフェニル、ベンジル、ビニル、シリル、エポキシ、イソシアネートなどがあげられる)のジハロゲン化合物とアルカリ金属の多硫化物M−Sx−M(式中、Mはアルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどであり、xは2〜6の整数、好ましくは3〜5である)とを、親水性溶媒又は親水性及び親油性溶媒性非相溶性混合溶媒中で2相系で反応させることによってか、又はM−Sx−Mの溶液(溶媒としては水及びC1 〜C4 脂肪族アルコールを用いることができ、水の使用が最も好ましい)中にX−R−XをM−Sx−MとX−R−Xとが界面で反応するような速度で添加して反応させることによって、製造される(特開2002−293783号公報参照)。なお、後者の方法でX−R−Xの添加速度が速すぎると、X−R−Xの濃度が高くなり、界面以外での反応も起こり、分子間の反応が優先され鎖状になるので好ましくない。従って、M−Sx−MとX−R−Xの反応をできるだけ不均一系で界面だけで反応させることが環状ポリスルフィドを得るのに好ましい。
前記一般式X−R−X及び式(I)の基Rとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、1,2−プロピレンなどの直鎖又は分岐鎖のアルキレン基があげられ、これらのアルキレン基はフェニル基、ベンジル基などの置換基で置換されていてもよい。基Rとしては更にオキシアルキレン基を含むアルキレン基、例えば基(CH2CH2O)p及び基(CH2)q(式中、pは1〜5の整数であり、qは0〜2の整数である)が任意に結合したオキシアルキレン基を含むアルキレン基とすることができる。好ましい基Rは
−CH2CH2OCH2CH2−,−(CH2CH2O)2CH2CH2−,
−(CH2CH2O)3CH−CH2−,−(CH2CH2O)4CH2CH2−,
−(CH2CH2O)5CH2CH2−,−(CH2CH2O)2CH2−,
−CH2CH2OCH2OCH2CH2−であり、特にxは平均として3〜5が好ましく、3.5〜4.5が更に好ましい。nは好ましくは1〜15の整数であり、更に好ましくは1〜10、一層好ましくは1〜5の整数である。
前記ジハロゲン化合物と前記アルカリ金属多硫化物との反応は、当量反応であり、実用的には両化合物を0.95:1.0〜1.0:0.95(当量比)で反応させ、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは70〜100℃の温度で実施する。
本発明に用いる親水性溶媒又は親水性/親油性溶媒の非相溶性混合溶媒については特に限定はなく、実際の反応系においては、親水性溶媒単独又は非相溶で2相を形成する任意の混合溶媒系を用いることができる。具体的には、例えば親水性溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類をあげることができ、これらは任意の混合物として使用することもできる。またこれらの親水性溶媒と混合して使用される親油性溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類などをあげることができ、これらは任意の混合物として使用することもできる。
前記ジハロゲン化合物と前記アルカリ金属の多硫化物との親水性溶媒中で又は非相溶性混合溶媒系で反応させる界面での反応は、当量反応であり、実用的には両化合物を0.95:1〜1:0.95(当量比)で反応させ、反応温度は好ましくは50〜120℃、更に好ましくは70〜100℃である。反応させるジハロゲン化合物は、2種類以上のジハロゲン化合物であることが好ましい。よって、ジハロゲン化合物としては例えばジクロロエチルホルマール及びジクロロエタンの混合物と、金属多硫化物として、例えば多流化ソーダとを反応させるのが好ましい。
前記反応において触媒は必要ではないが、場合によって触媒として4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、クラウンエーテルなどを用いることができる。例えば、(CH34+Cl-,(CH34+Br-,(C494+Cl-,(C494+Br-,C1225+(CH33Br-,(C494+Br-,CH3+(C653-,C1633+(C493Br-,15−crown−5,18−crown−6,ベンゾ−18−crown−6等を用いることができる。特にアルキレン骨格の環状ポリスルフィド(B)を製造する場合には、触媒の使用が好ましい。
本発明において使用する前記環状ポリスルフィド(B)はジエン系ゴム100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜20重量部配合する。この配合量が少な過ぎると加硫剤としての効果が現われず、加硫ゴムの強度低下などが発生するので好ましくなく、逆に多過ぎると加硫度が上がりすぎたり、粘度が下がりすぎるので好ましくない。
本発明において成分(A)として使用する硫黄加硫可能なジエン系ゴムとしては、従来よりタイヤ、その他用として一般的に使用されている任意のジエン系ゴム、例えば各種天然ゴム(NR)、各種ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム及びそれらの部分水添物などをあげることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
本発明の好ましい態様では、加硫ゴムの耐熱老化性及び発熱性にすぐれたゴム組成物を開発することを目的とし、前記硫黄加硫可能なジエン系ゴムとして、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴム100重量部に、加硫剤として前記式(I)(式中、Rは−(CH2m −(式中、mは2〜20の整数である)であり、nは1〜15の整数、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5であり、xは平均4より大きく6以下の数である)の環状ポリスルフィド1〜30重量部を含むゴム組成物が提供される。
本発明の好ましい態様では、以下の実施例にも示すように、天然ゴム及び/又はポリイソプレンを用いて耐熱老化性及び発熱性にすぐれたゴム組成物が提供される。
本発明の好ましい態様では前記式(I)の環状ポリスルフィドは、少なくとも2種のジハロゲン化合物(例えば、ジクロロエチルホルマール、ジクロロエタン)と、式(III):
M−Sx−M (III)
(式中、Mは周期律表IA族の金属であり、Xは平均3より大きく6以下の数である)
の金属多硫化物(例えば多硫化ソーダ)とを親水性溶媒又は親水性溶媒と親油性溶媒との非相溶性混合溶媒系中で相間移動触媒の存在下又は不在下に、50〜150℃、好ましくは50〜120℃の温度で反応させて得られる。この環状ポリスルフィドは1種のジハロゲン化合物を用いた場合に比べて、粘度が低く、加硫効率の高い加硫剤が得られる。
本発明において、前記反応は、好ましくは、適当な相間触媒の存在下に50〜150℃の温度、好ましくは50〜120℃の温度で反応させる。相間触媒の例としては、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、クラウンエーテル、脂肪酸金属塩などを用いることができる。例えば、(CH34+Cl-,(CH34+Br-,(C494+Cl-,(C494+Br-,C1225+(CH33Br-,(C494+Br-,CH3+(C653-,C1633+(C493Br-,15−crown−5,18−crown−6,Benzo−18−crown−6や、RCOO-Na+,RSO3 -Na+,(RO)2PO2 -Na+(式中、Rはアルキル基を示す)等が挙げられる。
本発明においては前記した従来技術の問題点を排除して、強度や伸びが大きく、その性能を長期間にわたって持続可能であり、空気入りタイヤのタイヤトレッド部用として有用なゴム組成物及びそれを用いる空気入りタイヤを提供することを目的として、第一の態様に従えば、芳香族ビニル−ジエン共重合体ゴムを主成分とした硫黄加硫可能なゴム100重量部並びに前記式(I)(式中、xは平均2〜6の数、nは1〜20の整数、Rは置換もしくは非置換のC2〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C20オキシアルキレン基又は芳香族を含むアルキレン基を示す)で表される環状ポリスルフィド0.1〜10重量部を含むタイヤトレッド用ゴム組成物が提供される。
本発明によれば、ジエン系ゴム成分100重量部に、カーボンブラック及び/又はシリカを合計量で100〜200重量部、かつ前記式(I)(式中、xは平均2〜6の数、nは1〜20の整数、Rは置換もしくは非置換のC2〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C20オキシアルキレン基又は芳香族を含むアルキレン基を示す)で表される環状ポリスルフィドと硫黄とを合計量が0.5〜5重量部でかつ環状ポリスルフィドと硫黄との合計量に対する環状ポリスルフィドの量の比が0.1以上(重量比)となる量で含むタイヤトレッド用ゴム組成物が提供される。
更にまた別の態様に従えば、トレッド部が、路面と接するキャップ部とその内側のベース部とからなる2層以上の構造を有する空気入りタイヤにおいて、硫黄加硫可能なゴム100重量部、シリカ及び/又はカーボンブラックを合計量で30〜100重量部並びに式(I)(式中、xは平均2〜6の数、nは1〜20の整数、Rは置換もしくは非置換のC2〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C20オキシアルキレン基又は芳香族を含むアルキレン基を示す)で表される環状ポリスルフィド0.1〜10重量部を含むゴム組成物をトレッドのベース部に用いた空気入りタイヤが提供される。
前記本発明のゴム組成物は、前記環状ポリスルフィドを加硫剤として用いることにより、高いグリップ性能、破壊強度、グリップ持続性、耐久性、操縦安定性を改良することができる。
前記本発明のゴム組成物に配合する前記式(I)の環状ポリスルフィドは、例えば前述の方法によって製造することができる。
本発明のゴム組成物には、前記環状ポリスルフィド(B)を、ジエン系ゴム(A)100重量部に対し、0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.2〜8重量部配合する。この配合量が少な過ぎると所望の効果が得られず、逆に多過ぎるとスコーチしやすくなり、コスト高にもなるので好ましくない。但し、本発明の第二の態様では、環状ポリスルフィドと硫黄とを合計量が0.5〜5重量部、好ましくは0.6〜4.8重量部でかつ環状ポリスルフィドと硫黄との合計量に対する環状ポリスルフィドの量の比が0.1以上(重量比)、好ましくは0.2以上(重量比)となる量で配合する。
本発明において使用される芳香族ビニル−ジエン系共重合体ゴムとしては、例えば各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどとすることができ、ガラス転移温度(Tg)が−40℃〜0℃のものを使用するのが好ましい。前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体は配合されるゴム組成物の40〜100重量%配合するのが好ましく、45〜100重量%であるのが更に好ましい。その他のゴム成分としては、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどとすることができる。
本発明に従ったゴム組成物には更に従来からゴム組成物に使用されているシリカ及び/又はカーボンブラック(合計量でゴム成分100重量部当り55重量部以上100重量部未満であるのが好ましく、60〜98重量部が更に好ましい)を配合することができる。カーボンブラックとしては窒素吸着比表面積(N2SA、ASTM D3037に従って測定)が80m2/g以上150m2/g未満であるのが好ましく、82〜148m2/gであるのが更に好ましい。
本発明において、前記環状ポリスルフィドと共に配合されるジエン系ゴムとしては、従来からタイヤ用ゴム組成物に配合されている任意のジエン系ゴムとすることができ、具体的には天然ゴム(NR)、各種ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムとすることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。これらの中でSBRをゴム成分中の70重量%以上使用するのが好ましい。
本発明においては、更にタイヤとして使用することができる任意のカーボンブラック及び/又はシリカを、ジエン系ゴム成分100重量部に対し、合計量で好ましくは100〜200重量部、更に好ましくは102〜190重量部配合することができる。フィラー配合量が少ないとグリップ性能が十分でなく、逆に多過ぎると混合加工性が悪化するので好ましくない。なお、使用するカーボンブラックとしては、N2SAが150〜300m2/gであるのが高いグリップ性能の点から好ましい。
本発明では、前述の通り、前記式(I)の環状ポリスルフィドを、環状ポリスルフィドと硫黄とを合計量が0.5〜5重量部、好ましくは0.6〜4.8重量部でかつ環状ポリスルフィドと硫黄との合計量に対する環状ポリスルフィドの量の比が0.1以上(重量比)、好ましくは0.2以上(重量比)となる量で含むタイヤトレッド用ゴム組成物が提供される。環状ポリスルフィドと硫黄の配合量の総和が少ないとグリップ持続性が悪化し、逆に多いとグリップ性能が良くないので好ましくなく、また環状ポリスルフィドの配合量が少ないとグリップ持続性の改良幅が小さくなるので好ましくない。
本発明では、更に式(IV):
Figure 0004290725
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立にC1〜C10のアルキル基又はアルキル基の炭素数が1〜20の芳香族アルキル基を示し、yは1〜4の整数である)
のチウラム系促進剤をゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、更に好ましくは0.3〜4.8重量部配合することによって耐疲労特性及び耐熱老化性が更に向上する。好ましいチウラム系促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィドなどをあげることができる。
本発明によれば、また、トレッド部が路面と接するキャップ部とその内側のベース部とからなる2層以上の構造を有する空気入りタイヤにおいて、硫黄加硫可能なゴム100重量部、シリカ及び/又はカーボンブラックを合計量で30〜100重量部、好ましくは35〜95重量部並びに前記式(I)で表される環状ポリスルフィド0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜8重量部を含むゴム組成物をトレッドのベース部に用いた空気入りタイヤが提供される。このベース部用ゴム組成物は上述した各キャップ部用ゴム組成物と組み合わせたトレッドとして使用してもよい。ここで加硫可能なゴムとしては、従来よりタイヤ、その他用として一般的に使用されている任意のゴム、例えば各種天然ゴム(NR)、各種ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム及びそれらの部分水添物や(ハロゲン化)ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンジエン共重合体ゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)などをあげることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
本発明に従ったゴム組成物は、常法に従って、空気入りタイヤのトレッド部、トレッドベース部などの各種用途製品などに用いることができる。
本発明のゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、その他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑性剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる配合物は一般的な方法で混練、加硫して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は貯蔵弾性率を前記範囲内に満足させる等の本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。これらの添加剤の配合量は貯蔵弾性率を前記範囲内に満足させる等の本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明のゴム組成物には前記環状ポリスルフィド(C)をゴム100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜8重量部配合する。この配合量が少な過ぎると所望の効果が得られず、逆に多過ぎると耐久性が悪化するので好ましくない。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
参考例1〜4及び比較参考例1〜3
表I−1に示す配合において、加硫系を除く各成分を16リットルのバンバリーミキサーで5分間混練し、160±2℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫系をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で30分間加硫して加硫ゴムシートを作製し、以下に示す試験法でゴム物性を測定した。結果は表I−1に示す。
ゴム物性評価試験法
ウェット制動性能:各コンパウンドをトレッド部に使用したサイズ195/65R15のタイヤを作成し、排気量2000ccの車に装着して約6ヶ月間のうちに市街地を約20,000km走行した後に、水深1mmで散水したアスファルト路面のテストコートで、初速度100kmからの制動距離を測定し、比較参考例1の値を100とした指数で示した。数字が大きい方が制動距離が短く、優れることを示す。
Figure 0004290725
表I−1脚注
NIPOL 9526:日本ゼオン(株)製スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(スチレン含量:35%、50phr 油展、Tg=−35℃)
NIPOL 1712:日本ゼオン(株)製スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(スチレン含量:23.5%、37.5phr 油展、Tg=−51℃)
NIPOL 1220:日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴム(非油展、Tg=−100℃)
DIA I:三菱化学(株)製カーボンブラック(N2 SA=114m2 /g)
Nipsil AQ:日本シリカ工業製湿式シリカ
Si−69:デグッサ製シランカップリング剤
SANTOFLEX 6PPD:FLEXSYS製老化防止剤
酸化亜鉛3種:正同化学工業(株)製
ビーズステアリン酸:日本油脂(株)製ステアリン酸
デゾレックス3号:昭和シェル石油(株)製プロセスオイル
SANTOCURE CBS:FLEXSYS製加硫促進剤
金華印油入微粉硫黄:鶴見化学工業(株)製硫黄
環状ポリスルフィドI−1:特開2002−293783号公報の実施例3の方法に従って合成した、式(I)において、R=(CH26、x(平均)=4及びn=1〜5の環状ポリスルフィド
環状ポリスルフィドI−2:特開2002−293783号公報の実施例2の方法に従って合成した、式(I)において、R=(CH22O(CH2)O(CH22、x(平均)=4及びn=1〜2の環状ポリスルフィド
実施例1〜5及び比較例1〜2
表I−2に示す配合において、加硫系を除く各成分(重量部)を16リットルのバンバリーミキサーで5分間混練し、150℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫系をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で150℃で40分間加硫して2mm厚の加硫ゴムシートを作製し、以下に示す試験法でゴム物性を測定した。結果は表I−2に示す。
ゴム物性評価試験法
M300変化率:100℃で24時間熱老化させた前後の300%モジュラスの変化率を示す。この変化率が10%以下であると、グリップが安定して良好である。
グリップ性評価:上記ゴム組成物をトレッドにした195/55R15タイヤを試作し、一周4.41kmのコースを走行した際のグリップ性能を5段階にて官能評価したものである。数値が大きい程グリップ良好である。なお、表I−2において、各実施例が300%モジュラス変化率とグリップ性が良いことを表す。
Figure 0004290725
表I−2脚注
SBR:日本ゼオン製NIPOL 9526(スチレン含量:35%)
カーボンSAF:三菱化学製ダイアブラックA
シリカ:デグッサ製ULTRASIL 7000GR
促進剤CBS:大内新興化学製ノクセラー CZ−G
促進剤TOT−N:大内新興化学製ノクセラー TOT−N
硫黄:鶴見化学製
環状ポリスルフィドI−3:前記環状ポリスルフィドI−1に同じ
参考例5〜9及び比較参考例4〜6
表I−3に示す配合において、加硫系を除く各成分(重量部)を16リットルのバンバリーミキサーで5分間混練し、160℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫系をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で30分間加硫して2mm厚の加硫ゴムシートを作製し、以下に示す試験法でゴム物性を測定した。結果は表I−3に示す。
ゴム物性評価試験法
氷上制動性能:各コンパウンドをトレッド部に使用したサイズ195/65R15のタイヤを作成し、排気量2000ccの車に装着して約6ヶ月間のうちに市街地を約20,000km走行した後に、氷温度−5℃の氷盤路テストコースで、初速度40kmからの制動距離を測定し、比較参考例4の値を100とした指数で示した。数字が大きい方が制動距離が短く、優れることを示す。
Figure 0004290725
表I−3脚注
天然ゴム TSR20:SIR20(Tg=−70℃)
NIPOL 1441:日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴム(37.5phr 油展、Tg=−101℃)
DIA I:三菱化学(株)製カーボンブラック(N2 SA=114m2 /g)
Nipsil AQ:日本シリカ工業製湿式シリカ
Si−69:デグッサ製シランカップリング剤
SANTOFLEX 6PPD:FLEXSYS製老化防止剤
酸化亜鉛3種:正同化学工業(株)製
ビーズステアリン酸:日本油脂(株)製ステアリン酸
デゾレックス3号:昭和シェル石油(株)製プロセスオイル
SANTOCURE CBS:FLEXSYS製加硫促進剤
金華印油入微粉硫黄:鶴見化学工業(株)製硫黄
環状ポリスルフィドI−4:前記環状ポリスルフィドI−1に同じ
環状ポリスルフィドI−5:前記環状ポリスルフィドI−2に同じ
参考例10〜13及び比較参考例7〜8
表I−4に示す配合において、加硫系を除く各成分(重量部)を16リットルのバンバリーミキサーで5分間混練し、160℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫系をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で30分間加硫して2mm厚の加硫ゴムシートを作製し、以下に示す試験法でゴム物性を測定した。結果は表I−4に示す。
ゴム物性評価試験法
キャップ部の厚さが最大で7mm、ベース部の厚さが2mmの2層構造トレッドを有するタイヤに対して、各コンパウンドをベース部に使用したサイズ195/65R15のタイヤを作成し以下の試験に供した。
高速耐久試験:ドラム径1707mmでJIS D 4230、JIS高速耐久性試験終了後、30分毎に10km/hr加速してタイヤが破壊するまで試験を続行した。この結果を比較参考例7の値を100とした指数で示した。数字が大きい方が走行距離が長く、優れることを示す。
転がり抵抗:ドラム径1707mmの室内ドラム式タイヤ転動抵抗試験機によって測定した。測定条件は、JATMA Y/B2003年版を準用した。数字が大きい方が転がり抵抗が小さく、優れることを示す。
操縦安定性:一定間隔でパイロンが立てられているスラローム試験路を実車走行し、その平均速度により操縦安定性を評価し、比較参考例7の値を100とする指数値で示した。この指数値が大きい程操縦安定性が優れている。
Figure 0004290725
表I−4脚注
天然ゴム TSR20:SIR20
NIPOL 1502:日本ゼオン(株)製スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(スチレン含量:23.5%)
DIA E:三菱化学(株)製カーボンブラック(N2 SA=41m2 /g)
SANTOFLEX 6PPD:FLEXSYS製老化防止剤
酸化亜鉛3種:正同化学工業(株)製
ビーズステアリン酸:日本油脂(株)製ステアリン酸
デゾレックス3号:昭和シェル石油(株)製プロセスオイル
SANTOCURE NS:FLEXSYS製加硫促進剤
金華印油入微粉硫黄:鶴見化学工業(株)製硫黄
環状ポリスルフィドI−6:前記環状ポリスルフィドI−1に同じ
環状ポリスルフィドI−7:前記環状ポリスルフィドI−2に同じ
参考例14〜18及び比較参考例9
本発明のゴム加硫剤の配合物性を評価するため以下の試験を行なった。
ゴムへの配合(重量部)は表II−Iに示す通りである。
Figure 0004290725
表II−1脚注
*1:TSR20
*2:Bromobutyl 2255(エクソンモービルケミカル)
*3:ダイアブラックE(三菱化学)
*4:亜鉛華#3(正同化学)
*5:ビーズステアリン酸(花王)
*6:FR−120(富士興産)
*7:エキストラクト 4号S(昭和シェル石油)
*8:5%油処理硫黄(軽井沢精錬所)
*9:以下の方法で合成した環状ポリスルフィド
30%多硫化ソーダ(Na24)水溶液89.76g(0.15mol)に水80g、硫黄4.8g(0.15mol)及び触媒としてテトラブルチアンモニウムブロミド1.16g(0.0045mol)を入れて80℃で2時間反応させた後、トルエン100gを加え、90℃で1,6−ジクロロヘキサン23.3g(0.15mol)を1時間滴下し、さらに4時間反応させた。反応終了後、有機相を分離し減圧下90℃で濃縮した後、xが平均5の式で示される環状ポリスルフィドを35.2g(収率95%)で得た。
1HNMR(270MHz,CDCI3)δ(ppm):1.4-1.9(8H,-CH2-),2.9-3.3(4H,-S-CH2-).
Figure 0004290725
(xは平均5であり、nは1〜4の数である。)
*10:前記調製例I−2で合成した環状ポリスルフィド
*11:ノクセラーDM(大内新興化学)
*12:ノクセラーTOT−N(大内新興化学)
*13:ノクセラーNS−F(大内新興化学)
上記表II−1に示す配合(重量部)のゴム組成物を8インチのオープンロールで混合した後、160℃及び20分の加硫条件でゴムを加硫した。その結果を表II−1に示す。試験方法は以下の通りである。
300%モジュラス:JIS K6251(3号ダンベル)に準拠
破断強度TB:JIS K6251(3号ダンベル)に準拠
破断伸びEB:JIS K6251(3号ダンベル)に準拠
衝撃ぜい化温度:JIS K6261に準拠して、ゴムのぜい化温度を測定した。
なお、比較参考例9は従来の硫黄配合のインナーライナー配合ゴムである。
調製例III−1(加硫剤III−3の製造)
30重量%四硫化ソーダ水溶液89.8g(0.15モル)に水100gを加え希釈した後、これに1,2−ビス(2−クロロエトキシ)メタン25.9g(0.15モル)を90℃で2時間かけて滴下し、同温度で更に3時間反応させた。反応終了後、水不溶部を水洗後、減圧下、100℃で2時間乾燥させ、前記式(I)において、R=−CH2CH2OCH2OCH2CH2−、x(平均)=4及びn=1〜5の環状ポリスルフィド(加硫剤3)33.2g(収率96%)を得た。得られた環状ポリスルフィドの数平均分子量は600であり、そのNMRデータは以下の通りであった。
1H−NMR(重クロロホルム)δ:2.9〜3.3(4H,CH2S)、3.7〜4.0(4H,CH2O)、4.8(2H,OCH2O)。
参考例19〜21及び比較参考例10
下記表III−1に示す配合(重量部)のゴム組成物を8インチのオープンロールで混合した後、170℃及び10分の加硫条件でゴムを加硫した。その結果を表III−1に示す。試験方法は以下の通りである。
100%モジュラス:JIS K6251に準拠して測定(JIS 3号ダンベル、試験速度500mm/min)。
破断強度(TB):JIS K6251に準拠して測定(JIS 3号ダンベル、試験速度500mm/min)。
破断伸び(EB):JIS K6251に準拠して測定(JIS 3号ダンベル、試験速度500mm/min)。
Figure 0004290725
表III−1脚注
*1:RSS #3
*2:三菱化学(株)製 ダイアブラックE
*3:正同化学工業(株)製 酸化亜鉛3種
*4:日本油脂(株)製 ビーズステアリン酸
*5:フレキシス(株)製 サントフレックスPPD
*7:ローディア製 マノボンド C22.5
*8:アクゾノーベル(株)製 クリステックスHS
*9:前記環状ポリスルフィドI−1
*10:前記環状ポリスルフィドII−1
*11:前記環状ポリスルフィドIII−3
*12:大内新興化学工業(株)製 ノクセラー DZ−G
比較参考例10は従来のベルトコートコンパウンドの例である。
参考調製例1
30%多硫化ソーダ(Na24)水溶液119.7g(0.2mol)をトルエン50gの混合溶媒中、テトラブチルアンモニウムプロマイド0.64g(1mol%)を入れ、ジクロロエチルホルマール34.6g(0.2mol)をトルエン30gに溶解し、90℃で30分滴下し、さらに5時間反応させた。反応後、有機相を分離し減圧下90℃で濃縮した後、環状ポリスルフィドIV−1を45.0g(収率97.8%)を得た。得られた環状ポリスルフィドはGPCで確認したところ数平均分子量570であった。
参考調製例2
1,2−ジクロロエタン1.98g(0.02mol)と30%多硫化ソーダ(Na24)水溶液1197g(2mol)とをトルエン500gの混合溶媒中、テトラブチルアンモニウムプロマイド0.64g(0.1mol%)を入れ、50℃で2時間反応させた。続いて、ジクロロエチルホルマール311.0g(1.8mol)をトルエン300gに溶解し、反応温度を90℃に上げ、1時間滴下し、さらに5時間反応させた。反応後、有機相を分離し減圧下90℃で濃縮した後、環状ポリスルフィドIV−2を405g(収率96.9%)で得た。得られた環状ポリスルフィドはGPCで確認したところ数平均分子量530であった。
参考調製例3
1,2−ジクロロエタン1.98g(0.02mol)と30%多硫化ソーダ(Na24)水溶液119.7g(0.2mol)をトルエン50gの混合溶媒中、テトラブチルアンモニウムプロマイド0.64g(1mol%)を入れ、50℃で2時間反応させた。続いて、ジクロロエチルホルマール31.1g(0.18mol)をトルエン30gに溶解し、反応温度を90℃に上げ、30分滴下し、さらに5時間反応させた。反応後、有機相を分離し減圧下90℃で濃縮した後、環状ポリスルフィドIV−3を43.8g(収率98%)で得た。得られた環状ポリスルフィドはGPCで確認したところ数平均分子量630であった。
Figure 0004290725
標準参考例1、参考例22〜23及び比較参考例11
サンプルの調製
表IV−2に示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を密閉型ミキサーで混練し、マスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で150℃で30分間加硫して加硫ゴムシートを調製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表IV−2に示す。
ゴム物性評価試験法
100%及び300%モジュラス(MPa):JIS K6251に準拠して測定
破断強度TB(MPa):JIS K6251に準拠して測定
破断伸びEB(%):JIS K6251に準拠して測定
Figure 0004290725
表IV−2脚注
*1:RSS #3
*2:東海カーボン(株)製シーストN
*3:正同化学(株)製亜鉛華3
*4:花王(株)製ビーズステアリン酸
*5:大内新興化学(株)製ノクラック6C
*6:大内新興化学(株)製ノクセラーNS−F
*7:軽井沢精錬所(株)製油処理硫黄
*8:参考調製例1参照
*9:参考調製例2参照
*10:参考調製例3参照
本発明によれば、以上の通り、2種類以上のジハロゲン化合物を用いて金属の多硫化物と縮合反応させることにより、ゴム組成物中に加硫剤として配合した場合に、ゴム組成物の粘度上昇を超えず、また加硫効率の低下も生ずることなく耐熱老化性が優れるゴム組成物を得ることができるので空気入りタイヤのキャップ、ベルト、ホース、コンベアベルトなどとして有用である。
本発明に従ったゴム組成物は、高いグリップ性能、破壊強度、グリップ持続性、耐久性、操縦安定性を改良することができるので、例えば空気入りタイヤのトレッドのキャップ部やベース部として有用である。

Claims (6)

  1. 硫黄加硫可能なジエン系ゴム(A)100重量部、加硫剤として式(I):
    Figure 0004290725
    (式中、Rは置換もしくは非置換のC2〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C20オキシアルキレン基又は芳香族環を含むアルキレン基を示し、nは1〜20の整数であり、xは平均2〜6の数である)
    の環状ポリスルフィド(B)0.1〜30重量部を含んでなり、更にカーボンブラック及び/又はシリカを合計量で100〜200重量部を含み、そして前記式(I)で表される環状ポリスルフィド(B)と硫黄(D)とを合計量が、ジエン系ゴム(A)100重量部当り、0.5〜5重量部でかつ環状ポリスルフィド(B)と硫黄(D)との合計量に対する環状ポリスルフィド(B)の量の比が0.1以上(重量比)であるゴム組成物。
  2. 硫黄加硫可能なジエン系ゴム(A)が芳香族ビニル−ジエン共重合体ゴムを主成分とした硫黄加硫可能なゴムであり、式(I)で表される環状ポリスルフィド(B)の含有量が0.1〜10重量部である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 硫黄加硫可能なジエン系ゴム(A)がガラス転移温度(Tg)が−40℃〜0℃である芳香族ビニル−ジエン共重合体ゴム40〜100重量%を含む請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 環状ポリスルフィド(B)が、式:X−R−X(式中、Xはそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、Rは置換もしくは非置換のC2〜C20のアルキレン基もしくはオキシアルキレン基又は芳香族を含むアルキレン基を示す)のジハロゲン化合物と、式M2x(式中、Mはアルカリ金属であり、xは2〜6の整数である)のアルカリ金属の多硫化物とを、親水性溶媒又は親水性/親油性溶媒の非相溶性混合溶媒中で2相系で反応させたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. ジエン系ゴム成分がスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を70重量%以上含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物をタイヤトレッド部に用いた空気入りタイヤ。
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